JP2907400B2 - 嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法 - Google Patents

嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法

Info

Publication number
JP2907400B2
JP2907400B2 JP2952991A JP2952991A JP2907400B2 JP 2907400 B2 JP2907400 B2 JP 2907400B2 JP 2952991 A JP2952991 A JP 2952991A JP 2952991 A JP2952991 A JP 2952991A JP 2907400 B2 JP2907400 B2 JP 2907400B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
splitting
split
fiber
nonwoven fabric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2952991A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04300351A (ja
Inventor
孝一 長岡
芳基 宮原
文夫 松岡
安広 米沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YUNICHIKA KK
Original Assignee
YUNICHIKA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YUNICHIKA KK filed Critical YUNICHIKA KK
Priority to JP2952991A priority Critical patent/JP2907400B2/ja
Publication of JPH04300351A publication Critical patent/JPH04300351A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2907400B2 publication Critical patent/JP2907400B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極細のフィラメントを
構成繊維とする嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びこの
ウェブ及び不織布の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種の分割型二成分系複合連
続単糸を集積した後、この単糸を分割させて極細フィラ
メントを発現させてなる不織ウェブ又は不織布が知られ
ている。単糸を分割させて極細フィラメントを発現させ
る方法としては、分割型二成分系複合連続単糸を集積し
た後、この集積体にニードルパンチを施し、単糸にニ
ードルによる衝撃を与えて分割する方法、集積体に薬
剤を付与して、単糸中の一成分を溶解除去して分割する
方法、集積体に高圧液体柱状流を施し、柱状流による
衝撃を与えて分割する方法が知られている。
【0003】しかしながら、又はの方法は、ニード
ル又は高圧液体柱状流による衝撃を連続単糸の全ての部
分に与えることができず、分割の程度が低いということ
があった。従って、部分的に分割されない連続単糸が比
較的多く、不織ウェブ或いは不織布中に残り、嵩高性に
欠けるものしか得られないという欠点があった。更に、
ニードル又は高圧液体柱状流のエネルギーによって、連
続単糸等が三次元的に絡み合い、得られる不織ウェブ或
いは不織布が高密度化して、嵩高性及び柔軟性に欠ける
という欠点もあった。また、の方法は、連続単糸中の
一成分を除去してしまうものなので、不織ウェブ或いは
不織布中の繊維量が低下し、結局嵩高性も低下するとい
う欠点があった。更に、薬剤の付与工程や溶解成分の除
去工程が必要となり、また薬剤の回収及び無公害化等の
対策が必要になって、製造方法が複雑化するという欠点
があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、分
割型二成分系複合連続単糸を集積させた繊維集積体に、
ある特殊な高圧液体流を施し、連続単糸が高度の割合で
分割されるようにすると共に、分割された後の割繊フィ
ラメント同士が実質的に三次元的に交絡しないようにし
て、嵩高性に富み且つ柔軟性に富む不織ウェブ或いは不
織布を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、繊維形
成性重合体Aと、該重合体Aに対し非相溶性の繊維形成
性重合体Bと、よりなる単糸繊度2〜12デニールの分割
型二成分系複合連続単糸が割繊率60%以上で分割されて
生成した、該重合体Aで構成される繊度0.05〜0.8デニ
ールの割繊フィラメントAと、該重合体Bで構成される
繊度0.05〜0.8デニールの割繊フィラメントBとを含
み、且つ該割繊フィラメントA同士、該割繊フィラメン
トB同士、及び該割繊フィラメントAと該割繊フィラメ
ントBとは、実質的に三次元交絡されていないことを特
徴とする嵩高不織ウェブ、及びその製造方法に関するも
のである。また、本発明は、構成繊維が集積されてなる
ウェブ区域と、構成繊維が自己融着されてなる点状融着
区域とを具備する不織布であって、該ウェブ区域におい
ては、繊維形成性重合体Xと、該重合体Xに対し非相溶
性で且つ該重合体Xの融点よりも30〜180℃高い融点を
有する繊維形成性重合体Yと、よりなる単糸繊度2〜12
デニールの分割型二成分系複合連続単糸が割繊率60%以
上で分割されて生成した、該重合体Xで構成される繊度
0.05〜0.8デニールの割繊フィラメントXと、該重合体
Yで構成される繊度0.05〜0.8デニールの割繊フィラメ
ントYとが混在し、且つ割繊フィラメントX同士、割繊
フィラメントY同士、及び割繊フィラメントXと割繊フ
ィラメントYとは、実質的に三次元交絡しておらず、該
融着区域においては、該分割型二成分系複合連続単糸が
実質的に分割されておらず、且つ該重合体Xの溶融固化
によって該分割型二成分系複合連続単糸同士が融着して
いることを特徴とする嵩高不織布、及びその製造方法に
関するものである。
【0006】まず、本発明において使用する分割型二成
分系複合連続単糸について説明する。本発明に係る不織
ウェブを製造する際に用いられる、分割型二成分系複合
連続単糸は、以下の二つの条件を満足するものである。
即ち、繊維形成性重合体Aと、該重合体Aに対し非相溶
性の繊維形成性重合体Bとよりなるものである。重合体
Aと重合体Bが非相溶性であるのは、単糸に衝撃を与え
たときに、両重合体が分割しやすいようにするためであ
る。また、単糸の繊度は、2〜12デニールである。繊度
が2デニール未満であると、分割型二成分系複合連続単
糸を製造するのが困難となる。逆に、繊度が12デニール
を超えると、重合体A又は重合体Bで構成されるフィラ
メントの繊度が相対的に大きくなる。従って、本発明の
目的とする極細フィラメントで形成される不織ウェブが
形成しにくくなる。分割型二成分系複合連続単糸の具体
例としては、図2〜図5に示した如き横断面を持つもの
が好ましい。これらは、重合体A及び重合体Bの両成分
が共に単糸の表面に露出しており、且つ単糸の断面内に
おいて、一方の成分が他方の成分により分割割繊可能な
形に仕切られているものである。
【0007】本発明に係る不織布を製造する際に用いら
