JP2897816B2 - 廃棄物処理装置および廃棄物処理方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、廃棄物、特に医療廃棄
物等の感染性産業廃棄物の処理に用いられる廃棄物処理
装置および処理方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】医療行為や細菌実験等において使用され
た注射器その他の廃棄物（感染性産業廃棄物）には細菌
が付着している場合が多く、これをそのまま廃棄する
と、次にこれに触れた者が細菌に感染するという事故を
招くおそれがある。このため、このような感染性産業廃
棄物は、廃棄する前に焼却処理をしたり殺菌処理をした
りする必要がある。

【０００３】但し、焼却処理ができるのは紙等の可燃性
廃棄物に限られ、金属やプラスチック製の不燃性廃棄物
には適用できない。また、廃棄物を殺菌液に浸して殺菌
処理することも考えられるが、液中に沈む金属ならまだ
しも、液に浮いてしまうプラスチック製の廃棄物では殺
菌が不完全になり易い。さらに、廃棄物に紫外線を照射
して殺菌する方法もあるが、これも形状が複雑な廃棄物
においては紫外線を全ての部分に照射できず、殺菌が不
完全になり易い。このため、プラスチック製の廃棄物に
ついては、加熱による殺菌処理を行うのが最も適切であ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プラス
チック製の廃棄物を殺菌に必要な高温に加熱すると、こ
れが溶融する等して、有毒成分を含んだガスを発生する
ことが多い。このため、このガスによる二次的な公害を
招くおそれがあるという問題が残る。本発明は、このよ
うな問題に鑑みてなされたものであり、 廃棄物の加熱
による殺菌処理を安全に行えるようにした廃棄物の処理
装置および処理方法を提供することを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明では、外部からの空気の侵入を遮断した状
態で廃棄物の加熱殺菌を行う加熱殺菌手段と、この加熱
殺菌手段により加熱殺菌される廃棄物から発生したガス
を外部から導入した空気を用いて燃焼させるとともに、
この燃焼により生じた燃焼ガスを浄化する燃焼浄化手段
とから廃棄物処理装置を構成し、廃棄物を載置するため
の載置台を、熱伝導性の高い材料により格子状その他の
すき間を有する形状に形成して加熱殺菌手段の内部に設
けている。ここで、燃焼浄化手段は、ガスに空気を混合
した上で加熱してこのガスを燃焼させる燃焼手段と、こ
の燃焼手段によりガスが燃焼されて生じる燃焼ガスから
粉塵を除去する脱塵手段と、この脱塵手段により粉塵が
除去された燃焼ガスから臭いを除去する脱臭手段とを有
するように構成するのが望ましい。

【０００６】なお、加熱殺菌手段において、この加熱殺
菌手段の内部に出し入れ可能な容器を有するとともにこ
の容器に収容して廃棄物を加熱殺菌するようにし、且つ
載置台をこの容器の内部底面に設けるようにしてもよ
い。

【０００７】また、脱塵手段を、燃焼ガス中の粉塵を帯
電させて捕集する電気集塵機と、燃焼ガスに水を吹きか
けてこの燃焼ガスの冷却および粉塵除去を行うスクラバ
とから構成するのが望ましく、上記電気集塵機における
粉塵の捕集部分を水洗いする洗浄手段を備えてもよい。

【０００８】さらに、本発明に係る処理方法は、熱伝導
性の高い材料により格子状その他のすき間を有する形状
に形成した載置台の上に廃棄物を載せ、外部からの空気
の侵入を遮断した状態で廃棄物および載置台を加熱して
廃棄物の加熱殺菌を行う加熱殺菌工程と、この加熱殺菌
工程により加熱殺菌される前記廃棄物から発生したガス
に外部から導入された空気を混合した上で加熱してこの
ガスを燃焼させる燃焼工程と、この燃焼工程おいて生じ
る粉塵を除去する脱塵工程と、この脱塵工程により粉塵
が除去された燃焼ガスから臭いを除去する脱臭工程とを
有して構成される。

