JP2905619B2 - アクティブマトリクス型液晶表示素子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば投射型液晶表示
装置等に使用される液晶表示素子に関し、さらに詳述す
れば、液晶分子の配向の乱れを防止し得るアクティブマ
トリクス型液晶表示素子に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示素子では、マトリクス状に配列
された絵素電極を選択的に駆動することにより、選択さ
れた絵素電極とこれに対向する対向電極との間に電圧が
印加されて、これらの電極の間に介在する液晶が光学的
に変調されて、表示パターンが形成される。絵素電極の
駆動方式として、マトリクス状に配列された個々の絵素
電極それぞれにスイッチング素子を連結して駆動するア
クティブマトリクス駆動方式が知られている。絵素電極
を選択駆動するスイッチング素子としては、ＴＦＴ（薄
膜トランジスタ）素子、ＭＩＭ（金属−絶縁層−金属）
素子、ＭＯＳトランジスタ素子、ダイオード、バリスタ
等が一般的である。アクティブマトリクス駆動方式によ
る液晶表示素子は、高コントラストの表示が可能であ
り、液晶テレビジョン、ワードプロセッサ、コンピュー
タの端末表示素子等として実用化されている。

【０００３】アクティブマトリクス型液晶表示素子は、
図３に示すように、ガラス板81上に多数の絵素電極84が
マトリクス状に配置されたアクティブマトリクス基板80
と、ガラス板91上に透明な対向電極92を有する対向基板
90とを適当な間隔をあけて貼り合わせて、両基板間に液
晶が封入されて液晶層95が形成されている。アクティブ
マトリクス基板80は、図４に示すように、相互に平行す
る多数のゲートバス配線82と、相互に平行する多数のソ
ースバス配線83とが、ガラス基板81上に格子状に設けら
れている。そして、各ゲートバス配線82およびソースバ
ス配線83にて囲まれた部分に絵素電極84が設けられてい
る。各ゲートバス配線82と各ソースバス配線83とで囲ま
れた各絵素電極84には、各ゲートバス配線82とソースバ
ス配線83との交差部近傍に設けられたＴＦＴ85がそれぞ
れ接続されている。各ＴＦＴ85は、各ゲートバス配線82
とソースバス配線83とにもそれぞれ接続されている。

【０００４】他方、主に投射型液晶表示装置に用いられ
る白黒液晶表示素子の対向基板９０におけるガラス基板
９１には、図３に示すように、アクティブマトリクス基
板８０の各絵素電極８４との対向部分以外を覆うよう
に、ブラックマスク９３が、各絵素電極８４の外周縁部
に重なった状態で設けられている（図４における２点鎖
線参照）。そして、ブラックマスク９３を覆うように、
ガラス基板９１ほぼ全域に対向電極９２が設けられてい
る。そして、絵素電極８４と対向電極９２との間に所定
の電圧が印加されると、両電極にて挟まれた液晶層９５
部分が光学的に変調されて、所定の画像が表示される。

【０００５】また、主に直視型液晶表示装置に用いられ
るカラー液晶表示素子では、図５に示すように、対向基
板90におけるガラス基板91と対向電極92との間であるブ
ラックマスク93間には、例えば、ゼラチンにより形成さ
れたカラーフィルター97が設けられる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このようなアクティブ
マトリクス型液晶表示素子では、絵素電極８４の中央部
においては、図３に示すように、該絵素電極８４に対し
てほぼ垂直方向に電界８６が形成されるために、液晶層
９５の分子はその電界８６に沿った向きに配向される。
しかしながら、絵素電極８４の外周縁部においては、絵
素電極８４からゲートバス配線８２またはソースバス配
線８３への電界８７が発生しており、しかも、ゲートバ
ス配線８２およびソースバス配線８３上に電界が形成さ
れることにより、絵素電極８４に沿って横方向へと広が
り、乱れた状態になる。このように、各絵素電極８４の
外周縁部において、電界が乱れると、液晶層９５の分子
は、絵素電極８４の中央部における配向方向に対して傾
斜状態になったリバースチルトが発生し、図４に示すよ
うに、所謂ドメイン領域９６が形成される。そして、こ
のドメイン領域９６と正常な領域との境界に、輝線９８
が発生する。このようなドメイン領域９６が発生する
と、表示コントラストが低下したり、ドメイン領域９６
に残像現象が発生するおそれがあり、さらには、輝線９
８が形成されることによって表示画像の品質が低下する
という問題もある。

