JP2904963B2 - 車両のスリップ制御装置 - Google Patents

車両のスリップ制御装置

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JP2904963B2 JP19680391A JP19680391A JP2904963B2 JP 2904963 B2 JP2904963 B2 JP 2904963B2 JP 19680391 A JP19680391 A JP 19680391A JP 19680391 A JP19680391 A JP 19680391A JP 2904963 B2 JP2904963 B2 JP 2904963B2
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裕昭 坂本
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Auxiliary Drives, Propulsion Controls, And Safety Devices (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のスリップ制御装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のスリップ制御装置は、車両の加速
時等に駆動輪が過大駆動トルクによりスリップして加速
性が低下することを防止するために、駆動輪のスリップ
量を検出し、この駆動輪のスリップ量が目標スリップ量
となるように、エンジン出力や駆動輪のブレーキ力を制
御する(エンジン出力を低下させる、ブレーキ力を増大
させる)ものとして、一般に知られている。
【0003】そして、上記エンジン出力の制御にあたっ
て、車速に応じてエンジン出力の低減制御量を変え、車
両の発進性及び走行安定性を向上させるという提案はあ
る。すなわち、この提案は、スリップ量が所定値以上で
あって且つ中車速時以上のときには、エンジンの全気筒
への燃料の供給をカットし、低車速時(例えば10km
/h以下のとき)には燃料の供給をカットする気筒数を
少なくする、というものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、駆動輪のス
リップ量には、路面の摩擦係数や駆動輪に付与する駆動
力が関係する。つまり、上記路面摩擦係数が高い場合に
はスリップは生じ難く、また、駆動輪に付与する駆動力
が小さい場合にもスリップは生じ難い。従って、スリッ
プ量及び車速が所定値以上という条件の下で、エンジン
出力を低下させた場合、上記路面摩擦係数や駆動力の大
きさ如何によっては、スリップが比較的早い時期に収束
することがある。その場合には、上記エンジン出力の低
減制御によって、エンジン出力の過剰低下を招いている
ことになるから、エンジン出力の低減制御量を減らして
いくことになるが、このエンジン出力が元に戻るまでの
間、路面状態が良い(摩擦係数が高い)にも拘らず、車
両に所期の加速性が得られない、という状況になる。
【0005】すなわち、本発明の課題は、エンジン出力
を制御するにあたり、駆動輪にスリップを招き易い状況
にあるか否かをみることによって、上記エンジン出力の
過剰低下を招くことなく、スリップの収束を図り、スリ
ップ制御が結果的に車両の加速性を損なうことにならな
い、ようにすることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような課
題に対して、駆動輪のスリップを収めるためのエンジン
出力の低減制御を行なうにあたり、その低減制御量の最
大値をエンジンのスロットル開度及び路面摩擦係数に基
いて、規制するものである。
【0007】すなわち、上記課題を解決する手段は、駆
動輪の路面に対するスリップ量が目標値となるようにエ
ンジン出力を低減制御するエンジン制御手段を備えた車
両のスリップ制御装置であって、上記スリップ量と目標
値とに基いて上記エンジン出力の低減制御量を演算する
制御量演算手段と、エンジンのスロットル開度を検出す
るスロットルセンサと、路面の摩擦係数を検出する路面
摩擦係数検出手段と、上記低減制御量の最大値を、上記
スロットルセンサにより検出されたスロットル開度と、
上記路面摩擦係数検出手段により検出された路面摩擦係