れる、分割型二成分系複合連続単糸は、上記の二つの条
件に更に他の一つの条件が付加されたものである。付加
される条件は、繊維形成性重合体X(上記の重合体Aに
対応する。)の融点が、繊維形成性重合体Y(上記の重
合体Bに対応する。)の融点よりも30〜180℃低いとい
うことである。ここで、重合体に融点が存在しない場合
には、その軟化点を融点とする。繊維形成性重合体X
は、不織布の融着区域において溶融固化するものであ
り、一方繊維形成性重合体Yは、融着区域において溶融
固化するものではない。従って、上記の如き融点差が設
定されているのである。両重合体の融点差が30℃未満で
あると、重合体Xが溶融固化する際に、重合体Yが収縮
したり劣化するため、得られる不織布の寸法安定性が不
良となる。また、融点差が30℃未満であると、融着区域
形成時における温度制御が困難になる。融点差が180℃
を超える分割型二成分系複合連続単糸を製造すること
は、現実的に困難である。即ち、単糸製造時(溶融紡糸
時)において、重合体Xが熱劣化を起こす恐れがある。
本発明において、特に好ましい両重合体の融点差は、35
〜165℃である。また、重合体X及び重合体Yよりなる
分割型二成分系複合連続単糸の具体例としても、図2〜
図5に示す如き横断面を持つものが好ましい。なお、以
上の分割型二成分系複合連続単糸は、従来公知の方法で
溶融複合紡糸して製造される。
【0008】本発明において、分割型二成分系複合連続
単糸を構成する重合体A(又はX)と重合体B(又は
Y)との組み合わせとしては、ポリオレフィン/ポリア
ミド、ポリオレフィン/ポリエステル、ポリアミド/ポ
リエステル、等が挙げられるが、これらは代表例であっ
て他の各種の組み合わせも任意に採用される。
【0009】本発明に使用しうる繊維形成性ポリオレフ
ィン系重合体の例としては、炭素原子の数が2〜18の脂
肪族α−モノオレフィン、例えばエチレン、プロピレ
ン、ブテン-1、ペンテン-1,3-メチルブテン-1、ヘキセ
ン-1、オクテン-1、ドデセン-1、オクタデセン-1のホモ
ポリオレフィン又は共重合ポリオレフィンがある。脂肪
族α−モノオレフィンは他のオレフィン及び/又は少量
(重合体重量の約10重量%まで)の他のエチレン系不飽
和モノマー、例えばブタジエン、イソプレン、ペンタジ
エン-1・3 、スチレン、α−メチルスチレンの如き類似
のエチレン系不飽和モノマ−と共重合されていても良
い。特にポリエチレンの場合、重合体重量の約10重量%
までのプロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1
又は類似の高級α−オレフィンと共重合させたものが好
ましい。
【0010】本発明に使用し得る繊維形成性ポリアミド
系重合体の例としては、ナイロン4、ナイロン46、ナ
イロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン1
1、ナイロン12やポリメタキシレンアジパミド(MX
D−6)、ポリパラキシリレンデカンアミド(PXD−
12)、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミド
(PCM−12)又はこれらのモノマーを構成単位とす
る共重合ポリアミドがある。
【0011】本発明に使用し得る繊維形成性ポリエステ
ル系重合体の例としては、酸成分としてテレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、ナフタリン-2・6-ジカルボン
酸等の芳香族ジカルボン酸若しくはアジピン酸、セバシ
ン酸などの脂肪族ジカルボン酸又はこれらのエステル類
と、アルコール成分としてエチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1・4-ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、シクロヘキサン-1・4-ジメタノール等のジ
オール化合物とから合成されるホモポリエステル乃至は
共重合ポリエステルであり、上記ポリエステルにパラオ
キシ安息香酸、5-ソジュームスルフォイソフタール酸、
ポリアルキレングリコール、ペンタエリスリトール、ビ
スフェノールA等が添加或いは共重合されていてもよ
い。
【0012】その他の繊維形成性重合体の例としては、
例えばビニル系重合体が用いられ、具体的にはポリビニ
ルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステ
ル、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体が用いられ
る。また、ポリフェニレン系重合体又はその共重合体を
使用することもできる。
【0013】なお,繊維形成性重合体A、B、X又はY
には、本発明の目的を阻害しない範囲で、艶消し剤,顔
料,防炎剤,消臭剤,帯電防止剤,酸化防止剤,紫外線
吸収剤等の任意の添加剤が添加されていてもよい。
【0014】本発明で用いる分割型二成分系複合連続単
糸は、一般的に以下の如き方法で製造される。即ち、従
来公知の溶融複合紡糸法で紡糸され、横吹付や環状吹付
等の従来公知の冷却装置を用いて、吹付風により冷却さ
れた後、一般的にエアーサッカーを用いて、目的繊度と
なるように牽引細化されて引き取られる。牽引速度は20
00m/分以上、特に3000m/分以上が好適である。
【0015】エアーサッカーから排出される分割型二成
分系複合連続単糸は、一般的には、高圧電場中のコロナ
放電域か、又は摩擦衝突帯域を通過せしめて帯電開繊さ
せた後、スクリーンからなるコンベアーの如き移動堆積
装置上に開繊集積させて繊維集積体を得ることができ
る。繊維集積体の目付は150g/m2程度以下が好まし
い。繊維集積体の目付が150g/m2を超えると、後の高
圧液体膜状流の作用によって、実質上繊維集積体の全厚
みを通じて、分割型二成分系複合連続単糸を分割割繊で
きない傾向となる。即ち、繊維集積体の厚みの中心部に
未割繊の分割型二成分系複合連続単糸が残存する傾向と
なる。しかし、このような場合であっても、繊維集積体
の少なくとも片面には、本発明に係る不織ウェブ又は不
織布が形成されるので、本発明の実施態様の一つである
ことには、変わりない。
【0016】本発明に係る不織ウェブを製造する際に
は、前述した繊維集積体に高圧液体膜状流を作用させ
る。高圧液体としては、具体的には噴射圧力5〜150kg
・G/cm2程度の水又は温水が用いられる。また、膜状
流とは、二次元的な液体の流れを意味する。このような
膜状流は、液体をスリット形状の噴射孔より噴出させる
ことにより得ることができる。これが例えば、丸孔形状
の噴射孔より液体を噴出させると、一次元的な線状流或
いは柱状流となり、本発明においては使用することがで
きない。スリット形状としては、任意の形態のものを使
用しうるが、本発明においては、特に次のような形態の
ものが好ましい。即ち、スリット長(L)とスリット幅
(W)の比(L/W)が、100〜50000程度のものが好ま
しく、特に500〜20000程度のものが最も好ましい。ま
た、スリット幅(W)の具体的な長さは、0.02〜0.06mm
程度が好ましく、特に0.03〜0.04mm程度が最も好まし
い。なお、高圧液体膜状流を施す前に、繊維集積体に水
を付与するのが好ましい。これは、複合連続単糸間に存
在する空気を水で置換して、高圧液体膜状流のエネルギ
ーを繊維集積体内部まで有効に与えるためである。
【0017】高圧液体膜状流は、繊維集積体の全面に施
される。例えば、繊維集積体が長尺状物である場合、繊