【０００９】

【作用】上記のような処理装置および処理方法では、ま
ず、加熱殺菌手段（工程）において、密閉された加熱炉
内（即ち、空気の侵入を遮断した状態）で廃棄物の加熱
殺菌が行われる。次に、燃焼浄化手段（工程）における
燃焼手段（工程）において、上記加熱炉内で廃棄物から
発生したガスが別の加熱炉内に導入され、ここで空気が
混合されて完全燃焼される。これにより、ガス中に有害
成分が含まれていてもこれが全て燃焼し、無害化され
る。そして、燃えカス等の粉塵が脱塵手段（工程）にお
いて燃焼ガス中から除去され、さらに脱臭手段（工程）
において燃焼ガスの異臭が除去される。こうして浄化さ
れたガスが装置外部に排出される。したがって、廃棄物
の加熱殺菌をクリーン且つ安全に行うことができる。

【００１０】さらに、本発明においては、廃棄物を載置
する載置台を加熱殺菌手段の内部又は廃棄物を収容させ
る容器の内部に設置し、且つこの載置台を熱伝導性の高
い材料により格子状その他のすき間を有する形状に形成
している。このため、加熱によって溶融した廃棄物がこ
の載置台のすき間に入り込み、溶融廃棄物は、その上面
からだけでなく、すき間の内面（載置台）に接する側面
等からも加熱されるため、効率よく全体が加熱される。

【００１１】また、上記脱塵手段において、電気集塵機
とスクラバとを併せ持つことにより、ガス中の種々の粉
塵を効率よく除去することができ、いずれか一方を有す
る場合に比べてより清浄な排気を得ることができる。さ
らに、電気集塵機における粉塵の捕集部分を定期的に水
洗いすることによって、この集塵機の集塵効率を高く維
持し、常に清浄な排気を得ることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の好ましい実施例について図面
を参照しながら説明する。図１には、本発明に係る廃棄
物処理装置を示している。この廃棄物処理装置１は、加
熱殺菌部２と燃焼浄化部３との２つの部分に大きく分け
られる。まず、加熱殺菌部２は、第１加熱炉２１を有し
ている。この第１加熱炉２１の内部には、加熱殺菌チャ
ンバー２１ａが形成されており、上部に取り付けられた
ハッチ２２を開閉することによって、加熱殺菌チャンバ
ー２１ａに対して廃棄物Ｄを出し入れしたり加熱殺菌チ
ャンバー２１ａを密閉したりすることができる。加熱殺
菌チャンバー２１ａ内には、第１電気ヒーター２３が取
り付けられており、このヒーター２３に通電することに
よって、チャンバー２１ａ内を所定の殺菌処理温度（例
えば、８００〜１，０００℃）まで昇温することができ
る。

【００１３】燃焼浄化部３は、第２加熱炉３１と、電気
集塵機４１と、スクラバ５１と、脱臭器８１と、排気ブ
ロア９１とを有して構成されている。第２加熱炉３１の
内部には、ガス燃焼チャンバー３１ａとこれに隣接して
繋がる煙道３１ｂとが形成されており、ガス燃焼チャン
バー３１ａには、加熱炉３１の上部に取り付けられたエ
ア導入路３５を通じて外気を導入することができる。な
お、エア導入路３５には、これを開閉するための電磁弁
を取り付けてもよい。また、ガス燃焼チャンバー３１ａ
内には、第２電気ヒーター３３が取り付けられており、
このヒーター３３に通電することによって、チャンバー
３１ａ内を所定の燃焼処理温度（例えば、１，１００
℃）まで昇温することができる。なお、このガス燃焼チ
ャンバー３１ａと第１加熱炉２１の加熱殺菌チャンバー
２１ａとは、ガス通路３８を介して繋がっている。

