JPH05194253A - 水溶性ポリペプチドホルモンを含む徐放性微小粒子状製剤及びその製造法 - Google Patents
水溶性ポリペプチドホルモンを含む徐放性微小粒子状製剤及びその製造法Info
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- JPH05194253A JPH05194253A JP4005987A JP598792A JPH05194253A JP H05194253 A JPH05194253 A JP H05194253A JP 4005987 A JP4005987 A JP 4005987A JP 598792 A JP598792 A JP 598792A JP H05194253 A JPH05194253 A JP H05194253A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 生理活性を有する水溶性ポリペプチドホルモ
ンを含有し、これに生体内分解性高分子物質を配合して
成る徐放性微小粒子製剤であって、包摂率と投与初期の
放出速度制御に関する要求とを同時に満たすものを得
る。 【構成】 1種又は2種以上の水溶性ポリペプチドホル
モンを逆ミセル状の粒子として含有し、これに生体内分
解性高分子物質を配合してなる徐放性微小粒子状製剤。
ンを含有し、これに生体内分解性高分子物質を配合して
成る徐放性微小粒子製剤であって、包摂率と投与初期の
放出速度制御に関する要求とを同時に満たすものを得
る。 【構成】 1種又は2種以上の水溶性ポリペプチドホル
モンを逆ミセル状の粒子として含有し、これに生体内分
解性高分子物質を配合してなる徐放性微小粒子状製剤。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水溶性ポリペプチドホル
モンを含有する徐放性微小粒子状製剤と、その製造方法
に関する。
モンを含有する徐放性微小粒子状製剤と、その製造方法
に関する。
【0002】
【従来技術】遺伝子操作技術の進歩により多くの生理活
性ポリペプチドが細胞培養法で安定に供給できるように
なり、疾病の治療や予防への活用が期待されている。し
かしこれらペプチドは一般に生体内で代謝等を受けるた
め半減期が短く、薬剤として投与した場合十分な効果が
得られないことがある。この問題を解決せんとして、今
日までポリペプチドホルモンの徐放性製剤の開発が数多
く試みられてきた。その中で比較的長期間徐放性を保つ
製剤の製造技術を開示したものとして、特開昭57−1185
12、特開昭62−201816、特開昭60−100516、特開昭63−
91325 、特開平1−156912等があるものの、いずれも完
全な解決策を示していない。
性ポリペプチドが細胞培養法で安定に供給できるように
なり、疾病の治療や予防への活用が期待されている。し
かしこれらペプチドは一般に生体内で代謝等を受けるた
め半減期が短く、薬剤として投与した場合十分な効果が
得られないことがある。この問題を解決せんとして、今
日までポリペプチドホルモンの徐放性製剤の開発が数多
く試みられてきた。その中で比較的長期間徐放性を保つ
製剤の製造技術を開示したものとして、特開昭57−1185
12、特開昭62−201816、特開昭60−100516、特開昭63−
91325 、特開平1−156912等があるものの、いずれも完
全な解決策を示していない。
【0003】特開昭57−118512では、ポリペプチドホル
モンを内水相に含有し、生体内分解性高分子を含有する
疎水性相中に分散・乳化し、さらにこの不連続相に該生
体内分解性高分子を溶解しない疎水性溶媒を添加して生
体内分解性高分子を相分離させ、ポリペプチドホルモン
の水滴とともに固化させて固体のマイクロカプセルを得
る製造法に特徴をもつ。
モンを内水相に含有し、生体内分解性高分子を含有する
疎水性相中に分散・乳化し、さらにこの不連続相に該生
体内分解性高分子を溶解しない疎水性溶媒を添加して生
体内分解性高分子を相分離させ、ポリペプチドホルモン
の水滴とともに固化させて固体のマイクロカプセルを得
る製造法に特徴をもつ。
【0004】特開昭62−201816は、ポリペプチドホルモ
ンを含有する内水相と生体内分解性高分子を含有する疎
水性相とからなるエマルジョンを、水溶性高分子を含む
水溶液に分散し2重エマルジョンを作成する。この2重
エマルジョンから有機溶媒を揮発除去することで生体内
分解性高分子を固化させ固体のマイクロカプセルを製造
することに特徴をもつ。
ンを含有する内水相と生体内分解性高分子を含有する疎
水性相とからなるエマルジョンを、水溶性高分子を含む
水溶液に分散し2重エマルジョンを作成する。この2重
エマルジョンから有機溶媒を揮発除去することで生体内
分解性高分子を固化させ固体のマイクロカプセルを製造
することに特徴をもつ。
【0005】この2つの技術に共通する特徴は、ポリペ
プチドホルモンを水溶液の状態で生体内分解性高分子の
中に包摂し、この高分子を固化させた後に内部の水分を
除去するということにある。
プチドホルモンを水溶液の状態で生体内分解性高分子の
中に包摂し、この高分子を固化させた後に内部の水分を
除去するということにある。
【0006】特開平1−156912は、ポリペプチドホルモ
ンを混合有機溶媒か水溶液に懸濁、又は溶解し生体内分
解性高分子溶液中で乳化し、さらにこの不連続相を糖由
来の高分子を含む水溶液中でエマルジョンにする。そし
てこの不連続相から有機溶媒を除去することでポリペプ
チドホルモンと生体内分解性高分子、および糖由来の高
分子を含有する固体のマイクロカプセルを製造する工程
に特徴をもつものである。
ンを混合有機溶媒か水溶液に懸濁、又は溶解し生体内分
解性高分子溶液中で乳化し、さらにこの不連続相を糖由
来の高分子を含む水溶液中でエマルジョンにする。そし
てこの不連続相から有機溶媒を除去することでポリペプ
チドホルモンと生体内分解性高分子、および糖由来の高
分子を含有する固体のマイクロカプセルを製造する工程
に特徴をもつものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来技術にあっては、
徐放性制御目的で生体内分解性高分子にポリペプチドホ
ルモンを包摂させる場合、包摂率(高分子の添加量に対
する包摂量の割合)が一般に1重量%以下と低かった。
生体に投与されることからして、生理活性を持たない生
