JP2910454B2 - コードレスアイロン - Google Patents

コードレスアイロン

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JP2910454B2
JP2910454B2 JP29106492A JP29106492A JP2910454B2 JP 2910454 B2 JP2910454 B2 JP 2910454B2 JP 29106492 A JP29106492 A JP 29106492A JP 29106492 A JP29106492 A JP 29106492A JP 2910454 B2 JP2910454 B2 JP 2910454B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アイロンベースの温度
を表示するコードレスアイロンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ヒータを内蔵するアイロン本体と
このアイロン本体を載置するスタンド部とで構成し、ア
イロン本体をスタンド部に載置している間にアイロン本
体のヒータにスタンド部から電力を供給して加熱するコ
ードレスアイロンが主流となってきている。
【0003】従来、この種のコードレスアイロンは図7
および図8に示すように構成していた。以下、その構成
について説明する。
【0004】図に示すように、アイロン本体101は、
アイロンベース102を加熱するヒータ103と、アイ
ロンベース102の温度を検知する温度検知部104
と、ヒータ103にスタンド部105からの電力を供給
する第1電極106と、スタンド部105に載置時に温
度検知部104の出力をスタンド部105に伝送する第
1信号電極107とを設けており、このアイロン本体1
01をスタンド部105に載置するようにしている。
【0005】スタンド部105は、アイロン本体101
の第1信号電極107と接続する第2信号電極108
と、温度検知部104からの温度信号を処理し表示部1
09を駆動する温度信号処理部110と、アイロンベー
ス102の温度を可変または設定する温度設定部111
と、温度信号処理部110の出力によりアイロン本体1
01のヒータ103を制御するヒータ制御部112と、
ヒータ制御部112によりヒータ103に電力を供給す
る第2電極113とを設け、表示部109は発光ダイオ
ードで構成している。
【0006】上記構成において動作を説明すると、使用
者がアイロン本体101をスタンド部105に載置し、
温度設定部111により必要な温度設定を行うと、スタ
ンド部105から第2電極113、第1電極106を介
してヒータ103に電力が供給される。温度検知部10
4はアイロンベース102の温度を検知し、第1信号電
極107、第2信号電極108を介して温度信号処理部
110にこの温度情報を伝送する。
【0007】温度信号処理部110は、温度検知部10
4からの温度情報と使用者により設定された温度とを比
較し、アイロンベース102の温度が設定温度に達する
までヒータ制御部112によりヒータ103を加熱す
る。そして、表示部109によりアイロンベース102
の温度を表示する。
【0008】こうしてアイロンベース102の温度が設
定温度に到達すると、使用者はアイロン本体101をス
タンド部105より離脱してアイロン掛け作業を行う。
また、アイロン掛け作業の途中でアイロン掛けをしてい
る衣類を裁くときなど、一時的にアイロン本体101を
スタンド部105に載置すると、温度検知部104から
の温度情報が温度信号処理部110に伝達され、温度信
号処理部110が作用してヒータ103への通電を行っ
て低下したアイロンベース102の温度を再び設定温度
に上昇させる。このようにしてアイロンベース102の
温度を設定温度に維持するように制御していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな構成のものでは、表示部によりアイロンベースの温
度を表示できるのは、アイロン本体がスタンド部に載置
されているときだけであり、アイロン掛け作業をしてい
るときには、温度が表示できないため後どのくらいの時
間使用できるかが分からず取扱上不便であるという問題
を有していた。
【0010】また、アイロン本体に表示部を設け、離脱
時であっても電池などで温度検知部の出力により直接表
示部を駆動するものがあるが、アイロン本体では温度が
高く、表示部を実装できる場所が限られており、表示部
が小さくなって見えにくく、十分な表示ができないとい
う問題も有していた。
【0011】そこで、本発明はアイロン本体がスタンド
部より離脱されているときでも、アイロンベースの温度
を推定し表示可能なコードレスアイロンを得ることを第
