JP2906998B2 - グロメット - Google Patents

グロメット

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JP2906998B2
JP2906998B2 JP6088238A JP8823894A JP2906998B2 JP 2906998 B2 JP2906998 B2 JP 2906998B2 JP 6088238 A JP6088238 A JP 6088238A JP 8823894 A JP8823894 A JP 8823894A JP 2906998 B2 JP2906998 B2 JP 2906998B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はグロメットに関するもの
である。詳しくは、例えば、エンジンルームと車内側と
を区画する隔壁に形成した貫通孔に挿通されるワイヤハ
ーネスの防水性を保持するためのグロメットに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、エンジンルームと車内と
を区画する隔壁の貫通孔に取り付けられるグロメットで
は、挿通されるワイヤハーネスの各電線間の隙間にシー
ル剤を充填することにより車内側への漏水を防止するよ
うにしている。
【0003】例えば、実開平2─115221号公報に
記載のグロメットの防水構造では、図6に示すように、
ワイヤハーネスW/Hを構成する各電線wの接続部分に
ホットメルト接着剤からなる増径部1を設けて電線w間
に空間を形成することにより、各電線w間に充填剤2を
充填できるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のグロメットの防水構造では、電線wの接続部分に増
径部1を形成しなければならないが、多くの工数を要
し、作業効率、コスト面で問題がある。特に、電線wの
本数が多い程、前記増径部1が必要となるにも拘わら
ず、前述のように、作業工数が増えるため、量産には適
さないという問題がある。そこで、本発明は前記問題点
に鑑み、簡単な構造で安価にシール剤による防水効果を
高めることができ、量産にも適したグロメットを提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、車体パネルの隔壁に設け
た貫通孔に係合する係合溝を備え、ワイヤハーネスが遊
挿される第1挿通孔を有する拡径部と、前記拡径部と連
続し、ワイヤハーネスが密接状態で挿通され、シール剤
が充填される第2挿通孔を有する縮径部とからなるグロ
メットにおいて、前記拡径部の中心に、前記第2挿通孔
に連通してワイヤハーネスを挿通させる第3挿通孔を有
する筒状部を延設すると共に、該筒状部の内周面より中
心に向かって径方向へ突出する電線電離部を設け、該電
線電離部を前記ワイヤハーネスを構成する電線間に挿入
してシール剤充填用ノズルの先端を挿入可とする空間を
形成する構成としたものである。前記電線分離部は1箇
所であってもよいが、複数箇所に設ける方が各電線間に
多くの隙間を形成することができる点で好ましく、特に
前記電線分離部は等分に形成するのがよい。
【0006】請求項2記載の発明では、前記電線分離部
の突出寸法を、前記第3挿通孔の内径に対して10〜3
5%、好ましくは、15〜30%としたもので、最適値
はである。この場合、前記電線分離部の突出寸法は、充
填するシール剤の粘度に応じて大きくするのが好まし
い。
【0007】請求項3記載の発明では、前記電線分離部
の突出方向の先端縁部を先細形状としたものである。
【0008】請求項4記載の発明では、前記電線分離部
を、筒状部の開口端部から所定寸法内方に設けたもので
ある。
【0009】請求項5記載の発明では、前記電線分離部
に、ワイヤハーネスを構成する各電線との接触面に所定
の間隙を形成する凹凸部を形成したものである。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明の構成によれば、グロメッ
トの筒状部及び縮径部を拡開してワイヤハーネスを挿通
した後、拡開状態を解除すれば、前記筒状部内に設けた
電線分離部が各電線間に侵入して隙間を形成する。そし
て、この隙間に、シール剤充填用ノズルを挿入してシー
ル剤を充填すれば、シール剤は当該隙間に面する電線の
隙間から内部の各電線間に浸透する。
【0011】前記電線分離部が複数ある場合、ワイヤハ
ーネスは複数の電線束に分割され、前述のようにして電
線間に浸透したシール剤は他の隙間を構成する電線の一
部から全体に広がり、当該隙間に面する他の部分から電
線間に浸透する。
【0012】請求項2記載の発明の構成によれば、電線
分離部は、弾性変形することなく、ワイヤハーネス内の
所定位置まで侵入し、各電線間に所望の隙間を形成す
る。
【0013】請求項3記載の発明の構成によれば、電線
分離部の先端はスムーズに各電線間に侵入して隙間を形
成する。
【0014】請求項4記載の発明の構成によれば、ノズ
ルから吐出されたシール剤は、一旦、第3挿通孔の内
面、電線分離部及び電線によって形成された凹部内に注
入された後、該凹部に面する電線間から内部に浸透す
る。
【0015】請求項5記載の発明の構成によれば、注入
されたシール剤は電線分離部の凹凸部によって電線との
