JP2909173B2 - 放射性廃棄物の除染方法 - Google Patents

放射性廃棄物の除染方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は原子力発電所のような原子力施設から発生す
る放射性廃棄物の除染方法に関するものである。
(従来の技術) 原子力発電所等から発生する放射性廃棄物はさまざま
な手段により処理されているが、金属質の放射性廃棄物
については表面のみが汚染されている場合がほとんどで
あるため、スチール系の研削材を投射して表面層を剥離
するブラスト除染が行われている。
ところがこのような研削材はブラストされた際に廃棄
物の表面を放射性物質と直接接触するため、研削材の表
面に放射性物質やブラストにより発生する放射性のダス
トが付着し、回収した研削材を繰り返しブラスト除染に
使用すると放射性廃棄物が研削材によって逆に汚染され
てしまい、ブラスト除染の意味が全く失われることとな
る。
このため、新しい研削材を一度だけ使用してそのまま
廃棄することも検討されているが、研削材自体が新たに
大量の放射性廃棄物となるうえ、不経済であり、その解
決策が求められていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は上記した従来の問題点を解消して、放射性廃
棄物が回収された研削材によって逆に汚染されることを
防止しつつ、しかも経済的にブラスト除染を行うことが
できる放射性廃棄物の除染方法を提供するために完成さ
れたものである。
(課題を解決するための手段) 上記の課題を解決するためになされた本発明の放射性
廃棄物の除染方法は、放射性廃棄物の表面に鉄系研削材
を投射してブラスト処理し、表面に付着している放射性
物質を除去するとともに、ブラスト処理後の研削材を分
級、回収してブラスト処理に再利用する放射性廃棄物の
除染方法であって、回収した前記研削材の放射能濃度が
一定レベル以上となったときに、その研削材を大気と同
等以上の酸素濃度中で500℃以上に加熱し酸化層を生成
させたうえ、非放射性金属を対象に改めてブラスト処理
を行い、機械的な衝撃を与えて研削材の表面の酸化層を
剥離させ付着していた放射性物質を同時に除去した後、
処理後の研削材と放射性物質を含む研削屑とを分級し、
研削屑を後処理工程へ送る一方、この回収した研削材を
ブラスト工程へリターンさせて放射性廃棄物の除染に再
使用することを特徴とするものである。
以下に本発明を第1図のブロック図によって詳細に説
明する。
本発明において使用されるのは、例えば鋳鉄、ステン
レススチール(SUS 430、SUS 304)のような鉄系の研削
材であり、このような鉄系の研削材を金属質等の放射性
廃棄物の表面にブラストし、表面層を剥離して表面に付
着している放射性物質を除去する。これによって放射性
廃棄物は除染され、以後の処理が容易に行なえるように
なるが、このようにブラスト除染に使用された研削材自
体は前述したように放射性物質との接触によって表面が
汚染された状態となる。
そこで本発明においては、ブラストした研削材を回収
したうえ、研削材の表面の汚染を除去するために、研削
材を熱処理することにより研削材の表面に酸化層を形成
させる。このときの熱処理条件は酸素濃度が大気と同等
以上であり、かつ温度が500℃以上であるものとする。
このように酸素濃度を規定したのは、研削材の表面に酸
化層を速やかに形成させるためであり、実際には大気中
における加熱で目的を達成することができる。また温度
を500℃以上と規定したのは、大気中において500℃未満
の温度で前記のような研削材を加熱した場合には、酸化
層の形成に数時間以上を必要とするためである。実際に
は、1000℃以上の温度が好ましく、これにより研削材の
表面に10分以内に酸化層を形成させることができる。
このようにして研削材の表面に酸化層を形成したの
ち、これに機械的衝撃を加える。機械的衝撃を加える手
段としては、酸化層が形成された研削材自体をブラスト
する方法がある。この方法は既存の設備により極めて簡
単に実施することができる。
いずれの方法によっても衝撃が加えられた研削材の表
面の酸化層は容易に剥離して脱落するので、研削材の表
面に付着していた放射性物質やダストは酸化層とともに
