JP2897478B2 - 同軸型誘電体共振器 - Google Patents

同軸型誘電体共振器

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車用移動無
線電話機や携帯用無線電話機等の帯域フィルタに用いら
れる同軸型誘電体共振器に関する。
【0002】
【従来の技術】同軸型誘電体共振器を用いた帯域フィル
タは、小型で高い無負荷Qが得られることから、例えば
自動車用移動無線電話機、携帯用無線電話機(以下、携
帯電話と記す)用のアンテナ共用器(デュプレクサ)を
中心に広く用いられている。
【0003】この同軸型誘電体共振器としては、例えば
1/4波長TEMモード誘電体共振器がある。従来のこ
の種の共振器は、図6に示すように、円筒状に形成され
たセラミック製の誘電体(以下、誘電体コアと記す)2
1を有し、この誘電体コア21の貫通孔22の内周面に
内導体23を形成すると共に、誘電体コア21の外周面
に外導体24を形成し、更に貫通孔22の一方の開口端
面に外導体24と連続する短絡電極25を形成して、こ
の開口端面を短絡端面26とし、電極25が形成されて
いない他方の端面を開放端面27として構成されてい
る。
【0004】しかし、近年の携帯電話の急激な普及、小
型化に伴い、電話機の中で比較的大きな部品であるアン
テナ共用器に対しても、より小型、軽量のものが要求さ
れるようになった。アンテナ共用器は、SAW、LC積
層など小型のものはあるが、低損失、高耐入力の誘電体
共振器を用いたものが主流である。この場合、誘電体共
振器の小型化が課題であり、現在、誘電体材料、共振器
自体の構造などの点から検討されている。
【0005】そして、上記同軸型誘電体共振器におい
て、その素子の長さは、共振周波数が一定のとき、誘電
体材料の比誘電率εr によってのみ決まる。従って、最
も明瞭な小型化の方法は、比誘電率εr の大きな材料を
用いることである。
【0006】ところが、高い無負荷Qと零に近い温度係
数を維持しながら比誘電率εr を改善するには限界があ
り、現在実用化されているBaO−TiO2 −希土類系
のものでは、90〜100程度が最高であり、200以
上のような高い比誘電率の実用化は全く見通しがつかな
い。
【0007】同軸型誘電体共振器を小型化するもう一つ
の方法は、素子と並列にキャパシタンス、あるいはイン
ダクタンス成分を、あるいはその両方を付加することに
よって、素子の共振周波数を下げることで、実効的な比
誘電率を上げることである。
【0008】その一つの方法として、我々は、図7に示
すように、共振器の開放端面27にリング状の溝28を
形成し、この溝28に例えば内導体23と電気的に接続
される導体29を形成してキャパシタンス及びインダク
タンス成分を付加し、実効的な比誘電率を200〜50
0程度まで飛躍的に向上させ、共振器自体を小型化する
方法を考案した(特願平2−115150号参照)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記同軸型
誘電体共振器の製造は、概ね次のようにして行われる。 (製造工程) (1) セラミック原料秤量 (2) 湿式混合 (3) 脱水・乾燥 (4) 粉砕 (5) 仮焼 (6) 粉砕 (7) 造粒 (8) 誘電体コア成型 (9) 焼成 (10) 電極形成 (11) 研磨・調整
【0010】上記製造工程の中で(8)の誘電体コア成
型は、粉末プレス、押し出し、射出による成型方法が一
般的であるが、図7に示すように、開放端面にキャパシ
タンス及びインダクタンス成分を付加した共振器の場
合、開放端面27が特殊な構造で、反対の短絡端面26
と形状が異なるため、誘電体コア21の成型時、開放端
面27と短絡端面26とで均等に圧力がかかり難くな
り、焼成後において、開放端面27と短絡端面26で収
縮率が異なってしまい、結果的に、共振器の寸法精度が
悪くなるという問題が生じ、歩留りの低下を引き起こし
ていた。
【0011】また、開放端面27と短絡端面26とで形
状が異なるということは、焼成、電極形成及び研磨等の
各工程で上下の向きを揃える作業が必要となるため、製
造工程の複雑化並びに製造コストの高価格化を招いてい
た。
【0012】本発明は、このような課題に鑑み成された
