JP2904018B2 - 透明電導膜の製造方法 - Google Patents

透明電導膜の製造方法

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JP2904018B2 JP17273594A JP17273594A JP2904018B2 JP 2904018 B2 JP2904018 B2 JP 2904018B2 JP 17273594 A JP17273594 A JP 17273594A JP 17273594 A JP17273594 A JP 17273594A JP 2904018 B2 JP2904018 B2 JP 2904018B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶ディスプレイ、プ
ラズマディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセン
ス)ディスプレイ、タッチパネル、車両用防曇ガラス用
の透明電極膜、各種光学特性を備えたビルディング用窓
に用いられる光学薄膜などに用いられる透明電導膜をス
パッタリング法により形成する透明電導膜の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、上述の透明電導膜の成膜方法
として、ゾルゲル塗布法、スプレイ法、気相反応(CV
D)法などの化学的成膜方法と、真空蒸着法、スパッタ
リング法などの物理的成膜方法が提案されている。
【0003】しかし、これらの透明電導膜の工業的な製
造には、電気特性、光学特性に優れた透明電導膜が容易
に得られるという理由から、真空蒸着法、スパッタリン
グ法などの物理的成膜方法が主に用いられてきた。特に
近年になって、大面積の基板上へ均一に、しかも比較的
低温の基板にも安定に成膜できるという理由から、スパ
ッタリング法が盛んに用いられるようになった。
【0004】スパッタリング法は、アルゴンガスを直流
(DC)放電や高周波(RF)放電によってイオン化
し、負にバイアスされた金属や酸化物のターゲットに衝
突させ、飛び出したターゲット物質を基板上に析出させ
る成膜方法である。
【0005】例えば、酸化錫膜を成膜する場合、ターゲ
ット材料として、酸化アンチモンを0.1〜10重量%
含んだ酸化錫や、金属アンチモンを0.1〜10重量%
含んだ錫合金などが用いられる。
【0006】例えば、ITO膜を成膜する場合、ターゲ
ット材料として、酸化錫を5〜10重量%含んだ酸化イ
ンジウム(ITOターゲット)や、金属錫を5〜10重
量%含んだインジウム−錫合金(ITターゲット)など
が用いられる。
【0007】例えば、酸化亜鉛膜を成膜する場合、ター
ゲット材料として、酸化アルミニウムを0.1〜10重
量%含んだ酸化亜鉛、酸化ガリウムを0.1〜15重量
%含んだ酸化亜鉛、金属アルミニウムを0.1〜10重
量%含んだ亜鉛合金、あるいは金属ガリウムを0.1〜
15重量%含んだ亜鉛合金などが用いられる。
【0008】スパッタリングガスとしては、必要に応じ
て酸素を添加したアルゴンなどの不活性ガスが用いられ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のスパッ
タリング法で透明電導膜を製造する場合、ターゲット材
料として、酸化物ターゲット、金属ターゲットのいずれ
を用いても、連続スパッタリング中に、該ターゲット材
料に比較し、著しくスパッタリング率の小さい、低級酸
化物と思われる、黒色の微小突起物(ノジュールと称す
る)がターゲット表面に発生し、透明電導膜の成膜速度
が徐々に低下すると同時に異常放電(アーキング)が多
発し、アーキングによって飛散したターゲット物質が基
板上へ付着し、透明電導膜の欠陥となるなどの問題があ
った。
【0010】例えば、6mm厚程度の酸化錫ターゲット
を用いて長時間連続のスパッタリングを行うと、ターゲ