体内分解性高分子は放出制御機能維持上必要な限度に止
めるべきで、包摂率は10%前後が理想的である。
徐放性制御目的で生体内分解性高分子にポリペプチドホ
ルモンを包摂させる場合、包摂率(高分子の添加量に対
する包摂量の割合)が一般に1重量%以下と低かった。
生体に投与されることからして、生理活性を持たない生
体内分解性高分子は放出制御機能維持上必要な限度に止
めるべきで、包摂率は10%前後が理想的である。
【0008】特開昭62−201816では、2重エマルジョン
を水溶液中で乾燥させて包摂率を上げることを試み、黄
体形成ホルモン放出ホルモンのマイクロカプセル化に成
功した。しかし、包摂されるホルモンがまだ含水した状
態で高分子に包摂されるため、凍結乾燥等で内部の水分
を除去する際、生体内分解性高分子相の中にアクエアス
チャネル(水分通路)が形成される[岡田ら,粉体と工
業、Vol.22,No.11 ,1990]。アクエアスチャネルがで
きると、生理活性物質が特に生体内分解性高分子と親和
性が大きい場合を除き、投与後短期間に薬物が大部分こ
のチャネルを通じ放出されてしまう。また、特開平1−
156912記載の技術では、その製剤工程において薬物含有
液を水溶液中に添加・懸濁せしめるので、対象としては
水不溶性または難溶性のものが好ましく、水溶性ポリペ
プチドホルモンでは包摂率が上げられない。
を水溶液中で乾燥させて包摂率を上げることを試み、黄
体形成ホルモン放出ホルモンのマイクロカプセル化に成
功した。しかし、包摂されるホルモンがまだ含水した状
態で高分子に包摂されるため、凍結乾燥等で内部の水分
を除去する際、生体内分解性高分子相の中にアクエアス
チャネル(水分通路)が形成される[岡田ら,粉体と工
業、Vol.22,No.11 ,1990]。アクエアスチャネルがで
きると、生理活性物質が特に生体内分解性高分子と親和
性が大きい場合を除き、投与後短期間に薬物が大部分こ
のチャネルを通じ放出されてしまう。また、特開平1−
156912記載の技術では、その製剤工程において薬物含有
液を水溶液中に添加・懸濁せしめるので、対象としては
水不溶性または難溶性のものが好ましく、水溶性ポリペ
プチドホルモンでは包摂率が上げられない。
【0009】このように従来の技術では、特殊なポリペ
プチドの場合を除き、包摂率と投与初期の放出速度制御
に関する要求とを同時に満たすことは困難であった。
プチドの場合を除き、包摂率と投与初期の放出速度制御
に関する要求とを同時に満たすことは困難であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記課題につ
き鋭意検討し、種々の水溶性ポリペプチドホルモンにつ
いて、これらの水溶液を疎水性溶媒中で逆ミセル形態と
し、そこから水分を除去し、得られた粒子を生体内分解
性高分子溶液中に分散し、さらにこれから有機溶媒を除
去することで包摂率の高い水溶性ポリペプチドホルモン
の徐放性微小粒子状製剤が作成できることを見い出し
た。この方法で作成された徐放性微小粒子状製剤には、
有機溶媒除去時に生体内分解性高分子相に小さなポアが
生ずるものの、このときまでに水分は除去されている関
係で、アクエアスチャネルの場合のような初期過剰放出
の問題はない。
き鋭意検討し、種々の水溶性ポリペプチドホルモンにつ
いて、これらの水溶液を疎水性溶媒中で逆ミセル形態と
し、そこから水分を除去し、得られた粒子を生体内分解
性高分子溶液中に分散し、さらにこれから有機溶媒を除
去することで包摂率の高い水溶性ポリペプチドホルモン
の徐放性微小粒子状製剤が作成できることを見い出し
た。この方法で作成された徐放性微小粒子状製剤には、
有機溶媒除去時に生体内分解性高分子相に小さなポアが
生ずるものの、このときまでに水分は除去されている関
係で、アクエアスチャネルの場合のような初期過剰放出
の問題はない。
【0011】逆ミセルなる用語は界面活性剤について多
く用いられるものであり、一般には界面活性剤が有機溶
媒中で形成するミセルを指す。しかし、本発明の場合に
形成される逆ミセル状の粒子は、水溶性ポリペプチドホ
ルモンがその構成成分となっている。この種のポリペプ
チドは、分子鎖中に親水性アミノ酸残基を多く有する部
分と疎水性アミノ酸残基から主として成る部分とが並存
するが、本発明で利用するのは前者が内側となるような
形態に構成された粒子である。いうまでもなく、親水性
・疎水性の完全な区分は困難で相対的な概念ではある
が、このような逆ミセル形態をとることにより、粒子外
側での親水性アミノ酸残基の比率は減少し、それにより
疎水性媒体への親和性が増し、本来親水性であったポリ
ペプチドホルモンを疎水性媒体中に安定に分散すること
が可能となったものである。
く用いられるものであり、一般には界面活性剤が有機溶
媒中で形成するミセルを指す。しかし、本発明の場合に
形成される逆ミセル状の粒子は、水溶性ポリペプチドホ
ルモンがその構成成分となっている。この種のポリペプ
チドは、分子鎖中に親水性アミノ酸残基を多く有する部
分と疎水性アミノ酸残基から主として成る部分とが並存
するが、本発明で利用するのは前者が内側となるような
形態に構成された粒子である。いうまでもなく、親水性
・疎水性の完全な区分は困難で相対的な概念ではある
が、このような逆ミセル形態をとることにより、粒子外
側での親水性アミノ酸残基の比率は減少し、それにより
疎水性媒体への親和性が増し、本来親水性であったポリ
ペプチドホルモンを疎水性媒体中に安定に分散すること
が可能となったものである。
【0012】換言すれば、このような方法で作成された
マイクロカプセルが水溶性ポリペプチドホルモンを高い
比率で含有しているという事実は、逆ミセル形態をとっ
ている証明に他ならない。
マイクロカプセルが水溶性ポリペプチドホルモンを高い
比率で含有しているという事実は、逆ミセル形態をとっ
ている証明に他ならない。
【0013】なお、水溶性ポリペプチド水溶液を疎水性
媒体中で逆ミセル形態とする際に、その水溶液中に界面
活性剤を加えておくと、逆ミセル状粒子生成がより安定
となる。前述のように、疎水性媒体中では水溶性ポリペ
プチドホルモンが逆ミセル形態をとる傾向があるとこ
ろ、界面活性剤も疎水性媒体中では疎水性基を外側に、
親水性基を内側にした逆ミセルを形成するので、その親
水性基の部分と本来水溶性であるポリペプチドホルモン
との間に相互作用が生じ、ミセルの中心部分に水溶性ポ
