JP2907667B2 - 透明性エアロゲルの製造方法 - Google Patents

透明性エアロゲルの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、断熱性等の多孔質材
料としての機能および透明性(光透過性)に優れたエア
ロゲルを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】透明性を有するエアロゲルの製造方法と
しては、たとえば、アルコキシシラン(シリコンアルコ
キシド、アルキルシリケート等とも称されるが、この明
細書中ではアルコキシシランと記す)を加水分解し、縮
重合して得られるゲル状物質(湿潤ゲル、アルコゲルま
たは単にゲル等とも称される)を溶媒の超臨界状態で乾
燥することによって得る方法がある(米国特許第440
2927号、同4432956号、同4610863号
の各明細書等参照)。これらの方法では、詳しくは、反
応原料としてアルコキシシランのモノマーを用い、これ
にアルコール、水を加え、酸性触媒またはアルカリ性触
媒の存在下で加水分解および縮重合反応を行ってゲル化
させることによりゲル状物質を得た後、この物質を超臨
界状態で乾燥するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の従来
法において、アルコキシシランのモノマーを加水分解
し、縮重合する際に酸性触媒を用いた場合、得られるゲ
ル状物質は、透明性に非常に優れているが、超臨界乾燥
中に収縮を起こすため、多孔性、断熱性や密度的に充分
なエアロゲルを得ることができない。また、酸性触媒の
代わりにアルカリ性触媒を用いた場合、多孔性、断熱性
等に優れ、かつ、ある程度透明性を有するエアロゲルを
得ることができるが、その透明性は、ガラス等に代って
用いることができる程充分なものではない。これらの問
題が生じる原因は、以下の通りであると推定される。
【0004】酸性触媒を用いた場合、初期の加水分解速
度が非常に速いため、反応原料のアルコキシシランモノ
マーは初期に消滅し、均一な重合が始まるので、最終的
に得られるエアロゲルは非常に透明性に優れたものとな
る。しかし、アルコキシシランモノマーの加水分解物
(分子)は、繊維状もしくは2次元的に縮重合成長する
ため、その縮重合物であるゲル状物質の構造体は弱く、
超臨界乾燥中の溶媒除去過程でやや収縮する。その結
果、得られるエアロゲルの多孔性、断熱性等が劣るもの
になる。
【0005】また、アルカリ性触媒を用いた場合、アル
コキシシランモノマーの加水分解物は、3次元的に縮重
合成長し、強固なゲル状物質の構造体を形成する。その
ため、超臨界乾燥中にも収縮等による破壊がほとんどな
いので、最終的に得られるエアロゲルは、多孔性、断熱
性等に優れたものとなる。しかし、アルコキシシランモ
ノマーの初期の加水分解速度は遅く、重合反応は速いた
め、重合によってゲル状物質の構造体が生成する過程で
も未反応のアルコキシシランモノマーが残存し、ゲル状
物質の構造体の成長過程は不均一になる。その結果、得
られるエアロゲルは、透明性にはやや劣るものとなる。
【0006】このような事情に鑑み、この発明は、充分
に透明で、かつ、多孔性、断熱性等に非常に優れたエア
ロゲルを得ることができる方法を提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは、透明性に優れ多孔性を維持したエアロ
ゲルを得るべく、原料のアルコキシシランの反応溶液
(一般にゾルと言う)においてアルコキシシランの濃度
を低減させ、かさ密度の小さなエアロゲルを作製するこ
とを試みた。これは、エアロゲルの透明性がエアロゲル
の骨格をなすシリカ微粒子の大きさ、多さ、均一性に起
因するものであり、シリカ微粒子が少ないほど透明性は
向上するという考えに基づいたものであった。
【0008】しかし、アルコキシシランの濃度の低いエ
アロゲルを作製しようとすればするほど、アルカリ性触
媒を用いた場合においても、超臨界乾燥工程中に試料の
収縮が起こりやすくなることがわかってきた。そこで、
発明者らは、種々検討を重ねた結果、反応原料としてア
ルコキシシランのモノマーの代わりにアルコキシシラン
のオリゴマーを用いるようにすれば、充分に透明で、か
つ、多孔性、断熱性等に非常に優れたエアロゲルを得る
ことができることを実験で確認して、この発明を完成し
た。
【0009】したがって、この発明にかかる透明性エア
ロゲルの製造方法は、アルコキシシラン化合物を加水分
解し、縮重合して得られたゲル状物質を超臨界乾燥させ
