JP2901492B2 - 炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤおよびその製造方法 - Google Patents

炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤおよびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アーク安定性に優れ、
スパッタの低減に効果のある炭酸ガスシールドアーク溶
接用ワイヤおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】送給性の向上、スパッタの低減を目的と
して鋼ワイヤ表層部に粒界酸化層を形成させ、その粒界
酸化物を起点として横割れを発生させ、その横割れをオ
イルポケットとしてワイヤの送給性を向上させるととも
に、粒界酸化により表層部に富化された酸素の作用によ
りアークの安定化を図ったワイヤに関する技術は、例え
ば特公昭63−21595号公報を始め多数提案されて
いる。
【0003】この種ワイヤの製造においては、熱処理前
に炭酸塩を塗布することが、焼鈍時に触媒作用により粒
界酸化を促進するのに効果的な技術であることは特公平
3−64239号公報などに開示されている。また特開
昭62−16900号公報では、水酸化物の塗布が同様
に粒界酸化に効果的であることが示されている。
【0004】また、アーク安定化にアルカリ金属が優れ
ていること、およびアルカリ金属の沸点が低いため溶鋼
中に添加することが困難であることから、特開昭61−
126995号公報、特開昭63−108996号公
報、特開昭63−149093号公報などに示されてい
るように表面あるいは表面の横割れに付着させる方法が
考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】粒界酸化によってワイ
ヤ表層部に酸素を富化させ、低スパッタ化を計る方法で
は、ある程度の効果は得られるが、十分ではない。一方
表面にアルカリ金属を塗布する方法ではアルカリ金属を
ワイヤ表面に均一に付着させることはできても、ハンド
リングなどのさいはげ落ちやすく、使用時まで安定に維
持することは困難である。
【0006】また特開昭63−108996号公報、特
開昭63−149093号公報に開示されているよう
に、粒界酸化による横溝にカリを付着させる方法には次
のような問題がある。すなわち、粒界酸化を発生させて
もそのなかで伸線により亀裂に進展するのはごく一部で
ある。もし全面的に粒界に亀裂を発生するような深い粒
界酸化を行えば、メッキの密着性に問題が生じる。メッ
キの密着性に問題が生じない程度の横割れであれば、そ
の横割れに存在するカリ分の間隔は、近年のようにイン
バーター電源のパルスによる微細な溶滴移行を行わせる
には粗すぎる。またカリは吸湿性が強く、水分が少しで
も存在すると吸湿してワイヤ表面のCuメッキが錆びて
変色し、商品価値を低下させるだけでなく、ワイヤ送給
性を害し、かえってアークの不安定化を招くことになる
という重大な問題がある。
【0007】本発明は、上記問題点を解決し、低スパッ
タ化を計ることを可能とする炭酸ガスシールドアーク溶
接用ワイヤおよびその製造方法を提供することを目的と
するものである。なお、スパッタの発生量は0.70g
/分以下を目標とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】ワイヤ表層部に酸素を富
化すると同時に、アーク安定性に優れたアルカリ金属を
鋼中に均一に分布させることが最も効果的であるが、こ
れまでその手段が存在しなかった。本発明は、上記問題
点を解決するために、鋭意研究を進めた結果、焼鈍雰囲
気の制御によって生成可能である内部酸化部にアルカリ
金属を表面より拡散させる方法を開発し、表層部に安定
かつ均一にアルカリ金属を含有させることが可能とな
り、低スパッタ化を達成したものである。
【0009】すなわち本発明は、鋼ワイヤ表層部に内部
酸化物を有し、かつワイヤ全体に対して1ppm以上の
アルカリ金属を該内部酸化物中に含有し、スパッタ発生
量が0.70g/分以下であることを特徴とする炭酸ガスシ
ールドアーク溶接用低スパッタワイヤである。また本発
明は、鋼ワイヤの表面にアルカリ金属よりなるシュウ酸
塩、クエン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩を塗布してか
ら窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を施
すことを特徴とするスパッタ発生量が0.70g/分以下で