リペプチドホルモンが可溶化されることがあり得る。こ
のようなものから脱水して得た粒子は、水溶性ポリペプ
チドホルモンと界面活性剤の両者から成る可能性があ
り、そのような粒子も本発明では「逆ミセル状の粒子」
に含めるものとする。
媒体中で逆ミセル形態とする際に、その水溶液中に界面
活性剤を加えておくと、逆ミセル状粒子生成がより安定
となる。前述のように、疎水性媒体中では水溶性ポリペ
プチドホルモンが逆ミセル形態をとる傾向があるとこ
ろ、界面活性剤も疎水性媒体中では疎水性基を外側に、
親水性基を内側にした逆ミセルを形成するので、その親
水性基の部分と本来水溶性であるポリペプチドホルモン
との間に相互作用が生じ、ミセルの中心部分に水溶性ポ
リペプチドホルモンが可溶化されることがあり得る。こ
のようなものから脱水して得た粒子は、水溶性ポリペプ
チドホルモンと界面活性剤の両者から成る可能性があ
り、そのような粒子も本発明では「逆ミセル状の粒子」
に含めるものとする。
【0014】本発明でマイクロカプセル状の徐放性微小
粒子状製剤とするに適する水溶性ポリペプチドホルモン
は、徐放性を付与した場合に薬効改善の期待できるもの
がよい。中でも、エリスロポエチン(特開昭60−50003
1)、白血球増殖因子G−CSF(特開昭61−50467
1)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(特開昭60−501
562)、ウナギカルシトニン、サケカルシトニン、ヒト
カルシトニン、インターフェロン(α,β,γ)インタ
ーロイキン(I,II, III,VI)などが挙げられる。
粒子状製剤とするに適する水溶性ポリペプチドホルモン
は、徐放性を付与した場合に薬効改善の期待できるもの
がよい。中でも、エリスロポエチン(特開昭60−50003
1)、白血球増殖因子G−CSF(特開昭61−50467
1)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(特開昭60−501
562)、ウナギカルシトニン、サケカルシトニン、ヒト
カルシトニン、インターフェロン(α,β,γ)インタ
ーロイキン(I,II, III,VI)などが挙げられる。
【0015】また、本発明で使用される生体内分解性高
分子とは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキ
シ酪酸等の単独重合体、又はこれらの構成単位の2種以
上のものを含む共重合体がある。これらの高分子の種
類、共重合体の比率および分子量は作成されるマイクロ
カプセルの使用用途等によって決定される。例えば皮下
投与か筋肉内投与を目的とする際には、生体内分解性高
分子としてポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体が最
も適し、共重合比率は高分子全重量に対してのポリ乳酸
の比率が50%から80%のものが適し、その分子量は2000
から30000 のものが良い。
分子とは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキ
シ酪酸等の単独重合体、又はこれらの構成単位の2種以
上のものを含む共重合体がある。これらの高分子の種
類、共重合体の比率および分子量は作成されるマイクロ
カプセルの使用用途等によって決定される。例えば皮下
投与か筋肉内投与を目的とする際には、生体内分解性高
分子としてポリ乳酸とポリグリコール酸の共重合体が最
も適し、共重合比率は高分子全重量に対してのポリ乳酸
の比率が50%から80%のものが適し、その分子量は2000
から30000 のものが良い。
【0016】本発明による徐放性微小粒子状製剤の作成
法は、まず水溶性ポリペプチドホルモンを含有する逆ミ
セル状の粒子を作成する工程から始まる。そこでは望ま
しくは親水性界面活性剤を含む水溶液にカプセル化しよ
うとする水溶性ポリペプチドホルモンを溶解する。親水
性界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリ
ウムなどのアルキル硫酸塩等のアニオン活性剤;ポリオ
キシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レングリセリンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ソルビットモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビットジ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル等の非イオン活性剤が使用できる。これらの界面活
性剤はポリペプチド溶液の逆ミセルを疎水性溶媒中で安
定に保つ作用がある。界面活性剤の濃度はこの目的が達
成できるよう決定されるべきであるが、例えば約0.01%
から10%前後、好ましくは0.1 %から5%の範囲で使用
されるのが良い。また、2種類以上の界面活性剤を組み
合わせて使用することもできる。また水溶性ポリペプチ
ドホルモンを含有する粒子を作成する際、ペプチド安定
化の目的でゼラチン、アルブミン、コラーゲン、レシチ
ン等の生体由来高分子を賦形剤としてペプチドの溶液に
含有させることができる。賦形剤の濃度は0.5 %から50
%、好ましくは1%から10%の範囲で使用するのが良
い。このように得た水溶性ポリペプチドホルモンの水溶
液を、次に比較的多量の疎水性(水に混和しない)溶媒
に分散し、超音波攪拌等により逆ミセル状のエマルジョ
ンにする。ここで使用される疎水性溶媒には、例えば塩
化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエンなどやオレイン酸等の室温で液
状の脂肪酸が使用できる。この疎水性溶媒には逆ミセル
の安定化のために、親油性の界面活性剤を添加できる。
親油性界面活性剤としては、例えばソルビタンモノ脂肪
酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、グリセリン
モノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、レ
シチン等が用いられる。
法は、まず水溶性ポリペプチドホルモンを含有する逆ミ
セル状の粒子を作成する工程から始まる。そこでは望ま
