JP2903647B2 - 耐衝撃性ポリアミド系樹脂組成物 - Google Patents

耐衝撃性ポリアミド系樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、優れた物性、殊に衝撃に対して優れた強度
を有し、且つ高い引張破断伸度を有する他、耐熱性及び
寸法安定性が良好で且つ優れた外観の成形体を与えるポ
リアミド系樹脂組成物に関するものであり、この樹脂組
成物は上記の特性を生かしてバンパー等の自動車部品や
事務機器用ハウジング部材の如き各種成形品の材料とし
て有用である。
[従来の技術] たとえば、ポリアミド樹脂は耐候性や高温安定性に優
れたものであるが、耐湿性、耐衝撃性、柔軟性などが不
足するので、これらの特性を改善するための手段として
種々のポリマー(樹脂状物を含む、以下同じ)とのブレ
ンドやポリマー・アロイ化が検討されている。
たとえば特開昭62−11760号公報には、ゴム状基質に
アクリロニトリルやスチレン系モノマーをグラフト重合
させたグラフト化ゴム組成物と、スチレン・アクリロニ
トリル・無水マレイン酸系の三元共重合体を、ポリアミ
ド樹脂にブレンドして耐衝撃性を改善する技術が開示さ
れており、また特開昭64−66255号公報には、ポリアミ
ド樹脂に、カルボキシル基の導入されたスチレン系樹脂
とカルボキシル基の導入されたポリオレフィン系エラス
トマーをブレンドすることにより耐衝撃性や柔軟性を高
める技術が開示されている。
[発明が解決しようとする課題] 上記公開公報に開示された方法では、ノッチ付きアイ
ゾット衝撃強度についてかなりの改質効果が得られる
が、落錐衝撃の様な面衝撃については改質効果が少な
く、簡単に脆性破壊を起こす。またこれらのブレンド成
形品は引張破断伸度も不十分であって、孔明け加工時に
割れを生じるといった問題が指摘されている。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであっ
て、その目的は、ポリアミド系樹脂が元々有している引
張強度、曲げ強度、耐熱性、高温安定性等に悪影響を与
えることなく、優れた物性、殊に落錐衝撃の様な面衝撃
に対して優れた強度を有し、且つ高い引張破断伸度をも
ったポリアミド系樹脂組成物を提供しようとするもので
ある。
[課題を解決するための手段] 上記課題を解決することのできた本発明に係るポリア
ミド系樹脂組成物の構成は、 ポリアミド、 ゴム状基質に、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル
化合物を主成分とする重合性成分を反応させて得られる
ゴム強化樹脂、および カルボキシル基及び/又はその官能性誘導基が分子中
に導入された変性ポリε−カプロラクトン を含有するところに要旨を有するものである。
また上記成分、、に加えて カルボキシル基及び/又はその官能性誘導基が分子中
に導入された変性ポリオレフィン系エラストマー を含有させることによって得られるポリアミド系樹脂組
成物は、低温衝撃特性や曲げ特性等において一段と優れ
たものとなる。
[作用] 本発明者らは、前記公開公報に開示された様なポリマ
ーブレンド法によって得られるポリアミド系樹脂組成物
の物性が、必ずしも期待されるほどのものではないこと
の理由を究明するため検討を行なった。その結果、ポリ
アミドに改質成分としてブレンドされるポリマーとポリ
アミドとの相溶性(混和性)が良好でないことが大きな
原因となっているものと思われた。即ち前記公開公報に
開示された改質ポリアミド系樹脂組成物は、一見均一に
うまくブレンドされている様に思われるが、成形体の物
性から判断すると必ずしも万偏無く均一にブレンドされ
ているとは思えない。しかして、上記の改質ポリアミド
系樹脂組成物に係る成形体が落錐衝撃に弱く引張破断伸
度に欠ける理由は、衝撃力や引張力を受けたとき、ポリ
アミド中に混入された改質用ポリマーとポリアミドの間
で界面剥離が起こり、脆性破壊に至るためと考えられ
る。
そこで、改質用ポリマーとポリアミドの相溶性(混和
性)を高めてそれらの混練をより均一にすると共に、上
記の様な界面剥離を抑制すれば、成形体の脆性破壊に対
する抵抗力を高めることができると考え、その線に沿っ
