JP2906456B2 - 表面処理剤および金属材料の酸化防止方法 - Google Patents
表面処理剤および金属材料の酸化防止方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、表面処理剤に係り、さらに詳しくは、有機
ジルコニウム化合物を有効成分とする各種材料の表面処
理剤およびこの表面処理剤を用いる金属材料の酸化防止
方法に関する。
ジルコニウム化合物を有効成分とする各種材料の表面処
理剤およびこの表面処理剤を用いる金属材料の酸化防止
方法に関する。
本発明は、各種材料の有機マトリックスとの親和性を
向上させるための表面処理剤であり、特に金属材料に用
いることにより、金属表面にそれ自体が金属の酸化防止
能を有し、かつ有機マトリックスとの親和性の優れた皮
膜を形成することから、各種金属、たとえば鉄、コバル
ト、ニッケル、銅等およびそれらの合金など、樹脂、塗
料等の有機マトリックスに配合される金属粉末や有機マ
トリックスと複合される金属薄膜等の酸化防止に好適に
使用される。
向上させるための表面処理剤であり、特に金属材料に用
いることにより、金属表面にそれ自体が金属の酸化防止
能を有し、かつ有機マトリックスとの親和性の優れた皮
膜を形成することから、各種金属、たとえば鉄、コバル
ト、ニッケル、銅等およびそれらの合金など、樹脂、塗
料等の有機マトリックスに配合される金属粉末や有機マ
トリックスと複合される金属薄膜等の酸化防止に好適に
使用される。
金属材料、特に金属微粉末、薄膜等の経時的な酸化防
止する方法として、金属表面を極めてゆっくり酸化して
極く薄い酸化皮膜を形成させる方法(特公昭56−028961
号公報等参照)、金属表面に有機酸を吸着させ、酸化に
対する保護膜を形成する方法(特公昭56−027561号公報
等参照)、金属表面にSiO2皮膜を形成し酸化を防止する
方法(応用磁気学会,第39回研究会資料,第13頁(昭和
60年)参照)、金属表面にアンモニアまたは窒素ガスを
用いて窒化皮膜を形成し酸化を防止する方法(特公昭54
−007073号公報等参照)などが知られている。
止する方法として、金属表面を極めてゆっくり酸化して
極く薄い酸化皮膜を形成させる方法(特公昭56−028961
号公報等参照)、金属表面に有機酸を吸着させ、酸化に
対する保護膜を形成する方法(特公昭56−027561号公報
等参照)、金属表面にSiO2皮膜を形成し酸化を防止する
方法(応用磁気学会,第39回研究会資料,第13頁(昭和
60年)参照)、金属表面にアンモニアまたは窒素ガスを
用いて窒化皮膜を形成し酸化を防止する方法(特公昭54
−007073号公報等参照)などが知られている。
金属板、金属粉末、金属薄膜等は、その電気・電子特
性、磁気特性などの優れた特性を利用して、オーディ
オ、ビデオ、コンピューター等に広く使用されている。
金属は、これらの用途には粉末あるいは薄膜として使用
されることが多く、したがって、極めて表面活性が高
く、かつ比表面積が大きいことから、その取り扱い時お
よび保存時に自然発火する危険性や、酸化による特性の
低下の恐れがある。
性、磁気特性などの優れた特性を利用して、オーディ
オ、ビデオ、コンピューター等に広く使用されている。
金属は、これらの用途には粉末あるいは薄膜として使用
されることが多く、したがって、極めて表面活性が高
く、かつ比表面積が大きいことから、その取り扱い時お
よび保存時に自然発火する危険性や、酸化による特性の
低下の恐れがある。
前記引用した金属表面に酸化皮膜を形成する方法にお
いては、金属酸化物は親水性であることから、水分を吸
着して反応し水酸化物を生成するため、酸化防止性が低
下し、その経時安定性は不十分である。有機酸による表
面処理は、その処理過程において金属が酸化される可能
性があるばかりでなく、その処理効果は不十分である。
SiO2皮膜の形成は、十分な酸化防止効果を発現させるた
めには、比較的厚い皮膜を形成する必要があり、金属以
外の成分を数%も含有することとなり、金属本来の諸特
性が変化する。窒化皮膜の形成は、約400℃程度の高温
処理が必要であるため、処理コストが高くなる。
いては、金属酸化物は親水性であることから、水分を吸
着して反応し水酸化物を生成するため、酸化防止性が低
下し、その経時安定性は不十分である。有機酸による表
面処理は、その処理過程において金属が酸化される可能
性があるばかりでなく、その処理効果は不十分である。
SiO2皮膜の形成は、十分な酸化防止効果を発現させるた
めには、比較的厚い皮膜を形成する必要があり、金属以
外の成分を数%も含有することとなり、金属本来の諸特
性が変化する。窒化皮膜の形成は、約400℃程度の高温
処理が必要であるため、処理コストが高くなる。
一般に、SiO2皮膜を含めた酸化皮膜は、親水性であり
雰囲気の水分を吸着し易いため、金属の酸化防止に対す
る経時安定性が不十分となるだけでなく、酸化皮膜を有
する金属粉末は、有機マトリックスへの親和性が小さ
く、樹脂や塗料などへの分散性が小さいため、目的とす
る特性が得られにくい。
雰囲気の水分を吸着し易いため、金属の酸化防止に対す
る経時安定性が不十分となるだけでなく、酸化皮膜を有
する金属粉末は、有機マトリックスへの親和性が小さ
く、樹脂や塗料などへの分散性が小さいため、目的とす
る特性が得られにくい。
本発明は、金属表面の酸化防止性能に優れ、かつ有機
マトリックスとの親和性の良好な表面処理剤、およびこ
の表面処理剤を用いる金属材料の酸化防止法を提供する
ことを目的とする。
マトリックスとの親和性の良好な表面処理剤、およびこ
の表面処理剤を用いる金属材料の酸化防止法を提供する
ことを目的とする。
本発明者等は、前記目的を達成すべく鋭意研究した結
果、特定の置換基を有する有機ジルコニウム化合物を用
いて表面処理を施した各種材料が、有機マトリックスと
の親和性に優れ、特に金属粉末は極めて酸化されにく
く、かつ有機マトリックスへの分散性に優れることを見
出し、本発明を完成した。
果、特定の置換基を有する有機ジルコニウム化合物を用
いて表面処理を施した各種材料が、有機マトリックスと