【０００７】本発明はこのような問題点を解決するもの
であり、その目的は、リバースチルトによるドメイン領
域が発生することが防止されて、表示画像の品質が低下
するおそれがないアクティブマトリクス型液晶表示素子
を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明のアクティブマト
リクス型液晶表示素子は、透光性基板上に、スイッチン
グ素子をそれぞれ有する多数の絵素電極がマトリクス状
に配置されており、各スイッチング素子に対する配線が
各絵素電極間に設けられたアクティブマトリクス基板
と、該アクティブマトリクス基板とは適当な間隔をあけ
て配設された透光性基板上に、各絵素電極に対向する対
向電極が設けられた対向基板と、前記アクティブマトリ
クス基板と対向基板との間に封入された液晶層と、を有
するアクティブマトリクス型液晶表示素子において、前
記アクティブマトリクス基板と対向基板の少なくともい
ずれか一方の透光性基板には、前記配線が形成されてい
る部分または前記配線に対向する部分が断面視凹状とな
るように、該透光性基板上に設けられるいずれかの電極
との間に、配線領域で発生するドメイン領域が絵素電極
領域に拡大しないように側壁に相当する部分でブロック
するスペーサー層が配設され、前記液晶層の厚みは配線
領域よりも絵素電極領域が薄くなるように形成されてな
り、そのことにより、上記目的が達成される。

【０００９】

【作用】本発明のアクティブマトリクス型液晶表示素子
では、配線が形成されている部分または配線に対向する
部分が断面視凹状となるようにスペーサー層が配設さ
れ、液晶層の厚みは配線領域よりも絵素電極領域が薄く
なるように形成されている。このため、絵素電極と対向
電極との間に形成される電界が強くなり、絵素電極と各
絵素電極の外周縁部に設けられた配線との間に形成され
る電界の影響を受けにくくなり、両電極間に形成される
電界の乱れが抑制される。また、各絵素電極の外周縁部
に設けられた配線部分で発生する液晶層の分子の配向乱
れは、スペーサー層の側壁に相当する部分でブロックさ
れ、絵素電極部分にリバースチルトが拡大することを防
止することができる。

【００１０】

【実施例】本発明の実施例について以下に説明する。本
発明のアクティブマトリクス型液晶表示素子は、図１お
よび図２に示すように、アクティブマトリクス基板10と
対向基板20とを有している。両基板10および20は、適当
な間隔をあけて貼り付けられており、両基板間に液晶が
封入されて液晶層30が形成されている。アクティブマト
リクス基板10は、図２に示すように、相互に平行する多
数のゲートバス配線12と、相互に平行する多数のソース
バス配線13とが、ガラス基板11上に格子状に設けられて
いる。そして、各ゲートバス配線12およびソースバス配
線13にて囲まれた部分に絵素電極14が設けられている。
各ゲートバス配線12と各ソースバス配線13とで囲まれた
各絵素電極14には、各ゲートバス配線12とソースバス配
線13との交差部近傍に設けられたＴＦＴ15が、ドレイン
電極17を介してそれぞれ接続されている。各ＴＦＴ15
は、各ゲートバス配線12の一部がゲート電極とされてお
り、また、ソースバス配線13とはソース電極16を介して
接続されている。

【００１１】他方、対向基板２０におけるガラス基板２
１には、図１に示すように、アクティブマトリクス基板
１０の各絵素電極１４との対向部分以外を覆うように、
ブラックマスク２３が、各絵素電極１４の外周縁部に重
なった状態で設けられている（図２における２点鎖線参
照）。ガラス基板２１には、ブラックマスク２３間の領
域を埋めるように、ブラックマスク２３の外縁部に積層
された状態で、スペーサー層２４がそれぞれ設けられて
いる。各スペーサー層２４は、例えば透明な平板状のゼ
ラチン膜を、ブラックマスク２３の形状に対応させてパ
ターニングすることによって形成される。そして、各ス
ペーサー層２４および各スペーサー層２４間のブラック
マスク２３を覆うように、ガラス基板２１ほぼ全域に対
向電極２２が設けられている。従って、各スペーサー層
２４は、各ゲートバス配線１２および各ソースバス配線
１３が形成された部分が断面視凹状となり、各絵素電極
１４領域の液晶層３０の厚さを各ゲートバス配線１２お
よび各ソースバス配線１３領域の液晶層３０の厚さより
も薄くしている。

