JP2895433B2 - オフセット印刷機のローラ用の駆動装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特許請求の範囲の
請求項１に上位概念として記載した通り、フセット印刷
機のローラ用の駆動装置であって、駆動ユニットと、軸
方向運動用の第１の出力ユニットと、ローラの円周方向
駆動用の第２の出力ユニットとを備えている形式のもの
に関する。

【０００２】

【従来の技術】湿し剤を湿し剤容器（湿し水ボックス）
から浸漬ローラ（湿し水送り出しローラ）によって調量
ローラへ搬送し、更に後置のインキ着けローラに移送す
る形式の湿し装置が、ドイツ連邦共和国特許第１４１１
１１８号明細書に基づいて公知になっている。その場
合、前記浸漬ローラは、別個の駆動装置によって引張り
伝動節を介して回転運動させられる。移送すべき湿し剤
量を調整できるようにするために、浸漬ローラの回転数
は制御可能である。しかしながら当該特許明細書に記載
の解決手段は、ローラの軸方向の均らし（擦り）作用を
全く有していない。

【０００３】またドイツ連邦共和国特許第３６２３５９
０号明細書に基づいて公知になっている別の解決手段で
は、浸漬ローラ（湿し水送り出しローラ）は、別個の変
速機付きモータにより伝動ギヤ列を介して回転運動も軸
方向の往復擦り運動（均らし運動）も共に行なう。その
場合、浸漬ローラの回転駆動装置は、伝動技術的に軸方
向駆動装置と固定的に作用結合されているので、駆動回
転数は、軸方向の均らし運動と同期的に変化される。伝
動ギヤ列と駆動モータとの連結はクラッチによって解除
される。

【０００４】しかし当該解決手段による欠点は、伝動ギ
ヤ列の連結を完全に一括的にしか解除できないことであ
る。すなわち駆動モータと伝動ギヤ列との連結解除時に
は、ローラの回転運動も軸方向の均らし運動も共に停止
される訳である。しかも伝動ギヤ列が駆動モータと連結
されている場合には、過量の湿し剤が版板に乃至はイン
キ装置内へ送り込まれる虞れがある。これは印刷品質に
対してマイナスの作用を及ぼす。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の課題
は、ローラの軸方向駆動（ローラの擦り均らし運動）
を、ローラの半径方向駆動（回転運動）とは独立させ
る、別個のローラ駆動装置を開発することである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の構成手段は、特許請求の範囲の請求項１に記
載した通り、駆動ユニットが、引張り伝動節を介在して
第１の出力ユニット及び第２の出力ユニットと共に、ロ
ーラのための別個の駆動装置を形成しており、第２の出
力ユニットに、ローラの円周方向運動を停止させるため
のクラッチが配置されている点にある。本発明の更に有
利な構成は、請求項２以降に記載した手段から明らかで
ある。

【０００７】

【発明の効果】本発明によるローラ用の駆動装置は、ワ
ニス装置、インキ装置、特に湿し装置におけるローラに
適している。印刷機の機械速度には無関係に、別個の駆
動装置を介して、ワニス、インキ又は湿し剤のような搬
送すべき媒体を一定量導くことが保証される。ローラの
軸方向駆動は、定常的に維持されるのが殊に有利であ
り、ローラの円周方向駆動装置は、連結した状態で軸方
向駆動装置に同期的に行われる。連結を解除した状態で
は円周向駆動装置は停止されている。

【０００８】稼働モード「ローラ洗浄」の場合には、ロ
ーラの軸方向駆動は同じく維持されるが、これに対して
円周方向駆動装置は連結を解除され、従って停止され
る。軸方向駆動装置は、軸方向擦り作用によって洗浄時
間を短縮させ、かつローラ縁部の洗浄を一緒に行わせ
る。従って稼働モード「ローラ洗浄」時における洗浄成
績が改善され、かつ洗浄時間の時間短縮が顕著である。

【０００９】

【発明の実施の形態】次に図面に基づいて本発明の実施
例を詳説する。

【００１０】１基のオフセット印刷ユニットは版胴１、
該版胴に隣接したゴムブランケット胴２並びにインキ装
置８及び湿し装置から構成されている。湿し装置は湿し
剤容器（湿し水ボックス）３、湿し水送り出しローラ
（浸漬ローラ）として作用して湿し剤着けローラ６に接
するローラ４と、該ローラ４に配設された調量ローラ５
とから成っている。インキ装置８と湿し装置３〜６との
間にはブリッジローラ７が配置されており、該ブリッジ
ローラを介して湿し装置３〜６はインキ装置８と選択的
に作用結合される。