数とに基き、上記スロットル開度が小さくなるほど、ま
た上記路面摩擦係数が高くなるほど、各々値が小さくな
るように設定し、上記低減制御量に上記最大値を越えな
いよう規制をかける最大制御量規制手段とを備えている
ものである。
【0008】この場合、車両の速度を検出する車速セン
サと、上記最大制御量規制手段により設定される低減制
御量の最大値を、上記車速センサにより検出された車速
に基いて、車速が高くなるほど値が小さくなるように補
正する最大値補正手段とを設けることは、上記課題を解
決するさらに有効な手段となる。
【0009】また、上記最大制御量規制手段は、スリッ
プ量が所定値よりも大きいときには、上記低減制御量の
最大値を、上記スロットル開度及び路面摩擦係数に基く
低減を行わずに、上記制御量演算手段による低減制御量
演算値の最上限値に設定するもの、とすることができ
る。
【0010】さらに、上記駆動輪の路面に対するスリッ
プ量が目標値となるように該駆動輪に付与するブレーキ
力を制御するブレーキ制御手段を設けた場合、上記最大
制御量規制手段は、上記ブレーキ制御手段が作動してい
るときには、該ブレーキ制御手段が作動していないとき
よりも、上記低減制御量の最大値を小さな値に設定する
もの、とすることが好ましい。
【0011】
【作用】上記車両のスリップ制御装置においては、エン
ジン出力の低減制御量は制御量演算手段によって駆動輪
のスリップ量とスリップ量目標値とに基いて演算される
ものの、この低減制御量は、最大制御量規制手段によっ
て、エンジンのスロットル開度が小さくなるほど、ま
た、路面摩擦係数が高くなるほど、各々最大値が小さく
なるように、規制される。
【0012】すなわち、スロットル開度が小さいという
状況や路面摩擦係数が高いという状況は、駆動輪にスリ
ップを生じ難い状況である。このような状況において、
上記低減制御量の最大値が小さくなるように規制される
ということは、駆動輪に一時的に比較的大きなスリップ
が生じても、エンジン出力の大ききな低減は行なわれな
い、ということである。しかし、かかる状況において
は、上記スリップはエンジン出力を大きく低下させずと
も比較的早い時期に収束する。従って、その場合に、上
述の如く、エンジン出力の低減量が少ないために、エン
ジン出力の低減を比較的早く解除することができ、スリ
ップが収束した後の車両の加速性を高めることができる
ものである。
【0013】しかして、上記最大制御量規制手段により
設定される低減制御量の最大値を、車速が高くなるほど
値が小さくなるように補正する最大値補正手段を設けた
ものにおいては、スリップ収束後の車両の加速性向上の
点で有利になる。すなわち、車速が高いという状況は、
車両の走行が比較的安定な状況にあり、且つ比較的高い
車速が要求されている状況にあるということができる。
このときに、上記最大値が小さくなるように補正される
ということは、エンジン出力の低減がさらに抑えられる
ことになるため、スリップ収束後にエンジン出力の低減
の解除を速やかに行なうことができ、車両の加速性が高
まることになる。
【0014】また、スリップ量が所定値よりも大きいと
きに、上記エンジン出力の低減制御量の最大値を、上記
スロットル開度及び路面摩擦係数によらずに、最上限値
に設定するものにおいては、上記最大値の規制が本来の
要求であるスリップの収束に不利になることを避けるこ
とができる。すなわち、スリップ量が所定値よりも大き
いという状況は、スリップの早期収束が要求される状況
であり、このときは、上記最大値が最上限値に設定され
るため、エンジン出力の低減量が大きくなり、スリップ
の早期収束が図れる。
【0015】また、ブレーキ制御手段が作動していると
きには、該ブレーキ制御手段が作動していないときより
も、上記低減制御量の最大値を小さな値に設定するもの
においては、ブレーキ制御手段が作動しているときに
は、それによって駆動輪のスリップの収束が図れるため
に、エンジン出力の低減制御量を大きくする必要がない
ものであり、そして、この低減制御量を抑えることがで
きるために、スリップ収束後の車両の加速性の点で有利
になるものである。
【0016】
【発明の効果】従って、本発明によれば、エンジン出力
の低減制御量を駆動輪のスリップ量とその目標値とに基
いて演算しながら、この低減制御量の最大値をエンジン