しくは親水性界面活性剤を含む水溶液にカプセル化しよ
うとする水溶性ポリペプチドホルモンを溶解する。親水
性界面活性剤としては、例えばラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリル硫酸ナトリ
ウムなどのアルキル硫酸塩等のアニオン活性剤;ポリオ
キシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、ポリオキ
シエチレンソルビタンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレングリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチ
レングリセリンジ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ソルビットモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビットジ脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エス
テル等の非イオン活性剤が使用できる。これらの界面活
性剤はポリペプチド溶液の逆ミセルを疎水性溶媒中で安
定に保つ作用がある。界面活性剤の濃度はこの目的が達
成できるよう決定されるべきであるが、例えば約0.01%
から10%前後、好ましくは0.1 %から5%の範囲で使用
されるのが良い。また、2種類以上の界面活性剤を組み
合わせて使用することもできる。また水溶性ポリペプチ
ドホルモンを含有する粒子を作成する際、ペプチド安定
化の目的でゼラチン、アルブミン、コラーゲン、レシチ
ン等の生体由来高分子を賦形剤としてペプチドの溶液に
含有させることができる。賦形剤の濃度は0.5 %から50
%、好ましくは1%から10%の範囲で使用するのが良
い。このように得た水溶性ポリペプチドホルモンの水溶
液を、次に比較的多量の疎水性(水に混和しない)溶媒
に分散し、超音波攪拌等により逆ミセル状のエマルジョ
ンにする。ここで使用される疎水性溶媒には、例えば塩
化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、シクロヘキサ
ン、ベンゼン、トルエンなどやオレイン酸等の室温で液
状の脂肪酸が使用できる。この疎水性溶媒には逆ミセル
の安定化のために、親油性の界面活性剤を添加できる。
親油性界面活性剤としては、例えばソルビタンモノ脂肪
酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、グリセリン
モノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、レ
シチン等が用いられる。
【0017】溶媒中に逆ミセル状に分散された水溶性ポ
リペプチドホルモンは、次のステップで脱水されて固形
粒子の状態になる。即ち、逆ミセル形態粒子を含有する
溶液を水とその疎水性溶媒の両方に混和性のある第3の
溶媒に添加するか、あるいは第3の溶媒を逆ミセルの溶
液に添加することで、逆ミセル形態粒子に含まれている
水分を第3の溶媒に抽出する。これにより、逆ミセル状
水溶性ポリペプチドホルモンは、固体状の粒子として回
収される。使用される第3の溶媒には、たとえばメタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、ブタノール等の
アルコール類やアセトニトリルなどが適切である。ま
た、逆ミセル形態の溶液を脱水する際、急激な水分除去
により逆ミセル同志が相互に凝集するおそれのある場合
は、逆ミセル溶液を形成している疎水性溶媒と第3の溶
媒との両者に混和する溶媒をさらに使用することが効果
的な場合もある。このようにして得られる逆ミセル状の
粒子は、遠心分離等で回収されるか、そのまま生体内分
解性高分子に包摂される。
リペプチドホルモンは、次のステップで脱水されて固形
粒子の状態になる。即ち、逆ミセル形態粒子を含有する
溶液を水とその疎水性溶媒の両方に混和性のある第3の
溶媒に添加するか、あるいは第3の溶媒を逆ミセルの溶
液に添加することで、逆ミセル形態粒子に含まれている
水分を第3の溶媒に抽出する。これにより、逆ミセル状
水溶性ポリペプチドホルモンは、固体状の粒子として回
収される。使用される第3の溶媒には、たとえばメタノ
ール、エタノール、n−プロパノール、ブタノール等の
アルコール類やアセトニトリルなどが適切である。ま
た、逆ミセル形態の溶液を脱水する際、急激な水分除去
により逆ミセル同志が相互に凝集するおそれのある場合
は、逆ミセル溶液を形成している疎水性溶媒と第3の溶
媒との両者に混和する溶媒をさらに使用することが効果
的な場合もある。このようにして得られる逆ミセル状の
粒子は、遠心分離等で回収されるか、そのまま生体内分
解性高分子に包摂される。
【0018】遠心分離等で回収された逆ミセル状粒子
は、包摂させようとする生体内分解性高分子と共にその
高分子を溶解する疎水性溶媒に分散される。使用される
疎水性溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、アセト
ニトリル、クロロエタン、シクロヘキサン、トルエン、
ヘキサフルオロアセトンセスキハイドレート、酢酸エチ
ル等がある。逆ミセル溶液を形成する溶媒が上述の溶媒
自身である場合には、遠心分離等の回収操作を省略し、
該逆ミセル溶液に直接高分子を溶かし込むことができ
る。有機溶媒中の生体内分解性高分子の濃度は、1%か
ら75%の範囲で可能である。
は、包摂させようとする生体内分解性高分子と共にその
高分子を溶解する疎水性溶媒に分散される。使用される
疎水性溶媒には、塩化メチレン、クロロホルム、アセト
ニトリル、クロロエタン、シクロヘキサン、トルエン、
ヘキサフルオロアセトンセスキハイドレート、酢酸エチ
ル等がある。逆ミセル溶液を形成する溶媒が上述の溶媒
自身である場合には、遠心分離等の回収操作を省略し、
該逆ミセル溶液に直接高分子を溶かし込むことができ
る。有機溶媒中の生体内分解性高分子の濃度は、1%か
ら75%の範囲で可能である。
【0019】生体内分解性高分子と逆ミセル状粒子とし
た水溶性ポリペプチドホルモンとを分散した混合溶液
は、望ましくは水溶性高分子を溶解した水溶液中でエマ
ルジョンを形成する際に球形となり、この状態から有機
