JP2892918B2 - ベルト式無段変速装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一対の伝動軸の夫々に
一体回動自在に取付けたプーリに亘って伝動ベルトを巻
回し、前記各プーリを、夫々、固定プーリ体と回転軸芯
方向に移動自在な可動プーリ体とから成る割りプーリ型
に構成するとともに、各プーリにおける可動プーリ体を
軸芯方向に沿ってスライド操作する乗り上がりカム機構
を備え、前記各乗り上がりカム機構は、カム面を備えた
固定カム体と、回動操作されることにより前記カム面に
乗り上がり案内されるカム面を備えた可動カム体とで構
成してあるベルト式無段変速装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記ベルト式無段変速装置において、従
来では、前記両カム機構における夫々の固定カム体は位
置固定状態で備えられ、ベルトの弛みが生じないよう
に、各可動カム体をロッドを介して一体的に且つ背反的
にスライド移動するよう連係されていた〔例えば、特開
平５‐１４９４００号公報参照〕。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来構
造においては、伝動ベルトの張力がほぼ一定に維持され
ているものとすれば、例えば長期間の使用によって伝動
ベルトが磨耗して細くなってくると、前記カム機構によ
る両プーリのプーリ間隔の設定距離が一定であるにもか
かわらず、プーリに対するベルト巻回径が僅かに小径側
に変化することになる。その結果、伝動ベルトとプーリ
との圧接力が弱くなり、プーリがスリップし易い状態に
なる。本発明は、合理的構造改良によって、上記不具合
点を解消することを目的としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の特徴構成は、冒
頭に記載したベルト式無段変速装置において、前記各固
定カム体のうちのいずれか一方を、設定範囲で回動操作
自在に構成するとともに、プーリ間隔が狭くなるように
当該固定カム体を回動付勢する付勢機構を備えてある点
にある。

【０００５】

【作用】初期の駆動状態においては、巻回される伝動ベ
ルトの張力によって各プーリは固定プーリ体と可動プー
リ体とが互いに離れる方向、つまり、プーリ間隔が大に
なる方向に拡がり力が作用するので、上記したように一
方の固定カム体が設定範囲で回動自在に設けられていて
も、前記付勢機構による付勢力に抗して押し広げられる
側に回動して維持されることになる。そして、長期間の
使用によって伝動ベルトが磨耗して細くなってくると、
他方側の乗り上がりカム機構は固定カム体が位置固定さ
れるので、プーリ間隔が所定状態で維持され、他方側の
乗り上がりカム機構においては、適切なベルト巻回径が
設定位置より僅かに小径側に変化するからベルトが弛む
ようになるが、このときは、前記付勢機構によってプー
リ間隔が狭くなる方向に付勢され、伝動ベルトが適切な
伝動用巻回状態に設定されることになる。

【０００６】

【発明の効果】従って、伝動ベルトの磨耗によるプーリ
のスリップを未然に防止でき、長期間に亘って円滑な伝
動状態を維持できるものとなった。しかも、前記固定カ
ム体の回動範囲、付勢機構の付勢力及び伝動ベルトの初
期張力等を適切に設定することで、前記付勢機構によっ
て伝動ベルトに常に適切な張力を与えることが可能とな
り、各プーリの間において伝動ベルトに作用するテンシ
ョンプーリを廃止して、構造の簡素化を図ることも可能
となる。

【０００７】

【実施例】以下、実施例を図面に基いて説明する。図１
にベルト式無段変速装置を示している。この無段変速装
置は、駆動側伝動軸１と従動側伝動軸２の夫々に一体回
動自在に取付けた駆動プーリ３と従動プーリ４とに亘っ
て伝動ベルト５を巻回してあり、各プーリ３，４を、夫
々、固定プーリ体６と回転軸芯方向に移動自在な可動プ
ーリ体７とから成る割りプーリ型に構成して、駆動プー
リ３と従動プーリ４との間のベルト巻回径、即ち伝動比
を無段階に変更して変速するよう構成してある。

