JP2911732B2 - 徐放性多核マイクロスフェア製剤およびその製法 - Google Patents

徐放性多核マイクロスフェア製剤およびその製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体内分解性ポリマーを
用いた徐放性の生理活性物質含有組成物に関する。さら
に詳しくは、本発明は2種類以上の生体内分解性ポリマ
ーを選択して用いることにより、薬物を効率よく内包
し、薬物を任意の速度で放出する徐放性多核マイクロス
フェア製剤およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】生理活性物質の効果を長期間持続させる
剤型として、生体内分解性ポリマーを用いたマイクロス
フェアが極めて有用であり、その製造法が種々提唱され
ている。例えば特開昭57−11851号公報には、コ
アセルベーション剤を用いた相分離法によるカプセル型
のマイクロスフェアの調製法が開示されている。しか
し、この調製法では製造過程で粒子同士の凝集が起こり
易く、分散媒として不揮発性の鉱物油や植物油を使用す
るため取出しおよび洗浄において困難をともない、か
つ、しばしば、内部が中空化してしまうため一定品質の
ものが得られない等の問題点がある。これらを克服する
方法としてエマルションを液中乾燥してマイクロスフェ
アを得る方法が知られており、特開昭60−10051
6、特開昭62−201816にW/O/W法、特開平
1−216918にO/O法、特開昭63−91325
にO/W法の技術が開示されている。
【0003】一般に、長期持続性を必要とする生理活性
物質は水溶性である場合が圧倒的に多い。O/O型エマ
ルションを液中乾燥する方法は脂溶性の活性物質を効率
よくマイクロスフェア中に取り込むためには有利な方法
であるが、分散相に不揮発性の溶媒を用いることが多
く、マイクロスフェアから溶媒を完全に取り除くことは
困難であり、また作業の安全性や環境上に多くの問題を
残している。W/O法では外側のO相に鉱物油、植物油
を使用するため取出し及び洗浄において困難が伴い、作
業性に欠けるうえ、残存する油相が大きな問題となる。
【0004】W/O/W法、O/W法は外相が水相であ
るためO/O法の様な残存溶媒等の問題は付随しない
が、液中乾燥過程でしばしば油相に保持されている薬物
が水相中に溶出し、マイクロスフェア中への薬物の取り
込みが著しく低下するという問題点があった。この欠点
を克服するため特開昭60−100516、特開昭62
−201816には内水相中にゼラチンを溶解せしめた
W/O/W法が開示されている。しかしながらW/O/
W法では操作が煩雑であり、かつ一定品質の製剤を得る
ためには製造条件を多岐にわたり精密に制御する必要が
ある。加えてこの方法では有効に適用される薬物の種類
には限りがある。また、この方法では通常薬物保持相中
の添加物として利用されているゼラチン等の無菌性及び
脱パイロジェン化が問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】作業性及び安全性の観
点からは簡単な操作でマイクロスフェアが得られ、か
つ、薬物の取り込み率を減少させない工夫が望まれる。
しかしながら公知の相分離法、各種エマルションからの
液中乾燥法では、一般に薬物取り込み率が低かったり、
溶出の初期に急激な薬物放出が生じるバースト溶出を完
全に抑制することは困難である。これは液中乾燥操作時
に油相中の薬物が水相に直接接触し、分配・拡散等によ
って容易に外相にリークしうる状態にあることが原因で
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記のよう
な従来技術における問題を解決すべく、鋭意検討したと
ころ、ある2種類の生体内分解性ポリマーを別々に水と
混和しない同一または異なる有機溶媒に溶解し、これを
混ぜ合わせると、この2種類の生体内分解性ポリマーは
互いに混じりあわず分離し、かつ激しく撹拌するとO/
