JP2902735B2 - 架橋性樹脂組成物の肉薄物 - Google Patents

架橋性樹脂組成物の肉薄物

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JP2902735B2
JP2902735B2 JP2153488A JP15348890A JP2902735B2 JP 2902735 B2 JP2902735 B2 JP 2902735B2 JP 2153488 A JP2153488 A JP 2153488A JP 15348890 A JP15348890 A JP 15348890A JP 2902735 B2 JP2902735 B2 JP 2902735B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は耐熱性、接着性および機械的特性(とりわ
け、靭性、剛性)にすぐれた樹脂組成物の肉薄物に関す
る。さらにくわしくは、フタレート系化合物の重合物と
二種の特定のエチレン系共重合体からなり、耐熱性、接
着性および機械的特性(特に、靭性、剛性)にすぐれ、
しかも架橋性が良好な樹脂組成物の肉薄物に関する。
〔従来の技術〕
ジアリルフタレート樹脂はすぐれた機械的特性、電気
特性、耐熱性、耐湿性、耐薬品性、耐候性などを有する
ため、化粧板、積層板、各種成形材料等に利用されてい
ることが提案されている(たとえば、特開昭48−5494
号)。
また、(A)少なくともエチレンとα,β−不飽和ジ
カルボン酸および/またはその無水物とのエチレン系共
重合体ならびに(B)少なくともエチレンとエポキシ基
を含有するエチレン性不飽和モノマーとのエチレン系共
重合体の組成物の架橋物はすぐれた接着性および耐熱性
を有し、しかも柔軟性が良好なために電気絶縁材料、各
種積層板などに使用されることはよく知られている(た
とえば、特開昭60−240747号、同61−238846号、同62−
129341号、同62−141019号、同63−83122号、同63−101
413号、同63−159420号、同63−317542号、同63−31754
3号および特開平1−90237号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記ジアリルフタレート樹脂は硬くて脆いために通常
の熱可塑性樹脂のようなフィルムやシートを連続成形す
ることが困難である。
さらに、二種のエチレン系共重合体の組成物は柔らか
すぎるためにフィルムやシートとして機械的特性が必要
とされる分野への適用は制限されているのが現状であ
る。
以上のことから、本発明は肉薄物(すなわち、フィル
ムないしシート)を製造するさい、ジアリルフタレート
樹脂や二種のエチレン系重合体の組成物の前記の欠点が
改良され、しかも耐熱性、接着性、機械的特性(とりわ
け、靭性、剛性)にすぐれた架橋性樹脂組成物の肉薄物
を得ることを目的とするものである。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明にしたがえばこれらの課題は、 (A) 反応性のアリル基を一分子中に少なくとも二個
を有するフタレート系化合物の重合物、 (B) エチレンとα,β−不飽和ジカルボン酸および
/またはその無水物、あるいはこれらと不飽和カルボン
酸エステルとの共重合体〔以下「エチレン系共重合体
(I)」と云う〕 (C) エチレンとエポキシ基を含有するエチレン性不
飽和モノマー、あるいはこれらと不飽和カルボン酸エス
テルおよび/またはビニルエステルとの共重合体〔以下
「エチレン系共重合体(II)」と云う〕 ならびに (D) α,β−不飽和カルボン酸、その無水物および
不飽和カルボン酸エステルからなる群からえらばれた少
なくとも一種の不飽和化合物、 からなる組成物の肉薄物であり、フタレート系化合物の
重合物および前記不飽和化合物の合計量中に占める不飽
和化合物の混合割合は1〜40重量%であり、全混合物中
に占めるエチレン系共重合体(I)およびエチレン系共
重合体(II)の混合割合はそれらの合計量として1〜99
重量%であり、かつエチレン系共重合体(I)中のカル
ボキシル基および/またはその無水物1モルに対するエ
チレン系共重合体(II)中のエポキシ基の割合は0.1〜2
0モルである樹脂組成物を成形してなる厚さが10μmな
いし5mmである架橋性樹脂組成物の肉薄物、 によって解決することができる。以下、本発明を具体的
に説明する。
(A) フタレート系化合物の重合物 本発明において使われるフタレート系化合物はジアリ
ルオルソフタレート(DAP)、ジアリルイソフタレート
