JP2896583B2 - 光学活性なジシクロペンタジエン類 - Google Patents
光学活性なジシクロペンタジエン類Info
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- JP2896583B2 JP2896583B2 JP23754689A JP23754689A JP2896583B2 JP 2896583 B2 JP2896583 B2 JP 2896583B2 JP 23754689 A JP23754689 A JP 23754689A JP 23754689 A JP23754689 A JP 23754689A JP 2896583 B2 JP2896583 B2 JP 2896583B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光学活性なジシクロペンタジエン類に関す
る。更に詳しくは光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デ
カ−3−アシルオキシ−4,8−ジエンおよびその製造
法、ならびに光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−
3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの製造法に関する。
る。更に詳しくは光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デ
カ−3−アシルオキシ−4,8−ジエンおよびその製造
法、ならびに光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−
3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの製造法に関する。
〔従来の技術と発明が解決しようとする課題〕 ボクスラーら(米国特許第4391823号)は、光学活性
トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8
−ジエンとシクロプロパン酸類縁体などをエステル化
し、有用な殺虫剤を合成している。
トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8
−ジエンとシクロプロパン酸類縁体などをエステル化
し、有用な殺虫剤を合成している。
一方、(±)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−
ヒドロキシ−4,8−ジエン〔下記(II)式〕を出発物質
として使用したつぎの合成法が知られている。
ヒドロキシ−4,8−ジエン〔下記(II)式〕を出発物質
として使用したつぎの合成法が知られている。
ランドリーら(Tetrahedron,39,2761(1983))はつ
ぎに示すごとく、(±)−セドランジオール〔下記
(a)式〕を合成している。
ぎに示すごとく、(±)−セドランジオール〔下記
(a)式〕を合成している。
また、松本ら(Tetrahedron,40,241(1984))は
(±)−コリオリン〔下記(b)式〕を合成している。
(±)−コリオリン〔下記(b)式〕を合成している。
これらの反応はいずれも光学活性体を用いて行えばど
ちらか一方の立体〔(+)体もしくは(−)体〕が得ら
れ、より有効な反応となり得る。
ちらか一方の立体〔(+)体もしくは(−)体〕が得ら
れ、より有効な反応となり得る。
しかしながら、光学活性ジシクロペンタジエン類の合
成法は、ほとんどなく、小笠原ら〔J.Chem.Soc.Chem.Co
munn.,1989,271)の酵素によるアセチル体の加水分解を
利用した光学分割が知られている程度で、工業的に優れ
た効率の良い合成法および有効な中間体は知られていな
い。
成法は、ほとんどなく、小笠原ら〔J.Chem.Soc.Chem.Co
munn.,1989,271)の酵素によるアセチル体の加水分解を
利用した光学分割が知られている程度で、工業的に優れ
た効率の良い合成法および有効な中間体は知られていな
い。
小笠原らによる酵素の加水分解も実験室レベルでは取
扱い易く、(+)−および(−)−の両鏡像体が得られ
るといつた利点もあるが、充分な光学純度を得ようとす
れば数回(3〜5回)の再結晶操作が必要であり、効
率、収率共に満足のいくものではなく、大量に行う場合
には反応溶媒、酵素の固定化、生成物の精製等に多数の
難点がある。
扱い易く、(+)−および(−)−の両鏡像体が得られ
るといつた利点もあるが、充分な光学純度を得ようとす
れば数回(3〜5回)の再結晶操作が必要であり、効
率、収率共に満足のいくものではなく、大量に行う場合
には反応溶媒、酵素の固定化、生成物の精製等に多数の
難点がある。
以上のことから、不斉合成の広範な応用に極めて有用
と考えられる光学活性ジシクロペンタジエン類(トリシ
クロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエ
ン)の両鏡像体およびこれらの中間体の供給が望まれ
る。
と考えられる光学活性ジシクロペンタジエン類(トリシ
クロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエ
ン)の両鏡像体およびこれらの中間体の供給が望まれ
る。
本発明者らは、光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デ
カ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの効率よく大量に得
るという目的を達成するため、光学活性トリシクロ〔5.
2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの中間
体を開発すべく検討した結果、光学活性トリシクロ〔5.