の親和性に優れ、特に金属粉末は極めて酸化されにく
く、かつ有機マトリックスへの分散性に優れることを見
出し、本発明を完成した。
本発明は、分子内に加水分解性基および親油性基を有
する有機ジルコニウム化合物を含有することを特徴とす
る表面処理剤、前記表面処理剤を用いて金属材料を表面
処理することを特徴とする金属材料の酸化防止方法およ
び前記表面処理剤を用いて金属材料を表面処理した後そ
の表面に有機皮膜を形成することを特徴とする金属材料
の酸化防止方法である。
する有機ジルコニウム化合物を含有することを特徴とす
る表面処理剤、前記表面処理剤を用いて金属材料を表面
処理することを特徴とする金属材料の酸化防止方法およ
び前記表面処理剤を用いて金属材料を表面処理した後そ
の表面に有機皮膜を形成することを特徴とする金属材料
の酸化防止方法である。
本発明の表面処理剤において、その主成分である有機
ジルコニウム化合物は、分子内に炭素数1〜8のアルコ
キシ基からなる加水分解性基、および炭素数4〜23の置
換基を有していてもよいアシロキシ基または炭素数10〜
23の置換基を有していてもよいアルコキシ基、炭素数4
〜23のアルケニルオキシ基もしくはフェノキシ基からな
る親油性基を有するジルコニウムアルコキシド誘導体お
よび/またはジルコノキサン誘導体である。
ジルコニウム化合物は、分子内に炭素数1〜8のアルコ
キシ基からなる加水分解性基、および炭素数4〜23の置
換基を有していてもよいアシロキシ基または炭素数10〜
23の置換基を有していてもよいアルコキシ基、炭素数4
〜23のアルケニルオキシ基もしくはフェノキシ基からな
る親油性基を有するジルコニウムアルコキシド誘導体お
よび/またはジルコノキサン誘導体である。
さらに詳しくは、ジルコニウムアルコキシド誘導体
は、下記一般式(1)または(2) (R1O)m(R2COO)nZr ……(1) (R1O)m(R2O)nZr ……(2) で表され、両式中のR1O−基は、R1が、たとえばメチル
基,エチル基,イソプロピル基,ノルマルブチル基,ペ
ンチル基,ノルマルヘキシル基,シクロヘキシル基,2−
エチルヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基である
アルコキシ基からなる加水分解性基、R2COO−基およびR
2O−基は、R2が、下記に例示するような炭素数4〜23の
置換基を有していてもよいアシロキシ基および炭素数10
〜23の置換基を有していてもよいアルコキシ基、炭素数
4〜23の置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基
もしくはフェノキシ基からなる難加水分解性の親油性基
であり、mおよびnは、1〜3かつm+n=4である一
般式:(R1O)4Zr(ここに、R1は、前記と同じ意味を表
す。)で表されるジルコニウムテトラアルコキシドの誘
導体である。
は、下記一般式(1)または(2) (R1O)m(R2COO)nZr ……(1) (R1O)m(R2O)nZr ……(2) で表され、両式中のR1O−基は、R1が、たとえばメチル
基,エチル基,イソプロピル基,ノルマルブチル基,ペ
ンチル基,ノルマルヘキシル基,シクロヘキシル基,2−
エチルヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基である
アルコキシ基からなる加水分解性基、R2COO−基およびR
2O−基は、R2が、下記に例示するような炭素数4〜23の
置換基を有していてもよいアシロキシ基および炭素数10
〜23の置換基を有していてもよいアルコキシ基、炭素数
4〜23の置換基を有していてもよいアルケニルオキシ基
もしくはフェノキシ基からなる難加水分解性の親油性基
であり、mおよびnは、1〜3かつm+n=4である一
般式:(R1O)4Zr(ここに、R1は、前記と同じ意味を表
す。)で表されるジルコニウムテトラアルコキシドの誘
導体である。
〔R2の例示〕 CH3(CH2)14−,CH3(CH2)3(C2H5)CH−, C8H17CH=CHC7H14−,CH3OOCCH=CH−, C6H13CH(OH)CH=CHC7H14−,C6H5−, C6H5(CH3)2CC6H4−,C12H25C6H5−, C4H9OOCC6H4−,C8H17OOCC6H4−, NH2(CH2)2NH(CH2)2−,NH2C6H4−, (CH3)2NC6H4−,C12H25CONHC6H4−, C17H35NHCOC6H4−,(NH2)2C6H3−, (CH3)(NH2)C6H3−,NH2C6H4CH2−等 またジルコノキサン導体は、下記一般式(3)または
(4) (R1O)y(R2COO)z〔(ZrO)xZr〕 ……(3) (R1O)y(R2O)z〔(ZrO)xZr〕 ……(4) で表され、式中R1およびR2は、前記と同じ意味を表
し、xが、1〜9、かつy+z=2x+4である一般式:
(R1O)4Zr(ここに、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるジルコニウムテトラアルコキシドを加水分解
縮重合して得られる縮合度が10以下のポリマーの誘導体
である。
(4) (R1O)y(R2COO)z〔(ZrO)xZr〕 ……(3) (R1O)y(R2O)z〔(ZrO)xZr〕 ……(4) で表され、式中R1およびR2は、前記と同じ意味を表
し、xが、1〜9、かつy+z=2x+4である一般式:
(R1O)4Zr(ここに、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるジルコニウムテトラアルコキシドを加水分解
縮重合して得られる縮合度が10以下のポリマーの誘導体
である。
前記ジルコニウムアルコキシド誘導体は、一般式:
(R1O)4Zr(ここに、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるジルコニウムテトラアルコキシドと、前記例
示したR2を有するカルボン酸またはアルコールとを、有
機溶剤の存在下または非存在下に反応させることにより
容易に得られる。またジルコノキサン誘導体は、前記ジ
