JP2897424B2 - 真空ポンプ - Google Patents

真空ポンプ

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、半導体製造装置などに使用される真空ポン
プに関する。
(従来の技術) 従来、この種真空ポンプは、例えば特開平1−237397
号公報に記載され、かつ、第4図に示したように、上部
側に半導体製造室などに接続される吸気口を備えたポン
プ側ケーシング(A)内に、互いに連通する複数の気体
流路(B)をもったポンプステータ(C)を配設して、
前記各気体流路(B)内に駆動軸(D)で回転駆動され
る複数のポンプロータ(E)を設けると共に、前記ポン
プ側ケーシング(A)の下部側に隔壁(F)を配設し
て、この隔壁(F)に外部に開放される排気口(G)を
設け、該排気口(G)を前記気体流路(B)の最下段側
に吐出通路(H)を介して連通する一方、前記ポンプ側
ケーシング(A)における隔壁(F)の下部側に、前記
駆動軸(D)を駆動するモータを内装したモータ側ケー
シング(J)を配設し、また、前記隔壁(F)に前記駆
動軸(D)を支持する油潤滑軸受(K)を設けている。
そして、前記駆動軸(D)の駆動に伴い前記ポンプロー
タ(E)をポンプステータ(C)に対し回転させること
により、前記吸気口から気体流路(B)に導入された気
体を減圧しながら前記排気口(G)へと排出させて真空
引きを行い、前記半導体製造室などをクリーンな状態に
保持するのである。
また、以上の真空ポンプでは、前記ポンプステータ
(C)に設けた駆動軸(D)の軸孔部分にねじシール
(L)を形成すると共に、前記軸孔部分で隔壁(F)近
くに、前記駆動軸(D)側に開放されるパージ室(M)
を形成して、このパージ室(M)を前記ポンプステータ
(C)と隔壁(F)とに設けたパージ通路(N)に連通
させる一方、前記軸孔部分における前記パージ室(M)
の上部側に中間室(O)を形成して、この中間室(O)
を連通路(P)を介して前記吐出通路(H)に連通させ
ている。そして、前記駆動軸(D)の駆動による真空引
き時に、前記ねじシール(L)で前記軸受(K)の含有
潤滑油が前記気体流路(B)を通って前記排出口(G)
側に流出するのを阻止し、また、前記吐出通路(H)に
排出される気体一部を前記連通路(P)から中間室
(O)へバイパスさせ、かつ、前記パージ通路(N)か
ら前記中間室(O)に導入される気体より高い大気圧の
パージガス(N2ガス)を前記パージ室(M)へと供給し
て、このパージ室(M)の周囲をパージガス雰囲気とす
ることにより、腐食ガス成分を含んだ前記気体が前記入
軸受(K)側に流入し、該軸受(K)側の腐食を招いた
りするのを防止すると共に、この軸受(K)の含有潤滑
油が前記排出口(G)側に流出されるのを阻止して、前
記軸受(K)による前記駆動軸(D)の軸受性能を補償
するようにしている。
(発明が解決しようとする課題) 所が、以上の真空ポンプでは、中間室(O)に排気気
体をバイパスさせると共に、パージ室(M)を設けてパ
ージガスを供給することにより前記軸受(K)のシール
を行うようにしているため、多量のパージガスを必要と
してコストアップとなり、しかも、前記吐出通路(H)
を通る気体一部を前記中間室(O)へバイパスさせ、こ
の中間室(O)から前記気体流路(B)側へと還流させ
ているため、前記真空ポンプの能力ダウンを招く問題が
あった。
本発明は以上のような問題に鑑みてなしたもので、そ
の目的は、前記軸受に対するシール効果を充分得ること
ができながら、必要パージガス量を少なくできい、ま
た、能力ダウンを招くことのない真空ポンプを提供する
ことにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明では、吸気口(1a)
と排気口(1b)とを有するポンプ側ケーシング(1)
と、このケーシング(1)内に配置されたポンプステー
タ(3)と、該ポンプステータ(3)の気体流路(2)
内に配置され、駆動軸(9)をもつポンプロータ(4)
と、前記排気口(1b)に対し区画されたモータ側ケーシ
ング(8)と、このモータ側ケーシング(8)に内装さ
れ、前記駆動軸(9)を駆動するモータ(7)と、前記
モータ側ケーシング(8)で前記駆動軸(9)を支持す
る軸受(10)とを備え、前記軸受(10)の周囲をパージ
ガス雰囲気とする真空ポンプにおいて、前記ポンプロー