て改良研究を進めた。
その結果、前述の如くポリアミドの改質成分とし
て、前記で規定されるゴム強化樹脂およびで規定さ
れる変性ポリε−カプロラクトンを使用し、あるいはこ
れらに加えて前記で規定される変性ポリオレフィン系
エラストマーを使用すれば、改質成分とポリアミドの混
和性が著しく改善され、落錐衝撃特性や引張破断伸度の
非常に優れたポリアミド系樹脂組成物が得られることを
知った。
本発明において、成分として規定されるポリアミド
の種類は特に制限されないが、一般的なものとしては、
ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリドデカアミド
((ナイロン12)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナ
イロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン
610)、あるいはこれらの共重合体であるナイロン6/61
0、ナイロン6/66、ナイロン6/12などのナイロン類、あ
るいはポリキシリレンアジパミド、ポリヘキサメチレン
テレフタルアミド、ポリフェニレンフタルアミド等の如
き、芳香族ジアミンや脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボ
ン酸や脂肪族ジカルボン酸とから導かれるポリアミド等
が例示され、これらは単独で使用し得るほか、2種以上
を適当に組合せて使用することもできる。但し、得られ
る樹脂組成物の耐熱性や物性等を考慮すると、融点が20
0℃以上、より好ましくは220℃以上で且つ相対粘度[JI
S K 6810(1970)に準拠して98%硫酸中で測定した値]
が1.8以上、より好ましく2.0以上のポリアミドを選択し
て使用することが望まれる。
次に、成分として規定されるゴム強化樹脂とは、ゴ
ム状基質に、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物を主成分とする共重合成分を反応(グラフト重合)さ
せることによって得られるものであり、ゴム状基質とし
ては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のジエン系ポ
リマー;ブタジエンやイソプレン等のジエン系モノマー
とスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなど
との共重合によって得られるゴム状スチレン−ジエン系
ポリマー;ニトリルゴム;ブチルゴム;塩素化ポリエチ
レン;エチルアクリレートやブチルアクリレートの単独
もしくは共重合体よりなるアクリレート系エラストマ
ー;エチレン−プロピレン系ゴム(エチレン:プロピレ
ン=90:10〜20:80)あるいはこれらに少量の非共役ジエ
ンを共重合させることによって得られるゴム状ポリマー
等が例示され、これらも単独で使用し得るほか、必要に
より2種以上を組合せて使用することができるが、これ
らの中でも、衝撃特性改質効果を有効に発揮させるうえ
では、ガラス転移点(Tg)が0℃以下のものを選択して
使用するのがよい。
上記ゴム状基質に反応されるシアン化ビニル化合物と
しては、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等が、
また芳香族ビニル化合物としてはスチレン、α−メチル
スチレン、ジメチルスチレン、ビニルトルエン等が例示
され、これらも必要により夫々2種以上を併用すること
ができる。また本発明においては、上記シアン化ビニル
化合物や芳香族ビニル化合物に加えて、他の共重合成分
としてアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヒドロ
キシプロピル等の1種または2種以上を併用することが
できる。
上記ゴム状基質に反応させるシアン化ビニル化合物や
芳香族ビニル化合物等の量は特に限定されないが、ポリ
アミドに対する改質効果を高めるうえでより好ましい使
用比率を示すならば、ゴム状強化樹脂中に占めるゴム
状基質の含有量が5〜50重量%、より好ましくは10〜30