(DAIP)およびジアリルテレフタレート(DATP)であ
る。
また、この重合物はこれらのフタレート系化合物のう
ち、一種のみを重合することによって得られる単独重合
物およびこれらのフタレート系化合物のうち、少なくと
も二種を共重合することによって得られる共重合物であ
る。
これらの重合物はいずれも溶液重合法および塊状重合
法のいずれかの方法によって製造することができる。な
お、重合触媒としては後記のラジカル発生剤が好んで用
いられる。
該重合物は20℃における粘度は通常50〜130cpsであ
り、特に60〜120cpsが好ましい。
(B) エチレン系共重合体(I) また、本発明において用いられるエチレン系共重合体
(I)はエチレンと「α,β−不飽和ジカルボン酸およ
び/またはその無水物」〔以下「不飽和ジカルボン酸成
分」と云う〕との共重合体ならびにこれら(すなわち、
エチレンと不飽和ジカルボン酸成分)と不飽和カルボン
酸エステルとの多元共重合体である。
不飽和ジカルボン酸成分のうち、α,β−不飽和ジカ
ルボン酸の炭素数は通常多くとも20個であり、とりわけ
4〜16個のものが好適である。該ジカルボン酸の代表例
としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラ
コン酸、3,6−エンドメチレン−2,3,4,6−テトラヒドロ
−シス−フタル酸があげられる。
本発明の不飽和ジカルボン酸成分のうち、前記α,β
−不飽和ジカルボン酸の無水物が好ましく、なかでも無
水マレイン酸が好適である。
また、不飽和カルボン酸エステルの炭素数は一般には
4〜40個であり、4〜30個のものが望ましく、とりわけ
4〜20個のものが好適である。
好適な不飽和カルボン酸エステルの代表例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ブチルアクリレート、および2−メチルヘキシル
アクリレートがあげられ、なかでもメチルメタクリレー
トが最適である。
本発明のエチレン系共重合体(I)の不飽和ジカルボ
ン酸成分の共重合割合は通常0.1〜20モル%であり、0.1
〜15モル%が好ましく、特に0.1〜10モル%が好適であ
る。不飽和ジカルボン酸成分の共重合割合が0.1モル%
未満のエチレン系共重合体(I)を用いると、後記のエ
チレン系共重合体(II)との架橋密度が低くなり、得ら
れる組成物の耐熱性が不充分となる。一方、20モル%を
超えたエチレン系共重合体(I)を使うならば、重合体
を製造することが難しく、安定した生産が困難となるば
かりでなく、かりに得られたとしても、酸無水物基によ
る空気中の水分の吸収が多くなり、組成物を混練りなど
で製造するさい、また得られる組成物を成形する時に発
泡などが生じるために好ましくない。また、不飽和カル
ボン酸エステルの共重合割合は一般には多くても50モル
%であり、45モル%以下が望ましく、とりわけ40モル%
以下が好適である。不飽和カルボン酸エステルの共重合
割合が50モル%を超えたエチレン系共重合体(I)を使
用すると、本発明の特徴を発現することができるが、製
造上および経済上好ましくない。
該エチレン系共重合体(I)のメルトフローインデッ
クス〔JIS K7201にしたがい、第1表の条件が4で測
定、以下「M.I.」と云う〕は成形性、機械的強度などの
点から一般には0.5〜500g/10分であり、1.0〜500g/10分
が望ましく、とりわけ5.0〜400/10分が好適である。
(C) エチレン系共重合体(II) さらに、本発明において使用されるエチレン系共重合
体(II)はエチレンとエポキシ基を含有するエチレン性
不飽和モノマー、あるいはこれらと前記不飽和カルボン
酸エステルおよび/またはビニルエステルとの共重合体
である。
該エチレン系共重合体(II)のコモノマー成分である
エポキシ基を含有するエチレン性不飽和モノマーの代表
例の一般式は下式〔(I)式および(II)式〕で示され
該不飽和モノマーの代表例としては、グリシジル(メ
タ)クリレート、アリルグリシジルエーテル、メタクリ
ルグリシジルエーテルがあげられる。また、コモノマー
成分であるビニルエステルの代表例としては、炭素数は
一般には多くとも20個のものが好ましく、特に4〜18個
のものが好適である。好適なビニルエステルとしては、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルブチレートが
あげられ、なかでも酢酸ビニルが最適である。
本発明のエチレン系共重合体(II)のエポキシ基を含
有するエチレン性不飽和モノマーの共重合割合は通常0.