ることにより透明性エアロゲルを製造する方法におい
て、前記アルコキシシラン化合物としてアルコキシシラ
ンのオリゴマーを反応原料として用いゲル状物質を得る
ことを特徴とする。
【0010】この発明の製造方法により得られる透明性
エアロゲルは、光透過性に優れた多孔体である。エアロ
ゲル(エーロゲルとも言う)は、一般には、湿潤アルコ
ゲル等、乾燥前の溶媒を含んだ状態でのゲル状物質から
溶媒などを除去して得られる多孔質な材料を指し、超臨
界抽出により溶媒を除去して得られる乾燥多孔質ゲルを
含む。
【0011】この発明で用いられるアルコキシシランの
オリゴマー(以下、単に「オリゴマー」と称することが
ある)は、アルコキシシランの初期縮合体である。その
具体例としては、下記一般式化1で表されるもの等が挙
げられる。
【0012】
【化1】
【0013】(式中、Rはアルキル基またはフェニル基
を表し、nは重合度を表す2以上の整数である。ただ
し、加水分解、縮重合を開始させるまで構造的に安定な
状態であれば、一部のOR基がOH基に置換されていて
も構わない。) しかし、アルコキシシランのオリゴマーは、上記のもの
に限定されない。たとえば、直鎖状構造のものばかりで
なく、分岐のある鎖状または環状等、種々の構造形態を
なすものを用いることができる。
【0014】オリゴマーの重合度は10(以下、重合度
nのものを「n量体」と称する)以下であることが好ま
しいが、無色透明な液状であれば、これに限定されな
い。オリゴマーは、重合度が均一、純粋な化合物である
必要はなく、重合度に分布が存在していてもよい。その
分子構造は、直鎖状、分岐のある鎖状または環状構造等
が混在していてもよい。物質としての安定性や、ゲル状
物質を作製するための反応時間等を考慮すれば、平均重
合度が2〜6のものが最も好ましい。
【0015】オリゴマー内のR基は、アルキル基、フェ
ニル基が好ましいが、中でもメチル基、エチル基が最も
好ましい。具体的には、たとえば、250〜600の平
均分子量を有するテトラメトキシシランのオリゴマーお
よび300〜800の平均分子量を有するテトラエトキ
シシランのオリゴマーからなる群の中から選ばれた少な
くとも1種が最も好ましい。
【0016】図1に、使用できるテトラメトキシシラン
のオリゴマーの組成(重合度の分布)の一例を表すガス
クロマトグラフィー分析チャートの一部を示した。この
図中、ピーク1はモノマー(単量体)、ピーク2はダイ
マー(2量体)、ピーク3はトリマー(3量体)、ピー
ク4はシクロテトラマー(環状4量体)、ピーク5はテ
トラマー(鎖状4量体)、ピーク6はシクロペンタマー
(環状5量体)、ピーク7はペンタマー(鎖状5量体)
である。
【0017】ルコキシシランのオリゴマーを効率良く
加水分解し、縮重合を行うためには、たとえば、同オリ
ゴマー、溶媒、水を含む反応系に予め触媒を添加してお
くことが好ましい。このような触媒としては、酸性触
媒、アルカリ性触媒等が挙げられる。具体的に述べる
と、酸性触媒としては、塩酸、クエン酸、硝酸、硫酸、
フッ化アンモニウム等が用いられ、アルカリ性触媒とし
ては、アンモニア、ピペリジン等が用いられる。この発
明では、アルカリ性触媒を用いる。
【0018】反応溶媒としては、通常、原料であるアル
コキシシランのオリゴマーと水とを均一に溶解混合する
ために、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
ブタノール等のアルコールや、アセトン等が用いられる
が、これらに限定されるわけではなく、アルコキシシラ
ンのオリゴマーと水の両方が溶解しやすいものであれば
よい。ゲル状物質生成過程の加水分解反応でアルコール
が生成することと、後で述べる超臨界乾燥を考慮する
と、アルコールが最も好ましい。
【0019】反応系を形成するオリゴマー、溶媒、水お
よび必要に応じて用いられる触媒の混合比については、
要求されるエアロゲルの物性(たとえば、光透過性、か
さ密度、屈折率等)や工程の条件(たとえば、反応時
間、反応系の粘性、安全性、コスト等)から適宜選択さ
れ、均一な反応系を形成する混合比であればよく、特に
限定はされない。
【0020】超臨界乾燥を行う際に用いられる溶媒(超
臨界乾燥の媒体)としては、特に限定されないが、たと
えば、エタノール、メタノール、ジクロロジフルオロメ
タン、二酸化炭素、水等の単独系または2種以上の混合
系を挙げることができる。単独系の溶媒で超臨界乾燥を
行う場合は、一般的には、この溶媒と、これと同一の溶
媒に溶媒置換を行ったゲル状物質をオートクレーブ等の