維集積体の幅方向に即ち幅に亙って、高圧液体膜状流を
施しながら、繊維集積体を長手方向に移送することによ
って、繊維集積体の全面に高圧液体膜状流を施すことが
できる。この場合、高圧液体膜状流を噴出させるスリッ
ト形状の噴射孔は、繊維集積体の幅方向に一台配置して
もよいし、また複数のスリット形状の噴射孔を繊維集積
体の幅方向に直列に配置してもよい。更に、図6〜図8
で示した如き、複数のスリット形状の噴射孔20を具備す
るオリフィスダイ19を、繊維集積体の幅方向に向けて、
千鳥状に配置してもよい。要するに、スリット形状の噴
射孔は、そこから噴出する高圧液体膜状流が繊維集積体
の全面に施されるように任意に配置すればよい。また、
高圧液体膜状流は、繊維集積体の片面或いは両面に複数
回適用するのが好ましい。これは、繊維集積体中の分割
型二成分系複合連続単糸の均一な分割が促進されるから
である。特に、後に適用される膜状流の噴出圧力を徐々
に高めてゆけば、得られる不織ウェブの地合いが均一化
するので、好ましい。なお、スリット形状の噴射孔と繊
維集積体との距離は、1〜15cm程度が好ましい。この距
離が15cmを超えると、高圧液体膜状流のエネルギーが低
下し、繊維集積体中の分割型二成分系複合連続単糸に対
する衝撃力が低下して、連続単糸が高度の割合で分割さ
れにくくなるので、好ましくない。
【0018】以上の如く、高圧液体膜状流を繊維集積体
の全面に作用させると、繊維集積体中の分割型二成分系
複合連続単糸は、繊維形成性重合体Aで構成される繊度
0.05〜0.8デニールの割繊フィラメントAと、繊維形成
性重合体Bで構成される繊度0.05〜0.8デニールの割繊
フィラメントBとに、割繊率60%以上で分割する。ここ
で、割繊率とは、不織ウェブ又は不織布のウェブ区域の
任意の10箇所を選び、その断面を100倍に拡大して断面
写真を撮影し、次いで10枚の断面写真中から、下記の式
で求めたものの平均値である。 記 割繊率(%)=(N/M)×100 (但し、Nは完全に分割された割繊フィラメントA,
B,X,Yの総数を表わし、Mは分割されているものも
未分割のものも含めて数えたフィラメントA,B,X,
Yの総数を表わす。)このように、連続単糸が高度の割
合で分割するのは、高圧液体膜状流が、繊維集積体の全
面に作用するからである。例えば、高圧液体膜状流に代
えて、高圧液体柱状流を使用すると、この柱状流は繊維
集積体の全面に作用させることができず、連続単糸が分
割しない部分が生じるのである。特に、本発明において
は、割繊率80%以上が好ましく、割繊率90%が更に好ま
しく、割繊率95〜98%が最も好ましい。割繊率が60%未
満になると、割繊フィラメントの量が少なくなって、得
られる不織ウェブ等が嵩高性に欠けるので、好ましくな
い。本発明において、割繊フィラメントA及び割繊フィ
ラメントBの繊度が、0.05〜0.8デニールであるのは、
次のような理由による。即ち、各フィラメントの繊度が
0.8デニールを超えると、極細繊維とは言えず、本発明
の目的とする極細繊維よりなる嵩高不織ウェブを得るこ
とができない。また、各フィラメントの繊度が0.05デニ
ール未満となると、現実的に紡糸が困難となり、分割型
二成分系複合連続単糸が、安価に或いは合理的に得られ
にくくなる。
【0019】また、本発明において、特徴的なことは、
高圧液体膜状流を繊維集積体に作用させると、分割型二
成分系複合連続単糸が分割するけれども、分割後のフィ
ラメントが相互に実質的に三次元交絡しないということ
である。対照的に、高圧液体柱状流を繊維集積体に作用
させると、連続単糸が分割すると共に分割後のフィラメ
ントが相互に実質的に三次元交絡するのである。この理
由は、膜状流の場合には、繊維集積体中のフィラメント
が、膜状流の膜平面方向に自由に運動することができな
いからであると考えられる。これに対して、柱状流の場
合には、繊維集積体中のフィラメントは、全ての方向に
自由に運動できるからであると考えられるのである。従
って、本発明で言う実質的に三次元交絡されていないと
は、高圧液体柱状流を作用させた場合に比べて、交絡の
程度が弱いことを言い、若干の交絡が存在していてもよ
いことは言うまでもない。
【0020】高圧液体膜状流を施した後、水分をマング
ル等で絞り、及び/又は乾燥機で乾燥して、余剰の水分
を不織ウェブから除去することは、言うまでもない。ま
た、その後熱処理を行ない、不織ウェブを収縮させて安
定化してもよい。熱処理は、乾熱処理であっても湿熱処
理であってもよい。以上詳述した方法によって、繊維集
積体中の分割型二成分系複合連続単糸が、割繊率60%以
上で分割され、且つ分割された割繊フィラメントA同
士、分割された割繊フィラメントB同士、及び割繊フィ
ラメントAと割繊フィラメントBとが実質的に三次元交
絡されていないことにより、嵩高な不織ウェブが得られ
るのである。この嵩高不織ウェブは、このまま使用して
もよいし、部分的な熱圧着を施して使用してもよい。ま
た、結合剤等を付与して使用してもよい。
【0021】また、本発明においては、前述した繊維形
成性重合体Xと、この重合体Xに対し非相溶性で且つ重
合体Xの融点よりも30〜180℃高い融点を有する繊維形
成性重合体Yとよりなる、分割型二成分系複合連続単糸
を使用して嵩高不織布を得ることもできる。この場合に
は、複合連続単糸を開繊集積させて繊維集積体を得た
後、ポイント熱圧着装置を用いて、繊維集積体に点状融
着区域を形成する。複合連続単糸中の重合体Xは重合体
Yよりも融点が低いので、重合体Xの溶融固化によっ
て、複合連続単糸相互間が融着して融着区域が形成され
る。ポイント熱圧着装置としては、一対のエンボスロー
ル、平滑ロールとエンボスロールとの組み合わせ、或い
は凹凸ロールを備えた超音波溶着装置が使用される。エ
ンボスロールや凹凸ロールの凸部先端面の形状は、丸
形、楕円形、菱形、三角形、T形、井形等の任意の形状
が採用される。エンボスロールを使用する際には、エン
ボスロールの表面温度が重合体Xの融点以下の温度であ
るのが、好ましい。表面温度が重合体Xの融点を超える
温度であると、融着区域外にも重合体Xが流れ出し、非
融着区域即ちウェブ区域の風合いが硬くなる傾向が生じ
る。また、融着区域を点状としたのは、一個の融着区域
の面積をなるべく小さくして、得られる不織布の嵩高性
や柔軟性が低下しないようにするためである。融着区域
が線状や板状であると、不織布の嵩高性や柔軟性が低下
するので、好ましくない。点状融着区域の全面積(一個
一個の点状融着区域の面積の総和)は、繊維集積体の全
面積に対して、5〜50%であることが好ましい。融着区
域の全面積が5%未満となると、得られる不織布の引張
強度が低下する傾向となる。逆に、融着区域の全面積が
50%を超えると、得られる不織布の風合いが低下する傾
向となる。
【0022】点状融着区域が形成された繊維集積体の全
面に、高圧液体膜状流を施す。この高圧液体膜状流は、
前記したのと同様のものである。高圧液体膜状流を作用
させると、点状融着区域外の非融着区域、即ちウェブ区
域において、分割型二成分系複合連続単糸が割繊率60%
以上で分割する。割繊率60%以上で分割する理由は、前
述したのと同様に高圧液体膜状流を繊維集積体の全面に
施したからである。ウェブ区域の割繊率は、好ましくは
80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95
〜98%が良い。なお、ここでいう割繊率も、前に定義し
た方法で算出されるものである。割繊率が60%未満であ
ると、不織布のウェブ区域の嵩高性が低下し、好ましく
ない。このように高度の割合で分割されるため、ウェブ
区域は、主として、重合体Xで構成される繊度0.05〜0.