ルコニウムアルコキシドを酸またはアルカリ触媒の存在
下に加水分解し、さらに前記例示したR2を有するカルボ
ン酸またはアルコールを反応させることにより容易に得
られる。
(R1O)4Zr(ここに、R1は、前記と同じ意味を表す。)
で表されるジルコニウムテトラアルコキシドと、前記例
示したR2を有するカルボン酸またはアルコールとを、有
機溶剤の存在下または非存在下に反応させることにより
容易に得られる。またジルコノキサン誘導体は、前記ジ
ルコニウムアルコキシドを酸またはアルカリ触媒の存在
下に加水分解し、さらに前記例示したR2を有するカルボ
ン酸またはアルコールを反応させることにより容易に得
られる。
本発明の表面処理剤は、前記一般式(1),(2),
(3)または(4)で表される有機ジルコニウム化合物
の1種の単独もしくは2種以上の混合物、またはそれら
の有機溶剤液である。
(3)または(4)で表される有機ジルコニウム化合物
の1種の単独もしくは2種以上の混合物、またはそれら
の有機溶剤液である。
これらの有機溶剤として、前記有機ジルコニウム化合
物を溶解できる溶剤が、特に制限なく使用できる。たと
えば低級アルコール類、エステル類、β−ジケトン類、
ケト酸類、ケトエステル類、アミノアルコール類、脂肪
族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素
類等およびそれらの混合溶剤が使用され、特に金属材料
の酸化防止を目的とする場合には、難水溶性の脂肪族炭
化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等
が好ましく用いられる。
物を溶解できる溶剤が、特に制限なく使用できる。たと
えば低級アルコール類、エステル類、β−ジケトン類、
ケト酸類、ケトエステル類、アミノアルコール類、脂肪
族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素
類等およびそれらの混合溶剤が使用され、特に金属材料
の酸化防止を目的とする場合には、難水溶性の脂肪族炭
化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類等
が好ましく用いられる。
本発明の表面処理剤を、表面処理対象の材料表面に一
様に塗布、乾燥することにより表面処理を行うことがで
きる。各種材料への表面処理剤の塗布方法は、材料の形
態により適宜選択され、特に制限はない。たとえば材料
が粉末の場合、液状または溶液状の前記表面処理剤に粉
末を分散し、濾過、乾燥する方法が、また薄膜や板の場
合には、スプレー法、スピンナー法、ディッピング法、
印刷法、ブラッシング法等が採用される。好ましくは、
材料の形態により、均一な表面処理剤の塗膜が形成され
る方法を採用する。
様に塗布、乾燥することにより表面処理を行うことがで
きる。各種材料への表面処理剤の塗布方法は、材料の形
態により適宜選択され、特に制限はない。たとえば材料
が粉末の場合、液状または溶液状の前記表面処理剤に粉
末を分散し、濾過、乾燥する方法が、また薄膜や板の場
合には、スプレー法、スピンナー法、ディッピング法、
印刷法、ブラッシング法等が採用される。好ましくは、
材料の形態により、均一な表面処理剤の塗膜が形成され
る方法を採用する。
前記表面処理剤は、金属、無機、有機の各種材料の表
面処理に使用でき、特に有機マトリックスと複合させて
複合材料とする各種金属および無機物質の粉末、薄膜、
板などの表面処理に好適である。
面処理に使用でき、特に有機マトリックスと複合させて
複合材料とする各種金属および無機物質の粉末、薄膜、
板などの表面処理に好適である。
表面処理剤は、各種材料の表面積当たり、前記有機ジ
ルコニウム化合物として1〜1,000mg/m2、好ましくは5
〜500mg/m2が使用される。
ルコニウム化合物として1〜1,000mg/m2、好ましくは5
〜500mg/m2が使用される。
前記表面処理剤により金属材料に表面処理を施すこと
により金属材料の酸化を防止することがきる。金属材料
として、大気中において比較的に酸化され易い鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、銀、アルミニウム等およびそれら
の合金が例示でき、それらの粉末、薄膜、板などが酸化
防止処理の対象となる。
により金属材料の酸化を防止することがきる。金属材料
として、大気中において比較的に酸化され易い鉄、コバ
ルト、ニッケル、銅、銀、アルミニウム等およびそれら
の合金が例示でき、それらの粉末、薄膜、板などが酸化
防止処理の対象となる。
本発明において、前記金属材料の表面処理のみによっ
て金属材料の酸化を防止することができるが、さらに好
ましくは、表面処理を施した金属材料表面にさらに有機
皮膜を形成する。これらの有機皮膜としては、撥水性の
有機マトリックス、たとえば各種の高分子材料が、目的
に応じて選択される。またこれらの有機皮膜形成材料中
に、前記表面処理剤を添加し、金属材料を処理すること
により、金属材料の表面処理剤による表面処理と有機皮
膜の形成を同時に行うことができる。
て金属材料の酸化を防止することができるが、さらに好
ましくは、表面処理を施した金属材料表面にさらに有機
皮膜を形成する。これらの有機皮膜としては、撥水性の
有機マトリックス、たとえば各種の高分子材料が、目的
に応じて選択される。またこれらの有機皮膜形成材料中
に、前記表面処理剤を添加し、金属材料を処理すること
により、金属材料の表面処理剤による表面処理と有機皮
膜の形成を同時に行うことができる。
本発明の表面処理剤は、前記したように分子内に加水
分解性基と親油性基とを有する有機ジルコニウム化合物
を主成分とすることを特徴とする。
分解性基と親油性基とを有する有機ジルコニウム化合物
を主成分とすることを特徴とする。
本発明の表面処理剤を用いて各種材料に表面処理を施
すことにより、有機ジルコニウム化合物中の加水分解性
基は材料表面や処理雰囲気に存在する水分の影響を受け
て加水分解し、有機ジルコニウム化合物が材料を構成す
