JP2904808B2 - 強制燃焼用ガスバーナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、強制燃焼用ガスバーナ、さらに詳しく云う
と、負荷の大小にかかわりなく炎の安定性を良好ならし
めることができる強制燃焼用ガスバーナに関する。

〔従来の技術〕 近年、家庭用の給湯器などのガス器具においては、小
型でかつ低負荷燃焼から高負荷燃焼までの広い範囲に亘
って使用することができるターンダウン比の大きい器具
が求められており、このため、フアンを使用して燃焼用
空気を強制的に導入する強制燃焼式器具が採用されてい
る。ところで、このような器具においては、高負荷燃焼
時にはバーナ周辺，燃焼室における空気の流速を早くし
なければならず、このような条件下で安定した炎を形成
するバーナを用いることが必要となってきた。

この目的のため、炎口形成部に主炎口と共に副炎口を
設け、副炎口の燃焼負荷を主炎口のそれに比較して小さ
くして炎の安定化を計る方法が広く用いられている。

第４図および第５図は前記の如き従来のバーナの一例
であって、第４図は正面図、第５図は第４図のＡ−Ａ線
にそう拡大断面図である。第５図に示すように、従来の
副炎口つきバーナは、主炎口ａを形成したバーナヘッド
の側面に副炎口ｂへのガスを制限するためのガス通路ｃ
を設け、かつ、該バーナヘッドの側面に副炎口ｂを形成
させるための間隔をへだてて壁ｄを設けている。

第５図に示す従来のガスバーナは、主炎口ａ単独では
燃焼速度を越えた速い流速で空気・ガスの混合ガスを噴
出させた場合でも、副炎口ｂに燃焼速度を下回る流速で
混合ガスを噴出させて安定な炎を形成させることによ
り、この副炎口ｂの炎を袖火として主炎口ａの炎を安定
化させようとするものである。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、前記の如く、副炎口ｂの炎を袖火として主炎
口ａの炎を安定化させるためには、高負荷燃焼の際、副
炎口ｂに導かれるガスは空気と予混合されて適正な燃焼
範囲に入っていることが必要であるが、第５図に示す従
来のガスバーナでは広い燃焼負荷の範囲で副炎口におい
て安定した炎を形成することができない。

すなわち、低負荷燃焼から高負荷燃焼までの広い範囲
に亘って使用するガス器具においては、第５図に示す従
来のガスバーナでは、低負荷燃焼に適する割合のガスと
空気とがバーナの混合管に流入するようにすると、高負
荷燃焼時に副炎口ｂに導かれるガスと空気との混合割合
がガスリッチになって燃焼範囲から外れ、副炎口ｂにお
いて安定した炎を形成することができず、バーナ全体と
しても炎の安定を得ることができない。このため、高負
荷燃焼時、炎の周囲の空気との強制拡散によって燃焼が
行われるので、炎は強制拡散炎となって燃焼速度が不安
定となり、騒音発生の一つの原因になっている。

また、高負荷燃焼時に副炎口ｂに導かれるガスと空気
の混合割合が適正な燃焼範囲に入るようにすると、低負
荷燃焼時にバーナへ導かれる空気−ガスの混合ガスは空
気リッチになって炎が極端にシャープになり、バーナの
局部加熱を起したり、バック燃焼を起し易いという問題
がある。

本発明は、前記の如き従来技術の問題点を改善し、炎
全体を負荷の広い範囲に亘って安定させることができる
強制燃焼用ガスバーナを提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、前記の如き目的を達成せんがため、バーナ
ヘッドに導かれる空気−ガスの混合ガスをガスリッチに
すると共に、バーナヘッドに形成された主炎口に近接し
て強制燃焼用空気の流速と流量を制限した低速域をつく
り、該低速域に導かれる空気を、高負荷燃焼時の主炎を
安定化させる拡散炎を形成せしめ得る速度と量とに設定
したことを特徴とする。

〔作用〕

本発明の強制燃焼用ガスバーナは、前記の如き構成よ
りなるので、高負荷燃焼時には、主炎口から噴出するガ
スの一部が低速域に流入する空気中に拡散して主炎の両
側に拡散炎を形成するので、主炎口の炎を安定せしめる
ことができ、低負荷燃焼時には、空気−ガスの混合ガス
のガス濃度が低下しても、バーナヘッドに導かれる混合
気はもともとガスリッチになるように調整されているの
で、シャープな炎になることはなく、従って局部加熱を
起すことはない。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を第１図ないし第３図について
説明する。