溶媒を揮発除去すると、生体内分解性高分子と水溶性ポ
リペプチドホルモンを含有するマイクロカプセル状の徐
放性微小粒子が得られる。前記水溶性高分子は水溶液中
でのエマルジョンの安定化目的で添加されるものであ
り、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセ
ルロース、デキストラン、デキストリン、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリ
メタアクリル酸、アラビアゴム、ペクチン、アルギン酸
ナトリウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
これら高分子の水溶液中での濃度は0.01%から10%、好
ましくは0.1 %から5%の範囲で使用するのがよい。
た水溶性ポリペプチドホルモンとを分散した混合溶液
は、望ましくは水溶性高分子を溶解した水溶液中でエマ
ルジョンを形成する際に球形となり、この状態から有機
溶媒を揮発除去すると、生体内分解性高分子と水溶性ポ
リペプチドホルモンを含有するマイクロカプセル状の徐
放性微小粒子が得られる。前記水溶性高分子は水溶液中
でのエマルジョンの安定化目的で添加されるものであ
り、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセ
ルロース、デキストラン、デキストリン、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルエーテル、ポリアクリル酸、ポリ
メタアクリル酸、アラビアゴム、ペクチン、アルギン酸
ナトリウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
これら高分子の水溶液中での濃度は0.01%から10%、好
ましくは0.1 %から5%の範囲で使用するのがよい。
【0020】このようにして固体のマイクロカプセル状
に作成された生体内分解性高分子と水溶性ポリペプチド
ホルモンとから成る微小粒子は、その分散液から遠心分
離等により分離され、蒸留水で数回洗浄して水溶性高分
子を除去した後、凍結乾燥法により乾燥粉体として回収
される。
に作成された生体内分解性高分子と水溶性ポリペプチド
ホルモンとから成る微小粒子は、その分散液から遠心分
離等により分離され、蒸留水で数回洗浄して水溶性高分
子を除去した後、凍結乾燥法により乾燥粉体として回収
される。
【0021】本発明に係る徐放性微小粒子製剤は、皮下
投与型徐放性製剤、筋肉内投与型徐放性製剤、徐放性埋
込み製剤、経口徐放性製剤等に応用可能である。また、
皮下投与または筋肉内投与に適用する場合は、単独で又
は賦形剤を加えて、前記微小粒子を粉末製剤又は凍結乾
燥製剤にして処方可能である。
投与型徐放性製剤、筋肉内投与型徐放性製剤、徐放性埋
込み製剤、経口徐放性製剤等に応用可能である。また、
皮下投与または筋肉内投与に適用する場合は、単独で又
は賦形剤を加えて、前記微小粒子を粉末製剤又は凍結乾
燥製剤にして処方可能である。
【0022】この徐放性微小粒子製剤に処方される水溶
性ポリペプチドホルモンの量は、エリスロポエチンの場
合を例とすると、一回投与量が10IUから200000IU、
好ましくは1000IUから100000IUの範囲で投与される
べきである。またG−CSFの場合は一回の投与量は、
1μgから5mg、好ましくは10μgから3mgの範囲がよ
い。
性ポリペプチドホルモンの量は、エリスロポエチンの場
合を例とすると、一回投与量が10IUから200000IU、
好ましくは1000IUから100000IUの範囲で投与される
べきである。またG−CSFの場合は一回の投与量は、
1μgから5mg、好ましくは10μgから3mgの範囲がよ
い。
【0023】
【実施例】実施例1 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween
80)を0.5 %含む 500μlの水に、エリスロポエチン50
mgを溶解した。これを10mlのオレイン酸に配合し、超音
波攪拌機で攪拌し逆ミセル溶液を作成した。この逆ミセ
ル溶液を400 mlのエチルアルコールに攪拌しながら少し
ずつ添加した。さらにこの溶液を3000rpmで遠心分離
し、固化したミセルを回収した。顕微鏡で観察すると、
この回収された粒子の最大粒径は2μmであった。この
操作でエリスロポエチンは90%が逆ミセル状粒子として
回収された。この逆ミセル状粒子を500 μlの塩化メチ
レンに分散した。この分散液にポリ乳酸とポリグリコー
ル酸の割合が75対25の共重合体(分子量約5000)を450
mg添加して溶解した。この混合溶液を0.5 %のポリビニ
ルアルコールを含む水溶液200 mlにポリトロンホモジナ
イザー(キネマティカ社、攪拌羽typePTK7K1)で
攪拌しながら添加してエマルジョン溶液を得た。このエ
マルジョン溶液を40℃で攪拌し有機溶媒を除去し、さら
に凍結乾燥により外相の水溶液の水分を揮発させエマル
ジョン粒子を固体として回収した。さらに回収した粒子
を蒸留水で洗浄し、残存したポリビニルアルコールを除
き再度凍結乾燥を行い、マイクロカプセルを得た。作成
されたマイクロカプセルは、その最大のものは粒子径が
100 μmの球形のカプセルであることが顕微鏡観察から
わかった。
80)を0.5 %含む 500μlの水に、エリスロポエチン50
mgを溶解した。これを10mlのオレイン酸に配合し、超音
波攪拌機で攪拌し逆ミセル溶液を作成した。この逆ミセ
ル溶液を400 mlのエチルアルコールに攪拌しながら少し
ずつ添加した。さらにこの溶液を3000rpmで遠心分離
し、固化したミセルを回収した。顕微鏡で観察すると、
この回収された粒子の最大粒径は2μmであった。この
操作でエリスロポエチンは90%が逆ミセル状粒子として
回収された。この逆ミセル状粒子を500 μlの塩化メチ
レンに分散した。この分散液にポリ乳酸とポリグリコー
ル酸の割合が75対25の共重合体(分子量約5000)を450
mg添加して溶解した。この混合溶液を0.5 %のポリビニ
ルアルコールを含む水溶液200 mlにポリトロンホモジナ
イザー(キネマティカ社、攪拌羽typePTK7K1)で
攪拌しながら添加してエマルジョン溶液を得た。このエ
マルジョン溶液を40℃で攪拌し有機溶媒を除去し、さら
に凍結乾燥により外相の水溶液の水分を揮発させエマル