ある炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤの
製造方法であり、また本発明は、鋼ワイヤの表面に残留
する潤滑剤を除去した後に、又は熱間伸線した後ショッ
トブラスト処理し冷間伸線した後の鋼ワイヤの表面に若
しくは冷間伸線した後ショットブラスト処理した鋼ワイ
ヤの表面に、又は冷間伸線した後ブラシ研摩加工処理若
しくは酸洗処理した鋼ワイヤの表面にアルカリ金属より
なるシュウ酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩
のうち1種以上を塗布してから窒素ガス雰囲気中で焼鈍
し、銅メッキ、伸線加工を施すことを特徴とするスパッ
タ発生量が0.70g/分以下である炭酸ガスシールドアー
ク溶接用低スパッタワイヤの製造方法である。
【0010】
【作用】本発明によれば、表層部の内部酸化物中にアル
カリ金属を拡散させることによって、アルカリ金属を表
層部に均一かつ安定に含有させることができ、溶接中の
アークを安定に保つことによって低スパッタ化を達成す
ることができる。アルカリ金属の量としては、ワイヤ全
体に対して1ppm以上必要である。1ppm未満では
アークを安定させる効果がなく、目標とする低スパッタ
化が達成されない。
【0011】図1にワイヤ全体に対するアルカリ金属含
有量とスパッタ発生量の関係を示す。アルカリ金属含有
量1ppm以上でスパッタ量0.70g/分以下を達成
することができる。焼鈍前にワイヤ表面に塗布し内部酸
化物中へ拡散させるアルカリ金属源としては、アルカリ
金属のシュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、リン酸化合
物、ハロゲン化合物が効果的である。
【0012】これらの化合物は、炭酸ガスシールドアー
ク溶接用ワイヤの製造工程において通常のベル焼鈍に用
いられるような弱酸化性の高温雰囲気中で不安定であ
り、分解してアルカリ金属が酸素と同じように鋼中に拡
散し、Feよりも酸化傾向が強いため、内部酸化物の1
構成元素として存在すると考えられる。ところで、一般
に鋼ワイヤ表面には伸線潤滑剤や油脂が残留している場
合が多く、この場合それらによりワイヤ表面が保護され
た状態となっているため、アルカリ金属を含む化合物が
安定的に表面に塗布されない場合がある。特に連続焼鈍
のような5分程度までの短時間の熱処理では、ワイヤ全
長にわたって安定的にアルカリ金属を1ppm以上保持
させられない場合もある。
【0013】すなわち、連続焼鈍のような短時間の熱処
理に対しても安定的にアルカリ金属を1ppm以上保持
させるためには、鋼ワイヤ表面に残存する伸線潤滑剤や
油脂を予め除去しておくことが望ましい。除去方法とし
ては、溶剤による脱脂、アルカリ洗浄などがあげられる
が、潤滑剤の残量としてはワイヤ10kg当たり1g以
下であることが望ましい。
【0014】また、さらにアルカリ金属を効果的に残留
させるためには、ワイヤ表面の伸線潤滑剤や油脂を除去
するだけでなく、熱間伸線した後ショットブラスト処理
し冷間伸線し若しくは冷間伸線した後ショットブラスト
処理し、又は冷間伸線した後ブラシ研摩加工処理若しく
は酸洗処理し、鋼ワイヤの表面を活性化するとともにそ
の表面に発生した凹凸や擦り傷による実表面積の増大を
はかることが望ましい。
【0015】例えば、ブラシ研摩加工処理について言え
ば、#500程度以下のワイヤブラシやアラミド繊維の
表面に研磨砥粒を埋め込んだブラシにより研磨加工して
表面を荒らした鋼ワイヤを素線として用い、その鋼ワイ
ヤにアルカリ金属を含む化合物を塗布して焼鈍すれば鋼
ワイヤ表層部の内部酸化物にアルカリ金属をより多く含
有させることができる。
【0016】すなわち、これはワイヤ表面に残留する潤
滑剤や油脂を除去する効果に加え、さらに表面が研磨さ
れることでワイヤ表面の酸化皮膜を破壊し表面を活性化
する効果、さらには表面に加工を施すことで、ワイヤ表
面の増加やワイヤ表面に圧縮の残留応力が生じることな
どが相俟ってワイヤ表面でのアルカリ金属の拡散が促進
されると考えられる。そのため、短時間焼鈍である連続
焼鈍プロセスにも本発明は適用可能である。
【0017】
【実施例】
(実施例1)表1に示す組成の線径5.5mmの熱延鋼
線を冷間伸線によって線径2.0mmとした鋼線を素材
として用いた。表2に示した塗布剤の液中に浸漬し、乾
燥した後、720℃×3時間N2 雰囲気中で焼鈍した。
酸化を起こさせるために露点0℃に調整したN2 ガスを
毎分60l送給した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】熱処理後塩酸10%の40℃水溶液中に2