【００１１】本実施例のローラ駆動装置は、ローラ４を
駆動しようとするものである。機械架台１４には駆動ユ
ニット９、例えば電動モータが固定されている。該駆動
ユニット９は、歯車として構成された駆動部材１１に作
用し、該駆動部材は、引張り伝動節１０（殊に有利には
歯付きベルト）を循環運動させる。該引張り伝動節１０
は、ローラ４を軸方向に駆動するための第１の出力ユニ
ット２７と係合すると共に、ローラ４を円周方向に駆動
するための第２の出力ユニット２８とも係合している。
機械架台１４に固着された軸受装置１５上に従動部材１
２が固定されている。前記軸受装置１５は殊に、片側に
偏心ピンを有する軸から成っている。該軸受装置１５の
偏心ピンはリンク１６と回動自在に連結されており、該
リンクは、２つの回転ジョイントを介して、機械架台１
４に位置固定されたアングルレバー１７に作用する。該
アングルレバー１７は伝動技術的に見れば三元部材であ
り、かつ一端にカム従動ローラを有し、該カム従動ロー
ラはカム制御装置１９に沿って転動する。カム制御装置
１９は、前記ローラ４と作用結合された軸方向及び円周
方向に可動のロッド１８に固定されている。

【００１２】歯車として軸２０に固着された従動部材１
３は、半径方向のローラ駆動のために使用される。前記
軸２０は機械架台１４内でローラ４に対して平行に軸支
されており、かつ、空圧で作用するクラッチ２１を有
し、該クラッチは軸部分間に配置されている。軸２０の
自由端部には歯車２２が固着されている。該歯車２２
は、ローラ４に配置された外歯歯列を有する軸受ブシュ
２３と噛合っている。該軸受ブシュ２３は機械架台１４
内に支承されていると同時に、ローラ４のジャーナル用
の滑り軸受装置２４を形成している。軸受ブシュ２３は
ピン２５によって、ローラ４のジャーナルと、或いは選
択的にロッド１８と結合されている。前記ピン２５は長
手方向ガイド２６内で擦り運動（つまりインキ又は湿し
剤などの均らし分配）のために半径方向に可動である。

【００１３】本実施例は有利なローラ駆動装置を表して
いる。また軸方向駆動用の出力ユニットはクラッチを有
することもでき、該クラッチは軸受装置１５の領域に配
置されているのが殊に有利である。その有利な変化態様
としてローラ４は２つのクラッチを介して駆動されても
よく、その場合、軸方向駆動用の出力ユニットのための
クラッチは軸受装置１５の領域内に、また円周方向駆動
用の出力ユニットのためのクラッチは軸２０の領域内に
配置されている。

【００１４】本発明によるローラ駆動装置の機能態様は
次の通りである。駆動ユニット９が作動されて駆動部材
１１を回転運動させる。駆動部材１１の回転によって引
張り伝動節１０は循環し、ローラ４の軸方向駆動用の第
１の出力ユニット２７を運動させると同時に、前記引張
り伝動節１０によってローラ４の円周方向駆動用の第２
の出力ユニット２８が運動させられる。

【００１５】従動部材１２は軸受装置１５上で自転し、
かつ偏心ピンはリンク１６を運動させる。アングルレバ
ー１７を介してリンク１６の揺動運動は、ロッド１８の
軸方向駆動運動（インキ又は湿し剤の均らし運動）に変
換される。ロッド１８はローラ４を作動する。その場合
ローラ４のジャーナルは滑り軸受装置２４内でかつ軸受
ブシュ２３の長手方向ガイド２６に沿って案内される。

【００１６】軸２０に固着された従動部材１３は自転す
る。クラッチで連結された状態でトルクは軸２０から歯
車２２に伝達される。該歯車２２は軸受ブシュ２３を、
該軸受ブシュの外歯歯列を介して回転運動させる。この
回転運動は軸受ブシュ２３からピン２５を介してロッド
１８によってローラ４に伝達される。ローラ４の回転運
動を停止しようとする場合には、クラッチ２１が空圧式
に作動されて、従動部材１３と歯車２２との伝動技術的
な減結合が生じる。軸２０の、歯車２２を支持する軸部
分は停止されるが、軸２０の、従動部材１３を支持する
軸部分は、引張り伝動節１０の駆動によって更に回転を
続ける。

