JP2841062B1 - 鉄道車両用構体とその製作方法 - Google Patents

鉄道車両用構体とその製作方法

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JP2841062B1
JP2841062B1 JP9173924A JP17392497A JP2841062B1 JP 2841062 B1 JP2841062 B1 JP 2841062B1 JP 9173924 A JP9173924 A JP 9173924A JP 17392497 A JP17392497 A JP 17392497A JP 2841062 B1 JP2841062 B1 JP 2841062B1
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Abstract

【要約】 【課題】 複合材構体と金属製構体とを結合する際に伴
う問題点を解決し、曲面形状の製作が容易で、低コスト
化および軽量化が容易に達成でき、新幹線の先頭車両な
どに好適な鉄道車両用構体を提供する。 【解決手段】 プラスチック成形体2Aを備えた複合材
構体2と金属製骨組み3Aを備えた金属製構体3とを結
合して製作される鉄道車両用構体1であって、金属製構
体3の結合側端面より骨組み3Aの縦通材3aを延長す
るとともに、縦通材延長部5a端に周方向の端末フレー
ム5bを垂直に固設して延長構体5を形成し、端末フレ
ーム5bの周方向に金属製アングル材6の一辺をボルト
7・ナット7aで取り付けるとともに、アングル材6の
他辺上にプラスチック成形体2Aの端面から延設された
周縁部分2cをブラインドファスナー8で取り付け、プ
ラスチック成形体2Aの周縁部分2c上から延長構体5
上にかけて薄板外板9を張り付けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、新幹線などの主
として先頭車両に使用するのに好適な鉄道車両用構体と
その製作方法に関し、詳しくはプラスチック成形体から
なる複合材構体と金属製骨組みを備えた金属製構体とを
結合して製作される鉄道車両用構体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】上記した新幹線の先頭車両は、高速運転
時の空気抵抗を減少するために前頭部を流線形形状(曲
面形状ともいう)にしている。こうした先頭車両を含め
鉄道車両用構体の骨組み21は、図8に示すように、円
弧状や逆U字状に連続する周方向材(横骨部材)22と
長手方向に連続する縦通材(縦骨部材)23との、それ
ぞれが交差する位置にスリット(図示せず)を設け、前
記周方向材22と縦通材23とを前記交差位置でスリッ
ト同士を嵌め合わせ、溶接して接合することにより構体
の骨組みを作る。そして、骨組み21の外面に薄い金属
製外板(図示せず)を添わせてハンマー等でたたくこと
により骨組み21の外面に相応する曲面形状に加工し、
溶接により接合して張り付けることにより、構体を製作
するというのが一般的である。また、構体を構成する周
方向材22、縦通材23および外板には、アルミニウム
材、アルミニウム合金材などの金属材料が使用されてい
る。
【0003】この種の鉄道車両用構体の製作方法に関す
る先行技術として、例えば特開昭62−160954号
公報および特開昭62−160955号公報に記載の方
法がある。いずれの製作方法も、周方向材と縦通材の交
差部に対応するスリットをそれぞれ設け、スリット同士
を嵌合して溶接により接合するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の金属製
構体およびその製作方法では、特に曲面形状を形成する
のが困難で製作に時間がかかるうえに、製作費用が高
く、車両重量の軽量化を図るのが難しいなどの問題点が
ある。
【0005】そこで、主に曲面形状を要求される例えば
先頭車両の前頭部を、プラスチック成形体からなる複合
材構体を用いて組み立て、後部構体は金属製骨組みを備
えた従来と同様の構造に組み立て、前頭部の複合材構体
と金属製後部構体とを結合して先頭車両用構体を製作す
る方法が考えられる。しかし、この製作方法を実施する
ためには、次のような課題を解決しなければならない。
すなわち、 複合材構体は、金属製構体の組み立て後にクレーン