る各種元素と直接結合すると共に有機ジルコニウム化合
物が縮重合し、親油性すなわち撥水性の置換基を有する
ジルコノキサンの誘導体の皮膜がそれらの表面に形成さ
れる。
すことにより、有機ジルコニウム化合物中の加水分解性
基は材料表面や処理雰囲気に存在する水分の影響を受け
て加水分解し、有機ジルコニウム化合物が材料を構成す
る各種元素と直接結合すると共に有機ジルコニウム化合
物が縮重合し、親油性すなわち撥水性の置換基を有する
ジルコノキサンの誘導体の皮膜がそれらの表面に形成さ
れる。
有機ジルコニウム化合物の加水分解性は、前記一般式
(1)中のR1O−基の鎖長に左右され、それが過大な場
合、加水分解性が低下し金属材料の表面処理時に良好な
ジルコノキサン誘導体の皮膜の形成が困難となる。した
がって、R1O−基は、炭素数1〜8のアルコキシ基であ
ることが好ましく、入手の容易性などを考慮して炭素数
2〜4のアルコキシ基がさらに好ましく採用される。
(1)中のR1O−基の鎖長に左右され、それが過大な場
合、加水分解性が低下し金属材料の表面処理時に良好な
ジルコノキサン誘導体の皮膜の形成が困難となる。した
がって、R1O−基は、炭素数1〜8のアルコキシ基であ
ることが好ましく、入手の容易性などを考慮して炭素数
2〜4のアルコキシ基がさらに好ましく採用される。
一方、親油性基は、各種材料の表面処理時に加水分解
され難い置換基であることが要求される。したがって、
比較的に加水分解され難いアシロキシ基、アルケニルオ
キシ基、フェノキシ基、長鎖アルコキシ基などが親油性
基として採用される。
され難い置換基であることが要求される。したがって、
比較的に加水分解され難いアシロキシ基、アルケニルオ
キシ基、フェノキシ基、長鎖アルコキシ基などが親油性
基として採用される。
これらの親油性基は、有機マトリックスとの複合の有
無、複合させる有機マトリックスの種類などに対応して
選択される。
無、複合させる有機マトリックスの種類などに対応して
選択される。
表面処理の対象が金属材料の場合、前記ジルコノキサ
ン誘導体の皮膜により金属表面への水分の接触が防止さ
れため、金属の酸化が防止される。
ン誘導体の皮膜により金属表面への水分の接触が防止さ
れため、金属の酸化が防止される。
また前記したように表面に親油性の置換基を有するジ
ルコノキサン誘導体の皮膜が形成されているため、その
表面に有機皮膜を容易に形成することができ、有機皮膜
を形成することにより、より完全な酸化防止が可能とな
る。
ルコノキサン誘導体の皮膜が形成されているため、その
表面に有機皮膜を容易に形成することができ、有機皮膜
を形成することにより、より完全な酸化防止が可能とな
る。
本発明を、実施例および比較例により、さらに詳細に
説明する。
説明する。
ただし、本発明の範囲は、以下の実施例により何等の
制限を受けるものではない。
制限を受けるものではない。
(1) 表面処理剤の合成 (a) 試料Z−1 2の反応フラスコに、イソステアリン酸625g(2.1
モル)を仕込み、40℃に撹拌保持しながらテトラ−n−
ブトキシジルコニウム425g(1.0モル)を徐々に添加し
た。添加終了後さらに40℃に1時間撹拌保持した後、減
圧下(40℃、10Torr)に副生したn−ブタノールを留去
し、液状の淡黄色透明な有機ジルコニウム化合物:試料
Z−1を得た。
モル)を仕込み、40℃に撹拌保持しながらテトラ−n−
ブトキシジルコニウム425g(1.0モル)を徐々に添加し
た。添加終了後さらに40℃に1時間撹拌保持した後、減
圧下(40℃、10Torr)に副生したn−ブタノールを留去
し、液状の淡黄色透明な有機ジルコニウム化合物:試料
Z−1を得た。
得られた試料Z−1を赤外線吸収スペクトルにより分
析(IR分析)した結果、原料のイソステアリン酸に由来
するカルボキシル基の吸収が消失しており、カ焼法の結
果はZrO2含有量14.39%となりジ−n−ブトキシジルコ
ニウムジイソステアレートの理論値(14.45%)と良く
一致した。
析(IR分析)した結果、原料のイソステアリン酸に由来
するカルボキシル基の吸収が消失しており、カ焼法の結
果はZrO2含有量14.39%となりジ−n−ブトキシジルコ
ニウムジイソステアレートの理論値(14.45%)と良く
一致した。
(b) 試料Z−2 2の反応フラスコに、テトラ−n−ブトキシジルコ
ニウム426g(1.0モル)を仕込み、40℃に撹拌保持しな
がらステアリン酸284g(1.0モル)を添加し、添加終了
後さらに40℃に1時間撹拌保持した。ついで減圧下(40
℃、10Torr)に副生したn−ブタノールを留去し、液状
の淡黄色透明な有機ジルコニウム化合物:試料Z−2を
得た。
ニウム426g(1.0モル)を仕込み、40℃に撹拌保持しな
がらステアリン酸284g(1.0モル)を添加し、添加終了
後さらに40℃に1時間撹拌保持した。ついで減圧下(40
℃、10Torr)に副生したn−ブタノールを留去し、液状
の淡黄色透明な有機ジルコニウム化合物:試料Z−2を
得た。
(c) 試料Z−3 2の反応フラスコに、テトラ−n−ブトキシジルコ
ニウム426g(1.0モル)を仕込み、40℃に撹拌保持しな
がら2−エチルカプロン酸144g(1.0モル)を1時間に
わたり添加し、淡黄色透明な有機ジルコニウム化合物含
有溶液を得た。ついで減圧下(40℃、10Torr)に副生し
たn−ブタノール74gを留去し、液状の無色透明な有機
ジルコニウム化合物:試料Z−3を得た。
ニウム426g(1.0モル)を仕込み、40℃に撹拌保持しな
がら2−エチルカプロン酸144g(1.0モル)を1時間に
わたり添加し、淡黄色透明な有機ジルコニウム化合物含
有溶液を得た。ついで減圧下(40℃、10Torr)に副生し
たn−ブタノール74gを留去し、液状の無色透明な有機
ジルコニウム化合物:試料Z−3を得た。
(d) 試料Z−4 2−エチルヘキサノールと無水フタル酸との当モル反
応で得られたフタル酸の2−エチルヘキシル・モノエス
テル137g(0.5モル)を前記反応フラスコに仕込み、60
℃を越えないように撹拌保持しながらテトラ−n−ブト
キシジルコニウム426g(1.0モル)を1時間にわたり添