8デニールの割繊フィラメントXと、重合体Yで構成さ
れる割繊フィラメントYとよりなっている。そして、割
繊フィラメントX同士、割繊フィラメントY同士、及び
割繊フィラメントXと割繊フィラメントYとは、実質的
に三次元交絡がされていない。実質的に三次元交絡され
ていない理由は、前述したのと同様に高圧液体膜状流を
作用させたこと、及び融着区域において複合連続単糸が
固定されており、フィラメントが運動しにくくなってい
ることからである。
【0023】以下、図面によって、本発明の好ましい態
様を説明するが、本発明はこの方法に限られるものでは
なく、既に述べた通り、工程を複数に分割する等適宜変
更が可能である。
【0024】図1は、本発明に係る嵩高不織布の製造方
法の一実施態様を説明する工程図である。紡糸装置は、
繊維形成性重合体Xと繊維形成性重合体Yとの個別溶融
押し出し・計量部1、2を有する。計量された両重合体
は、紡糸口金3で複合され、多数の分割型二成分系複合
連続単糸群4として紡出される。この際、紡糸口金の吐
出孔は、図2〜図5に例示される如く、両重合体が共に
単糸の表面に露出しており、しかも単糸の断面内におい
て一方の重合体が他方の重合体により分割割繊可能な形
に仕切られている単糸が得られるように、選択される。
また、両重合体の吐出量は、分割割繊後の割繊フィラメ
ントの繊度が0.05〜0.8デニールになるように選択され
る。
【0025】吐出された複合連続単糸群4は冷却装置5
による冷却を受けた後、エアーサッカー6から成る引き
取り手段によって引き取られ、次いで高圧電場中のコロ
ナ放電開繊器7を介して、スクリーンから成る移動堆積
装置8上に開繊されて、繊維集積体9となる。繊維集積
体9は、仮圧ロール10で移送に耐える圧着を付与された
後、熱エンボスロール11により、複合連続単糸群4が重
合体Xの溶融固化によって部分的に熱圧着され、点状融
着区域が形成される。
【0026】次いで、融着区域が形成された繊維集積体
はスクリーン12で担持されつつ、水付与装置13で水を付
与され、その後複数列の高圧液体膜状流処理装置14から
噴出する膜状流で、分割割繊の処理を受ける。なお、図
1においては、融着区域が形成された繊維集積体を、直
ちに高圧液体膜状流処理装置14に導入したが、一旦繊維
集積体を巻き上げた後、巻き戻しながら高圧液体膜状流
処理装置14に導入してもよい。膜状流は、真空吸引装置
15により排出される。分割割繊処理を受けて得られた不
織布は、マングルロール16で絞られ、乾燥・熱処理装置
17に通した後、製品ロール18として巻き上げられるので
ある。図1では、片面からの高圧液体膜状流の処理を例
示したが、本発明において、スクリーン12,高圧液体膜
状流処理装置14,真空吸引装置15を多段に設け、繊維集
積体を反転させて高圧液体膜状流処理を行うことによ
り、両面からの高圧液体膜状流処理も実施しうること
は、言うまでもない。また、高圧液体膜状流を施す際に
用いるスクリーンとして、目開きやスクリーンの織り組
織等を適宜選択すると、膜状流跡が一定の柄模様として
顕現する場合がある。従って、スクリーンの選択によっ
て、任意の模様を不織布に与えることが可能となる。
【0027】
【実施例】実施例中に記載した物性値の評価法は、次の
通りである。 (a)重合体の融点:パーキンエルマー社製DSC-2型の
示差走査型熱量計を用い、昇温速度20℃/分で測定した
融解吸熱ピークの最大値を与える温度を融点とした。 (b)不織布の引張強力:JIS L-1096に記載のストリッ
プ法に準じ、幅5cm,長さ10cmの試験片から最大引張強
力を測定し、100g/m2の目付の不織布に換算した値で
ある。 (c)不織布の引張伸度:(b)と同法で測定した切断
時の伸度である。 (d)不織ウェブ及び不織布の嵩密度:厚さ計(荷重5
g/cm2)により測定した厚さ値と目付値から算出し
た。 (e)不織布のトータルハンド:これは柔軟性を示すも
のでJIS L-1096のハンドルオメ−タ−法に準じ,スロッ
ト幅1cmで測定した。 (f)デニール:分割割繊後のデニールは、電子顕微鏡
写真での形状寸法から断面積を算出して、密度補正を行
い求めた。
【0028】実施例1 重合体Aとして、融点が128℃、ASTM-D-1238(E)の方法
で測定して得られるメルトインデックス値が25g/10分
のポリエチレンを使用し、重合体Bとして、融点が258
℃,フエノール:テトラクロロエタン=1:1の混合溶
媒中20℃で測定して得られる固有粘度[η]=0.7のポ
リエチレンテレフタレートを使用した。そして、糸断面
が図2に示す如き形態で全分割数が24個になる複合紡糸
口金を用い、ポリエチレンとポリエチレンテレフタレー
トの複合比を1:1とし、ポリエチレンの溶融温度230
℃,ポリエチレンテレフタレートの溶融温度285℃,単
孔吐出量=1.2g/分(ポリエチレン=0.6g/分,ポリ
エチレンテレフタレート=0.6g/分)で溶融押出しし
た。
【0029】その後、冷却装置で紡出糸条を冷却し、次
いで紡糸口金下120cmの位置に配置された複数個のエア
ーサッカーにより4500m/分の速度で引き取り、コロナ
放電開繊器にて開繊させ、移動する金網製の堆積装置に
分割型二成分系複合連続単糸を堆積させ、目付40g/m
2の繊維集積体とした。該繊維集積体から採取した複合
連続単糸の繊度は、約2.5デニ−ルであった。
【0030】この繊維集積体を巻き取ることなく、速度
10m/分で移動している78メッシュのスクリーンに供給
し、水付与装置で水を付与し、次いで繊維集積体に高圧
水膜状流を施して、複合連続単糸の分割割繊処理を行な
った。高圧水膜状流は、スリット幅(W)=0.04mm、ス
リット幅(W)とスリット長(L)との比(L/W)が
10000のスリット形状の噴射孔より噴出させたものであ
る。そして、この噴射孔は、その長手方向が繊維集積体
の幅方向と平行になるようにして、且つ繊維集積体の幅
方向に向けて千鳥状に配列せしめられている。更に、繊
維集積体の幅方向に隣り合う噴射孔の端は、繊維集積体
の進行方向から投影した場合、接触しているか又は重合
している。これは、噴射孔から噴出する高圧液体膜状流
が、繊維集積体に施されない区域が生じないようにする
ためである。また、噴射孔の千鳥状配列の配列数は3列
である。噴射孔は、繊維集積体の上方50mmに位置せしめ
られており、水圧80kg/cm2で噴射孔から高圧水膜状流
が噴出している。この高圧水膜状流を、繊維集積体の表
裏に3回ずつ施した。即ち、3列の高圧水膜状流を、繊