【図面の簡単な説明】

【図１】オフセット印刷ユニットの概略側面図である。

【図２】ローラ駆動装置の概略側面図である。

【図３】ローラ駆動装置の概略平面図である。

【符号の説明】

１ 版胴、 ２ ゴムブランケット胴、 ３ 湿
し剤容器、 ４ ローラ、 ５ 調量ローラ、 ６
湿し剤着けローラ、 ７ ブリッジローラ、 ８
インキ装置、 ９ 駆動ユニット、 １０ 引
張り伝動節、１１ 歯車としての駆動部材、 １２，
１３ 従動部材、 １４ 機械架台、 １５ 軸
受装置、 １６ リンク、 １７ アングルレバ
ー、 １８ ロッド、 １９ カム制御装置、 ２
０ 軸、 ２１ クラッチ、２２ 歯車、 ２３
軸受ブシュ、 ２４ 滑り軸受装置、 ２５ピ
ン、 ２６ 長手方向ガイド、 ２７ 第１の出力
ユニット、 ２８第２の出力ユニット

フロントページの続き (72)発明者 ローベルト オルトナー ドイツ連邦共和国 アルツェナウ ジー トルング アム シュタイン 26 (56)参考文献 特開 平５−254100（ＪＰ，Ａ) 実開 平５−29749（ＪＰ，Ｕ) 実公 平５−360（ＪＰ，Ｙ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B41F 31/14 B41F 7/24 B41F 13/00 B41F 33/00

Claims (7)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オフセット印刷機のローラ（４）用の駆
   動装置であって、駆動ユニット（９）と、軸方向運動用
   の第１の出力ユニット（２７）と、ローラ（４）の円周
   方向駆動用の第２の出力ユニット（２８）とを備えてい
   る形式のものにおいて、 駆動ユニット（９）が、引張り伝動節（１０）を介在し
   て第１の出力ユニット（２７）及び第２の出力ユニット
   （２８）と共に、ローラ（４）のための別個の駆動装置
   を形成しており、第２の出力ユニット（２８）に、ロー
   ラ（４）の円周方向運動を停止させるためのクラッチ
   （２１）が配置されていることを特徴とする、オフセッ
   ト印刷機のローラ用の駆動装置 。
2. 【請求項２】 第１の出力ユニット（２７）内に、ロー
   ラ（４）の軸方向の擦り運動を停止させるためのクラッ
   チが配置されている、請求項２記載の駆動装置。
3. 【請求項３】 第１の出力ユニット（２７）が、引張り
   伝動節（１０）に係合している第１の従動部材（１２）
   と、該第１の従動部材（１２）を支持していて偏心ピン
   を備えた軸から成っていて機械架台に固定された軸受装
   置（１５）と、前記軸受装置（１５）及び機械架台の定
   位置に配置されたアングルレバー（１７）に回動可能に
   連結された揺動性のリンク（１６）と、前記ローラ
   （４）に結合されたロッド（１８）及び前記アングルレ
   バー（１７）に連結されたカム制御装置（１９）とを有
   している、請求項１記載の駆動装置。
4. 【請求項４】 第２の出力ユニット（２８）が、引張り
   伝動節（１０）に係合している第２の従動部材（１３）
   と、該第２の従動部材（１３）及び歯車（２２）を備え
   かつ機械架台の定位置に支承された軸（２０）と、ロー
   ラ（４）に配設されていて前記歯車（２２）に噛合う外
   歯歯列をもった軸受スリーブ（２３）とを有し、該軸受
   スリーブ（２３）が前記ローラ（４）用の滑り軸受装置
   （２４）並びにピン（２５）を備え、しかも該ピン（２
   ５）が、ロッド（１８）又は前記ローラ（４）のジャー
   ナルを貫通しておりかつ長手方向ガイド（２６）に沿っ
   て軸方向に可動に案内されている、請求項１記載の駆動
   装置。
5. 【請求項５】 クラッチ（２１）が軸受装置（１５）内
   に配置されている、請求項３記載の駆動装置。
6. 【請求項６】 クラッチ（２１）が、分割された軸（２
   ０）間に配置されている、請求項４記載の駆動装置。
7. 【請求項７】 クラッチ（２１）が、電気式、空圧式又
   は油圧式に作動可能である、請求項６記載の駆動装置。