JP2888981B2 - Hiv免疫療法 - Google Patents

Hiv免疫療法

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JP2888981B2
JP2888981B2 JP6506600A JP50660093A JP2888981B2 JP 2888981 B2 JP2888981 B2 JP 2888981B2 JP 6506600 A JP6506600 A JP 6506600A JP 50660093 A JP50660093 A JP 50660093A JP 2888981 B2 JP2888981 B2 JP 2888981B2
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Description

【発明の詳細な説明】 背景 本発明は、一般には、ヒト免疫不全ウィルス(HIV−
1)感染症の予防ならびに治療に有効な物質および方法
に関する。より具体的には、本発明は、HIV−1感受性
あるいはHIV−1感染動物、特にヒト、の受動免疫に有
用なモノクローナル抗体に関する。
HIV−1のin vivoにおける感染過程は、最近のMcCune
の論文、Cell64,pp.351−363(1991)に紹介されてい
る。すなわち、HIV−1は、T−細胞、単球/マクロフ
ァージおよびCD4受容体を発現する神経細胞などの様々
な細胞系に感染する。体内でのCD4+細胞の大部分は「休
眠状態」あるいは静止状態にあり、特定のシグナルにの
み反応して分裂するので、HIV−1による感染は、CD4+
細胞が転写の過程では不活性ウィルスを含むという結果
をもたらす。能動免疫を含む、感染動物の免疫系の刺激
は、免疫系のポリクローナルな活性化、および休眠CD4+
細胞の細胞周期のS期への移行の信号という結果に表れ
るであろう。増殖中の細胞は、ウィルス粒子を活発に産
生し、感染の拡散を誘発する。HIV−1感染動物の免疫
系の刺激によるこの好ましくない効果を考慮すれば、HI
V−1感染の予防あるいは治療の最も有効な方法は、感
受性あるいは感染動物に抗HIV−1抗体を投与するとい
う、受動免疫にあるといえる。
Jackson et al.,Lancet2,pp.647−652(1988)は、
後天性免疫不全症候群(AIDS、HIV−1感染により進行
性の免疫系欠陥の症候群)を患ったヒト患者へ、血漿の
形態で抗HIV−1抗体を一回投与すると、一時的に、症
状の軽減、Tリンパ球の一過性の増加、日和見感染の頻
度減少、および患者の血漿あるいはリンパ球から培養で
きるHIV−1の割合の減少という結果が見られる旨の報
告をしている。Karpas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,85,pp.9234−9237(1988)も参照のこと。さらに、Em
ini et al.,Nature,355,pp.728−730(1992)は、HIV−
1に曝す以前の動物、チンパンジーへのHIV−1に特異
的に反応する抗体の投与をした結果、ウィルス感染の発
症を防止するとの結果を報告している。これら研究は、
HIV−1中和能力を有する抗体が、HIV−1感染の予防/
治療において有用であることを示唆するものである。
HIV−1の主要な外被タンパク質であるgp120は、細胞
性CD4受容体に結合し、ウィルスの細胞内への侵入を促
進する。糖タンパク質のいくつかのエピトープは、中和
抗体の作製と関連付けられてきている。Ho et al.,Scie
nce,239,pp.1021−1023(1988)は、gp120のアミノ酸25
4−275は、HIV−1の三つの異なる単離株を含むグルー
プ特異的中和の能力を有するポリクローナル抗血清を導
くことを報告している。Haigwood et al.,Vaccines 90,
pp.313−320(1990)およびHo et al.,J.Virol.,65
(1),pp.489−493(1991)によれば、gp120にあるア
ミノ酸の一次構造からは構成されていないエピトープで
ある、立体構造依存性エピトープは、ウィルスの種々の
株を中和する抗体を誘導しうることを報告している。HI
V−1 gp120のいわゆる「主要中和決定基」(PND)は、g
p120の「V3ループ」に集中している。Putney et al.,Sc
ience234,pp.1392−1395(1986);Rusche et al.,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA85,pp.3198−3202(1988);Goud
smit et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,pp.4478−448
2(1988);Palker et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85,
pp.1932−1936(1988);Holley et al.,Proc.Natl.Aca
d.Sci.USA85,pp.6800−6804(1991)を参照のこと。V
3ループは、領域両側面に位置するシステイン残基間の
ジスルフィド結合により作られた超可変領域からなる。
たとえば、HIV−1MNのV3ループは、gp120の302と336の
位置の間にあるシステイン残基間のジスルフィド結合に
より形成されている。
種々のHIV−1単離物からのV3ループの一連のアミノ
酸残基を含む組換えおよび合成タンパク質断片が、単離
あるいは種特異性中和抗体をマウスから得られること
を、Lasky et al.,Science,233,pp.209−212(1986);P
alker et al.,Supra;Matsushita et al.,J.Virol.62,p
p.2107−2114(1988);およびJavaherian et al.,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,86,pp.6768−6772(1989)で報告
されている。さらに最近の研究[Putney et al.,supra
およびLaRosa et al.,Science,249,pp.932−935(199
0)]では、V3ループのβターン構造が、分離株特異性
抗体によって部位認識されることが実証されている。Sc
ott et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,pp.8597−8601
(1990)は、PNDも、ヒトにおいて種特異性抗体を誘導
できることを報告している。PNDの超可変性は、エピト
ープにより生成された種特異性中和活性を説明するもの
であろう。
いくつかの研究が、組み換えgp120に対して調製され
た抗体、精製gp120あるいはV3領域からの合成ペプチド
が、種々のHIV−1分離株を中和することを示唆してい
る。Javaherian et al.,Science,250,pp.1590−1593(1
990)、およびWeisst et al.,Nature,324,pp.572−575
(1986)それぞれは、単離MN株のPNDおよび単離IIIB
から誘導された組み換えgp120それぞれに対応するペプ
チドで免疫処置されたウサギからのポリクローナル血清
による、MNおよび単離IIIB株双方の中和を記している。
Haynes et alの米国特許第5,019,387号も参照のこと。
Akerblom et al.,AIDS,4,pp.953−960(1990)には、
IIIBおよび11個の主要HIV−1単離株を中和するモノク
ローナル抗体調製物が記載されている。1991年8月8日
に発行されたWahren et al.,のPCT出願公開公報No.WO 9
1/11198も参照のこと。しかしながら、Akerblomの主要
単離体の分離株相同性は決定されておらず、11個の単離
株は、IIIB類似と思われる。Durda et al.,AIDS Res.Hu
m.Retrov.,6,pp.1115−1123(1990)には、MN−およびI
IIB−双方に感染した細胞によるシンシチウム形成を阻
害するが、逆転写酵素活性と相関する結果を得ることが
知られている分析法である「LAV捕獲免疫測定法」によ
って検定した結果、MNウィルスの感染を中和しないこと
を報告している。1990年12月13日公開のScott et al.,
のPCT出願公開公報No.WO 90/15078には、MN株のPNDある
いは「MN様」単離ウィルス株を発現するワクチニヤ・ウ
ィルスで感染した細胞によるシンシチウム形成を阻害す
るモノクローナル抗体が記されている。標準的な逆転写
酵素、p24もしくはMT−2分析法による、活性HIV−1の
複数の株を中和する、「広範に中和する」抗体の存在は
全く実証されていない。1988年12月1日、1990年11月1
日、および1991年7月11日にそれぞれ発行されたタノッ
クス バイオシステムズ社のPCT出願公開公報No.WO 88/
09181、WO 90/12868、およびWO 91/09625;1991年12月26
日に発行されたニューヨーク大学のPCT出願公開公報No.