ット使用終了直前で、酸化錫の成膜速度は、初期の60
〜70%程度まで低下すると同時に異常放電の発生頻度
が急激に増加する。
【0011】したがって、工業的な量産プロセスにおい
ては、成膜速度の低下につれて、スパッタリング電力を
徐々に増加させたり、成膜時間を徐々に伸ばすことによ
って、経験的に対処しているのが現状である。特に、異
常放電発生や成膜速度の低下が著しい場合には、装置を
いったん大気開放し、機械的にノジュールを削り落とし
ているのが現状である。
【0012】また、大電力密度のスパッタリングにより
ノジュールの発生を抑制できることが従来より知られて
いたが、電力密度を上げることは、異常放電が発生しや
すく、いったん発生すると大きなダメージになりやす
い。
【0013】特に透明電導膜を形成し得る前述のターゲ
ットでは、ターゲットの冷却不足によりターゲットが割
れやすい。また、スパッタリング速度も高速になりやす
いことから透明電導膜の膜特性も低下するなどの欠点が
あった。
【0014】さらに、上記の問題点を解決するために、
特開平4−293767号公報に見られるような窒素あ
るいは窒素成分を持つガスを用いたプラズマにより、上
記ノジュールのクリーニング除去を行う方法も提案され
ている。この方法は、装置を大気開放せずにクリーニン
グを行えるという長所があるが、透明電導膜の成膜工程
を停止して上記クリーニングを行わなければならないこ
と、さらにノジュールの発生が著しい場合には、長時間
のクリーニングを行っても上記ノジュールを除去できな
いなどの欠点もあった。
【0015】本発明は、プラズマによるクリーニングや
大気開放下での機械的なクリーニング工程を必要とせ
ず、ノジュールの発生、異常放電の発生、および成膜速
度の低下などの上記に示される従来の問題点を解消した
生産性に優れた透明電導膜の製造方法の提供を目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、透明電導膜を
形成し得るスパッタリングターゲットを用いて、スパッ
タリング法により酸化物を主成分とする透明電導膜を製
造する方法において、該ターゲットに間欠的な電力が周
期的に供給され、前記間欠的な電力の単位周期における
電圧波形は、負の電圧の印加時間が10μs〜10ms
の範囲であり、かつ、無印加時間と正の電圧の印加時間
との総和が10μs〜100msの範囲であることを特
徴とする透明電導膜の製造方法を提供する。
【0017】前記スパッタリングターゲットとしては、
錫または酸化錫を主成分とするスパッタリングターゲッ
ト、インジウムまたは酸化インジウムを主成分とするス
パッタリングターゲット、または、亜鉛または酸化亜鉛
を主成分とするスパッタリングターゲットなどを挙げら
れる。
【0018】前記スパッタリングターゲットが、錫また
は酸化錫を主成分とするスパッタリングターゲットの場
合には、金属アンチモンまたはアンチモンの化合物を含
有すると導電性が上がるため好ましい。金属アンチモン
またはアンチモンの化合物の含有量は0.1〜10重量
%が好ましい。
【0019】前記スパッタリングターゲットが、インジ
ウムまたは酸化インジウムを主成分とするスパッタリン
グターゲットの場合には、金属錫または錫の化合物を含
有すると導電性が上がるため好ましい。金属錫または錫
の化合物の含有量は5〜10重量%が好ましい。
【0020】前記スパッタリングターゲットが、亜鉛ま
たは酸化亜鉛を主成分とするスパッタリングターゲット
の場合には、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ホ
ウ素およびケイ素からなる群から選ばれる少なくとも1
種の金属の単体または化合物を含有すると導電性が上が
るため好ましい。アルミニウム、ガリウム、インジウ
ム、ホウ素およびケイ素からなる群から選ばれる少なく
とも1種の金属の単体または化合物の含有量は0.1〜
15重量%が好ましく、特に、酸化アルミニウムを0.