重量%となる様にゴム状基質の使用量を定め、且つシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の使用比率は、
重量比で10:90〜35〜65の範囲に設定するのがよい。上
記範囲を外れる場合は、得られるゴム強化樹脂のポリ
アミドや変性ポリε−カプロラクトン、或は変性ポ
リオレフィン系エラストマーに対する相溶性もしくは
混和性が悪くなることがあり、本発明で意図する前述の
様な改質効果が十分発揮されなくなる場合がでてくる。
上記の好ましい要件を備えたゴム強化樹脂の具体例と
しては、アクリロニトリル(10〜20重量%)・ブタジエ
ン(10〜30重量%)・スチレン(50〜80重量%)コポリ
マー[ABS樹脂]、アクリロニトリル(10〜20重量%)
・スチレン(50〜80重量%)・アクリル酸ブチル(10〜
30重量%)コポリマー[ASA樹脂]、アクリロニトリル
(10〜20重量%)・スチレン(50〜80重量%)・エチレ
ン−プロピレン−ジエン(10〜30重量%)コポリマー
[AES樹脂]等が代表的なものとして挙げられる。
次に成分として規定される変性ポリε−カプロラク
トンは、ポリε−カプロラクトンにカルボキシル基もし
くはその官能性誘導基が導入されたものであり、ε−カ
プロラクトンに以下に示す様な重合性カルボン酸もしく
はカルボン酸誘導体を共重合せしめ、或はポリε−カプ
ロラクトンに同様の重合性カルボン酸もしくはカルボン
酸誘導体をグラフト重合させることによって得ることが
でき、更にはカルボキシ基の導入されたポリε−カプロ
ラクトンにおけるカルボキシル基を他の官能基に変える
ことによっても得ることができる。
ポリε−カプロラクトンに導入されるカルボキシル基
もしくはその官能性誘導基としては、遊離のカルボキシ
ル基またはその塩、カルボン酸無水物基、アミド基、イ
ミド基、各種エステル基、カルボン酸ハライド基等が挙
げられ、これらの導入に用いられる化合物としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸等の一
塩基酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、テトラヒドロフタル酸、ナジック酸等の2塩基
酸;あるいはそれらの酸のモノもしくはジエステル;無
水マレイン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物;アクリ
ルアミド、メタクリルアミド等の酸アミド等が好ましい
ものとして例示される。これらも単独で使用し得るほ
か、必要により2種以上を併用することができる。
この変性ポリε−カプロラクトンは、上記ポリアミ
ドおよびゴム強化樹脂あるいは後述する変性ポリオ
レフィン系エラストマーに対して相互の相溶性を高め
て耐衝撃性向上に寄与するための最も重要な成分であ
り、こうした作用効果をより効果的に発揮させるには、
上記官能基のポリε−カプロラクトンに対する導入量が
0.1〜1000eq/106g、より好ましくは1〜200eq/106gの
範囲であり、且つ数平均分子量が5000以上、より好まし
くは10000以上のものを使用するのがよい。
更に前記で規定される変性ポリオレフィン系エラス
トマーは、ポリアミド系樹脂組成物の低温衝撃特性を高
めるうえで有効な成分であり、ポリオレフィン系エラス
トマーの分子中にカルボキシル基及び/もしくはその官
能性誘導基が導入されたものである。
この変性ポリオレフィン系エラストマーは、オレフ
ィンに、前記変性ポリε−カプロラクトンを製造する
際に用いるものとして例示したのと同様の重合性カルボ
ン酸もしくはその誘導体を共重合せしめ、あるいはポリ
オレフィン系エラストマーに同様の重合性カルボン酸も
しくはその誘導体をグラフト重合させることによって得
ることができる。
変性の対象となるポリオレフィン系エラストマーとし
ては、エチレン、あるいは炭素数3以上のα−オレフィ
ン、たとえばプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、
デセン−1、4−メチルペンテン−1等の単独もしくは
共重合体、更にはこれらのオレフィンとα,β−不飽和
カルボン酸エステル(たとえばアクリル酸エチルやアク