のスロットル開度と路面摩擦係数とに基いて、駆動輪に
スリップを生じ難い状況にあるときには、最大値が小さ
くなるように上記低減制御量に規制をかけるようにした
から、スリップの収束性を損なうことなく、スリップ収
束後の車両の加速性を高めることができる。
【0017】また、上記低減制御量の最大値を、車速が
高くなるほど値が小さくなるように補正するようにした
ものによれば、比較的高い車速が要求されている状況に
あるときには、上記最大値が小さくなるように補正され
るために、スリップ収束後の車両の加速性を高める上で
有利になる。
【0018】また、スリップ量が所定値よりも大きいと
きに、上記低減制御量の最大値を最上限値に設定するも
のによれば、スリップの早期収束が要求されるときに、
上記最大値の規制がスリップの収束に不利になることを
避けることができる。
【0019】また、ブレーキ制御手段が作動していると
きには、該ブレーキ制御手段が作動していないときより
も、上記低減制御量の最大値を小さな値に設定するもの
によれば、ブレーキ制御手段によって駆動輪のスリップ
の収束が図れることを利用して、上記低減制御量を低く
抑え、スリップ収束後の車両の加速性を効果的に高める
ことができる。
【0020】
【実施例】図1において、1FLは左前輪、1FRは右
前輪、1RLは左後輪、1RRは右後輪である。車体前
部にはエンジン2が横置きに搭載され、該エンジン2で
の発生トルクは、クラッチ3、変速機4、差動ギア5に
伝達された後、左ドライブシャフト6Lを介して左前輪
1FLに、また右ドライブシャフト6Rを介して右前輪
1FRに伝達される。このように、車両は、前輪1F
L、1FRが駆動輪とされ、後輪1RL、1RRが従動
輪とされた前輪駆動車とされている。
【0021】各車輪に装備されたブレーキ7FL〜7R
Rは、油圧式とされたディスクブレーキとされている。
また、ブレーキ液圧発生源としてのマスタシリンダ8
は、2つの吐出口8a,8bを有するタンデム型とされ
ている。このマスタシリンダ8の一方の吐出口8aから
伸びるブレーキ配管13は、途中で2本に分岐されて、
分岐配管13Fが左前輪用ブレーキ7FL(のキャリパ
内に装備されたホイールシリンダ)に接続され、分岐配
管13Rが右後輪用ブレーキ7RRに接続されている。
マスタシリンダ8の他方の吐出口8bから伸びる分岐配
管14も2本に分岐されて、分岐配管14Fが右前輪用
ブレーキ7FRに接続され、分岐配管14Rが左後輪用
ブレーキ7RLに接続されている。
【0022】前輪用すなわち駆動輪用の分岐配管13
F、14Fには、電磁式の液圧調整弁15Lあるいは1
5Rが接続され、後輪用の分岐配管13R,14Rに
は、電磁式の開閉弁16Lあるいは16Rが接続されて
いる。液圧調整弁15L,15Rは、ブレーキ7FL、
7FRへのマスタシリンダ8からのブレーキ液圧供給
と、該ブレーキ7FL、7FRのブレーキ液圧を配管2
1L,21Rを介してリザーバタンク22L,22Rへ
解放する態様とを切換える。リザーバタンク21Lのブ
レーキ液は、ポンプ23Lによって、逆止弁24Lが接
続された配管25Lを介して配管13に戻され、同様
に、リザーバタンク22Rのブレーキ液は、ポンプ23
Rによって、逆止弁24Rが接続された配管25Rを介
して配管14に戻される。
【0023】ブレーキペダル12に対する踏込み力は、
倍力装置すなわちブレーキブースタ11を介してマスタ
シリンダ8に伝達される。このブースタ11は、基本的
には既知の真空倍力装置と同じであるが、スリップ制御
の際には後述するように、ブレーキペダルの踏込み操作
が行われていなくても倍力作用を行うように構成されて
いる。
【0024】ブースタ11は、車体およびマスタシリン
ダ8に固定されたケース31を有し、該ケース31内
が、ダイヤフラム32とこれに固定されたバルブボディ
33とによって、第1室34と第2室35とに画成され
ている。第1室34には常に負圧(例えばエンジン2の
吸気負圧)が供給されており、ブレーキペダルが踏込み
操作されていないときは第2室35が第1室34と連通
されて、ブースタ11の作動が停止された状態とされ
る。そして、ブレーキペダル12を踏込み操作すると、
第2室35に大気圧が供給され、これによりダイヤフラ
ム32がバルブボディ33と共に前方へ変位して倍力機
能が行なわれる。
【0025】第2室35に対する負圧供給と大気圧供給