WO 91/19797、さらにLiou et al.,J.Immunol.,143(1
2),pp.3967−3975(1989)も参照のこと。
前述文献では、現在まで開発されたHIV−1 PNDとの反
応性を有するモノクローナル抗体が、様々なグループ反
応性を示すことを示唆しておるものの、広範な中和活性
を有しているとは思われない。これら研究によって示さ
れた分離株およびグループ特異的反応性の異なるパター
ンは、アミノ酸配列およびgp120のループ領域の立体構
造に関連するものと思われる。
いくつかの研究により、CD4受容体のみが、ウィルス
感染に原因する細胞性受容体を意味するものでないこと
を示唆している。これらの研究結果は、CD4+細胞への感
染を阻害する前述した抗体の患者への投与では、生体の
HIV−1感染に対してはCD4+細胞に限定された防御のみ
を提供する可能性を示している。Cheng−Mayer et al.,
Proc.Natl.Acad.Sci.USA84,pp.3526−3530(1988)
は、神経膠細胞CD4分子以外の受容体を含む神経膠細胞
のHIV−1感染を報告している。さらに、Takeda et a
l.,Science,242,pp.580−583(1988)は、抗体/HIV−1
複合体が、受容体媒介エンドサイトーシスによって単球
を感染でき、またウィルス増殖を向上させることを示し
ている。同様の抗体依存性の感染増大が、Halsted et a
l.,Nature,265,pp.739−741(1977);Peiris et al.,Na
ture289,pp.189−191(1981);およびSchlesinger e
t al.,J.Immunol.,127,pp.659−665(1981)にも記載さ
れている。
過去の研究の結果、特定の動物ウィルスは、補体、特
にClqによって、抗体非依存型機構を通じて不活化され
ることを示している。Weiss et al.,Eds.,Cold Spring
Harbour laboratory,New York,pp.1219−1220(1982)
中のWeiss,Molecular Biology of Tumor Viruses,RNA T
umor Viruses;Welsh et al.,Virology,74,pp.432−440
(1976);Bartholomew et al.,J.Exp.Med.147,pp.844
−853(1978);Cooper et al.,J.Exp.Med.,144,pp.970
−984(1976);Sherwin et al.,Int.J.Cancer,21,pp.6
−11(1978)を参照のこと。Banapour et al.,Virolog
y,152,pp.268−271(1986)には、非加熱血清分画が、H
IV−1の力価や、あるいは末梢血液中の単核細胞に感染
する能力に対しては何等の効果も持たない旨が記載され
ているものの、Spear et al.,J.Virol.,64(12),pp.58
69−5873(1990)は、補体とHIV−1血清陽性患者から
集められた血清の組み合わせによって処理したHIV−1
の感染力が低減したことを報告している。
つまり、当該技術分野においては、HIV−1に対して
特異的な免疫学的反応性を有する(例えば、ネズミ由来
抗体、ヒト型化抗体、および免疫学的に活性な抗体の断
片を含む)新規のモノクローナル抗体の開発が必要とさ
れているのである。理想的には、かような抗体は、適切
なHIV−1感染宿主細胞となる培養細胞(例えば、H9細
胞)を用いての標準的な逆転写酵素、p24、MT−2、お
よびシンシチウム形成分析法により決定された、複数の
HIV−1株(例えば、IIIBおよびMN)の効果的な中和能
力を有することで特徴付けられる。感染あるいは非感染
患者の受動免疫での予測された用途を鑑みれば、かよう
な、モノクローナル抗体は、HIV−1粒子の補体依存性
(すなわち、介在性)ウィルス感染ならびにHIV−1感
染細胞の抗体依存性細胞溶解に有効に関与する能力を有
することが望ましい。
簡単な概要 本発明は、配列番号:1に示したアミノ酸配列、グリシ
ン−プロリン−グリシン−アルギニン(G−P−G−
R)、を含むHIV−1 gp120もしくはgp160タンパク質部
分と特異的に反応し、さらに標準的な逆転写酵素、p2
4、MT−2、およびシンシチウム形成分析法により決定
された、活性HIV−1株MNおよびIIIBによる培養液中のH
9細胞の感染を中和する能力により特徴付けられるモノ
クローナル抗体を産生する。本発明の生成物は、HIV−
1粒子の補体依存性ウィルス溶解および/またはHIV−
1感染細胞の抗体依存性細胞溶解を誘導する能力により
さらに特徴付けられる。
本発明のモノクローナル抗体は、体液(例えば、血
液)中のHIV−1の存在を決定するための診断方法およ
び/またはキットに使用できる。本発明のモノクローナ
ル抗体は、好ましくはIgG抗体であり、殊にHIV−1感受
性もしくはHIV−1感染した動物、特にヒトの抗HIV−1
治療の目的での使用に好適である。免疫学的有効な量の
モノクローナル抗体の投与により、HIV−1感染患者も
しくはHIV−1感染の危険がある患者に、HIV−1ウィル
ス感染に対する受動免疫を高める効果を有すること、さ
らには、好ましくは、HIV−1粒子の補体依存性ウィル
ス溶解および/または患者のHIV−1感染細胞の抗体依
存性細胞溶解に効果を高めうることが望ましい。
キメラ体あるいは(CDR−移植した抗体を含む)「ヒ
ト型化」抗体、抗体断片、および、特に、特許請求した
モノクローナル抗体を基にした二価抗体は、本発明の範
疇にあるものであり、同様に、原核生物もしくは真核生
物細胞中に生成された組み換え抗体関連生成物も含むも
のである。例えば、FabおよびF(ab′)断片のよう
な抗体断片は、本発明の抗体の可変領域に関する構造
(配列)情報が決定され次第、大腸菌、酵母、昆虫およ
び哺乳類細胞などの宿主細胞を使用して培養基中で生成
可能である。可変領域に関する配列情報もまた、CDR−
移植した抗体の調製を可能にする。さらに、キメラ抗体
(例えば、マウス/ヒト抗体)は、形質転換したマウス
ミエローマ細胞あるいはハイブリドーマ細胞を用いて調
製でき、また、二価抗体もハイブリッド・ハイブリドー
マ細胞によって生成される。特に意図しているのは、配
列番号:1に示した配列を必須的に含むHIV−1 gp120もし
くはgp160のアミノ酸の配列に特異的に結合する能力、
および逆転写酵素、p24、MT−2、ならびにシンシチウ
ム形成分析法での活性HIV−1株MNおよびIIIBによる、H
9細胞の感染のin vivoでの中和能力によって特徴付けら
れた抗体の全ての相補的決定領域のアミノ酸の配列を含
むヒト抗体可変領域から必須的に構成される抗体であ
る。このような抗体をコードするDNA配列、当該抗体を
産生する宿主細胞、および当該抗体を産生するための組
換え方法も意図されている。
本発明の範疇には、抗HIV−1治療における、本発明
の生成物と他の免疫学的薬剤および/または化学治療薬
の組み合わせの使用も含む。混合投与に適した薬剤とし
ては、補体、HIV−1タンパクの様々な中和および非中
和領域に結合する抗体、およびAZTのような化学薬剤を
含む。
下記の詳細な説明において述べるように、本発明のモ
ノクローナル抗体は、gp120が本来の立体構造を持つよ
うに、活性HIV−1による適当な宿主の免疫処置によっ
て得られる。
本発明で特に説明を行っているのは、12301パークロ
ーンドライブ、ロックビル、メリーランドに所在のAmer
ican Type Culture Collectionに寄託のために、1991年
4月9日に受領され、A.T.C.C.受託No.HB 10726が付与
