JP2912592B2 - 電波吸収壁 - Google Patents
電波吸収壁Info
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波吸収壁に関す
る。
る。
【０００２】
【従来の技術】最近の建築物の高層化に伴うテレビ電波
受信障害（テレビゴースト障害）の発生は大きな社会問
題となりつつあり、その対策に用いるテレビゴースト用
電波吸収壁（パネル）に対する期待も年々増加する傾向
にある。特に、フェライト系電波吸収体は薄型で良好な
吸収特性を示し、耐候性に優れ、化学的にも安定である
ためビル壁面に取り付ける電波吸収材として最適であっ
て、従来より、磁気共鳴現象を利用した焼結フェライ
ト、すなわちＭn −Ｍg 系焼結フェライトからなる板
（フェライトタイル）に金属板裏張りを施した構成とす
ることにより、電波吸収能力に優れかつ比較的薄板とし
て利用できるため、実用化が進んでいる。これらのフェ
ライト系電波吸収体は、一般的に寸法が１００mm×１０
０mmで厚さが５〜１０mm程度のタイル状とし、これらを
敷き詰めて施工し吸収壁体として構築される。
受信障害（テレビゴースト障害）の発生は大きな社会問
題となりつつあり、その対策に用いるテレビゴースト用
電波吸収壁（パネル）に対する期待も年々増加する傾向
にある。特に、フェライト系電波吸収体は薄型で良好な
吸収特性を示し、耐候性に優れ、化学的にも安定である
ためビル壁面に取り付ける電波吸収材として最適であっ
て、従来より、磁気共鳴現象を利用した焼結フェライ
ト、すなわちＭn −Ｍg 系焼結フェライトからなる板
（フェライトタイル）に金属板裏張りを施した構成とす
ることにより、電波吸収能力に優れかつ比較的薄板とし
て利用できるため、実用化が進んでいる。これらのフェ
ライト系電波吸収体は、一般的に寸法が１００mm×１０
０mmで厚さが５〜１０mm程度のタイル状とし、これらを
敷き詰めて施工し吸収壁体として構築される。
【０００３】この電波吸収壁については、長い経験から
種々の事項が解明されている。例えば、フェライトは磁
界集束作用があるため、到来電波の磁界成分の方向に連
続すれば電波成分の方向に適当な間隔をあけて電界を遮
断するように配列させても、この間隙部分を通ろうとす
る電波の磁界成分は大部分フェライト中に集束されるの
で、到来電波の吸収特性はほとんど劣化しないことが判
明し、このようなフェライトからなる板（フェライトタ
イル）の配列方法を用いることによって、電波吸収特性
を低下させないで、フェライトからなる板（フェライト
タイル）の使用枚数を減少させ、建材としての実用性を
高めることができる（特公昭５５−４９７９８号）。ま
た、金属板上にフェライトタイルを張り付けなくても、
補強材としての鉄筋、金網、金属板等の電波反射体を埋
設したコンクリート、モルタル等建物の外壁となる建築
用材料の表面に電波吸収特性を有するフェライトタイル
等の磁性体板を固着させ、且つ当該磁性体板の表面にモ
ルタル等の外装材を施しても電波吸収特性を劣化させる
ことなく、該磁性体板の剥離の問題、耐候性、耐水性の
問題、施工上の問題を解決し得る（特公昭５５−１３６
００号）。
種々の事項が解明されている。例えば、フェライトは磁
界集束作用があるため、到来電波の磁界成分の方向に連
続すれば電波成分の方向に適当な間隔をあけて電界を遮
断するように配列させても、この間隙部分を通ろうとす
る電波の磁界成分は大部分フェライト中に集束されるの
で、到来電波の吸収特性はほとんど劣化しないことが判
明し、このようなフェライトからなる板（フェライトタ
イル）の配列方法を用いることによって、電波吸収特性
を低下させないで、フェライトからなる板（フェライト
タイル）の使用枚数を減少させ、建材としての実用性を
高めることができる（特公昭５５−４９７９８号）。ま
た、金属板上にフェライトタイルを張り付けなくても、
補強材としての鉄筋、金網、金属板等の電波反射体を埋
設したコンクリート、モルタル等建物の外壁となる建築
用材料の表面に電波吸収特性を有するフェライトタイル
等の磁性体板を固着させ、且つ当該磁性体板の表面にモ
ルタル等の外装材を施しても電波吸収特性を劣化させる
ことなく、該磁性体板の剥離の問題、耐候性、耐水性の
問題、施工上の問題を解決し得る（特公昭５５−１３６