維集積体の表に3回、裏に3回施すことになり、合計18
回(3列×3回+3列×3回=18回)高圧液体膜状流を
施すことになる。この後、マングルロールにて水分を絞
り、98℃の雰囲気に保たれた乾燥・熱処理装置で処理し
て、嵩高不織ウェブを得た。この嵩高不織ウェブは、複
合連続単糸が割繊率95%で分割されて生成した、ポリエ
チレン割繊フィラメント及びポリエチレンテレフタレー
ト割繊フィラメントを含み、各フィラメントは実質的に
三次元交絡していなかった。また、この嵩高不織ウェブ
は、目付が37g/m2で、その嵩密度が、0.04g/cm3
あり、非常に嵩高で且つ柔軟性に富むものであった。
【0031】実施例2 実施例1で得られた繊維集積体を、表面温度が105℃の
仮圧ロールに導き、更に圧着面積率が12%,ポイント
柄,表面温度が120℃の熱エンボスロールを用いて部分
的に熱圧着せしめた。熱圧着した繊維集積体を巻き取る
ことなく、速度10m/分で移動している78メッシュのス
クリーンに供給した後、実施例1と同様の方法で水付与
及び高圧液体膜状流処理等を施した。この結果得られた
不織布は、熱圧着された点状融着区域と、繊度0.1デニ
ールのポリエチレン割繊フィラメントと繊度0.1デニー
ルのポリエチレンテレフタレート割繊フィラメントとが
存在するウェブ区域とよりなるものであった。そして、
点状融着区域においては、分割型二成分系複合連続単糸
中のポリエチレン成分が溶融固化して、複合連続単糸相
互間を融着していた。また、ウェブ区域においては、前
記フィラメント同士が実質的に三次元交絡していないも
のであった。この不織布は、物性的には、嵩高であり且
つ柔軟性に富むものであった。具体的な物性値は以下の
とおりであった。 目付:43.5g/m2 縦引張強力:25.4kg/5cm 横引張強力:13.6kg/5cm 縦引張伸度:48.8% 横引張伸度:57.3% 嵩密度:0.07g/cm3 トータルハンド:20.3g
【0032】比較例1 高圧水膜状流に代えて、高圧水柱状流を作用させる以外
は、実施例2と同様にして不織布を製造した。ここで、
高圧水柱状流は、孔径=0.12mm、孔数=600、孔ピッチ
0.6mm、噴射孔群列=3列の噴射孔より噴出させた。得
られた不織布は、ウェブ区域において割繊率が70%であ
った。また、ポリエチレン割繊フィラメント同士、ポリ
エチレンテレフタレート割繊フィラメント同士、及びポ
リエチレン割繊フィラメントとポリエチレンテレフタレ
ート割繊フィラメントが三次元交絡をしており、緊密に
各フィラメントが絡合していた。そして、この不織布
は、嵩高性及び柔軟性に欠けるものであった。この不織
布の具体的な物性値は以下のとおりである。 目付:44.3g/m2 縦引張強力:27.8kg/5cm 横引張強力:18.1kg/5cm 縦引張伸度:47.8% 横引張伸度:51.2% 嵩密度:0.21g/cm3 トータルハンド:71.5g
【0033】実施例3 重合体Xとして、融点が225℃、96%硫酸中25℃で測定
した相対粘度2.65のナイロン6を使用し、重合体Yとし
て、実施例1と同じポリエチレンテレフタレートを使用
した。そして、糸断面が図4に示す如き形態で、ポリエ
チレンテレフタレートの全分割数が8個になるような複
合紡糸口金を用い、ナイロン6とポリエチレンテレフタ
レートの複合比を1:2として、ナイロン6の溶融温度
265℃、ポリエチレンテレフタレートの溶融温度285℃,
単孔吐出量=0.84g/分(ナイロン6=0.28g/分,ポ
リエチレンテレフタレート=0.56g/分)で溶融押出し
した。押出した紡出糸条を冷却装置にて冷却し、次いで
紡糸口金下100cmの位置に配置された複数個のエアーサ
ッカーにより、4800m/分の速度で引き取り、コロナ放
電開繊器にて開繊させ、移動する金網製の堆積装置に分
割型二成分系複合連続単糸を堆積させ繊維集積体とし
た。
【0034】次いで、該繊維集積体を表面温度が135℃
の仮圧ロールに導き、更に圧着面積率が12%,ポイント
柄,表面温度が205℃の熱エンボスロールにて部分的に
熱圧着せしめた。該繊維集積体を巻き上げることなく、
速度10m/分で移動している78メッシュのスクリーンに
供給し、水付与装置で水を付与し、次いで高圧水膜状流
にて分割割繊処理を行った。その条件は、高圧水膜状流
を水圧100kg/cm2で噴出させた点、及び乾燥・熱処理温
度を105℃とした点以外は、実施例2と同様にして不織
布を得た。
【0035】この結果得られた不織布は、熱圧着された
点状融着区域と、繊度0.53デニールのナイロン6割繊フ
ィラメントと繊度0.13デニールのポリエチレンテレフタ
レート割繊フィラメントとが存在するウェブ区域とより
なるものであった。そして、ウェブ区域においては、割
繊率が98%であり、且つ前記フィラメント同士が実質的
に三次元交絡していないものであった。また、点状融着
区域においては、分割型二成分系複合連続単糸中のナイ
ロン6成分が溶融固化して、複合連続単糸相互間を融着
していた。この不織布は、物性的には、嵩高であり且つ
柔軟性に富むものであった。具体的な物性値は以下のと
おりであった。 目付:41.6g/m2 縦引張強力:36.5kg/5cm 横引張強力:20.3kg/5cm 縦引張伸度:45.7% 横引張伸度:52.3% 嵩密度:0.09g/cm3 トータルハンド:35.2g
【0036】比較例2 高圧水膜状流に代えて、高圧水柱状流を作用させる以外
は、実施例3と同様にして不織布を製造した。ここで、
高圧水柱状流は、孔径=0.12mm、孔数=600、孔ピッチ
0.6mm、噴射孔群列=3列の噴射孔より噴出させた。得
られた不織布は、ウェブ区域において割繊率が75%であ
った。また、ナイロン6割繊フィラメント同士、ポリエ
チレンテレフタレート割繊フィラメント同士、及びナイ
ロン6割繊フィラメントとポリエチレンテレフタレート
割繊フィラメントが三次元交絡をしており、緊密に各フ
ィラメントが絡合していた。そして、この不織布は、嵩
高性及び柔軟性に欠けるものであった。この不織布の具
体的な物性値は以下のとおりである。 目付:42.3g/m2 縦引張強力:38.8kg/5cm 横引張強力:24.8kg/5cm 縦引張伸度:43.4% 横引張伸度:50.9% 嵩密度:0.23g/cm3 トータルハンド:98.5g
【0037】実施例4 重合体Xとして、融点が162℃、メルトフローレート値
がASTM-D-1238(L)の方法で測定して30g/10分のポリプ
ロピレンを使用し、重合体Yとして、実施例1と同じポ