2〜20モル%であり、0.2〜15モル%が望ましく、とりわ
け0.5〜15モル%が好適である。該共重合体のエポキシ
基を含有するエチレン性不飽和モノマーの共重合割合が
0.2モル%未満では、前記のエチレン系共重合体(I)
との架橋密度が低くなり、得られる組成物の耐熱性が不
充分となる。一方、20モル%を超えると、本発明の特徴
を発現するが、該共重合体の製造が難しく、経済的に問
題がある。また、不飽和カルボン酸エステルおよびビニ
ルエステルの共重合割合はそれらの合計量として一般に
は多くとも50モル%であり、45モル%以下が好ましく、
特に40モル%以下が好適である。不飽和カルボン酸エス
テルおよびビニルエステルの共重合割合がそれらの合計
量として50モル%を超えると、製造が難しくなる。
該エチレン系共重合体(II)のM.I.は前記のエチレン
系共重合体(I)の場合と同じ理由で通常0.5〜500g/10
分であり、1.0〜500g/10分が望ましく、とりわけ5.0〜4
00g/10分のものが好適である。
(D) 不飽和化合物 また、本発明において使われる不飽和化合物はα,β
−不飽和カルボン酸、その無水物および不飽和カルボン
酸エステルからなる群からえらばれる。
α,β−不飽和カルボン酸の炭素数は一般には、多く
とも40個であり、特に3〜20個のものが好ましい。該不
飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、
クロトン酸、モノアルキルマレートおよびモノアルキル
フマレートのごときα,β−不飽和カルボン酸ならびに
前記エチレン系共重合体(I)のコモノマー成分として
代表例が記載されているα,β−不飽和ジカルボン酸が
あげられる。また、その無水物としては、該不飽和ジカ
ルボン酸の無水物である。
さらに、α,β−不飽和カルボン酸エステルの代表例
としては、エチレン系共重合体(I)のコモノマー成分
として代表例が記載されている不飽和カルボン酸エステ
ルならびにメトキシエチルアクリレート、エトキシエチ
ルアクリレートおよびブトキシエチルアクリレートのご
とき炭素数が多くとも20個のアルコキシアルキル(メ
タ)アクリレート(好ましくは、アルキル基およびアル
コキシ基の炭素数は1〜8個、好適には、1〜4個)が
あげられる。
本発明の樹脂組成物を製造するにあたり、得られる組
成物の架橋密度を高め、耐熱性、機械的特性を向上する
ために後記のラジカル開始剤をさらに配合してもよい。
(E) ラジカル開始剤 該ラジカル開始剤は一般にラジカル重合開始剤とし
て、さらにゴムや重合体の架橋剤として広く用いられて
いるものであり、有機過酸化物が好んで使用される。な
かでも1分間の半減期が120℃以上のものが好ましく、
特に130〜200℃のものが好適である。好ましい有機過酸
化物の代表例としては、ベンゾイルパーオキサイドのご
ときジアシルパーオキサイド、1,1−ビス−第三級−ブ
チルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの
ごときケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシドのご
ときジアルキルパーオキシド、2,5−ジメチルヘキサン
−2,5−ハイドロパーオキシドのごときハイドロパーオ
キシドおよび2,5−ジメチル−2,5−ジベンゾイルパーオ
キシヘキサンのごときパーオキシエステルがあげられ
る。
(F) 組成割合 本発明の組成物において、前記フタレート系化合物の
重合物および不飽和化合物の合計量中に占める不飽和化
合物の組成割合は1〜40重量%であり、とりわけ2〜40
重量%が望ましい。フタレート系化合物の重合物および
不飽和化合物の合計量中に占める不飽和化合物の組成割
合が1重量%未満では、エチレン系共重合体(I)およ
びエチレン系共重合体(II)との充分な親和性が得られ