リル酸ブチル等)との共重合によって得られる各種エラ
ストマーが挙げられる。尚、上記官能基の好ましい導入
量は1〜300eq/106g、より好ましくは100〜200eq/106
gの範囲であり、また該エラストマーの好ましい数平均
分子量は10000以上、より好ましくは40000以上のもので
ある。
上記好ましい要件に合致する変性ポリオレフィン系エ
ラストマーの具体例としては、無水マレイン酸グラフト
・エチレン−プロピレン共重合体、エチレン・アリル酸
エステル・無水マレイン酸共重合体等が代表的なものと
して例示される。
上記成分〜の好ましい配合量は、得られる樹脂組
成物の用途や要求特性に応じて幅広い範囲から選定する
ことができるが、前述の諸特性を効果的に発揮させるう
えで一般的な配合量として示すならば、樹脂組成物全体
に占める比率でポリアミドは90〜10重量%、より好ま
しくは80〜50重量%、ゴム強化樹脂は10〜90重量%、
より好ましくは20〜50重量%、変性ポリε−カプロラク
トンは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜10重量%
の範囲である。また変性ポリオレフィン系エラストマー
を併用する場合の好ましい配合量は1〜25重量%、よ
り好ましくは2〜15重量%の範囲である。この成分を
併用すると該樹脂組成物の特に低温における衝撃特性は
著しく改善される。
成分〜の配合方法には一切制限がなく、たとえば
常用の混練装置、たとえばローラーニーダー、双腕型ニ
ーダー、単一もしくは多量スクリュー式混練押出し機等
を使用し、成分〜の3種もしくはこれに成分を加
えた4種の成分を同時に配合して溶融混練する方法、あ
るいはまず成分とを溶融混合しておき、これに成分
およびを逐次若しくは同時に追加して溶融混合する
方法等を採用することができる。
尚、溶融混合時の温度としては、各成分〜が熱分
解を起こさない様な温度を採用すべきであり、好ましい
基準として示すならば、ポリアミドの融点を基準にし
て該融点よりも10℃程度高温で且つ300℃以下の範囲、
より一般的には230〜280℃の範囲が好ましい。この溶融
混合工程で変性ポリε−カプロラクトンおよび変性ポ
リオレフィン系エラストマー中に導入された官能基の
一部がポリアミドの末端アミノ基と反応し、この反応
とも相まって成分〜あるいはこれらと成分が極め
て均一にブレンドされた樹脂組成物を得ることができ
る。
かくして得られる本発明の樹脂組成物は、単独で成形
材料として使用することができるが、用途・目的によっ
ては常用の添加剤、たとえば滑剤、離型剤、安定剤、帯
電防止剤、難燃化剤、着色剤(顔料や染料)、充填材、
補強材(ガラスビーズ、マイカ、シリカ、石英、タル
ク、二酸化チタン、珪石灰等)等を適量配合することが
でき、特に補強材を併用すると構造材料として優れた強
度の成形体を与える樹脂組成物を得ることができる。但
し、これらの添加剤については、配合量が多くなり過ぎ
ると本発明に係る樹脂組成物の特徴が十分に生かせなく
なることがあるので、該樹脂組成物に対して5〜50重量
%、より好ましくは10〜40重量%程度に抑えるべきであ
る。また難燃化剤として配合することのできるポリハロ
ゲンジフェニル、ポリハロゲンジフェニルエーテル、ポ
リハロゲンフタル酸およびその誘導体、ポリハロゲン化
ポリカーボネート、ポリハロゲン化ポリエチレン等につ
いては、該樹脂組成物に対して30重量%以下に抑えるの
がよく、この場合、難燃化剤と共に三酸化アンチモン等
の相乗化剤を適量併用すれば、難燃化効果は一段と高め
られるので好ましい。
[実施例] 本発明の組成物を実施例に基づき説明するが、本発明
はこれらに限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例中のアイゾット衝撃値はASTM−
D256に準じ、引張強度はASTM−D638に準じ、曲げ強度お
よび弾性率はASTM−D790に準拠して測定した。また落錐
衝撃強度についてはDupont式落錐衝撃試験に基づいて測
定し、材料が破壊を起こさない領域での最大吸収エネル
ギー値を示した。また試料の厚みは1/8インチとし、溶
融混練用の混練押出機としては、シリンダー先端径が3.
