JP2898101B2 - トルク伝達部材 - Google Patents

トルク伝達部材

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JP2898101B2
JP2898101B2 JP9516481A JP51648197A JP2898101B2 JP 2898101 B2 JP2898101 B2 JP 2898101B2 JP 9516481 A JP9516481 A JP 9516481A JP 51648197 A JP51648197 A JP 51648197A JP 2898101 B2 JP2898101 B2 JP 2898101B2
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16BDEVICES FOR FASTENING OR SECURING CONSTRUCTIONAL ELEMENTS OR MACHINE PARTS TOGETHER, e.g. NAILS, BOLTS, CIRCLIPS, CLAMPS, CLIPS OR WEDGES; JOINTS OR JOINTING
    • F16B23/00Specially shaped nuts or heads of bolts or screws for rotations by a tool
    • F16B23/0007Specially shaped nuts or heads of bolts or screws for rotations by a tool characterised by the shape of the recess or the protrusion engaging the tool
    • F16B23/003Specially shaped nuts or heads of bolts or screws for rotations by a tool characterised by the shape of the recess or the protrusion engaging the tool star-shaped or multi-lobular, e.g. Torx-type, twelve-point star

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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は、トルク伝達部材、特にボルトのような雄
の締め付け部材と、レンチなどの雌の締め付け部材とか
ら構成されるトルク伝達部材に関するものである。特
に、雄の締め付け部材と雌の締め付け部材の係合部の形
状を工夫することで、伝達可能なトルクを大きくでき、
この際、雄あるいは雌の締め付け部材が破損することが
少ないトルク伝達部材に関するものである。
背景技術 ボルトやネジ等の被締め付け部材をワークに締め付け
る場合、一般にレンチやドライバ等の締め付け工具を用
いて行う。この際重要なことは、雄の締め付け部材(接
触部位において軸芯方向内側に位置する部材)と雌の締
め付け部材(接触部位において軸芯方向外側に位置する
部材)間でトルクの伝達を有効に行わせることである。
このため、従来、例えば上記雄の締め付け部材の頭部
を六角形に形成し、これと相似形のソケット部を有する
雌の締め付け部材を用いて締め付けを行うようにした
り、十字形の凹部を雌の締め付け部材を、同じく十字形
の凸部を有する雌の締め付け部材で締め付けるようにし
ている。
しかし、従来の締め付け方法では、過度のトルクを加
えると、雄の締め付け部材の角部や雌の締め付け部材の
孔部が潰れてしまうということがある。
これは、雄の締め付け部材と雌の締め付け部材の係合