【００１４】電気集塵機４１は、内部に侵入した粉塵を
帯電させ、２枚の集塵電極４２に吸着させるものであ
る。この電気集塵機４１内と第２加熱炉３１のガス燃焼
チャンバー３１ａおよび煙道３１ｂとは、ガス通路４３
を介して繋がっている。なお、電気集塵機４１の上部に
は、洗浄水噴射口４４が設けられており、電気集塵機４
１の下部には、次に説明する冷却チャンバー５１ａ内に
繋がる排水通路４５が取り付けられている。

【００１５】スクラバ５１は、内部に冷却チャンバー５
１ａを有しており、この冷却チャンバー５１ａ内には、
電気集塵機４１から繋がるガス通路（パイプ）５２が上
方から上下方向中間部まで挿入されている。また、スク
ラバ５１の側面には、パイプ５２の外側面に対向するよ
うに複数の冷却水噴射口５３が設けられている。さら
に、スクラバ５１の下部側面には、循環ポンプ６１の吸
い込み口６１ａが接続されている。この循環ポンプ６１
は、冷却チャンバー５１ａの下部に溜った水を、冷却水
通路６２を介して冷却水噴射口５３に、また、洗浄水通
路６３を介して電気集塵機４１に設けられた洗浄水噴射
口４４にそれぞれ送る。なお、洗浄水通路６３の途中に
は、これを開閉する電磁弁６４が設けられている。

【００１６】さらに、スクラバ５１の下部には、排水路
７１と給水路７２とが接続されており、これら水路７
１，７２の途中にはこれらを開閉する電磁弁７３，７４
が設けられている。

【００１７】脱臭器８１は、内部に脱臭チャンバー８１
ａを有しており、この脱臭チャンバー８１ａを上下２つ
に分割するように脱臭剤８２が配置されている。なお、
この脱臭剤８２は、活性炭を用いて作られている。脱臭
チャンバー８１ａの上部（脱臭剤８２により分割された
上側の空間）には、スクラバ５１の冷却チャンバー５１
ａ内に繋がるガス通路８５が接続されている。

【００１８】排気ブロア９１は、脱臭チャンバー８１ａ
の下部（脱臭剤８２により分割された下側の空間）に繋
がるガス排出路９２の中間部に取り付けられており、脱
臭チャンバー８１ａからガス排出路９２を介してガスを
強制的に外部に排出させるものである。

【００１９】以上のように構成された廃棄物処理装置１
による廃棄物の処理工程を分かり易く示すのが、図２の
工程図である。即ち、処理工程は、第１加熱炉２１内に
おいて、外気（空気）の侵入を断った状態で加熱殺菌す
る一次加熱工程（加熱殺菌工程）Ｋ１と、一次加熱工程
Ｋ１にて廃棄物から発生したガスを、第２加熱炉３１内
において外気を導入しながら完全燃焼させる二次加熱工
程（燃焼工程）Ｋ２と、二次加熱工程Ｋ２を経た燃焼ガ
ス中に含まれる粉塵を電気集塵機４１により除去する一
次脱塵工程Ｋ３と、この一次脱塵工程Ｋ３を経た燃焼ガ
スをスクラバ５１により冷却するとともにこのガス中か
ら粉塵を除去する二次脱塵・冷却工程Ｋ４と、二次脱塵
・冷却工程Ｋ４を経た燃焼ガスを脱臭器８１により脱臭
する脱臭工程Ｋ５と、脱臭工程Ｋ５を経たガスを排気ブ
ロア９１により外部に強制排気する排気工程Ｋ６とから
構成される。なお、一次加熱工程Ｋ１は廃棄物Ｄを溶融
させる溶融工程と廃棄物Ｄを殺菌する殺菌工程に分かれ
る。