タ(4)の排気口(1b)側に、外周部が大気圧となる遠
心式ポンプロータ(13)を配設して、該ポンプロータ
(13)の外周部を前記排気口(1b)に連通させると共
に、前記軸受(10)に連通させる一方、前記遠心式ポン
プロータ(13)の内周部に通じる前段に、前記気体流路
(2)に多数の羽根(42a)を臨ませた渦流ロータ(4
2)から成るポンプロータ(4)をもつ渦流型ポンプ要
素(200)を配設していることを特徴とするものであ
る。
また、前記遠心式ポンプロータ(13)の外周部と軸受
(10)とを連通する連通路(14)において前記駆動軸
(9)側には、パージガス供給通路(15)を連通させて
もよい。
(作用) 前記駆動軸(9)で前記ポンプロータ(4)をポンプ
ステータ(3)側に対し回転駆動させて真空引きを行う
ときには、前記排気口(1b)側に配設した前記遠心式ポ
ンプロータ(13)が同時駆動される。渦流型ポンプ要素
(200)との組合せにおいて、排気口に近い最終段に遠
心式ポンプロータ(13)を配置し、円周方向に圧力差が
ついて低圧側でパージガスの漏れが生じ易いという渦流
型ポンプ要素(200)の欠点を補うことができるのであ
って、すなわち、遠心式ポンプロータ(13)により外周
部全周を同圧の大気圧とするから、円周方向の特定部分
で漏れが生じ易い渦流型ポンプ要素(200)の問題を解
消でき、必要パージガス量を低減できると共にパージガ
スによる能力ダウンを抑制できるのである。
また、前記遠心式ポンプロータ(13)の外周部と前記
軸受(10)とを連通させる連通路(14)と前記駆動軸
(9)側に、パージガス供給通路(15)を連通させて、
この供給通路(15)から前記連通路(14)の駆動軸
(9)側にパージガスを供給することにより、前記軸受
(10)の周囲をパージガス雰囲気となして、腐食ガス成
分を含んだ気体が前記軸受(10)側に流入し、該軸受
(10)を腐食させたりするのを確実に阻止できる。しか
も、このとき前記軸受(10)のシールは、前記パージガ
スによることなく、前記遠心式ポンプロータ(13)で行
われるため、前記パージガスの使用量を少なくでき、そ
れだけコスト低下が可能となる。
(実施例) 第1図に示した真空ポンプは、上部側に半導体製造室
などに接続される吸気口(1a)を備えたポンプ側ケーシ
ング(1)の内部に、互いに連通可能に上下複数段状に
気体流路(2)を設けたポンプステータ(3)と、前記
各気体流路(2)内で回転される上下複数段のポンプロ
ータ(4)とをそれぞれ配設すると共に、前記ポンプ側
ケーシング(1)の下部側に、外部に開放される排気口
(1b)をもった隔壁(5)を配設して、前記排気口(1
b)を前記各気体流路(2)のうち最下段のものに吐出
通路(6)を介して連通させる一方、前記ポンプ側ケー
シング(1)における前記隔壁(5)の下部側に、モー
タ(7)を内装したモータ側ケーシング(8)を配設し
て、前記モータ(7)から延びる駆動軸(9)を前記各
ポンプロータ(4)に結合させており、また、前記隔壁
(5)と前記モータ側ケーシング(8)に設けた支持壁
(8a)とに、それぞれ前記駆動軸(9)の上下部位を回
転自在に支持する上下一対の油潤滑軸受(10)(11)を
設けている。
同図の実施例においては、前記ポンプ側ケーシング
(1)の内方上下部に、ジグバーン型ポンプ要素(10
0)と、渦流型ポンプ要素(200)とを配設した複合式の
真空ポンプを示している。
前記ジグバーン型ポンプ要素(100)は、螺旋翼をも
つジグバーンロータ(41)とジグバーンステータ(31)
とを備え、これらステータ(31)とロータ(41)とを上
下2段状に積層して、その対向部間にそれぞれ前記気体
流路(2)を形成しており、又、前記渦流型ポンプ要素
(200)は、外周に多数の羽根(42a)をもった上下3枚
の渦流ロータ(42)と、該各渦流ロータ(42)が介装さ
れる3つの気体流路(2)をもつ渦流ステータ(32)と
を備え、この渦流ステータ(32)の各気体流路(2)に
は、前記渦流ロータ(42)の各羽根(42a)と対向状に
円環コア(32a)を設けている。
そして、前記各ジグバーンステータ(31)と各渦流ス
テータ(32)とで前記ポンプステータ(3)を構成し、
また、前記各ジグバーンロータ(41)と各渦流ロータ
(42)とで前記ポンプロータ(4)を構成して、前記ジ
グバーン及び渦流ステータ(31)(32)に互いに連通状