面間に“はめあい”のためのクリアランス(隙間)があ
るためで、このクリアランスが存在することで、雌の締
め付け部材内で雄の締め付け部材が若干量回転してしま
い、上記雄の締め付け部材の頂部に締め付け力が集中す
る等してこの頂部が潰れて丸められてしまうのである。
このようにして潰れや変形等が生じるとトルクを有効に
伝達できないことになる。
また、上述したように上記雄の締め付け部材が雌の締
め付け部材内で回転すると、両者の回転軸線にずれが生
じることがあり、この状態でトルクを加えると、上記締
め付け部材間に作用する力に偏りが生じ、比較的小さな
トルクでも、上記雄の締め付け部材の頂部等が潰されて
しまい、トルクの伝達が行えないということがあった。
このため、締め付け時には、締め付け部材が破損しな
いように、加えるトルクの大きさを調節しながら締め付
けを行う必要があった。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもの
で、伝達可能なトルクを大きくでき、この際、雄の締め
付け部材および雌の締め付け部材が破損することが少な
いトルク伝達部材を提供することを目的とするものであ
る。
発明の開示 この発明にかかるトルク伝達部材の第1のアスペクト
は、互いに係合してトルクの伝達を行なう雄の締め付け
部材と雌の締め付け部材を有するトルク伝達部材であっ
て、上記雌の締め付け部材は、雄の締め付け部材との係
合面に、第1の正四角形の各片の中央部に外接する形状
の湾曲内面を有し、上記雄の締め付け部材は、雌の締め
付け部材との係合面に、前記第1の正四角形よりも小さ
い第2の正四角形の各片の中央部に外接する形状の湾曲
外面を有し、上記雌の締め付け部材と上記雄の締め付け
部材とを相対的に所定角度回転させたとき、前記雌の締
め付け部材のすべての湾曲内面と雄の締め付け部材のす
べての湾曲外面とが摺接して所定の当接部位で自動止め
を生じ、この自動止めを生じた当接部位において、前記
雌の締め付け部材のすべての湾曲内面と雄の締め付け部
材のすべての湾曲外面は同じ正四角形に外接し、逆方向
に回転させたときにこの自動止めが解除されるものとし
たことである。
第2のアスペクトは、自動止め時に雌の締め付け部材
と雄の締め付け部材の両方に内接する前記性四角形は、
上記第1、第2の正四角形とは異なる大きさとしたこと
である。
第3のアスペクトは、上記雌の締め付け部材の湾曲内
面の曲率は、雄の締め付け部材の湾曲外面の曲率よりも
小さいことである。
第4のアスペクトは、雄の締め付け部材と雌の締め付
け部材とを相対回転させ、上記雄の締め付け部材のすべ
ての湾曲外面と雌の締め付け部材のすべての湾曲外面と
を互い当接させ摺動させることで、上記雄の締め付け部
材と雌の締め付け部材の回転軸線が一致するものとした
ことである。
以上のような本発明によれば、第1に、締め付け部材
として四角形を規準に設計された湾曲した係合面を有す
るものを得ることができる。そして、締め付け時には、
いかなる状態においても、雄の係合部材と雌の係合部材
の係合面どうしが自動調心的に転がって面接触する。こ
のことで、係合面に係る圧力を小さくできると共に均一
化することができ、たとえば六角穴付きボルトなどで生
じるような偏った接触応力分布をさけることができるほ
か、曲率を調節することにより、接触面積を大きくとる
ことができる。また、曲率を設けることにより、偏心し
た状態でも接触を保ち、トルクを加えるに従って適正な
位置で接触する上述の自動調心機能がある。また、接触
部に生じる弾性変形は湾曲面同士の微少な転がりによっ
て補正されるため、このような転がりが生じない従来の
トルク伝達部材と比較して、スムーズな締結が可能にな
る。
そして、四角形を規準にして形状を定めることによ
り、六角形や三角形を規準にして形状を定めた場合と比
較して、面接触長さを長くとれると共に、雄の締め付け