リエチレンテレフタレートを使用した。そして、糸断面
が図3に示す如き形態で、全分割数が24個となる複合紡
糸口金を用い、ポリプロピレンとポリエチレンテレフタ
レートの複合比を1:1とし、ポリプロピレンの溶融温
度250℃、ポリエチレンテレフタレートの溶融温度285
℃,単孔吐出量=1.4g/分(ポリプロピレン=0.7g/
分,ポリエチレンテレフタレート=0.7g/分)で溶融
押出しした。押し出した紡出糸条を冷却装置にて冷却
し、次いで紡糸口金下150cmの位置に配置された複数個
のエアーサッカーにより、4400m/分の速度で引き取
り、コロナ放電開繊器にて開繊させ、移動する金網製の
堆積装置に堆積させ繊維集積体とした。
【0038】次いで、該繊維集積体を表面温度が115℃
の仮圧ロールに導き、更に圧着面積率が12%,ポイント
柄,表面温度が145℃の熱エンボスロールにて部分的に
熱圧着せしめた。該繊維集積体を巻き上げることなく、
速度10m/分で移動している78メッシュのスクリーンに
供給し、水付与装置で水を付与し、次いで高圧水膜状流
にて分割割繊処理を行った。その条件は、高圧水膜状流
を水圧90kg/cm2で噴出させた点、及び乾燥・熱処理温
度を102℃とした点以外は、実施例2と同様にして不織
布を得た。
【0039】この結果得られた不織布は、熱圧着された
点状融着区域と、繊度0.12デニールのポリプロピレン割
繊フィラメントと繊度0.12デニールのポリエチレンテレ
フタレート割繊フィラメントとが存在するウェブ区域と
よりなるものであった。そして、ウェブ区域において
は、割繊率が95%であり、且つ前記フィラメント同士が
実質的に三次元交絡していないものであった。また、点
状融着区域においては、分割型二成分系複合連続単糸中
のポリプロピレン成分が溶融固化して、複合連続単糸相
互間を融着していた。この不織布は、物性的には、嵩高
であり且つ柔軟性に富むものであった。具体的な物性値
は以下のとおりであった。 目付:40.8g/m2 縦引張強力:30.6kg/5cm 横引張強力:16.4kg/5cm 縦引張伸度:63.6% 横引張伸度:70.9% 嵩密度:0.08g/cm3 トータルハンド:24.6g
【0040】比較例3 高圧水膜状流に代えて、高圧水柱状流を作用させる以外
は、実施例4と同様にして不織布を製造した。ここで、
高圧水柱状流は、孔径=0.12mm、孔数=600、孔ピッチ
0.6mm、噴射孔群列=3列の噴射孔より噴出させた。得
られた不織布は、ウェブ区域において、割繊率が65%で
あった。また、ポリプロピレン割繊フィラメント同士、
ポリエチレンテレフタレート割繊フィラメント同士、及
びポリプロピレン割繊フィラメントとポリエチレンテレ
フタレート割繊フィラメントが三次元交絡をしており、
緊密に各フィラメントが絡合していた。そして、この不
織布は、嵩高性及び柔軟性に欠けるものであった。この
不織布の具体的な物性値は以下のとおりである。 目付:40.2g/m2 縦引張強力:32.3kg/5cm 横引張強力:20.8kg/5cm 縦引張伸度:60.4% 横引張伸度:68.2% 嵩密度:0.21g/cm3 トータルハンド:71.5g
【0041】実施例5 重合体Xとして、実施例4と同じポリプロピレンを使用
し、重合体Yとして、実施例3と同じナイロン6を使用
した。そして、糸断面が図に示す如き形態で、全分割
数が24個となる複合紡糸口金を用い、ポリプロピレン
とナイロン6の複合比を1:1とし、ポリプロピレンの
溶融温度250゜C、ナイロン6の溶融温度265℃、
単孔吐出量1.2g/分(ポリプロピレン=0.6g/
分,ナイロン6=0.6g/分)で溶融押出しした。紡
出糸条を冷却装置にて冷却し、次いで紡糸口金下140
cmの位置に配置された複数個のエアーサッカーによ
り、4200m/分の速度で引き取り、コロナ放電開繊
器にて開繊させ、移動する金網製の堆積装置に堆積させ
繊維集積体とした。
【0042】次いで、該繊維集積体を表面温度が115℃
の仮圧ロールに導き、更に圧着面積率が30%で、ポイン
ト柄の超音波振動による摩擦熱を利用した超音波溶着装
置にて部分的に熱融着せしめた。該繊維集積体を巻き上
げることなく、速度5m/分で移動している78メッシュ
のスクリーンに供給し、水付与装置で水を付与し、次い
で高圧水膜状流にて分割割繊処理を行った。その条件
は、高圧水膜状流を水圧75kg/cm2で噴出させた点、及
び乾燥・熱処理温度を102℃とした点以外は、実施例2
と同様にして不織布を得た。
【0043】この結果得られた不織布は、熱圧着された
点状融着区域と、繊度0.11デニールのポリプロピレン割
繊フィラメントと繊度0.11デニールのナイロン6割繊フ
ィラメントとが存在するウェブ区域とよりなるものであ
った。そして、ウェブ区域においては、割繊率が90%で
あり、且つ前記フィラメント同士が実質的に三次元交絡
していないものであった。また、点状融着区域において
は、分割型二成分系複合連続単糸中のポリプロピレン成
分が溶融固化して、複合連続単糸相互間を融着してい
た。この不織布は、物性的には、嵩高であり且つ柔軟性
に富むものであった。具体的な物性値は以下のとおりで
あった。 目付:42.3g/m2 縦引張強力:36.8kg/5cm 横引張強力:26.2kg/5cm 縦引張伸度:37.8% 横引張伸度:44.6% 嵩密度:0.11g/cm3 トータルハンド:41.8g
【0044】実施例6 繊維集積体の目付を70g/m2に変更した以外は、実施
例4と同様の条件で、紡糸、引き取り、高圧水膜状流に
よる分割割繊処理を行なった、この繊維集積体は、目付
が大であるため、上層と下層は熱エンボスロールによっ
て部分的に熱圧着された点状熱融着区域を持っており、
中層には熱圧着区域が存在しなかった。また、中層へは
高圧水膜状流が作用せず、分割型二成分系複合連続単糸
は分割割繊しなかった。しかし、上層及び下層において
は、ポリプロピレン割繊フィラメントとポリエチレンテ
レフタレート割繊フィラメントが存在し、且つ各フィラ
メントは実質的に三次元交絡していなかった。即ち、こ
の方法で得られた構造体は、上層と下層とが不織布とな
っており、中層に繊維集積体が挟着されているものであ
る。従って、これは、上層と下層に本発明に係る嵩高不
織布を具備する点で、本発明に係る実施例である。
【0045】実施例7 実施例1と同様の方法により、目付20g/m2の繊維集
積体を作成し、それを二枚積層して実施例1と同様の条
件で高圧水膜状流処理を行なって、不織ウェブを得た。