O型エマルションを生成することを見い出した。ここに
薬物を添加すると、その薬物は一方のポリマー中により
多く分布し、不連続な相を形成した。この様にして調製
した薬物を包含するO/O型エマルションを、水中に分
散すると、O/O/W型エマルションが生成する。そこ
で、これを液中乾燥すると薬物が複数の島状に分散した
マイクロスフェアが得られることがわかった。この場
合、薬物は模式図(図3)に示すように、内部に島状に
分散している一方のポリマー相に多く分布し、その外層
部分には分布が少ない。この外層は薬物と外水相あるい
は溶出液との接触を阻止する役割をも担っている。この
ような構造を有することが原因となって、O/O/W型
エマルションで製したマルチカプセルタイプのマイクロ
スフェアが、薬物取り込み率が高く、かつ、溶出試験に
おいて初期のバースト的な溶出を抑えることが出来る性
質を持つことがわかった。
【0007】本発明のマイクロスフェア製剤は、2種以
上の生体内分解性ポリマーおよび薬物よりなり、一方の
生体内分解性ポリマー(第一ポリマー)からなる微小領
域が、他方の生体内分解性ポリマー(第二ポリマー)か
らなる領域中に分散している内部構造を有し、該微小領
域中に薬物を含有する徐放性多核マイクロスフェア製剤
である。
【0008】本発明において製剤中に含有される薬物は
特に限定されず、たとえば、抗がん剤、抗生物質、生理
活性を有するポリペプチド、解熱剤、鎮痛剤、免疫賦活
剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、鎮咳剤、抗てんかん剤、抗
ヒスタミン剤、降圧利尿剤、糖尿病治療剤、筋弛緩剤、
抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、狭心剤、不整脈
治療剤、血管拡張剤、抗凝血剤、止血剤、抗結核剤、麻
薬拮抗剤、ホルモン剤などがあげられるが、とりわけこ
れらの内難溶性の薬物が好ましい。
【0009】マイクロスフェアの基材として使用される
生体内分解性ポリマーとしては、生理活性を持たず、生
体内で分解・消失する性質を有するポリマーであればな
んでもよい。たとえば、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸
およびヒドロキシ酪酸などのホモポリマー、並びにこれ
らのコポリマーがあげられる。とくに平均分子量が1,
000〜500,000のポリ乳酸ならびに乳酸・グリ
コール酸コポリマーが好ましい。生体分解性ポリマーに
対する薬物の含有量は、任意に選ぶことができ、薬物の
種類、目的とする薬理効果および放出時間によって異な
るが、約0.01〜約40%(W/W)、特に0.01
〜20%が好ましい。
【0010】本発明のマイクロスフェア製剤は、2種以
上の生体内分解性ポリマーを、それぞれ水に混和しない
同一または相異なる有機溶媒に溶解し、一方に薬物を溶
解または分散させた後、両者を混合してO/O型のエマ
ルションを調製し、このエマルションを水中に分散し
て、O/O/W型エマルションを調製し、ついで生成し
たマイクロスフェアを液中乾燥することにより製するこ
とができる。
【0011】O/O型エマルションは、常法により製す
ることができ、例えば、薬物を一方の生体内分解性ポリ
マーの有機溶媒中に溶解または分散し、これを同一の有
機溶媒に溶解した別の生体内分解性ポリマー中に乳化す
るか、もしくは、両ポリマーを溶解した有機溶媒溶液に
薬物を加えて乳化することにより容易に実施できる。こ
こで用いる2種類のポリマーの組合せはそれぞれは有機
溶媒系に溶けているが、両者を混合するとそれぞれのポ
リマーは相溶せず、一方のポリマー(第一ポリマー)が
他方のポリマー(第二ポリマー)中に分散(相分離)す
る組合せであればなんでもよく、たとえば乳酸ホモポリ
マーと乳酸・グリコール酸コポリマーの組合せがある。
また、これら第一および第二ポリマーは、各々が2種以
上のポリマーの混合物の形でも使用できる。
