JP2892636B2 - 新幹線先頭車両の複合材構体の中央部結合方法 - Google Patents

新幹線先頭車両の複合材構体の中央部結合方法

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JP2892636B2 JP9197720A JP19772097A JP2892636B2 JP 2892636 B2 JP2892636 B2 JP 2892636B2 JP 9197720 A JP9197720 A JP 9197720A JP 19772097 A JP19772097 A JP 19772097A JP 2892636 B2 JP2892636 B2 JP 2892636B2
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明能 水田
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理 石▲塚▼
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新幹線先頭車両の
左右対称に分割された複合材構体の中央部結合方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の新幹線車両の構体は、アルミ合金
より成る構体が殆んどで、セミモノコック構造である。
かかるアルミ合金構体は、製造するのに成形型無しに手
加工し、溶接,パテ塗り修正を行わなければならなかっ
た。さらに電装品組立は、構体完成後でなければできな
かった。そしてアルミ合金構体は、断熱材,遮音材,内
装材などが必要で、それの取り付けに多大な費用と時間
が費やされるものであった。
【0003】近時、新幹線車両の構体材料の規制が緩和
され、金属以外でも使用可能となった。このようなこと
から構体材料に複合材を用いることが検討されている
(尚、複合材を用いた高速車両の従来技術として、特開
平5−345567号公報,特開平7−96833号公
報がある)。新幹線車両の構体は、今後さらに加速され
るが現在最大速度275km/hに耐えることができ、鳥衝
突強度を有することが必要である。しかもトンネル通過
時最大圧力790mmAq,20年間繰り返される構造疲労
強度(1回のトンネル通過時600mmAq)に耐え、変形
最大7mm程度に抑えることのできる剛性が必要である。
特に先頭車両の構体は、複雑な曲面及び大面積となるの
で、これに対応できるものであることが必要である。
【0004】従来より検討されている新幹線先頭車両の
構体材料としての複合材は、サンドイッチ構造であり、
このサンドイッチ構造の複合材より成る先頭車両構体を
作ることは、一体成形できる大きさのオートクレーブが
無いので、また、仮に一体成形できる大きさのオートク
レーブを製作し、この中で巨大な新幹線先頭車両構体を
製造しても製造後残存応力によって先頭車両構体の上部
曲面が変形し、左右両側部が下部の金属製構体フレーム
と合わなくなるなどの理由から、先頭車両の長手方向中
心線に沿って左右対称に分割した構体構造が採用され
る。
【0005】ところで分割した複合材構体構造を新幹線
車両に採用することは、次のような問題がある。 図4に示すように複合材構体20,20の分割端部2
1,21が薄くなるので、これをファスナー22で結合
した天井23は、トンネル通過の際に受ける空気圧によ
る変形を小さくすることができず、剛性が不足する。 分割端部21,21の結合部の気密を保つことが困難
で、シール性が悪い。 分割端部21,21に、結合の為の多数のファスナー
22を取り付ける間、複合材構体20,20の形状を保
持する大がかりな治具を必要とし、また、せん断ファス
ナーは非常に高い加工精度を要求するので、予め分割端
部21,21に穴をあけておくことができず、組立性が
悪い。 図4に示す分割端部21,21の結合の仕方では、曲
げ強度に耐えられず、従ってファスナー22を大きくし
なければならず、加工が困難になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、剛性
を高くでき、気密を保つことができ、組立を容易に行う
ことができ、強度を高くできる新幹線先頭車両の複合材
構体の中央部結合方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の新幹線先頭車両の複合材構体の中央部結合方
法は、新幹線先頭車両の長手方向中心線に沿って左右対
称に分割された複合材構体の分割部を結合する方法であ
って、分割部の上下方向の厚みを厚くすると共に垂直な
分割面をフラットな面となし、次にこのフラットな分割
面の内側に長手方向に一定間隔を存して多数の凹部を設
け、次いで分割面を合わせて前記各凹部より分割部を貫
通して引っ張りボルトを水平に取り付け、次に前記分割
面の合わせ面の隙間に接着剤を充填し、然る後前記引っ
張りボルトを締め付けて分割面を結合することを特徴と
するものである。
【0008】上記新幹線先頭車両の複合材構体の中央部
結合方法において、分割面における引っ張りボルト貫通
穴は、1本だけ長手方向位置決め穴とし、他はガタ穴と
なすことが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の新幹線先頭車両の複合材
構体の中央部結合方法の実施形態を説明する。図1に示
す新幹線先頭車両1の長手方向中心線Lに沿って左右対
称に分割された複合材構体2,2は、上面左右方向が円
弧状に上方に膨らむ曲面3で且つ中央部長手方向が上方
に盛り上がる盛り上がり曲面3aを有し、先頭車両1の