1の目的としている。第2の目的は、簡単な処理でアイ
ロンベースの温度を推定することである。第3の目的
は、使用者のアイロン掛けパターンに応じてアイロン離
脱時のベース温度を推定できるようにすることである。
第4の目的は温度勾配データ変更部がノイズ等で誤動作
しても実際のアイロンベース温度と推論する温度が大幅
にずれてしまうことを防ぐことである。第5の目的は表
示温度の推定精度を向上させることである。第6の目的
は、使い始めや温度設定変更時においてもすばやく追従
して離脱時のベース温度を推論できるようにすることで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そして、上記第1の目的
を達成するために本発明のコードレスアイロンは、アイ
ロンベースを加熱するヒータ、前記アイロンベースの温
度を検知する温度検知部、前記温度検知部の出力を入力
し温度信号を発生する温度信号発生部とを有するアイロ
ン本体と、前記アイロン本体のヒータを制御するヒータ
制御部、前記アイロン本体の温度信号発生部からの信号
を検知する温度信号検知部、前記温度信号検知部の出力
を処理し表示部を駆動する温度信号処理部、載置状態で
のアイロンベースの温度と離脱からの経過時間を入力し
離脱状態のアイロンベースの温度を推論するベース温度
推論部、前記アイロン本体が離脱状態の時は前記ベース
温度推論部からの信号により駆動される表示部を有する
スタンドを具備したものである。
【0013】また、第2の目的を達成するために本発明
のコードレスアイロンは、アイロンベースを加熱するヒ
ータ、前記アイロンベースの温度を検知する温度検知
部、前記温度検知部の出力を入力し温度信号を発生する
温度信号発生部とを有するアイロン本体と、前記アイロ
ン本体のヒータを制御するヒータ制御部、前記アイロン
本体の温度信号発生部からの信号を検知する温度信号検
知部、前記温度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動
する温度信号処理部、前記温度信号処理部からの出力に
より前記アイロン本体が離脱する前の温度の上昇または
下降の程度を検出することによって離脱時の温度データ
を補正する値を算出する離脱温度補正部、離脱時のベー
ス温度に前記補正値を加算し一定時間毎に温度勾配デー
タを減算していくことにより離脱状態のアイロンベース
の温度を推論するベース温度推論部、前記アイロン本体
が離脱状態の時は前記ベース温度推論部からの信号によ
り駆動される表示部を有するスタンドを具備したもので
ある。
【0014】さらに、第3の目的を達成するために本発
明のコードレスアイロンは、アイロンベースを加熱する
ヒータ、前記アイロンベースの温度を検知する温度検知
部、前記温度検知部の出力を入力し温度信号を発生する
温度信号発生部とを有するアイロン本体と、前記アイロ
ン本体のヒータを制御するヒータ制御部、前記アイロン
本体の温度信号発生部からの信号を検知する温度信号検
知部、前記温度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動
する温度信号処理部、離脱時のアイロンベースの温度か
ら一定時間毎に温度勾配データを減算していくことによ
り離脱状態のアイロンベースの温度を推論するベース温
度推論部、アイロン本体が離脱してから次に載置される
までのベース温度の低下データと離脱時間データにより
前記アイロンベース温度の降下速度を算出して次回離脱
した際に減算される温度勾配データとして変更していく
温度勾配データ変更部、前記アイロン本体が離脱状態の
時は前記ベース温度推論部からの信号により駆動される
表示部を有するスタンドを具備したものである。
【0015】そして、第4の目的を達成するために本発
明のコードレスアイロンは、アイロンベースを加熱する
ヒータ、前記アイロンベースの温度を検知する温度検知
部、前記温度検知部の出力を入力し温度信号を発生する
温度信号発生部とを有するアイロン本体と、前記アイロ
ン本体のヒータを制御するヒータ制御部、前記アイロン
本体の温度信号発生部からの信号を検知する温度信号検
知部、前記温度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動
する温度信号処理部、離脱時のアイロンベースの温度か
ら一定時間毎に温度勾配データを減算していくことによ
り離脱状態のアイロンベースの温度を推論するベース温
度推論部、アイロン本体が離脱してから次に載置される
までのベース温度の低下データと離脱時間データにより
前記アイロンベース温度の降下速度を算出して次回離脱
した際に減算される温度勾配データとして変更していく
温度勾配データ変更部、前記温度勾配データ変更部がア