この不織ウェブから、幅5cm、長さ10cmの試験片を採取
し、定長引張試験機にて引張速度2cm/分の条件下で二
層剥離させ、その際の最大剥離強力を測定した。また、
前記の積層繊維集積体に、比較例1と同様の条件で高圧
水柱状流処理を行なって不織ウェブを得、この不織ウェ
ブの最大剥離強力を測定した。その結果は、以下のとお
りであった。 実施例1と同様の条件の場合:最大剥離強力=84g 比較例1と同様の条件の場合:最大剥離強力=1190g
【0046】実施例8 実施例3と同様の方法により、目付20g/m2の繊維集
積体を作成し、それを二枚積層して実施例3と同様の条
件で高圧水膜状流処理を行なって、不織ウェブを得た。
また、この繊維集積体に、比較例2と同様の条件で高圧
水柱状流処理を行なって不織ウェブを得た。以上の不織
ウェブを用いて、実施例7と同様の条件で最大剥離強力
を測定した。その結果は、以下のとおりであった。 実施例3と同様の条件の場合:最大剥離強力=53g 比較例2と同様の条件の場合:最大剥離強力=980g
【0047】実施例9 実施例4と同様の方法により、目付20g/m2の繊維集
積体を作成し、それを二枚積層して実施例4と同様の条
件で高圧水膜状流処理を行なって、不織ウェブを得た。
また、この繊維集積体に、比較例3と同様の条件で高圧
水柱状流処理を行なって不織ウェブを得た。以上の不織
ウェブを用いて、実施例7と同様の条件で最大剥離強力
を測定した。その結果は、以下のとおりであった。 実施例4と同様の条件の場合:最大剥離強力=92g 比較例3と同様の条件の場合:最大剥離強力=1260g
【0048】実施例10 実施例5と同様の方法により、目付20g/m2の繊維集
積体を作成し、それを二枚積層して実施例5と同様の条
件で高圧水膜状流処理を行なって、不織ウェブを得た。
この不織ウェブを用いて、実施例7と同様の条件で最大
剥離強力を測定した。その結果は、以下のとおりであっ
た。 実施例5と同様の条件の場合:最大剥離強力=52g
【0049】以上の実施例7〜10で示したとおり、実施
例に係る方法で、即ち高圧水膜状流で処理して得られた
不織ウェブは剥離強力が低く、比較例に係る方法で、即
ち高圧水柱状流で処理して得られた不織ウェブは剥離強
力が高い。この理由は、不織ウェブを構成しているフィ
ラメント間が、実施例では実質的に三次元交絡しておら
ず、比較例では実質的に三次元交絡しているからであ
る。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る嵩高
不織ウェブ及び嵩高不織布は、単糸繊度2〜12デニール
の分割型二成分系複合連続単糸が割繊率60%以上で分割
されて生成した、極細の割繊フィラメントA又はXと、
極細の割繊フィラメントB又はYとが混在されてなり、
且つこれらの各割繊フィラメントは実質的に三次元交絡
されていないため、極細の割繊フィラメント間に多数の
空隙が形成されると共にフィラメントの交絡による組織
の高密度化を防止しうる。従って、本発明に係る不織ウ
ェブ及び不織布は、嵩高性に富むと共に柔軟性にも富み
という効果を奏する。
【0051】このような嵩高不織ウェブは、瀘過材や中
入れ綿等として好適に使用でき、また嵩高不織布は、バ
ッグ用基布、封筒用基布、拭き布等として好適に使用し
うるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る嵩高不織布の製造方法の一実施態
様を示す工程概略図である。
【図2】本発明に使用する分割型二成分系複合連続単糸
の横断面の一例を示した模式図である。
【図3】本発明に使用する分割型二成分系複合連続単糸
の横断面の一例を示した模式図である。
【図4】本発明に使用する分割型二成分系複合連続単糸
の横断面の一例を示した模式図である。
【図5】本発明に使用する分割型二成分系複合連続単糸
の横断面の一例を示した模式図である。
【図6】本発明に使用するオリフィスダイの一例の平面
図である。
【図7】図6に示したオリフィスダイの部分拡大図であ
る。
【図8】本発明に使用するスリット形状の噴射孔の一例
を示した図である。
【符号の説明】
4 分割型二成分系複合連続単糸 9 繊維集積体 11 エンボスロール 14 高圧液体膜状流処理装置
フロントページの続き (72)発明者 米沢 安広 京都府宇治市宇治小桜23ユニチカ株式会 社中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D04H 1/00 - 18/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維形成性重合体Aと、該重合体Aに対
    し非相溶性の繊維形成性重合体Bと、よりなる単糸繊度
    2〜12デニールの分割型二成分系複合連続単糸が割繊率
    60%以上で分割されて生成した、該重合体Aで構成され
    る繊度0.05〜0.8デニールの割繊フィラメントAと、該
    重合体Bで構成される繊度0.05〜0.8デニールの割繊フ
    ィラメントBとを含み、且つ該割繊フィラメントA同
    士、該割繊フィラメントB同士、及び該割繊フィラメン
    トAと該割繊フィラメントBとは、実質的に三次元交絡
    されていないことを特徴とする嵩高不織ウェブ。
  2. 【請求項2】 割繊率が80%以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の嵩高不織ウェブ。
  3. 【請求項3】 繊維形成性重合体Aと、該重合体Aに対
    し非相溶性の繊維形成性重合体Bと、よりなる単糸繊度
    2〜12デニールの分割型二成分系複合連続単糸を開繊集
    積させて繊維集積体を得、該繊維集積体に高圧液体膜状
    流を作用させることにより、該重合体Aで構成される繊
    度0.05〜0.8デニールの割繊フィラメントAと、該重合
    体Bで構成される繊度0.05〜0.8デニールの割繊フィラ
    メントBとを発現させることを特徴とする請求項1記載
    の嵩高不織ウェブの製造方法。
  4. 【請求項4】 構成繊維が集積されてなるウェブ区域
    と、構成繊維が自己融着されてなる点状融着区域とを具
    備する不織布であって、該ウェブ区域においては、繊維
    形成性重合体Xと、該重合体Xに対し非相溶性で且つ該
    重合体Xの融点よりも30〜180℃高い融点を有する繊維
    形成性重合体Yと、よりなる単糸繊度2〜12デニールの