との切換えは、基本的には、バルブボディ33内に装備
された弁装置によってなされる。このバルブボディ33
部分を図2に基づいて説明する。
【0026】先ず、バルブボディ33は、ダイヤフラム
32に固定されるパワーピストン41を有し、このパワ
ーピストン41に形成された凹部41a内には、リアク
ションディスク42と出力軸43の基端部とが嵌合され
ている。この出力軸43は、マスタシリンダ8の入力軸
となるものである。また、ブレーキペダル12に連結さ
れた入力軸44の先端部には、バルブボディ33内にお
いて、バルブプランジャ45が取付けられている。この
バルブプランジャ45の後方には、真空弁46が配設さ
れている。
【0027】パワーピストン41には圧力導入通路50
が形成されており、該圧力導入通路50は常時、前記バ
ルブプランジャ45の周囲に形成される空間Xに連通さ
れている。この空間Xは、常に第2室35と連通されて
いる。そして、圧力導入通路50の空間X側への開口端
部に、前記真空弁46が離着座される弁座47が形成さ
れている。また、真空弁46は、バルブプランジャ45
の後端に形成された弁座45aに対しても離着座され
る。
【0028】以上のような構成において、いま、圧力導
入通路50に負圧が導入されている場合を想定する。こ
の状態で、ブレーキペダル12が踏込み操作されていな
いときは、図2の状態で、スプリング48、49の付勢
力によって真空弁46が弁座45aに着座するも、弁座
47とは離間されている。したがって、圧力導入通路5
0からの負圧は、空間Xを介して第2室35に導入さ
れ、倍力作用は行なわれない。
【0029】ブレーキペダル12を踏込み操作すると、
入力軸44したがってバルブプランジャ45が前方動
(図中左方動)される。この前方動の際、真空弁46
は、先ず弁座47に着座して空間Xと圧力導入通路50
との連通を遮断し、その後真空弁46に対して弁座45
aが離間される。この真空弁46と弁座45aとが離間
することにより、バルブボディ33の後方からの大気圧
が空間Xに導入されて、第2室35が大気圧となる。こ
れにより、ダイヤフラム32がバルブボディ33と共に
前方へ変位し、この結果出力軸43が前方動して倍力作
用が行なわれる。マスタシリンダ8からのブレーキ反力
は、リアクションディスク42を介して、バルブプラン
ジャ45したがってブレーキペダル12に伝達される。
ブレーキペダル12の踏込み操作力が解放されると、リ
ターンスプリング36(図1参照)により図2の状態へ
復帰して、次の倍力作用に備えることになる。
【0030】以上説明した部分は、既知の真空倍力装置
と同じであるが、本実施例では、スリップ制御のため
に、圧力導入通路50に対して、第1室34の負圧を導
入させる状態と大気圧を導入させる状態とに切換えるよ
うにしている。すなわち、第1室34と圧力導入通路5
0とが配管37を介して接続され、該配管37に3方電
磁切換弁38(図1参照)が接続されている。この切換
弁38は、消磁時に圧力導入通路50を第1室34に連
通させ、励磁時に圧力導入通路50に大気圧を導入させ
る。この切換弁38が励磁されて圧力導入通路50に大
気圧が導入されると、前記空間Xしたがって第2室35
は、ブレーキペダル12の踏込み操作が行なわれていな
くても大気圧となり、この結果倍力作用を行なってマス
タシリンダ8にブレーキ液圧を発生させることになる。
【0031】次に制御系について説明する。制御系は、
マイクロコンピュータを利用して構成されており、図1
において、51はエンジン制御とブレーキ制御とを行な
う制御手段であり、この制御手段51には、センサある
いはスイッチS1〜S7からの信号、路面の摩擦係数を
検出する路面摩擦係数検出手段53からの信号、並びに
最大制御量規制手段52からの信号が入力される。最大
制御量規制手段52には、上記路面摩擦係数検出手段5
3、エンジン2のスロットル開度を検出するスロットル
センサ54、及び最大値補正手段55からの各信号が入
力される。
【0032】上記センサS1〜S4は、各車輪1FL〜
1RRの回転速度を検出するものである。スイッチS5
はアクセルペダル10が全閉となったときにオンとされ
るアクセルスイッチである。スイッチS6、S7はそれ
ぞれブレーキペダル12が踏込み操作されたときに作動