1〜10重量%、あるいは、酸化ガリウムを0.1〜1
5重量%含有するものが好ましい。
【0021】図1は、本発明に係るスパッタリング装置
の一例の概略断面図である。1はスパッタリングターゲ
ット、2は薄膜が形成される基体、3はスパッタリング
電源、4はマグネトロンスパッタリング用マグネット、
5は基体加熱用ヒーター、6はスパッタリングガス導入
口、7は間欠的な電力を供給する制御手段である。
【0022】本発明に用いられるスパッタリング電源と
しては、間欠的な電力が供給できるものであれば特に限
定されない。図2に示すような、負の印加時間a1 が1
0μs〜10msの範囲であり、かつ、無印加時間b1
が10μs〜100msの範囲である電圧波形を供給で
きるものや、図3に示すような、負の印加時間a2 が1
0μs〜10msの範囲であり、かつ、正の印加時間b
2 が10μs〜100msの範囲である電圧波形を供給
できるものや、あるいは、図4に示すような、負の印加
時間a3 が10μs〜10msの範囲であり、かつ、正
の印加時間b3および無印加時間b4 の合計が10μs
〜100msの範囲である電圧波形を供給できるものが
挙げられる。
【0023】また、負の印加電圧の値(−VN )の設定
は、本発明の目的であるノジュール発生抑制のために重
要である。数5に示されるように、負の電圧が印加され
ている時間内の電力の平均値(以下、電力の平均値とい
う)WA が一周期の時間内の電力の平均値(以下、電力
の実効値という)Wの2〜10倍になるように負の印加
電圧(−VN )を調整することによって、より好ましい
効果が得られる。
【0024】電力の実効値Wは数1のようになる。Tは
一周期の時間を表す。これを図2のような波形の場合に
あてはめると、数2のようになる。
【0025】一方、実際スパッタリングが起こっている
(負の電圧が印加されている)時間(図2においてはa
1 )内での電力の平均値WA は、数3のようになる。さ
らに図2においては、時間a1 内の電圧V(t)=(−
N )であるのでこれを代入すると数4のようになる。
【0026】ノジュールを有効に除去するためには、数
5に示されるように、電力の平均値WA が電力の実効値
Wの2〜10倍になるようにすることが好ましく、これ
を図2のような波形の場合にあてはめると、数6のよう
になるので、数6を満足するように(−VN )、a1
(10μs≦a1 ≦10ms)、b1 (10μs≦b1
≦100ms)を調整すればよい。
【0027】特に、間欠的な電力の電力密度の平均値ω
A (数7)が、2.5W/cm2 〜30W/cm2 の範
囲において良好な結果が得られる。
【0028】この場合、図2に示されるように正確な矩
形波である必要はなく、ターゲットの大きさ、状態、あ
るいは個々の装置によって、(−VN )、a1 、b1
最適化すればよい。
【0029】なお、図3および図4のような正の電圧の
印加がある場合には、正の電圧の印加はスパッタリング
には有効に働かないために、数1〜7の計算において
は、VP =0として考える。
【0030】該透明電導膜の成膜速度は、間欠的に供給
されるスパッタリング電力の実効値Wにより、容易に制
御できる。例えば、従来のDCスパッタリング法で得ら
れる所望の成膜速度を本発明の方法で得ようとする場合
には、間欠的に供給される電力の実効値WをDC電力値
と同じに合わせれば、所望の成膜速度が得られる。
【0031】すなわち、従来のDCスパッタリング法に
よる成膜速度/DC電力=本発明による成膜速度/電力
実効値Wとなる等式がほぼ成り立つ。
【0032】本発明に使用される電源としては、間欠的
な電力を供給できるものであれば、特に制限はなく、ま
た、スパッタリングカソード、スパッタリングマグネッ
トなどの他の構成については、特に制限はなく、通常の
スパッタリング装置が使用可能である。
【0033】
【数1】
【0034】
【数2】
【0035】
【数3】
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
【数7】
【0040】
【作用】本発明は、間欠的なスパッタリング電力の供給
により、成膜工程を停止させることなくターゲット表面
上のノジュールの発生を抑制できるという優れた特徴を
有する。すなわち、10μs以上のスパッタリング電力
の供給の停止、あるいは正の電圧の印加により、異常放
電の原因となる、ターゲット表面上に蓄積された電荷を
消滅させるという優れた作用を有する。
【0041】しかし、100ms超のスパッタリング電
力の供給の停止、あるいは正の電圧印加は、スパッタリ
ング速度の低下を招くだけでなく、基板が所定の搬送速
度でターゲットの前を通過するインライン式装置の場合
には、基板の進行方向に膜厚むらや膜質むらが生じやす
いなどの理由で好ましくない。
【0042】したがって、本発明の効果を十分に発揮さ
せるため、スパッタリング電力の電圧波形は、無印加時
間と正の電圧印加時間との総和が10μs〜100ms
の範囲にある。