分離される。そしてこのようにして表面の酸化層を剥離
させた後の研削材は再び放射性廃棄物のブラスト除染に
使用されることとなる。
(実施例) 第2図は本発明を実施するための装置の一例を示すも
のであり、(1)はブラストキャビネット、(2)は放
射性廃棄物、(3)はブラスト除染用のノズルである。
このブラストキャビネット(1)の内部で放射性廃棄物
(2)の表面にノズル(3)から研削材が投射され、除
染される。研削材と研削屑はブロワ(4)によりブラス
トキャビネット(1)の底部から吸引されて取り出さ
れ、分級器(5)で研削材と研削屑が分離される。そし
て研削材はブラストキャビネット(1)へリターンさせ
て再利用し、研削屑はバグフィルタ(6)、HEPAフィル
タ(7)により濾過されたうえ後処理工程に送られ、空
気は放出される。
一方、研削材はホッパ(8)のサンプリング口(9)
から取り出すことができ、例えば100回のブラストが行
われた後に放射能濃度を測定する。そして放射能濃度が
一定レベル以上となったときには研削材タンク(10)に
設けた加熱装置(11)により例えば1000℃で10分間保持
する。その後、ブラストキャビネット(1)内に非放射
性金属をセットし、これにブラスト処理を行う。この場
合、研削材の表面には酸化層が形成されているので、表
面が容易に剥離し表面に付着していた放射性物質も同時
に剥離することとなる。これにより研削材の放射能濃度
は低下するので、再利用することができる。
(発明の効果) 以上に説明したように、本発明によればブラスト除染
後に回収した研削材を大気と同等以上の酸素濃度中で50
0℃以上に加熱したうえブラスト処理による衝撃を与え
て酸化層とともに表面の放射性物質を除去し、この研削
材を再び放射性廃棄物のブラスト除染に使用するように
したので、研削材を繰り返し使用することができ、経済
的である。
また放射性廃棄物は常に汚染されていない研削材によ
りブラスト除染されるので、研削材が放射性廃棄物の表
面に突き刺さったような場合にも、放射性廃棄物が研削
材によって逆に汚染されることもない。更に上記のよう
に熱処理条件を設定したことにより、研削材の再生処理
を短時間に容易に行うことができる。
よって本発明は従来の問題点を解消した放射性廃棄物
の除染方法として、産業の発展に寄与するところをは極
めて大きいものである。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の工程を示すブロック図、第2図は本発
明の実施例を示すフローシートである。 (1):ブラストキャビネット、(2):放射性廃棄
物、(3):ノズル、(10):研削材タンク、(11):
加熱装置。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射性廃棄物の表面に鉄系研削材を投射し
    てブラスト処理し、表面に付着している放射性物質を除
    去するとともに、ブラスト処理後の研削材を分級、回収
    してブラスト処理に再利用する放射性廃棄物の除染方法
    であって、回収した前記研削材の放射能濃度が一定レベ
    ル以上となったときに、その研削材を大気と同等以上の
    酸素濃度中で500℃以上に加熱し酸化層を生成させたう
    え、非放射性金属を対象に改めてブラスト処理を行い、
    機械的な衝撃を与えて研削材の表面の酸化層を剥離させ
    付着していた放射性物質を同時に除去した後、処理後の
    研削材と放射性物質を含む研削屑とを分級し、研削屑を
    後処理工程へ送る一方、この回収した研削材をブラスト
    工程へリターンさせて放射性廃棄物の除染に再使用する
    ことを特徴とする放射性廃棄物の除染方法。
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JPH06230185A (ja) * 1993-02-04 1994-08-19 Ebara Kogyo Senjo Kk 放射性廃棄物の除染方法及び装置
JP4720972B2 (ja) * 2004-11-05 2011-07-13 株式会社日立プラントテクノロジー 管部材のブラスト工法及び管部材を覆う袋体

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