2mm、受台径が8mmのものを用いた。
参考例1 (C)成分の合成 ポリカプロラクトン(プラクセルH−7、ダイセル化
学社製)100重量部に対し、所定量の無水マレイン酸(M
An)とジクミルパーオキシド(DPO)を使用し、窒素気
流下で30mmφの2軸混練押出機に供給して、シリンダー
温度180℃で溶融混練しつつグラフト反応を行なって無
水マレイン酸グラフトポリε−カプロラクトン(成分
)を得た。
未反応の無水マレイン酸を加熱減圧除去し、IR(赤
外)差スペントル法により1785cm-1の酸無水基のシグナ
ルによって無水マレイン酸付加量を決定した。
結果を第1表にまとめて示す。
尚、無水マレイン酸の付加量は無水マレイン酸とジク
ミルパーオキシドの添加量を変えることにより調節し
た。
実施例1〜8および比較例1〜5 相対粘度が2.5dl/gのナイロン6とABS樹脂三菱レイヨ
ン社製「ダイヤペットABS−3001」および三菱レイヨン
社製ASA樹脂「ダイヤラックA,S−300」を用い、これに
前記参考例1で得た変性ポリε−カプロラクトン(C−
0)〜(C−3)を所定量加えてブラベンターで混合
し、更にシリンダー径30mmφの2軸混練押出機を使用し
て、シリンダー温度250℃で混練押出を行ないペレット
とした。
得られたペレットを100℃で5時間真空乾燥した後、
射出成形機(バレル温度250℃)を用いて金型温度70℃
で射出成形を行ない、得られた各成形体の物性を調べ
た。樹脂組成物の配合組成及び物性測定結果を第2表に
一括して示す。第2表から明らかである様に(a)成分
と(b)成分の配合割合をどの様に変化させた場合で
も、(c)成分が配合されていない限りと衝撃特性は殆
ど改善されない。また(c)成分を配合した場合でも、
該(c)成分にカルボキシル基が導入されていない場合
は、やはり衝撃特性改善効果は得られない。しかしカル
ボキシル基の導入された(c)成分を配合したもの(実
施例1〜8)では、高いアイゾット衝撃値が著しく向上
すると共に、落錐衝撃吸収エネルギーが飛躍的に改善さ
れていることがわかる。
実施例9〜11および比較例6〜7 (D)成分として変性ポリオレフィンエラストマーに
無水マレイン酸グラフトエチレン・プロピレン共重合体
(無水マレイン酸エチレン・プロピレンラバーVA−180
1,エクソン社製)を追加した他は前記実施例および比較
例と同様にして実験を行なった。尚物性試験としては引
張り強度、曲げ強度及び曲げ弾性率の試験を加えた。
配合組成および物性試験結果を一括して第3表に示
す。
第3表から明らかである様に、カルボキシ基の導入さ
れた(c)成分が配合され、且つ(d)成分である変性
ポリオレフィン系エラストマーの配合された本発明の樹
脂組成物(実施例9〜11)は、特に低温における衝撃特
性において非常に優れたものであることが分かる。
この様に本発明のポリアミド系樹脂組成物は、伸度お
よび耐衝撃特性に優れたものであり、殊に、−40℃にお
ける落錐衝撃強度が著しく改善されているほか、熱に対
する寸法安定性が良く高度の寸法安定性と高い耐薬品性
を有しており、例えば熱応力を受ける材料、自動車部
品、バンパー、事務機器のハウジング等の射出成形及び
押出し成形、射出ブロー成形等の成形材料として広く活
用することができる。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、ポリアミドに改
質剤として配合される成分の種類を特定することによっ
て、優れた物性、殊に落錐衝撃の様な衝撃に対して優れ
た強度を有し、且つ高い引張破断伸度を有する他、耐熱
性及び寸法安定性が良好で且つ優れた外観の成形体を与
えるポリアミド系樹脂組成物を提供し得ることになっ
た。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド、 ゴム状基質に、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル
    化合物を主成分とする重合性成分を反応させて得られる
    ゴム強化樹脂、および カルボキシル基及び/又はその官能性誘導基が分子中
    に導入された変性ポリε−カプロラクトン を含有することを特徴とする耐衝撃性ポリアミド系樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】ポリアミド、 ゴム状基質に、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル
    化合物を主成分とする重合性成分を反応させて得られる
    ゴム強化樹脂、 カルボキシル基及び/又はその官能性誘導基が分子中
    に導入された変性ポリε−カプロラクトン、および カルボキシル基及び/又はその官能性誘導基が分子中
    に導入された変性ポリオレフィン系エラストマー を含有することを特徴とする耐衝撃性ポリアミド系樹脂
    組成物。
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