【００２０】以下、廃棄物処理装置１の各工程での具体
的な作動について説明する。まず、一次加熱工程Ｋ１の
開始前に、図１に示すように、プラスチック製の感染性
産業廃棄物（以下、単に廃棄物という）Ｄを容器Ｂに入
れ、第１加熱炉２１のハッチ２２を開けて廃棄物Ｄを容
器Ｂごと加熱殺菌チャンバー２１内にセットする。

【００２１】ここで、容器Ｂは、図３（Ａ）に詳しく示
すように、熱伝導性の高い金属により底付円筒状に形成
されたものであり、底面には載置台２５が溶接されてい
る。この載置台２５は、熱伝導性の高い金属によって形
成された複数の棒状部材を格子状に組んで作ったもので
ある。なお、載置台２５はこのような格子タイプに限ら
れるものではなく、例えば、径の異なる複数の環状部材
を同心円状に配置して渦巻状に作ってもよい。容器Ｂ内
に入れられた廃棄物Ｄは、図１に示すように、この載置
台２５上に載置される。

【００２２】こうして廃棄物Ｄを加熱殺菌チャンバー２
１内にセットした後、ハッチ２２を閉めて加熱殺菌チャ
ンバー２１を密閉し、空気の侵入を阻止した状態でこの
装置の運転開始スイッチを投入（オンに）する。これ以
後は、図４に示す自動運転フローに従って廃棄物Ｄの処
理が行われる。

【００２３】運転開始スイッチが投入された直後に、ま
ず第２電気ヒーター３３への通電が開始され（ステップ
Ｓ１）、ガス燃焼チャンバー３１ａ内が昇温される。ガ
ス燃焼チャンバー３１ａ内が所定の燃焼処理温度に到達
すると（ステップＳ２）、第２電気ヒーター３３への通
電量が抑えられ、ガス燃焼チャンバー３１ａ内が所定の
燃焼処理温度に維持される。これと同時に第１電気ヒー
ター２３への通電が開始され（ステップＳ３）、加熱殺
菌チャンバー２１ａ内も昇温される。なお、図４には、
第１電気ヒーター２３への通電が開始された（時間ｔ
０）後の加熱殺菌チャンバー２１ａ内の温度変化を時間
を追って示している。また、第１電気ヒーター２３への
通電が開始されると同時に、電気集塵機４１、循環ポン
プ６１および排気ブロア９１の作動が開始される。

【００２４】（一次加熱工程Ｋ１中の溶融工程および二
次加熱工程Ｋ２での作動）こうして加熱殺菌チャンバー
２１ａ内が廃棄物Ｄの溶融温度（例えば、３５０℃）に
到達すると（ステップＳ５：時間ｔ１）、第１電気ヒー
ター２３への通電量が抑えられて加熱殺菌チャンバー２
１ａ内はその溶融温度に一定時間（時間ｔ１〜ｔ２）の
間維持される。ここで、図３（Ｂ）に鎖線で示すよう
に、容器Ｂ内において載置台２５の載置面２５ａ上に載
置された廃棄物Ｄは容器Ｂ内で溶融し、これとともに廃
棄物Ｄの一部の含有成分（ガス化成分）がガスとなって
放出される。

【００２５】溶融して球状化した廃棄物（溶融廃棄物）
Ｄ′は、載置台２５の格子のすき間内に入り込む。これ
により、同図に示すように、溶融廃棄物Ｄ′はすき間の
上側に突出する部分と、すき間の内側面（即ち、載置台
２５の各棒状部材の側面）に接する部分とを有すること
になる。このため、溶融廃棄物Ｄ′は、図中実線矢印で
示すように第１ヒーター２３から直接熱を受けるととも
に、点線矢印で示すように載置台２５に接する側面から
も熱を受ける。こうして、溶融廃棄物Ｄ′の全体が効率
よく加熱され、載置台２５を用いない場合に比べて短時
間で含有する大部分のガス化成分を放出する。