【0012】有機溶媒はO/O/W型エマルションの油
相となる溶媒であり、揮発性で水への溶解性が低く、か
つ、ポリマーの良溶媒であればなんでもよい。たとえ
ば、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素などがあ
げられる。また、これら溶媒と相溶する溶媒(例えば、
エチルエーテル、酢酸エチル等)を添加した混合溶媒も
使用することができる。とくに、生体内分解性ポリマー
として、ポリ乳酸と乳酸・グリコール酸コポリマーを用
いる場合には、塩化メチレンが望ましい。
【0013】本発明において、第一ポリマーと第二ポリ
マーは、一般的に、使用重量の多いポリマーがO/O型
エマルションにおいて連続相を形成して第二ポリマーと
なり、使用重量の少ないポリマーが、O/O型エマルシ
ョンの該連続相中に分散し微小液滴を形成して第一ポリ
マーとなるので、これを指標として、選択することがで
きる。使用する第一ポリマーと第二ポリマーの重量比は
上記の指標にもとづき決定すればよく、特に制限はない
が、例えば第一ポリマーが1に対して第二ポリマーが1
〜10であるものがあげられる。このうち、好ましい重
量比としては、第一ポリマーが1に対して第二ポリマー
が2〜4のものがあげられる。例えば、ポリ乳酸と乳酸
・グリコール酸コポリマーの組合せの場合において、分
子量が共に同じであり、重量比がポリ乳酸が2、乳酸・
グリコール酸コポリマーが1のときは、乳酸・グリコー
ル酸コポリマーが微小液滴を形成して第一ポリマーとな
る。また上記組合せの場合において、重量比が逆のとき
は、ポリ乳酸が微小液滴を形成して第一ポリマーとな
る。
【0014】また、薬物は、第一または第二ポリマーと
の親和性により、いずれかのポリマー中に偏在する。従
って、本発明においては、上記の関係を利用して、微小
液滴を形成するポリマー中に薬物を含有させ徐放性に優
れたマイクロスフェアを得ることができる。例えば、薬
物がO/O型エマルションにおいて連続相(即ち、第二
ポリマー)に偏在する場合には、ポリマーの重量比を変
えることにより、微小液滴中に薬物を含有させることが
可能となるので、容易に薬物とポリマーの組合せを選択
することができる。
【0015】また、一般的に粘度が上昇すると、粒子間
の合一が抑制されるためO/O型エマルションは安定化
し、内部の微小領域の粒子径が小さいマイクロスフェア
を製することができ、2種の生体内分解性ポリマーの
内、一方のポリマーとして高分子量のものを採用するこ
とによっても、上記と同様に内部微小領域の粒子径が小
さいマイクロスフェアを製造することができる場合があ
り、マイクロスフェア内部における微小領域の粒子径を
コントロールできる。
【0016】本発明において第一ポリマーと第二ポリマ
ーの効果はそれぞれ下記の通りである。第一ポリマーは
薬物に対して第二ポリマーよりも親和性が高いため選択
的に薬物を保持することができる。第二ポリマーは大き
く二つの効果をもつ。第一に、本発明により調製したO
/O型エマルションをさらに水相中に乳化してO/O/
W型エマルションとする際、第一ポリマーに保持した薬
物を水相中に逃さない効果を有する。このことにより、
高い取り込み率が得られる。第二にマイクロスフェアが
体液と接した際、第一ポリマーよりなる内相の微小領域
が直接水と接触することを防ぐ結果、初期のバースト的
な溶出の抑制などの放出制御の効果を有する。
【0017】O/O/W型エマルションはO/O型エマ
ルションを水相中に加え、乳化することにより調製する
ことができる。水相には、油相の合一や生成したマイク
ロスフェアの凝集を防ぐために凝集防止剤を加えること
もできる。凝集防止剤としては、一般に用いられるもの
であればなんでもよいが、たとえば、ポリビニルアルコ
ール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール
類、界面活性剤、キトサンなどの多糖類、ゼラチン、ア
ラビアゴムなどがあげられる。この凝集防止剤の水相中