【００１２】このような構成の液晶表示素子では、絵素
電極１４と対向電極２２との間に所定の電圧が印加され
ると、両電極１４および２２間に電界が発生する。各絵
素電極１４における外周縁部を除く部分は、対向電極２
２が各スペーサー層２４によって各絵素電極１４に接近
した状態になっているため、各絵素電極１４にほぼ垂直
な方向への電界が形成され、その電界方向に沿って液晶
層３０の液晶分子が配向される。これに対して、各絵素
電極１４の外周縁部では、電界の乱れが発生し、また、
各ゲートバス配線１２およびソースバス配線１３上に電
界が形成されるために、これらの影響により、各ゲート
バス配線１２およびソースバス配線１３上にドメイン領
域４０が発生するが、スペーサー層２４が各ゲートバス
配線１２および各ソースバス配線１３が形成された部分
で断面視凹状となっているために、このドメイン領域４
０はスペーサー層２４の側壁に相当する部分でブロック
され、各絵素電極１４の中央部に拡大するおそれがな
く、従って、表示画像の品質に悪影響を及ぼすおそれが
ない。

【００１３】このようなアクティブマトリクス型の液晶
表示素子は、投影型表示装置に使用されて表示画像が拡
大された場合にも、ドメイン領域40が表示に寄与しない
部分にしか発生しないために、ドメイン領域が拡大され
て表示されるおそれがなく、表示品質が著しく向上す
る。

【００１４】なお、上記実施例では、対向基板20におけ
るガラス基板21と対向電極との間にスペーサー層を設け
る構成としたが、アクティブマトリクス基板10における
ガラス基板11と各絵素電極14との間にスペーサー層を設
ける構成としてもよく、また、対向基板20とアクティブ
マトリクス基板10の両方に、スペーサー層を設けてもよ
い。このような構成は、カラーフィルターを用いた素子
において、ドメインが問題になる場合に特に有効であ
る。

【００１５】

【発明の効果】本発明のアクティブマトリクス型液晶表
示素子は、このように、配線が形成されている部分また
は配線に対向する部分が断面視凹状となるようにスペー
サー層が配設され、液晶層の厚みは配線領域よりも絵素
電極領域が薄くなるように形成されているので、両電極
間における電界の乱れを抑制することができる。また、
各絵素電極の外周縁部に設けられた配線部分で発生する
液晶層の分子の配向乱れをスペーサー層の側壁に相当す
る部分でブロックし、絵素電極部分にリバースチルトに
よるドメイン領域が拡大することを防止することがで
き、表示画像の品質を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のアクティブマトリクス型液晶表示素子
の一例を示す縦断面図である。

【図２】図１のアクティブマトリクス型液晶表示素子の
平面図である。

【図３】従来のアクティブマトリクス型液晶表示素子の
縦断面図である。

【図４】図３のアクティブマトリクス型液晶表示素子の
平面図である。

【図５】従来のアクティブマトリクス型液晶表示素子の
他の例の縦断面図である。

【符号の説明】

10 アクティブマトリクス基板 11 ガラス基板 12 ゲートバス配線 13 ソースバス配線 14 絵素電極 20 対向基板 21 ガラス基板 22 対向電極 23 ブラックマスク 24 スペーサー層 30 液晶層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 利夫 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (72)発明者 岡西 理量 大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャー プ株式会社内 (56)参考文献 特開 平１−201622（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−148428（ＪＰ，Ａ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 透光性基板上に、スイッチング素子をそ
   れぞれ有する多数の絵素電極がマトリクス状に配置され
   ており、各スイッチング素子に対する配線が各絵素電極
   間に設けられたアクティブマトリクス基板と、 該アクティブマトリクス基板とは適当な間隔をあけて配
   設された透光性基板上に、各絵素電極に対向する対向電
   極が設けられた対向基板と、 前記アクティブマトリクス基板と対向基板との間に封入
   された液晶層と、 を有するアクティブマトリクス型液晶表示素子におい
   て、 前記アクティブマトリクス基板と対向基板の少なくとも
   いずれか一方の透光性基板には、前記配線が形成されて
   いる部分または前記配線に対向する部分が断面視凹状と
   なるように、該透光性基板上に設けられるいずれかの電
   極との間に、配線領域で発生するドメイン領域が絵素電
   極領域に拡大しないように側壁に相当する部分でブロッ
   クするスペーサー層が配設され、前記液晶層の厚みは配
   線領域よりも絵素電極領域が薄くなるように形成されて
   いることを特徴とするアクティブマトリクス型液晶表示
   素子。