後部から前部にかけて緩く前方に曲面4で傾斜した流面
形状になされ、傾斜曲面4の途中に運転室窓開口部5を
有し、傾斜曲面4の前部左右両側に前照灯取付開口部6
を有し、前端7が連結器カバー8と接続され、後端9が
運転室後方の乗降口10の近くの位置で後部構体11と
接続されるもので、この分割複合材構体2,2を構成し
ている複合材は、高弾性FRPスキンプラスチックコア
サンドイッチ材である。
【0010】かかる構造の分割複合材構体2,2の分割
部を結合するには、予め分割複合材構体2,2を、分割
部に図2に示すように上下方向の厚み、即ち約30mm〜
60mm、本例の場合30mmの厚みをもたせるように且つ
垂直な分割面12,12がフラット面となるようにオー
トクレーブで成形する。そして図3のaに示すようにフ
ラットな分割面12,12の内側にて夫々長手方向に一
定間隔を存して多数の凹部13を設ける。次いで図3の
bに示すように各凹部13より分割面12,12を貫通
する引っ張りボルト貫通穴14を穿設する。この引っ張
りボルト貫通穴14は、1本だけ長手方向位置決め穴と
し、他は径を大きくしてガタ穴とする。次に分割複合材
構体2,2の分割面12,12の合わせ面の隙間に図3
のcに示すように接着剤15を充填塗布する。次いで各
凹部13より引っ張りボルト貫通穴14に図3のdに示
すように引っ張りボルト16を取り付ける。然る後、長
手方向位置決め穴とした引っ張りボルト貫通穴14に取
り付けた引っ張りボルト16を最初に締め付けて分割面
12,12を位置決めし、以後径を大きくしてガタ穴と
した他の引っ張りボルト貫通穴14に取り付けた引っ張
りボルト16を締め付けて図3のeに示すように分割面
12,12を結合する。
【0011】上記のように実施形態の新幹線先頭車両の
複合材構体の中央部結合方法は、分割部の厚さを厚くし
た分割面12,12同士を直接引っ張りボルト16を締
め付けて結合するので、その結合部の剛性が高くなる。
また、分割面12,12同士の隙間に接着剤15を充填
塗布するので、引っ張りボルト16を締め付けて分割面
12,12を結合することにより、その結合部のシール
が完全となり、気密を保てる。さらに引っ張りボルト貫
通穴14は、1本だけ分割面12,12の長手方向位置
決め穴とし、他はガタ穴とするので、引っ張りボルト1
6を容易に挿通し締め付けることができて、分割複合材
構体2,2の結合作業が簡単である。また、接着剤の接
着力と引っ張りボルト16の摩擦でせん断荷重をとるの
で、結合部の強度が高くなる。また、先頭車両1の運転
室窓開口部5付近の天井は庇を突き出した構造になって
いるので、たわみが大きくなるが、分割部の厚さを厚く
して結合する実施形態によれば庇の剛性を補強すること
ができる。
【0012】
【発明の効果】以上の説明で判るように本発明の新幹線
先頭車両の複合材構体の中央部結合方法は、厚さの厚い
分割複合材構体同士を引っ張りボルトにより直接結合す
るので、剛性が高く、強度も高くなる。また分割面に接
着剤を介在して結合するので、その結合部のシールが完
全となり、気密を保持できて信頼性が高くなる。さら
に、引っ張りボルトの貫通,締め付けが容易にできて、
結合作業を能率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】新幹線先頭車両における左右対称に分割された
複合材構体を示す斜視図である。
【図2】本発明の複合材構体の中央部結合方法において
採用される複合材構体の分割部の構造を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の複合材構体の中央部結合方法を示すも
ので、a〜eはその工程図である。
【図4】従来の複合材構体の中央部結合方法を示す要部
断面図である。
【符号の説明】
1 新幹線先頭車両 2 分割された複合材構体 12 分割面 13 凹部 14 引っ張りボルト貫通穴 15 接着剤 16 引っ張りボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石▲塚▼ 理 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番 18号 川崎重工業株式会社兵庫工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B61D 17/00 B61D 17/04 B61D 17/12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 新幹線先頭車両の長手方向中心線に沿っ
    て左右対称に分割された複合材構体の分割部を結合する
    方法であって、分割部の上下方向の厚みを厚くすると共
    に垂直な分割面をフラットな面となし、次にこのフラッ
    トな分割面の片面側の内側に長手方向に一定間隔を存し
    て多数の凹部を設け、次いで分割面を合わせて前記各凹
    部より分割部を貫通して引っ張りボルトを水平に取り付
    け、次に前記分割面の合わせ面の隙間に接着剤を充填
    し、然る後前記引っ張りボルトを締め付けて分割面を結
    合することを特徴とする新幹線先頭車両の複合材構体の
    中央部結合方法。
  2. 【請求項2】 分割面における引っ張りボルト貫通穴
    を、1本だけ長手方向位置決め穴とし、他はガタ穴とな
    したことを特徴とする請求項1記載の新幹線先頭車両の
    複合材構体の中央部結合方法。
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