されるもので、例えば一方のスイッチは常開型とされ、
他方は常閉型とされる。また、制御手段51からは、エ
ンジン制御のためのエンジン出力調整手段9、ブレーキ
制御のための液圧調整弁15L,15R、開閉弁16
L,16R、及び切換弁38へ制御信号が出力される。
エンジン出力調整手段9は、燃料カット気筒数と点火時
期調整との組み合わせにより、発生トルク調整を行なう
ものである。
【0033】<制御手段>制御手段について具体的に説
明すると、上記制御手段51は、スリップ判定用閾値の
設定手段、スリップ量検出手段、スリップ判定手段、制
御目標値設定手段、制御量演算手段、並びにエンジン出
力及びブレーキのコントロールための出力手段を備えて
いる。
【0034】[スリップ判定用閾値の設定,路面摩擦係
数の検出]このスリップ判定用閾値はスリップ制御を要
するか否かを判定するためのものであり、エンジン制御
に関する開始用閾値及び継続用閾値と、ブレーキ制御に
関する開始用閾値及び継続用閾値とがある。これら閾値
(単位;km/h)は、車体加速度VG と路面摩擦係数μ
とに基いて演算されるものである。
【0035】車体加速度VG の演算には、タイマA(1
00msecカウント)と、タイマB(500msecカウン
ト)とを用いる。すなわち、車体加速度VG は、スリッ
プ制御開始から500msec経過まで(車体加速度が十分
に大きくない)は、100msec毎に100msec間の車体
速Vr(本例の場合は従動輪である後輪2RL,2RRの両
車輪速のうち速い方の車輪速、単位;km/h)の変化に
基いて次の(1) 式により求め、500msec経過後(車体
加速度が十分に発達)は100msec毎に500msec間の
車体速Vrの変化に基いて次の(2) 式により求める。
【0036】−(1) 式− VG =Gk1×{Vr(k) −Vr(k-100) } −(2) 式− VG =Gk2×{Vr(k) −Vr(k-500) } 上記Gk1及びGk2は係数である。また、Vr(k) は現時
点、Vr(k-100) は100msec前、Vr(k-500) は50
0msec前の各車体速である。
【0037】そして、上述の如くして算出された車体加
速度VG と車体速Vrとから次の表1により3次元補間
によって路面摩擦係数μを求める。なお、スリップ制御
中でないときには、路面摩擦係数μは3.0に設定され
る。
【0038】
【表1】
【0039】また、エンジン制御開始用閾値は次の表2
により、エンジン制御継続用閾値は次の表3により、各
々3次元補間によって演算される。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】ブレーキ制御に関する開始用閾値及び継続
用閾値についても、エンジン制御用と同様にして設定さ
れるが、エンジン制御用よりも高い値に設定される。
【0043】[スリップ量演算]スリップ演算手段21
は、左右前輪2FL,2FRの車輪速VFL,VFRから車体速
Vrを減算してこの両輪のスリップ量SL,SRを求
め、また、このスリップ量SL,SRに基いてその平均
スリップ量SAvを演算し、さらに、上記両スリップ量
SL,SRのうちの高い方のスリップ量を最高スリップ
量SHiとして求める。エンジン制御においてはSHi
が用いられ、ブレーキ制御においては左右の駆動輪に付
与する制動力を独立して制御するために、上記SL,S
Rが用いられる。
【0044】[スリップ判定]スリップ制御のためのフ
ラグとして、以下のものがあり、スリップ判定手段はそ
れらのフラグ処理を行なう。 TRCST;スリップ制御(エンジン制御)開始を示す
フラグ 0→1…TRCFL=0の状態から、SHiがエンジン
制御開始用閾値以上になったとき 1→0…SHiの減少変化率が所定値以上になったとき TRCFL;スリップ制御中を示すフラグ 0→1…TRCST=0→1のとき 1→0…SPIFL=1→0後、所定時間(500ms
経過)のとき SPIFL;スリップの有無を示すフラグ 0→1…TRCST=0→1のとき 1→0…SHiがエンジン制御継続用閾値以下になった
とき SPIST;スリップ再開を示すフラグ 0→1…TRCFL=1においてSPIFL=0→1の
とき 1→0…SHiの減少変化率が所定値以上になったとき BLKFL;ブレーキ制御中を示すフラグ 0→1…SL又はSRがブレーキ制御開始用閾値以上に
