JP2897607B2 - 粉末成形品の製造方法 - Google Patents

粉末成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末形成品のアンダー
カット位置にかかわらずに安定した品質を得ることがで
きる粉末形成品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粉末形成品に対してアンダーカッ
トを形成する場合には、たとえば図6以降の図面に示さ
れるような工程で行なわれている。
【0003】まず、図6(A)に示すように、上ダイス
10および下ダイス12の両接触面を合わせ、さらに下
パンチ16を下ダイス12の内孔に挿入させて型空間を
形成し、カムダイス14を型空間内に挿入させた状態で
材料粉末20を型空間内に充填させる。
【0004】次に、同図(B)に示すように、型空間内
に充填された材料粉末20を圧縮すべく上パンチ18を
上方から上ダイス10内に挿入移動させる。この移動に
伴って材料粉末20は圧縮されるわけであるが、上ダイ
ス10および下ダイス12はこの上パンチ18の移動に
したがってその位置が下にずらされる。
【0005】以上のようにして材料粉末20の圧縮が終
了すると、図7(A)に示すようにまずカムダイス14
が型空間内から引き抜かれ、次に上ダイス10、下ダイ
ス12および上パンチ18が図示のように上に移動され
る。
【0006】そして、同図(B)に示すように上ダイス
10のみがさらに上に移動されて、下ダイス12と分離
される。
【0007】上ダイス10が成形品20Aを抜いたら、
図8に示すように上ダイス10を上に移動させつつ下ダ
イス12を下に移動させて成形品20Aを取り出す。
【0008】このようにカムダイスを前進させた状態か
ら材料粉末を供給する方法であれば、サイクルタイムを
短縮することができるという利点がある。また、カムダ
イスを2対以上用いることにより全周アダーカットに対
応できるという利点もある。
【0009】なお、以上の方法とは別に、カムダイスを
後退させたままで材料粉末を充填させる方法もあるが、
この方法はサイクルタイムは長くなるが、カムダイスの
上側と下側との成形密度を均一にすることができるとい
う、上記の場合とは相反する利点を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の成形品の形成方法にあっては、上記両形成方
法のいずれの場合にもカムダイス上部における材料粉末
の充填量が上ダイスの寸法で決定されてしまい、カムダ
イス上側の成形密度を容易に調整することができないと
いう問題がある。このために、上側の密度を調整する場
合には、金型をつくりなおしたり、成形後の製品の後加
工が必要となる。
【0011】特に、アンダーカット形成品の上側の寸法
が薄い場合には、上ダイスの深さ寸法が当然のごとく薄
くなり、金型制作時の反り歪み取りに工数を要すること
になって、金型制作コストが増すことになる。またこの
ような金型を作ったとしても加圧成形時や部品抜きだし
時に受ける応力によって金型が変形,破損の可能性に晒
されることになる。
【0012】本発明は、以上のような従来の問題点に鑑
みてなされたものであり、粉末形成品のアンダーカット
位置にかかわらずに安定した品質を得ることができる粉
末形成品の製造方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明は、材料粉末が充填される型空間の側壁を形成
する上ダイスおよび下ダイスと、当該側壁に対して穿設
される横孔の内径と等しい外径に形成されて前記上ダイ
スまたは下ダイスの少なくとも一方を貫通して前記型空
間へ出没可能なカムダイスと、前記型空間の上下面壁を
形成し前記型空間内に充填される材料粉末を前記型空間
の両開口側から圧縮すべく対向配置された上パンチおよ
び下パンチとから構成されるプレスを用いた粉末成形品
の製造方法であって、前記下パンチを前記型空間の一方
の開口側から前記型空間内に挿入させた状態で材料粉末
を充填させ、前記上パンチを前記型空間の他方の開口側
から前記型空間内に挿入し、前記型空間内に充填されて
いる材料粉末を圧縮しないように、当該材料粉末を前記
即壁に穿設された横孔に対する所定の加工位置まで前記
下パンチと上パンチの少なくとも一方を同方向に移動さ
せることで移送し、前記カムダイスを前記型空間内に所
定量挿入し、前記上パンチまたは下パンチのいずれか一
方を対向移動させて前記材料粉末を均等な圧縮比で加圧
し、当該加圧の終了後に、前記カムダイスを前記型空間
内から引き抜くことを特徴とするものである。
【0014】