第１図および第２図は本発明の実施の一例を示し、第
１図は高負荷燃焼時の説明図、第２図は低負荷燃焼時の
説明図である。

第１図および第２図に示すように、この実施例におい
ては、バーナヘッドに導かれる空気−ガスの混合気がガ
スリッチになるように構成すると共に、主炎口１を形成
したバーナヘッド２の両側に、低速域３を形成するため
の間隔をへだてて上流側をバーナヘッド２の側面に対し
固定して閉塞すると共に下流側を開口させた空気制限板
４を配設し、かつ、該空気制限板の上流側閉塞部に、高
負荷燃焼時の主炎口１の炎を安定化させる拡散炎を前記
低速域３に形成しせめ得る速度と量の空気を導く制限口
５を形成する。

この実施例は、前記の如く構成されているから、高負
荷燃焼の場合、主炎口１から出るガスは空気と予混合さ
れてはいても燃焼範囲に達するまでの空気量は混合され
ていないが、制限口５によって制限された速度と量の空
気が低速域３に供給されるので、主炎口１から出るガス
の一部は低速域３において安定した拡散炎となって燃焼
し、主炎口１の炎を安定化させることができる。また、
この場合、前記の如くして安定した拡散炎によって主炎
口の炎を安定化させることができるので、従来のように
強制拡散炎を形成して燃焼が不安定となって燃焼騒音を
発生するということがない。

また、低負荷燃焼の場合には、第２図に示すように、
主炎口１のみに炎が形成されるが、主炎口付近の流速が
制限されているので、安定した燃焼が得られ、かつ、空
気−ガスの混合割合から炎はシャープにならず、炎孔部
の過熱を防ぎ、バック燃焼を起すことを防止することが
できる。

第１図および第２図に示す実施例は、空気制限板の上
流側閉塞部に設けた制限口により低速域３に所望の速度
と量の空気を供給する例を示したが、本発明はこのよう
な実施例に限定されるものではない。

例えば、第３図に例示したように、主炎口１を形成し
たバーナヘッド２の側方に下流側を拡開４′させた空気
制限板４をバーナヘッド２の側面とある間隙をへだてて
配設し、かつ、該空気制限板とバーナヘッドの側面とが
対向する前記間隙ｇおよびその流れ方向の長さｌを、空
気制限板の拡開部４′において高負荷燃焼時の主炎口の
炎を安定化させる拡散炎を形成せしめ得る速度と量の空
気を導く寸法に設定するなど、本発明の精神を変更しな
い範囲において任意に設計変更することができる。

〔発明の効果〕

以上述べたように、本発明によれば、高負荷燃焼時に
は低速域に安定した拡散炎を生じさせて炎を安定化さ
せ、低負荷燃焼時には主炎口付近の空気流速が制限され
ているのでバック燃焼を防止し、かくして負荷の大小に
かかわりなく炎の安定性を良好ならしめることができる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明の一実施例を示すバーナヘ
ッド部分の断面図で、第１図は高負荷燃焼時の説明図、
第２図は低負荷燃焼時の説明図である。第３図は他の実
施例を示すバーナヘッド部分の断面の略図である。第４
図は従来のガスバーナの一例を示す正面図、第５図は第
４図のＡ−Ａ線にそう拡大断面図である。 １……主炎口、２……バーナヘッド、３……低速域、４
……空気制限板、５……制限口。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】バーナヘッドに導かれる空気−ガスの混合
   気をガスリッチにすると共に、バーナヘッドに形成され
   た主炎口に近接して強制燃焼用空気の流速と流量を制限
   した低速域をつくり、該低速域に導かれる空気を、高負
   荷燃焼時の主炎を安定化させる拡散炎を形成せしめ得る
   速度と量とに設定したことを特徴とする強制燃焼用ガス
   バーナ。
2. 【請求項２】バーナヘッドに導かれる空気−ガスの混合
   気がガスリッチになるように構成し、かつ、その主炎口
   を形成したバーナヘッドの側方に低速域形成用の間隔を
   へだてゝ上流側を閉塞すると共に下流側を開口させた空
   気制限板を固定し、かつ、該空気制限板の上流側閉塞部
   に高負荷燃焼時の主炎口の炎を安定化させる拡散炎を形
   成せしめ得る速度と量の空気を導く制限口を形成せしめ
   たことを特徴とする強制燃焼用ガスバーナ。
3. 【請求項３】主炎口を形成したバーナヘッドの側方に下
   流側を拡開させた低速域形成用の空気制限板をバーナヘ
   ッドの側面とある間隔をへだてゝ配設し、かつ、該空気
   制限板とバーナヘッドの側面とが対向する前記間隔およ
   びその流れ方向の長さを、空気制限板の拡開部において
   高負荷燃焼時の主炎口の炎を安定化させる拡散炎を形成
   せしめ得る速度と量の空気を導く寸法に設定したことを
   特徴とする強制燃焼用ガスバーナ。