イロンベース温度の降下程度を算出した値が一定の値の
範囲にない場合は温度勾配データを算出した値に変更し
ないようにする異常検出部、前記アイロン本体が離脱状
態の時は前記ベース温度推論部からの信号により駆動さ
れる表示部を有するスタンドを具備したものである。
【0016】また、第5の目的を達成するために本発明
のコードレスアイロンは、アイロンベースを加熱するヒ
ータ、前記アイロンベースの温度を検知する温度検知
部、前記温度検知部の出力を入力し温度信号を発生する
温度信号発生部とを有するアイロン本体と、前記アイロ
ン本体のヒータを制御するヒータ制御部、前記アイロン
本体の温度信号発生部からの信号を検知する温度信号検
知部、前記温度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動
する温度信号処理部、離脱時のアイロンベースの温度か
ら一定時間毎に温度勾配データを減算していくことによ
り離脱状態のアイロンベースの温度を推論するベース温
度推論部、前記アイロン本体が離脱してから載置するま
での時間を検出する載置/使用時間検出部、前記載置/
使用時間検出部が所定の時間以上離脱されたことを検出
した場合は、前記使用時間検出部が検出した離脱時間デ
ータとアイロン本体が離脱してから次に載置されるまで
のベース温度の低下データにより前記アイロンベース温
度の降下速度を算出して次回離脱した際に減算される温
度勾配データとして変更していく温度勾配データ変更
前記アイロン本体が離脱状態の時は前記ベース温度
推論部からの信号により駆動される表示部を有するスタ
ンドを備えたものである。
【0017】さらに、第6の目的を達成するために本発
明のコードレスアイロンは、アイロンベースを加熱する
ヒータ、前記アイロンベースの温度を検知する温度検知
部、前記温度検知部の出力を入力し温度信号を発生する
温度信号発生部とを有するアイロン本体と、前記アイロ
ン本体のヒータを制御するヒータ制御部、前記アイロン
本体の温度信号発生部からの信号を検知する温度信号検
知部、前記アイロンベースの温度を可変または設定する
温度設定部、前記温度信号検知部の出力を処理し表示部
を駆動する温度信号処理部、温度設定レベル毎に異なっ
た温度勾配データを持ち温度設定部の出力信号に応じた
温度勾配データを離脱時のアイロンベースの温度から一
定時間毎に減算していくことにより離脱状態のアイロン
ベースの温度を推論するベース温度推論部、前記アイロ
ン本体が離脱状態の時は前記ベース温度推論部からの信
号により駆動される表示部を有するスタンドを具備した
ものである。
【0018】
【作用】本発明のコードレスアイロンは、上記構成によ
り、離脱中であってもベース温度推論部がアイロンベー
スの温度を推論できるため、アイロンベースの温度をス
タンド側で表示できるようになるのである。
【0019】また、離脱時の温度データを補正する値を
算出する離脱温度補正部と、離脱時のベース温度に前記
補正値を加算し一定時間毎に温度勾配データを減算して
いくことにより離脱状態のアイロンベースの温度を推論
するベース温度推論部を具備することにより、離脱時の
アイロンベース温度を1次式を用いて推論でき、単純な
アルゴリズムで実現することが可能になるのである。
【0020】さらに、アイロン本体がスタンド部より離
脱してから次に載置されるまでのベース温度の低下デー
タと離脱時間データにより前記アイロンベース温度の降
下速度を算出して次回離脱した際に減算される温度勾配
データとして変更していく温度勾配データ変更部を具備
することにより、スチームの使用が多い場合と少ない場
合など使用者のアイロン掛けパターンによりアイロンベ
ース温度の降下程度が変化した場合においてもアイロン
離脱時のベース温度を正しく推定できるようになるので
ある。
【0021】そして、温度勾配データ変更部がアイロン
ベース温度の降下程度を算出した値が一定の値の範囲に
ない場合は温度勾配データを算出した値に変更しないよ
うにする異常検出部を具備したことにより、温度勾配デ
ータ変更部が計算ミスやノイズ等で誤動作して正常でな
い値を次回の温度勾配データとして算出した場合におい
ても、ベース温度推論部が正常でない温度勾配データを
用いて離脱時のベース温度を推論するのを防ぐことがで
きるようになるのである。
【0022】また、前記アイロン本体が前記スタンド部
より離脱し載置するまでの時間を検出する載置/使用時
間検出部と、前記載置/使用時間検出部が所定の時間以
上離脱されたことを検出した場合は前記載置/使用時間
検出部が検出した離脱時間データとアイロン本体がスタ
ンド部より離脱してから次に載置されるまでのベース温
度の低下データにより前記アイロンベース温度の降下速
度を算出して次回離脱した際に減算される温度勾配デー