【作用】このように構成した本発明によれば、下パンチ
の型空間内への挿入状態を調整することによって材料粉
末の充填量を調整することができ、また、上パンチと下
パンチとによって材料粉末を所望の加工位置まで自由に
移送させることができるので、所望の寸法および密度の
成形品を容易に製作することができるようになる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図1および図2は、本発明にかかる成形品の形
成方法の手順を示す図である。
【0016】図1(A)に示すように、上ダイス10お
よび下ダイス12の両接触面を合わせて型空間の側壁を
形成し、さらに下パンチ16を下ダイス12の内孔に挿
入させて型空間の下面壁を形成し、カムダイス14は後
退させたまま上下ダイス10,12および下パンチ16
によって形成される型空間内に材料粉末である金属粉を
同図のように充填する。この時の下パンチ16は、所定
の加工開始位置よりも上方に位置しているが、成形品の
全体密度の調整はこの下パンチ16の位置を変化させる
ことで行なう。つまり、下パンチ16を上にあげれば粉
末の充填量が少なくなり、一方、これを下にさげればそ
の充填量は多くなるからである。
【0017】次に、同図(B)に示すように、型空間内
に充填された材料粉末20に接触するまで上パンチ18
を上方から上ダイス10内に向けて移動させる。このよ
うにしておけば、粉末が飛散するようなことを防止する
ことができる。なお、同図の(A)から(B)の工程に
移行する間に、下パンチ16を若干量下降させるか、上
下ダイス10,12を若干量上昇させるようにすれば、
通常の粉末形成で行なわれているアンダーフィル効果と
同様の効果が得られ、粉末の歩留まりが向上することに
なる。
【0018】そして、この状態で図2(A)に示すよう
に上パンチ18と下パンチ16とを同方向に同じ速度で
移動させる。このようにすれば、材料粉末20を圧縮す
ることなく所定の加工位置まで移送するできることにな
る。どこまで移送するかは、どの位置にアンダーカット
加工を施すかによって決まる。
【0019】所定の位置まで移送することができたら、
同図(B)に示すように、ここで初めてカムダイス14
を型空間に向けて前進させる。このようにすれば、カム
ダイスは材料粉末が圧縮される前に材料粉末内に挿入さ
れることになるので、その挿入に伴う局部的な密度上昇
を避けることができ、また、密度上昇を最小限に抑える
のであれば、カムダイス14の前進に伴なって増加する
体積分だけ上パンチ18あるいは下パンチ16の少なく
ともどちらか一方を後退させるようにすれば良い。
【0020】カムダイス14が所定の位置まで前進した
ら、以降は従来(図6(A)から図8に示す)と同様
に、型空間内に充填された材料粉末20を圧縮すべく上
パンチ18を上方から上ダイス10内を移動させる。こ
の移動に伴って材料粉末20は圧縮され、上ダイス10
および下ダイス12はこの上パンチ18の移動にしたが
ってその位置が下にずらされる。
【0021】以上のようにして材料粉末20の圧縮が終
了すると、まずカムダイス14が型空間内から引き抜か
れ、次に上ダイス10、下ダイス12および上パンチ1
8が上に移動される。そして、上ダイス10のみがさら
に上に移動されて、下ダイス12と分離される。
【0022】上ダイス10が成形品20Aを抜いたら、
図8に示すように上ダイス10を上に移動させつつ下ダ
イス12を下に移動させて成形品20Aを取り出す。
【0023】図3から図5は、本発明方法を全周アンダ
ーカットの製品に適用した場合の実施例を示したもので
ある。
【0024】図3(A)に示すように、上ダイス10お
よび下ダイス12の両接触面を合わせて型空間の側壁を
形成し、さらに下パンチ16を下ダイス12の内孔に挿
入させて型空間の下面壁を形成し、カムダイス14は後
退させたまま上下ダイス10,12および下パンチ16
によって形成される型空間内に材料粉末である金属粉を
フィーダー30を用いて同図のように充填する。この時
の下パンチ16は、所定の加工開始位置よりも上方に位
置しているが、成形品の全体密度の調整はこの下パンチ
16の位置を変化させることで行なうのは前述の実施例
と同様である。一方、カムダイス14A,14Bは、図
示のように両付き合わせ面を双方共に接触させた状態で
図示のように位置される。カムダイス14Aには、上下
ダイス10、12によって形成される内孔の径と同様の
径の孔14Dが開口されており、同図(A)に示す工程
ではこの孔14Dが内孔と一致するようにカムダイス1
4Aが前進されている。
【0025】次に、同図(B)に示すように、型空間内