の濃度は0.01〜10%(w/v)、とくに0.1〜
2%(w/v)が好ましい。凝集防止剤の種類や添加濃
度を変えることにより、マイクロスフェアの粒子径なら
びに粒度の分布をコントロールすることができる。乳化
操作は、プロペラ式撹拌機、タービン型の乳化機、超音
波分散装置または高圧乳化機などにより容易に実施する
ことができる。
【0018】こうして得られたエマルションを液中乾燥
し、マイクロスフェアを製造する。液中乾燥は加熱法、
減圧法等の常法により実施することができ、例えば加熱
法ではプロペラ型またはタービン型撹拌機でエマルショ
ンを撹拌しながら昇温し、溶媒の留去を行う。この撹拌
速度は装置および仕込量により若干変動するが、約10
〜約25000rpm、とくに好ましくは50〜100
00rpmである。温度は約0.5〜約4時間かけて上
昇させる。初めの温度は0〜25℃、上昇後の最高温度
は25〜50℃が好ましい。また減圧法では、エマルシ
ョンをロータリーエバポレーターのような適当な減圧装
置で徐々に減圧して約0.1〜50mm/Hgとし、溶
媒の留去を行う。液中乾燥により得られたマイクロスフ
ェアは遠心分離または濾過などの方法により分取し、蒸
留水にて洗浄を行い、風乾または真空乾燥などにより溶
媒を完全に留去させることにより、本発明のマイクロス
フェアが得られる。剤型によっては、洗浄後のマイクロ
スフェアを適当な溶液に懸濁し、凍結乾燥により最終製
剤の形に調製する。以上の方法で得られるマイクロスフ
ェアの粒子径は、平均粒子径として0.01μm〜50
0μmである。一般的には、油相における有機溶媒量の
ポリマー量に対する比率を上昇させることにより、得ら
れるマイクロスフェアの粒子径は微細になる。
【0019】このようにして得られたマイクロスフェア
は薬物の取り込み量が高く、また、実施例にも示すよう
に溶出パターンは零次放出型となることが多い。さら
に、第一ポリマーと第二ポリマーの組合せ、配合比を変
更することにより溶出パターンを種々変更することが出
来る。本発明のマイクロスフェアは、そのまま埋込剤と
して生体に投与することができる。また、種々の製剤を
製造する際の原料としても用いうる。そのような製剤と
しては、例えば注射剤、経口投与剤、経皮投与剤、坐
剤、経鼻投与剤、口腔投与剤および眼内投与剤などがあ
げられる。
【0020】
【実施例】つぎに実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はもとよりこれらの実施例のみに
限定されるものではない。
【0021】実施例1 乳酸とグリコール酸のモル比が50:50であり、分子
量2万の乳酸・グリコール酸コポリマー(以下、PLG
A5020と略す)300mgと、薬物としてシスプラ
チン(CDDP)100mgに塩化メチレン500mg
を加えた(A液)。また別に分子量2万のポリ乳酸(以
下、PLA0020と略す)600mgを塩化メチレン
1gに溶解した(B液)。A液をB液に加え、乳化機
[ポリトロン(キネマティカ、アーゲー、リタウ(Ki
nematica Ag Littau)社製の商品
名、スイス)]にて回転数12,000rpmで30秒
間乳化し、内相にA液を含むO/O型エマルションを得
た。それを15℃において、パスツールピペットを用い
て0.5%ポリビニルアルコール水溶液400mlに添
加し、ポリトロンにて回転数12,000rpmで5分
間乳化し、O/O/W型エマルションとした。そのの
ち、四枚羽根付きパドルにて400rpmで撹拌しなが
ら、3時間かけて15〜30℃まで昇温することによ
り、液中乾燥を行い、マイクロスフェアを得た。つい
で、このマイクロスフェアを遠心分離で集め、さらに蒸
留水で3回洗浄し、メンブランフィルターで濾取したも
のを室温下で一昼夜減圧乾燥を行った。得られたマイク
ロスフェアは平均粒子系が約50μmでほとんどが10
0μm以下の黄色球状粒子であった(製剤1)。
【0022】実施例2 PLGA5020(300mg)、CDDP(100m
g),PLA0020(600mg)に塩化メチレン