００号）。
【０００４】叙上外装材としては、セラミックタイルや
石材等の仕上材を用いることができる等である。よっ
て、ここに電波反射体となる鉄筋等の補強材を有する建
築用材料に、複数個のフェライトタイルからなる電波吸
収用磁性体を、到来電波の磁界成分方向に連続して結合
しかつ到来電波の電界成分方向に間隔をあけて配置し、
該電波吸収用磁性体表面に外装材を装着したところの電
波吸収壁が確立されている。ところが、フェライトタイ
ルと建築用材料とは附着力が小で、且つ温度変化により
膨張率の相違から前記フェライトタイルが建築用材料面
より剥離する惧れがあるうえに、外装材と建築用材料間
並びに外装材とフェライトタイル間の接着性も概して悪
い。そこで、叙上の接着性を改善すべく、従来は、特公
平１−４５２３８号にあっては、図６ａ，ｂに示す如
く、化粧板１（外装材）の背面に複数のアンカーとして
の脚片２、２が突設され、且つ相隣る脚片間にフェライ
ト系成形体３（フェライトタイル）が嵌着された化粧ブ
ロック４の背面に、コンクリート５（建築用材料）を一
体に層着するとして、コンクリート５（建築用材料）と
化粧ブロック４とを一体化し、化粧板１（外装材），フ
ェライト系成形体３（フェライトタイル），コンクリー
ト５（建築用材料）間の確固たる固定を達成している。
石材等の仕上材を用いることができる等である。よっ
て、ここに電波反射体となる鉄筋等の補強材を有する建
築用材料に、複数個のフェライトタイルからなる電波吸
収用磁性体を、到来電波の磁界成分方向に連続して結合
しかつ到来電波の電界成分方向に間隔をあけて配置し、
該電波吸収用磁性体表面に外装材を装着したところの電
波吸収壁が確立されている。ところが、フェライトタイ
ルと建築用材料とは附着力が小で、且つ温度変化により
膨張率の相違から前記フェライトタイルが建築用材料面
より剥離する惧れがあるうえに、外装材と建築用材料間
並びに外装材とフェライトタイル間の接着性も概して悪
い。そこで、叙上の接着性を改善すべく、従来は、特公
平１−４５２３８号にあっては、図６ａ，ｂに示す如
く、化粧板１（外装材）の背面に複数のアンカーとして
の脚片２、２が突設され、且つ相隣る脚片間にフェライ
ト系成形体３（フェライトタイル）が嵌着された化粧ブ
ロック４の背面に、コンクリート５（建築用材料）を一
体に層着するとして、コンクリート５（建築用材料）と
化粧ブロック４とを一体化し、化粧板１（外装材），フ
ェライト系成形体３（フェライトタイル），コンクリー
ト５（建築用材料）間の確固たる固定を達成している。
【０００５】また、特開平２−４７８９７号にあって
は、図７ａ，ｂに示す如く、セラミックタイル６（外装
材）に中空部７が設けてあり、この中空部７に電波吸収
材８（フェライトタイル）が挿入してあり、且つ前記セ
ラミックタイル６（外装材）の裏側に、コンクリート躯
体９（建築用材料）の壁面に食いこむような蟻溝１０が
設けてあるとして、中空部７の抱持と蟻溝１０の係止効
果により、電波吸収材８（フェライトタイル）およびセ
ラミックタイル６（外装料）を壁面に確実に取付け、こ
れらの剥離を防止し得るとしている。
は、図７ａ，ｂに示す如く、セラミックタイル６（外装
材）に中空部７が設けてあり、この中空部７に電波吸収
材８（フェライトタイル）が挿入してあり、且つ前記セ
ラミックタイル６（外装材）の裏側に、コンクリート躯
体９（建築用材料）の壁面に食いこむような蟻溝１０が
設けてあるとして、中空部７の抱持と蟻溝１０の係止効
果により、電波吸収材８（フェライトタイル）およびセ
ラミックタイル６（外装料）を壁面に確実に取付け、こ
れらの剥離を防止し得るとしている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】フェライトタイルと建
築用材料，外装材と建築用材料，外装材とフェライトタ
イルとの間の接着性を補完するためとしての叙上の従来
の外装材の特殊形状化手段では、外装材の構造が複雑化
してコストのアップは避けられず、かつ、フェライトタ
イルの組付け作業も繁雑で手間取る、という問題点があ
る。
築用材料，外装材と建築用材料，外装材とフェライトタ
イルとの間の接着性を補完するためとしての叙上の従来
の外装材の特殊形状化手段では、外装材の構造が複雑化