に前記各気体流路(2)を形成すると共に、この各気体
流路(2)内に前記ジグバーン及び渦流ロータ(41)
(42)をそれぞれ配設する一方、これら各ロータ(41)
(42)の中央部に設けたボス部を前記モータ(7)から
延びる駆動軸(9)に一体状に結合して、該駆動軸
(9)の駆動に伴い前記各ロータ(41)(42)を前記各
ステータ(31)(32)に対し毎分数万回程度の高速度で
回転させることにより、前記吸気口(1a)から気体流路
(2)に流入された気体を減圧しながら前記吐出通路
(6)から排気口(1b)へと排出させて真空引きを行
い、前記吸気口(1a)に接続される半導体製造室などを
クリーンな状態に保持するようにしている。
しかして以上の構成において、前記渦流ステータ(3
2)の最下段側気体流路(2)と、前記排気口(1b)を
介し大気側に開放される前記吐出通路(6)との間で、
前記駆動軸(9)の外周囲に、遠心ポンプ室(12)を設
けて、このポンプ室(12)に前記渦流ロータ(42)と一
体状に結合され、回転に伴い前記ポンプ室(12)の外周
側を大気圧とする遠心式ポンプロータ(13)を配設する
と共に、前記隔壁(5)における前記駆動軸(9)の挿
通孔回りに隙間を設けて、該隙間と前記ポンプ室(12)
の一部とで、このポンプ室(12)の外周側を前記隔壁
(5)に設けた軸受(10)側に連通させる連通路(14)
を形成する。
前記遠心式ポンプロータ(13)としては、例えば第2
図に示したように、円板形状をなすポンプ本体(13a)
の外表面側に、多数の螺旋状羽根(13b)を一体状に形
成したジグバーン式遠心ポンプを用いるか、又は、第3
図で示したように、円板形状をなすポンプ本体(13c)
の外表面側に、多数のインペラー(13d)を一体状に突
出させたインペラー式遠心ポンプを用いるのであるが、
遠心式ポンプであればその形式は問わない。
しかして、以上の構成において、前記駆動軸(9)を
駆動し、前記各ロータ(41)(42)を各ステータ(31)
(32)に対し高速回転させて真空引きを行うとき、前記
遠心ポンプ室(12)内において前記遠心式ポンプロータ
(13)が同時に高速回転され、このポンプロータ(13)
のポンプ作用により、前記ポンプ室(12)の外周側が大
気圧(760Torr)となって、前記ポンプ室(12)の外周
側と大気圧との差圧がなくなるのである。即ち、前記ポ
ンプ室(12)における中心部に連通される最下段渦流ロ
ータ(42)における排出側の気体通路(2)の圧力は75
0Torr程度になっているが、前記遠心式ポンプロータ(1
3)の駆動により大気圧に昇圧され、大気圧の状態で前
記ポンプ室(12)の外周側から前記吐出通路(6)を経
て排気口(1b)側へ排出されるのであり、また、前記ポ
ンプ室(12)の外周部は前記連通部(14)を介して前記
軸受(10)側に連通されているため、前記ポンプロータ
(13)の駆動に伴って前記軸受(10)側も大気圧にでき
るのである。しかも、前記外周部とこの軸受(10)とを
連通する連通路(14)は、前記ポンプロータ(13)外周
部から中心部にわたり半径方向の長いシール面をもつこ
とになり、この長いシール面でもってシールされること
から、シール効果を顕著にできるのである。従って、前
記軸受(10)に含有される潤滑油の前記排気口(1b)側
への流出が確実に阻止され、つまり前記軸受(10)がオ
イルフリー状態となって、該軸受(10)による前記駆動
軸(9)の軸受性能が補償されるのである。更に、前記
遠心式ポンプロータ(13)で大気圧にする外周部を前記
軸受(10)に連通して、該軸受(10)のシールを行うの
であるため、従来のように、前記排気口(1b)側に至る
気体一部を前記気体流路(2)側へと還流させたりする
必要はなく、真空ポンプの能力ダウンを少なくできるの
である。
また、前記隔壁(5)には、その外周側から内周側に
向けて径方向に延びるパージガス供給通路(15)を形成
して、この供給通路(15)の径方向内方側を前記連通路
(14)の駆動軸(9)側に連通させている。そして、前
記供給通路(15)から前記連通路(14)へとパージガス
を供給することにより、この連通路(14)における駆動
軸(9)の回りつまり前記軸受(10)の周囲をパージガ
ス雰囲気となして、前記気体流路(2)を通る腐食ガス
成分を含んだ気体が前記軸受(10)側に流入するのを阻
止するようにしており、該軸受(10)の腐食を確実に防