に充填された材料粉末20に接触するまで上パンチ18
を上方から上ダイス10内に向けて移動させ、上パンチ
18と下パンチ16とを同方向に同じ速度で移動させ
る。このようにすれば、材料粉末20を圧縮することな
く所定の加工位置まで移送するできることになる。どこ
まで移送するかは、どの位置にアンダーカット加工を施
すかによって決まる。
【0026】所定の位置まで移送することができたら、
図4(A)に示すように、カムダイス14Aを後退させ
ると共に、カムダイス14Bを前進させ、所定の位置に
全周アンダーカットの成形が行なわれるようにする。こ
の場合、カムダイス14Aの後退に伴なって、充填され
ていた材料粉末20の一部が取り除かれてしまうことに
なるので、この取り除かれる厚さ分だけ上パンチ18を
下降させる。
【0027】カムダイス14が所定の位置まで前進した
ら、次は同図(B)に示すように、型空間内に充填され
た材料粉末20を圧縮すべく上パンチ18および下パン
チ16を対向移動させる。
【0028】以上のようにして材料粉末20の圧縮が終
了すると、図5に示すように、上パンチ18により成形
品20Aに圧力が掛けられたまま両カムダイス14A,
14Bが後退されてこれらの先端部分が型空間内から退
避され、次に上ダイス10および下ダイス12が図示の
ように移動される。
【0029】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、型空
間内に充填された粉末を移送する工程を設けているの
で、アンダーカットの形成位置にかかわらずに安定した
品質の形成品を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A),(B)は本発明方法の手順を示す図
である。
【図2】 (A),(B)は図1に引き続き行なわれる
本発明方法の手順を示す図である。
【図3】 (A),(B)は本発明方法の第2の実施例
における手順を示す図である。
【図4】 (A),(B)は図3に引き続き行なわれる
本発明方法の第2の実施例における手順を示す図であ
る。
【図5】 図4(B)に引き続き行なわれる本発明方法
の第2の実施例における手順を示す図である。
【図6】 (A),(B)は従来の成形方法の手順を示
す図である。
【図7】 (A),(B)は図6に引き続き行なわれる
従来の成形方法の手順を示す図である。
【図8】 図7(B)に引き続き行なわれる従来の成形
方法の手順を示す図である。
【符号の説明】
10…上ダイス 12…下ダ
イス 14,14A,14B…カムダイス 16…下パ
ンチ 18…上パンチ 20…材料
粉末 20A…成形品 30…孔
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B30B 11/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 材料粉末(20)が充填される型空間の側壁
    を形成する上ダイス(10)および下ダイス(12)と、当該側
    壁に対して穿設される横孔の内径と等しい外径に形成さ
    れて前記上ダイスまたは下ダイスの少なくとも一方を貫
    通して前記型空間へ出没可能なカムダイス(14)と、前記
    型空間の上下面壁を形成し前記型空間内に充填される材
    料粉末を前記型空間の両開口側から圧縮すべく対向配置
    された上パンチ(18)および下パンチ(16)とから構成され
    るプレスを用いた粉末成形品の製造方法であって、 前記下パンチを前記型空間の一方の開口側から前記型空
    間内に挿入させた状態で材料粉末を充填させ、 前記上パンチを前記型空間の他方の開口側から前記型空
    間内に挿入し、 前記型空間内に充填されている材料粉末を圧縮しないよ
    うに、当該材料粉末を前記側壁に穿設された横孔に対す
    る所定の加工位置まで前記下パンチと上パンチとを同方
    向に移動させることで移送し、 前記カムダイスを前記型空間内に所定量挿入し、 前記上パンチまたは下パンチの少なくとも一方を対向移
    動させて前記材料粉末を均等な圧縮比で加圧し、 当該加圧の終了後に、前記カムダイスを前記型空間内か
    ら引き抜くことを特徴とする粉末成形品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006175515A (ja) * 2004-12-20 2006-07-06 Borgwarner Inc ツールセット

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