【０００８】詳述すると、前記駆動プーリ３及び従動プ
ーリ４における各固定プーリ体６，６を各伝動軸１，２
に一体回動自在並びに軸芯方向に位置固定状態でキー連
結し、各可動プーリ体７，７を相対回転自在並びに軸芯
方向にスライド自在に外嵌装着してある。そして、前記
各可動プーリ体７，７を乗り上がりカム機構８，８を介
して固定プーリ体６，６に接近離間操作自在に構成して
ある。前記乗り上がりカム機構８，８は、図３の展開図
において示すように、カム面９ａを備えた固定カム体９
と、回動操作されることにより前記カム面９ａに乗り上
がり案内されるカム面１０ａを備えた可動カム体１０と
で構成してある。固定カム体９は、各伝動軸１，２に対
してベアリングを介して相対回動自在に取付けるととも
に、機体固定部１１に対して、連結ピン１２を介して自
由回動が規制され、且つ、軸芯方向の移動が規制される
状態で連結してある。又、各伝動軸１，２に対してベア
リングを介して相対回動自在に取付けられる各可動カム
体１０，１０には径方向外方に操作アーム部１３，１３
を一体形成してあり、電動シリンダＣＹにより、各可動
カム体１０，１０が連結ロッド１４を介して一体的に回
動操作され、乗り上がりカム機構８，８の案内作用によ
って軸芯方向に移動し、ベアリングを介して可動プーリ
体７，７をスライド操作できるように連動連結してあ
る。尚、夫々の可動カム体１０，１０に対する乗り上が
りカム機構８，８は、前記操作に伴って各可動カム体１
０，１０が背反的に移動するよう構成してある。つま
り、いずれかのプーリが拡がるときは他方のプーリは狭
くなる方向に操作されることになり、変速操作に伴って
伝動ベルトの張り具合が変化しないようにしてある。

【０００９】そして、駆動プーリ３側の前記固定カム体
９は、設定範囲で伝動軸１の軸芯周りで回動操作自在に
構成するとともに、プーリ間隔が狭くなるように当該固
定カム体９を回動付勢する付勢機構としての引っ張りバ
ネ１５を備えてある。つまり、図３の展開図に示すよう
に、固定カム体９の機体固定部１１への連結箇所におい
て、前記連結ピン１２の挿通孔１６を回転軸芯周りでの
円弧状長孔に形成し、この長孔の範囲内で回動操作自在
に構成し、引っ張りバネ１５によって乗り上がりカム機
構８を介して可動プーリ体７が固定プーリ体６に接近す
るように作用する方向に回動付勢するよう構成してあ
る。このように構成することで、長期間の使用によって
伝動ベルト５が磨耗してベルトが緩み気味になっても、
駆動プーリ３のプーリ間隔が狭くなる方向に前記バネ１
５による付勢力が作用し、伝動ベルト５の適切な張力を
維持できることになる。

【００１０】〔別実施例〕前記駆動プーリ３側の固定カ
ム体９に代えて、前記従動プーリ４側の固定カム体９を
設定範囲で回動自在に設け、付勢機構によりプーリ間隔
が狭くなるよう回動付勢する構成としてもよい。

【００１１】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
容易にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】ベルト式無段変速装置の断面図

【図２】ベルト式無段変速装置の側面図

【図３】乗り上がりカム機構の展開図

【符号の説明】

１，２ 伝動軸 ３，４ プーリ ５ 伝動ベルト ６ 固定プーリ体 ７ 可動プーリ体 ８，８ 乗り上がりカム機構 ９ 固定カム体 ９ａ カム面 １０ 可動カム体 １０ａ カム面 １５ 付勢機構

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の伝動軸（１），（２）の夫々に一
   体回動自在に取付けたプーリ（３），（４）に亘って伝
   動ベルト（５）を巻回し、前記各プーリ（３），（４）
   を、夫々、固定プーリ体（６）と回転軸芯方向に移動自
   在な可動プーリ体（７）とから成る割りプーリ型に構成
   するとともに、 各プーリ（３），（４）における可動プーリ体（７），
   （７）を軸芯方向に沿ってスライド操作する乗り上がり
   カム機構（８），（８）を備え、 前記各乗り上がりカム機構（８），（８）は、カム面
   （９ａ）を備えた固定カム体（９）と、回動操作される
   ことにより前記カム面（９ａ）に乗り上がり案内される
   カム面（１０ａ）を備えた可動カム体（１０）とで構成
   してあるベルト式無段変速装置であって、 前記各固定カム体（９），（９）のうちのいずれか一方
   を、設定範囲で回動操作自在に構成するとともに、プー
   リ間隔が狭くなるように当該固定カム体（９）を回動付
   勢する付勢機構（１５）を備えてあるベルト式無段変速
   装置。