してコストのアップは避けられず、かつ、フェライトタ
イルの組付け作業も繁雑で手間取る、という問題点があ
る。
【０００７】本発明は、従来の技術の有するこのような
剥離阻止に要するコスト高化とフェライトタイルの外装
材への組付け煩雑化という問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、外装材の特殊形状化
を要することなくして、簡易な作業で外装材、フェライ
トタイル、建築用材料間の確固たる一体結合を達成し得
る電波吸収壁を提供しようとするものである。
剥離阻止に要するコスト高化とフェライトタイルの外装
材への組付け煩雑化という問題点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、外装材の特殊形状化
を要することなくして、簡易な作業で外装材、フェライ
トタイル、建築用材料間の確固たる一体結合を達成し得
る電波吸収壁を提供しようとするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の電波反射体となる反射用金属骨材を埋設す
る建築用材料に、到来電波の磁界成分方向を長辺とする
複数個の矩形状フェライトタイルからなる電波吸収用磁
性体を、到来電波の磁界成分方向に連続して結合し、か
つ、到来電波の電界成分方向に間隔を設けて配置し、該
電波吸収用磁性体表面に外装材を装着したところの電波
吸収壁は、該電波吸収用磁性体表面に到来電波の電界成
分方向の寸法が電波吸収用磁性体の到来電波の電界成分
方向の寸法より大きなプレート状外装材を装着し、か
つ、前記電波吸収用磁性体をその長手方向両側面に面取
り部を設けると共に厚み方向に貫通孔を設けた構成とな
し、さらに、該電波吸収用磁性体と前記プレート状外装
材とを互いの当接面と電波吸収用磁性体の貫通孔に充填
された樹脂モルタルにて圧着一体化したものである。
に、本発明の電波反射体となる反射用金属骨材を埋設す
る建築用材料に、到来電波の磁界成分方向を長辺とする
複数個の矩形状フェライトタイルからなる電波吸収用磁
性体を、到来電波の磁界成分方向に連続して結合し、か
つ、到来電波の電界成分方向に間隔を設けて配置し、該
電波吸収用磁性体表面に外装材を装着したところの電波
吸収壁は、該電波吸収用磁性体表面に到来電波の電界成
分方向の寸法が電波吸収用磁性体の到来電波の電界成分
方向の寸法より大きなプレート状外装材を装着し、か
つ、前記電波吸収用磁性体をその長手方向両側面に面取
り部を設けると共に厚み方向に貫通孔を設けた構成とな
し、さらに、該電波吸収用磁性体と前記プレート状外装
材とを互いの当接面と電波吸収用磁性体の貫通孔に充填
された樹脂モルタルにて圧着一体化したものである。
【０００９】該電波吸収用磁性体の到来電波の電界成分
方向の寸法Ｗ1 と該磁性体表面に装着するプレート状外
装材の到来電波の電界成分方向の寸法Ｗ2 との寸法比Ｗ
1 ／Ｗ2 が約０．５以下であると好適である。該樹脂モ
ルタルは、到来電波の磁界成分方向に隣接する互いのプ
レート状外装材間で、かつ電波吸収用磁性体表面部に形
成される目地部に目地モルタルを兼ねて介在するを良し
とする。
方向の寸法Ｗ1 と該磁性体表面に装着するプレート状外
装材の到来電波の電界成分方向の寸法Ｗ2 との寸法比Ｗ
1 ／Ｗ2 が約０．５以下であると好適である。該樹脂モ
ルタルは、到来電波の磁界成分方向に隣接する互いのプ
レート状外装材間で、かつ電波吸収用磁性体表面部に形
成される目地部に目地モルタルを兼ねて介在するを良し
とする。
【００１０】
【作用】電波吸収用磁性体は長手方向の側面を面取りし
てあるので、対建築用材料アリ溝を形成して強固な固定
が期し得ると共に外装材裏面には寸法差に基づく露呈裏
面による大なる対建築用材料接触面が確保され、外装材
と建築用材料との間の一体化が完璧に仕上がる。
てあるので、対建築用材料アリ溝を形成して強固な固定
が期し得ると共に外装材裏面には寸法差に基づく露呈裏
面による大なる対建築用材料接触面が確保され、外装材
と建築用材料との間の一体化が完璧に仕上がる。
【００１１】かかる外装材は単純なプレート状であるの
で安価である。そして、外装材と電波吸収用磁性体との
一体化は互いの当接面と貫通孔に充満する樹脂モルタル