等で吊り下げながら、金属製構体に結合することになる
が、各構体の内部にはあらかじめ電装品を組み立てたう
え配線工事も完了してしまうため、構体の外側(外方)
からしか結合作業を行うことができない。
【0006】 複合材構体は高精度で成形加工できる
が、いったん成形して硬化したのちは、その形状を変え
ることができない。これに対し、金属製構体のフレーム
などは、強制的に折り曲げたり、加熱しながらその形状
を変更したりできるが、加工精度が極めて低い。このた
め、複合材構体と金属製構体との結合箇所に寸法誤差が
生じるのは必至であり、しかも両者の寸法誤差は大きい
ことから、誤差の吸収は非常に困難である。
【0007】 金属製構体の骨組みは縦通材と周方向
材とからなるセミモノコック構造であるのに対し、複合
材構体はプラスチックの一体成形体である。このため、
両者の結合に際しては、金属製構体からの負荷重を分散
して複合材構体に伝達するようにしなければ、いいかえ
れば複合材構体の一部に金属製構体からの荷重が集中的
に作用すると、複合材構体が簡単に破損するおそれがあ
る。
【0008】 複合材構体は各部分が塑性変形しない
ので、結合箇所を無理に強く締め付けると割れることが
ある。
【0009】 金属製構体と複合材構体との結合箇所
に隙間が存在すると、ブラインドファスナーなどの結合
用止具(結合金具)が十分な結合強度を発揮しない。
【0010】 金属製構体と複合材構体との結合箇所
に隙間が生じることがあると、車内の気密性が十分に得
られなくなり、例えばトンネル内を通過するときの圧力
変動が車内に伝達される。
【0011】この発明は複合材構体と金属製構体とを結
合する際に伴う上記課題を解決し、曲面形状の製作が容
易で、低コスト化および軽量化が容易に達成でき、新幹
線の先頭車両などに好適な鉄道車両用構体とその製作方
法を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の鉄道車両用構体は、プラスチック成形体を
備えた複合材構体と金属製骨組みを備えた金属製構体と
を結合して製作される鉄道車両用構体であって、前記金
属製構体の結合側端面より前記骨組みの縦通材を延長す
るとともに、該縦通材延長部端に周方向の端末フレーム
を垂直に固設して延長構体を形成し、前記端末フレーム
に金属製アングル材の一辺を止具で取り付けるととも
に、該アングル材の他辺上に前記プラスチック成形体の
端面から延設された周縁部分を止具で取り付け、前記プ
ラスチック成形体の前記周縁部分上から前記延長構体上
にかけて薄板外板を張り付けている。
【0013】上記の構成を有する本発明の車両用構体に
よれば、結合箇所においてアングル材を取り付けたの
ち、薄板外板を張り付けることによって複合材構体と金
属製構体とを結合するから、これらの作業を各構体の外
側からだけで行え、例えばあらかじめ電装品を組み立て
たうえ配線工事等を完了した状態での結合が可能になっ
て製作が容易にかつ効率よく遂行できる。また、一方の
プラスチック成形体からなる複合材構体は、金型等を用
いて成形加工できるため、新幹線の先頭車両の前頭部な
どの複雑な曲面形状を容易に、しかも繰り返し製作で
き、大量生産が可能になって大幅なコストダウンが図れ
るうえに、金属製構体に比べて軽量化も容易になる。さ
らに、複合材構体は精度が高いが成形後に形状を変えら
れず、逆に金属製構体は加工精度が低く、複合材構体と
の結合箇所における寸法誤差の発生は必至であるが、ア
ングル材を介在させて両者を結合するため、アングル材
の取付位置を調整することによって両者の寸法誤差を簡
単に吸収することができる。
【0014】請求項2記載のように、前記プラスチック
成形体を、芯材としての硬質発泡プラスチック材を炭素
繊維強化プラスチック材で一体に被覆したサンドイッチ
構造の成形体にすることができる。
【0015】請求項2記載の車両用構体によれば、外面
および内面が炭素繊維強化プラスチック材により被覆さ
れているから、破壊強度が高く、例えば275km/h
以上の高速運転時に鳥などが衝突しても十分に耐えら
れ、耐久性に富む。また、内面も強く、美麗であるか
ら、従来の金属製構体のように内装材を張り付ける必要
はほとんどない。さらに、内部に硬質発泡プラスチック
材を具備しているから、内外装の炭素繊維強化プラスチ
ック材と一体となって全体強度を高める作用を発揮する