ない。一方40重量%を超えると、成形性が悪く、均一な
組成物を得ることができない。
さらに、全混合物中に占めるエチレン系共重合体
(I)およびエチレン系共重合体(II)の混合割合はそ
れらの合計量として1〜99重量%であり、特に2〜95重
量%が好ましい。全組成物中に占めるエチレン系共重合
体(I)およびエチレン系共重合体(II)の混合割合が
1重量%未満では、得られる肉薄物の接着性および柔軟
性が充分ではない。一方、99重量%を超えると、得られ
る肉薄物の剛性がよくない。
また、エチレン系共重合体(II)中のエポキシ基1モ
ルに対するエチレン系共重合体(I)のカルボキシル基
および/またはその無水物の割合は合計量として0.1〜2
0モルであり、0.2〜15モルが好ましく、特に0.5〜5モ
ルが好適である。エチレン系共重合体(II)中のエポキ
シ基1モルに対するエチレン系共重合体(I)のカルボ
キシル基および/またはその無水物の割合が下限未満で
も、上限を超えても得られる組成物の肉薄物の架橋密度
が低く、充分な耐熱性を有する肉薄物が得られない。
さらに、ラジカル開始剤を配合(混合)する場合、そ
の混合割合はエチレン系共重合体(I)、エチレン系共
重合体(II)、フタレート系化合物、その重合物および
前記不飽和化合物の合計量100重量部に対して多くとも1
0重量部(好ましくは、0.1〜5.0重量部)である。かり
に上限を超えて配合すると、急激な架橋反応が発生する
ことがある。
(G) 組成物の製造 本発明の組成物を製造するには、フタレート系化合物
の重合物、エチレン系共重合体(I)、エチレン系共重
合体(II)ならびに不飽和化合物、あるいはこれらとラ
ジカル開始剤を均一に混合すればよい。このさい、組成
成分の一部をあらかじめ混合させ〔たとえば、エチレン
系共重合体(I)とエチレン系共重合体(II)を混合す
る〕、この混合物に残りの組成成分を混合してもよい。
本発明の組成物を製造するために混合する方法として
は、ポリオレフィン系樹脂の分野において通常行なわれ
ているヘンシェルミキサーのごとき混合機を使ってドラ
イブレンドでもよく、バンバリーミキサー、ニーダー、
単軸押出機、二軸押出機、ロールミルなどの混合機を用
いてエチレン系共重合体(I)、エチレン系共重合体
(II)ならびにフタレート系化合物の重合物ならびに不
飽和化合物のいずれもが溶融する温度で混合することが
できる。また、押出機の先端にスタティクミキサーなど
を用いることにより、より一層均一な組成物を製造する
ことができる。さらに、あらかじめドライブレンドし、
得られる組成物を溶融状態で混練することによってより
一層均一な組成物を製造することができる。
なお、溶融状態で混練するさい、各組成成分が実質的
に架橋しない条件下で行なうことが必要である。かりに
混練するさいに架橋が起こると、均一な組成物を得るこ
とができない。そのために組成物を肉薄物に成形加工す
るときの成形性を悪くするばかりでなく、目的の成形品
の形状や成形物を架橋したさいの耐熱性などを低下させ
ることになるために好ましくない。そのため、溶融状態
で混合する場合には、各組成成分の粘度にもよるが、25
℃(室温)ないし150℃の温度範囲で実施することが好
ましく、とりわけ25℃〜140℃が好適である。
また、各組成成分の総和の粘度が大きく異なる場合に
は均一な組成物を得ることが難しい。そのために粘度比
がなるべく1に近くなるものを選ぶ必要がある。
さらに、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯
電防止剤、電気特性改良剤、難燃化剤、加工性改良剤、
顔料などの添加剤、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、ケイ酸カルシウムなどの無機充填剤を適
当量配合することもできる。
(H) 肉薄物の製造 以上のようにして得られる樹脂組成物は、ポリオレフ