加し、添加終了後さらに60℃に1時間撹拌保持した。つ
いで減圧下(60℃、10Torr)に副生したn−ブタノール
44gを留去し、有機ジルコニウム化合物:試料Z−4を
得た。
応で得られたフタル酸の2−エチルヘキシル・モノエス
テル137g(0.5モル)を前記反応フラスコに仕込み、60
℃を越えないように撹拌保持しながらテトラ−n−ブト
キシジルコニウム426g(1.0モル)を1時間にわたり添
加し、添加終了後さらに60℃に1時間撹拌保持した。つ
いで減圧下(60℃、10Torr)に副生したn−ブタノール
44gを留去し、有機ジルコニウム化合物:試料Z−4を
得た。
(e) 試料Z−5 前記反応フラスコに、イソステアリン酸1,420g(5モ
ル)およびベンゼン500を仕込み、撹拌下にテトラブト
キシジルコニウムを加水分解して得た平均縮合度10のジ
ルコノキサンブトキシド(商品名:TZTポリマーZ−10、
日本曹達(株)製)2,660gをベンゼン1,000gに溶解した
溶液を徐々に添加し、20〜40℃に5時間保持した。つい
で20〜40℃に保持しながら減圧下に揮発成分(n−ブタ
ノール)を留去し、粘稠な淡黄色透明の有機ジルコニウ
ム化合物・試料Z−5を得た。
ル)およびベンゼン500を仕込み、撹拌下にテトラブト
キシジルコニウムを加水分解して得た平均縮合度10のジ
ルコノキサンブトキシド(商品名:TZTポリマーZ−10、
日本曹達(株)製)2,660gをベンゼン1,000gに溶解した
溶液を徐々に添加し、20〜40℃に5時間保持した。つい
で20〜40℃に保持しながら減圧下に揮発成分(n−ブタ
ノール)を留去し、粘稠な淡黄色透明の有機ジルコニウ
ム化合物・試料Z−5を得た。
試料Z−5は、GPC分析の結果、ブトキシジルコノキ
サンイソステアレートであり、未反応のイソステアリン
酸およびイソステアリン酸ブチルの存在は認められなか
った。
サンイソステアレートであり、未反応のイソステアリン
酸およびイソステアリン酸ブチルの存在は認められなか
った。
(f) 試料Z−6〜10 前記試料Z−1の合成において、各原料および反応モ
ル比を代えた以外には同一の条件で反応を行い、有機ジ
ルコニウム化合物:試料Z−6〜10を合成した。
ル比を代えた以外には同一の条件で反応を行い、有機ジ
ルコニウム化合物:試料Z−6〜10を合成した。
各原料、反応モル比および生成化合物を、試料Z−1
〜Z−5と共に第1表に示す。
〜Z−5と共に第1表に示す。
(2) フィラーの表面処理効果 前記第(1)項で調製した表面処理剤:試料Z−1〜
Z−10の各1重量部をトルエンに溶解した溶液に、各種
の無機フィラー各100重量部を分散した後、濾過乾燥し
フィラーの表面処理を行った。
Z−10の各1重量部をトルエンに溶解した溶液に、各種
の無機フィラー各100重量部を分散した後、濾過乾燥し
フィラーの表面処理を行った。
これらの表面処理フィラー各100重量部とジオクチル
フタレート100重量部とを、石川式擂潰機を用いて30分
間混練した。
フタレート100重量部とを、石川式擂潰機を用いて30分
間混練した。
比較として、未処理の無機フィラーを用いた以外には
同一の条件でフィラーとジオクチルフタレートの混練物
を得た。
同一の条件でフィラーとジオクチルフタレートの混練物
を得た。
得られた混練物の25℃における粘度を、回転式粘度計
(B8R型、東京計器(株)製)を用い、ローターNo.7,20
rpmの条件で測定した。
(B8R型、東京計器(株)製)を用い、ローターNo.7,20
rpmの条件で測定した。
粘度の測定結果を第1表中に示す。
第1表に示したように、本発明の表面処理剤を用いて
表面処理を施した無機フィラーを添加した系は、無処理
の無機フィラーを添加した系に比較して極めて粘度が小
さい。
表面処理を施した無機フィラーを添加した系は、無処理
の無機フィラーを添加した系に比較して極めて粘度が小
さい。
(3) 金属粉末の酸化防止効果 2の四つ口フラスコに窒素ガスを導入しながら、γ
−酸化鉄を還元して製造した平均長軸長:0.14μm、平
均軸比:6、保磁力(Hc):1,510Oe、飽和磁化(σs):1
45emu/gおよび角形比(σr/σs):0.49の強磁性金属粉
末100gおよびトルエン500gを仕込み、撹拌下に前記第
(1)項で調製した試料Z−1〜5および7を10重量倍
量のトルエンに溶解した溶液を添加し、25℃の温度に3
時間撹拌保持した。
−酸化鉄を還元して製造した平均長軸長:0.14μm、平
均軸比:6、保磁力(Hc):1,510Oe、飽和磁化(σs):1
45emu/gおよび角形比(σr/σs):0.49の強磁性金属粉
末100gおよびトルエン500gを仕込み、撹拌下に前記第
(1)項で調製した試料Z−1〜5および7を10重量倍
量のトルエンに溶解した溶液を添加し、25℃の温度に3
時間撹拌保持した。
ついで、強磁性金属粉末を濾過、乾燥した後の磁気特
性(飽和磁化:σ(emu/g 10KOe)および30℃×80%RH
の空気雰囲気下に7日間放置する耐湿試験後の磁気特性
(前出)を測定した。
性(飽和磁化:σ(emu/g 10KOe)および30℃×80%RH
の空気雰囲気下に7日間放置する耐湿試験後の磁気特性
(前出)を測定した。
比較として、有機ジルコニウム化合物に代えて2−エ
チルヘキサン酸(CZ−1)、安息香酸(CZ−1)および
ステアリン酸(CZ−1)を用い、前記と同一の条件で処
理した強磁性金属粉末について、前記と同一の条件で磁
気特性(前出)を測定した。
チルヘキサン酸(CZ−1)、安息香酸(CZ−1)および
ステアリン酸(CZ−1)を用い、前記と同一の条件で処
理した強磁性金属粉末について、前記と同一の条件で磁
気特性(前出)を測定した。
耐湿試験前後の磁気特性(前出)を、第2表に示す。
第2表に示したように、耐湿試験前後の磁気特性の変
化は、有機酸を表面処理剤とした比較例では大幅に低下
するのに対し、本発明の表面処理剤を用いた実施例にお
いては、その低下幅が小さく酸化防止性が優れている。
化は、有機酸を表面処理剤とした比較例では大幅に低下
するのに対し、本発明の表面処理剤を用いた実施例にお