だけでなく、断熱材および遮音材としても作用する。こ
のため、従来の金属製構体のように、断熱材や遮音材を
装填する必要もなくなる。
【0016】請求項3記載のように、前記薄板外板が繊
維強化プラスチック板からなり、該プラスチック板内の
繊維の方向が車体の縦方向(前後方向)に対し略45°
の傾きで相互に交差しているのが好ましい。
【0017】請求項3記載の車両用構体によれば、曲げ
モーメントが構体に作用すると、後部構体の各縦通材に
軸方向の荷重(軸力)が作用するが、これらの軸力は、
結合箇所において主に繊維強化プラスチック板を介して
前部構体へ伝達される。このとき、プラスチック板の4
5°で交差する繊維に沿ってほぼ均等に分散されて前部
構体に伝達される。このため、金属製の後部構体に比べ
て部分的強度が劣る複合材の前部構体を使用しているに
もかかわらず、前部構体の一部に集中的に軸力が作用す
ることがなく、部分的に集中荷重が作用することによる
前部構体の破損が防止される。
【0018】請求項4記載のように、前記薄板外板がガ
ラス繊維強化プラスチック板からなるのが好ましい。
【0019】請求項4記載の車両用構体によれば、ガラ
ス繊維強化プラスチック板はカーボン繊維強化プラスチ
ック板に比べて可撓性に優れているため、延長構体およ
び前部構体との結合箇所に凹凸部分が存在しても比較的
柔軟に添接されるから、施工が容易で、隙間も生じにく
い。
【0020】請求項5記載のように、前記止具がブライ
ンドファスナーであるとよい。
【0021】請求項5記載の車両用構体によれば、例え
ばアングル材の一辺上にプラスチック成形体の端面から
延設された周縁部分を取り付ける際に、その止着作業を
全て外側から行えるため、手の入らない箇所での作業に
便利であり、また構体内に電装品等を組み込んだ状態で
の作業が可能になるため、作業性が向上する。
【0022】請求項6記載のように、前記縦通材の延長
部にT型又はI型断面の金属製型材を用いるとよい。
【0023】請求項6記載の車両用構体によれば、薄板
外板を結合箇所に張り付ける際に、縦通材の延長部上端
にもブラインドファスナー等を用いて止着できるから、
薄板外板を確実に張り付けられる。
【0024】上記の目的を達成するために本発明にかか
る鉄道車両用構体の製作方法は、請求項7記載のよう
に、プラスチック成形体を備えた複合材構体と金属製骨
組みを備えた金属製構体とをそれぞれあらかじめ別個に
製作したのち、両者を結合することによって鉄道車両用
構体を製作する方法であって、前記金属製構体の結合側
端面に金属製縦通材延長部を溶接するとともに、該縦通
材延長部端に周方向の端末フレームを垂直に溶接するこ
とにより延長構体を形成し、前記端末フレームに金属製
アングル材の一辺を当接し、端末フレームと金属製アン
グル材の一辺とに一連に貫通する孔を穿設し、外方から
該孔にボルトを挿通してナットを螺合し、端末フレーム
に対する金属製アングル材の取付位置を調節したのちナ
ットを締め付けて固定するとともに、該アングル材の他
片上に前記プラスチック成形体の端面から延設された周
縁部分を載置し、アングル材の他片とプラスチック成形
体の周縁部分とに一連に貫通する孔を穿設したのち外方
から該孔に止具を通して止着し、前記プラスチック成形
体の前記周縁部分上から前記延長構体上にかけて薄板外
板を載置し、外方から該薄板外板を多数の止具により張
り付けるものである。
【0025】請求項7記載の製作方法によれば、複合材
構体と金属製構体の結合をあらかじめ電装品を組み立て
たうえ配線工事等を完了した状態で容易にかつ効率よく
遂行でき、また複合材構体は精度が高いが成形後に形状
を変えられず、逆に金属製構体は加工精度が低く、複合
材構体との結合箇所における寸法誤差の発生は必至であ
るが、金属製構体に対するアングル材の取付位置をボル
ト・ナットで調整することによって複合材構体と金属製
構体アングル材との寸法誤差を簡単に吸収することがで
きる。
【0026】請求項8記載のように、前記止具がブライ
ンドファスナーであるとなおよい。
【0027】請求項8記載の鉄道車両用構体の製作方法
請求項8記載の製作方法によれば、プラスチック成形体
の周縁部分から延長構体上にかけて張り付ける薄板外板
を、外方からの作業だけで簡単にしかも確実に多数のブ
ラインドファスナーにより止着することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる鉄道車両