されたハイブリドーマ細胞系HB 10726によって産生され
た(NM−01と称する)マウス・モノクローナル抗体;PHL
S Centre for Applied Microbiology & Research、ポ
ーテン ダウン、ソールズベリー、英国SP4 OJGに所在
のEuropean Collection of Animal Cell Cultures(ECA
CC)に寄託のために、1993年8月20日に受領され、それ
ぞれECACC受託No.93082022、93082019、93082020、9308
2023、93082018および93082021が付与されたハイブリド
ーマ細胞系によって産生されたNM01 HuVH/HuVK、NM01 H
uVH/HuVFK、NM01 HuVHM/HuVK、NM01 HuVHS/HuVK、NM01
HuVHS/HuVFKおよびNM01 HuVHM/HuVFKと称するNM01のヒ
ト型化抗体である。
本発明の各種の態様と利点が、下記の詳細な説明での
本発明の実施例および実例の記述、図面に関する説明を
考慮すれば明らかになろう。すなわち、図1は、本発明
のモノクローナル抗体および抗体陽性AIDS患者からの免
疫血清を使用した免疫ブロット法により、非感染H9細
胞、HIV−1MNおよびHIV−1IIIBウィルスのタンパク質の
オートラジオグラムをまとめたものである。図2には、
本発明の抗体と種々の異なるHIV−1株のV3ループ領域
に対応するペプチドとの免疫反応性試験の結果をグラフ
で示している。図3は、本発明の抗体およびgp120に対
する他の二つの抗−HIV抗体の、V3ループ領域に対応す
るペプチドへの結合に関する効果を示す棒グラフであ
る。図4Aから4C、5、6Aから6B、7Aから7B、8および9A
から9Bには、本発明のモノクローナル抗体の生存HIV−
1株によるH9細胞の感染中和に関する能力を、逆転写酵
素、p24、MT−2、およびシンシチウム形成分析法のそ
れぞれで解析した結果をグラフで示している。図10は、
本発明の抗体でのウィルス感染の中和能に対するペプチ
ド阻害の決定のための分析法の結果をグラフで示してい
る。
図11Aから11B、12Aから12F、および13Aから13Fは、本
発明のモノクローナル抗体と補体との組み合わせで処理
されたHIV−1粒子の電子顕微鏡写真である。図14およ
び15には、本発明のモノクローナル抗体、NM−01のL鎖
およびH鎖それぞれの可変領域のアミノ酸配列、ならび
に三つの異なる抗HIV−1モノクローナル抗体のL鎖お
よびH鎖のアミノ酸配列を記している。図16および17
は、マウス・モノクローナル抗体NM−01のL鎖およびH
鎖それぞれの可変領域のアミノ酸配列と、HuVH/HuVKFと
称する本発明のヒト型化NM−01抗体のL鎖およびH鎖の
アミノ酸配列を相対的に配置してある。図18、19、20、
21および22は、逆転写酵素、p24、MT−2、ならびにシ
ンシチウム形成分析法それぞれによる、本発明のキメラ
およびヒト型化抗体の生物学的活性のスクリーニングの
結果をグラフで示したものである。
実 施 例 下記の実施例は、ハイブリドーマ細胞HB 10726の作
製、配列番号:1のアミノ酸配列G−P−G−Rを含むペ
プチドならびにHIV−1 gp120(もしくは、その前駆体で
あるgp160)に免疫学的な反応性を有するモノクローナ
ル抗体の該細胞からの単離、および該モノクローナル抗
体の特性に関する本発明の実例を示すものである。
より詳細には、実施例1は、ハイブリドーマ細胞HB 1
0726の産生ならびに該細胞からのモノクローナル抗体NM
−01の単離に関するものである。実施例2は、抗体NM−
01によって認識されるウィルスエピトープの解明に関す
る。実施例3には、各種のHIV−1分離株とモノクロー
ナル抗体との反応特性が記されている。実施例4は、逆
転写酵素およびp24分析法によって実証された、様々な
活性HIV−1株によるH9細胞の感染を中和する能力につ
いての抗体NM−01の反応特性に関する。実施例5は、MT
−2およびシンシチウム形成分析法によってさらに実証
された、活性HIV−1分離株の感染を中和する能力につ
いての、抗体のスクリーニングに関する。実施例6は、
モノクローナル抗体NM−01のHIV−1感染中和特性のペ
プチド阻害に関する。
実施例7では、モノクローナル抗体NM−01のHIV−1
の補体依存性溶解を活性化する能力に関する解析がなさ
れている。実施例8は、モノクローナル抗体NM−01と培
養基中での感受性細胞のHIV−1感染に関する補体とを
組み合わせることによる効果の決定に関する。実施例9
には、モノクローナル抗体NM−01のH鎖およびL鎖可変
領域のDNAおよび推定アミノ酸配列が記載されている。
実施例10は、モノクローナル抗体NM−01のキメラおよび
ヒト型化体の調製、およびその免疫学的ならびに生物学
的活性のための分析に関する。
実施例1 ハイブリドーマ細胞系HB 10726は、OiとHerzenberg,S
elected Methods Cell Immunology,pp.351−372(197
9)およびGodding,J.Immunol.Meth.39,pp.285−308
(1980)などに記されたような標準的な免疫学的技法を
用いて産生されたものであり、その詳細を以下に説明す
る。
A.活性HIV−1MNの精製 300mlのHIV−1NM感染H9細胞培養液を回収し、1500rpm
で5分間、4℃にて遠心分離し、細胞をペレット状にし
た。ウィルスを含んだ上清を分取して保存する一方で、
沈澱物は2100rpmで20分間、再度遠心分離した。二回目
に得られた上清は回収して、先に得られた上清と合わ
せ、この合わせた上清をSW 27ローターを用いて、25000
rpmで90分間、4℃にて超遠心分離し、ウィルス粒子を
ペレット状にした。残った上清液は、廃棄した。ウィル
スペレットは、約10mlのTHE緩衝液(100mM NaCl、10mM
Tris−HCl、pH7.7、1mM EDTA)に再懸濁した。超遠心用
遠沈管には、下層に10mlの50%ショ糖TNE、中層に10ml
の25%ショ糖TNE、そして上層に10mlのウィルス試料を
含むようにし、そして25000rpmで90分間、4℃にて超遠
心分離した。ウィルスは、ショ糖TNE層間に白帯状に沈
澱し、パストゥールピペットで回収した。ウィルスに、
20ml TNE/15mM EDTA(100mM NaCl、10mM Tris−HCl、pH
7.7、15mM EDTA)を添加し、ウィルス試料を25000rpmで
90分間、4℃にて再度遠心分離した。得られたペレット
には、精製された活性HIV−1MNが含まれていた。
B.免疫処置およびハイブリドーマ調製 100μgの活性HIV−1MNを、腹腔内注射による3匹の
2ヶ月齢Balb/cマウスそれぞれを免疫処置するために使
用した。各マウスは3週間後に30μgのウィルスを注射
され、さらに3週間後に100μgのウィルス調製物を注
射された。2回目の注射を終えて3日後にマウスを犠牲
にし、脾臓細胞をP3−X63−Ag8−U1細胞(A.T.C.C.寄託
番号CRL 1597)と融合することにより、ハイブリドーマ
細胞系を調製した。ハイブリドーマ細胞系は、慢性的に
感染したH9細胞(10匹)、急性的に感染したH9細胞(9
匹)、および感染したH9細胞膜(3匹)で免疫処置した
マウスの脾臓からも調製された。慢性的に感染したH9細
胞とは、感染後2〜3週間後に逆転写酵素分析法(RT)
で100,000cpm〜150,000cpmの計測値を示す細胞を指し、
一方で急性的に感染したH9細胞とは、感染後10〜12日後
にRTで200,000cpm〜250,000cpmの計測値を示す細胞を指
す。
ハイブリドーマ細胞は、下記の方法によって調製され