分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキを
施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生量
の評価試験に供した。溶接条件は、100%CO2 を毎
分20lシールドガスとして流し、電流:270A、電
圧:28V、溶接速度:30cm/分、溶接時間は2分
とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計測し
た。
【0021】スパッタ発生量の目標値は0.70g/分
以下に設定した。そして特に0.50g/分以下を良
(○)、0.50g/分越え0.70g/分以下を可
(△)、0.70g/分越えを不可(×)と評価した。
表2にその結果を併せて示す。表2からわかるように、
熱処理前の塗布剤としてはシュウ酸塩、クエン酸塩、酒
石酸塩、ハロゲン化合物、リン酸塩はスパッタ低減に大
きな効果があり、一方炭酸塩、水酸化物を塗布したもの
および無塗布のものはワイヤの酸素付加量が前記塗布剤
を塗布したものと同程度であるにもかかわらず効果が少
なかった。なおシュウ酸塩は塗布剤として効果があるも
のの毒物であるので使用は避けた方が良い。
【0022】本発明に用いた焼鈍前の塗布剤は、内部酸
化層生成にも効果があり、塗布する塗布剤によってはC
uメッキ後の伸線によって表面に割れを効果的に生じさ
せることができる。 (実施例2)表1における No.6の組成の線径5.5m
mの熱延鋼線をステアリン酸ナトリウムを主体とする伸
線潤滑剤を用いて冷間伸線によって線径2.0mmとし
た鋼線を素材として用いた。潤滑剤の除去は表3に示す
ように伸線ままのものと、アルカリ脱脂およびトリクレ
ン脱脂を施したものを用いた。これらワイヤをクエン酸
カリ10%水溶液中に浸漬乾燥した後、バッチ焼鈍の場
合は720℃×3時間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸化を起
こさせるために露点0℃に調整したN2 ガスを毎分60
l送給した。連続焼鈍では800℃×2分間N2 雰囲気
中で焼鈍し、酸化を起こさせるために露点0℃に調整し
た。
【0023】
【表3】
【0024】熱処理後塩酸10%の40℃水溶液中に2
分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキを
施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生量
の評価試験に供した。溶接条件は、100%CO2 を毎
分20lシールドガスとして流し、電流:270A、電
圧:28V、溶接速度:30cm/分、溶接時間は2分
とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計測し
た。
【0025】スパッタ発生量の目標値は0.70g/分
以下に設定した。そして特に0.50g/分以下を良
(○)、0.50g/分越え0.70g/分以下を可
(△)、0.70g/分越えを不可(×)と評価した。
表3にその結果を併せて示す。表3からわかるように、
クエン酸カリを塗布したものではいずれもスパッタ発生
量の目標値0.70g/分以下を満足するが、さらに脱
脂処理したものでは連続焼鈍のような短時間の熱処理で
も十分低いスパッタが得られている。
【0026】(実施例3)表1に示す組成の線径5.5
mmの熱延鋼線を冷間伸線によって線径2.0mmとし
た鋼線を素材として用いた。この鋼線に研削剤として表
4に示したグリッドを用い、エアー式のショットブラス
ト設備で表面を粗面化後10%のクエン酸カリ水溶液中
に浸漬乾燥した後、800℃×10分間N2 雰囲気中で
焼鈍し、酸化を起こさせるために露点0℃に調整したN
2 ガスを毎分60l送給した。連続焼鈍では800℃×
2分間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせるために
露点0℃に調整した。
【0027】
【表4】
【0028】また、上と同じ組成の線径5.5mmの熱
延鋼線に表5に示したグリッドを用い、エアー式のショ
ットブラスト設備で表面を粗面化後、冷間伸線によって
線径2.0mmとし、この鋼線を10%のクエン酸カリ
水溶液中に浸漬乾燥した後、上と同じ条件で焼鈍した。
【0029】
【表5】
【0030】上記それぞれの熱処理後の鋼線を、塩酸1
0%の40℃水溶液中に2分間浸漬して酸洗したものに
厚さ1μm のCuメッキを施し、仕上げ線径1.2mm
へ伸線してスパッタ発生量の評価試験に供した。溶接条