なったとき 1→0…SL又はSRがブレーキ制御継続用閾値以下に
なったとき 以上のフラグ処理については、図3に一部示されてお
り、参照されたい。
【0045】[制御目標値の設定]この制御目標値TG
(単位;km/h)は、前輪2FL,2FRのスリップ量とし
て目標とする値であり、制御目標値演算手段は、車体速
Vrと路面摩擦係数μとに基き、次の表4によりエンジ
ン制御目標値を3次元補間して演算する。
【0046】
【表4】
【0047】また、ブレーキ制御目標値は、上記エンジ
ン制御目標値を高い値に修正して設定する。
【0048】[制御量演算]エンジン制御量FCについ
ては、平均スリップ量SAvの制御目標値TGからの偏
差ENと、この偏差の時間変化率DENとに基いて、次
の表5より基本制御量FCBを演算し、これに前回値F
C(K-1) のフィードバック補正及び初回値補正を加え、
0〜14の範囲で設定するものである。
【0049】
【表5】
【0050】フィードバック補正は、今回の制御量FC
(K) に前回演算の制御量FC(K-1)を加算するものであ
る。初回補正は、TRCST=1のときに制御量を強制
的に高めるものである。初回補正量は最高スリップ量S
Hiの変化率が零になるまでは(+5)とされ、以後は
(+2)とされる。
【0051】ブレーキ制御量も、エンジン制御量と同様
に、スリップ量SL,SRの制御目標値からの偏差と、
この偏差の変化率とに基いて演算される。
【0052】[出力コントロール] −点火時期制御− 点火時期については、図4に示すように、上記制御量に
応じてリタード量を決定し、出力することになる。この
場合、図5に示すように、エンジン回転数が高い領域で
は最大リタード量を制限する。
【0053】−燃料噴射制限(燃料カット)− 燃料噴射の制限は、上記制御量に基いて次の表6(燃料
カットテーブル)のパターン0〜12を選択(量が高く
なるほど数値の高いパターンを選択)することにより行
なう。この場合、第6図に示すように、エンジン回転数
が低い領域では燃料カットが制限されるように、各制御
量毎に燃料カット禁止条件を付ける。なお、表6中の×
は燃料噴射カットを意味する。
【0054】
【表6】
【0055】−ブレーキ− ブレーキについては、上記ブレーキ制御量に応じた制御
信号を出力することにより行なう(デューティ制御)。
【0056】<最大制御量の規制>次にエンジン制御量
の規制について説明する。最大制御量規制手段52は、
エンジン制御量の最大値を、上記スロットルセンサ54
により検出されたスロットル開度と、上記路面摩擦係数
検出手段により検出された路面摩擦係数とに基き、上記
スロットル開度が小さくなるほど、また上記路面摩擦係
数が高くなるほど、各々値が小さくなるように設定し、
エンジン制御量に上記最大値を越えないよう規制をかけ
るものである。この場合、最大制御量規制手段は、ブレ
ーキ制御が行なわれていないときは表7に示すG1(k)
により最大値を設定し、ブレーキ制御が行われていると
きは表8に示すG2(k) により最大値を設定する。
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】また、最大制御量規制手段52は、TRC
ST=1、SPIST=1のときには、上記エンジン制
御量の最大値を、上記スロットル開度及び路面摩擦係数
に基く低減を行わずに、最上限値(14)に設定する。
【0060】一方、最大値補正手段53は、上記最大制
御量規制手段52により設定される最大値を、上記車体
速(車速)に基いて、車体速が高くなるほど値が小さく
なるように補正する。
【0061】以上のエンジン制御量の規制制御の流れ
は、図7及び図8に示されている。すなわち、図7にお
いて、車輪速等についてのデータが入力され、スリップ
制御中(TRCFL=1)であるが、エンジン制御のみ
を行っているときであって(BLKFL≠1)、大きな
スリップを生じていないとき(TRCST≠1,SPI
ST≠1)であれば、表7に示すG1(k) により最大値
を設定する(ステップP1〜P6)。
【0062】一方、ステップP3において、ブレーキ制
御中(BLKFL=1)が判定されれば、表8に示すG
2(k) により最大値を設定する(ステップP7)。ま
た、エンジン制御のみを行っているときであっても、大
きなスリップを生じているときには(TRCST=1又