止できるようにしている。このとき、前記供給通路(1
5)に供給するパージガスは、腐食ガス成分を含んだ気
体が前記軸受(10)側に流入するのを阻止するために使
用し、この軸受(10)側のシールは、前記パージガスに
よることなく、前記遠心ポンプ室(12)内における遠心
式ポンプロータ(13)の回転で行うことができるので、
前記パージガスの使用量を少なくでき、それだけコスト
低下が図られる。
尚、以上の実施例では、前記ポンプケーシング(1)
の内方上下部には、ジグバーン型ポンプ要素(100)と
渦流型ポンプ要素(200)とを設けた複合型の真空ポン
プを示したが、本発明では前記各ポンプ要素の一方側だ
けを備えたものや、その他の真空ポンプに適用できる。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明の真空ポンプは、渦流型
ポンプ要素(200)との組合せにおいて、排気口に近い
最終段に遠心式ポンプロータ(13)を配置したから、円
周方向に圧力差がついて低圧側でパージガスの漏れが生
じ易いという渦流型ポンプ要素(200)の欠点を補い、
必要パージガス量を低減できると共にパージガスによる
能力ダウンを抑制できるのである。
また、前記ポンプロータ(13)の外周部と前記軸受
(10)とを連通させる連通路(14)で前記駆動軸(9)
側に、パージガス供給通路(15)を連通させて、この供
給通路(15)から前記連通路(14)の駆動軸(9)側に
パージガスを供給することにより、前記軸受(10)の周
囲をパージガス雰囲気となして、腐食ガス成分を含んだ
気体が前記軸受(10)側に流入したりするのを確実に阻
止できて、該軸受(10)の腐食を防止できるのであり、
しかも、このとき前記軸受(10)のシールは、前記パー
ジガスによることなく、前記遠心式ポンプロータ(13)
で行われるため、前記パージガスの使用量を少なくで
き、それだけコスト低下が図れるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一例として示す複合型真空ポンプの縦
断面図、第2図は同真空ポンプに使用できる遠心式ポン
プロータの平面図、第3図は同ポンプロータの他実施例
を示す断面図、第4図は従来例を示す一部省略した断面
図である。 (1)……ポンプ側ケーシング (1a)……吸気口 (1b)……排気口 (2)……気体流路 (3)……ポンプステータ (4)……ポンプロータ (7)……モータ (8)……モータ側ケーシング (9)……駆動軸 (10)……軸受 (13)……遠心式ポンプロータ (14)……連通路 (15)……パージガス供給通路

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸気口(1a)と排気口(1b)とを有するポ
    ンプ側ケーシング(1)と、このケーシング(1)内に
    配置されたポンプステータ(3)と、該ポンプステータ
    (3)の気体流路(2)内に配置され、駆動軸(9)を
    もつポンプロータ(4)と、前記排気口(1b)に対し区
    画されたモータ側ケーシング(8)と、このモータ側ケ
    ーシング(8)に内装され、前記駆動軸(9)を駆動す
    るモータ(7)と、前記モータ側ケーシング(8)で前
    記駆動軸(9)を支持する軸受(10)とを備え、前記軸
    受(10)の周囲をパージガス雰囲気とする真空ポンプに
    おいて、前記ポンプロータ(4)の排気口(1b)側に、
    外周部が大気圧となる遠心式ポンプロータ(13)を配設
    して、該ポンプロータ(13)の外周部を前記排気口(1
    b)に連通させると共に、前記軸受(10)に連通させる
    一方、前記遠心式ポンプロータ(13)の内周部に通じる
    前段に、前記気体流路(2)に多数の羽根(42a)を臨
    ませた渦流ロータ(42)から成るポンプロータ(4)を
    もつ渦流型ポンプ要素(200)を配設していることを特
    徴とする真空ポンプ。
  2. 【請求項2】遠心式ポンプロータ(13)の外周部と軸受
    (10)との連通路(14)であって、駆動軸(9)側にパ
    ージガス供給通路(15)を連通させている請求項1記載
    の真空ポンプ。
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