JP2901249B2 - スチレン系重合体成形品およびその製造方法 - Google Patents

スチレン系重合体成形品およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はスチレン系重合体成形品およびその製造方法
に関し、詳しくは主としてシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体の各種成形品に電子線を照射して
得られるスチレン系重合体成形品およびその効果的な製
造方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般に、電気・電子部品の製造には多くの樹脂が利用
されているが、例えばコネクターの場合、リード線など
の接続のためハンダ付けされることが多い。そのため、
このような電気・電子部品の製造には一般のハンダ付け
温度(260℃以上)においても、その成形品形状を保持
し得る(以下、この性質を「耐ハンダ性」という)程度
の耐熱性を有する樹脂が必要とされる。このような耐熱
性を有する樹脂としてポリイミドやポリフェニレンサル
ファイドなどが知られているが、これらの樹脂は高価で
あることから価格面で問題がある。一方、ポリエチレン
テレフタレート(PET)などは比較的安価であるが耐熱
性が充分でなくハンダ付け作業に耐えることができな
い。
このように電気・電子部品の製造に適した優れた耐ハ
ンダ性を有し、かつ安価である樹脂は未だ得られないの
が実情である。
また、近年、使用量が増加している清涼飲料用容器と
してのプラスチックボトルはPETの延伸ブローによって
製造されているが、このプラスチックボトルはPETのガ
ラス転移温度(Tg)以上で使用することは困難である。
そのため、飲料用耐熱性プラスチックボトルなどの食品
容器の製造に好適な耐熱性に優れた樹脂の開発が強く望
まれていた。
このような状況下で、本発明者らのグループは、先
般、主鎖が主としてシンジオタクチック構造であるスチ
レン系重合体を開発した(特開昭62−104818号公報)。
このスチレン系重合体のうち、スチレンの単独重合体
は、Tgが100℃,融点が(Tm)が260〜270℃であり、更
に比較的安価であることから、上記のような性能が要求
される電気・電子部品,食品容器などへの利用が期待さ
れていた。
そこで、本発明者らのグループは、上記スチレン系重
合体を成形し、これに熱処理を施した結晶性素材からな
る成形品を提案した(特開平1−182348号公報)。しか
し、その後の研究により、この成形品は従来のものに比
べて格段にすぐれているものの、充分な耐ハンダ性を有
しないため、耐熱性の要求される電気・電子部品として
は必ずしも満足できるものではないことが判明した。ま
た、更に上記スチレン系重合体を延伸ブローして得られ
る成形品についても提案した(特願昭63−3847号明細
書)。しかしながら、熱処理を施さない成形品は100℃
前後の熱水の使用に耐えられず、好適な成形品を得るこ
とは困難であった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意研究
を重ねた結果、主としてシンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体を成形して得られる成形品に電子線
を照射すると、目的とする耐ハンダ性,耐熱水性、殊に
耐水蒸気抵抗性(実施例記載の水蒸気に対する抵抗性)
が著しく改善されることを見出した。本発明はかかる知
見に基いて完成したものである。
すなわち、本発明は主としてシンジオタクチック構造
を有するスチレン系重合体からなる成形品に電子線を照
射してなるスチレン系重合体成形品を提供するととも
に、主としてシンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体を成形し、次いで得られた成形品に電子線を照
射することを特徴とするスチレン系重合体成形品の製造
方法を提供し、さらに主としてシンジオタクチック構造
を有するスチレン系重合体を融点以上の温度で融解した
後急冷して非晶性原反シートを作成し、次いで該シート
をガラス転移温度以上融点以下の温度で延伸して得られ
る延伸フィルムに電子線を照射することを特徴とするス
チレン系重合体成形品の製造方法をも提供するものであ
る。以上を具体的に記すと、以下の通りである。
(1)ラセミペンタッドで30%以上のシンジオタクティ
シティーを有するスチレン系重合体を融点以上の温度で
融解し、冷却した後成形して得られる成形品に電子線を
照射してなるスチレン系重合体成形品。
(2)ラセミペンタッドで30%以上のシンジオタクティ
シティーを有するスチレン系重合体を融点以上の温度で
融解し、冷却した後成形し、次いで得られた成形品に電
子線を照射することを特徴とするスチレン系重合体成形
品の製造方法。
(3)ラセミペンタッドで30%以上のシンジオタクティ
シティーを有するスチレン系重合体を融点以上の温度で
融解した後急冷して非晶性原反シートを作成し、次いで
該シートをガラス転移温度以上融点以下の温度で延伸し
て得られる延伸フィルムに電子線を照射することを特徴
とするスチレン系重合体成形品の製造方法。
本発明において、成形品の素材として用いるスチレン
系重合体は、主としてシンジオタクチック構造を有する
ものであるが、ここで主としてシンジオタクチック構造