用構体およびその製作方法の実施の形態を図面に基づい
て説明する。
【0029】図1は本発明の実施例にかかる新幹線の先
頭車両用構体の前頭部付近の結合箇所を示す側面図、図
2(a)は図1のB−B線断面図、図2(b)は図2(a)の
一部を拡大した断面図、図3は先頭車両の前頭部の二分
割した左側の複合材構体を示す斜視図、図4は図1のF
−F線・図3のC−C線に沿った拡大断面図、図5は複
合材構体と後部金属製構体との結合構造を概略的に示す
一部を切り欠いて断面で表した斜視図である。
【0030】図1に示すように、新幹線の先頭車両用構
体1は、プラスチック成形体2Aを備えた複合材前部構
体2とアルミニウム合金製の骨組みを備えたアルミニウ
ム合金製後部構体3とを結合して製作されている。後部
構体3は従来のセミモノコック構造からなるもので、そ
の骨組み3Aは周方向に所定間隔(200〜300m
m)をあけて配置される縦通材3aと、この縦通材3a
に対して交差するように軸方向に所定間隔(200〜3
00mm)をあけて配置される周方向材3bとからな
り、縦通材3aと周方向材3bとは交差位置に設けられ
たスリット(図示せず)同士を嵌め合わせ、溶接して接
合することによって製作されている。縦通材3aおよび
周方向材3bは、それぞれアルミニウム合金の押出型材
又は削り出し材で形成される。骨組み3Aの上には、ア
ルミニウム合金製の外板3cが溶接により接合される
が、図1は骨組み3Aの上部に外板3cを張り付ける前
の状態を表している。また、後部構体3は、図2に示す
ように骨組み3Aの内側に内装板3dが装着され、また
内装板3dの裏側には図示は省略するが、断熱材および
遮音材が配装される。
【0031】一方、前部構体2は、図4に示すように硬
質発泡プラスチック(本例ではポリメタクリルイミドの
発泡体)2aを芯材とし、その周囲を被覆するように繊
維強化プラスチック(本例ではカーボン繊維強化プラス
チック)皮膜層2bを一体に設けたサンドイッチ構造の
プラスチック成形体2Aを主要構成として備える。ま
た、プラスチック成形体2Aの、後部構体3と結合する
箇所には、繊維強化プラスチック皮膜層2bを重ね合わ
せて積層した周縁部分2cを一体に延設している。本例
では、図3にその一方を示すように左右に二分割し、そ
れぞれオートクレーブ(図示せず)を用いて成形用金型
(図示せず)により一体成形される。左右一対のプラス
チック成形体2Aは、それぞれクレーンで吊り下げら
れ、車体下部のシャーシ4上に載置され、取り付けられ
る。プラスチック成形体2Aがシャーシ4上に載置され
る状態では、後部構体3はシャーシ4上に溶接で接合さ
れ、またプラスチック成形体2Aの載置されるシャーシ
4上には、電装品や配線類をはじめとし、ほとんど全て
の装備品(図示せず)が組み付けられている。また、後
部構体3はシャーシ4上に溶接により接合されている。
【0032】さて、左右一対のプラスチック成形体2A
を備えた前部構体2は、シャーシ4上に装備品を包み込
むようにかぶせられ、左右の分割面が接着剤で一体に接
着された状態で、後部構体3に対して以下のような手順
で結合される。
【0033】(1) 前部構体2との結合作業に先立ち、図
4・図5に示すように、後部構体3の骨組み3Aの端面
に、縦通材3aの延長方向にアルミニウム合金製の所定
寸法の縦通材延長部5aの一端を溶接することにより前
方へ延設する。各縦通材延長部5a端に所定高さの端末
フレーム5bを周方向に沿って垂直に溶接することによ
り延長構体5を形成する。
【0034】(2) 端末フレーム5bの周方向に間隔をあ
けてボルト孔5eを穿設し、アルミニウム合金製のアン
グル材(山形材)6の一辺(垂直辺)6aを当接し、ア
ングル材6の前記ボルト孔5eと同位置にもボルト孔6
eを穿設する。ボルト孔5e・6eに一連にボルト7を
通してナット7aを螺合して締め付け、アングル材6を
端末フレーム5bに取り付ける。なお、ボルト孔5e・
6eは図4のようにボルト7の径に比べてやや大きく形
成することにより、端末フレーム5bに対するアングル
材6の取付位置を上下方向および車幅方向に調整可能に
し、後部構体3と前部構体2との結合箇所における寸法
誤差を吸収する。図5では、長さの短い多数のアングル
材6を取り付けているが、図6のように、長寸のアング
ル材6を取り付けるようにしてもよい。この場合には、