タとして変更していく温度勾配データ変更部を具備した
ことにより、短時間使用の場合においても離脱状態のア
イロンベース温度を精度よく推論することができるよう
になる。
【0023】すなわち、温度上昇中に離脱しても余熱の
ためにアイロン本体に取り付けられた温度検知部温度が
下降しはじめるまでにはしばらく時間が必要であり、も
し温度検知部温度が下降し始める前に載置した場合に前
記温度勾配データ変更部が降下程度を算出すると温度低
下データが温度上昇データとなりこの値を用いて次回の
温度勾配データとして変更するのを防ぐことができるよ
うになるのである。
【0024】さらに、温度設定レベル毎に異なった温度
勾配データを持ち温度設定部の出力信号に応じた温度勾
配データを離脱時のアイロンベースの温度から一定時間
毎に減算していくことにより離脱状態のアイロンベース
の温度を推論するベース温度推論部を具備したことによ
り、使い方が変更された場合においても設定状況にあっ
た温度勾配データが初期値として与えられ離脱時のベー
ス温度を推論できるようになるのである。
【0025】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづ
いて説明する。図1〜図2において、1はアイロン本体
で、ヒータ2を内蔵したベース3、このベース3の温度
を検知するサーミスタ等の温度検知部4、この温度検知
部4の信号を入力し温度信号を発生させる温度信号発生
部5を有している。
【0026】6はスタンド部で、前記アイロン本体1を
傾斜して載置する載置部7、前記アイロン本体1の温度
信号発生部5からの温度信号を検知する温度信号検知部
8、この温度信号検知部8の出力を処理し表示部9を駆
動する温度信号処理部10、前記アイロンベース3の温
度を任意の温度に設定する温度設定部11、前記ヒータ
2への通電を制御するヒータ制御部12とを設けてい
る。
【0027】また、図3に示すように表示部9は設定状
況を表示する設定温度レベル表示部9aと現在温度を表
示する現在温度レベル表示部9bを有しており、アイロ
ン本体1がスタンド部6に載置されておらず、アイロン
ベース3の温度がスタンド部6の温度信号検知部に入力
されない場合は、ベース温度推論部13にて離脱状態の
アイロンベース3の温度を推論し現在温度として現在温
度レベル表示部9bに表示させる。
【0028】次に、この一実施例における作用を説明す
る。まず、アイロン掛けを行うには、アイロン本体1を
スタンド部6の載置部7に載置して電源を投入し、スタ
ンド部6の温度設定部11を操作して前記ベース3を任
意の温度に設定すると、設定された温度レベルを設定温
度レベル表示部9aに表示し、スタンド部6のヒータ制
御部12からヒータ2に電力が供給される。
【0029】温度検知部4はアイロンベース3の温度を
検知しその出力を温度信号発生部5に入力し、温度信号
発生部5は温度信号を発生してスタンド部6の温度信号
検知部8に入力され、温度信号データとして温度信号処
理部10に入力される。
【0030】温度信号処理部10は温度信号検知部8か
らの温度信号データと使用者により設定された温度とを
比較し、アイロンベース3の温度が設定された温度に到
達するまでヒータ制御部12によりヒータ2を加熱する
とともに、表示部9の温度レベル表示部9bを順次点灯
させて表示させることにより現在のアイロンベース3の
温度を表示する。
【0031】こうしてアイロンベース3の温度が設定温
度に到達すると、温度レベル表示部9bの全体が点灯
し、使用者にアイロンベース3の温度が設定された温度
に到達したことを知らせる。
【0032】この状態で使用者はアイロン本体1をスタ
ンド部6より離脱してアイロン掛け作業を行う。このと
き、ヒータ2にはスタンド部6より電力が供給されてい
ないため、アイロン掛けにともなってアイロンベース3
の温度は徐々に低下する。
【0033】ベース温度推論部13は載置状態でのアイ
ロンベース温度データと離脱からの経過時間を入力する
ことによってメンバーシップ関数を用いたファジィ推論
等の手段を用いて現在温度を推論し、表示部9の温度レ
ベル表示部9bを順次消灯させてアイロンベース3の温
度低下を表示する。
【0034】また、アイロン掛け作業の途中でアイロン
掛けをしている衣類を裁くときなど、一時的にアイロン
本体1をスタンド部6に載置すると、ヒータ制御部12
を介してヒータ2への通電を行って低下したアイロンベ
ース3の温度を再び設定温度に上昇させるとともに、温
度信号処理部10を介して温度レベル表示部9bを順次
点灯させてアイロンベース3の温度上昇を表示する。
【0035】このように、本実施例によれば、載置時は
温度信号処理部10により現在温度を現在温度レベル表
示部9aに表示でき、離脱時はベース温度推論部13に