により簡素にして完璧である。叙上対建築用材料接触面
の確保は、特に、電波吸収用磁性体の到来電波の電界成
分方向の寸法Ｗ1 と電波吸収用磁性体表面に装着するプ
レート状外装材の到来電波の電界成分方向の寸法Ｗ2 と
の寸法比Ｗ1 ／Ｗ2 が約０．５以下であると効果が高
い。
で安価である。そして、外装材と電波吸収用磁性体との
一体化は互いの当接面と貫通孔に充満する樹脂モルタル
により簡素にして完璧である。叙上対建築用材料接触面
の確保は、特に、電波吸収用磁性体の到来電波の電界成
分方向の寸法Ｗ1 と電波吸収用磁性体表面に装着するプ
レート状外装材の到来電波の電界成分方向の寸法Ｗ2 と
の寸法比Ｗ1 ／Ｗ2 が約０．５以下であると効果が高
い。
【００１２】外装材と電波吸収用磁性体とを圧着結合す
る樹脂モルタルに目地モルタルをも兼ねさせると、外装
材の固定養生をまってから電波吸収用磁性体敷込をする
必要がなく、同時施工が可能のため製造効率は大巾に向
上する。
る樹脂モルタルに目地モルタルをも兼ねさせると、外装
材の固定養生をまってから電波吸収用磁性体敷込をする
必要がなく、同時施工が可能のため製造効率は大巾に向
上する。
【００１３】
【発明の実施の形態】図１は本発明のフェライトタイル
からなる電波吸収用磁性体１１を示し、図示例のもの
は、１００mm（磁界成分方向の寸法）×５０mm（電界成
分方向の寸法）厚み１３．５mmの直方体状であり、外装
材接着予定面の長手方向両側面、すなわち磁界成分方向
と平行方向の側面部を∠３°で面取り１２し、２個の１
０φの厚さ方向の貫通孔１３を設けた複数のＮｉ−Ｃｕ
−Ｚｎ系焼結フェライトである。フェライトタイルには
公知のいずれの組成からなるフェライトを使用でき、用
途に応じて適宜選定できる。焼結フェライトには、Ｎｉ
−Ｚｎ系、Ｎｉ−Ｃｕ−Ｚｎ系、Ｍｎ−Ｚｎ系フェライ
トがある。特に好ましい焼結フェライトとして、３０〜
４０％Ｎｉ−１〜１０％Ｃｕ−１０〜１５％Ｚｎ系、１
５〜２０％Ｍｇ−３〜１０％Ｃｕ−２５〜３０％Ｚｎ系
フェライトがある。
からなる電波吸収用磁性体１１を示し、図示例のもの
は、１００mm（磁界成分方向の寸法）×５０mm（電界成
分方向の寸法）厚み１３．５mmの直方体状であり、外装
材接着予定面の長手方向両側面、すなわち磁界成分方向
と平行方向の側面部を∠３°で面取り１２し、２個の１
０φの厚さ方向の貫通孔１３を設けた複数のＮｉ−Ｃｕ
−Ｚｎ系焼結フェライトである。フェライトタイルには
公知のいずれの組成からなるフェライトを使用でき、用
途に応じて適宜選定できる。焼結フェライトには、Ｎｉ
−Ｚｎ系、Ｎｉ−Ｃｕ−Ｚｎ系、Ｍｎ−Ｚｎ系フェライ
トがある。特に好ましい焼結フェライトとして、３０〜
４０％Ｎｉ−１〜１０％Ｃｕ−１０〜１５％Ｚｎ系、１
５〜２０％Ｍｇ−３〜１０％Ｃｕ−２５〜３０％Ｚｎ系
フェライトがある。
【００１４】電波吸収用磁性体１１の外装材１４装着面
の磁界成分方向と平行方向の側面部に面取り１２される
角度は∠３°〜１５°であることが好ましい。電波吸収
用磁性体１１の面取り部は成形時から形成するよう予め
断面６角形状あるいは略台形状に成形する他、一旦断面
矩形状に成形した後、外装材装着予定面となる所定位置
に研磨等の加工を施すことによって形成することも可能
である。
の磁界成分方向と平行方向の側面部に面取り１２される
角度は∠３°〜１５°であることが好ましい。電波吸収
用磁性体１１の面取り部は成形時から形成するよう予め
断面６角形状あるいは略台形状に成形する他、一旦断面
矩形状に成形した後、外装材装着予定面となる所定位置
に研磨等の加工を施すことによって形成することも可能
である。
【００１５】図２、図３に示す如く、電波吸収用磁性体
１１のプレート状外装材１４接着面の到来電波の電界成
分方向寸法Ｗ1 は、外装材１４における到来電波の電界
成分方向寸法Ｗ2 に比して小にすることにより、外装材
１４の裏面と建築用材料１５との直接接合面積を大きく
確保でき、外装材１４の剥離、剥落の防止に寄与する。
１１のプレート状外装材１４接着面の到来電波の電界成
分方向寸法Ｗ1 は、外装材１４における到来電波の電界
成分方向寸法Ｗ2 に比して小にすることにより、外装材
１４の裏面と建築用材料１５との直接接合面積を大きく
確保でき、外装材１４の剥離、剥落の防止に寄与する。