とは、立体化学構造が主としてシンジオタクチック構
造、即ち炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側
鎖であるフェニル基や置換フェニル基が交互に反対方向
に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティ
シティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR
法)により定量される。13C−NMR法により測定されるタ
クティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割
合、例えば2個の場合はダイアッド,3個の場合はトリア
ッド,5個の場合はペンタッドによって示すことができる
が、本発明に言う主としてシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体とは、通常はダイアッドで75%以
上、好ましくは85%以上、若しくはペンタッド(ラセミ
ペンタッド)で30%以上、好ましくは50%以上のシンジ
オタクティシティーを有するポリスチレン,ポリ(アル
キルスチレン),ポリ(ハロゲン化スチレン),ポリ
(アルコキシスチレン),ポリ(ビニル安息香酸エステ
ル)およびこれらの混合物、あるいはこれらを主成分と
する共重合体を指称する。なお、ここでポリ(アルキル
スチレン)としては、ポリ(メチルスチレン),ポリ
(エチルスチレン),ポリ(イソプロピルスチレン),
ポリ(ターシャリーブチルスチレン)などがあり、ポリ
(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレ
ン),ポリ(ブロモスチレン),ポリ(フルオロスチレ
ン)などがある。また、ポリ(アルコキシスチレン)と
しては、ポリ(メトキシスチレン),ポリ(エトキシス
チレン)などがある。これらのうち特に好ましいスチレ
ン系重合体としては、ポリスチレン,ポリ(p−メチル
スチレン),ポリ(m−メチルスチレン),ポリ(p−
ターシャリーブチルスチレン),ポリ(p−クロロスチ
レン),ポリ(m−クロロスチレン),ポリ(p−フル
オロスチレン),更にはスチレンとp−メチルスチレン
との共重合体をあげることができる(特開昭62−187708
号公報)。なお本願の主としてシンジオタクチック構造
を有するスチレン系重合体は、上述したようにラセミペ
ンタッドで30%以上のシンジオタクティシティーを有す
るスチレン系重合体を意味するので、本願の請求項1,2
及び3に於いてはラセミペンタッドで30%以上のシンジ
オタクティシティーを有するスチレン系重合体に特定し
た。
また、本発明に用いるスチレン系重合体は、分子量に
ついては制限はないが、重量平均分子量が10,000以上の
ものが好ましく、とりわけ50,000以上のものが最適であ
る。さらに、分子量分布についてもその広狭は制約がな
く、様々なものを充当することが可能である。この主と
してシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体
は、融点が160〜310℃であって、従来のアタクチック構
造のスチレン系重合体に比べて耐熱性が格段に優れてい
る。
このような主としてシンジオタクチック構造を有する
スチレン系重合体は、例えば不活性炭化水素溶媒中また
は溶媒の不存在下に、チタン化合物、及び水とトリアル
キルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン
系単量体(上記スチレン系重合体に対応する単量体)を
重合することにより製造することができる。
本発明の成形品は、上記スチレン系重合体を成形して
得られるが、このスチレン系重合体には、一般に使用さ
れている熱可塑性樹脂,ゴム,無機充填剤,酸化防止
剤,核剤,可塑剤,相溶化剤,着色剤,帯電防止剤など
を添加することができる。
また、電子線の照射効果を促進するために架橋剤や架
橋助剤を添加してもよい。
ここで酸化防止剤としては様々なものがあるが、特に
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイ
ト,トリス(モノおよびジ−ノニルフェニル)ホスファ
イト等のモノホスファイトやジホスファイト等のリン系
酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤が好ましい。
ジホスファイトとしては、 一般式 〔式中、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜20のアルキル基,
炭素数3〜20のシクロアルキル基あるいは炭素数6〜20
のアリール基を示す。〕 で表わされるリン系化合物を用いることが好ましい。
上記一般式で表わされるリン系化合物の具体例として
は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイ
ト;ジオクチルペンタエリスリトールジホスファイト;
ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト;ビス
(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト;ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−
メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイ
ト;ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファ
イトなどが挙げられる。
また、フェノール系酸化防止剤としては既知のものを
使用することができ、その具体例としては、2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジフェニル−
4−メトキシフェノール;2,2′−メチレンビス(6−t
−ブチル−4−メチルフェノール);2,2′−メチレンビ
ス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール);2,2′
−メチレンビス〔4−メチル−6−(α−メチルシクロ
ヘキシル)フェノール〕;1,1−ビス(5−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2′−
メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノ
ール);2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−ノニ
ルフェノール);1,1,3−トリス−(5−t−ブチル−4
−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン;2,2−ビス
−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェ
ニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン;エチレン
グリコール−ビス〔3,3−ビス(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)ブチレート〕;1−1−ビス(3,5
−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)−3−(n−ド
デシルチオ)−ブタン;4,4′−チオビス(6−t−ブチ
ル−3−メチルフェノール);1,3,5−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−ト
リメチルベンゼン;2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシルエス
テル;n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−
ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート;テトラキス
〔メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシハ
イドロシンナメート)〕メタンなどが挙げられる。
上記の酸化防止剤は、前記の主としてシンジオタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体100重量部に対し、
0.0001〜2重量部、好ましくは0.001〜1重量部の割合
で配合される。
ここで酸化防止剤の配合割合が0.0001重量部未満であ
ると分子量低下が著しく、一方、2重量部を超えると機
械的強度に影響があるため、いずれも好ましくない。
また、熱可塑性樹脂としては、例えばアタクチック構
造のポリスチレン,アイソタクチック構造のポリスチレ
ン,AS樹脂,ABS樹脂などのスチレン系重合体をはじめ、
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル,ポリ
カーボネート,ポリフェニレンオキサイド,ポリスルホ
ン,ポリエーテルスルホンなどのポリエーテル,ポリア
ミド、ポリフェニレンスルフィド(PPS),ポリオキシ
メチレンなどの縮合系重合体、ポリアクリル酸,ポリア
クリル酸エステル,ポリメチルメタクリレートなどのア
クリル系重合体、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ
ブテン,ポリ4−メチルペンテル−1,エチレン−プロピ
レン共重合体などのポリオレフィン、あるいはポリ塩化
ビニル,ポリ塩化ビニリデン,ポリ弗化ビニリデンなど
の含ハロゲンビニル化合物重合体などが挙げられる。
またゴムとしては、様々なものが使用可能であるが、
最も好適なものはスチレン系化合物をその一成分として
含むゴム状共重合体で、例えば、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体のブタジエン部分を一部あるいは完全
に水素化したゴム(SEBS),スチレン−ブタジエン共重
合体ゴム(SBR),アクリル酸メチル−ブタジエン−ス
チレン共重合体ゴム,アクリロニトリル−ブタジエン−
スチレン共重合体ゴム(ABSゴム),アクリロニトリル
−アルキルアクリレート−ブタジエン−スチレン共重合
体ゴム(AABS),メタクリル酸メチル−アルキルアクリ
レート−スチレン共重合体ゴム(MAS),メタクリル酸
メチル−アルキルアクリレート−ブタジエン−スチレン
共重合体ゴム(MABS)などが挙げられる。これらのスチ
レン系化合物をその一成分として含むゴム状共重合体