耐圧容器の中に一緒に入れ、容器内を、上記単独系溶媒
の臨界点以上の温度、圧力まで上昇させた後、溶媒を徐
々に除き、最終的に常温常圧の状態に戻すことによって
乾燥を終了する。
【0021】また、2種以上の混合系の溶媒を用いて超
臨界乾燥を行う場合、たとえば、乾燥容器内で、上記混
合系溶媒が超臨界状態になるように設定した温度、圧力
まで上昇させる方法、乾燥容器内で、ゲル状物質の含む
溶媒(第1の溶媒)を、超臨界状態にしたい溶媒(第2
の溶媒)に置換し、ほぼ溶媒置換を完結させてから、第
2の溶媒を超臨界状態にして溶媒を除去する方法等が採
られる。
【0022】この発明にかかる透明性エアロゲルの製造
方法は、特に限定されるわけではないが、たとえば、以
下のようにして行われる。まず、アルコキシシランのオ
リゴマーにアルコール、水および前記触媒を添加混合
し、オリゴマーを加水分解し、縮重合させる。縮重合反
応が充分に進行すると、ゲル化が起こり、ゲル状物質が
得られる。
【0023】次に、このゲル状物質にアルコールを添加
し、加熱する、いわゆる熟成を行う。なお、この際必要
に応じては、熟成工程を省いても良い。このゲル状物質
は、水等が除去され、溶媒部分が完全にアルコールに置
換されたもの(アルコゲルとも言う)となっていること
が好ましい。次に、この状態のゲル状物質を超臨界乾燥
し、溶媒(主にアルコール)を除去する。
【0024】超臨界乾燥を行う方法としては、特に限定
されないが、たとえば、前記のようにして得られたアル
コキシシランのゲル状物質を液化炭酸(50〜60気圧
程度)中に浸漬した後、二酸化炭素を超臨界状態にして
乾燥する方法、あるいは、反応溶媒として使用している
アルコールの臨界点以上の温度、圧力まで昇温、昇圧
し、その状態(超臨界状態)でアルコールを乾燥、除去
する方法等が挙げられる。
【0025】このような超臨界乾燥を行い、前記ゲル状
物質から含有する溶媒を除去することにより、光透過性
を有する多孔体が得られる。
【0026】
【作用】この発明では、アルコキシシランのオリゴマー
を加水分解し、縮重合して得られたゲル状物質を超臨界
乾燥するようにしている。すると、充分に透明で、か
つ、多孔性、断熱性等に非常に優れたエアロゲルを得る
ことが可能になる。その理由は以下の通りである。
【0027】超臨界乾燥とは、ゲル状物質に含まれてい
る溶媒の臨界点または臨界点よりも高温高圧の雰囲気中
においてその溶媒を除去することである。このような雰
囲気中では、溶媒の相転移(気化、凝縮)が起こらない
ため、溶媒除去時のゲル状物質の構造体の破壊、凝集が
抑制される。このため、超臨界乾燥によって得られたエ
アロゲルは、多孔質なものとなる。このような超臨界乾
燥による効果は、反応原料としてアルコキシシランのオ
リゴマーを用いることにより向上する。これは、アルコ
キシシランのオリゴマーから得られるゲル状物質は、3
次元的に縮重合した強固な構造を有するので、このよう
なゲル状物質構造体を超臨界乾燥することにより、構造
体の破壊、凝集がさらに抑制されるからである。そのた
め、得られるエアロゲルは、多孔性、断熱性等に非常に
優れたものとなる。もしも、ゲル状物質の乾燥を通常の
加熱乾燥により行った場合には、ゲル状物質が3次元的
に強固な構造を有していても、溶媒が液体から気体に変
化するため、ゲル状物質の構造体中から溶媒が除去され
る際に、溶媒の表面エネルギーによってゲル状物質の構
造体が破壊されたり、凝集したりする。その結果、得ら
れるエアロゲルの多孔性、断熱性等が低下してしまう。
【0028】アルコキシシラン化合物を加水分解し、縮
重合する方法により得られるエアロゲルは、一般に、非
常に微細なシリカ粒子からなる構造体であり、その粒子
径および粒子間空隙は、光の波長よりもはるかに小さい
ために、多孔体であるにもかかわらず透明性(光透過
性)を有する。しかしながら、前述したように、アルコ
キシシランのモノマーを原料とし、酸性触媒によって得
たものの場合は、超臨界乾燥工程でゲル状物質は収縮を
起こし、多孔性がやや損なわれる。また、アルカリ性触
媒によって得たものの場合は、透明性に劣る。このエア
ロゲルの透明性とは、上述のシリカ微粒子が小さいこと
や少ないことに起因するものである。そこで、より透明
なエアロゲルを得るためには、アルカリ性触媒を用いる
方法において、初期の反応溶液調製時にアルコキシドの
濃度を非常に低くする等の容易な方法でエアロゲルのか
さ密度を小さくし、透明性の向上を図る手段が考えられ
る。しかし、この場合、アルコキシドの濃度が低くなれ
ばなるほど、ゲル状物質が超臨界乾燥工程中に起こす収