【００１６】特に、それらの比Ｗ1/Ｗ2 が約0.5 以下で
あるとその効果が大きいことは先にも説明した通りであ
る。また、電波吸収用磁性体１１自体の形状寸法は、外
装材１４との接合強度の観点だけでなく、電波吸収特性
や機械的強度等の観点からも選定することが好ましく、
電波吸収壁に要求される諸特性を満足させるためには、
少なくとも到来電波の磁界成分方向を長辺とする矩形状
であることが必要であり、特にこの発明の主目的とする
外装材１４との接合強度を得るとともに広帯域での良好
な電波吸収特性を得るためには、短辺と長辺との比（短
辺／長辺）を約0.5 以下とすることが好ましいことを確
認した。
あるとその効果が大きいことは先にも説明した通りであ
る。また、電波吸収用磁性体１１自体の形状寸法は、外
装材１４との接合強度の観点だけでなく、電波吸収特性
や機械的強度等の観点からも選定することが好ましく、
電波吸収壁に要求される諸特性を満足させるためには、
少なくとも到来電波の磁界成分方向を長辺とする矩形状
であることが必要であり、特にこの発明の主目的とする
外装材１４との接合強度を得るとともに広帯域での良好
な電波吸収特性を得るためには、短辺と長辺との比（短
辺／長辺）を約0.5 以下とすることが好ましいことを確
認した。
【００１７】本発明にあっては、４５mm（磁界成分方向
の寸法）×９５mm（電界成分方向の寸法）厚み７mmの磁
器タイル状の外装材１４を複数枚用意し、それらを所定
枚並べ、電波吸収用磁性体１１の接着予定位置に、樹脂
モルタル１６を塗布する。電波吸収用磁性体１１は、長
手方向を到来電波の磁界成分方向に連続とし、電界成分
方向については５０mmの間隔を開けて配置する。電波吸
収用磁性体１１を塗布した樹脂モルタル１６上に当該樹
脂モルタル１６が貫通孔１３に充填されるように圧着さ
せる。
の寸法）×９５mm（電界成分方向の寸法）厚み７mmの磁
器タイル状の外装材１４を複数枚用意し、それらを所定
枚並べ、電波吸収用磁性体１１の接着予定位置に、樹脂
モルタル１６を塗布する。電波吸収用磁性体１１は、長
手方向を到来電波の磁界成分方向に連続とし、電界成分
方向については５０mmの間隔を開けて配置する。電波吸
収用磁性体１１を塗布した樹脂モルタル１６上に当該樹
脂モルタル１６が貫通孔１３に充填されるように圧着さ
せる。
【００１８】このように、外装材１４と電波吸収用磁性
体１１の線膨張係数の差異による長年にわたってのフェ
ライト界面の面内せん断力の繰り返しを、電波吸収用磁
性体１１の厚さ方向に少なくとも１箇の貫通孔１３を開
け、電波吸収用磁性体１１と外装材を接着する樹脂モル
タルを互いの当接面だけでなく貫通孔１３にも充填する
ことにより、応力を分散させ電波吸収用磁性体１１と樹
脂モルタル１６の接着耐久性を向上させ、外装材１４の
剥離、剥落を防止できる。
体１１の線膨張係数の差異による長年にわたってのフェ
ライト界面の面内せん断力の繰り返しを、電波吸収用磁
性体１１の厚さ方向に少なくとも１箇の貫通孔１３を開
け、電波吸収用磁性体１１と外装材を接着する樹脂モル
タルを互いの当接面だけでなく貫通孔１３にも充填する
ことにより、応力を分散させ電波吸収用磁性体１１と樹
脂モルタル１６の接着耐久性を向上させ、外装材１４の
剥離、剥落を防止できる。
【００１９】しかして、電波吸収用磁性体１１の表面に
積層する外装材１４は、石材や磁器タイルなど既存のコ
ストの嵩さむ突起加工を伴なわない単純なプレート状の
外装材が新たな保持部材を用いずに使用することができ
る。電波吸収用磁性体１１を結合した外装材１４の背部
には、その後、所定の間隔で組み立てられた反射用金属
骨材としての鉄筋カゴ１７を配置し、建築用材料１５を
電波吸収用磁性体１１及び外装材１４と密着するよう加
振機を用いて密実に充填し、硬化させる。この構成を図
３に示す。
積層する外装材１４は、石材や磁器タイルなど既存のコ
ストの嵩さむ突起加工を伴なわない単純なプレート状の
外装材が新たな保持部材を用いずに使用することができ
る。電波吸収用磁性体１１を結合した外装材１４の背部
には、その後、所定の間隔で組み立てられた反射用金属
骨材としての鉄筋カゴ１７を配置し、建築用材料１５を
電波吸収用磁性体１１及び外装材１４と密着するよう加
振機を用いて密実に充填し、硬化させる。この構成を図