プラスチック成形体2aの周縁部分2cに、アングル材
6の水平辺6bを隙間なく添わせられるように、垂直辺
6aに図6のような切欠き6cを入れておくとよい。な
お、ボルト7をボルト孔5e・6eに通したり、ナット
7aを螺合して締め付けたりする作業は、全て構体2・
3の外側から空間を通じて行われる。
【0035】(3) アングル材6の水平辺6b上に、前部
構体2の周縁部分2cを載置した状態で、外側から一連
に取付孔6f・2eを穿設し、ブラインドファスナー8
により周縁部分2cをアングル材6に結合する。
【0036】(4) 薄板外板として本例では、ガラス繊維
強化プラスチック板9を、図5のように後部構体3側の
端部フランジ3f上と前部構体2側の周縁部分2c上と
に跨がって張り付ける。この張り付けは、プラスチック
板9の外側から端部フランジ3fおよび周縁部分2c・
アングル材6に一連に取付孔9eを穿設し、ブラインド
ファスナー10により緊着して行う。ブラインドファス
ナー10は、一定のピッチで多数取着する。図示は省略
するが、縦通材延長部5aにT型材あるいはI型材を使
用し、縦通材延長部5aの上部フランジ面にもプラスチ
ック板9をブラインドファスナー10で止着すると一層
よい。また、プラスチック板9には、含有されているガ
ラス繊維の方向が車両の軸方向(前後方向)に対し略4
5°の傾斜角で交互に交差するものを使用している。
【0037】(5) 図4に示すように、プラスチック板9
の端部と前部構体2との間に隙間(凹所)が生じたとき
には、その隙間にパテ11を充填して埋める。
【0038】上記のようにして、複合材の前部構体2と
アルミニウム合金製の後部構体3とを結合して先頭車両
用構体1が製作される。この先頭車両用構体1は、結合
箇所において次のような力の伝達作用を奏する。図7に
示すように、 (a) 結合箇所に底部から上向きに台車の反力が作用する
と、下向きに凹状に湾曲するように結合箇所を中心に、
左右それぞれに下向きに回転させようとする曲げモーメ
ントと鉛直方向および水平方向の剪断荷重が矢印の方向
に作用する(図7(a))。
【0039】(b) 上記した方向の曲げモーメントが構体
1に作用すると、後部構体3の各縦通材3aに軸方向の
引っ張り又は圧縮の荷重(軸力)が作用する。これらの
軸力は、結合箇所においてプラスチック板9および縦通
材延長部5a等の延長構体5を介して前部構体2に伝達
されるが、プラスチック板9の45°で交差するガラス
繊維に沿って分散されて前部構体2(の周縁部分2c)
の周方向にほぼ均等に伝達されるとともに、縦通材延長
部5aを通じて前部構体2(の周縁部分2c)に伝達さ
れる。つまり、曲げモーメントが作用したときに発生す
る後部構体3の引っ張り軸力は、主に、プラスチック板
9の剪断剛性によって力がほぼ均等に分散されて前部構
体2に伝達されるから、前部構体2の周縁部分2cの一
部に集中的に引っ張り軸力が作用することがなく、集中
荷重が作用することによる周縁部分2cの破損等が防止
される(図7(b))。
【0040】(c) また、下向きの荷重が後部構体3に作
用すると、結合箇所を境に後部構体3の端部に鉛直方向
の剪断応力が生じ、この鉛直方向の剪断応力はプラスチ
ック板9を介して前部構体2に伝達され、前部構体2の
各部においても鉛直方向の剪断応力が生じる(図7
(c))。
【0041】上記に本発明の車両用構体の一実施例をそ
の製作方法と併せて説明したが、下記のように実施する
こともできる。
【0042】(A) 前部構体2のプラスチック成形体2A
は輸送等の取り扱い上からは分割して形成したのち一体
に接合するのが望ましいが、分割せずに全体を一体に形
成することもできる。
【0043】(B) 結合箇所に張り付ける薄板外板は、ガ
ラス繊維強化プラスチック板9に限らず、カーボン繊維
強化プラスチック板でもよく、あるいはアルミニウム合
金の薄板を使用することも可能である。
【0044】(C) プラスチック成形体2Aの外皮(被覆
層)2bは、カーボン繊維強化プラスチック材のほか、
例えばケブラー(商標、アラミド繊維)等の高弾性織り
布で強化したプラスチック材でもよい。
【0045】(D) 本発明は新幹線の先頭車両用構体に限
らず、中間車両用構体、最後尾車両用構体としても適用
できることは言うまでもない。