る。免疫処置したマウスからの脾臓細胞を集めて、800g
で5分間、遠心した。細胞のペレットから上清を吸引
し、細胞108個当たり1mlの温かい(37℃)50%PEG−150
0をペレットに1分間にわたって添加した(0.25mlを添
加し、ピペットの先端で15秒間ゆっくりと撹拌し、この
操作を繰り返す)。この混合物を、さらに数分間にわた
って、細胞を壊さないように、同じピペットの先端で撹
拌した。1mlの「不完全培地」〔25mM HEPES(Sigma C
o.)、10,000U/mlのペニシリン、および10,000mg/mlの
ストレプトマイシンを補ったRPMI 1640(JRH Bioscienc
es)〕を1分間にわたって同様の方法(15秒毎に、0.25
mlずつ)で添加し、さらに1mlを同じ時間にわたって添
加した。次に、7mlの不完全培地を2〜3分間にわたっ
て(20秒毎に、1mlずつ)撹拌し、細かい細胞の懸濁液
とした。最終懸濁液を、臨床用遠心機にて、500gで5分
間遠心し、上清を除去した。沈澱物を、「完全培地」
〔15%ウシ胎児血清(FBS)を補った上記「不完全培
地」〕中で(撹拌機またはピペットで溶液を吸い上げた
り吸い出したりするのではなく)試験管をゆっくり反転
させることにより、培地1ml当たり細胞が2×106個の濃
度になるまで懸濁する。次に、96ウェルプレートの1ウ
ェル当たりに、この懸濁液の0.1ml(総細胞数2×10
5個)を分注した。プレート板を、37℃、7%CO2の条件
下でインキュベートした。融合の日を0日目とした。
C.HAT選択およびハイブリドーマの最初のスクリーニン
グ 融合して24時間後(1日目)、0.1ml HAT培地(10-4M
ヒポキサンチン、5×10-7Mアミノプテリン、および1.6
×10-5Mチミジン)を各ウェルに添加した。2、3、
5、8、11、14、17および21日目に、各ウェルから0.1m
lの培地を除去し、新鮮な0.1ml HAT培地と交換した。2
〜5日目にあっては、ウェルには死んだ細胞しか含まれ
て居ないように見えた。5〜10日目の間に、ハイブリド
ーマが出現し始めた。ハイブリドーマ細胞は、細胞片の
中にあって、非常に屈光性の細胞のコロニーとして視覚
的に容易に認識できた。
D.ハイブリドーマ・スクリーニング ハイブリドーマ上清のスクリーニングのために、様々
な分析法が利用されている。HIV−1との反応性を有す
る抗体を分泌するハイブリドーマは当初、ハイブリドー
マ培養物上清を用いたELISAによる、非感染およびMN−
感染H9細胞から調製されたスクリーニング用の膜によっ
て同定されていた。この当初のスクリーニングは、ELIS
Aのデータに生存感染細胞への抗体の結合に関するデー
タを加味した、蛍光抗体法および放射線免疫検定法に引
き継がれた。
ELISA用の細胞膜を、感染あるいは非感染H9細胞から
調製した。細胞は、1mM EDTAを含んだ、pH7.4の、250mM
ショ糖/10mM Tris−HCl緩衝液に懸濁した。懸濁液は、
氷浴中に置いたDounceのホモジェナイザーで、トリパン
ブルー排除試験にて生存細胞が確認されなくなるまで、
均質化した。混合物は、50gにて、2分間、遠心分離し
た。得られたペレットを、再度均質化および遠心分離し
た。二つの上清を合わせ、20,000gにて、20分間、遠心
分離した。ペレットを同じ緩衝液中で再度均質化し、20
分間遠心分離し、そして得られたペレットを7mlの元の2
50mMショ糖−EDTA緩衝液中で再懸濁した。この溶液を、
1mM EDTAを含んだ、2Mショ糖/10mM Tris−HCl緩衝液上
に重層し、80,000gにて、1時間、遠心分離した。その
結果得られた不明確な白い界面を回収し、250mMショ糖
緩衝液中で再懸濁した。タンパク含量をBCA分析法(Pie
ce Chemical Company)で決定した。懸濁液を等分に分
割して、−70℃で保存した。
ELISA法のために、400ng/ウェルの濃度の細胞膜を96
穴ウェルプレートに添加し、25℃で、一晩乾燥した。プ
レートを0.5%Triton−X(登録商標)/燐酸緩衝液生
理食塩水(PBS)で洗浄し、5%ウシ胎児血清(FBS)/P
BSでブロックし、再度洗浄した。ハイブリドーマ上清
(40μl)を、50μlのPBSで希釈し、ウェルに添加し
て、4℃で、一晩反応させた。洗浄後、セイヨウワサビ
ペルオキシダーゼ(HRP)(Zymed)で標識したウサギ抗
マウスIgG(H+L)を、ウェルに添加し、25℃で、2
時間反応した。ウェルを0.5%Triton−X(登録商標)/
PBSで洗浄し、吸光度を405および650nmで測定する前
に、ABTS(Bio−Rad基質キット)の存在下で、20分間イ
ンキュベートした。
ELISAにおいて非感染細胞膜および感染細胞膜双方に
陽性としてスクリーニングされた、慢性的に感染した細
胞および急性的に感染した細胞で免疫処置されたマウス
の脾臓細胞から生じたハイブリドーマの上清は、ハイブ
リドーマから産生された抗体がHIV−1特異性でなかっ
たことを示した。感染細胞膜で免疫処置したマウスの脾
臓細胞から生じた1039個のハイブリドーマの内、5個の
ハイブリドーマの上清が、感染細胞膜と強く反応し、非
感染細胞膜とはかすかにしか反応しなかった。これらハ
イブリドーマ細胞系からの上清に関してウエスターンブ
ロット法を実施したところ、産生された三つのモノクロ
ーナル抗体の内の一つがHIV−1 p55に結合し、他の一つ
がHIV−1 p55とp24に結合し、さらに最後の一つがウエ
スターンブロットにてバンドを生じないことが判明した
(データ示さず)。ELISAの結果を、非感染細胞と感染
細胞から得られた数値の比率として表1に記した。
1187個のハイブリドーマが、活性HIV−1MN株で免疫処
置したマウスの脾臓細胞から生じた。さらにスクリーニ
ングを実施するために、4つの上清中の抗体が、感染細
胞膜と強く反応し、非感染細胞膜とはかすかにしか反応
しなかったというELISAの結果を基にして、4つのハイ
ブリドーマ細胞系を選択した。
4つのハイブリドーマの上清を限界希釈クローニング
の試料とし、放射性免疫検定法(RIA)によってスクリ
ーニングした。125I(R∝M IgG−125I)でラベルした
ウサギ抗マウスIgGを、Sephadex G−50カラム(NEN−Du
pont)にて精製した。非感染H9細胞、あるいはHIV−1MN
株で感染したH9細胞(150μl中に7.5×105個の細胞)
を15ml容量のチューブに入れた。各ハイブリドーマから
の50μlの上清を非感染細胞および感染細胞が入ってい
るチューブに加え、混合物を、4℃で、一晩インキュベ
ートした。細胞を、2ml PBS/50%Tween−20(登録商
標)で2度洗浄し、洗浄と洗浄の間に、撹拌を行った。
PBS/5%FBS中の50μlのR∝M IgG−125I(750,000cp
m)を加え、混合物を4℃で、再度一晩インキュベート
した。インキュベーション後、細胞をPBS/50%Tween−2
0(登録商標)で3度洗浄した。細胞を殺菌するため
に、100μlのPBS/5%Triton−X(登録商標)を加え、
シンチレーション容器に標識物質の移動を助けるため
に、100μlの1M水酸化ナトリウムを加えた。試料は計
測され、RIAの結果を下記表1に非感染細胞のcpm値に対
する感染細胞のcpm値との間の比率として示した。
次に、4つのハイブリドーマ細胞系を蛍光抗体法によ
りスクリーニングした。2mlの非感染H9細胞もしくはHIV
−2感染H9細胞(約1×106個/ml)を、10ml容量の無菌
遠沈管に、10mlのPBS(Ca++もしくはMg++含まず)と共
に入れた。細菌を10mlのPBSで遠沈管を満たし、撹拌
し、100rpmで5分間遠心し、約100μlの「乳状の」細
胞懸濁液以外を吸引することにより、一度洗浄した。層