ィン系樹脂の分野において一般に行なわれているT−ダ
イ法またはサーキュラーダイ法によって本発明の肉薄物
(フィルムないしシート)を製造することができる。
本発明の肉薄物を架橋せしめるには、たとえば組成物
を注型して加熱させる方法、T−ダイフィルム成形機な
どを用い、まず肉薄物を成形し、この肉薄物をアルミニ
ムや銅などの金属箔や板、ポリイミド、ポリエチレンテ
レフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレー
ト樹脂(PBT)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリサルホン
樹脂などの合成樹脂のフィルムないしシート、紙、セロ
ファンなどの種々の基材の片面または両面に重ね合わせ
た後、オーブン中で加熱したり、プレス機やロールなど
で加圧させながら加熱する方法がある。加熱温度は組成
成分の種類やその組成割合およびラジカル開始剤の使用
の有無などによって一概に限定することができないが、
一般には120〜250℃(好ましくは、150〜250℃)であ
る。そのほかに紫外線や放射線などを照射する方法など
があげられる。
〔実施例および比較例〕
以下、実施例によって本発明をさらにくわしく説明す
る。
なお、実施例および比較例において、耐熱性は300℃
のハンダ浴にサンプル(厚さ 100μm、2.5×2.5cm)
をのせ、3分間後の変形を肉眼で観測した。また、ゲル
分率は300メッシュのステンレス製金網に試料1gを入
れ、キシレン中で8時間煮沸させた後、真空乾燥器中で
24時間乾燥し、残ったキシレン不溶分をゲル分として試
料に対する分率で示した。さらに、接着性はアルミニウ
ム箔(厚さ 70μm)にフィルムを200℃の温度におい
て20kg/cm2の加圧下でプレスして得た1.5mmの接着板の9
0度剥離強度(JIS K6854)で示した。また、引張破断強
度はJIS K7113にしたがって測定した。
なお、実施例および比較例において使用したエチレン
系共重合体(I)およびエチレン系共重合体(II)の物
性、製造方法などを下記に示す。
〔(A)エチレン系共重合体(I)〕
エチレン系共重合体(I)として、高圧法低密度ポリ
エチレンの製造設備を使用してエチレン、無水マレイン
酸およびメチルメタクリレートを共重合させることによ
って得られた無水マレイン酸の共重合割合が3.0モル%
であり、メチルメタクリレートの共重合割合が37.0モル
%であり、かつM.I.が2.5g/10分であるエチレン−無水
マレイン酸−メチルメタクリレート三元共重合体〔以下
「PE(A)」と云う〕、同様にして共重合させることに
よって得られた無水マレイン酸の共重合割合が0.8モル
%であり、メチルメタクリレートの共重合割合が2.5モ
ル%であり、かつM.I.が17g/10分であるエチレン−無水
マレイン酸−メチルメタクリレート三元共重合体〔以下
「PE(B)」と云う〕を使った。
〔(B)エチレン系共重合体(II)〕
また、エチレン系共重合体(II)として、高圧法低密
度ポリエチレンの製造設備を使用してエチレンおよびグ
リシジルメタクリレートまたはこれらと酢酸ビニルを共
重合させることによって得られたグリシジルメタクリレ
ートの共重合割合が2.5モル%であり、かつM.I.が3.1g/
10分であるエチレン−グリシジルメタクリレート共重合
体〔以下「PE(1)」と云う〕ならびにグリシジルメタ
クリレートの共重合割合が2.3モル%であり、酢酸ビニ
ルの共重合割合が1.9モル%であり、かつM.I.が6.8g/10
分であるエチレン−グリシジルメタクリレート−酢酸ビ
ニル三元共重合体〔以下「PE(2)」と云う〕を用い
た。
〔(C) フタレート系化合物の重合物〕
さらに、フタレート系化合物の重合物として、20℃に
おける粘度が90cpsであるジアリルフタレートの高分子