いては、その低下幅が小さく酸化防止性が優れている。
(4) 磁気テープ 前記第(1)項で製造した表面処理剤:試料Z−6〜
Z−8を使用し、前記第(3)項で用いた強磁性金属粉
末を第(3)項と同一の方法で表面処理し、下記に示す
配合で磁性塗料を調製した。
Z−8を使用し、前記第(3)項で用いた強磁性金属粉
末を第(3)項と同一の方法で表面処理し、下記に示す
配合で磁性塗料を調製した。
また、比較として、安息香酸(CZ−2)およびモノ−
2エチルヘキシルフタレート(CZ−4)で表面処理した
強磁性金属粉末ならびに無処理の強磁性金属粉末を用い
て、前記と同様に磁性塗料を調製した。
2エチルヘキシルフタレート(CZ−4)で表面処理した
強磁性金属粉末ならびに無処理の強磁性金属粉末を用い
て、前記と同様に磁性塗料を調製した。
表面処理磁性金属粉末 200 g 塩化ビニル共重合樹脂 60 g (VAGH、ユニオンカーバイド社製) ウレタン樹脂 5 g (コロネート、日本ポリウレタン(株)製) カーボンブラック 0.5g (ネオスペクトラ・マークII、コロンビアカーボン社
製) シリコンオイル 1.0g (V.F.96、信越化学(株)製) トルエン 200ml メチルエチルケトン 250ml これらの磁性塗料を、厚さ0.1mmのポリエステルフィ
ルムに一様な厚さに塗布し磁気テープを調製し、これら
の磁気テープについて、調製直後および60℃×90%RH×
4日の耐湿試験後の磁気特性を測定した。
製) シリコンオイル 1.0g (V.F.96、信越化学(株)製) トルエン 200ml メチルエチルケトン 250ml これらの磁性塗料を、厚さ0.1mmのポリエステルフィ
ルムに一様な厚さに塗布し磁気テープを調製し、これら
の磁気テープについて、調製直後および60℃×90%RH×
4日の耐湿試験後の磁気特性を測定した。
測定結果を、第3表に示す。
第3表に示したように、耐湿試験前後の磁気特性は、
比較例においては大幅な低下が認められるが、本発明の
表面処理剤を用いて表面処理した強磁性金属粉末を用い
た実施例においては、その低下幅が小さく、本発明の表
面処理剤が、酸化防止性に優れていることを示してい
る。
比較例においては大幅な低下が認められるが、本発明の
表面処理剤を用いて表面処理した強磁性金属粉末を用い
た実施例においては、その低下幅が小さく、本発明の表
面処理剤が、酸化防止性に優れていることを示してい
る。
(5) 金属鉄蒸着フィルム 厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
に、70度の角度で鉄を蒸着した。このフィルムを前記第
(1)項で合成した表面処理剤:試料Z−1、Z−5お
よびZ−6のそれぞれの2%トルエン溶液に浸漬した
後、70秒後に引き上げて風乾し、さらにアクリル塗料
(アクリディック A−166、大日本インキ化学(株)
製)を10ミルの厚さに塗布し60℃に2時間保持して乾燥
し磁性フィルムを調製した。
に、70度の角度で鉄を蒸着した。このフィルムを前記第
(1)項で合成した表面処理剤:試料Z−1、Z−5お
よびZ−6のそれぞれの2%トルエン溶液に浸漬した
後、70秒後に引き上げて風乾し、さらにアクリル塗料
(アクリディック A−166、大日本インキ化学(株)
製)を10ミルの厚さに塗布し60℃に2時間保持して乾燥
し磁性フィルムを調製した。
また比較として、ポリアクリル酸(CZ−5)およびイ
ソステアリン酸(CZ−3)の2%トルエン溶液を用い表
面処理し、以下前記と同様に処理して磁性フィルムを調
製した。
ソステアリン酸(CZ−3)の2%トルエン溶液を用い表
面処理し、以下前記と同様に処理して磁性フィルムを調
製した。
得られた磁性フィルムについて、調製直後と60℃×90
%RH×7日の耐湿試験後の磁気特性(残留磁束密度:Br
gauss)を測定した。
%RH×7日の耐湿試験後の磁気特性(残留磁束密度:Br
gauss)を測定した。
測定結果を、第4表に示す。
第4表に示したように、本発明の表面処理剤は、蒸着
鉄の酸化防止性にも優れている。
鉄の酸化防止性にも優れている。
(6) コバルトめっき皮膜の酸化防止 片面にスパッターによりPdを0.005%付着させた厚さ2
5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ
(株)製)に、下記組成の無電解メッキ浴を用いて80℃
×60秒の条件でコバルトめっきを行った。
5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ
(株)製)に、下記組成の無電解メッキ浴を用いて80℃
×60秒の条件でコバルトめっきを行った。
CoSO4 0.05mol/ リン酸二水素ナトリウム 0.2 mol/ クエン酸ナトリウム 0.2 mol/ 硫酸アンモニウム 0.5 mol/ コバルトめっき皮膜を形成したフィルムを、前記第
(1)項で合成した表面処理剤:試料Z−1、Z−3お
よびZ−4の2%トルエン溶液に浸漬して引き上げた
後、純トルエンに浸漬して引き上げ風乾した。ついでそ
の上にアクリル塗料(前出)を10ミルの厚さに塗布、乾
燥し試料を作成した。
(1)項で合成した表面処理剤:試料Z−1、Z−3お
よびZ−4の2%トルエン溶液に浸漬して引き上げた
後、純トルエンに浸漬して引き上げ風乾した。ついでそ
の上にアクリル塗料(前出)を10ミルの厚さに塗布、乾
燥し試料を作成した。
また比較として、めっき皮膜の表面処理をステアリン
酸(CZ−3)で行った試料を作成した。
酸(CZ−3)で行った試料を作成した。
得られた試料について、作成直後および60℃×90%RH
×7日の耐湿試験後の磁気特性を測定した。
×7日の耐湿試験後の磁気特性を測定した。
また、得られた試料を20℃×40%RHの雰囲気下に20日
間放置した後、JIS K−5400に準拠したクロスカット法
により密着試験を行った後、さらに40℃×90%RHの雰囲
気下に48時間放置して錆の発生状況を観察した。
間放置した後、JIS K−5400に準拠したクロスカット法
により密着試験を行った後、さらに40℃×90%RHの雰囲