(1.5g)を加えた。これをポリトロンにて回転数1
2,000rpmで30秒間混合し、内相にシスプラチ
ンを分布したO/O型エマルションを得た。以下実施例
1と同様の操作でマイクロスフェアを得た(製剤2)。
【0023】実施例3 PLGA5020(300mg)とCDDP(100m
g)に塩化メチレン(500mg)を加えた(A液)。
また別に分子量1万のポリ乳酸(以下、PLA0010
と略す)(600mg)を塩化メチレン(1g)に溶解
した(B液)。A液をB液に加えポリトロンにて回転数
12,000rpmで30秒間乳化し、内相にA液を含
むO/O型エマルションを得た。以下実施例1と同様の
操作でマイクロスフェアを得た(製剤3)。
【0024】比較例1〜3 製剤1、2および3の比較として、PLGA5020
(900mg)とCDDP(100mg)に塩化メチレ
ン(1.5g)を加え、ポリトロンにて回転数12,0
00rpmで30秒間乳化した。以下実施例1と同様の
操作でマイクロスフェアを得た(比較製剤1)。また、
PLA0020(900mg)とCDDP(100m
g)に塩化メチレン(1.5g)を加え、ポリトロンに
て回転数12,000rpmで30秒間乳化した。以下
実施例1と同様の操作でマイクロスフェアを得た(比較
製剤2)。さらに、PLA0010(900mg)とC
DDP(100mg)に塩化メチレン(1g)を加え、
ポリトロンにて回転数12,000rpmで30秒間乳
化した。以下実施例1と同様の操作でマイクロスフェア
を得た(比較製剤3)。
【0025】実験例1 上記の方法で得られたマイクロスフェアの薬物取り込み
率(処方量に対し実際に取り込まれた量の%)の測定、
および37℃でPH7.4の等張リン酸緩衝液に対して
イン ビトロ溶出試験を行った。CDDPの定量は原子
吸光度計(HITACHI 180−80)にて行っ
た。製剤1〜3および比較製剤1〜3中へのCDDPの
取り込み率を表1に示した。本発明による製造方法で製
したマイクロスフェアの取り込み率は、比較製剤よりも
顕著に高いことを認めた。製剤1および2の溶出試験の
結果を図1および図2に示した。これらの結果より本法
で調製したマイクロスフェアは、一種類のポリマーで調
製したマイクロスフェアより取り込み率が高く、また零
次放出型の製剤であることが示された。
【0026】
【表1】
【0027】実施例4 予めPLA0020(333mg)のアセトニトリル
(1ml)溶液とヒトカルシトニン(1mg)のメタノ
ール(0.5ml)溶液を混和し、減圧乾燥にて溶媒を
留去した後、塩化メチレン(500mg)を加えた(A
液)。また別にPLGA5020(667mg)を塩化
メチレン(1g)に溶解した(B液)。A液にB液を加
え、ポリトロンにて回転数12,000rpmで30秒
間乳化した。以下実施例1と同様の操作でマイクロスフ
ェアを得た(製剤4)。
【0028】実験例2 上記の実施例4で得られたマイクロスフェアの薬物取り
込み率をHPLC法にて測定したところ、下記表2に示
すとおり、ヒトカルシトニンは殆ど100%近くマイク
ロスフェア中に包含された。
【表2】
【0029】実施例5 PLA0010(300mg)と薬物として(4S)−
3−[(2S)−N−[(1S)−1−エトキシカルボ
ニル−3−フェニルプロピル]アラニル]−1−メチル
−2−オキソ−4−イミダゾリジンカルボン酸・塩酸塩
(100mg)に塩化メチレン(500mg)を加えた
(A液)。また別にPLGA5020(600mg)を
塩化メチレン(1g)に溶解した(B液)。A液をB液
に加え、ポリトロンにて回転数12,000rpmで3
0秒間乳化した。以下実施例1と同様の操作でマイクロ
スフェアを得た(製剤5)。
【0030】比較例4 製剤4の比較として、PLGA5020(900mg)
と(4S)−3−[(2S)−N−[(1S)−1−エ
トキシカルボニル−3−フェニルプロピル]アラニル]
−1−メチル−2−オキソ−4−イミダゾリジンカルボ
ン酸・塩酸塩(100mg)に塩化メチレン(1g)を