より現在温度を表示できるので、使用者はアイロン掛け
中に温度を確認しながら作業が行えるため、後どのくら
いの時間作業できるのかを知ることができる。また、表
示部をスタンド側で表示できるため見やすく十分な表示
が可能となる。
【0036】さらに、スタンド部6のベース温度推論部
13は図4に示すようにアイロン本体1とスタンド部6
の載置部7から離脱した時の温度Tp1に離脱温度補正
部17にて求められた値Tp2を加算した補正済み離脱
時温度Tp3(Tp3=Tp1+Tp2)から温度勾配
データK1(1秒当たりの温度低下データ)を一秒毎に
減算することにより離脱t秒後の温度を推論し表示す
る。つまり、離脱からt秒後の温度Tp(t)をTp
(t)=Tp3−K1×tの1次式で推論を行い表示す
る。
【0037】離脱され、低下していくアイロンベース4
の温度は図5に示すようにほぼ一定の割合で低下してい
く。しかし、図5のパターン及びに示すようにアイ
ロン離脱前にヒータに電力が供給されている場合におい
ては離脱されてもしばらくの間は余熱により上昇しオー
バーシュート温度Toが発生する。
【0038】しかし、オーバーシュート温度Toは離脱
前の温度の傾きが大きさに依存し、離脱前の温度の上昇
または下降の程度を検出することによってオーバーシュ
ート温度Toの大きさは推論できる。
【0039】また、図5のパターン及びに示すよう
にスチーム設定にして前記アイロンベース3の底面より
スチームを噴出して温度を低下させた場合などにおいて
は、載置してもすぐにヒータ制御部12により直ちに電
力がヒータ2に供給されるがしばらくの間はベース3に
取り付けられた温度検知部4の温度は低下しアンダーシ
ュート温度Tuが発生する。
【0040】ここで、図5のパターンに示すようにア
イロン本体1をスタンド部6より離脱させた場合は遅れ
てアイロンベース3の温度は上昇してくる。このような
場合においては離脱前の温度の上昇または低下の程度を
検出しても正しい値は得られない。
【0041】そこで、離脱前のヒータへの電力の供給具
合を検出することによって離脱時の温度補正値Tp2を
求めればこのような条件においても正しく補正済み離脱
時温度Tp3を求めることができ、離脱からt秒後のア
イロンベース3の温度Tp(t)をTp(t)=Tp3
−K1×tの1次式で近似することができる。
【0042】このように、補正済み離脱時温度Tp3と
温度勾配データK1により離脱時のアイロンベース3の
温度を推論することにより、単純なアルゴリズムでの推
論が可能となり煩雑な処理を行う必要がないので、推論
の為の処理時間も短くすることができ、きめ細やかな温
度制御や表示または安全機能を動作させる等その他機能
を付加しやすくなる。
【0043】また、図6に示すように、スタンド部6の
温度勾配データ変更部15は、前回に離脱されたときの
補正済み離脱時温度Tp3から載置されたときの温度T
p4を減算した値、つまり、離脱されてからの低下温度
Tp5(Tp5=Tp3−Tp4)を離脱されていた時
間Tm1にて除算をした値K1(K1=Tp5/Tm
1)をベース温度推論部13が次回計算する際の温度勾
配データK1として変更していく。
【0044】このように、使用者の使い方によって温度
勾配データK1を変更していくことにより、アイロン掛
け途中でスチーム使用からドライ使用に変更しても温度
勾配データ変更部15が常に適切な温度勾配データを算
出し変更を行うことができるようになる。
【0045】さらに、電源を投入して最初に使う場合に
おいては、それぞれの設定毎初期の温度勾配データを初
期温度勾配データ設定部16に準備しておけばどのよう
な設定においても最初から精度良く推論することができ
る。例えばスチーム設定よりもドライ設定のほうがアイ
ロンベース3の温度低下は小さいので、初期データとし
てスチーム設定の温度勾配初期データよりドライ設定時
は大きい値に設定しておけば良い。
【0046】そして、温度勾配データ変更部15が算出
した温度勾配データの値が一定に範囲にあるかどうかを
比較して、一定の範囲にない場合は温度勾配データ変更
部15がノイズや計算ミス等の誤動作したと判断し、温
度勾配データを更新させないようにする異常検出部17
を付加することによって、もし異常な温度勾配データが
算出されたとしても異常検出部17の働きにより、旧の
値または初期値の温度勾配データを用いてベース温度推
論部13が離脱時のアイロンベース4の温度を推論する
ので、推論値と実際の温度が大幅に狂うことはない。
【0047】また、温度勾配データは単位時間当たりの
低下温度であり、このような短時間の離脱または載置に
おいては図5を用いて前述したように一定の割合でアイ
ロンベース4の温度が減少していくデータが得られない
ため、適切な温度勾配データを算出できない。