流状態にある間、51mmの10ウェル・スライド(Cell Lin
e Association)を、細胞懸濁液で各ウェルを溢れさ
せ、ピペットの先端で溢れた懸濁液を吸い上げることに
より、懸濁液で覆った。懸濁液で覆われたスライドを風
乾し、常温下で、10分間、メタノール中に固定した。4
つのハイブリドーマのそれぞれからの上清を、非感染細
胞および感染細胞のスライド試料の反応性に関して、非
希釈および1:50の濃度(0.02%スキム・ミルクに希釈し
た上清)にて試験した。15μlの非希釈あるいは希釈し
た上清をスライドの各ウェルに添加した。スライドを37
℃で、30分間インキュベートし、5分間撹拌しながらPB
S中に浸した。スライドを迅速に蒸留水ですすぎ、層流
風乾した。0.02%スキム・ミルク中で1:80に希釈した、
16μlのヤギ抗マウスIgG(H+L)F(ab)断片(C
appel Biomedical)を各ウェルに添加した。スライドを
再度37℃で、30分間インキュベートし、PBS中に浸し
た。スライドをPBS中の0.01%エバンスブルー溶液で5
秒間すすぎ、蒸留水で2度すすいだ。スライドを蛍光抗
体法によって試験し、スクリーニングの結果を表2に示
し、表2において、マウスIgG(MIgG)、5C5抗体(抗−
IIIB)および(感染細胞膜によって免疫処置されたマウ
スの脾臓から生じたハイブリドーマからの)Grp.5上清
は、対照抗体である。
ハイブリドーマ細胞系HB 10726は、RIAおよび蛍光抗
体法のデータからして抗体を産生する見込みが最もある
として選択された。この細胞系は、ELISAにおいては最
も高い結合率を示さなかったが、ELISAが乾燥細胞膜へ
の結合性を示すのに対し、RIAと蛍光抗体法の結果が生
存感染細胞への結合性を示すことからRIAのデータが最
も重要である。この細胞系は2回サブクローニングさ
れ、この細胞が産生したモノクローナル抗体をNM−01と
命名した。マウスの腹腔にこの細胞を標準手段によって
注射し、モノクローナル抗体NM−01を腹水からプロテイ
ンAアフィニティーカラム精製(Pierce)によって濃縮
した。
抗体NM−01のアイソタイプは、型特異的血清(Bio−R
ad)によってIgG2bと決定された。この抗体(1.8mg/m
l)は、15%FBSでRPMI 1640培地に希釈され、以下の実
施例にて使用された。
実施例2 モノクローナル抗体NM−01によって識別されるウィル
スエピトープを特定するために、最初にこの抗体を、精
製されたMNおよびIIIBウィルス粒子の蛋白との反応性に
関するウエスターンブロット分析法を試み、次に、HIV
−1 gp120のV3ループ領域のアミノ酸配列に対応する重
複しているペプチドとの反応性に関するELISA法により
スクリーニングを行った。
A.ウエスターンブロット分析 感染H9細胞の培養上清から精製されたMNおよびIIIB
ィルス粒子を、1.3%SDS/3%β−メルカプトエタノール
中で可溶化し、0.1%SDS/10%ポリアクリルアミドゲル
中での電気泳動の試料とした。ニトロセルロース紙へタ
ンパク質を移した後、細片をブロッキング緩衝液(0.02
M Tris−HCl,pH7.4,0.1M塩化ナトリウム,0.05%標準ヤ
ギ血清および5%脱脂乾燥乳)中で、4℃で、モノクロ
ーナル抗体NM−01と共に一晩インキュベートし、pH7.4
の0.02M Tris−HCl、0.1M塩化ナトリウム、及び0.3%Tw
een(登録商標)で洗浄した。細片は、次に、ビオチン
化ヤギ抗マウスIgG(Zymed)と共に1時間インキュベー
トし、洗浄し、125I−ストレプトアビジン(Amersham,A
rlington Heights,IL)でさらに1時間、4℃で、反応
させた。モノクローナル抗体NM−01の反応性は、オート
ラジオグラフィーによって観察した。
オートラジオグラフィーの結果を図1に示し、図1に
おいて、レーン1と3は非感染H9細胞を含んだゲル、レ
ーン4はHIV−1MN感染H9細胞を含み、レーン2と5はHI
V−1MNウィルスを含み、およびレーン6と7はHIV−1
IIIBウィルスを含む。抗体NM−01はレーン1、2および
6のタンパクと反応し、HIV−1血清陽性患者の血清は
レーン3〜5および7のタンパクと反応した。
モノクローナル抗体NM−01は、見かけの分子量約120k
Dを有するMNならびにIIIBウィルス蛋白との反応性を示
したが、その他のいかなるウィルス抗原のバンドとも反
応せず、この抗体がgp120のエピトープを認識すること
を示唆した。
比較のために、Wahren et al.,のPCT公開公報No.91/1
1198に記載されたモノクローナル抗体F58/H3およびP4/D
10を、(受託No.90011607および90011608それぞれを)E
CACCから入手し、モノクローナル抗体NM−01でのウェス
ターン・ブロット法に沿って、組換えHIV−1MNgp120(A
gmed社、ベッドフォード、マサチューセッツ州)、組換
えHIV−1IIIBgp120(DuPont−NEN、ボストン、マサチュ
ーセッツ州)、天然HIV−1MNgp120、および天然HIV−1
IIIBgp120への結合性に関して試験を行った。ウェスタ
ーン・ブロット分析は、ウサギ抗マウス二次抗体を抗体
の結合を検出するための比色分析に用いた以外は、上述
した手順と同様にして行った。モノクローナル抗体NM−
01は、天然のMNおよびIIIB gp120と共に、MNおよびIIIB
由来の組換えgp120双方と反応した。しかしながら、モ
ノクローナル抗体F58−H3およびP4/D10は、天然HIV−1
IIIBgp120およびHIV−1IIIB由来の組換えgp120としか反
応しなかった。
B.ELISAによるエピトープ解析 抗体NM−01により認識されるgp120の特異的エピトー
プを同定するために、抗体をgp120のV3ループ領域に対
応する重複しているペプチドとの反応性に関してELISA
によってスクリーニングした。Multiple Peptide Syste
ms,San Diego,CAによって合成したペプチドは、HIV−1
MNgp120のアミノ酸302−316、312−326および322−336
に対応していた。
3つのペプチド(ウェル当たり、250ng/50μl 0.1Mホ
ウ酸緩衝液、pH8.0)を2枚のImmulonプレート(Dynate
ch)にて、37℃で、一晩インキュベートした。プレート
をPBSで洗浄し、PBS/0.1%Tween(登録商標)/0.1%ウ
シ血清アルブミン(BSA)で、室温で、1時間かけてブ
ロックした。ブロッキング剤を除去し、100μl HAT培地
中で希釈した異なる量の抗体NM−01またはマウスIgG(M
IgG)をプレートに添加した。抗体を、室温で、2時
間、反応させた。プレートを水道水で10回洗浄した。1:
1000に希釈したHRP接合ウサギ抗マウス第二抗体を、PBS
/0.05%Tween(登録商標)/0.5%BSAに入れ、ウェル毎
にその100μlを添加した。プレートを室温で、1時間
インキュベートし、そして水道水で10回洗浄した。ABTS
基質(Bio−Rad)を添加し、20分間後に、650nmでプレ
ートの吸光度測定を行った。
配列番号:2〜4にはペプチドのアミノ酸配列が示され
ており、表3には抗体MIgGとHAT培地を陰性対照とした
重複したペプチドを用いた分析法の結果を示した。
V3ループのアミノ酸302−316もしくは322−336に対応
するペプチドとモノクローナル抗体NM−01との検出され
うる反応性は認められなかったが、アミノ酸312−326の
ペプチドへのこの抗体の結合は明らかである。対照抗体
のマウスIgGはペプチドと結合しなかった。
実施例3 HIV−1MNgp120のV3ループ領域にモノクローナル抗体N