部材と雌の締め付け部材とに作用する力を等価すること
ができる。したがって、どちらか一方が破損するという
ことがなく、トルクを良好に伝達できる効果がある。
第2に、雄の締め付け部材の係合面を、湾曲外面とし
たので、締め付け時、この湾曲外面と雌の締め付け部材
の湾曲内面とを寄り添うよう(ころがるようにして)に
して当接させることができ、また、接触面積も大きくと
ることができる。このことで、雄の締め付け部材に与え
る衝撃が小さいともに、接触面間に作用する圧力を小さ
くすることができるから、このトルク伝達部材が破損す
ることを有効に防止することができる。
また、雄の締め付け部材にこのような湾曲外面を形成
することで、規準となる四角形の外縁部に締め付け力を
作用させることができるから、小さなトルクでも有効に
伝達することが可能になる。
なお、ボルトをソケットレンチなどで締め付ける場合
には、ボルトが雄の締め付け部材となり、ソケットレン
チが雌の締め付け部材となる。また、ネジをドライバで
締め付ける場合には、ドライバが雄の締め付け部材とな
り、ネジが雌の締め付け部材となる。
図面の簡単な説明 FIG.1は、この発明にかかる好ましい雄の締め付け部
材(ボルト)を示す外観斜視図である。FIG.2は、好ま
しい雌の締め付け部材(ソケットレンチ)を示す外観斜
視図である。FIG.3AおよびFIG.3Bは、雄の締め付け部材
と雌の締め付け部材の締め付け前および締め付け時の係
合状態を示す縦断面図である。FIG.4AおよびFIG.4Bは、
締め付け部材の湾曲面の長さを説明するための説明図で
ある。FIG.5は、円弧外面と円弧内面の接触長さを示す
説明図である。FIG.6は、締め付け部材の寸法を幾何学
的に解析するための模式図である。FIG.7は、同じく締
め付け部材の寸法を幾何学的に解析するための模式図で
ある。FIG.8は、このトルク伝達部材の具体的寸法の計
算例を示す表、である。FIG.9AおよびFIG.9Bは、同じ
く、このトルク伝達部材の具体的寸法の計算例を示す表
である。
発明を実施するための最良の形態 以下、この発明の一実施形態を図面を参照して説明す
る。
FIG.1は雄の締め付け部材としてのボルト1、FIG.2は
雌の締め付け部材としてのソケットレンチ2を示す外観
斜視図である。この発明は、このボルト1の頭部1aと、
上記ソケットレンチ2のソケット部2aとの係合部形状の
改良に関するものである。以下、この形状を、FIG.3A、
FIG.3Bを参照して説明する。
FIG.3Aは、上記ボルト1の頭部1aにソケットレンチ2
のソケット部2aを外挿した状態を示す横断面図である。
上記ボルト1の頭部1aは、FIG.3Aに点線(α)で示す正
四角形を規準にし、これに外接する4つの円弧外面3を
有する。一方、上記ソケットレンチ2のソケット部2a
は、上記正四角形(α)よりも若干大きな正四角形
(β)(一点鎖線で示す)を基準とし、これに外接する
4つの円弧内面4を有する。この円弧内面4は、上記ボ
ルト1の円弧外面3よりも曲率半径が小さくなるように
形成されている。
なお、上記ボルト1の円弧外面3の中央部と、ソケッ
トレンチ2の円弧内面4の中央部には、図に示すように
隙間(クリアランス)が存在し、これがこのボルト1と
ソケットレンチ2の最小隙間となっている。このような
隙間が存在することにより、上記ソケットレンチ2のソ
ケット部2aを上記ボルト1が頭部1aにスムーズに外挿で
きるようになっている。
締め付けを行う場合には、このFIG.3Aに示す状態か
ら、上記ソケットレンチ2を例えば時計回りに回す。こ
のことで、まず、このソケットレンチ2のみが回動し、
上記円弧内面4をボルト1の円弧外面3に当接させる。
ついで、このソケットレンチ2とボルト1は、同方向
に、上記円弧内面4と円弧外面3とを摺接させながら
(滑らせながら)、若干量回動し、FIG.3Bに示す状態に