2.1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ−4,8−ジエン)を
得、同時に光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3
−ヒドロキシ−4,8−ジエンを効率よく大量に得る製造
法を見い出し、本発明に至つた。
カ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの効率よく大量に得
るという目的を達成するため、光学活性トリシクロ〔5.
2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの中間
体を開発すべく検討した結果、光学活性トリシクロ〔5.
2.1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ−4,8−ジエン)を
得、同時に光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3
−ヒドロキシ−4,8−ジエンを効率よく大量に得る製造
法を見い出し、本発明に至つた。
すなわち、本発明の目的は、光学活性トリシクロ〔5.
2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンおよび
その中間体とそれらの製造法を提供することである。
2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンおよび
その中間体とそれらの製造法を提供することである。
本発明の光学活性なジシクロペンタジエン類は、 一般式 もしくは、一般式 (式中、(+)、(−)は鏡像体を表す。Rは炭素数
2から15までのアルキル基を示す。)で示される光学活
性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ−
4,8−ジエンである。
2から15までのアルキル基を示す。)で示される光学活
性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ−
4,8−ジエンである。
本発明の光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3
−アシルオキシ−4,8−ジエンは、前記(I′)もしく
は(I″)式で示される化合物であるが、具体的な化合
物としては、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−プロパ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−プロパ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ブチリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ブチリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヘキサ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヘキサ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ラウリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ラウリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 などをあげることができる。
−アシルオキシ−4,8−ジエンは、前記(I′)もしく
は(I″)式で示される化合物であるが、具体的な化合
物としては、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−プロパ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−プロパ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ブチリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ブチリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヘキサ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヘキサ
ノイルオキシ−4,8−ジエン、 (+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ラウリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 (−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ラウリ
ルオキシ−4,8−ジエン、 などをあげることができる。
本発明の第一の製造法は、一般式 で示される(±)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−
3−ヒドロキシ−4,8−ジエンをエステラーゼを用いて
トリグリセリドもしくは脂肪酸ビニルとエステル交換す
ることにより光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−
3−ヒドロキシ−4,8−ジエンおよびその鏡像体の誘導
体である光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−
アシルオキシ−4,8−ジエンを得ることを特徴とする。
3−ヒドロキシ−4,8−ジエンをエステラーゼを用いて
トリグリセリドもしくは脂肪酸ビニルとエステル交換す
ることにより光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−
3−ヒドロキシ−4,8−ジエンおよびその鏡像体の誘導
体である光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−
アシルオキシ−4,8−ジエンを得ることを特徴とする。
本発明の第二の製造法は、光学活性トリシクロ〔5.2.
1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ−4,8−ジエンを加水
分解、加アルコール分解もしくは還元することにより該
光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシルオ
キシ−4,8−ジエンと同じ絶対配置の光学活性トリシク
ロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン
を得ることを特徴とする。
1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ−4,8−ジエンを加水
分解、加アルコール分解もしくは還元することにより該
光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシルオ
キシ−4,8−ジエンと同じ絶対配置の光学活性トリシク
ロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン
を得ることを特徴とする。
本発明の第一の製造法は、以下の反応式で示されるエ
ステル交換反応に基づくものである。
ステル交換反応に基づくものである。
本発明の第一の製造法における(±)トリシクロ〔5.
