JP2890006B2 - 鉄道車両立体格納設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鉄道車両立体格納設備
に関する。

【０００２】

【従来の技術】鉄道車両立体格納設備に関する提案とし
て、各々鉄道車両用のレールを有し且つ左右に並設され
た複数の格納部が各階に設けられてなる多層構造の格納
庫と、鉄道車両の昇降台を備えた車両昇降手段とが前後
に連接されてなるものが知られている（特公昭５４−６
７９８号公報参照）。

【０００３】すなわち、このものでは、鉄道車両の入出
庫線が上記車両昇降手段に延設されていて、鉄道車両を
入出庫線から車両昇降手段の昇降台に乗入れ、該昇降台
を上記格納庫の入庫予定階に上昇せしめて車両を当該階
の格納部に入庫するようになっている。また、出庫にあ
たっては、昇降台を出庫すべき鉄道車両の格納階に上昇
せしめ、先の入庫の場合とは逆の態様で鉄道車両を入出
庫線に出すようにされている。そうして、上記車両昇降
手段の全体を左右動させることによって、左右に並設さ
れた複数の格納部のうちの所望の格納部に昇降台を接続
するようになされている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の如き格
納設備の場合、狭い土地でも多数の鉄道車両を格納する
ことができるものの、昇降台を格納部に接続して鉄道車
両の出入れ作業を行なっているときには、次に入庫すべ
き鉄道車両あるいは出庫すべき鉄道車両があっても、上
記昇降台が空くまで待機する必要がある。

【０００５】すなわち、本発明の課題は、鉄道車両の入
出庫作業の迅速化を図れるようにすることにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段及びその作用】本発明は、
このような課題に対して、昇降台を上下２段にすること
によって、その課題解決を図るものである。

【０００７】すなわち、上記課題を解決する手段は、鉄
道車両用のレールを有する格納部が各階に設けられてな
る多層構造の格納庫と、上記格納庫の前方に設けられ、
鉄道車両用のレールを有する上下２段の昇降台を備え、
且つ上段昇降台のレールが格納部のレールに接続すると
き下段昇降台のレールが当該格納部の１階下の格納部の
レールに接続するようにこの両昇降台が上下に間隔を開
けて配置されてなる２階建て昇降体と、上記２階建て昇
降体を、上下の昇降台のレールが上記格納庫の各階の格
納部のレールに接続するように昇降させる昇降機とを備
えていることを特徴とする鉄道車両立体格納設備であ
る。

【０００８】かかる手段においては、上下の昇降台を上
階と下階の２つの格納部に同時に接続することができ
る。よって、例えば、下段昇降台から下階の格納部に鉄
道車両を搬入しながら、上階の格納部から上段昇降台に
鉄道車両を引き出すなど、上段昇降台と下段昇降台とで
別の入出庫作業を並行的に行なうことができる。

【０００９】上記手段の場合、昇降体が２階建てである
から重くなるが、これに対しては、上記格納庫を各階に
２つの上記格納部を左右に並べ備えたものとし、この左
右の格納部に対応させて上記昇降体を２台設け、この２
台の昇降体を一方が上昇するときに他方が下降するよう
に巻上げ機の索条に吊り下げることが好適な手段とな
る。

【００１０】すなわち、このような手段であれば、一方
の昇降体の昇降時に他方の昇降体が当該一方の昇降体の
バランスウエイトとして機能することになり、巻上げ機
の負担が軽くなる。

【００１１】

【発明の効果】従って、本発明によれば、多層構造の格
納庫の各格納部に鉄道車両を昇降移動させるための昇降
体を２階建てとして、その上段と下段の両昇降台を上階
と下階の２つの格納部に同時に接続できるようにしたか
ら、上階と下階の両格納部で別の入出庫作業を並行的に
行なうことができ、入出庫作業の迅速化が図れる。

【００１２】また、上記２階建て昇降体の２台をその一
方が上昇するときに他方が下降するよう巻上げ機の索条
に吊り下げたものによれば、巻上げ機の負担が軽くなっ
てその小型化及び省動力化が図れる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１４】−全体構成− 図１には鉄道車両立体格納設備の全体構造が示されてい
る。同図において、１は鉄道車両の格納庫、２は該格納
庫１の前方に設けられた車両昇降手段、３は格納庫１の
後面に延設された第１入出庫線、４は車両昇降手段２の
前面に延設された第２入出庫線である。