件は、100%CO2 を毎分20lシールドガスとして
流し、電流:270A、電圧:28V、溶接速度:30
cm/分、溶接時間は2分とした。スパッタは全数補集
してスパッタ量を計測した。
【0031】スパッタ発生量の目標値は0.70g/分
以下に設定した。そして特に0.50g/分以下を良
(○)、0.50g/分越え0.70g/分以下を可
(△)、0.70g/分越えを不可(×)と評価した。
表4および表5にそれぞれの結果を併せて示す。これら
の表からわかるように、冷間加工後若しくは冷間加工前
にショットブラストを施すことによって、短時間の熱処
理でもアルカリ金属含有量1ppm以上を確保できスパ
ッタ発生量を低減させることができる。
【0032】この熱処理条件は連続化が可能であり、大
きなコスト削減の可能性を持つものである。 (実施例4)表1における No.6の組成の線径5.5m
mの熱延鋼線をステアリン酸ナトリウムを主体とする伸
線潤滑剤を用いて冷間伸線によって線径2.0mmとし
た鋼線を素材として用いた。ワイヤへの前処理としては
表6に示すように伸線ままのものと、ワイヤブラシおよ
びアラミド系繊維に研磨粒を埋め込んだブラシによる研
磨を行った。次いで、これらワイヤをクエン酸カリ10
%水溶液中に浸漬乾燥した後、バッチ焼鈍の場合は72
0℃×3時間N2 雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせる
ために露点0℃に調整したN2 ガスを毎分60l送給し
た。連続焼鈍では800℃×2分間N2 雰囲気中で焼鈍
し、酸化を起こさせるために露点0℃に調整した。
【0033】
【表6】
【0034】熱処理後、塩酸10%の40℃水溶液中に
2分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキ
を施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生
量の評価試験に供した。溶接条件は、100%CO2
毎分20lシールドガスとして流し、電流:270A、
電圧:28V、溶接速度:30cm/分、溶接時間は2
分とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計測し
た。
【0035】スパッタ発生量の目標値は0.70g/分
以下に設定した。そして特に0.50g/分以下を良
(○)、0.50g/分越え0.70g/分以下を可
(△)、0.70g/分越えを不可(×)と評価した。
表6にその結果を併せて示す。表6からわかるように、
クエン酸カリを塗布したものではいずれもスパッタ発生
量の目標値0.35g/分以下を満足するが、さらに#
500以下のブラシによる研磨を行ったものでは連続焼
鈍のような短時間の熱処理でも十分低いスパッタが得ら
れている。
【0036】(実施例5)表1における No.6の組成の
線径5.5mmの熱延鋼線をステアリン酸ナトリウムを
主体とする伸線潤滑剤を用いて冷間伸線によって線径
2.0mmとした鋼線を素材として用いた。ワイヤへの
前処理としては表7に示す酸洗条件で表面を粗面化した
ものと、伸線ままのものとを準備した。
【0037】次いで、これらワイヤをクエン酸カリ10
%水溶液中に浸漬乾燥した後、800℃×10分間N2
雰囲気中で焼鈍し、酸化を起こさせるために露点0℃に
調整したN2 ガスを毎分60l送給した。
【0038】
【表7】
【0039】熱処理後、塩酸10%の40℃水溶液中に
2分間浸漬して酸洗したものに厚さ1μm のCuメッキ
を施し、仕上げ線径1.2mmへ伸線してスパッタ発生
量の評価試験に供した。溶接条件は、100%CO2
毎分20lシールドガスとして流し、電流:270A、
電圧:28V、溶接速度:30cm/分、溶接時間は2
分とした。スパッタは全数補集してスパッタ量を計測し
た。
【0040】スパッタ発生量の目標値は0.70g/分
以下に設定した。そして特に0.50g/分以下を良
(○)、0.50g/分越え0.70g/分以下を可
(△)、0.70g/分越えを不可(×)と評価した。
表7にその結果を併せて示す。表7からわかるように、
酸洗条件で表面を粗面化したものはいずれも短時間の熱
処理でもアルカリ金属含有量1ppm以上を確保でき、
スパッタ発生量の目標値0.70g/分以下を満足す
る。
【0041】この熱処理条件は連続化が可能であり、大
きなコスト削減の可能性を持つものである。以上述べた
表1におけるNo.6の組成の実施例について、アルカリ
金属含有量とスパッタ発生量の関係を示したものが図1
である。いずれの方法においてもアルカリ金属含有量を
1ppm以上とすることにより、スパッタ発生量を0.