３に示す。
【００２０】建築用材料１５としては、コンクリート等
の外壁用材料が使用されるが、その中に鉄筋、金網、金
属板製の鉄筋カゴ等の反射用金属骨材１７を埋設する。
また、電波吸収用磁性体１１は前記建築用材料１５中に
埋設されるが、外装材接着面以外の面が完全に埋設さ
れ、一方外装材装着面は建築用材料１５から露出してい
ることが望ましい。
の外壁用材料が使用されるが、その中に鉄筋、金網、金
属板製の鉄筋カゴ等の反射用金属骨材１７を埋設する。
また、電波吸収用磁性体１１は前記建築用材料１５中に
埋設されるが、外装材接着面以外の面が完全に埋設さ
れ、一方外装材装着面は建築用材料１５から露出してい
ることが望ましい。
【００２１】また、電波吸収用磁性体１１は、図３に示
す如く電界成分方向に空隙を開けて配置され、その空隙
率は電波吸収用磁性体１１の寸法に応じて適宜選定され
る。また、電波吸収用磁性体１１の厚みも電界成分方向
空隙率と同様に、電波吸収用磁性体１１寸法に対応して
選定される。この構成による電波吸収壁は、コンクリー
ト部に埋入された電波吸収用磁性体１１に、あらかじめ
磁界成分方向と平行方向の側面部に面取りされているた
め、電波吸収用磁性体１１は機械的に建築用材料１５に
保持され、しかも電界成分方向に並列した電波吸収用磁
性体１１同士に、外装材１４の寸法を考慮して十分な間
隔があるため、建築用材料１５のまわりこみが良く、建
築用材料１５部と外装材１４の良好な接合も行える。さ
らに、電波吸収用磁性体１１の貫通孔１３部分に充填さ
れた樹脂モルタル１６がフェライト界面と樹脂モルタル
１６の接着強度の耐久性を向上させることに寄与してい
る。
す如く電界成分方向に空隙を開けて配置され、その空隙
率は電波吸収用磁性体１１の寸法に応じて適宜選定され
る。また、電波吸収用磁性体１１の厚みも電界成分方向
空隙率と同様に、電波吸収用磁性体１１寸法に対応して
選定される。この構成による電波吸収壁は、コンクリー
ト部に埋入された電波吸収用磁性体１１に、あらかじめ
磁界成分方向と平行方向の側面部に面取りされているた
め、電波吸収用磁性体１１は機械的に建築用材料１５に
保持され、しかも電界成分方向に並列した電波吸収用磁
性体１１同士に、外装材１４の寸法を考慮して十分な間
隔があるため、建築用材料１５のまわりこみが良く、建
築用材料１５部と外装材１４の良好な接合も行える。さ
らに、電波吸収用磁性体１１の貫通孔１３部分に充填さ
れた樹脂モルタル１６がフェライト界面と樹脂モルタル
１６の接着強度の耐久性を向上させることに寄与してい
る。
【００２２】電波吸収用磁性体１１を支持するための特
殊な形状の外装材や新たな部材を必要としないため、製
作工程の簡略化、低価格化が図れる。従来電波吸収壁と
本発明電波吸収壁との生産効率の比較を表１に示す。一
連の製作工程に必要とされる時間的な効率を従来を１０
０％に基準に置いて比べてみると、本発明は従来の半分
の時間で済んでおり、効率が２倍（２００％）になった
ことが分かる。
殊な形状の外装材や新たな部材を必要としないため、製
作工程の簡略化、低価格化が図れる。従来電波吸収壁と
本発明電波吸収壁との生産効率の比較を表１に示す。一
連の製作工程に必要とされる時間的な効率を従来を１０
０％に基準に置いて比べてみると、本発明は従来の半分
の時間で済んでおり、効率が２倍（２００％）になった
ことが分かる。
【００２３】
【表１】
【００２４】また、同様の生産価格の比較を表２に示
す。３５％のコスト減となった。
す。３５％のコスト減となった。
【００２５】
【表２】
【００２６】
【実施例】本発明の実施例を説明する。前記の表１にお
ける従来の製作工程は、図４ａ，ｂに示す如く目地モル
タル２０で特殊な形状の外装材１９を固定養生してから
電波吸収用磁性体１１′を敷込むものであるが、本発明
では、図５に示す如く図２，図３に現われない磁界方向
断面では、樹脂モルタル１６が外装材１４と電波吸収用
磁性体１１との当接面及び電波吸収用磁性体１１の貫通
孔内だけでなく、隣接する互いの外装材１４間で、かつ
電波吸収用磁性体１１表面部に形成される目地部に目地
モルタル２０を兼ねるように配置されるので、外装材１
４の打込みと電波吸収用磁性体１１の敷込みを同時にな
し得た。
ける従来の製作工程は、図４ａ，ｂに示す如く目地モル