2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンは、ウ
ツドワードら(Tetrahedron,5,70,(1959))が報告し
ているようにジシクロペンタジエンを二酸化セレンで酸
化することにより容易に得ることができる。
2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンは、ウ
ツドワードら(Tetrahedron,5,70,(1959))が報告し
ているようにジシクロペンタジエンを二酸化セレンで酸
化することにより容易に得ることができる。
トリグリセリドとしては、トリプロピオニン、トリブ
チリン、トリカプロイン、トリラウリル等があげられ
る。
チリン、トリカプロイン、トリラウリル等があげられ
る。
脂肪酸ビニルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、酪酸ビニル、、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビ
ニル等があげられる。
ニル、酪酸ビニル、、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビ
ニル等があげられる。
エステラーゼとしては、微生物の生産するエステラー
ゼまたは動物由来のエステラーゼであり、市販されてい
るものとして次表に示したものがあげられる。
ゼまたは動物由来のエステラーゼであり、市販されてい
るものとして次表に示したものがあげられる。
また、これらの他に、エステラーゼを生産する微生物
であれば、その種類を問わずにその微生物からのエステ
ラーゼは使用できる。かかる微生物の例としては、 シユウドモナス(Pseudomonus)属、 アルスロバクター(Arthro-bacter)属、 アクロモバクター(Acromobacter)属、 アルカリゲネス(Alcaligenes)属、 アスペルギルス(Asperigillus)属、 クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、 カンデイダ(Candida)属、 ムコール(Mucor)属、 リゾプス(Rhizopus)属 などに属するものがあげられる。
であれば、その種類を問わずにその微生物からのエステ
ラーゼは使用できる。かかる微生物の例としては、 シユウドモナス(Pseudomonus)属、 アルスロバクター(Arthro-bacter)属、 アクロモバクター(Acromobacter)属、 アルカリゲネス(Alcaligenes)属、 アスペルギルス(Asperigillus)属、 クロモバクテリウム(Chromobacterium)属、 カンデイダ(Candida)属、 ムコール(Mucor)属、 リゾプス(Rhizopus)属 などに属するものがあげられる。
これらの中で特に好ましいのはシユウドモナス(Pseu
domonus)属由来のものである。
domonus)属由来のものである。
なお、用いるエステラーゼによりアシル化された光学
活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ
−4,8−ジエンの符号(旋光性)は(+)−、(−)−
のどちらも有り得る。
活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシルオキシ
−4,8−ジエンの符号(旋光性)は(+)−、(−)−
のどちらも有り得る。
反応溶媒としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の
炭化水素系やベンゼン、トルエン等さらにエーテル類も
使用でき、エステラーゼ活性を阻害しないものであれば
広く使用することができる。
炭化水素系やベンゼン、トルエン等さらにエーテル類も
使用でき、エステラーゼ活性を阻害しないものであれば
広く使用することができる。
本発明の第一の製造法の反応は、(±)−トリシクロ
〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンを
約0.5当量の脂肪酸ビニルあるいはトリグリセリドと混
合し、酵素と効率よく接触させることにより行われる。
このとき反応温度は室温(10℃前後)ないし150℃が適
当であり、特に好ましくは20ないし45℃である。反応時
間は基質である(±)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ
−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンと脂肪酸ビニルもしく
はトリブリセリンとによつてそれぞれ異なり、1ないし
1000時間である。その基質の割合は1:0.01ないし1:0.6
(モル比)であり、好ましくは1:0.5(モル比)であ
る。
〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンを
約0.5当量の脂肪酸ビニルあるいはトリグリセリドと混
合し、酵素と効率よく接触させることにより行われる。
このとき反応温度は室温(10℃前後)ないし150℃が適
当であり、特に好ましくは20ないし45℃である。反応時
間は基質である(±)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ
−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンと脂肪酸ビニルもしく
はトリブリセリンとによつてそれぞれ異なり、1ないし
1000時間である。その基質の割合は1:0.01ないし1:0.6
(モル比)であり、好ましくは1:0.5(モル比)であ
る。
エステル交換反応を行つた後、エステラーゼは通常の
過操作で除去することができ、そのまま再使用するこ
とが可能である。液である反応液を減圧蒸留するか、
あるいはカラムクロマドグラフイーにかけることにより
光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキ
シ−4,8−ジエンと光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕
デカ−3−アシルオキシ−4,8−ジエンにそれぞれ分離
することができる。
過操作で除去することができ、そのまま再使用するこ
とが可能である。液である反応液を減圧蒸留するか、
あるいはカラムクロマドグラフイーにかけることにより
光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキ
シ−4,8−ジエンと光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕
デカ−3−アシルオキシ−4,8−ジエンにそれぞれ分離
することができる。
反応終了後、アシル化されなかつた光学活性トリシク
ロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン
(残つた方)の光学純度が低かつた場合(エーテル交換
が充分進行しなかつた場合)は、再度エステラーゼによ
るエステル交換反応を行うことにより、光学純度の高い
ものを得ることができる。
ロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン
(残つた方)の光学純度が低かつた場合(エーテル交換
が充分進行しなかつた場合)は、再度エステラーゼによ
るエステル交換反応を行うことにより、光学純度の高い
ものを得ることができる。
本発明の第二の製造法は、本発明の第一の製造法で得
られた光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ア
シルオキシ−4,8−ジエンをアルカリ加水分解、酸加水
分解、加アルコール分解もしくは還元することにより、
該光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシル
オキシ−4,8−ジエンと同じ絶対配置をもつ光学活性ト
リシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−
ジエンが得られる。
られた光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ア
シルオキシ−4,8−ジエンをアルカリ加水分解、酸加水
分解、加アルコール分解もしくは還元することにより、
該光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシル
オキシ−4,8−ジエンと同じ絶対配置をもつ光学活性ト
リシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−
ジエンが得られる。
この反応はつぎの式で表すことができる。
加水分解に用いる塩基としては炭酸水素カリウム、水
酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど、酸としては、塩
酸、硫酸などをあげることができる。加アルコール分解
にはメタノール、エタノールなどをあげることができ
る。
酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど、酸としては、塩
酸、硫酸などをあげることができる。加アルコール分解
にはメタノール、エタノールなどをあげることができ
る。
還元剤としては、水酸化リチウムアルミニウムなどが
あげられる。
あげられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する
が、本発明はこれらの実施例によつて制限されるもので
はない。
が、本発明はこれらの実施例によつて制限されるもので
はない。
実施例1 100mlナスフラスコ(±)−トリシクロ〔5.2.1.