70g/min以下に抑えることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明により、メッキ密着性、メッキ表
面錆などのおそれのない、しかもスパッタ発生量の著し
く少ない炭酸ガスシールドアーク溶接用ワイヤが得られ
るようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカリ金属含有量とスパッタ発生量との関係
を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田畑 綽久 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社 水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 平6−218574(JP,A) 稲垣道夫・中山浩 共著、現代溶接技 術体系《第37巻》、産業出版株式会社、 昭和55年1月23日、p.188〜p.192 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23K 35/02 B23K 35/36 B23K 35/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼ワイヤ表層部に内部酸化物を有し、か
    つワイヤ全体に対して1ppm以上のアルカリ金属を該
    内部酸化物中に含有し、スパッタ発生量が0.70g/分以
    下であることを特徴とする炭酸ガスシールドアーク溶接
    用低スパッタワイヤ。
  2. 【請求項2】 鋼ワイヤの表面にアルカリ金属よりなる
    シュウ酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のう
    ち1種以上を塗布してから窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、
    銅メッキ、伸線加工を施すことを特徴とするスパッタ発
    生量が0.70g/分以下である炭酸ガスシールドアーク溶
    接用低スパッタワイヤの製造方法。
  3. 【請求項3】 鋼ワイヤの表面に残留する潤滑剤を除去
    した後に、アルカリ金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸
    塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗布して
    から窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を
    施すことを特徴とするスパッタ発生量が0.70g/分以下
    である炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤ
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 熱間伸線した後ショットブラスト処理し
    冷間伸線した後の鋼ワイヤの表面に、又は冷間伸線した
    後ショットブラスト処理した鋼ワイヤの表面にアルカリ
    金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化合
    物、燐酸塩のうち1種以上を塗布してから窒素ガス雰囲
    気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を施すことを特徴と
    するスパッタ発生量が0.70g/分以下である炭酸ガスシ
    ールドアーク溶接用低スパッタワイヤの製造方法。
  5. 【請求項5】 冷間伸線した後ブラシ研摩加工処理した
    鋼ワイヤの表面にアルカリ金属よりなるシュウ酸塩、ク
    エン酸塩、ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗
    布してから窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線
    加工を施すことを特徴とするスパッタ発生量が0.70g/
    分以下である炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタ
    ワイヤの製造方法。
  6. 【請求項6】 冷間伸線した後酸洗処理した鋼ワイヤの
    表面にアルカリ金属よりなるシュウ酸塩、クエン酸塩、
    ハロゲン化合物、燐酸塩のうち1種以上を塗布してから
    窒素ガス雰囲気中で焼鈍し、銅メッキ、伸線加工を施す
    ことを特徴とするスパッタ発生量が0.70g/分以下であ
    炭酸ガスシールドアーク溶接用低スパッタワイヤの製
    造方法。
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稲垣道夫・中山浩 共著、現代溶接技術体系《第37巻》、産業出版株式会社、昭和55年1月23日、p.188〜p.192

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