タル２０で特殊な形状の外装材１９を固定養生してから
電波吸収用磁性体１１′を敷込むものであるが、本発明
では、図５に示す如く図２，図３に現われない磁界方向
断面では、樹脂モルタル１６が外装材１４と電波吸収用
磁性体１１との当接面及び電波吸収用磁性体１１の貫通
孔内だけでなく、隣接する互いの外装材１４間で、かつ
電波吸収用磁性体１１表面部に形成される目地部に目地
モルタル２０を兼ねるように配置されるので、外装材１
４の打込みと電波吸収用磁性体１１の敷込みを同時にな
し得た。
【００２７】さらに、図３に示す如く電波吸収用磁性体
１１の外装材接着面の電界成分方向の寸法Ｗ1 を外装材
電界成分方向寸法Ｗ2 の５０％以下とし、並列する電波
吸収用磁性体１１の空隙を広くして、外装材１４と建築
材料１５との接合面積を確保し、既述の如く電波吸収用
磁性体１１の厚さ方向に貫通孔を設け、樹脂モルタル１
６を充填することで、外装材の接着強度及び接着耐久性
を向上させた電波吸収壁を用いた促進劣化試験後の外装
材１４の引張試験結果は、本発明の電波吸収壁の構成の
優れた耐久性を示した。
１１の外装材接着面の電界成分方向の寸法Ｗ1 を外装材
電界成分方向寸法Ｗ2 の５０％以下とし、並列する電波
吸収用磁性体１１の空隙を広くして、外装材１４と建築
材料１５との接合面積を確保し、既述の如く電波吸収用
磁性体１１の厚さ方向に貫通孔を設け、樹脂モルタル１
６を充填することで、外装材の接着強度及び接着耐久性
を向上させた電波吸収壁を用いた促進劣化試験後の外装
材１４の引張試験結果は、本発明の電波吸収壁の構成の
優れた耐久性を示した。
【００２８】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。電
波吸収壁を安価に能率良く、かつ、外装材、磁性体、建
築用材料間の結合を強固に仕上げ剥落を解消することが
できる。
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。電
波吸収壁を安価に能率良く、かつ、外装材、磁性体、建
築用材料間の結合を強固に仕上げ剥落を解消することが
できる。
【００２９】また、外装材と電波吸収用磁性体との接合
に際しては、目地モルタル仕上げも同時になし得る便利
性もある。
に際しては、目地モルタル仕上げも同時になし得る便利
性もある。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の電波吸収用磁性体の全体俯瞰図であ
る。
る。
【図２】本発明電波吸収壁の電界成分方向裁断図であ
る。
る。
【図３】本発明電波吸収壁の断面、立面図である。
【図４】ａ，ｂは従来の電波吸収壁の磁界成分方向、電
界成分方向の断面図である。
界成分方向の断面図である。
【図５】本発明の磁界成分方向の断面図である。
【図６】ａ，ｂは従来の電波吸収壁の要部の全体俯瞰
図、断面図である。
図、断面図である。
【図７】ａ，ｂは従来の電波吸収壁の電界成分方向裁断
図、別異の例示図である。
図、別異の例示図である。
１ 化粧板 ２ 脚片 ３ フェライト系成形体 ４ 化粧ブロック ５ コンクリート ６ セラミックタイル ７ 中空部 ８ 電波吸収材 ９ コンクリート躯体 １０ 蟻溝 １１ 電波吸収用磁性体 １１′電波吸収用磁性体 １２ 面取り １３ 貫通孔 １４ プレート状外装材 １５ 建築用材料 １６ 樹脂モルタル １７ 反射用金属骨材 １９ 外装材 ２０ 目地モルタル
フロントページの続き (72)発明者 鶴田 誠 福岡市中央区天神四丁目２番20号 株式 会社竹中工務店 九州支店内 (72)発明者 白石 洋介 福岡市中央区天神四丁目２番20号 株式 会社竹中工務店 九州支店内 (72)発明者 仲井 領 福岡市中央区天神四丁目２番20号 株式 会社竹中工務店 九州支店内 (72)発明者 木村 康彦 福岡市中央区天神四丁目２番20号 株式 会社竹中工務店 九州支店内 (72)発明者 坪内 信郎 千葉県印旛郡印西町大塚１丁目５番 株 式会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 岡本 肇 千葉県印旛郡印西町大塚１丁目５番 株 式会社竹中工務店 技術研究所内 (72)発明者 藤本 博志 福岡県中央区天神四丁目２番20号 