間に形成された隙間からワイヤハーネスの長手方向に向
かって浸透し、シール剤の浸透範囲が広がる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に従って説
明する。図1(a)は本実施例に係るグロメット11に
ワイヤハーネスW/Hを挿通した状態を示す斜視図であ
る。ワイヤハーネスW/Hは複数本の電線を束ねたもの
で、従来周知のものが使用される。
【0017】グロメット11は、大略、拡径部12、縮
径部13及び筒状部14から構成されており、ゴム、E
PDM(エチレン プロピレン ジエンターポリマー)
等の弾性材料を一体成形することにより形成されるもの
である。
【0018】前記拡径部12は、一端縁部に鍔部15を
有しており、この鍔部15には円周方向に係合溝16が
形成されている。係合溝16は、例えば、図示しないエ
ンジンルームと車内側とを区画する隔壁に形成した貫通
孔の内縁に係合し、グロメット11を隔壁に取り付ける
働きをしている。また、拡径部12は、前記鍔部15を
設けた一端側から徐々に内径の小さくなる第1挿通孔1
7を有している。
【0019】前記縮径部13は、前記拡径部12に連続
し、ワイヤハーネスW/Hが密接状態で挿通する第2挿
通孔18を有している。前記筒状部14は、前記第2挿
通孔18とほぼ同一内径の第3挿通孔19を有してお
り、前記拡径部12から延設されている。第3挿通孔1
9の内面には4等分で電線分離部20が設けられてい
る。電線分離部20の幅寸法はシール剤21を充填する
ためのノズル22の先端外径よりも若干大きく形成さ
れ、また、突出寸法は第3挿通孔19の内径の10〜3
5%とされている。
【0020】このように、前記電線分離部20は、拡径
部12の第1挿通孔17内に位置する小径の筒状部14
に形成された第3挿通孔19の内面から延設されている
ため、単に、前記第1挿通孔17の内面から延設したも
のに比べてワイヤハーネスW/Hに対して所望の剛性を
得ることができる。したがって、下記するように、ワイ
ヤハーネスW/Hを挿通した状態では、前記電線分離部
20を確実に電線w間に介在させることにより、電線w
間に所望の隙間23を形成することができ、ワイヤハー
ネスW/Hの内部に前記ノズル22の先端を挿入するこ
とが可能となる。特に、前記電線分離部20の突出寸法
を筒状部14の内径の15〜30%とすれば、より確実
にワイヤハーネスW/Hに挿入する際の弾性変形を防止
でき、約15%が最適である。これは、突出寸法が短い
ほど剛性が大きくなり、ワイヤハーネスW/Hの間に挿
入しやすくなるからである。また、グロメット11に、
硬度の高い材料(通常50Hsであるのに対して60〜
70Hsのもの)を使用するようにすれば、さらに弾性
変形しにくくすることができる。
【0021】前記構成からなるグロメット11では、ま
ず、図示しない治具により筒状部14の第3挿通孔19
及び縮径部13の第2挿通孔18を拡開し、ワイヤハー
ネスW/Hを挿通する。この状態では、前記筒状部14
に形成した電線分離部20はワイヤハーネスW/Hの外
周からは離間している。
【0022】続いて、前記治具を取り除くことにより、
前記筒状部14及び縮径部13を元の形状に復帰させ
る。これにより、各電線分離部20がワイヤハーネスW
/Hを構成する電線w間に侵入し、電線w間にノズル挿
入用の隙間23が形成され、ワイヤハーネスW/Hはほ
ぼ4分割される。また、第2挿通孔18及び第3挿通孔
19の内面がワイヤハーネスW/Hの外周に密接する。
【0023】ここで、前記隙間23にノズル22の先端
部を挿入し、シール剤21を充填する。使用するシール
剤21としては、例えば、ポリエーテル(粘度350〜
400cps、硬度20、硬化時間3分)、ダイマー脂
肪酸アルコール(粘度2700cps、硬度50〜6
0、硬化時間5分)等が挙げられる。充填されたシール
剤21は、図4(a)に示すように、前記隙間23aに
面する電線w間からワイヤハーネスW/H内に浸透し、
各電線w間に充填される。このとき、浸透したシール剤
21は他の隙間23bに面する電線wの一部に漏出し、
図4(b)に示すように、その表面に広がった後、図4
(c)に示すように、内部に浸透する。
【0024】したがって、シール剤21は、ノズル22
を挿入された隙間23aに面する電線w間から浸透する
だけでなく、他の隙間23bに面する電線w表面に広が
った後、内部に浸透するので、前記電線分離部20によ
って分割された各電線束毎にシール剤21が浸透するこ
とになり、シール作業を非常に効率的に行なうことがで
きる。特に、2液性充填剤等、シール剤21に硬化しや
すいものを使用した場合には最適である。
【0025】なお、前記実施例では、電線分離部20を
4箇所に設けるようにしたが、その数にこだわるもので
はなく、たとえ1箇所であってもよいが、前述のよう
に、複数箇所に設けてワイヤハーネスW/Hを多分割す
る方がシール剤21の浸透性の面で優れており、特に、
分割された電線数を150本程度とするのが好ましい。
【0026】また、前記実施例では、筒状部14の長手
方向に沿って筒状部14と略同一長さの電線分離部20
を形成するようにしたが、筒状部14の開口端部近傍の
みに設けるようにしてもよい。
【0027】さらに、前記実施例では、電線分離部20
を平板状としたが、先端縁部を先細り形状とすれば、電