【００２６】溶融廃棄物Ｄ′から放出されたガスは、図
１中に白抜き矢印で示すように、加熱殺菌チャンバー２
１ａからガス燃焼チャンバー３１ａ内に流れる。ガス燃
焼チャンバー３１ａ内にはエア導入路３５を通じて空気
が導入されているため、既に所定燃焼温度に加熱された
ガス燃焼チャンバー３１ａに入ったガスと空気とが混合
されることとなり、ガスが完全燃焼する。したがって、
ガス中に有毒成分が含有されていてもそれが完全燃焼
し、無害化される。

【００２７】（脱塵工程Ｋ３，Ｋ４、脱臭工程Ｋ５およ
び排気工程Ｋ６での作動）ガスが燃焼することによって
生じた燃焼ガスは、電気集塵機４１に送られ、ここで燃
えカス等の粉塵が集塵電極４２に吸着され燃焼ガス中か
ら除去される。なお、電気集塵機４１内は加熱されたガ
スによって高温になり湿度がほぼ零になっているため、
粉塵が帯電し易く集塵電極４２に吸着し易い。電気集塵
機４１を通った燃焼ガスは、ガスパイプ５２を通ってス
クラバ５１（冷却チャンバー５１ａ）内に入る。スクラ
バ５１の冷却水噴射口５３からは、既に循環ポンプ６１
の作動によって冷却水がガスパイプ５２およびその周辺
に噴射されている。このため、燃焼ガスが冷却され、低
温のガスになる。また、この冷却と同時に電気集塵機４
１によって除去しきれなかった粉塵が噴射水に吸着混入
して冷却チャンバー５１ａの下部に落とされる。

【００２８】さらに、スクラバ５１によって冷却脱塵さ
れた燃焼ガスは、脱臭器８１に送られ、脱臭剤８２によ
って臭い成分が吸着除去される。こうして、含有粉塵お
よび臭い成分が除去され、且つ冷却された浄化ガスは、
排気通路９２を通って外部に排出される。

【００２９】（第１加熱工程Ｋ１中の殺菌工程）溶融温
度の維持時間が終了すると、第１電気ヒーター２３への
通電量が増加され、加熱殺菌チャンバー２１ａ内がさら
に昇温される（ステップＳ６）。そして、加熱殺菌チャ
ンバー２１ａ内が所定の殺菌処理温度に達すると、再び
第１電気ヒーター２３への通電量が抑えられ、加熱殺菌
チャンバー２１ａ内が一定時間（時間ｔ３〜ｔ４まで）
の間この温度に維持される（ステップＳ７）。この時間
内に溶融廃棄物Ｄ′の殺菌処理が行われる。なお、この
殺菌工程が行われている間も、他の工程Ｋ２〜Ｋ６によ
るガスの燃焼浄化処理が続行される。

【００３０】殺菌処理温度の維持時間が終了すると、第
１電気ヒーター２３への通電が停止され（ステップＳ
８）、第２電気ヒーター３３への通電も停止される（ス
テップＳ９）。また、電気集塵機４１の作動も停止され
る（ステップＳ１０）。

【００３１】この時点で第１加熱炉２１に設けられた換
気口（図示せず）が開放され、排気ブロア９１による排
気負圧によって加熱殺菌チャンバー２１ａ内に大量の空
気が導入される。これにより、加熱殺菌チャンバー２１
ａが短時間で冷却（空冷）される。なお、加熱殺菌チャ
ンバー２１ａ内の温度が所定の冷却温度に到達すると
（ステップＳ１１：時間ｔ５）、循環ポンプ６１および
排気ブロア９１の作動も停止される（ステップＳ１
２）。こうして冷却された溶融廃棄物Ｄ′は硬化すると
ともに、粉々になって載置台２５から容器Ｂの底部に落
下する。後は、加熱殺菌チャンバー２１ａから容器Ｂご
と廃棄物Ｄを取り出して、廃棄すればよい。なお、廃棄
物Ｄは処理開始から処理終了まで容器Ｂ内に入ったまま
なので、加熱殺菌チャンバー２１ａ内が汚れることがな
い。