もので、その目的とするところは、誘電体コアの成型時
において、誘電体コアに圧力が均等にかかるようにし
て、焼成後の寸法精度の向上及び歩留りの向上を図るこ
とができると共に、製造工程の簡略化並びに製造コスト
の低廉化を実現させることができる同軸型誘電体共振器
を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、軸方向に中空
部2を有する誘電体コア1の外周面に外導体3、内周面
に内導体4を設けると共に、上記誘電体コア1の一端に
上記外導体3と上記内導体4を短絡する短絡電極5が設
けられて、上記一端が短絡端面6となされ、他端が開放
端面7となされた同軸型誘電体共振器において、開放端
面7及び短絡端面6に同一形状の溝8及び9あるいは段
差12及び13を形成して構成する。
【0014】
【作用】上述の本発明の構成によれば、誘電体コアの開
放端面7及び短絡端面6に同一形状の溝8及び9あるい
は段差12及び13を形成するようにしたので、開放端
面7と短絡端面6とが同じ形状になり、その結果、誘電
体コア1の成型時において、圧力が誘電体コア1全体に
均等にかかるようになる。従って、その後の焼成時にお
いて、開放端面7と短絡端面6で収縮率がほぼ同じにな
り、焼成後における誘電体コア1の寸法精度が向上し、
それに伴い、共振器の歩留りも向上する。
【0015】また、誘電体コア1の開放端面7及び短絡
端面6、即ち誘電体コア1の上下端面が同じ形状を有す
ることになるため、成型後の各製造工程で誘電体コア1
の開放端面7と短絡端面6の向きを揃える手間が不要と
なり、その結果、製造工程が簡略化し、製造コストも低
廉化する。
【0016】
【実施例】以下、図1〜図5を参照しながら本発明の実
施例を説明する。図1Aは、本実施例に係る1/4波長
TEMモード同軸型誘電体共振器(以下、単に共振器と
記す)の構成を示す平面図、図1Bは図1AにおけるA
−A線上の断面図である。これらの図において、1Aは
軸方向に中空部(貫通孔)2を有する円筒状の誘電体コ
アを示す。
【0017】この共振器は、図示するように、誘電体コ
ア1Aの外周面に例えば銀(Ag)や銅(Cu)等から
なる外導体3が設けられると共に、誘電体コア1Aの内
周面に例えば銀(Ag)や銅(Cu)等からなる内導体
4が設けられて構成され、更に誘電体コア1Aの一端面
には、外導体3と内導体4を短絡する短絡電極5が設け
られて短絡端面6が形成され、また、誘電体コア1Aの
他端面は開放端面7が形成されている。
【0018】しかして、本例においては、開放端面7に
おける外周と内周間の中央部分に同心円状の溝8を形成
し、更に短絡端面6にも上記開放端面7に形成された溝
8と同一形状の溝9を形成して構成される。そして、一
方の開放端面7においては、溝8内に連続して導体10
が形成されると共に、この溝8内に形成された導体10
と上記内導体4とを電気的に接続する中継導体11が形
成され、他方の短絡端面6においては、溝9を含む全面
に外導体3と内導体4とを電気的に接続する短絡電極5
が形成される。
【0019】この共振器を等価回路的に示すと、図2に
示すように、誘電体コア1A、外導体3、内導体4及び
短絡電極5でインダクタンスLとキャパシタンスCの並
列共振回路が構成され、この回路に溝7内の導体8と外
導体3とその間に存する誘電体コア1Aからなる付加キ
ャパシタンスCaが並列に接続された共振回路となる。
【0020】尚、短絡端面6は、電界分布が粗であるた
め、誘電体コア1Aの短縮効果は損なわれず、共振器の
特性に大きな影響を与えることはない。
【0021】この第1実施例によれば、誘電体コア1A
の開放端面7及び短絡端面6に夫々同一形状の溝8及び
9を形成するようにしたので、開放端面7と短絡端面6
とが同じ形状になり、その結果、誘電体コア1Aの成型
時において、圧力が誘電体コア1A全体に均等にかかる
ようになる。従って、その後の焼成時において、開放端
面7と短絡端面6で収縮率がほぼ同じになり、焼成後に
おける誘電体コア1Aの寸法精度が向上し、それに伴
い、共振器の歩留りも向上する。
【0022】また、誘電体コア1Aの開放端面7及び短
絡端面6、即ち誘電体コア1Aの上下端面が同じ形状を
有することになるため、成型後の各製造工程で、電極
(外導体3、内導体4及び短絡電極5等)を形成し、そ