02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン2.9g(0.02m
ol)とラウリン酸ビニル2.26g(0.01mol)をトルエン20
mlに溶かして入れ、さらにリパーゼP(天野製薬製)5g
を加え、室温で48時間撹拌した。リパーゼPの粉末を
過した後、減圧濃縮して5.3gの液体を得た。つぎにこれ
をカラムクロマドグラフイー(溶出液;トルエン/酢酸
エステル=10/1)により、(−)−トリシクロ〔5.2.1.
02.6〕デカ−3−ラウリルオキシ−4,8−ジエン2.3g
(6.6mol、油状物質)と、(+)−トリシクロ〔5.2.1.
02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン1.6g(11mmo
l、融点69℃)とに分離した。
02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン2.9g(0.02m
ol)とラウリン酸ビニル2.26g(0.01mol)をトルエン20
mlに溶かして入れ、さらにリパーゼP(天野製薬製)5g
を加え、室温で48時間撹拌した。リパーゼPの粉末を
過した後、減圧濃縮して5.3gの液体を得た。つぎにこれ
をカラムクロマドグラフイー(溶出液;トルエン/酢酸
エステル=10/1)により、(−)−トリシクロ〔5.2.1.
02.6〕デカ−3−ラウリルオキシ−4,8−ジエン2.3g
(6.6mol、油状物質)と、(+)−トリシクロ〔5.2.1.
02.6〕デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエン1.6g(11mmo
l、融点69℃)とに分離した。
(+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロ
キシ−4,8−ジエンの比旋光度は、 ▲〔α〕29 D▼+45.1°(c0.99、CHCl3) であつた。
キシ−4,8−ジエンの比旋光度は、 ▲〔α〕29 D▼+45.1°(c0.99、CHCl3) であつた。
この(+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンにさらにラウリン酸ビニル1.2g
(5mmol)とリパーゼP(天野製薬製)5gを加え(反応
溶媒;トルエン20ml)室温で48時間撹拌した。前述と同
様の後処理を行い、比旋光度が、 ▲〔α〕29 D▼+91°(c1.1、CHCl3) である(+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンを1.1g(7.6mmol、収率38%)を
得た。
ドロキシ−4,8−ジエンにさらにラウリン酸ビニル1.2g
(5mmol)とリパーゼP(天野製薬製)5gを加え(反応
溶媒;トルエン20ml)室温で48時間撹拌した。前述と同
様の後処理を行い、比旋光度が、 ▲〔α〕29 D▼+91°(c1.1、CHCl3) である(+)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンを1.1g(7.6mmol、収率38%)を
得た。
実施例2 実施例1で得られた(−)−トリシクロ〔5.2.1.