縮が著しくなり、得られるエアロゲルは、かさ密度がさ
ほど小さくならないばかりか、透明性も劣るものにな
る。
【0029】これに対して、この発明の方法において
は、アルコキシシランのオリゴマーを原料とし反応溶液
調製実施例のオリゴマーの濃度を低くすることで、かさ
密度が小さく透明性により優れたエアロゲルを得ようと
した場合にも、超臨界乾燥工程中の収縮は非常に小さ
い。したがって、密度が小さなエアロゲルを得ようとす
ればするほど、さらに透明性に優れるエアロゲルが得ら
れることになる。
【0030】以上のようなことから、この発明では、ア
ルコキシシランのオリゴマーを原料としているため、均
一に3次元的に縮重合が起こって、3次元的に強固な構
造を有し透明性に優れたゲル状物質を形成するため、得
られるエアロゲルも多孔性等に優れながら透明性にも優
れたものとなる。ここで、透明性とは、たとえば、可視
光波長領域等に対する視覚的な透明性であるが、これに
限定されない。
【0031】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例および比
較例を示すが、この発明は下記実施例に限定されない。
但し、実施例3は、この発明の技術的範囲には含まれな
い参考技術である。 −実施例1− テトラメトキシシランのオリゴマー(コルコート(株)
製、メチルシリケート51、平均分子量=約470)
と、エタノール(ナカライテスク(株)製特級試薬)、
水、15Nアンモニア水とを混合した。その際、混合は
室温で行い、混合比は、重量比でオリゴマー:エタノー
ル:水:アンモニア水=47:552:27:13であ
った。数分間攪拌した後、静置することによりゲル化さ
せて、ゲル状物質を得た。このゲル状物質にエタノール
を加え、50℃で加熱し、さらにエタノールの添加を繰
り返して、ゲルが乾燥しないように縮重合反応を加速
(熟成)した。
【0032】次に、このゲル状物質を18℃、55気圧
の二酸化炭素中に入れ、ゲル内のエタノールを二酸化炭
素に置換する操作を2〜3時間行った。その後、系内を
二酸化炭素の超臨界条件である、80℃、160気圧に
し、超臨界乾燥(溶媒除去)を2時間行った後、常温常
圧まで下げ、容器から試料を取り出して、エアロゲルを
得た。このエアロゲル試料の大きさは、厚み5mm、直径
50mmであった。
【0033】−実施例2− 実施例1において、テトラメトキシシランのオリゴマー
の代わりにテトラエトキシシランのオリゴマー(コルコ
ート(株)製、エチルシリケート40、平均分子量=約
700)を用いるとともに、混合重量比をオリゴマー:
エタノール:水:アンモニア水=47:540:20:
13としたこと以外は実施例1と同様にして、エアロゲ
ル試料を得た。
【0034】−実施例3− テトラメトキシシランのモノマー(東レダウコーニング
シリコーン(株)製試薬)と水、メタノール、塩酸をモ
ル比で1:1.5:3:0.00001で混合し、5時
間放置した後、この反応溶液から、アスピレータにより
アルコールと水を除去することにより、テトラメトキシ
シランのオリゴマーを作製した。このオリゴマーの平均
分子量は約500であった。
【0035】次に、このオリゴマーを原料として用い、
以下、実施例1と同様にして、エアロゲル試料を得た。 −実施例4− 実施例1において、混合重量比をオリゴマー:エタノー
ル:水:アンモニア水=71:483:54:5とした
こと以外は実施例1と同様にして、エアロゲル試料を得
た。
【0036】−実施例5− 実施例1において、エタノールの代わりにメタノールを
用いるとともに、二酸化炭素に置換する操作を行わずに
メタノールの超臨界条件(275℃、90気圧)下で超
臨界乾燥を行うようにしたこと以外は実施例1と同様に
して、エアロゲル試料を得た。
【0037】−比較例1− テトラメトキシシランのモノマー(東レダウコーニング
シリコーン(株)製試薬)と エタノール(ナカライテ
スク(株)製特級試薬)、0.01Nアンモニア水とを
モノマー:エタノール:アンモニア水=152:23
0:72の重量比で混合した。数分間攪拌した後、室温
で1日間静置することによりゲル化させて、ゲル状物質
を得た。このゲル状物質について、以下、実施例1と同
様の方法で熟成、超臨界乾燥を行うことにより、エアロ
ゲル試料を得た。
【0038】−比較例2− テトラメトキシシランのモノマー(東レダウコーニング
シリコーン(株)製試薬)と エタノール(ナカライテ
スク(株)製特級試薬)、水、15Nアンモニア水とを
モノマー:エタノール:水:アンモニア水=30:82
8:4:14の重量比で混合した。数分間攪拌した後、