【0048】そこで、載置時間及び離脱時間を検出する
載置/使用時間検出部18を用いて載置時間または使用
時間が所定時間より長い場合のみ温度勾配データ変更部
13を動作させ、使用状況により温度勾配データを変更
すれば常に適切な温度推論が可能となる。
【0049】よって、実際のアイロンベース温度より推
論表示する温度が低いことで布地を焦がしたり、反対に
推論温度の方が実際の温度より高いことでスチームの水
を気化させられずに水漏れを起こし布地を濡らしてしま
うことを防ぐことができるものである。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明のコードレスアイロ
ンは、上記構成により、離脱中であってもベース温度推
論部がアイロンベースの温度を推論できるため、アイロ
ンベースの温度をスタンド側で表示できるようになる。
したがって、見やすく十分な表示が可能となり、かつ、
使用者は現在の温度を載置せずに確認できるようになり
後どのくらいの時間使用できるかを知ることができる。
【0051】また、アイロン本体が離脱する前の温度の
上昇/下降の程度またはヒータへの電力の供給具合を検
出することによって離脱時の温度データを補正する値を
算出する離脱温度補正部と、離脱時のベース温度に前記
補正値を加算し一定時間毎に温度勾配データを減算して
いくことにより離脱状態のアイロンベースの温度を推論
するベース温度推論部を具備することにより、簡単な処
理でアイロンベースの温度を推定することができる。
【0052】つまり、離脱時のアイロンベース温度を1
次式を用いて推論することにより、単純なアルゴリズム
で実現することが可能となり、推論時間も短くなるため
その分きめ細やかな温度制御やその他の処理を行うこと
ができる。
【0053】さらに、アイロン本体がスタンド部より離
脱してから次に載置されるまでのベース温度の低下デー
タと離脱時間データにより前記アイロンベース温度の降
下速度を算出して次回離脱した際に減算される温度勾配
データとして変更していく温度勾配データ変更部を具備
することにより、スチームの使用が多い場合と少ない場
合など使用者のアイロン掛けパターンによりアイロンベ
ース温度の降下程度が変化した場合においてもアイロン
離脱時のベース温度を正しく推定できる。
【0054】そして、温度勾配データ変更部がアイロン
ベース温度の降下程度を算出した値が一定の値の範囲に
ない場合は温度勾配データを算出した値に変更しないよ
うにする異常検出部を具備したことにより、温度勾配デ
ータ変更部が計算ミスやノイズ等で誤動作して正常でな
い値を次回の温度勾配データとして算出した場合におい
ても、ベース温度推論部が正常でない温度勾配データを
用いて離脱時のベース温度を推論するのを防ぐことがで
き、使用者が布を焦がしてしまったりスチームの水が気
化できずに水漏れをおこしてしまったり等の実際のアイ
ロンベース温度と表示している温度の大幅なずれにより
起こしてしまう不具合を防ぐことができる。
【0055】また、前記アイロン本体が前記スタンド部
より離脱し載置するまでの時間を検出する載置/使用時
間検出部と、前記載置/使用時間検出部が所定の時間以
上離脱されたことを検出した場合は、前記載置/使用時
間検出部が検出した離脱時間データとアイロン本体がス
タンド部より離脱してから次に載置されるまでのベース
温度の低下データにより前記アイロンベース温度の降下
速度を算出して次回離脱した際に減算される温度勾配デ
ータとして変更していく温度勾配データ変更部を具備し
たことにより、短時間使用の場合においても離脱状謡の
アイロンベース温度を精度よく推論することができる。
【0056】すなわち、温度上昇中に離脱しても余熱の
ためにアイロン本体に取り付けられた温度検知部温度が
下降しはじめるまでにはしばらく時間が必要であり、も
し温度検知部温度が下降し始める前に載置した場合に前
記温度勾配データ変更部が降下程度を算出すると温度低
下データが温度上昇データとなりこの値を用いて次回の
温度勾配データとして変更していくことにより推論を誤
るのを防ぐことができる。
【0057】さらに、温度設定レベル毎に異なった温度
勾配データを持ち温度設定部の出力信号に応じた温度勾
配データを離脱時のアイロンベースの温度から一定時間
毎に減算していくことにより離脱状態のアイロンベース
の温度を推論するベース温度推論部を具備したことによ
り、スチーム設定時とドライ設定時または高い温度に設
定した場合と低い温度に設定した場合などそれぞれの設
定状況にあった温度勾配データが初期値として与えら
れ、使い始めや温度設定変更時においてもすばやく追従
して正確に離脱状態のアイロンベース温度を推定でき、
使い勝手を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示したコードレスアイロン