線w間への侵入を容易にすることができ、また、図5に
示すように、電線分離部20の電線wとの接触面に凹凸
を設けることにより電線wとの間に間隙24を形成すれ
ば、シール剤21がグロメットの長手方向へ浸透しやす
くなる。
【0028】さらにまた、前記実施例では、電線分離部
20を筒状部14の開口端部から設けるようにしたが、
若干内方から設けるようにしてよい。これによれば、充
填されたシール剤21が、一旦、電線分離部20、第3
挿通孔19の内面及び電線wによって形成される凹部内
に注入された後、この凹部に面する電線間から内部に浸
透する。したがって、シール剤21の浸透面積を大きく
でき、浸透範囲が広がる結果、シール性を高めることが
可能となる。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、請求項
1記載の発明によれば、拡径部内に筒状部を形成し、こ
の筒状部内にワイヤハーネスを構成する電線間に所望の
間隙を形成することのできる電線分離部を延設するよう
にしたので、各電線間に隙間を形成することができる。
これにより、隙間に挿入したシール剤充填用ノズルから
シール剤を充填すれば、このシール剤は隙間に面する部
分から各電線間に侵入することになるので、充填作業を
短時間で確実に行なうことができる。
【0029】請求項2記載の発明によれば、各電線分離
部の突出寸法を第3挿通孔の内径の10〜35%、好ま
しくは15〜30%とするようにしたので、前記電線分
離部は弾性変形することなく、確実に各電線間に侵入さ
せることができ、しかも、隙間内に面する電線部分の面
積を、充填されたシール剤がワイヤハーネス内部の各電
線間に浸透するのに適したものとすることが可能とな
る。
【0030】請求項3記載の発明によれば、ワイヤハー
ネスへの電線分離部の侵入が容易となり、電線分離部の
変形等を防止でき、作業性を高めることが可能となる。
【0031】請求項4記載の発明によれば、シール剤
が、一旦、電線分離部、第3挿通孔の内面及び電線によ
って形成される凹部内に注入された後、電線間から内部
に浸透するので、浸透面積を大きくすることができ、浸
透範囲を広げることができる結果、シール性を向上させ
ることが可能となる。この場合、各電線間へのシール剤
の浸透速度も速くなり、作業性を向上させることができ
る。
【0032】請求項5記載の発明によれば、電線分離部
の電線接触面に凹凸を設けて電線との間に間隙を形成す
るようにしたので、シール剤の浸透範囲を広げて、より
シール性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施例に係るグロメットにワイヤハーネス
を挿通した状態を示す斜視図及び各横断面図である。
【図2】 図1のグロメットの縦断面図である。
【図3】 シール剤の充填作業を示す部分斜視図であ
る。
【図4】 筒状部に於けるシール剤の浸透状態を示す断
面図である。
【図5】 筒状部の他の実施例を示す断面図である。
【図6】 従来例に係るグロメットの防水構造を示す断
面図である。
【符号の説明】
11 グロメット 12 拡径部 13 縮径部 14 筒状部 17 第1挿通孔 18 第2挿通孔 19 第3挿通孔 20 電線分離部 23 隙間 W/H ワイヤハーネス w 電線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01B 17/58 H02G 3/22 F16L 5/02 B60R 16/02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体パネルの隔壁に設けた貫通孔に係合
    する係合溝を備え、ワイヤハーネスが遊挿される第1挿
    通孔を有する拡径部と、 前記拡径部と連続し、ワイヤハーネスが密接状態で挿通
    され、シール剤が充填される第2挿通孔を有する縮径部
    とからなるグロメットにおいて、 前記拡径部の中心に、前記第2挿通孔に連通してワイヤ
    ハーネスを挿通させる第3挿通孔を有する筒状部を延設
    すると共に、該筒状部の内周面より中心に向かって径方
    向へ突出する電線電離部を設け、該電線電離部を前記ワ
    イヤハーネスを構成する電線間に挿入してシール剤充填
    用ノズルの先端を挿入可とする空間を形成する構成とし
    ていることを特徴とするグロメット。
  2. 【請求項2】 前記電線分離部の突出寸法を、前記第3
    挿通孔の内径に対して10〜35%としたことを特徴と
    する請求項1記載のグロメット。
  3. 【請求項3】 前記電線分離部の突出方向の先端縁部を
    先細形状としたことを特徴とする請求項1又は2記載の
    グロメット。
  4. 【請求項4】 前記電線分離部を、筒状部の開口端部か
    ら所定寸法内方に設けたことを特徴とする請求項1、2
    又は3記載のグロメット。
  5. 【請求項5】 前記電線分離部に、ワイヤハーネスを構
    成する各電線との接触面に所定の間隙を形成する凹凸部
    を形成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載のグロメット。
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