【0046】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明の鉄道車両用構体とその製作方法には、次のよう
な効果がある。
【0047】(1) 請求項1の車両用構体は、複合材構体
と金属製構体との結合作業を各構体の外側からだけで行
え、あらかじめ電装品を組み立て配線工事等を完了した
状態で結合できるので、製作が容易にかつ効率よく遂行
できる。また、プラスチック成形体からなる複合材構体
は金型等を用いて成形加工できるので、新幹線の先頭車
両の前頭部などの複雑な曲面形状を容易にかつ大量に生
産でき、コストダウンが図れるとともに軽量化も容易に
なる。さらに、アングル材を介在させて複合材構体と金
属製構体とを結合するため、アングル材の取付位置を調
整することによ両者の寸法誤差を簡単に吸収できる。
【0048】(2) 請求項2記載の車両用構体では、外面
および内面が炭素繊維強化プラスチック材により被覆さ
れているから、破壊強度が高く、高速運転時に鳥などが
衝突しても十分に耐えられ、耐久性に富み、また、内面
も強く美麗であるから、従来の金属製構体のように内装
材を張り付ける必要がほとんどなく、さらに、内部に硬
質発泡プラスチック材が具備されているから、内外装の
炭素繊維強化プラスチック材と一体となって全体強度が
向上するだけでなく、断熱材および遮音材としても作用
するため、断熱材や遮音材が不要になる。
【0049】(3) 請求項3記載の車両用構体では、後部
構体の各縦通材に軸方向の荷重(軸力)が作用したとき
に、これらの軸力がプラスチック板の45°で交差する
繊維に沿ってほぼ均等に分散されて前部構体に伝達され
るので、複合材の前部構体の一部に集中的に軸力が作用
することがなく、前部構体に集中荷重が作用して破損す
るのが防止される。
【0050】(4) 請求項4記載の車両用構体では、ガラ
ス繊維強化プラスチック板はカーボン繊維強化プラスチ
ック板に比べて可撓性に優れているので、延長構体およ
び前部構体との結合箇所に凹凸部分が存在しても比較的
柔軟に添接され、施工が容易で、隙間も生じにくい。
【0051】(5) 請求項5記載の車両用構体では、手の
入りにくい結合箇所での作業が容易で、構体内に電装品
等を組み込んだ状態での取付作業も効率よく行える。
【0052】(6) 請求項6記載の車両用構体では、薄板
外板を結合箇所に張り付ける際に、縦通材の延長部上端
にもブラインドファスナー等を用いて止着できるから、
薄板外板を確実に張り付けることができる。
【0053】(7) 請求項7記載の製作方法では、複合材
構体と金属製構体の結合をあらかじめ電装品を組み立て
配線工事等を完了した後で容易にかつ効率よく遂行で
き、また金属製構体に対するアングル材の取付位置をボ
ルト・ナットで調整することにより複合材構体と金属製
構体アングル材との寸法誤差を簡単に吸収することがで
きる。
【0054】(8) 請求項8記載の製作方法では、プラス
チック成形体の周縁部分から延長構体上にかけて張り付
ける薄板外板を、外方からの作業だけで簡単にかつ確実
に多数のブラインドファスナーで止着できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる新幹線の先頭車両用構
体の前頭部付近の結合箇所を示す側面図である。
【図2】図2(a)は図1のB−B線断面図、図2(b)は
図2(a)の一部を拡大した断面図である。
【図3】図1の先頭車両の前頭部の二分割した左側の複
合材構体を示す斜視図である。
【図4】図1のF−F線および図3のC−C線に沿った
拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例にかかる複合材構体と後部金属
製構体との結合構造を概略的に示す一部を切り欠いて断
面で表した斜視図である。
【図6】端末フレームに長寸のアングル材を取り付けた
状態を示す斜視図である。
【図7】図7(a)は図1の車輌用構体の結合箇所に底部
から上向きに台車の反力が作用したときに生じる曲げモ
ーメントと剪断荷重を示す説明図、図7(b)は曲げモー
メントが構体に作用したときに生じる後部構体の軸力と
これらの軸力が前部構体2どのように伝達され、どのよ
う軸力が発生するかを示す説明図、図7(c)は下向きの
剪断荷重が後部構体に作用したときに後部構体と前部構
体に生じる剪断応力を示す説明図である。
【図8】新幹線先頭車両の従来の一般的な金属製構体の