【００３２】ところで、処理装置１を作動させた後に
は、電気集塵機４１の集塵電極４２に粉塵が吸着したま
まとなるが、これがあまり多くなると集塵効率が低下す
るおそれがある。このため、本処理装置１では、所定回
数の使用した後には、加熱殺菌チャンバー２１ａ内の温
度が所定の冷却温度に到達した後も循環ポンプ６１を作
動し続けるとともに、洗浄水路６３の電磁弁６４を開け
て洗浄水噴射口４４から水を噴射し、集塵電極４２を洗
浄するようにプログラムされている。なお、洗浄水は、
排水通路４５を通じてスクラバ５１内に流れ落ちる。

【００３３】また、スクラバ５１の下部に溜る水の中に
は燃焼ガスから除去された粉塵が含まれ、これが多くな
るとスクラバ５１の脱塵効果および集塵電極４２の洗浄
効果が低くなる。このため、本処理装置１では、定期的
に排水路７１の電磁弁７３を開弁させ、スクラバ５１の
下部に溜った汚れた水を排出し、給水路７２の電磁弁７
４を開弁させてきれいな水をスクラバ５１の下部に補給
するようにプログラムされている。

【００３４】なお、上記実施例では、廃棄物Ｄを容器
（底部に載置台２５が取り付けられた容器）Ｂに入れた
上で第１加熱炉２１内にセットする場合について説明し
たが、本発明の廃棄物処理装置においては、このような
容器なしで直接廃棄物を第１加熱炉内にセットするよう
にしてもよい。そしてこの場合は、第１加熱炉の内部
（底部）に載置台を取り付けることが望ましい。

【００３５】また、上記実施例では、感染性産業廃棄物
の処理について説明したが、本発明に係る廃棄物処理装
置および処理方法は、このような特殊な廃棄物に限ら
ず、一般家庭から出る廃棄物（生ゴミやプラスチックゴ
ミ）の処理にも用いることができる。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の廃棄物処
理装置および処理方法は、空気の侵入を遮断した状態で
廃棄物の加熱殺菌を行い、加熱される廃棄物から発生す
るガスを空気を用いて燃焼させるとともに燃焼ガスを浄
化させる（具体的には、空気を混合した上で加熱してガ
スを燃焼させ、さらに燃焼ガス中の粉塵や臭いを除去す
る）ように構成されている。このため、本処理装置又は
処理方法を用いれば、不燃性の感染性産業廃棄物の殺菌
処理を確実に行えるとともに、この過程で発生するガス
中の有毒成分を燃焼させて無害化したりガスを無塵化・
無臭化したりすることができる。即ち、上記廃棄物の殺
菌処理をクリーン且つ安全に行うことができる。

【００３７】さらに本発明では、廃棄物を載置する載置
台を加熱殺菌手段の内部又は廃棄物を収容させる容器の
内部に設置し、且つこの載置台を熱伝導性の高い材料に
より格子状その他のすき間を有する形状に形成してい
る。このため、加熱によって溶融した廃棄物をこの載置
台のすき間に入り込ませることができ、溶融廃棄物をそ
の上面からだけでなく、すき間の内面（載置台）に接す
る側面等からも加熱することができ、廃棄物全体を効率
よく加熱することができる。

【００３８】また、脱塵手段として電気集塵機とスクラ
バとを併せ設けることにより、ガス中の種々の粉塵を効
率よく除去することができ、いずれか一方を有する場合
に比べてより清浄な排気をより清浄な排気を得ることが
できる。さらに、電気集塵機の捕集部分を水洗いする手
段を設けることにより、この集塵機の集塵効率を高く維
持し、常に清浄な排気を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る廃棄物処理装置の構成図である。