の開放端面7を決めるまでは、開放端面7及び短絡端面
6の区別が不要となり、縦・横だけを気にすればよいた
め、パーツフィーダ等の大量処理が可能となる。また、
誘電体コア1Aの開放端面7と短絡端面6の向きを揃え
る手間が不要となるため、製造工程が簡略化し、製造コ
ストも低廉化する。
【0023】図3は、第2実施例に係る共振器の構成を
示すもので、円筒状の誘電体コア1Aの開放端面7及び
短絡端面6に夫々同一形状のリング状の段差12及び1
3のみを形成して構成されている。
【0024】図4は、第3実施例に係る共振器の構成を
示すもので、円筒状の誘電体コア1Aの開放端面7及び
短絡端面6に夫々同一形状のリング状の段差12及び1
3を形成し、更に各段差12及び13の底部に夫々同一
形状のリング状の溝8及び9を形成して構成されてい
る。
【0025】図5は、第4実施例に係る共振器を示すも
ので、上記第1実施例とほぼ同じ構成を有するが、平面
略正方形の角筒状の誘電体セラミック1Bの開放端面7
及び短絡端面6に、夫々4つの辺が同じとされた枠状の
溝8及び9を形成した点で異なる。
【0026】上記第2〜第4実施例においても上記第1
実施例と同様に、誘電体コア1(1A,1B)の開放端
面7及び短絡端面6、即ち誘電体コア1の上下端面が同
じ形状を有することになるため、焼成後の寸法精度の向
上による歩留りの向上及び並べ作業の省略化によるコス
ト低廉の効果がある。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る同軸型誘電体共振器によれ
ば、誘電体コアの成型時において、誘電体コアに圧力が
均等にかかることから、焼成後の寸法精度の向上及び歩
留りの向上を図ることができると共に、製造工程の簡略
化並びに製造コストの低廉化を実現させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Aは、第1実施例に係る同軸型誘電体共振器の
構成を示す平面図。 Bは、図1AにおけるA−A線上の断面図。
【図2】第1実施例に係る同軸型誘電体共振器の等価回
路図。
【図3】Aは、第2実施例に係る同軸型誘電体共振器の
構成を示す平面図。 Bは、図3AにおけるB−B線上の断面図。
【図4】Aは、第3実施例に係る同軸型誘電体共振器の
構成を示す平面図。 Bは、図4AにおけるC−C線上の断面図。
【図5】Aは、第4実施例に係る同軸型誘電体共振器の
構成を示す平面図。 Bは、図5AにおけるD−D線上の断面図。
【図6】Aは、従来例に係る同軸型誘電体共振器の構成
を示す平面図。 Bは、その断面図。
【図7】Aは、小型化を図った同軸型誘電体共振器の構
成を示す平面図。 Bは、図7AにおけるE−E線上の断面図。
【符号の説明】
1A,1B 誘電体コア 2 中空部(貫通孔) 3 外導体 4 内導体 5 短絡電極 6 短絡端面 7 開放端面 8,9 溝 10 導体 11 中継導体 12,13 段差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−13401(JP,A) 特開 平4−103203(JP,A) 特開 平1−258501(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01P 7/04 H01P 11/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸方向に中空部を有する誘電体の外周面
    に外導体、内周面に内導体を設けると共に、上記誘電体
    の一端に上記外導体と上記内導体を短絡する短絡電極が
    設けられて、上記一端が短絡端面となされ、他端が開放
    端面となされた同軸型誘電体共振器において、 上記開放端面及び上記短絡端面に同一形状の溝あるいは
    段差が形成されていることを特徴とする同軸型誘電体共
    振器。
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FR2738126B1 (fr) * 1995-08-30 1997-10-03 Oreal Mascara transportable
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