M−01が結合するという証明は、他のHIV−1分離株との
反応性の程度に関する研究をさらに促進した。HIV−1
分離株IIIB、RF、CDC4、NY/5、Z6、Z2およびELIのV3ル
ープ領域に相当するペプチドとの反応性に関してELISA
法によって抗体をスクリーニングした。ペプチドのアミ
ノ酸配列を下記表4、および配列番号:5〜12にそれぞれ
示した。
ペプチド(250ng/0.1Mホウ酸緩衝液、pH8.0、America
n Biotechnologies,Canbridge,MAにより合成)を2枚の
Immulonプレート(Dynatech)にて、4℃で、一晩イン
キュベートした。プレートをPBSで洗浄し、0.1%Tween
(登録商標)/0.1%BSA/PBSで、25℃で、2時間ブロッ
キングし、そしてモノクローナル抗体NM−01と共に、37
℃で、1時間インキュベートした。水道水で洗浄後、プ
レートをHRP−標識ウサギ抗マウス二次抗体で、25℃
で、1時間、次に、ABTS基質(Bio−Rad)で、20分間イ
ンキュベートした。反応性を、650〜405nmの吸光度測定
により決定した。分析結果を図2に示した。
モノクローナル抗体NM−01は、NM(黒塗円)、III
B(白抜円)、RF(白抜三角)およびCDC4(黒塗三角)
単離物からのループペプチドと反応した。IIIB、RFおよ
びCDC4ペプチドへの抗体の結合は、MNペプチドとの結合
と同等であった。またモノクローナル抗体NM−01は、NY
/5ペプチド(星印)とは小さな反応性しか示さなかっ
た。モノクローナル抗体NM−01は、配列番号:13に示し
たRF様ペプチドにも反応するものと推定される。これに
対して、Z6(黒塗四角)、Z2(白抜逆三角)およびELI
(白抜四角)単離物からのループペプチドとは、ほとん
ど反応しなかった。これら結果は、モノクローナル抗体
NM−01が、特に、配列番号:1に示したアミノ酸配列G−
P−G−Rを有する複数のHIV−1単離物のgp120のV3ル
ープのエピトープを認識することを示すものである。
モノクローナル抗体F58/H3およびP4/D10も、MN、II
IB、RF様、CDC4、NY/5、Z2、Z6および、ELIのV3ループ
ペプチドへの反応性を試験した。NM−01とは対照的に、
モノクローナル抗体F58/H3およびP4/D10双方は、IIIB
プチドとしか反応せず、配列番号:14に記載のRF様ペプ
チドとはわずかにしか反応しなかった。
MN様およびIIIB様V3ループペプチドと反応し、RF様ペ
プチドとは反応しない、他の抗−HIV−1 gp120モノクロ
ーナル抗体、モノクローナル抗体BAT123が、前出のLiou
et al.,に記載されている(前出のLiou et al.,の第39
72頁の図5Aを参照)。これら報告されている反応性は、
先のパラグラフにて記載したモノクローナル抗体NM−01
の反応性とは異なる。抗体NM−01とBAT123の双方共に、
IIIBペプチドには比較的良く結合するが、NM−01と同様
のMNペプチドへの結合を得るためには、BAT123は約50倍
高い濃度が必要とされる。さらに、NM−01は表4および
配列番号:7に示したRFペプチドならびに配列番号:14に
示したRF様ペプチドと反応するが、BAT123は、たとえば
抗体濃度を10,000μg/mlにしても、RF様ペプチドには結
合しない。
拮抗分析において、モノクローナル抗体NM−01、F58/
H3およびP4/D10の結合を、(配列番号:7の一部が)重複
しているIIIBループペプチド:IRIQRGPG(ペプチド
1)、RIQRGPGR(ペプチド2)、IQRGPGRA(ペプチド
3)、QRGPGRAF(ペプチド4)、RGPGRAFV(ペプチド
5)およびGPGRAFVT(ペプチド6)の各々が存在してい
る条件下で測定した。この分析法は、以下のようにして
行った。100μlの組換えIIIB gp120(PBS中の0.5μg/m
l)を、Immuno 4プレート(Dynatech社)に被覆し、一
晩、室温にてインキュベートした。そして、このプレー
トを250μlのブロック用緩衝液(PBS中の5%正常ウサ
ギ血清)で、37℃にて、1時間ブロックした。モノクロ
ーナル抗体NM−01、F58/H3およびP4/D10を、ブロック用
緩衝液で10μg/mlまで希釈し、そして6つのIIIBループ
ペプチドそれぞれを、ブロック用緩衝液で100μg/mlま
で希釈した。5μg/mlの最終抗体濃度および50μg/mlの
ペプチド濃度となるように、1:1体積比で、それぞれの
抗体を各ペプチドと個別に混合した。抗体とペプチドの
混合物を、室温にて、40分間インキュベートし、そし
て、分析用のブロック処理され、gp120被覆したプレー
トのウェル(100μl/ウェル)に移した。対照のウェル
には、ペプチドは置かずに、5μg/mlの抗体のみを置い
た。これらプレートを、37℃で、40分間インキュベート
し、そして、洗浄用緩衝液(PBS中の0.005%Tween−2
0)で4回洗浄した。
ウサギ抗マウス/HRP結合した抗体(100μl/ウェル)
を、ブロック用緩衝液にて1:1000希釈した二次抗体とし
て用い、そして、37℃で1時間インキュベートした。プ
レートを再度洗浄し、100μl/ウェルTMB(テトラメチル
ベンジジン)を用いて処理した。100μl/ウェル硫酸
(0.36N)で反応を停止してから、プレートを450nm〜65
0nmにて計測した。
拮抗分析の結果を、図3に示した。この分析では、ペ
プチド4が、モノクローナル抗体NM−01の組換えIIIB g
p120への結合の最も強力な阻害物であり、ペプチド3お
よび4が、モノクローナル抗体F58/H3結合の最も強力な
阻害物であり、そして、ペプチド2が、モノクローナル
抗体P4/D10結合の最も強力な阻害物であった。
実施例4 逆転写酵素法によって測定した活性HIV−1株MN、III
BならびにRF、およびp24分析法によって測定した活性HI
V−1株MNならびにIIIBによるH9細胞の感染を中和する
能力に関して、モノクローナル抗体NM−01を試験した。
逆転写酵素およびp24分析 モノクローナル抗体NM−01の希釈液を、96ウェルプレ
ートにて、40TCID50のMN生存ウィルスおよび100TCID50
のIIIB活性ウィルスと共に、37℃で、1時間半インキュ
ベートした。HIV−1IIIBのgp120に結合するモノクロー
ナル抗体0.5β(AIDS Research and Reference Reagent
Program Catalog,National Institute ofAllergy and
Infectious Diseases)を、逆転写酵素法において、陽
性および陰性対照の双方に用いた。H9細胞(2.5×10
4個)を各ウェルに添加し、プレートをさらに1時間、3
7℃で、インキュベートした。H9細胞懸濁液をRPMI 1640
/15%FBSで希釈し、24ウェルプレートにて、37℃で、イ
ンキュベートした。ウィルス生成に関して、7日目に、
Poiesz,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,pp.7415−7
419(1980)の記載に従って逆転写酵素法を、また、5
日目にp24分析法を行った(Dupont HIV−1 p24 Core Pr
ofile ELISA)。分析結果を図4Aから4Bおよび図5にそ
れぞれ示した。
モノクローナル抗体NM−01(図4Aの黒塗円)は、10〜
100μg/mlの濃度で、逆転写酵素法によって測定したと
ころ、活性MNウィルスの感染を完全に中和した。さら
に、1μg/ml未満の濃度での抗体の使用では、ウィルス
感染阻害率は50%であった(ID50)。これらの知見は、
感染中和効果が認められなかったモノクローナル抗体0.