ジョン粒子を固体として回収した。さらに回収した粒子
を蒸留水で洗浄し、残存したポリビニルアルコールを除
き再度凍結乾燥を行い、マイクロカプセルを得た。作成
されたマイクロカプセルは、その最大のものは粒子径が
100 μmの球形のカプセルであることが顕微鏡観察から
わかった。
【0024】実施例2 300 μlのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエー
ト(Tween 80)を含む5%ゼラチン溶液に、エリスロポ
エチン30mgを溶解した。ソルビタンモノオレエート(Sp
an80)を5%含む10mlの塩化メチレンにこれを分散し、
超音波攪拌機で攪拌し逆ミセル溶液を得、これをエタノ
ール200 mlに攪拌しながら添加した。この逆ミセル溶液
から遠心分離によって固化したミセル状粒子を回収し
た。回収された逆ミセル粒子は最大粒径が5μmで、エ
リスロポエチンはその85%が回収されていた。この逆ミ
セル状粒子を300 μlの塩化メチレンに分散した。この
分散液に、ポリ乳酸とポリグリコール酸の比率が50対50
である共重合体(分子量約 10000)を270 mg溶解した。
この混合溶液から実施例1と同様にして200 mlの3%デ
キストラン溶液中でエマルジョンを作成し、凍結乾燥に
よって微小粒子を回収した。このものは、最大粒径100
μmの球形マイクロカプセルであることがわかった。
ト(Tween 80)を含む5%ゼラチン溶液に、エリスロポ
エチン30mgを溶解した。ソルビタンモノオレエート(Sp
an80)を5%含む10mlの塩化メチレンにこれを分散し、
超音波攪拌機で攪拌し逆ミセル溶液を得、これをエタノ
ール200 mlに攪拌しながら添加した。この逆ミセル溶液
から遠心分離によって固化したミセル状粒子を回収し
た。回収された逆ミセル粒子は最大粒径が5μmで、エ
リスロポエチンはその85%が回収されていた。この逆ミ
セル状粒子を300 μlの塩化メチレンに分散した。この
分散液に、ポリ乳酸とポリグリコール酸の比率が50対50
である共重合体(分子量約 10000)を270 mg溶解した。
この混合溶液から実施例1と同様にして200 mlの3%デ
キストラン溶液中でエマルジョンを作成し、凍結乾燥に
よって微小粒子を回収した。このものは、最大粒径100
μmの球形マイクロカプセルであることがわかった。
【0025】実施例3 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween
80)を0.5 %含む300μlの3%ゼラチン水溶液に、エ
リスロポエチン50mgを溶解した。これを0.5 %レシチン
を含む6mlの塩化メチレンに分散し、超音波攪拌機で攪
拌し逆ミセル溶液とした。この逆ミセル溶液に2mlのn
−プロパノールを添加し、逆ミセルの中から水分を除去
した。ポリ乳酸とポリグリコール酸との割合が75対25の
共重合体(分子量約10000 )450 mgを、この分散液に添
加して溶解した。0.5 %のポリビニルアルコールを含む
水溶液200 mlに、ポリトロンで攪拌しながらこの混合溶
液を添加してエマルジョン溶液を得た。これを室温で2
時間攪拌して有機溶媒を揮発させた後、凍結乾燥により
外相の水分を除去した。さらに回収した粒子を蒸留水で
洗浄し、残存したポリビニルアルコールを除き再度凍結
乾燥により水分を除去した。作成された微小粒子は、最
大粒径100 μmの球形のカプセルであることが顕微鏡観
察から確認された。
80)を0.5 %含む300μlの3%ゼラチン水溶液に、エ
リスロポエチン50mgを溶解した。これを0.5 %レシチン
を含む6mlの塩化メチレンに分散し、超音波攪拌機で攪
拌し逆ミセル溶液とした。この逆ミセル溶液に2mlのn
−プロパノールを添加し、逆ミセルの中から水分を除去
した。ポリ乳酸とポリグリコール酸との割合が75対25の
共重合体(分子量約10000 )450 mgを、この分散液に添
加して溶解した。0.5 %のポリビニルアルコールを含む
水溶液200 mlに、ポリトロンで攪拌しながらこの混合溶
液を添加してエマルジョン溶液を得た。これを室温で2
時間攪拌して有機溶媒を揮発させた後、凍結乾燥により
外相の水分を除去した。さらに回収した粒子を蒸留水で
洗浄し、残存したポリビニルアルコールを除き再度凍結
乾燥により水分を除去した。作成された微小粒子は、最
大粒径100 μmの球形のカプセルであることが顕微鏡観
察から確認された。
【0026】実施例4 実施例2と同様にして、エリスロポエチンを含有する逆
ミセル状粒子を作成した。この粒子を300 μlの塩化メ
チレンに分散し、これにポリ乳酸とポリグリコール酸と
の比率が50対50である共重合体(分子量約 10000)を添
加し溶解した。アルギン酸ナトリウム0.2 %と分子量が
6000のポリエチレングリコールを0.5 %含む水溶液200
mlに、このポリマー溶液を分散し、ポリトロンでエマル
ジョン化した。エマルジョン溶液から凍結乾燥により水
分を除去した。固化した微小粒子を蒸留水で洗浄した
後、遠心分離により回収しさらに凍結乾燥して再び微小
粒子を回収した。最大100 μmの球形カプセルが得られ
た。
ミセル状粒子を作成した。この粒子を300 μlの塩化メ
チレンに分散し、これにポリ乳酸とポリグリコール酸と
の比率が50対50である共重合体(分子量約 10000)を添
加し溶解した。アルギン酸ナトリウム0.2 %と分子量が
6000のポリエチレングリコールを0.5 %含む水溶液200
mlに、このポリマー溶液を分散し、ポリトロンでエマル
ジョン化した。エマルジョン溶液から凍結乾燥により水
分を除去した。固化した微小粒子を蒸留水で洗浄した
後、遠心分離により回収しさらに凍結乾燥して再び微小
粒子を回収した。最大100 μmの球形カプセルが得られ
た。
【0027】実施例5 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween
80)を0.5 %含む水溶液1mlに、G−CSF50mgを溶解
した。これを10mlのオレイン酸に分散し、超音波攪拌機
で攪拌し逆ミセル溶液とした。このものを200 mlのエタ
ノールに少しずつ攪拌しながら添加した。さらに溶液を
遠心分離して、固化した逆ミセル状粒子と溶媒とを分離
し、前者を回収した。この操作でG−CSFの約95%が
逆ミセル状粒子として回収された。この粒子を500 μl