【0043】また、本発明のように、スパッタリング電
力を間欠的に供給することにより、ターゲットに供給さ
れる電力の平均値WA は、DCスパッタリング電力値の
数倍程度にできる。
【0044】例えば、スパッタリング電力供給時間と停
止時間との比を1:1とすれば電力の平均値WA はDC
スパッタリング電力値の2倍程度となり、1:4とすれ
ば電力の平均値WA は5倍程度となる。このことは、ノ
ジュール発生抑制の重要な効果となる。
【0045】すなわち、瞬間的に大電力密度によるスパ
ッタリングが行われ、ノジュール発生の核、あるいはノ
ジュールそのものもスパッタリングにより除去してしま
うという優れた作用を有する。該作用を効果的にもたら
すためには、ノジュール発生抑制に必要な大電力密度を
瞬間的に供給する必要があるために、ターゲットに印加
される電圧波形として、負の印加時間が10μs〜10
msの範囲にある。
【0046】さらに、負の印加電圧の値の設定は、供給
される電力の平均値が電力実効値の2〜10倍になるよ
うに設定することが好ましい。これは、2倍未満である
とスパッタリング電力密度が小さくノジュールをスパッ
タリングにより消滅させるためには不十分であり、10
倍超であると異常放電が多発するためである。
【0047】特に、間欠的な電力の電力密度の平均値ω
A が、2.5W/cm2 〜30W/cm2 の範囲におい
て良好な結果が得られる。
【0048】さらに、本発明のスパッタリング電力の供
給の停止、あるいは正の電圧の印加による異常放電の抑
制効果により、通常のDCスパッタリングに比較し、高
いスパッタリング実効電力値まで異常放電が抑制でき、
より高速のスパッタリングを実現できるという作用を有
する。
【0049】また、本発明のスパッタリング速度は、間
欠的に供給される電力の実効値Wで容易に制御できると
いう作用も有する。例えば、従来のDCスパッタリング
のスパッタリング速度と同等の速度を得るためには、本
発明における間欠的に供給される電力の実効値Wをその
DC電力値に合わせればよい。
【0050】
【実施例】
[実施例1]図1に示すような通常のマグネトロンスパ
ッタリング装置を用いて、酸化アンチモンを5重量%含
んだ酸化錫のターゲット1に、図2に示すような、a1
を100μs、b1 を400μsとした電圧の波形を有
する間欠的な電力を供給した。基体2としては、あらか
じめ300℃に加熱したノンアルカリガラスを使用し
た。
【0051】まず、成膜室内を1×10-5Torr以下
に排気した後、酸素ガスを1体積%含んだアルゴンガス
をガス圧が3×10-3Torrになるように導入し、ス
パッタリング電力は、実効値で1.1kWになるように
設定し、23時間連続スパッタリング後のノジュールの
発生状況、異常放電の発生頻度と酸化錫膜の特性を調査
した。その結果を表1に示す。
【0052】[実施例2]酸化アンチモンを5重量%含
んだ酸化錫のターゲット1に、図4に示すような、a3
を100μs、負の印加電圧VN の10%程度の正の印
加電圧VP を印加する時間b3 を10μs、さらにb4
を390μsとした電圧の波形を有する間欠的な電力を
供給した他は実施例1と同様に設定し、23時間連続ス
パッタリング後のノジュールの発生状況などを実施例と
同様に調査した。その結果を表1に示す。
【0053】[比較例1]酸化アンチモンを5重量%含
んだ酸化錫のターゲット1に直流の電圧を印加した他は
実施例1と同様に設定し、23時間連続スパッタリング
後のノジュールの発生状況などを実施例と同様に調査し
た。その結果を表1に示す。
【0054】[実施例3〜4および比較例2]酸化アン
チモンを5重量%含んだ酸化錫のターゲットに代えて酸
化錫を10重量%含んだ酸化インジウムのターゲットを
用いた他は実施例1〜2および比較例1のそれぞれの条
件と同様にして実施例3〜4および比較例2を行い、同
様に調査した。その結果を表2に示す。
【0055】[実施例5〜6および比較例3]酸化アン
チモンを5重量%含んだ酸化錫のターゲットに代えて酸
化ガリウムを5重量%含んだ酸化亜鉛のターゲットを用
いた他は実施例1〜2および比較例1のそれぞれの条件
と同様にして実施例5〜6および比較例3を行い、同様
に調査した。その結果を表3に示す。
【0056】図2に示すような電圧の波形を有する間欠
的な電力を供給した実施例1、実施例3および実施例5
では、23時間連続スパッタリング後(6mm厚のター
ゲットの掘りきり)においても、ノジュールの発生もご
く微少で、スパッタリング速度の低下もほとんど見られ
ない。さらに異常放電の発生頻度も比較例1、2および
3のそれぞれに示される通常のスパッタリング法に比較
し、5分の1程度に低減する。
【0057】また、実施例1、実施例3および実施例5
で得られた各透明電導膜の比抵抗は通常のスパッタリン
グサンプルと同程度であった。
【0058】図4に示すような電圧の波形を有する間欠
的な電力を供給した実施例2、実施例4および実施例6
では、23時間連続スパッタリング後(6mm厚のター