5β(図4Aの白抜円)の結果とは対照的である。モノク
ローナル抗体NM−01(図4B)は、約0.1μg/mlの濃度に
おいて感染阻害率50%(ID50)で、IIIB生存ウィルスを
中和した。モノクローナル抗体0.5βは、モノクローナ
ル抗体NM−01よりやや効果的にIIIBウィルスを中和した
(図4B)。同様の結果が、HIV−1 MNおよびIIIBに関す
るp24分析法において得られた。図5参照。逆転写酵素
分析において、モノクローナル抗体NM−01は、約0.05μ
g/mlのID50で、活性RFウィルスも阻害した(図4C)。
これらのデータは、モノクローナル抗体NM−01が、HI
V−1の少なくとも三つの異種菌株による感染を中和す
ることを示している。
モノクローナル抗体F58/H3およびP4/D10の活性HIV−
1株MNおよびIIIBによるH9細胞の感染を中和する能力
も、上述したモノクローナル抗体NM−01の場合と同様、
逆転写酵素分析およびp24分析によって測定した。分析
の結果を、図6Aから6B、および7Aから7Bに示した。RT分
析にて、モノクローナル抗体NM−01が、10〜100μg/ml
の濃度にて活性MNウィルスの感染力を完全に中和するこ
とが再度認められ、1μg/ml未満の濃度の抗体の使用
が、ウィルス感染の50%阻害(ID50)(図6Aの白抜円を
参照)を示した。これら知見は、モノクローナル抗体F5
8/H3およびP4/D10にて、検出可能な中和が認められなか
ったことと対照的である(図6Aの白抜および黒塗三角を
参照)。活性IIIBウィルスを用いたRT分析において、モ
ノクローナル抗体NM−01は、約0.1μg/mlのID50にてウ
ィルスを中和した(図6Bの白抜円を参照)。モノクロー
ナル抗体F58/H3およびP4/D10は、それぞれ約1.1および
1.2μg/mlのIC50で、モノクローナル抗体NM−01よりも
低効率でIIIBを中和した(図6B参照)。同様の結果が、
p24分析にて、HIV−1 MNおよびIIIBを用いた三つのモノ
クローナル抗体について得られた(図7Aおよび7B参
照)。
実施例5 逆転写酵素法およびp24分析法により実証された生存H
IV−1感染の中和に関して、生存MNおよびIIIBウィルス
を用いたMT−2法、および生存MN、IIIBおよびRFウィル
スを用いたシンシチウム形成分析法において、さらにモ
ノクローナル抗体NM−01の効果を研究した。
A.MT−2分析法 MT−2分析法は、Richman,AIDS Research and Refere
nce Reagent Program,Courier No.90−01,pp.6−9(19
90)の記載に若干の修正を加えた方法にて行った。活性
MNウィルスおよび活性IIIBウィルスは、モノクローナル
抗体NM−01の希釈液と共に、96ウェルプレートにて、4
℃で、1時間半インキュベートした。MT−2細胞(8×
105)をウェルに添加し、プレートを37℃で、3日間イ
ンキュベートした。各細胞の生死を観るために、Mosman
n,J.Immunol.Meth.,65,pp.55−63(1983)ならびにPaul
wels,et al.,J.Vijol.Meth.,22,pp.309−321(1988)の
記載に従ったMTT色素還元を行った。MT−2分析法の結
果は、逆転写酵素法ならびにp24分析法の結果を確認す
るものであり、その結果を図8に示し、IIIB(100 TCID
50)の阻害率を白抜円で、およびMN(40 TCID50)の阻
害率を黒塗円で示した。
モノクローナル抗体NM−01は、活性MN単離物および活
性IIIB分離株の感染をそれぞれ2.0μg/mlおよび0.1μg/
mlのID50で中和した。
B.シンシチウム形成分析法 結合阻害分析法は、Johnson & Walker,Eds.,Techniq
ues in HIV−1 Research,Stockton Press,New York,NY,
pp.92−97(1990)に記載された方法の修正法によって
行った。すなわち、MNウィルスもしくはIIIBウィルスの
いずれかによって慢性的に感染させたH9細胞を、モノク
ローナル抗体NM−01の希釈液と共に、37℃で1時間イン
キュベートした。次にC8166細胞を各ウェルに添加し、3
7℃で2時間インキュベートした。三つのリンパ球細胞
の直径より大きなシンシチウムを計測し、抗体欠乏下で
処理した対照感染H9細胞において得られたシンシチウム
と比較した。シンシチウム形成分析法の結果は、逆転写
酵素法およびp24分析法の結果を確認するものであり、
その結果を図9Aに示し、IIIB(100 TCID50)の阻害率を
白抜円で、MN(40 TCID50)の阻害率を黒塗円で示し
た。モノクローナル抗体NM−01は、MN感染H9細胞による
シンシチウム形成を2μg/mlのID50で、さらにIIIB感染
H9細胞によるシンシチウム形成を3μg/mlのID50で阻害
した。
モノクローナル抗体BAT123の対応するシンシチウム形
成阻害の結果が、WO88/09181の表IIIに示されている。2
5μgのモノクローナル抗体NM−01が、MN感染細胞によ
るシンシチウム形成の約85%を阻害するのに対し、BAT1
23の25μgが、51%を阻害することが報告されており、
さらに、25μgのモノクローナル抗体NM−01が、IIIB
染細胞によるシンシチウム形成の約85%を阻害するのに
対し、BAT123が、77.8%を阻害することが報告されてい
る。25μgのBAT123は、RF感染細胞によるシンシチウム
形成を51%阻害することも報告されている。モノクロー
ナル抗体NM−01も、RF感染細胞によるシンシチウム形成
を阻害する(図9B参照)。先のパラグラフにて記した分
析にて、25μgのNM−01が、RF感染細胞によるシンシチ
ウム形成の約59%を阻害した。モノクローナル抗体NM−
01は、RF感染細胞によるシンシチウム形成を、4μg/ml
のID50にて阻害する。
以上をまとめると、実施例4および5の逆転写酵素、
p24、MT−2およびシンシチウム形成阻害分析法の結果
は、モノクローナル抗体NM−01が、10μg/ml以下の濃度
にあっては、複数のHIV−1株の結合と感染性を中和す
ることを示すものである。
実施例6 モノクローナル抗体NM−01が、gp120 V3ループの部位
に結合することによって、HIV−1 MNおよびIIIBの感染
を阻止することを確認するために、V3ループペプチド
が、この抗体による感染中和能力を無効にする試験に供
した。
モノクローナル抗体NM−01を、100 TCID50の活性IIIB
ウィルスを添加する前に、MN、IIIBおよびZ6株のV3ルー
プに対応するペプチド(これらペプチドの配列を上記表
4に示した)の濃度を変化させながら、37℃で、30分間
インキュベートした。H9細胞を添加し、1時間後に、実
施例4にて記したように、完全培地にて7日間、細胞を
生育させた後、逆転写酵素活性を測定した。分析結果を
図10に示した。
モノクローナル抗体NM−01は、最も低いペプチド濃度
の場合には、IIIB感染を完全に中和したが、この中和能
は、抗体とループ・ペプチドとの前インキュベーション
の際に、MN(黒塗円)ならびにIIIB(白抜円)ループ・
ペプチドの濃度を累進的に増加させると、累進的に抑制
された。モノクローナル抗体NM−01によって認識される
アミノ酸の配列を持たないZ6株(黒塗菱形)のV3ループ
に対応するペプチドの同様の濃度においては、検出可能
な効果は見られなかった。これら結果は、モノクローナ
ル抗体NM−01がgp120 V3領域の特定部分と反応すること
により、HIV−1の感染を妨げていることを示唆してい
る。
実施例7 モノクローナル抗体NM−01が、補体経路を活性化で
き、さらに、HIV−1ウィルス粒子を破壊できるか否か
を決定するための研究をさらに行った。この場合、ウサ
ギ血清を、補体源として使用した。
モノクローナル抗体NM−01と補体によるHIV−1の溶解 HIV−1 IIIB株で感染したH9細胞を、細胞毒性試験培
地(Cedarlane Lab.社)にて洗浄した。細胞を、40μg/
mlのモノクローナル抗体を含有している細胞毒性試験培
地と抗体を含まぬ培地のいずれかに再懸濁した。4℃
で、2時間、インキュベーションした後、ウサギ補体
(low−tox−MA;Cedarlane Lab.社)を、1:6に希釈して
添加した。細胞懸濁液を、4℃で、20分間、そして、37
℃で、45分間、インキュベーションした。細胞を、2%
グルタルアルデヒド/0.1M燐酸緩衝液ならびに1%四酸
化オスミウム/0.1M燐酸緩衝液で二重に固定した。エポ
キシ樹脂に包理した後、薄層部分を切断し、酢酸ウラニ
ルおよび酢酸鉛で二重染色した。図11Aから11B、12Aか
ら12F、および13Aから13Fは、この薄層部分の電子顕微
鏡写真である。