気下に48時間放置して錆の発生状況を観察した。
これらの結果を、第5表に示す。
第5表に示したように、本発明の表面処理剤は、コバ
ルト皮膜の酸化防止性に優れるだけでなく、アクリル塗
膜の密着性も改善する。
ルト皮膜の酸化防止性に優れるだけでなく、アクリル塗
膜の密着性も改善する。
(7) 銅被覆フィラー 平均粒度325メッシュ、アスペクト比30のフロゴパイ
トマイカ30gを、エポキシ樹脂0.15gおよびポリアミド樹
脂0.3gをエタノール100ccに溶解した溶液に分散させ、3
0分間保持した後、濾過、乾燥し、ついで110℃に1時間
保持して硬化させ樹脂被覆した。
トマイカ30gを、エポキシ樹脂0.15gおよびポリアミド樹
脂0.3gをエタノール100ccに溶解した溶液に分散させ、3
0分間保持した後、濾過、乾燥し、ついで110℃に1時間
保持して硬化させ樹脂被覆した。
得られた樹脂被覆マイカをPdCl2濃度0.1g/の塩化パ
ラジウム塩酸溶液250ccに30分間浸漬した後濾過し、さ
らに水洗を2回行った。
ラジウム塩酸溶液250ccに30分間浸漬した後濾過し、さ
らに水洗を2回行った。
ついで得られたPd処理マイカを、下記組成物の無電解
銅めっき浴に浸漬し銅めっきを行い、銅被覆フィラーを
得た。
銅めっき浴に浸漬し銅めっきを行い、銅被覆フィラーを
得た。
〔銅メッキ浴組成〕 CuSO4・5H2O 117.9g EDTA・4Na 240.0g HCHO(35%) 243.4g 上記を水3に溶解し、NaOHを加えpHを11.0に調整し
た溶液。
た溶液。
得られた銅被覆フィラーの銅含有率は49.2%、体積固
有抵抗値(体積分率18%)は2.0×10-3Ω・cmであっ
た。
有抵抗値(体積分率18%)は2.0×10-3Ω・cmであっ
た。
これらの銅被覆フィラーを、前記第(1)項で合成し
た表面処理剤:試料Z−1およびZ−6〜Z−8の5%
トルエン溶液に浸漬した後濾別し、100℃で2時間乾燥
し表面処理を行った。
た表面処理剤:試料Z−1およびZ−6〜Z−8の5%
トルエン溶液に浸漬した後濾別し、100℃で2時間乾燥
し表面処理を行った。
また比較として、チタネート系表面処理剤(イソプロ
ポキシチタントリイソステアレート)(CZ−6)の5%
トルエン溶液を用いて同様の方法で表面処理を行った。
ポキシチタントリイソステアレート)(CZ−6)の5%
トルエン溶液を用いて同様の方法で表面処理を行った。
これらの表面処理銅被覆フィラー17部を、アクリル系
樹脂(アクリディックNo.2026 GL クリヤー、大日本イ
ンキ(株)製)33部を希釈剤(トルエン70%、セロソル
ブ20%およびアセトン10%からなる混合溶剤)50部に溶
解した溶液に加え、10分間撹拌して塗料を調製した。
樹脂(アクリディックNo.2026 GL クリヤー、大日本イ
ンキ(株)製)33部を希釈剤(トルエン70%、セロソル
ブ20%およびアセトン10%からなる混合溶剤)50部に溶
解した溶液に加え、10分間撹拌して塗料を調製した。
得られた塗料をABS樹脂板にスプレー塗装して乾燥
し、厚さ50μmの塗膜を形成した。
し、厚さ50μmの塗膜を形成した。
得られた塗膜について、塗膜形成直後および50℃×95
%×500時間の耐湿試験後の表面抵抗値を測定した。
%×500時間の耐湿試験後の表面抵抗値を測定した。
測定結果を第6表に示す。
第6表に示したように、本発明の表面処理剤は、銅に
対しても優れた酸化防止性を示す。また塗膜形成直後の
表面抵抗値は、本発明の表面処理剤で表面処理を施した
銅被覆フィラーの塗膜中への分散性が優れていることを
示している。
対しても優れた酸化防止性を示す。また塗膜形成直後の
表面抵抗値は、本発明の表面処理剤で表面処理を施した
銅被覆フィラーの塗膜中への分散性が優れていることを
示している。
(8) 銅粉末の酸化防止 前記第(1)項で合成した表面処理剤:試料Z−5、
Z−6およびZ−8の2%トルエン溶液100部に、平均
粒径10μmの電解銅粉100部を分散させた後濾別し、つ
いで100℃で180分間乾燥し、表面処理銅粉を得た。
Z−6およびZ−8の2%トルエン溶液100部に、平均
粒径10μmの電解銅粉100部を分散させた後濾別し、つ
いで100℃で180分間乾燥し、表面処理銅粉を得た。
また比較として、表面処理剤として前出のイソプロポ
キシチタントリイソステアレート(CZ−6)の2%トル
エン溶液を用い、前記と同様に処理して表面処理銅粉を
得た 得られた表面処理銅100部に、アクリル樹脂20部およ
び酢酸ブチル20部を加えて混合し、さらに酢酸ブチルを
加えてB型粘度計ロータNo.412rpmで測定した粘度が300
ポイズと成るように調整し、導電性銅ペーストを調製し
た。
キシチタントリイソステアレート(CZ−6)の2%トル
エン溶液を用い、前記と同様に処理して表面処理銅粉を
得た 得られた表面処理銅100部に、アクリル樹脂20部およ
び酢酸ブチル20部を加えて混合し、さらに酢酸ブチルを
加えてB型粘度計ロータNo.412rpmで測定した粘度が300
ポイズと成るように調整し、導電性銅ペーストを調製し
た。
この銅ペーストをノリル樹脂基板に150メッシュのス
クリーンを用いて、厚さ20μm、線幅2mm、長さ150mmの
パターンをスクリーン印刷した。
クリーンを用いて、厚さ20μm、線幅2mm、長さ150mmの
パターンをスクリーン印刷した。
パターン化された塗膜について、初期導電性、150℃
に2時間保持した耐熱性試験後の導電性および65℃×95
%RH×2,000時間の耐湿試験後の導電性を測定した。
に2時間保持した耐熱性試験後の導電性および65℃×95
%RH×2,000時間の耐湿試験後の導電性を測定した。
導電性の測定は極間距離40mmとし、ダブルブリッジで
抵抗値を測定し、塗膜断面積から比抵抗値(Ω・cm)を
算出した。
抵抗値を測定し、塗膜断面積から比抵抗値(Ω・cm)を
算出した。
測定結果を、第7表に示す。
第7表に示したように、本発明の表面処理剤は、銅粉
末の酸化防止性に優れるだけでなく、その有機マトリッ
クスへの分散性をも向上させる。