02.6〕デカ−3−ラウリルオキシ−4,8−ジエン2.3gを
ジオキサン/水(1/1)溶媒中、水酸化ナトリウム2.5g
(16mmol)と室温で10時間撹拌した。トルエン50mlを加
え分液ロートに移して振とうした後、水相を分離したト
リエン相を2N−塩酸(氷冷)30mlで洗い、さらに洗液が
中性になるまで水洗した。トルエン相を硫酸マグネシウ
ムで乾燥後溶媒を留去して白色結晶を得た。ヘプタンで
再結晶を行い、比旋光度が、 ▲〔α〕24 D▼+90.3°(c0.7、CHCl3) である(−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンを0.6g(4.1mmol、収率21%)を
得た。このことにより、実施例1で得られた(−)−ト
リシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ラウリルオキシ−4,
8−ジエンが(−)一体であることが同定された。
02.6〕デカ−3−ラウリルオキシ−4,8−ジエン2.3gを
ジオキサン/水(1/1)溶媒中、水酸化ナトリウム2.5g
(16mmol)と室温で10時間撹拌した。トルエン50mlを加
え分液ロートに移して振とうした後、水相を分離したト
リエン相を2N−塩酸(氷冷)30mlで洗い、さらに洗液が
中性になるまで水洗した。トルエン相を硫酸マグネシウ
ムで乾燥後溶媒を留去して白色結晶を得た。ヘプタンで
再結晶を行い、比旋光度が、 ▲〔α〕24 D▼+90.3°(c0.7、CHCl3) である(−)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンを0.6g(4.1mmol、収率21%)を
得た。このことにより、実施例1で得られた(−)−ト
リシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ラウリルオキシ−4,
8−ジエンが(−)一体であることが同定された。
本発明の光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3
−アシルオキシ−4,8−ジエンは、本発明者らによつて
初めて合成された新規化合物である。また、不斉合成反
応試薬として有用な光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕
デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの前駆体(中間
体)としてきわめて有用な化合物である。
−アシルオキシ−4,8−ジエンは、本発明者らによつて
初めて合成された新規化合物である。また、不斉合成反
応試薬として有用な光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕
デカ−3−ヒドロキシ−4,8−ジエンの前駆体(中間
体)としてきわめて有用な化合物である。
本発明の第一の製造方法は、不斉合成反応試薬として
有用な光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンを光学純度良く、効率的に、し
かも大量に両鏡像体を得ることができる。
有用な光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒ
ドロキシ−4,8−ジエンを光学純度良く、効率的に、し
かも大量に両鏡像体を得ることができる。
本発明の第二の製造法は、本発明の新規な化合物によ
る新規な製造法である。
る新規な製造法である。
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Claims (2)
- 【請求項1】一般式 (ここで、(±)はラセミ体を表す。)で示される
(±)−トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロキ
シ−4,8−ジエンを、エステラーゼを用いてトリグリセ
リドもしくは脂肪酸ビニルとエステル交換することによ
り光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−ヒドロ
キシ−4,8−ジエンおよびその鏡像体の誘導体である光
学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3−アシオキシ
−4,8−ジエンを得ることを特徴とする光学活性なジシ
クロペンタジエン類の製造法。 - 【請求項2】光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−
3−アシルオキシ−4,8−ジエンを加水分解、加アルコ
ール分解もしくは還元することにより、該ジエンと同じ
絶対配置の光学活性トリシクロ〔5.2.1.02.6〕デカ−3
−ヒドロキシ−4,8−ジエンを得ることを特徴とする光
学活性なジシクロペンタジエン類の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23754689A JP2896583B2 (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | 光学活性なジシクロペンタジエン類 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23754689A JP2896583B2 (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | 光学活性なジシクロペンタジエン類 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0398597A JPH0398597A (ja) | 1991-04-24 |
JP2896583B2 true JP2896583B2 (ja) | 1999-05-31 |
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ID=17016933
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23754689A Expired - Fee Related JP2896583B2 (ja) | 1989-09-13 | 1989-09-13 | 光学活性なジシクロペンタジエン類 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2896583B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3365320A4 (en) | 2015-10-21 | 2019-07-10 | B.G. Negev Technologies & Applications Ltd., at Ben-Gurion University | DICYCLOPENTADIENE DERIVATIVES AND POLYMERS CONTAINING THEM |
-
1989
- 1989-09-13 JP JP23754689A patent/JP2896583B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
Pestic.Sci.,Vol.17,No.1(1986)p.33−47 |
Zh.Org.Khim.,Vol.20,No.1(1984)p.69−80 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0398597A (ja) | 1991-04-24 |
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