骨組み構造(左半分)を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 先頭車両用構体 2 複合材前部構体 2A プラスチック成形体 2a 硬質発泡プラスチック 2b 繊維強化プラスチック皮膜層 2c 周縁部分 3 アルミニウム合金製後部構体 3A 骨組み 3a 縦通材 3b 周方向材 3c 外板 4 シャーシ 5 延長構体 5a 縦通材延長部 5b 端末フレーム 5e・6e ボルト孔 6 金属製アングル材(山形材) 7 ボルト 7a ナット 8・10 ブラインドファスナー(止具) 9 ガラス繊維強化プラスチック板(板薄板外板)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古川 誠 兵庫県神戸市兵庫区和田山通2丁目1番 18号 川崎重工業株式会社 兵庫工場内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B61D 17/04 B61D 17/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック成形体を備えた複合材構体
    と金属製骨組みを備えた金属製構体とを結合して製作さ
    れる鉄道車両用構体であって、 前記金属製構体の結合側端面より前記骨組みの縦通材を
    延長するとともに、該縦通材延長部端に周方向の端末フ
    レームを垂直に固設して延長構体を形成し、前記端末フ
    レームに金属製アングル材の一辺を止具で取り付けると
    ともに、該アングル材の他辺上に前記プラスチック成形
    体の端面から延設された周縁部分を止具で取り付け、 前記プラスチック成形体の前記周縁部分上から前記延長
    構体上にかけて薄板外板を張り付けたことを特徴とする
    鉄道車両用構体。
  2. 【請求項2】 前記プラスチック成形体が芯材としての
    硬質発泡プラスチック材を炭素繊維強化プラスチック材
    で一体に被覆したサンドイッチ構造の成形体である請求
    項1記載の鉄道車両用構体。
  3. 【請求項3】 前記薄板外板が繊維強化プラスチック板
    からなり、該プラスチック板内の繊維の方向が車体の縦
    方向(前後方向)に対し略45°の傾きで相互に交差し
    ている請求項1又は2記載の鉄道車両用構体。
  4. 【請求項4】 前記薄板外板がガラス繊維強化プラスチ
    ック板からなる請求項3記載の鉄道車両用構体。
  5. 【請求項5】 前記止具がブラインドファスナーである
    請求項1〜4のいずれかに記載の鉄道車両用構体。
  6. 【請求項6】 前記縦通材の延長部にT型又はI型断面
    の金属製型材を用いた請求項1〜5のいずれかに記載の
    鉄道車両用構体。
  7. 【請求項7】 プラスチック成形体を備えた複合材構体
    と金属製骨組みを備えた金属製構体とをそれぞれあらか
    じめ別個に製作したのち、両者を結合することによって
    鉄道車両用構体を製作する方法であって、 前記金属製構体の結合側端面に金属製縦通材延長部を溶
    接するとともに、該縦通材延長部端に周方向の端末フレ
    ームを垂直に溶接することにより延長構体を形成し、 前記端末フレームに金属製アングル材の一辺を当接し、
    端末フレームと金属製アングル材の一辺とに一連に貫通
    する孔を穿設し、外方から該孔にボルトを挿通してナッ
    トを螺合し、端末フレームに対する金属製アングル材の
    取付位置を調節したのちナットを締め付けて固定すると
    ともに、該アングル材の他辺上に前記プラスチック成形
    体の端面から延設された周縁部分を載置し、アングル材
    の他辺とプラスチック成形体の周縁部分とに一連に貫通
    する孔を穿設したのち外方から該孔に止具を通して止着
    し、 前記プラスチック成形体の前記周縁部分上から前記延長
    構体上にかけて薄板外板を載置し、外方から該薄板外板
    を多数の止具により張り付けることを特徴とする鉄道車
    両用構体の製作方法。
  8. 【請求項8】 前記止具がブラインドファスナーである
    請求項7記載の鉄道車両用構体の製作方法。
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