株式 会社竹中工務店 九州支店内 (72)発明者 両角 昌公 大阪市中央区本町四丁目１番13号 株式 会社竹中工務店 大阪本店内 (72)発明者 多田 稔 大阪府大阪市中央区北浜４丁目７番19号 住友特殊金属 株式会社内 (72)発明者 鶴留 敏孝 大阪府大阪市中央区北浜４丁目７番19号 住友特殊金属 株式会社内 (72)発明者 巻 昇治 熊本県熊本市水前寺３丁目９番５号 株 式会社 ヤマックス内 (72)発明者 梅木 誠 熊本県熊本市水前寺３丁目９番５号 株 式会社 ヤマックス内 (58)調査した分野(Int.Cl.6，ＤＢ名) E04B 1/92 H05K 9/00
Claims (3)
- 【請求項１】 電波反射体となる反射用金属骨材を埋設
する建築用材料に、到来電波の磁界成分方向を長辺とす
る複数個の矩形状フェライトタイルからなる電波吸収用
磁性体を、到来電波の磁界成分方向に連続して結合し、
かつ、到来電波の電界成分方向に間隔を設けて配置し、
該電波吸収用磁性体表面に外装材を装着したところの電
波吸収壁において、該電波吸収用磁性体表面に到来電波
の電界成分方向の寸法が電波吸収用磁性体の到来電波の
電界成分方向の寸法より大きなプレート状外装材を装着
し、かつ、前記電波吸収用磁性体をその長手方向両側面
に面取り部を設けると共に厚み方向に貫通孔を設けた構
成となし、さらに、該電波吸収用磁性体と前記プレート
状外装材とを互いの当接面と電波吸収用磁性体の貫通孔
に充填された樹脂モルタルにて圧着一体化してなること
を特徴とする電波吸収壁。 - 【請求項２】 電波吸収用磁性体の到来電波の電界成分
方向の寸法Ｗ1 と該磁性体表面に装着するプレート状外
装材の到来電波の電界成分方向の寸法Ｗ2 との寸法比Ｗ
1 ／Ｗ2 が約０．５以下であることを特徴とする請求項
１記載の電波吸収壁。 - 【請求項３】 到来電波の磁界成分方向に隣接する互い
のプレート状外装材間で、かつ電波吸収用磁性体表面部
に形成される目地部に前記樹脂モルタルが目地モルタル
を兼ねて介在することを特徴とする請求項１及び請求項
２記載の電波吸収壁。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1857897A JP2912592B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 電波吸収壁 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1857897A JP2912592B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 電波吸収壁 |
Related Parent Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP23991994A Division JP2912555B2 (ja) | 1994-10-04 | 1994-10-04 | 電波吸収壁 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09235799A JPH09235799A (ja) | 1997-09-09 |
| JP2912592B2 true JP2912592B2 (ja) | 1999-06-28 |
Family
ID=11975520
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1857897A Expired - Fee Related JP2912592B2 (ja) | 1997-01-31 | 1997-01-31 | 電波吸収壁 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2912592B2 (ja) |
-
1997
- 1997-01-31 JP JP1857897A patent/JP2912592B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH09235799A (ja) | 1997-09-09 |
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