至る。この状態で、上記ソケットレンチ2とボルト1と
の相対的摺動は停止する。
なお、このとき、上記ボルトの1内部には、FIG.3Bに
2点鎖線(γ)で示すような正四角形を描くことができ
る。この正四角形(γ)は、上記円弧外面3と円弧内面
4の両方に接するものであるが、FIG.3Aに示す正四角形
(α)よりも若干小さな大きさとなる。
したがって、これ以後、上記ボルト1はソケットレン
チ2から伝えられたトルクによって、上記正四角形
(γ)が駆動されるかたちでこのソケットレンチ2と一
体的に回転し、図示しないワークに締め付けられること
となる。
このような構成によれば、以下に説明する効果を得る
ことができる。
第1に、締め付け開始時に、ボルト1に衝撃を与える
ことがなく、また、このとき両者(ボルト1およびソケ
ットレンチ2)の回転軸線を一致させることができる。
すなわち、締め付け開始時、FIG.3Aの状態からFIG.3B
の状態に達するまでに、上記ソケット2の円弧内面4
は、上記ボルト1の円弧外面3に徐々に接し、その間に
滑りを生じさせながら、寄り添うようにしてボルト1の
円弧外面3に完全に接するという動作を行う。従って、
このとき、ボルト1に衝撃を与えることがない。また、
両者間の滑りは、4組の円弧内面4と円弧外面3間に作
用する力が均等になるまでは止まらないから、ボルト1
とソケット2の回転軸芯がずれていた場合でも、自動調
芯されることとなる。
このことにより、締め付け開始時の衝撃によりボルト
2が割れたり潰れたりするということがなく、また、自
動調芯作用によってソケットレンチ2とボルト1の軸芯
が一致するから、締め付け力が均等にかかり、ボルト2
の一部の角(頂部)が潰れてしまうということも有効に
防止できる。
なお、上記ボルト1の頭部の外形が、FIG.3Aに点線
(α)で示す正四角形である場合(円弧外面が設けられ
ておらず、平面の場合)には、FIG.3Bに示す正四角形
(γ)の場合よりも、中央よりの箇所で上記円弧内面と
接触することとなるから、比較的早期にロックがなされ
る。したがって、レンチとの間に寄り添うという動作は
行われずらく、この実施形態の場合と比較して衝撃が大
きくなる。また、ロックの際、上記正四角形の頂部が円
弧内面に食い込んでしまうということも起こりうる。
一方、ボルト1の頭部として、FIG.3Bに2点鎖線
(γ)で示す正四角形を採用した場合には、FIG.3Aの状
態において、ソケットレンチ2の円弧内面4との隙間が
大きくなりすぎるから、がたつきが大きく、締め付け開
始時に衝撃が加わることとなるおそれがある。また、同
様に、食い込みが生じることにもなる。
第2に、正四角形を基準に形状を特定するようにした
ことで、FIG.5に斜線で示すように大きな幅でトルクを
伝達することができ、ボルト1とソケットレンチ2との
間の接触面積を大きくすることができる。
このことを、六角形を規準に形状を定めた場合と比較
して考える。すなわち、FIG.4Aに示す本発明のボルト1
の頭部1aの形状において、ソケットレンチ2からのトル
クが直接的に加わらない部分は、図に円で示す部分であ
り、締め付けにおいてはこの円内にトルクを伝える必要
がある。
したがって、この円を基準にして六角形を考えると、
FIG.4Bに点線で示すようになり、この六角形を規準に本
発明と同様に円弧外面を定めるとこの図に5で示すよう
な形状となる。
この2つの形状について円弧外面3、5の長さ寸法の
大小を考える。
円弧外面の長さ寸法の大小は、FIG.4Aに点線で示す正
四角形(α)とFIG.4Bに点線で示す六角形(δ)の外周
長さの大小の比較をすることで知ることができる。円弧
の長さは各片の長さに略対応するからである。
同じ円を規準にn角形を形成した場合、その外周長さ
1は、次式で表せる。
l=2・n・r・tan(π/n) r:円の半径 すなわち、角数nが大きくなればなるほど、外周の長