加え、ポリトロンにて回転数12,000rpmで30
秒間乳化した。以下実施例1と同様の操作でマイクロス
フェアを得た(比較製剤4)。
【0031】実験例3 実施例5および比較例4で得られたマイクロスフェアの
薬物取り込み率を、吸光光度計(HITACHI 20
00,W1=280nm,W2=220nm)にて測定
したところ、製剤5ではマイクロスフェア1g中に1
2.4mgの(4S)−3−[(2S)−N−[(1
S)−1−エトキシカルボニル−3−フェニルプロピ
ル]アラニル]−1−メチル−2−オキソ−4−イミダ
ゾリジンカルボン酸・塩酸塩が取り込まれた。これに対
し比較製剤4の取り込み率は殆ど0であった。
【0032】実施例6 PLGA5020(300mg)とTRH(100m
g)を混合し、これに塩化メチレン(500mg)を加
えた(A液)。また別にPLA0020(600mg)
を塩化メチレン(1g)に溶解した(B液)。A液をB
液に加え、ポリトロンにて回転数12,000rpmで
30秒間乳化した。以下実施例1と同様の操作でマイク
ロスフェアを得た。
【0033】実施例7 PLGA5020(300mg)とLHRH(100m
g)を混合し、これに塩化メチレン(500mg)を加
えた(A液)。また別にPLA0020(600mg)
を塩化メチレン(1g)に溶解した(B液)。A液をB
液に加え、ポリトロンにて回転数12,000rpmで
30秒間乳化した。以下実施例1と同様の操作でマイク
ロスフェアを得た。
【0034】実施例8 PLGA5020(300mg)とビタミンB12(1
00mg)を混合し、これに塩化メチレン(500m
g)を加えた(A液)。また別にPLA0020(60
0mg)を塩化メチレン(1g)に溶解した(B液)。
A液をB液に加え、ポリトロンにて回転数12,000
rpmで30秒間乳化した。以下実施例1と同様の操作
でマイクロスフェアを得た。
【0035】実施例9 PLGA5020(90mg)、CDDP(50mg;
平均粒径:1μm)に塩化メチレン(150mg)を添
加した(A懸濁液)。また別にPLA0020(360
mg)を塩化メチレン(600mg)に溶解してB液と
した。A懸濁液をB液に添加し、ポリトロンにて回転数
12,000rpmで30秒間乳化し、内相にA液(P
LGAおよびCDDP)を含むO/O型エマルションを
得た。以下、実施例1と同様の操作でマイクロスフェア
を得た(製剤6)。また、上記で得られた製剤6のイン
ビトロ溶出試験を実験例1と同様にして実施した(こ
の溶出試験の結果は、図4に示す)。
【0036】実施例10 PLGA5020(90mg)、CDDP(50mg;
平均粒径:1μm)に塩化メチレン(150mg)を添
加した(A液)。また別にPLA0020(270m
g)および平均分子量が13万のポリ乳酸(90mg、
デュポン社)を塩化メチレン(825mg)に溶解して
B液とした。A液をB液に添加し、ポリトロンにて回転
数12,000rpmで30秒間乳化し、内相にA液
(PLGAおよびCDDP)を含むO/O型エマルショ
ンを得た。以下、実施例1と同様の操作でマイクロスフ
ェアを得た(製剤7)。また、上記で得られた製剤7の
イン ビトロ溶出試験を実験例1と同様にして実施した
(この溶出試験の結果は、図5に示す)。
【0037】
【発明の効果】2種類の生体内分解性ポリマーを用いて
O/O型エマルションを調製し、これを水相中に分散し
てO/O/W型として液中乾燥する方法により、任意の
薬物に対して高い取り込み率でかつ長期にわたり薬物が
放出されるマイクロスフェア製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られる本発明のマイクロスフェ
ア製剤(製剤1)の薬物溶出曲線を示す。
【図2】 実施例2で得られる本発明のマイクロスフェ
ア製剤(製剤2)の薬物溶出曲線を示す。
【図3】 本発明のマイクロスフェア製剤の模式的構造
を示す模式図である。
【図4】 実施例9で得られる本発明のマイクロスフェ