ゲットの掘りきり)においても、ノジュールの発生もご
く微少で、スパッタリング速度の低下もほとんど見られ
ない。異常放電の発生頻度は、図2に示すような電圧の
波形を有する間欠的な電力を供給した各実施例に比較し
て、3分の1に低減する。
【0059】また、実施例2、実施例4および実施例6
で得られた各透明電導膜の比抵抗は通常のスパッタリン
グサンプルと同程度であった。
【0060】比較例1、2および3では、23時間連続
スパッタリング後(6mm厚のターゲットの掘りきり)
においては、スパッタリング電力が集中するターゲット
のエロージョン中心を除いたエロージョン領域一面に黒
色のノジュールが多量に発生しており、異常放電の発生
頻度は毎分15回以上と非常に高い。スパッタリング速
度は約40%程度も低下する。
【0061】このとき、比較例1、2および3で得られ
る各透明電導膜の初期の比抵抗は、23時間後には、ス
パッタリング速度の低下のために悪化する。また、この
とき生成されるノジュールは非常に強固で機械的な研磨
クリーニングが必要であった。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
【表3】
【0065】
【発明の効果】本発明は、生産性低下の要因となるよう
な成膜工程の停止手段によらず、透明電導膜を形成する
と同時に、スパッタリング速度低下などの原因となるタ
ーゲット表面上での低級酸化物ノジュールの発生を抑制
できる。同時にまた、透明電導膜の欠陥の原因となる異
常放電を抑制できる。
【0066】上記の異常放電抑制効果により、従来のD
Cスパッタリング法に比べ、大電力が投入可能となり、
高い成膜速度が得られる。さらに、本発明によれば、D
Cスパッタリング用電源に使用されている異常放電防止
回路を付加しなくとも、簡単に異常放電が抑制できる。
【0067】また、間欠的な投入電力の実効値を制御す
るという簡単な手法により、従来のDCスパッタリング
法と同様に成膜条件を管理でき、従来と同等の特性を有
する透明電導膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパッタリング装置の一例の概念的断
面図
【図2】本発明で用いるスパッタリング電源の電圧波形
【図3】本発明で用いるスパッタリング電源の電圧波形
【図4】本発明で用いるスパッタリング電源の電圧波形
【符号の説明】 1:スパッタリングターゲット 2:基体 3:スパッタリング電源 4:スパッタリング用マグネット 5:基体加熱用ヒーター 6:スパッタリングガス導入口 7:間欠的な電力を供給する制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−124052 (32)優先日 平6(1994)6月6日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 高木 悟 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町松原1160 番地 エイ・ジー・テクノロジー株式会 社内 (72)発明者 佐藤 一夫 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社 中央研究所内 (56)参考文献 特開 昭59−29304(JP,A) 特公 昭62−38432(JP,B2) 特公 昭61−28615(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58 H01L 21/203 H01L 21/285

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明電導膜を形成し得るスパッタリングタ
    ーゲットを用いて、スパッタリング法により酸化物を主
    成分とする透明電導膜を製造する方法において、該ター
    ゲットに間欠的な電力が周期的に供給され、前記間欠的
    な電力の単位周期における電圧波形は、負の電圧の印加
    時間が10μs〜10msの範囲であり、かつ、無印加
    時間と正の電圧の印加時間との総和が10μs〜100
    msの範囲であることを特徴とする透明電導膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】負の電圧が印加されている時間内の電力の
    平均値が、一周期の時間内の電力の平均値の2〜10倍
    であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】前記負の電圧が印加されている時間内の電
    力の電力密度の平均値が、2.5W/cm2 〜30W/
    cm2 であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の製造方法。
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