の斜視図
【図2】同コードレスアイロンの機能ブロック図
【図3】同コードレスアイロンの表示部の拡大図
【図4】同コードレスアイロンのベース温度推論動作を
示すフローチャート図
【図5】同コードレスアイロンのベース温度と載置状態
および通電状態の関係を示すタイムチャート図
【図6】同コードレスアイロンの温度勾配データ変更動
作のフローチャート図
【図7】従来のコードレスアイロンを示した斜視図
【図8】同コードレスアイロンの機能ブロック図
【符号の説明】
1 アイロン本体 2 ヒータ 3 ベース 4 温度検知部 5 温度信号発生部 6 スタンド部 8 温度信号検知部 9 表示部 10 温度信号処理部 12 ヒータ制御部 13 ベース温度推論部 14 離脱温度補正部 15 温度勾配データ変更部 16 初期温度勾配データ設定部 17 異常検出部 18 載置/使用時間検出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新山 浩次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 金 錦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−110000(JP,A) 特公 平2−44559(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D06F 75/26,79/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アイロンベースを加熱するヒータ、前記
    アイロンベースの温度を検知する温度検知部、前記温度
    検知部の出力を入力し温度信号を発生する温度信号発生
    部とを有するアイロン本体と、前記アイロン本体のヒー
    タを制御するヒータ制御部、前記アイロン本体の温度信
    号発生部からの信号を検知する温度信号検知部、前記温
    度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動する温度信号
    処理部、載置状態でのアイロンベースの温度と離脱から
    の経過時間を入力し離脱状態のアイロンベースの温度を
    推論するベース温度推論部、前記アイロン本体が離脱状
    態の時は前記ベース温度推論部からの信号により駆動さ
    れる表示部を有するスタンドを具備したコードレスアイ
    ロン。
  2. 【請求項2】 アイロンベースを加熱するヒータ、前記
    アイロンベースの温度を検知する温度検知部、前記温度
    検知部の出力を入力し温度信号を発生する温度信号発生
    部とを有するアイロン本体と、前記アイロン本体のヒー
    タを制御するヒータ制御部、前記アイロン本体の温度信
    号発生部からの信号を検知する温度信号検知部、前記温
    度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動する温度信号
    処理部、前記温度信号処理部からの出力により前記アイ
    ロン本体が離脱する前の温度の上昇または下降の程度を
    検出することによって離脱時の温度データを補正する値
    を算出する離脱温度補正部、離脱時のベース温度に前記
    補正値を加算し一定時間毎に温度勾配データを減算して
    いくことにより離脱状態のアイロンベースの温度を推論
    するベース温度推論部、前記アイロン本体が離脱状態の
    時は前記ベース温度推論部からの信号により駆動される
    表示部を有するスタンドを具備したコードレスアイロ
    ン。
  3. 【請求項3】 ータ制御部の出力によりアイロン本体
    スタンドから離脱する前のヒータへの電力の供給具合
    を検出することによって離脱時の温度データを補正する
    値を算出する離脱温度補正部と、離脱時のベース温度に
    前記補正値を加算し一定時間毎に温度勾配データを減算
    していくことにより離脱状態のアイロンベースの温度を
    推論するベース温度推論部を具備した請求項1記載のコ
    ードレスアイロン。
  4. 【請求項4】 アイロンベースを加熱するヒータ、前記
    アイロンベースの温度を検知する温度検知部、前記温度
    検知部の出力を入力し温度信号を発生する温度信号発生
    部とを有するアイロン本体と、前記アイロン本体のヒー
    タを制御するヒータ制御部、前記アイロン本体の温度信
    号発生部からの信号を検知する温度信号検知部、前記温
    度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動する温度信号