さlは小さくなることが分かる。
したがって、n角形を規準とし、これの各片に外接す
る円弧外面(3,5)を形成すると、その円弧外面の長さ
寸法の総計は、角数nが小さい程大きくなることは明ら
かである。
また、各片毎に考えると、一片の長さ寸法に対するこ
の一片を規準に形成された円弧外面の長さ寸法の比は、
角数が小さくなればなるほどその大きくなる。これは、
角数nを大きくすれば、上記円弧外面を含む外形が円に
近づいて行くことからも明らかである。
したがって、四角形を規準に円弧外面を形成した場合
には、六角形等の場合と比較して円弧外面の長さ寸法を
かなり大きくとることができる。このことは締め付け工
具であるソケットレンチの円弧内面についてもいえるこ
とである。
これらのことにより、締め付け時のソケットレンチ2
とボルト1との接触面積(接触幅)をかなり大きくとる
ことができ、これに伴って接触圧力を小さくすることが
できるから、ボルト1やソケットレンチ2の破損を有効
に防止することができる。
第3に、この発明によれば、ボルト1に対する力の作
用と、ソケットレンチ2に対する力の作用は略等価であ
るから、どちらか一方のみが破損するということは少な
く、耐久力が向上する。
すなわち、このボルト1によれば、FIG.3Aに示す締め
付け前と、FIG.3Bに示す締め付け開始時とでは、それぞ
れの図に(α)及び(γ)で示すように、このボルト1
の外形に対する規準四角形の大きさが変更される。これ
により締め付け開始時の衝撃を小さくできると共に、四
角形のより角部に近い部位を押すことができる効果があ
ることについては第1の効果で述べた。
さらに、この発明によれば、FIG.3AとFIG.3Bとでは、
上記ボルト1の外形に対する規準四角形のポジション
(姿勢)が変更される。このことにより、締め付け時
に、FIG.3Bに矢印で示すように、標準四角形(γ)の各
片に対して力を垂直に加えることができる。
なお、このことは、正四角形の場合、内角と外角とが
等しいことにも起因する。例えば正六角形を規準とする
ボルト(FIG.4B)の場合、内角は120゜であり、外角は6
0゜である。この場合において、内角の総計と外角の総
計は共に360゜となる。このような形状の場合には、ボ
ルトに対する力は、各片に対して直角からその角度差分
だけ傾いて作用することとなる。
一方、四角形の場合には、内角と外角は共に90゜とな
り、等しくなるので、各片に対して、直角に締め付け力
が作用するのである。このことにより、ボルト1に対す
る力の作用と、ソケットレンチ2に対する力の作用とが
等価となるから、一方が他方によって破損されるという
ことがなく、トルクが有効に伝達されることとなる。
第4に、この発明のボルト1とソケットレンチ2によ
れば、通常の四角ボルトの場合と比較して、ソケットレ
ンチ2とのクリアランスを大きくとれるから、位置決め
が容易であり、ソケット部2aをボルト1の頭部1aに外挿
することが容易に行える効果がある。
すなわち、従来の四角ボルトの場合、ソケットレンチ
とのクリアランスは全周に亘って一定である必要があ
り、また、ソケットレンチ内でのボルトの回転を極力抑
える必要があるから、このクリアランスをできるだけ小
さくする必要があった。したがって上記ソケットレンチ
を四角ボルトに外挿する作業は困難であった。
しかし、この発明のボルト1によれば、上記ボルト1
にソケットレンチ2を外挿するためには、前記最小直径
部(FIG.3Aにおける円弧外面3の中央部)のみを大きく
すればよい。また、上記ボルト1はソケットレンチ2内
で回転することによりFIG.3Aに示すように面接触するも
のであるから、上記最小直径部のクリアランスには、従
来のような厳しい条件は課されない。
さらに、上記ボルト1の円弧外面3よりもソケットレ
ンチ2の円弧内面4の力が曲率半径が小さいから、FIG.