の塩化メチレンに分散し、ポリ乳酸とポリグリコール酸
との比率が75対25の共重合体(分子量約5000)450 mgを
添加して溶解した。0.5 %のポリビニルアルコールを含
む水溶液200 mlにこの混合溶液をポリトロンで攪拌しな
がら添加し、エマルジョンを作成した。エマルジョン溶
液を40℃で攪拌して有機溶媒を一部除いた後、凍結乾燥
して水分と有機溶媒を除いた。回収された微小粒子は蒸
留水で洗浄しポリビニルアルコールを除いた後、さらに
凍結乾燥で脱水し再度微小粒子を回収した。回収された
ものは、最大粒径100 μmの球形の微小粒子であった。
80)を0.5 %含む水溶液1mlに、G−CSF50mgを溶解
した。これを10mlのオレイン酸に分散し、超音波攪拌機
で攪拌し逆ミセル溶液とした。このものを200 mlのエタ
ノールに少しずつ攪拌しながら添加した。さらに溶液を
遠心分離して、固化した逆ミセル状粒子と溶媒とを分離
し、前者を回収した。この操作でG−CSFの約95%が
逆ミセル状粒子として回収された。この粒子を500 μl
の塩化メチレンに分散し、ポリ乳酸とポリグリコール酸
との比率が75対25の共重合体(分子量約5000)450 mgを
添加して溶解した。0.5 %のポリビニルアルコールを含
む水溶液200 mlにこの混合溶液をポリトロンで攪拌しな
がら添加し、エマルジョンを作成した。エマルジョン溶
液を40℃で攪拌して有機溶媒を一部除いた後、凍結乾燥
して水分と有機溶媒を除いた。回収された微小粒子は蒸
留水で洗浄しポリビニルアルコールを除いた後、さらに
凍結乾燥で脱水し再度微小粒子を回収した。回収された
ものは、最大粒径100 μmの球形の微小粒子であった。
【0028】実施例6 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを0.5 %
含む300 μlの5%ゼラチン水溶液に、G−CSF30mg
を溶解した。これを6mlの塩化メチレンに分散し、超音
波攪拌機で攪拌して逆ミセル溶液とした。これをさらに
20mlの塩化メチレンに分散して、180 mlのエタノールに
攪拌しながら添加した。ミセル溶液から固化したミセル
を遠心分離によって回収した。得られたミセル粒子に
は、使用したG−CSFの92%が含まれていた。このミ
セル粒子を300 μlの塩化メチレンに分散した。ポリ乳
酸とポリグリコール酸の比率が50対50である共重合体
(分子量約10000 )270 mgを、この分散液に添加して溶
解した。アルギン酸ナトリウム0.2 %を含む分子量6000
のポリエチレングリコールの1%水溶液200 mlに、混合
溶液を添加してポリトロンホモジナイザーで攪拌し、エ
マルジョンを得た。このエマルジョンから凍結乾燥によ
り水分と溶媒を除き、マイクロカプセル状微小粒子を得
た。回収された微小粒子は最大粒径100 μmの球形であ
った。
含む300 μlの5%ゼラチン水溶液に、G−CSF30mg
を溶解した。これを6mlの塩化メチレンに分散し、超音
波攪拌機で攪拌して逆ミセル溶液とした。これをさらに
20mlの塩化メチレンに分散して、180 mlのエタノールに
攪拌しながら添加した。ミセル溶液から固化したミセル
を遠心分離によって回収した。得られたミセル粒子に
は、使用したG−CSFの92%が含まれていた。このミ
セル粒子を300 μlの塩化メチレンに分散した。ポリ乳
酸とポリグリコール酸の比率が50対50である共重合体
(分子量約10000 )270 mgを、この分散液に添加して溶
解した。アルギン酸ナトリウム0.2 %を含む分子量6000
のポリエチレングリコールの1%水溶液200 mlに、混合
溶液を添加してポリトロンホモジナイザーで攪拌し、エ
マルジョンを得た。このエマルジョンから凍結乾燥によ
り水分と溶媒を除き、マイクロカプセル状微小粒子を得
た。回収された微小粒子は最大粒径100 μmの球形であ
った。
【0029】実施例7 ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween
80)0.5 %を含むゼラチン5%水溶液50μlに、ウナギ
カルシトニン10mgを溶解した。混合溶液を5mlのオレイ
ン酸に分散し、超音波攪拌機で攪拌しミセル状とした。
ミセル溶液を、エタノール200 mlに攪拌しながら添加し
た。遠心分離により固化したミセル微小粒子と溶媒を分
離し、前者を回収した。回収されたミセル微小粒子は最
大粒径が2μmであった。ミセル粒子を100 μlの塩化
メチレンに分散し、ポリ乳酸とポリグリコール酸の比率
が75対25の共重合体(分子量約5000)90mgをこの分散液
に添加して溶解した。0.5 %のポリビニルアルコール水
溶液200 mlに、混合液をポリトロンで攪拌しながら添加
してエマルジョン溶液を得た。このエマルジョン溶液を
さらに攪拌し、有機溶媒を揮発させて固体の微小粒子を
得た。製造されたものは、最大粒径100 μmの球形であ
った。
80)0.5 %を含むゼラチン5%水溶液50μlに、ウナギ
カルシトニン10mgを溶解した。混合溶液を5mlのオレイ
ン酸に分散し、超音波攪拌機で攪拌しミセル状とした。
ミセル溶液を、エタノール200 mlに攪拌しながら添加し
た。遠心分離により固化したミセル微小粒子と溶媒を分
離し、前者を回収した。回収されたミセル微小粒子は最
大粒径が2μmであった。ミセル粒子を100 μlの塩化
メチレンに分散し、ポリ乳酸とポリグリコール酸の比率
が75対25の共重合体(分子量約5000)90mgをこの分散液
に添加して溶解した。0.5 %のポリビニルアルコール水
溶液200 mlに、混合液をポリトロンで攪拌しながら添加
してエマルジョン溶液を得た。このエマルジョン溶液を
さらに攪拌し、有機溶媒を揮発させて固体の微小粒子を
得た。製造されたものは、最大粒径100 μmの球形であ
った。
【0030】実験例1 各実施例で作成したマイクロカプセルから、水溶性ポリ
ペプチドホルモンがエリスロポエチンとウナギカルシト
ニンの場合は40%アセトニトリル、0.1 %トリフルオロ
酢酸で抽出し、G−CSFのマイクロカプセルについて
は60%アセトニトリル、0.1 %トリフルオロ酢酸で抽出
し、それぞれの含有量をHPLCにより測定した。
ペプチドホルモンがエリスロポエチンとウナギカルシト
ニンの場合は40%アセトニトリル、0.1 %トリフルオロ