【００１５】−格納庫− 格納庫１は、地上３階、地下１階の多層建築物であっ
て、各階には左右に並ぶ２つの格納部５，５が形成され
ている。各格納部５のフロアには、各々複数編成（例え
ば１１両編成）の鉄道車両Ｗを格納のために支持するレ
ール６が敷設されている。また、各格納部５の前面に
は、上記車両昇降手段２の後述する昇降台と各格納部５
との間で鉄道車両Ｗが移動するための出入口が開口して
いる。また、上記格納庫１の地上１階の２つの格納部
５，５の後面には、鉄道車両Ｗの入出庫口が開口し、各
入出庫口において当該格納部５のレール６に上記第１入
出庫線３が接続されている。つまり、第１入出庫線３
は、上述の並設された２つの格納部５，５に対応させて
２本設けられている。また、２本設けられているという
点は第２入出庫線４も同様である。

【００１６】−車両昇降手段− 上記車両昇降手段２は、上記格納庫１の左右の格納部
５，５に対応させて２台の昇降体７，７を備えており、
この左右の昇降体７は、各々鉄道車両用のレール１０を
有する上下２段の昇降台８，９を備えた２階建て構造に
形成されている（図２参照）。すなわち、上下の昇降台
８，９は、上段昇降台８のレール１０が格納部５のレー
ル６に接続するとき下段昇降台９のレール１０が当該格
納部５の１階下の格納部５のレール６に接続するように
連結用索条１１によって上下に間隔を開けて連結されて
いる。

【００１７】上記両昇降体７，７は、昇降用建物の天井
部の左右両端に設けられた巻上げ機１４，１４に昇降用
索条１５，１５によって吊り下げられていて、上下の昇
降台８，９のレール１０，１０が上記格納庫１の各階の
格納部５のレール６に接続するように昇降するものであ
り、且つ一方の昇降体７が上昇するときに他方の昇降体
７が下降するように構成されている。さらに、左昇降体
７の上下の昇降台８，９のレール１０が格納庫１の左格
納部５のレール６に接続するとき、右昇降体７の上下の
昇降台８，９のレール１０が格納庫１の右格納部５のレ
ール６に接続するように構成されている。

【００１８】すなわち、図３にも示すように、上記天井
部の左右の中央部に巻胴１６が設けられていて、左側昇
降用索条１５は左側巻上げ機１４の巻胴１４ａ及び中央
の巻胴１６に巻き掛けられている一方、右側昇降用索条
１５は右側巻上げ機１４の巻胴１４ａ及び中央の巻胴１
６に巻き掛けられている。そうして、左側昇降用索条１
５の両端の各々は左昇降体７の上段昇降台８の左端部
と、右昇降体７の上段昇降台８の左端部とに結合され、
左側昇降用索条１５の両端の各々は左昇降体７の上段昇
降台８の右端部と、右昇降体７の上段昇降台８の右端部
とに結合されている。

【００１９】また、上記昇降用建物の下には、上記２階
建て昇降体７，７の下段昇降台９のレール１０が地上１
階の格納部５のレール６に接続するように下段昇降台９
を嵌入させるピット１７が形成されている。

【００２０】−入出庫の態様− 従って、鉄道車両Ｗの入庫にあたっては、例えば以下の
ような作動態様をとることができる。

【００２１】 鉄道車両Ｗが第１入出庫線３を自走し
格納庫１の地上１階の左側格納部５に入庫する。鉄道車
両Ｗの運転手はここで降りる。

【００２２】 左昇降体７をその下段昇降台９のレー
ル１０が地上１階の格納部５のレール６に接続するよう
昇降移動させる。この昇降の際、右昇降体７は左昇降体
７とは逆の方向に昇降し、この左昇降体７のバランスウ
エイトとして機能することになり、巻上げ機１４に作用
する負荷が軽減されている。この点は以下の各昇降でも
同様に言えることである。なお、昇降台１１は予め当位
置に停止させておいてもよい。

