JP2909264B2 - 窒化珪素焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化珪素焼結体及びその製造方法

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JP2909264B2 JP3173424A JP17342491A JP2909264B2 JP 2909264 B2 JP2909264 B2 JP 2909264B2 JP 3173424 A JP3173424 A JP 3173424A JP 17342491 A JP17342491 A JP 17342491A JP 2909264 B2 JP2909264 B2 JP 2909264B2
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武彦 平田
一剛 森
博一 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガスタービン静翼に代表
される高温構造部品に適用が期待される窒化珪素焼結体
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高い靱性を有する窒化珪素焼結体を得る
方法の1つとして応力誘起変態があるZrO2 を添加す
る方法が知られている。ZrO2を添加する方法では、
靱性値は焼結助剤でもあり、ZrO2 の安定化剤でもあ
るY2 3 の添加量に依存すると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ZrO2 を添加する方
法で窒化珪素の靱性値を向上させるためには、緻密な焼
結体中に応力誘起変態を起こすZrO2 が分散している
必要があると考えられるが、焼結助剤として添加するY
2 3 がZrO2 の安定化剤でもあるために、Y2 3
の添加量を大きくするとZrO2 が応力誘起変態を起こ
さない形に安定化され、Y2 3 の添加量を抑えると充
分に緻密な焼結体が得られず、高い靱性値が得られてい
ないのが現状である。
【0004】本発明は上記技術水準に鑑み、応力誘起変
態を起こす粒子が分散した緻密な窒化珪素焼結体及びそ
の製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は (1)アルミニウム化合物粉末0.5〜2wt%、サマリ
ウムアルコキシドを加水分解し仮焼することによって得
られるサマリア粉末15〜50wt%及び残部窒化珪素粉
末とを有機溶媒で湿式混合して均一混合粉末を得、これ
を成形後焼結することを特徴とする窒化珪素焼結体の製
造方法。
【0006】(2)上記1の方法で製造した窒化珪素焼
結体であって、サマリア粒子が焼結体中に均一分散して
いることを特徴とする窒化珪素焼結体。である。
【0007】
【作用】本発明によれば、応力誘起変態を起こすサマリ
ア粒子が分散した緻密な窒化珪素焼結体を得ることがで
き、高い靱性値を達成することができる。
【0008】本発明において使用するサマリア粉末はサ
マリウムアルコキシドを加水分解し仮焼することによっ
て得られる0.005μm程度の極微粉末であって、こ
のような極微粒のものは市販のサマリア粒子をいくら粉
砕しても得られるものではない。
【0009】本発明の窒化珪素焼結体におけるサマリア
極微粉末を添加量と窒化珪素焼結体の相対密度、破壊靱
性値の相関関係を図1に示す。(焼結温度 1850
℃)この図1より、サマリア粉末の添加量は15〜50
wt%の範囲が好ましいことが判る。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例をあげ、本発明の効
果を立証する。本発明では、原料粉末として平均粒径
0.3μm程度の窒化珪素粉末、平均粒径0.8μm程
度のアルミナ粉末を用いた。又、サマリア粉末はサマリ
ウムアルコキシドを当量の20倍の純水で加水分解し、
大気中、830℃で5時間仮焼することによって得た平
均粒径0.005μm程度の粉末を用いた。これらの窒
化珪素粉末、アルミナ粉末及びサマリア粉末を所定の量
となるよう秤量し、混合機を用いてエタノール中220
時間湿式混合した。混合物を110℃の乾燥器中で乾燥
し、混合粉末を得た。この粉体を用いて金型プレスで、
プレス圧100kgf/cm2 で一軸加圧成形した後、40
000kgf/cm2 のプレス圧で冷間静水圧成形を行った
後、窒素ガス圧6kgf/cm2 の雰囲気下、1800〜1
950℃で4時間焼成した。
【0011】従来法については平均粒径0.3μm程度
の窒化珪素粉末、平均粒径0.8μm程度のイットリア
粉末、平均粒径0.8μm程度のアルミナ粉末及び平均
粒径0.03μm程度の非晶質ジルコニア粉末を所定の
量となるよう秤量し、混合機を用いて、エタノール中2
20時間湿式混合した。混合後110℃の乾燥器中で乾
燥した後、上述の方法と同一の方法で成形、焼成を行っ
た。
【0012】本発明の実施例及び従来法で焼成した窒化
珪素の特性値の比較を表1に示す。表1に示すように従
来法では焼結体の相対密度は95%以下、靱性値は7.
0MN/m3/2 程度の値となっている。これに対して、
本発明の実施例では、焼結体の相対密度は98%以上で
8.0MN/m3/2 以上の高い靱性値が達成できた。
【表1】
【0013】また、市販のサマリア粉末(0.4μm程
度)、本発明で使用するサマリア粉末(0.005μm
程度)を窒化珪素粉末中に分散させてなるものの焼結体
の組織の走査型電子顕微鏡写真(1000倍)を図2に
示す。図2中、白色部分がサマリア、黒色部分が窒化珪
素を示す。
【0014】図2より、サマリア粉末の粒径が大きい
と、分散性が悪くなり、破壊靱性値も低下することが判
る。
【0015】
【発明の効果】本発明による方法を用いると、応力誘起
変態を起こす粒子が分散した緻密な焼結体が得られ靱性
値の向上が達成できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】サマリア/窒化珪素焼結体中におけるサマリア
添加量に対する該焼結体の相対強度、破壊靱性値の関係
を示す図表
【図2】サマリア/窒化珪素焼結体中のサマリア粒度の
影響を示すセラミック材料の組織を示す走査型電子顕微
鏡写真(1000倍)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 博一 神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地 1 三菱重工業株式会社基盤技術研究所 内 (56)参考文献 特開 昭62−83376(JP,A) 特開 昭61−256978(JP,A) 特開 昭61−251578(JP,A) 特開 昭60−210574(JP,A) 特開 平2−97466(JP,A) 特開 昭64−69569(JP,A) 特開 昭61−163169(JP,A) 特開 昭61−281069(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 35/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム化合物粉末0.5〜2wt
    %、サマリウムアルコキシドを加水分解し仮焼すること
    によって得られるサマリア粉末15〜50wt%及び残部
    窒化珪素粉末とを有機溶媒で湿式混合して均一混合粉末
    を得、これを成形後焼結することを特徴とする窒化珪素
    焼結体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の方法で製造した窒化珪素焼結
    体であって、サマリア粒子が焼結体中に均一分散してい
    ることを特徴とする窒化珪素焼結体。
JP3173424A 1991-06-19 1991-06-19 窒化珪素焼結体及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2909264B2 (ja)

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