【図２】上記廃棄物処理装置を用いる廃棄物の処理工程
を示す工程図である。

【図３】上記廃棄物を入れる容器および載置台の斜視図
と、この載置台上で溶融した廃棄物の側面図である。

【図４】上記廃棄物処理装置の自動運転フロー図であ
る。

【図５】上記廃棄物処理装置の作動温度を示すグラフ図
である。

【符号の説明】

１ 廃棄物処理装置 ２ 加熱殺菌部 ２１ 第１加熱炉 ２５ 熱導体 ３ 排気浄化部 ３１ 第２加熱炉 ３５ エア導入路 ４１ 電気集塵機 ５１ スクラバ ８１ 脱臭機 Ｄ 廃棄物

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平４−49971（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−352959（ＪＰ，Ａ) 特開 平６−55099（ＪＰ，Ａ) 特開 平５−15811（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−156847（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−31671（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−108247（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−63314（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−313560（ＪＰ，Ａ) 特開 平７−100196（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−284206（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−104832（ＪＰ，Ｕ) 実開 平３−87025（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−71360（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B09B 3/00 A61G 12/00 A61L 11/00

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外部からの空気の侵入を遮断した状態で
   廃棄物の加熱殺菌を行う加熱殺菌手段と、 この加熱殺菌手段により加熱殺菌される前記廃棄物から
   発生したガスを外部から導入した空気を用いて燃焼させ
   るとともに、この燃焼により生じた燃焼ガスを浄化する
   燃焼浄化手段とから構成され、 前記廃棄物を載置するための載置台を、熱伝導性の高い
   材料により格子状その他のすき間を有する形状に形成し
   て前記加熱殺菌手段の内部に備えたことを特徴とする廃
   棄物処理装置。
2. 【請求項２】 前記加熱殺菌手段は、この加熱殺菌手段
   の内部に出し入れ可能な容器を有するとともに、この容
   器に収容して前記廃棄物を加熱殺菌するようになってお
   り、 前記載置台を、前記容器の内部底面に設けたことを特徴
   とする請求項１に記載の廃棄物処理装置。
3. 【請求項３】 前記燃焼浄化手段は、前記ガスに空気を
   混合した上で加熱してこのガスを燃焼させる燃焼手段
   と、この燃焼手段により前記ガスが燃焼されて生じる燃
   焼ガスから粉塵を除去する脱塵手段と、この脱塵手段に
   より粉塵が除去された前記燃焼ガスから臭いを除去する
   脱臭手段とを有して構成されることを特徴とする請求項
   １又は２に記載の廃棄物処理装置。
4. 【請求項４】 前記脱塵手段は、前記燃焼ガス中の粉塵
   を帯電させて捕集する電気集塵機と、前記燃焼ガスに水
   を吹きかけて、この燃焼ガスの冷却および粉塵除去を行
   うスクラバとから構成されていることを特徴とする請求
   項３に記載の廃棄物処理装置。
5. 【請求項５】 前記電気集塵機における粉塵の捕集部分
   を水洗いする洗浄手段を備えたことを特徴とする請求項
   ４に記載の廃棄物処理装置。
6. 【請求項６】 熱伝導性の高い材料により格子状その他
   のすき間を有する形状に形成した載置台の上に廃棄物を
   載せ、外部からの空気の侵入を遮断した状態で前記廃棄
   物および前記載置台を加熱して前記廃棄物の加熱殺菌を
   行う加熱殺菌工程と、 この加熱殺菌工程により加熱殺菌される前記廃棄物から
   発生したガスに外部から導入された空気を混合した上で
   加熱してこのガスを燃焼させる燃焼工程と、 この燃焼工程により前記ガスが燃焼されて生じる燃焼ガ
   スから粉塵を除去する脱塵工程と、 この脱塵工程により粉塵が除去された前記燃焼ガスから
   臭いを除去する脱臭工程とを有してなることを特徴とす
   る廃棄物処理方法。