物質〔モノマー含有量 3.5重量%、以下「DAP」と云
う〕を使用した。
〔(D)不飽和化合物〕
また、不飽和化合物として、無水マレイン酸〔以下
「MAH」と云う〕を使った。
実施例1〜11、比較例1〜8 第1表にそれぞれの種類および配合量が示されている
エチレン系共重合体(I)およびエチレン系共重合体
(II)ならびに第1表に配合量が示されるフタレート系
化合物の重合物(DAP)および不飽和化合物(MAH)なら
びに2.0重量部のジクミルパーオキサイド(ラジカル開
始剤として)あらかじめヘンシェルミキサーを使って5
分間ドライブレンドを行なった。得られた各混合物をブ
ラベンダーを用いて100℃において40回転/分で10分間
溶融混練を行なって組成物を製造した。なお、各組成物
中のエチレン系共重合体(II)中のエポキシ基1モルに
対するエチレン系共重合体(I)中のカルボキシル基ま
たは酸無水物基の割合を第1表に示す。
このようにして得られた各組成物をT−ダイを備えた
押出機(径 40mm)を用い、厚さが0.1mm、幅が30cmの
フィルムを樹脂温度が120℃において成形した。得られ
た各フィルムのゲル分率はほぼ0%であった。
このようにして得られた各フィルムを熱オーブンを使
用し、200℃で10分間加熱しながら架橋し耐熱性および
この処理後のゲル分率を測定した。さらに、前記の接着
性および曲げ弾性率を測定した。それらの結果を第2表
に示す。
以上の結果、とりわけ第2表から、比較例で示される
組成物では、機械的強度が強い場合でも、接着性および
耐熱性のいずれも劣り、実用的でないことが明らかであ
る。
〔発明の効果〕
本発明の樹脂組成物の肉薄物は下記のごとき効果を発
揮する。
(1) 耐熱性がすぐれている。
(2) 金属との接着性が良好である。
(3) 機械的強度(とりわけ、靭性および剛性)がす
ぐれている。
本発明の樹脂組成物の肉薄物は以上のごとき効果を発
揮するために多方向にわたって利用することができる。
一般のフィルムないしシートのほかに、耐熱性が要望さ
れる包装材(袋など)として有望である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 23/08 C08L 23/08 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 31/08 C08L 23/08

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)反応性のアリル基を一分子中に少な
    くとも二個を有するフタレート系化合物の重合物、 (B)エチレンとα,β−不飽和ジカルボン酸および/
    またはその無水物、あるいはこれらと不飽和カルボン酸
    エステルとの共重合体(I)、 (C)エチレンとエポキシ基を含有するエチレン性不飽
    和モノマー、あるいはこれらと不飽和カルボン酸エステ
    ルおよび/またはビニルエステルとの共重合体(II)、 ならびに、 (D)α,β−不飽和カルボン酸、その無水物および不
    飽和カルボン酸エステルからなる群から選ばれた少なく
    とも一種の不飽和化合物、 からなる組成物であり、フタレート系化合物の重合物お
    よび前記不飽和化合物の合計量中に占める不飽和化合物
    の混合割合は1〜40重量%であり、全混合物中に占める
    共重合体(I)および共重合体(II)の混合割合はそれ
    らの合計量として1〜99重量%であり、かつ共重合体
    (II)中のエポキシ基1モルに対する共重合体(I)の
    カルボキシル基またはその無水物の割合は0.1〜20モル
    である樹脂組成物を成形してなる厚さが10μmないし5m
    mである架橋性樹脂組成物の肉薄物。
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