室温で1日間静置することによりゲル化させて、ゲル状
物質を得た。このゲル状物質について、以下、実施例1
と同様の方法で熟成、超臨界乾燥を行うことにより、エ
アロゲル試料を得た。
【0039】−比較例3− 比較例2において、15Nアンモニア水の代わりに1N
塩酸を用いたこと以外は比較例2と同様にして、エアロ
ゲル試料を得た。実施例1〜5および比較例1〜3で得
られた試料の内容を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】実施例1〜5および比較例1〜3で得られ
た試料について、かさ密度、比表面積、熱伝導率、光透
過率、収縮率を測定した。比表面積は窒素吸着法による
BET法を利用して求めた。熱伝導率は、英弘精機
(株)製の定常法による熱伝導率測定装置を使用して、
ASTM−C518に準拠した方法で、設定温度20℃
と40℃の条件で測定した。
【0042】光透過率は、試料の透過光について、可視
光域の分光分布を測定し、可視光透過率をJIS−R3
106に基づいて求めた。超臨界乾燥における収縮率
は、超臨界乾燥前の湿潤ゲルの大きさと、超臨界乾燥後
のエアロゲルの大きさを測定し、百分率で求めた(ここ
で、「大きさ」とは長さ寸法を示す。すなわち、体積収
縮はこれらの3乗に影響される)。
【0043】それらの結果を表2に示した。
【0044】
【表2】
【0045】表2みるように、実施例1〜5のエアロゲ
ルは、保持する多孔性が優れており、高い断熱性を有
し、しかも光透過性(透明性)に非常に優れている。こ
れに比べ、比較例1では、実施例1〜5と同様の断熱性
を有するが、多孔性、光透過性に劣る。比較例2では、
実施例1〜5と同様の多孔性は示すものの、光透過性は
やや劣り、単純にガラスに代用できる程度の透明性には
不充分である。また、比較例3では、実施例1〜5と同
様の光透過性を有するエアロゲルが得られているが、こ
のものは、超臨界乾燥時にやや収縮を起こしており、そ
のため、多孔性、断熱性等に劣るものとなっている。
【0046】
【発明の効果】この発明によれば、断熱性等の多孔質材
料に特有の機能および透明性(光透過性)に非常に優れ
たエアロゲルを得ることができる。このエアロゲルは、
上記優れた性能を有するため、たとえば、開口部での断
熱材、音響材料や、チェレンコフ素子、触媒担体等の様
々な用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明において、アルコキシシランのオリゴ
マーとして用いることのできるテトラメトキシシランの
オリゴマーの組成(重合度の分布)の一例を表すガスク
ロマトグラフィー分析チャートの一部である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−46237(JP,A) 特開 昭63−69724(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C01B 33/12 - 33/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ性触媒を用いアルコキシシラン
    を加水分解し、縮重合して得られたゲル状物質を超臨界
    乾燥させることにより透明性エアロゲルを製造する方法
    であって、前記アルコキシシラン化合物としてアルコキ
    シシランのオリゴマーを反応原料として用いゲル状物質
    を得ることを特徴とする透明性エアロゲルの製造方法。
  2. 【請求項2】 アルコキシシランのオリゴマーの重合度
    が10以下である請求項1記載の透明性エアロゲルの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 アルコキシシランのオリゴマーの平均重
    合度が2〜6である請求項1記載の透明性エアロゲルの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 アルコキシシランのオリゴマーが、25
    0〜600の平均分子量を有するテトラメトキシシラン
    のオリゴマーおよび300〜800の平均分子量を有す
    るテトラエトキシシランのオリゴマーからなる群の中か
    ら選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の透明性
    エアロゲルの製造方法。
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