ア製剤(製剤6)の薬物溶出曲線を示す。
【図5】 実施例10で得られる本発明のマイクロスフ
ェア製剤(製剤7)の薬物溶出曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 昭博 大阪府枚方市北中振1丁目3−13 (72)発明者 小林 征雄 京都府京都市左京区南禅寺下河原町1番 地 (56)参考文献 特開 平6−32732(JP,A) 特開 平4−74117(JP,A) 特開 平4−46116(JP,A) 特開 平5−194253(JP,A) 特開 平1−216918(JP,A) 特開 平5−112468(JP,A) 特表 平7−502990(JP,A) 特表 平2−504025(JP,A) 米国特許4861627(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/52 A61K 9/50 B01J 13/02 B01J 13/12 CA(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸コポリマ
    ーおよび薬物よりなり、ポリ乳酸および乳酸・グリコー
    ル酸コポリマーの一方(第一ポリマー)からなる微小領域
    が、他方(第二ポリマー)からなる領域中に分散している
    内部構造を有し、該微小領域中に薬物を含有する徐放性
    多核マイクロスフェア製剤。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸および乳酸・グリコール酸コポ
    リマーの分子量が1000〜500000である請求項
    1記載の徐放性多核マイクロスフェア製剤。
  3. 【請求項3】 第一ポリマーが乳酸・グリコール酸コポ
    リマーであり、第二ポリマーがポリ乳酸である請求項
    1、2記載の徐放性多核マイクロスフェア製剤。
  4. 【請求項4】 第一ポリマーがポリ乳酸であり、第二ポ
    リマーが乳酸・グリコール酸コポリマーである請求項
    1、2記載の徐放性多核マイクロスフェア製剤。
  5. 【請求項5】 使用する第一ポリマーと第二ポリマーと
    の重量比が1:2〜4の範囲である請求項1〜4のいず
    れか1項記載の徐放性多核マイクロスフェア製剤。
  6. 【請求項6】 薬物の含有量がマイクロスフェアに対し
    て0.01〜40%(W/W)である請求項1〜5のいず
    れか1項記載の徐放性多核マイクロスフェア製剤。
  7. 【請求項7】 平均粒子径が0.01〜500μmであ
    る請求項1〜6のいずれか1項記載の徐放性多核マイク
    ロスフェア製剤。
  8. 【請求項8】 薬物が生理活性を有するポリペプチドで
    ある請求項1〜7のいずれか1項記載の徐放性多核マイ
    クロスフェア製剤。
  9. 【請求項9】 薬物が抗がん剤である請求項1〜7のい
    ずれか1項記載の徐放性多核マイクロスフェア製剤。
  10. 【請求項10】 ポリ乳酸および乳酸・グリコール酸コ
    ポリマーを、それぞれ水に混和しない同一または相異な
    る有機溶媒に溶解し、一方に薬物を溶解または分散させ
    た後、両者を混合してO/O型のエマルションを調製
    し、このエマルションを水中に分散してO/O/W型エ
    マルションを調製し、ついでこれを液中乾燥することを
    特徴とする徐放性多核マイクロスフェア製剤の製法。
  11. 【請求項11】 ポリ乳酸および乳酸・グリコール酸コ
    ポリマーを、水に混和しない有機溶媒に溶解し、薬物を
    溶解または分散させてO/O型のエマルションを調製
    し、このエマルションを水中に分散してO/O/W型エ
    マルションを調製し、ついでこれを液中乾燥することを
    特徴とする徐放性多核マイクロスフェア製剤の製法。
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