はSPIST=1)、最大値として制御量の最上限値
(14)が設定される(ステップP4,P5,P8)。
【0063】そうして、上記最大値には、ステッフP9
において必要により車速に応じた補正がかけられる。す
なわち、図8には補正フローが示されており、低車速
(V≦10km/h)であれば、補正はされないが、中
車速(10km/h<V≦30km/h)であれば、上
記最大値から1を差し引く補正がなされ、高車速(V>
30km/h)であれば、上記最大値から2を差し引く
補正がなされる(ステップP11〜P16)。
【0064】<スリップ制御の流れ>従って、上記実施
例においては、駆動輪の最大スリップ量SHiがエンジ
ン制御開始用閾値を越えると、TRCST=1、TRC
FL=1、SPIFL=1の各フラグが立ち、エンジン
制御が開始される。このエンジン制御開始時は、制御目
標値TGからの平均スリップ量SAvの偏差ENと、偏
差変化率DENとに基いて基本制御量が設定されるとと
もに、これに初回補正がかけられて制御量FCが求めら
れ、このFCに応じた点火時期制御と燃料噴射制限制御
(気筒数制御)とが行われる。
【0065】このエンジン制御開始時においては、制御
量の最大値として、最上限値(14)が設定され、低車
速であれば、この最上限値がそのまま最大値として用い
られる。車速が高くなるにつれて上記最大値の低減補正
がなされるものの、もともと最大値が最上限値に設定さ
れているから、制御量の規制は緩いものになる。従っ
て、エンジン出力の低減量を大きくすることができ、ス
リップの早期収束が図れる。すなわち、エンジン制御開
始時は、スリップの早期収束が要求される状況であり、
上記最大値の規制が本来の要求であるスリップの収束に
不利になることを避けることができる。
【0066】上述の如く、初回補正と制御量の最大値の
規制の緩和とにより、スリップが収束していくと、TR
CST=0となり、初回補正はなくなるとともに、制御
量の最大値は表7に示されるG1(k) に基いて設定され
る。すなわち、最大値は、スロットル開度が小さくなる
ほど、また上記路面摩擦係数が高くなるほど、各々値が
小さくなるように設定される。スロットル開度が小さい
場合や路面摩擦係数が高い場合には、エンジン出力を大
きく低下させずとも駆動輪のスリップは比較的早い時期
に収束する。
【0067】かかる背景のもとに、上記最大値の設定に
よって制御量が大きくならないように規制されるため、
エンジン出力の過度の低減がなくなり、スリップが収束
した後に車両を加速する場合、エンジン出力の低減を比
較的早く解除することができ、加速性を高めることがで
きる。この場合、車速が高くなるにつれて、上記最大値
が小さくなるように補正されるから、エンジン出力の低
減がさらに抑えられることになり、スリップ収束後にエ
ンジン出力の低減の解除を速やかに行なうことができ、
車両の加速性が高まることになる。
【0068】次に、スリップが収束していき、スリップ
量がエンジン制御継続用閾値を下回ると、SPIFL=
0となり、エンジン制御は一時中止される(制御態勢は
継続される)。このSPIFL=0の状態が所定時間
(500ms)経過する前にスリップ量が上記閾値を越
えると、SPIST=1となり、エンジン制御が再開さ
れる。このときは、スリップが大きくなる傾向にある状
況にあり、先のエンジン制御開始時と同様に上記最大値
は最上限値に設定され、スリップの収束が優先される。
【0069】また、路面状態の大きな変化等によって、
スリップ量が大きくなり、ブレーキ制御開始用閾値を越
えると、ブレーキ制御が開始されるが、このときは、上
記最大値が表8に示すG1(k) に基いて設定され、制御
量の規制は厳しくなる。しかし、ブレーキ制御が行われ
ているから、それによって駆動輪のスリップの収束が図
れる。そして、かかる背景のもとに、上記制御量の最大
値が小さい値に設定されるため、エンジン出力の低減制
御量が大きくならず、従って、スリップ収束後の車両の
加速性が良くなる。
【0070】スリップが収束し、上記スリップ量がエン
ジン制御継続用閾値を下回った状態(SPIFL=0)
が所定時間(500ms)続くと、TRCFL=0とな
り、スリップ制御は終了する。
【0071】なお、エンジン制御開始時やスリップ再開
時の制御量の最大値には車速補正をかけないようにして