末の酸化防止性に優れるだけでなく、その有機マトリッ
クスへの分散性をも向上させる。
本発明は加水分解性基と非加水分解性の親油性基とを
有する有機ジルコニウム化合物を含有することを特徴と
する表面処理剤、およびこの表面処理剤を用いて表面処
理することを特徴とする金属の酸化防止方法である。
有する有機ジルコニウム化合物を含有することを特徴と
する表面処理剤、およびこの表面処理剤を用いて表面処
理することを特徴とする金属の酸化防止方法である。
前記実施例にも示したように、本発明の表面処理剤を
用いて無機フィラー、金属粉末等を表面処理することに
より、これらの有機マトリックスへの分散性が著しく向
上する。また金属表面を表面処理することにより、その
酸化が防止され、さらにその表面に有機マトリックスた
とえば樹脂皮膜を形成した場合に樹脂皮膜の密着性が向
上する。
用いて無機フィラー、金属粉末等を表面処理することに
より、これらの有機マトリックスへの分散性が著しく向
上する。また金属表面を表面処理することにより、その
酸化が防止され、さらにその表面に有機マトリックスた
とえば樹脂皮膜を形成した場合に樹脂皮膜の密着性が向
上する。
したがって、フィラーを配合した樹脂組成物分野、特
に金属粉末を含有する磁性塗料、導電性塗料分野や、プ
リント基板の保護レジストの下地処理等として好適であ
る。
に金属粉末を含有する磁性塗料、導電性塗料分野や、プ
リント基板の保護レジストの下地処理等として好適であ
る。
本発明は、無機フィラーや金属表面に適用し、その有
機マトリックスとの親和性を向上させるばかりでなく、
金属表面の酸化防止性の優れた表面処理剤、およびそれ
を用いる金属表面の酸化防止方法を提供するものであ
り、その産業上の意義は極めて大きい。
機マトリックスとの親和性を向上させるばかりでなく、
金属表面の酸化防止性の優れた表面処理剤、およびそれ
を用いる金属表面の酸化防止方法を提供するものであ
り、その産業上の意義は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23F 11/00 C09D 5/00,5/08,5/10
Claims (5)
- 【請求項1】分子内に炭素数1〜8のアルコキシ基から
なる加水分解性基、および炭素数4〜23の置換基を有し
てよいアシロキシ基または炭素数10〜23の置換基を有し
てもよいアルコキシ基、炭素数4〜23の置換基を有して
もよいアルケニルオキシ基もしくはフェノキシ基からな
る親油性基を有するジルコニウムアルコキシド誘導体お
よび/またはジルコノキサン誘導体であることを特徴と
する表面処理剤 - 【請求項2】請求項(1)において、ジルコニウムアル
コキシド誘導体が、下記一般式(1)および(2) (R1O)m(R2COO)nZr ……(1) (R1O)m(R2O)nZr ……(2) (ここに、R1は、炭素数1〜8のアルキル基、R2は、炭
素数4〜23の一価の有機基を表し、mおよびnは、1〜
3かつm+n=4である。) で表される化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1
種であることを特徴とする表面処理剤 - 【請求項3】請求項(1)において、ジルコノキサン誘
導体が、一般式(3)および(4) (R1O)y(R2COO)z[(ZrO)xZr] ……(3) (R1O)y(R2O)z[(ZrO)xZr] ……(4) (ここに、R1およびR2は、前記と同じ意味を表し、xは
1〜9でy+z=2x+4である。) で表される化合物群から選ばれた少なくとも1種である
ことを特徴とする表面処理剤 - 【請求項4】金属材料を、請求項(1)項記載の金属材
料用表面処理剤を用いて表面処理することを特徴とする
金属材料の酸化防止法 - 【請求項5】金属材料を、請求項(1)項記載の金属材
料表面処理剤を用いて表面処理した後、その表面に有機
皮膜を形成することを特徴とする金属材料の酸化防止法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17289789A JP2906456B2 (ja) | 1989-07-06 | 1989-07-06 | 表面処理剤および金属材料の酸化防止方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17289789A JP2906456B2 (ja) | 1989-07-06 | 1989-07-06 | 表面処理剤および金属材料の酸化防止方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0339492A JPH0339492A (ja) | 1991-02-20 |
JP2906456B2 true JP2906456B2 (ja) | 1999-06-21 |
Family
ID=15950366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17289789A Expired - Lifetime JP2906456B2 (ja) | 1989-07-06 | 1989-07-06 | 表面処理剤および金属材料の酸化防止方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2906456B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3347394B2 (ja) * | 1993-05-19 | 2002-11-20 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 酸素捕捉性塗料 |
-
1989
- 1989-07-06 JP JP17289789A patent/JP2906456B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0339492A (ja) | 1991-02-20 |
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