3Aに示すように、上記円弧外面3の両端部では、その中
央部よりもクリアランスがかなり大きくなる。
したがって、従来のボルトと比較すると、この発明の
トルク伝達部材は、クリアランスをかなり大きくとれる
ことになり、上記ソケットレンチ2をボルト1に外挿し
やすくなる。
次に、この発明のトルク伝達部材を幾何学的に検証す
る。
FIG.6に示すのは、上記ボルト1の円弧外面3とソケ
ットレンチ2の円弧内4面が当接している状態である。
ここで、ボルト1の軸心をO、ボルト1の円弧外面3の
曲率半径をR1、その曲率中心をO1、また、ソケットレン
チ2の円弧内面4の曲率半径をR2、その曲率中心をO2
する。そして、OO1=h1、OO2=h2と置く。
今、ソケットレンチ2を回転させると、上記ボルト1
に対してギャップ(隙間)のある分だけ回動した後、こ
のソケットレンチ2の円弧内面4とボルト1の頭部1aの
円弧外面3とが点Aで接触する。このとき、O、O1、O2
は三角形を形作り、ε=O1O1=R1−R2であるから、∠OO
1O2=θは、余弦定理より次式で表せる。
cosθ=(ε+h1 2−h2 2)/(2εh1) (1) OAの長さRは、AO1=R1より、∠三角形OO1Aに関する
余弦定理より R2=R1 2+h1 2−2R1h1cosθ (2) となる。また、角度AOO1=φは、正弦定理 sinφ=R1sinθ/R (3) より導かれる。
このとき、A点でのOAに垂直な方向とA点での接線と
のなす角α(圧力角)は、次式で与えられる。
α=θ+φ (4) そして、FIG.1でボルト1とソケットレンチ2間の最
小クリアランスΔは、 Δ=(h2−R2)−(h1−R1)=ε−(h1−h2) となる。伝達トルクTは、4つの接触面で受け持つから
1つの接触面(点A)に働く力の大きさは、 P=T/(4R) また、接触面に作用する垂直力Nと接線力Fは、 N=Psinα、F=Pcosα となる。そして、接触する2つの円弧面がセルフロッキ
ングしない条件は、接触面での最大静止摩擦係数をμ
とすれば、 tanα>μ なる条件が必要である。セルフロッキングを防止するこ
とは、締め付け時や締め付け解除時に弾性変形により接
触部材同士(ボルト1とソケットレンチ2)が食い込ん
でしまうことを有効に防止できることに寄与する。
さらに、円弧面同士の接触部は弾性変形により有限な
接触面をもち、その接触幅bは、接触長さをιとすると
き、 b2=[{2N(1−ν)}/πιE]・[(1/R1)−(1/R2)] であり、また最大接触圧Pmaxは、 Pmax=2N/(πιb) と、ヘルツの接触公式より計算できる。但し、E、ν
は、それぞれ縦弾性係数とポアソン比である。
次に、この発明のトルク伝達部材のいくつかの寸法計
算例を示す。
なお、実際のボルト1とソケットレンチ2において
は、実用に供する寸法でなければならないから、R1やR2
などは勝手に決めることはできない。そこで既に日本に
おいて規格化されている六角ボルト穴を基準にして計算
を行う。このために、前記基本式(1)〜(4)を改め
て計算しやすい形に整理する。
六角ボルトでは、2面幅(中心軸を挟んで対向する2
面間の距離)をBとし、a=B/2とすれば、最大接触位
置は6つの角部であり、ボルトの中心軸からこの角部の
頂点間での距離は である。また、接触点は6点であるから、これと同じ能
力を4点接触の本発明のトルク伝達部材に換算すれば、
ボルトの中心から各接触点までの距離は、 となる。FIG.4Aに示すように、この点に幅2eをとった位
置が半径R1の円弧外面3の端となるようにする。
また、同図に示すように、B/2にクリアランスΔを考
慮したc=B/2−Δ位置から半径R1をとると、3角形IOO
2において、IO2=R1+eであるから、余弦定理より、 (R1+e)=(R1+c)+Rk 2−2Rk(R1+c)cos45゜ であるから、 とR1が決定できる。
次に、締結時での接触半径Rを、2面幅Bの対角の半
分とすれば、 h1=c+R1=B/2−Δ+R1 cosθ=(R1 2+h1 2−R2)/(2R1h1) sinθ=h2sinθ/R である。また、R2を求めるためには、FIG.6より、 h2=B/2+R2=a+R2 であるから、余弦定理 (R2+a)=R2+R2 2−2RR2cosθ を使って、 R2=(R2−a2)/{2(a−Rcosθ)} と、R2を決定できる。
締め付け時の工具の遊びは sinθ=ε・sinθ/h2 で決まるθである。すなわち、工具がθ回転するこ