    処理部、離脱時のアイロンベースの温度から一定時間毎
    に温度勾配データを減算していくことにより離脱状態の
    アイロンベースの温度を推論するベース温度推論部、ア
    イロン本体が離脱してから次に載置されるまでのベース
    温度の低下データと離脱時間データにより前記アイロン
    ベース温度の降下速度を算出して次回離脱した際に減算
    される温度勾配データとして変更していく温度勾配デー
    タ変更部、前記アイロン本体が離脱状態の時は前記ベー
    ス温度推論部からの信号により駆動される表示部を有す
    るスタンドを具備したコードレスアイロン。
  5. 【請求項5】 アイロンベースを加熱するヒータ、前記
    アイロンベースの温度を検知する温度検知部、前記温度
    検知部の出力を入力し温度信号を発生する温度信号発生
    部とを有するアイロン本体と、前記アイロン本体のヒー
    タを制御するヒータ制御部、前記アイロン本体の温度信
    号発生部からの信号を検知する温度信号検知部、前記温
    度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動する温度信号
    処理部、離脱時のアイロンベースの温度から一定時間毎
    に温度勾配データを減算していくことにより離脱状態の
    アイロンベースの温度を推論するベース温度推論部、ア
    イロン本体が離脱してから次に載置されるまでのベース
    温度の低下データと離脱時間データにより前記アイロン
    ベース温度の降下速度を算出して次回離脱した際に減算
    される温度勾配データとして変更していく温度勾配デー
    タ変更部、前記温度勾配データ変更部がアイロンベース
    温度の降下程度を算出した値が一定の値の範囲にない場
    合は温度勾配データを算出した値に変更しないようにす
    る異常検出部、前記アイロン本体が離脱状態の時は前記
    ベース温度推論部からの信号により駆動される表示部を
    有するスタンドを具備したコードレスアイロン。
  6. 【請求項6】 アイロンベースを加熱するヒータ、前記
    アイロンベースの温度を検知する温度検知部、前記温度
    検知部の出力を入力し温度信号を発生する温度信号発生
    部とを有するアイロン本体と、前記アイロン本体のヒー
    タを制御するヒータ制御部、前記アイロン本体の温度信
    号発生部からの信号を検知する温度信号検知部、前記温
    度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動する温度信号
    処理部、離脱時のアイロンベースの温度から一定時間毎
    に温度勾配データを減算していくことにより離脱状態の
    アイロンベースの温度を推論するベース温度推論部、前
    記アイロン本体が離脱してから載置するまでの時間を検
    出する載置/使用時間検出部、前記載置/使用時間検出
    部が所定の時間以上離脱されたことを検出した場合は、
    前記使用時間検出部が検出した離脱時間データとアイロ
    ン本体が離脱してから次に載置されるまでのベース温度
    の低下データにより前記アイロンベース温度の降下速度
    を算出して次回離脱した際に減算される温度勾配データ
    として変更していく温度勾配データ変更部、前記アイロ
    ン本体が離脱状態の時は前記ベース温度推論部からの信
    号により駆動される表示部を有するスタンドを備えたコ
    ードレスアイロン。
  7. 【請求項7】 アイロンベースを加熱するヒータ、前記
    アイロンベースの温度を検知する温度検知部、前記温度
    検知部の出力を入力し温度信号を発生する温度信号発生
    部とを有するアイロン本体と、前記アイロン本体のヒー
    タを制御するヒータ制御部、前記アイロン本体の温度信
    号発生部からの信号を検知する温度信号検知部、前記ア
    イロンベースの温度を可変または設定する温度設定部、
    前記温度信号検知部の出力を処理し表示部を駆動する温
    度信号処理部、温度設定レベル毎に異なった温度勾配デ
    ータを持ち温度設定部の出力信号に応じた温度勾配デー
    タを離脱時のアイロンベースの温度から一定時間毎に減
    算していくことにより離脱状態のアイロンベースの温度
    を推論するベース温度推論部、前記アイロン本体が離脱
    状態の時は前記ベース温度推論部からの信号により駆動
    される表示部を有するスタンドを具備したコードレスア
    イロン。
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