は、スチレン単位を有するため、主としてシンジオタク
チック構造を有するスチレン系重合体に対する分散性が
良好であり、その結果、物性の改善効果が著しい。
さらに用いることのできるゴムの他の例としては、天
然ゴム,ポリブタジエン,ポリイソプレン,ポリイソブ
チレン,ネオプレン,エチレン−プロピレン共重合体ゴ
ム,ポリスルフィドゴム,チオコールゴム,アクリルゴ
ム,ウレタンゴム,シリコーンゴム,エピクロルヒドリ
ンゴム,ポリエーテル・エステルゴム,ポリエステル・
エステルゴムなどが挙げられる。
さらに無機充填剤としては、繊維状のものであると、
粒状,粉状のものであるとを問わない。繊維状無機充填
剤としてはガラス繊維,炭素繊維,アルミナ繊維等が挙
げられる。一方、粒状,粉状無機充填剤としてはタル
ク,カーボンブラック,グラファイト,二酸化チタン,
シリカ,マイカ,炭酸カルシウム,硫酸カルシウム,炭
酸バリウム,炭酸マグネシウム,硫酸マグネシウム,硫
酸バリウム,オキシサルフェート,酸化スズ,アルミ
ナ,カオリン,炭化ケイ素,金属粉末等が挙げられる。
また架橋剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシ
ド;クメンヒドロペルオキシド;ジイソプロピルベンゼ
ンペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペロキ
シヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジヒドロペロキシヘ
キサン−3などのヒドロペルオキシド類,ジアルキルペ
ルオキシド類,ケトンペルオキシド類,ジアシルペルオ
キシド類,ペルオキシエステル類などを適量使用するこ
とができる。
架橋助剤としては、p−キノンジオキシム;p,p−ジベ
ンゾイルキノンオキシムなどのキノンジオキシム類、ポ
リエチレングリコールジメタクリレートなどのメタクリ
レート類、アリル系化合物,マレイミド系化合物などを
適宜使用することができる。
本発明においては、上記スチレン系重合体あるいはこ
れに必要に応じて上記の酸化防止剤,架橋剤などを添加
した重合体組成物を成形し、得られた成形品に電子線を
照射して処理する。
電子線処理前の成形品の形状,成形方法,結晶化度な
どについては特に制限はなく、目的とする電子線照射処
理の成形品に要求される特性などに応じて適宜決定する
ことができる。例えば、その形状は、フィルム状,シー
ト状,積層フィルム状あるいは容器などの三次元構造体
でもよく、またその成形方法は、成形品の形状などに応
じて、押出成形,射出成形,ブロー成形あるいはインフ
レーション成形などを適用することができる。さらに、
結晶化度については、結晶性,非晶性のいずれでもよ
い。また、必要に応じて、成形後に熱処理を施したもの
も使用することができる。ここで、射出成形では、融点
以上の温度で融解させ、200℃以下の任意の金型温度で
成形した成形品、さらに熱処理した成形品を用いること
もできる。
本発明においては、特に、延伸により結晶化させた延
伸フィルムあるいは更に熱処理を施して結晶化度を上げ
た延伸フィルムのほかに、ブロー成形あるいは射出成形
によって得られる成形体、T−ダイなどを用いた押出成
形によって得られるシートなどが好適に使用される。
上記延伸フィルムは、例えば特願昭63−3847号明細書
に記載の方法、具体的には主としてシンジオタクチック
構造を有するスチレン系重合体を融点以上の温度で融解
した後急冷して非晶性原反シートを作成し、次いで該シ
ートをガラス転移温度以上融点以下の温度で延伸するこ
とによって得られる。また、この延伸フィルムは、ガラ
ス転移温度以上融点以下の温度で熱処理することによっ
て結晶化度を上げることができる。
本発明においては、上記の成形品に電子線を照射する
ことが必要である。この電子線の照射処理により、成形
品の素材であるスチレン系重合体に架橋等の変化が起こ
り、結果的に成形品の熱的性質(耐ハンダ性や耐熱水性
など)が改善される。ここで、電子線照射を行わない
と、成形品の熱的性質が充分に改善されず、本発明の目
的を達成することができない。
この電子線処理に使用する装置は、静電加速方式ある
いは高周波加速方式のいずれかでもよく、電子発生機構
は熱陰極型,冷陰極型あるいは電解放出型のいずれでも
よく、また処理方法は走査型あるいは非走査型のいずれ
でもよい。このうち特に、装置が静電加速方式、電子発
生機構が熱陰極型、また処理方法が走査型の組合せが好
ましい。
電子線照射の程度は、成形品に対する処理の深さ、す
なわち架橋等の程度によって決定され、例えば成形品の
表面のみを架橋させる場合には成形品全体を架橋させる
場合よりも電子線照射量は少なくてもよい。この電子線
照射量は吸収線量で示すのが最も適当であり、通常、こ
の吸収線量が、架橋剤を使用する場合には0.01〜80Mrad
(メガラッド)、架橋剤を使用しない場合には1〜100M
radとなるように調節するのが好ましい。なお、加速電
圧は、成形品の厚さ,処理しようとする深さによって調
節されるが、通常は100kV〜3MV(メガボルト)程度が好
ましい。さらに、電子線量(電子流)は1〜300mA程度
が好ましい。
また、電子線処理後のフィルムを積層して積層フィル
ムとして使用する場合は、目的とする積層フィルムの要
求特性を考慮して積層すべき樹脂を選定する。例えば、