【００２３】 上記地上１階の左側格納部５から鉄道
車両Ｗを上記左昇降体７の下段昇降台１４ｂに引き入れ
る。これにより、地上１階の格納部５は空になるので、
当該格納部５に次の鉄道車両Ｗを入庫する。

【００２４】 左昇降体７を格納庫１の１階分の高さ
だけ下降させて、下段昇降台９のレール１０を地下格納
部５のレール６に接続する。このとき、上段昇降台８の
レール１０は地上１階の格納部５のレール６に接続する
ことになる。

【００２５】 上記下段昇降台９から地下格納部５に
当該鉄道車両Ｗを入庫しながら、地上１階の格納部５か
ら次の鉄道車両Ｗを上段昇降台８に引き入れる。地上１
階の格納部５は空になるので、該格納部５に次の鉄道車
両Ｗを入庫する。

【００２６】 上記左昇降体７を格納庫１の１階分の
高さだけ上昇させ、下段昇降台９のレール１０を地上１
階の格納部５のレール６に接続し、次の鉄道車両Ｗを下
段昇降台９に引き入れる。

【００２７】 左昇降体７を格納庫１の１階分の高さ
だけ上昇させて、上段昇降台８のレール１０を地上３階
の格納部５のレール６に接続するとともに、下段昇降台
９のレール１０を地上２階の格納部５のレール６に接続
する。

【００２８】 上段昇降台８から地上３階の格納部５
に、下段昇降台９から地上２階の格納部５にそれぞれ鉄
道車両Ｗを入庫しながら、地上１階の格納部５に次の鉄
道車両Ｗを入庫させる。

【００２９】上記，における上段昇降台８及び下段
昇降台９への鉄道車両Ｗの入庫は第２入出庫線４から行
なうようにすることもできる。

【００３０】また、出庫においても、上記入庫の場合と
同様に、上下２段の昇降台８，９の各々で別の出庫作業
を同時並行的に行なうことができる。さらに、入庫作業
と出庫作業とを同時並行的に行なうことも可能である。
よって、本実施例によれば、迅速な入出庫処理を行なう
ことが可能になる。

【００３１】また、上述の如く、上下２段の昇降台８，
９の各々に鉄道車両Ｗを搭載すると、２階建て昇降体７
がかなり重くなるが、左右の昇降体７，７が釣合わされ
ているため、昇降に必要な動力を小さく抑えることがで
きる。さらに、左昇降体７と右昇降体７とで同時並行的
に別の入出庫作業を行なうこともできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】鉄道車両立体格納設備を一部省略して示す斜視
図

【図２】鉄道車両立体格納設備を一部省略して示す縱断
面図

【図３】車両昇降手段を示す横断面図

【符号の説明】

１ 格納庫 ２ 車両昇降手段 ３，４ 入出庫線 ５ 格納部 ６ 鉄道車両用レール ７ 昇降体 ８ 上段昇降台 ９ 下段昇降台 １０ 鉄道車両用レール １５ 索条 １４ 巻上げ機 １６ 巻胴

フロントページの続き (72)発明者 本岡 憲治 兵庫県宝塚市新明和町１番１号 新明和 工業株式会社 パーキングシステム事業 部 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04H 6/18 B61B 1/00

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄道車両用のレールを有する格納部が各階
   に設けられてなる多層構造の格納庫と、 上記格納庫の前方に設けられ、鉄道車両用のレールを有
   する上下２段の昇降台を備え、且つ上段昇降台のレール
   が格納部のレールに接続するとき下段昇降台のレールが
   当該格納部の１階下の格納部のレールに接続するように
   この両昇降台が上下に間隔を開けて配置されてなる２階
   建て昇降体と、 上記２階建て昇降体を、上下の昇降台のレールが上記格
   納庫の各階の格納部のレールに接続するように昇降させ
   る昇降機とを備えていることを特徴とする鉄道車両立体
   格納設備。
2. 【請求項２】上記格納庫は各階に２つの上記格納部を左
   右に並べ備えているとともに、この左右の格納部に対応
   させて２台の上記昇降体が設けられていて、 上記昇降機が、上記２台の昇降体を一方が上昇するとき
   に他方が下降するように巻上げ機の索条に吊り下げてな
   るものである請求項１に記載の鉄道車両立体格納設備。