もよい。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示す。
【図1】車両のスリップ制御装置の全体構成図
【図2】ブレーキブースタの断面図
【図3】駆動輪のスリップ量の経時変化の一例を示す図
【図4】制御量と点火時期リタード量との関係を示す特
性図
【図5】エンジン回転数による点火時期リタード量の制
限を示す特性図
【図6】エンジン回転数による燃料カット制限領域を示
す特性図
【図7】エンジン制御量の最大値の設定のフロー図
【図8】エンジン制御量の最大値の車速による補正のフ
ロー図
【符号の説明】 1FL,1FR 駆動輪 2 エンジン 7FL〜7FR ブレーキ 8 マスタシリンダ 9 エンジン出力調整手段 51 制御手段 52 最大制御量規制手段 53 路面摩擦係数検出手段 54 スロットルセンサ 55 最大値補正手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 45/00 345 F02D 45/00 345G (72)発明者 渡辺 仁人 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (72)発明者 谷田 晴紀 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−161144(JP,A) 特開 昭62−121836(JP,A) 特開 昭63−301158(JP,A) 特開 昭63−34269(JP,A) 特開 昭63−31869(JP,A) 特開 昭61−135945(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F02D 29/02 311 B60T 8/58 F02D 41/04 310 F02D 45/00 345

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】駆動輪の路面に対するスリップ量が目標値
    となるようにエンジン出力を低減制御するエンジン制御
    手段を備えた車両のスリップ制御装置において、 上記スリップ量と目標値とに基いて上記エンジン出力の
    低減制御量を演算する制御量演算手段と、 エンジンのスロットル開度を検出するスロットルセンサ
    と、 路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段と、 上記低減制御量の最大値を、上記スロットルセンサによ
    り検出されたスロットル開度と、上記路面摩擦係数検出
    手段により検出された路面摩擦係数とに基き、上記スロ
    ットル開度が小さくなるほど、また上記路面摩擦係数が
    高くなるほど、各々値が小さくなるように設定し、上記
    低減制御量に上記最大値を越えないよう規制をかける最
    大制御量規制手段とを備えていることを特徴とする車両
    のスリップ制御装置。
  2. 【請求項2】車両の速度を検出する車速センサと、 上記最大制御量規制手段により設定される低減制御量の
    最大値を、上記車速センサにより検出された車速に基い
    て、車速が高くなるほど値が小さくなるように補正する
    最大値補正手段とを備えている請求項1に記載の車両の
    スリップ制御装置。
  3. 【請求項3】上記最大制御量規制手段は、スリップ量が
    所定値よりも大きいときには、上記低減制御量の最大値
    を、上記スロットル開度及び路面摩擦係数に基く低減を
    行わずに、上記制御量演算手段による低減制御量演算値
    の最上限値に設定する請求項1又は請求項2に記載の車
    両のスリップ制御装置。
  4. 【請求項4】上記駆動輪の路面に対するスリップ量が目
    標値となるように該駆動輪に付与するブレーキ力を制御
    するブレーキ制御手段を備え、上記最大制御量規制手段
    は、上記ブレーキ制御手段が作動しているときには、該
    ブレーキ制御手段が作動していないときよりも、上記低
    減制御量の最大値を小さな値に設定する請求項1乃至請
    求項3のいずれかに記載の車両のスリップ制御装置。
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