酢酸で抽出し、G−CSFのマイクロカプセルについて
は60%アセトニトリル、0.1 %トリフルオロ酢酸で抽出
し、それぞれの含有量をHPLCにより測定した。
【0031】対照として、実施例3の方法でエリスロポ
エチンのカプセルを作成する際、逆ミセル状粒子からの
脱水操作としてのn−プロパノールを添加せず、生体内
分解性高分子を固化させてから凍結乾燥したものについ
て、包摂率を測定した。
エチンのカプセルを作成する際、逆ミセル状粒子からの
脱水操作としてのn−プロパノールを添加せず、生体内
分解性高分子を固化させてから凍結乾燥したものについ
て、包摂率を測定した。
【0032】
【表1】
【0033】実験例2 各実施例の方法で作成したマイクロカプセルを、生理的
蒸留水で24時間、37℃でインキュベートし、初期に放出
されてしまうペプチドの量をHPLCで測定した。対照
試料は実験例1でのそれと同じである。
蒸留水で24時間、37℃でインキュベートし、初期に放出
されてしまうペプチドの量をHPLCで測定した。対照
試料は実験例1でのそれと同じである。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明により微小粒子を作成すると、水
溶性ポリペプチドホルモンは逆ミセル状粒子として生体
内分解性高分子に包摂される。実験例の対照のように水
溶性ポリペプチドホルモンを水溶液のまま包摂させる
と、包摂率はあまり上げられず、また乾燥脱水工程で水
分の通路ができるため、この通路から生理活性物質の放
出が起こり、投与初期にかなりの水溶性ポリペプチドホ
ルモンが放出されてしまう。本発明では、実験例に示し
たように対照試料よりも包摂率を上げることができ、ま
た初期の間の放出量も抑えることができた。
溶性ポリペプチドホルモンは逆ミセル状粒子として生体
内分解性高分子に包摂される。実験例の対照のように水
溶性ポリペプチドホルモンを水溶液のまま包摂させる
と、包摂率はあまり上げられず、また乾燥脱水工程で水
分の通路ができるため、この通路から生理活性物質の放
出が起こり、投与初期にかなりの水溶性ポリペプチドホ
ルモンが放出されてしまう。本発明では、実験例に示し
たように対照試料よりも包摂率を上げることができ、ま
た初期の間の放出量も抑えることができた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/44 B 7433−4C
Claims (5)
- 【請求項1】 1種又は2種以上の水溶性ポリペプチド
ホルモンを逆ミセル状の粒子として含有し、これに生体
内分解性高分子物質を配合してなる徐放性微小粒子状製
剤。 - 【請求項2】 水溶性ポリペプチドホルモンがエリスロ
ポエチン、G−CSF、カルシトニン、インターフェロ
ン又はインターロイキンである請求項1に記載の徐放性
微小粒子状製剤。 - 【請求項3】 アルブミン、ゼラチン、コラーゲン、レ
シチン等の生体由来高分子を賦形剤としてさらに含む請
求項1又は2に記載の徐放性微小粒子状製剤。 - 【請求項4】 生体内分解性高分子物質がポリ乳酸、ポ
リグリコール酸若しくはポリヒドロキシ酪酸のいずれ
か、又はこれらの2種以上を成分とする共重合体である
請求項1乃至3のいずれかに記載の徐放性微小粒子状製
剤。 - 【請求項5】 水溶性ポリペプチドホルモンを含む徐放
性微小粒子状製剤の製造法であって、 (1) 水溶性ポリペプチドホルモンを逆ミセル形態とし、
これを実質的に水分を含まない粒子とする工程、 (2) この粒子及び生体内分解性高分子物質を有機溶媒に
配合し、混合液を水性媒体に加えて乳化し、次いで有機
溶媒を除去して微小粒子を得る工程、及び (3) 微小粒子を回収し、凍結乾燥する工程 とから成る製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4005987A JPH05194253A (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | 水溶性ポリペプチドホルモンを含む徐放性微小粒子状製剤及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4005987A JPH05194253A (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | 水溶性ポリペプチドホルモンを含む徐放性微小粒子状製剤及びその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05194253A true JPH05194253A (ja) | 1993-08-03 |
Family
ID=11626154
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4005987A Pending JPH05194253A (ja) | 1992-01-16 | 1992-01-16 | 水溶性ポリペプチドホルモンを含む徐放性微小粒子状製剤及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05194253A (ja) |
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---|---|---|---|---|
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US6183781B1 (en) | 1996-05-14 | 2001-02-06 | Alkermes Controlled Therapeutics, Inc. | Method for fabricating polymer-based controlled-release devices |
JP2007526287A (ja) * | 2004-03-03 | 2007-09-13 | エティファルム | 分級された生分解性微小球を調製するための方法 |
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-
1992
- 1992-01-16 JP JP4005987A patent/JPH05194253A/ja active Pending
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