積層フィルムに高い力学的強度を要求する場合には、熱
可塑性樹脂としてポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂,
ポリカーボネート樹脂,ポリオレフィン樹脂あるいは含
ハロゲンビニル化合物重合体などを選定すべきであり、
また、ガスバリア性を重視する場合には、PET等のポリ
エステル樹脂,ポリアミド樹脂,PPS,ポリビニルアルコ
ール樹脂およびその誘導体あるいはエチレンビニルアセ
テートなどを選定すべきであり、その他低融点の熱可塑
性樹脂を選定すればヒートシール性の良好な積層フィル
ムが得られる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
製造例(主としてシンジオタクチック構造を有するスチ
レン系重合体の製造) 反応容器に溶媒としてトルエン2lと、触媒成分である
シクロペンタジエニルチタニウムトリクロライド1ミリ
モルおよびメチルアルミノキサンをアルミニウム原子と
して0.6モル加え、20℃においてスチレン3.6lを加えて
1時間重合反応を行った。
反応終了後、生成物を塩素−メタノール混合液で洗浄
し、触媒成分を分解除去した。ついで乾燥して重合体33
0gを得た。
つぎに、この重合体(ポリスチレン)をメチルエチル
ケトンを溶媒としてソックスレー抽出し、抽出残分95重
量%を得た。この重合体は重量平均分子量290,000,数平
均分子量158,000であり、融点は270℃であった。またこ
の重合体は、同位体炭素の核磁気共鳴(13C−NMR)によ
る分析からシンジオタクチック構造に基因する145.35pp
mに吸収が認められ、そのピーク面積から算出したペン
タッドでのシンジオタクティシティーは96%のものであ
った。
実施例1 上記製造例で得たシンジオタクチック構造のポリスチ
レン粉末100重量部と、酸化防止剤として、ビス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスフ
ァイト0.7重量部および2,6−ジ−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール0.1重量部をドライブレンドした。この粉
末を296℃にて溶融し、急冷して非晶性シートを作成し
た。
このプレスシートを用い、加速電圧500kVで、吸収線
量が50Mradになるように走査型電子線処理装置を用い
て、電子線処理を行った。
得られたプレスシートの耐熱性を表に示す。
実施例2 実施例1と同様にして非晶性シートを得、テーブルテ
ンターを用いて120℃で縦横3.5倍ずつ延伸した。
この延伸フィルムを用い、加速電圧500kV,電子流10mA
で吸収線量が40Mradになるように、電子線処理を行っ
た。得られたフィルムの耐熱性を表に示す。
実施例3 実施例2において、電子線処理を施す前に二軸延伸フ
ィルムを、緊張下、260℃で熱処理した以外は、実施例
2と同様に電子線処理を行った。結果を表に示す。
実施例4 実施例1で調製した混合粉末を溶融し、ペレット化し
た。このペレットを用いて射出成形機にて試験片を作成
した。
この試験片を用いて加速電圧500kV,電子流10mAで吸収
線量が60Mradになるように、電子線処理を行った。結果
を表に示す。
比較例1 実施例1において、電子線処理前のシートの耐熱性を
評価し、その結果を表に示す。
比較例2 実施例2において、電子線処理前のフィルムの耐熱性
を評価し、その結果を表に示す。
比較例3 実施例3において、電子線処理前のフィルムの耐熱性
を評価し、その結果を表に示す。
比較例4 実施例4において、電子線処理前の試験片の耐熱性を
評価し、その結果を表に示す。
〔発明の効果〕 以上の如く、本発明のスチレン系重合体成形品は、耐
熱性に優れ、また安価であることから、耐熱性の要求さ
れる構造材料,食品容器材料,食品包装材料(単層,多
層)あるいは電気・電子部品材料などとして有用であ
る。
特に、耐ハンダ性に優れていることから、ハンダ付け
を必要とする電気・電子部品の製造に効果的に利用する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 25:00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラセミペンタッドで30%以上のシンジオタ
    クティシティーを有するスチレン系重合体を融点以上の
    温度で融解し、冷却した後成形して得られる成形品に電
    子線を照射してなるスチレン系重合体成形品。
  2. 【請求項2】ラセミペンタッドで30%以上のシンジオタ
    クティシティーを有するスチレン系重合体を融点以上の
    温度で融解し、冷却した後成形し、次いで得られた成形
    品に電子線を照射することを特徴とするスチレン系重合
    体成形品の製造方法。
  3. 【請求項3】ラセミペンタッドで30%以上のシンジオタ
    クティシティーを有するスチレン系重合体を融点以上の
    温度で融解した後急冷して非晶性原反シートを作成し、
    次いで該シートをガラス転移温度以上融点以下の温度で
    延伸して得られる延伸フィルムに電子線を照射すること
    を特徴とするスチレン系重合体成形品の製造方法。
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