JP2900597B2 - 光学用樹脂 - Google Patents

光学用樹脂

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は光学用樹脂に関し、更に詳しくは、屈折率、
色収差、透明度等の光学特性および種々の機械的特性に
優れた光学用樹脂に関する。
<従来の技術> 近年、軽量性、成形容易性、耐衝撃性および染色性な
どに優れた合成樹脂材料が、無機硝子に代わってレンズ
材料として使用されている。該合成樹脂材料としては、
例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリジエチレング
リコールビスアリルカーボネート、ポリスチレン、ポリ
カーボネートが知られている。前記ポリメチルメタクリ
レート、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネ
ートは、軽量性、耐衝撃性に優れているものの、屈折率
が1.49程度と低いためレンズとして用いる場合、無機硝
子に比べて厚いレンズが要求され、高倍率化、軽量化に
は適さないという欠点がある。また、前記ポリスチレ
ン、ポリカーボネートにおいては、屈折率は1.58〜1.59
程度と高いものの、熱可塑性樹脂であるため、射出成形
時に複屈折による光学歪を生じやすいという問題があ
り、更には耐溶剤性、耐擦傷性に欠けるなどの欠点があ
る。
そこで最近になって、高屈折率であってこれら従来の
欠点を改善するためのいくつかの技術提案がなされてい
る。例えば、特開平1−309002号公報には、ジスチリル
型の有機硫黄化合物と、3又は4価のチオール化合物と
を硬化させてなるプラスチックレンズが、また特開平1
−315701号公報には、分子内にビニル基をモル平均で1.
3個以上有する化合物と、チオール基をモル平均で1.1個
以上有する化合物とを特定の割合で混合し硬化させてな
る含硫黄プラスチックレンズが、更に、特開平1−5800
1号公報には、ジメルカプトベンゼン核置換物と1分子
あたり少なくとも2個の反応性不飽和基を有する化合物
とを反応させて得られる高屈折率光学用樹脂がそれぞれ
提案されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら前述の光学用樹脂は、高屈折率を有して
いるものの色収差の点で問題があり、しかも原料に用い
るチオール化合物の悪臭が強く、ハンドリング性に劣
り、また作業環境的にも問題がある。さらに多価チオー
ル化合物を使用するため硬化が困難であり、機械的特性
に劣るという問題がある。
また重付加及び重縮合により得られる光学用樹脂にお
いては、重合反応の制御が困難であるため、歩留まりが
悪いなどの欠点がある。
したがって本発明の目的は、プラスチックレンズ用あ
るいはその他の光学用樹脂として望ましい屈折率、色収
差、透明度等を有し、種々の機械的特性に優れ、更に低
臭性で硬化させる際のハンドリング性に優れた光学用樹
脂を提供することにある。
<課題を解決するための手段> 本発明によれば、下記一般式(I) (式中Rは、水素原子又は を示し、lは1又は2を示す)で表わされる有機硫黄化
合物と一分子中に1個以上の不飽和結合を有する化合物
とを含む原料モノマーを共重合して得られる光学用樹脂
が提供される。
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明の光学用樹脂は、特定の有機硫黄化合物と一分
子中に1個以上の不飽和結合を有する化合物とを必須の
原料モノマーとして用いることを特徴とする。
本発明において用いられる前記特定の有機硫黄化合物
は、下記一般式(I)で表わす事ができ、 (式中Rは、水素原子又は を示し、lは1又は2を示す。この際lが2を超える場
合には、 であるので使用できない。
前記有機硫黄化合物としては、具体的には例えば、 を挙げることができ、使用に際しては単独若しくは混合
物として用いることができる。
前記有機硫黄化合物を調整するには、例えば、m−イ
ソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネー
ト0.8〜2.2モルと1,2−ジメルカプトエタン1モルと
を、触媒としてトリエチルアミン等の触媒の存在下に
て、好ましくはトルエン、ベンゼン、キシレン等を溶媒
として用い、反応温度−20〜+100℃にて、30分〜48時
間反応させるなどして容易に得る事ができる。
また本発明において、原料モノマーの必須成分として
含有する前記一分子中に1個以上の不飽和結合を有する
化合物としては、不飽和結合を有しておれば、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、スチレ
ン、p−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−ク
ロルスチレン、p−ブロムスチレン、o−ブロムスチレ
ン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、p
−ビニルエチルベンゼン、m−ビニルエチルベンセン、
p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、エチレ
ングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコール
ジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロキシ
−3−メタクリロキシプロパン、1,6−ヘキサンジオー
ルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート等を好ましく挙げることができ、使用に際し
ては単独若しくは混合物として用いることができる。
本発明の原料モノマーにおいて、前記有機硫黄化合物
と前記一分子中に1個以上の不飽和結合を有する化合物
との配合割合は、重量比で1〜99:99〜1の範囲で使用
することが好ましく、特に優れた屈折率を得るために、
また作業性を更に向上させるために20〜80:80〜20の範
囲とするのが特に好ましい。前記有機硫黄化合物の配合
割合が1重量%未満の場合には、屈折率、アッベ数等の
光学的効果が低下し、また99重量%を超えると機械的強
度が低下するので好ましくない。
本発明の高屈折率光学用樹脂を調製するには、例え
ば、前記各原料モノマーをラジカル重合開始剤の存在
下、加熱共重合させることにより得ることができる。前
記ラジカル重合開始剤は、10時間半減期温度が160℃以
下の有機過酸化物またはアゾ化合物等を用いることがで
き、具体的には例えば、過酸化ベンゾイル、ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート、ターシャリブチルペル
オキシ−2−エチルヘキサノエート、ターシャリブチル
ペルオキシピバレート、ターシャリブチルペルオキシジ
イソブチレート、過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオ
キシアセテート、ターシャリペルオキシオクトエイト、
ターシャリブチルペルオキシベンゾエイト、アゾビスイ
ソブチロニトリル等が挙げられ、使用に際しては単独又
は混合物として用いることができる。前記ラジカル重合
開始剤の使用量は全仕込みモノマー100重量部に対し10
重量部以下、特に好ましくは5重量部以下である。
前記加熱共重合を行なうには、例えば前記各モノマー
とラジカル重合開始剤とを直接所望の型枠内に仕込み、
好ましくは0〜200℃、1〜48時間加熱することにより
重合させることができる。この際重合系は、例えば窒
素、二酸化炭素、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で
行なうのが望ましい。また、前記重合させる前に、原料
モノマーを例えば0〜200℃、0.5〜48時間予備重合させ
たのち、所望の型枠内に仕込み、後重合させることもで
きる。
また、前記原料モノマーには、UV吸収剤、着色防止剤
等の添加物を必要に応じて添加することもできる。さら
に、硬化物の表面物性を向上させる目的で、硬化後に種
々の表面処理を施すこともできる。
<発明の効果> 本発明の光学用樹脂は、1.55以上の屈折率及び高いア
ッベ数を有し、しかも色収差および光学歪が小さく、光
学的透明性、耐熱性、耐溶剤性及び耐衝撃性にも優れて
おり、更には比重が小さく軽量化が可能である。また、
モノマー組成物を仕込む際及び共重合させる際において
硫黄化合物特有の悪臭が無く、モノマー組成物が低粘度
であるため、ハンドリング性に優れ、共重合の際の反応
制御及び成型が容易であるので、メガネ用レンズ、カメ
ラレンズ、光学用素材などのプラスチックレンズ用ある
いはその他の光学用樹脂材料として有用である。
<実施例> 以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
実施例1 表1に示す有機硫黄化合物5g、スチレン2gおよびジビ
ニルベンゼン3gからなる原料モノマーに、ターシャリブ
チルペルオキシベンゾエイトを0.05g添加混合し、モノ
マー組成物を得た。ついで2枚のガラス型中に該モノマ
ー組成物を仕込んだ後、80℃の恒温槽中に入れ、硬化温
度80℃にて6時間加熱し、更に3時間で100℃まで昇温
して、最終に100℃で3時間加熱した。最後に100℃で2
時間アニーリング処理を行い硬化樹脂を得た。得られた
硬化樹脂を前記型枠から取り出し、屈折率、アッベ数、
b*値及び耐熱性を下記方法に従って測定した。その結
果を表1に示す。
・屈折率及びアッベ数・・・アッベ屈折率計(アタゴ株
式会社製)を用い、また中間液にヨウ化メチル飽和溶液
を用いて測定を行った。
・b*値(黄色度)・・・日本電色工業株式会社製フォ
トメーターモデル1001を用いて測定した。なおこの値が
小さいほど黄色度が小さく良好である。
・耐熱性・・・130℃のオイルバス中にて変形及び変色
のないものを○、変形あるいは変色の有るものを×とし
た。
実施例2〜4 表1に示す原料モノマーをそれぞれ用いた以外は、実
施例1と同様に硬化樹脂を調製し、各測定を行った。そ
の結果を表1に示す。
比較例1〜3 表2に示す原料モノマーを用いた以外は実施例1と同
様に硬化樹脂を調製し、各測定を行った。その結果を表
2に示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 12/00 - 12/36 C08F 112/00 - 112/36 C08F 212/00 - 212/36 G02B 1/00 - 1/12 C07C 333/00 - 333/32 STN(CAS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I) (式中Rは、水素原子又は を示し、lは1又は2を示す)で表わされる有機硫黄化
    合物と一分子中に1個以上の不飽和結合を有する化合物
    とを含む原料モノマーを共重合して得られる光学用樹
    脂。
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