    分割型二成分系複合連続単糸が割繊率60%以上で分割さ
    れて生成した、該重合体Xで構成される繊度0.05〜0.8
    デニールの割繊フィラメントXと、該重合体Yで構成さ
    れる繊度0.05〜0.8デニールの割繊フィラメントYとが
    混在し、且つ割繊フィラメントX同士、割繊フィラメン
    トY同士、及び割繊フィラメントXと割繊フィラメント
    Yとは、実質的に三次元交絡しておらず、該融着区域に
    おいては、該分割型二成分系複合連続単糸が実質的に分
    割されておらず、且つ該重合体Xの溶融固化によって該
    分割型二成分系複合連続単糸同士が融着している、こと
    を特徴とする嵩高不織布。
  5. 【請求項5】 割繊率が80%以上であることを特徴とす
    る請求項4記載の嵩高不織布。
  6. 【請求項6】 点状融着区域の全面積が、不織布の全面
    積に対して、5〜50%である請求項4記載の嵩高不織
    布。
  7. 【請求項7】 繊維形成性重合体Xと、該重合体Xに対
    し非相溶性で且つ該重合体Xの融点よりも30〜180℃高
    い融点を有する繊維形成性重合体Yと、よりなる単糸繊
    度2〜12デニールの分割型二成分系複合連続単糸を開繊
    集積させて繊維集積体を得、該繊維集積体をポイント熱
    圧着装置を用いて処理することにより、請求項4記載の
    点状融着区域を形成し、その後繊維集積体に高圧液体膜
    状流を作用させることにより、請求項4記載のウェブ区
    域を形成することを特徴とする嵩高不織布の製造方法。
  8. 【請求項8】 ポイント熱圧着装置として、その表面が
    重合体Xの融点以下の温度に加熱されたエンボスロール
    を使用する請求項7記載の嵩高不織布の製造方法。
  9. 【請求項9】 ポイント熱圧着装置として、超音波溶着
    装置を使用する請求項7記載の嵩高不織布の製造方法。
JP2952991A 1991-01-30 1991-01-30 嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法 Expired - Lifetime JP2907400B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2952991A JP2907400B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2952991A JP2907400B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04300351A JPH04300351A (ja) 1992-10-23
JP2907400B2 true JP2907400B2 (ja) 1999-06-21

Family

ID=12278637

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2952991A Expired - Lifetime JP2907400B2 (ja) 1991-01-30 1991-01-30 嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2907400B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04300351A (ja) 1992-10-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4310594A (en) Composite sheet structure
JPH0749619B2 (ja) 交絡不織布及びその製造方法
WO2015008898A1 (ko) 탄성력 및 결집력이 향상된 멜트블로운 섬유웹 및 그 제조방법
JP2004511664A (ja) メルトブローウェブ
US4429002A (en) Bulky non-woven fabric of polybutylene terephthalate continuous filaments
JP3070632B2 (ja) 柔軟性不織布及びその製造方法
JP2907400B2 (ja) 嵩高不織ウェブ、嵩高不織布、及びそれらの製造方法
JP3948781B2 (ja) 短繊維不織布及びその製造方法
JPH10331063A (ja) 複合不織布およびその製造方法
JP3074338B2 (ja) 極細繊維よりなる不織布の製造方法
JP3562667B2 (ja) 伸縮性長繊維不織布の製造方法
JP3201671B2 (ja) 複合不織布の製造方法
US3847729A (en) Deep-drawable plastic composite comprising plastic film on fibrous support
JP3905916B2 (ja) 極細繊維を含む複合不織布の製造方法
JP3305453B2 (ja) 積層不織構造体
JP3221200B2 (ja) 積層不織布及びその製造方法
JP3259936B2 (ja) 積層不織布及びその製造方法
JP2586126B2 (ja) 長繊維不織布およびその製造法
JPH11158763A (ja) 複合不織布およびその製造方法
JPH10219556A (ja) 使い捨て衛生材用生分解性不織布
JPH05186954A (ja) 寸法安定性に優れた不織布及びその製造方法
JP2000017558A (ja) 極細短繊維を含む複合不織布及びその製造方法
JPH0892856A (ja) 柔軟性の優れた不織布の製造方法
JPH07138863A (ja) ポリエステル系極細繊維不織ウエブ及びその製造方法
JPH08109567A (ja) 積層不織構造体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080402

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090402

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100402

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110402

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term