とで、円弧外面と円弧内面とが接触する。手順として
は、B、e、Rk、ΔよりR1を決定し、次に、R1、Rより
R2を決定する。この計算結果は、FIG.8、FIG.9A、9Bに
示した。なお、2面幅Bは、同じ呼び径の六角ボルトを
基に定めたが、本発明のトルク伝達部材の設計上主にク
リアランスの観点から、六角ボルトのそれに対応しな
い。また、本計算例は、あくまでも計算例であり、実用
上若干の寸法修正を要することは言うまでもない。
なお、FIG.8、FIG.9A、9Bに示す計算例によると、tan
αは1以上と十分に大きく、ボルトとソケットレンチの
接触部が弾性変形して互いに食い込む摩擦締めのような
セルフロッキングが生じないことが確認できる。
なお、この発明は、上記一実施例に限定されるもので
はなく発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能であ
る。
例えば、上記一実施例では、被締め付け部材として円
弧外面を有するボルト、締め付け部材として円弧内面を
有するソケットレンチを例に挙げたが、これに限定され
るものではなく、被締め付け部材として円弧内面を有す
るネジ、締め付け部材として円弧外面を有するドライバ
を採用しても良い。また、雌の締め付け部材を円弧内面
有する穴付きボルトとしても良い。
また、四角形を規準にして設計された4つの円弧外面
と円弧内面を当接させトルクを伝達するトルク伝達部材
であれば、他の部材を適用することができることはいう
までもない。
産業上の利用分野 以上のように、この発明にかかるトルク伝達部材は、
雄の締め付け部材と雌の締め付け部材との間で締め付け
時にどちらかに潰れが生じる等の不具合を防止すること
ができる。また、両者の間に比較的大きなクリアランス
がとれるから、雄の締め付け部材を雌の締め付け部材に
挿入する作業を大きくとれる。従って、本発明は、ボル
トとソケットレンチや、ねじとドライバーなどに用いる
のに適している。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16B 23/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いに係合してトルクの伝達を行なう雄の
    締め付け部材と雌の締め付け部材を有するトルク伝達部
    材であって、 上記雌の締め付け部材は、雄の締め付け部材との係合面
    に、第1の正四角形の各片の中央部に外接する形状の湾
    曲内面を有し、 上記雄の締め付け部材は、雌の締め付け部材との係合面
    に、前記第1の正四角形よりも小さい第2の正四角形の
    各片の中央部に外接する形状の湾曲外面を有し、 上記雌の締め付け部材と上記雄の締め付け部材とを相対
    的に所定角度回転させたとき、前記雌の締め付け部材の
    すべての湾曲内面と雄の締め付け部材のすべての湾曲外
    面とが摺接して所定の当接部位で自動止めを生じ、 この自動止めを生じた当接部位において、前記雌の締め
    付け部材のすべての湾曲内面と雄の締め付け部材のすべ
    ての湾曲外面は同じ正四角形に外接し、 逆方向に回転させたときにこの自動止めが解除されるも
    のである ことを特徴とするトルク伝達部材。
  2. 【請求項2】請求の範囲第1項に記載のトルク伝達部材
    において、 自動止め時に雌の締め付け部材と雄の締め付け部材の両
    方に内接する前記性四角形は、上記第1、第2の正四角
    形とは異なる大きさであることを特徴とするトルク伝達
    部材。
  3. 【請求項3】請求の範囲第1項に記載のトルク伝達部材
    において、上記雌の締め付け部材の湾曲内面の曲率は、
    雄の締め付け部材の湾曲外面の曲率よりも小さいことを
    特徴とするトルク伝達部材。
  4. 【請求項4】請求の範囲第1項に記載のトルク伝達部材
    において、 雄の締め付け部材と雌の締め付け部材とを相対回転さ
    せ、上記雄の締め付け部材のすべての湾曲外面と雌の締
    め付け部材のすべての湾曲外面とを互い当接させ摺動さ
    せることで、上記雄の締め付け部材と雌の締め付け部材
    の回転軸線が一致するものであることを特徴とするトル
    ク伝達部材。
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