ウサギの血清のみ(図11B)およびモノクローナル抗
体NM−01のみでは、HIV−1の組織に関して検出可能な
効果は認められなかった。HIV−1をモノクローナル抗
体NM−01と補体とで処理することにより、エンベロープ
が粉砕された無数のウィルス粒子の出現および電子密度
の高いコアー部分(図11A)の欠損が観察された。典型
的な実験例では、その大部分が内部コアの欠損を抱えて
いる約90%の溶解したウィルス粒子を示していた。ビリ
オンの残りの10%は、無傷あるいは外皮エンベロープが
部分的に粉砕されたものである。高倍率にすると、図12
Aから12Fおよび13Aから13Fそれぞれの成熟あるいは不完
全ウィルス粒子の溶解の一連の顕微鏡写真に見られる。
このようにHIV−1の直接溶解によって生じた崩壊が認
められる。
実施例8 次に、モノクローナル抗体NM−01と補体との組み合わ
せを、そのHIV−1感染に関する効果について決定する
ために分析した。
組織培養感染用量の決定 HIV−1 IIIB感染H9細胞を、細胞毒性試験培地(Cedar
lane Lab.社)にて二度洗浄し、2μg/mlのモノクロー
ナル抗体NM−01または対照IgG2bを含んだ細胞毒性試験
培地に再懸濁した。4℃で、2時間、インキュベーショ
ンした後、試料は等分され、ウサギ補体あるいは熱不活
化ウサギ血清(Cedarlane Lab.社)を、1:6に希釈して
添加した。細胞を、4℃で、20分間、そして、37℃で、
45分間、インキュベーションし、培地で洗浄し、50%FB
S/RPMI 1640に再懸濁し、そして震盪した。上清あるい
はウィルス分離株は、10倍希釈し、その25μlをH9細胞
(1x105/25μl)に添加する前に、引き続き2回希釈し
た。37℃で、3時間、インキュベーションした後、露出
した細胞は、10%FBS/RPMI 1640で希釈され、そして37
℃に維持した。ウィルス感染は、6日後に逆転写酵素分
析法により決定された。H9細胞画分の50%組織培養感染
用量(TCID50)を、50%感染を示した希釈度によって決
定した。その実験の結果を表5に示した。
モノクローナル抗体NM−01のみでも、HIVIIIBの感染
を中和することができるが、モノクローナル抗体NM−01
と補体による治療では、HIVIIIBの感染は10倍以下にま
で低下した。ヒト補体(ヒト血清態様の)がモノクロー
ナル抗体NM−01と共に投与された時に、同様の効果が認
められた。これら知見は、モノクローナル抗体NM−01と
補体双方にHIV−1を曝すことは、顕著なウィルス感染
の低下と関連し、さらにHIV−1治療におけるモノクロ
ーナル抗体NM−01による補体依存性ウィルス溶解への役
割を支持するものである。本明細書に参照として組み込
んだ、Nakamura et al.,AIDS RESEARCH AND HUMAN RETR
OVIRUSES9(7),pp.619−626(1993)も参照のこ
と。
実施例9 モノクローナル抗体NM−01のH鎖とL鎖の可変領域
を、ハイブリドーマHB 10726細胞質RNAから調製したcDN
Aを鋳型として用いたPCRによってクローニングし、DNA
配列を決定した。可変領域DNAsそれぞれを、M13mp18/mp
19(Pharmacia社、ミルトン キイーンズ、英国)に挿
入して、配列決定を行った。NM−01 H鎖とL鎖可変領域
のDNAおよび推定アミノ酸配列を、配列番号:15および1
6、ならびに配列番号:17および18にそれぞれ示した。配
列番号:15のヌクレオチド1−21ならびに334−363は、N
M−01 L鎖配列を増幅するためのPCRプライマーと対応
し、配列番号:17のヌクレオチド1−27ならびに385−40
2は、NM−01 H鎖配列を増幅するためのPCRプライマーと
対応する。
モノクローナル抗体NM−01の可変領域の再度の配列決
定の結果を、それぞれ、H鎖可変領域のDNAと推定アミ
ノ酸配列およびL鎖可変領域のDNAと推定アミノ酸配列
である、配列番号:19および20、ならびに配列番号:21お
よび22に示した。NM−01 L鎖可変領域(VK)アミノ酸配
列を、Kabatマウス・カッパ・サブグループIIIに最も相
同的になるように決定し、NM−01 H鎖可変領域(VH)ア
ミノ酸配列を、KabatマウスH鎖サブグループIAの一つ
になるように決定した。
NM−01のH鎖(配列番号:20)とL鎖(配列番号:22)
可変領域の最初の120個のアミノ酸配列は、図14および1
5にもそれぞれ示し、図中、囲いをしたアミノ酸は、抗
体の結合特異性を決定する抗体の相補性決定領域(CDR
s)である。図14および15に示したCDRsは、Kabat et a
l.,Sequences of Proteins of Immunological Interes
t,第5版、米国保健社会福祉省、米国政府印刷局(199
1)のCDR規定法に適合するように、先の国際出願No.PCT
/US92/07111に明記したCDRsから移動させている。図14
および15において、H鎖もしくはL鎖の各アミノ酸配列
は、前出のLiou et al.,にて報告されたモノクローナル
抗体BAT123の対応する可変領域のH鎖およびL鎖のアミ
ノ酸配列(配列番号:23および24)と、そして、ECACCか
ら入手したモノクローナル抗体F58/H3およびP4/D10の対
応する可変領域のH鎖およびL鎖のアミノ酸配列(配列
番号:25および26)と比較した。モノクローナル抗体F58
/H3およびP4/D10の可変領域アミノ酸配列は、同一であ
ることが認められた。
NM−01のH鎖可変領域は、BAT123のそれとは、全120
個のアミノ酸の内、44個のアミノ酸において相違してい
る。両抗体のL鎖可変領域は、24個のアミノ酸において
相違している。重要なことは、NM−01分子のH鎖(V−
H)における三つのCDRsが、BAT123のそれと、41から90
%相違しており、一方で、L鎖(V−L)における三つ
のCDRsの配列が、NM−01と比較して約29から47%異なっ
ていることである。
NM−01のH鎖可変領域は、F58/H3およびP4/D10のそれ
とは、全120個のアミノ酸の内、103個のアミノ酸におい
て相違し、L鎖可変領域は、3個のアミノ酸において相
違している。NM−01分子のH鎖(V−H)における三つ
のCDRsが、F58/H3およびP4/D10のそれと、約86から100
%相違しており、一方で、L鎖(V−L)における三つ
のCDRsの配列が、約13から19%異なっている。
このように、NM−01の一次構造解析と、BAT123、F58/
H3およびP4/D10の一次構造解析の比較から、NM−01の新
規の抗体であることが確認された。
実施例10 配列番号:19および21に記載されたDNA配列情報を基
に、NM−01抗体のヒト型化/新形態化体を調製した。NM
−01のキメラ体を作製するために、Orlandi et al.,Pro
c.NatlAcad.Sci.USA,86,pp.3833−3837(1989)の方
法を採用した。ヒト型化体は、Tempest et al.,BIO/TEC
HNOLOGY,9,pp.266−271(1991)およびRiechmann et a
l.,Nature,322,pp.323−327(1988)のCDR移植法と同様
の方法によって調製した。
A.キメラ抗体の作製 NM−01可変領域は、マウス可変領域とヒト定常領域を
有するキメラ抗体の作製を許容するよう、二段階を経
て、哺乳類発現ベクターへクローニングされた。まず初
めに、完全に配列決定されたVHもしくはVKを、可変領域
遺伝子の5′および3′末端に特異的なプライマーを用
い、そして、得られた断片のベクターM13VHPCR1もしく
はM13VKPCR1(前出のOrlandi et al.,)への移行を許容
できるように制限部位を導入した実施例9に記載のNM−
01 M13mp18/mp19クローンから増幅した。これにより、
可変領域は、定常領域遺伝子へ正しい位置関係で接合す
るように、プロモーターおよびシグナル・ペプチド遺伝
子の後ろに置かれる。第二段階にて、プロモーター、シ
グナル・ペプチド、および可変領域をコードする配列を
含むM13挿入体が、RF DNAから切り出され、そして、ヒ
トIgG1(ベクターpSV−gpt)あるいはカッパ(ベクター
pSV−hyg)定常領域遺伝子それぞれを適切に含んだ哺乳
類発現ベクターへクローニングされた。
キメラNM−01 L鎖およびH鎖をコードするプラスミド
は、YB2/0ラット骨髄細胞(ATCC CRL 1662)へ共形質変
換され、次いで、H鎖発現ベクターに認められるキサン
チン・グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gp
t)の存在に関して選抜した。上清は、ヒトIgGの存在に
関してスクリーニングされ、そして細胞が分泌した抗体
を得た。このキメラ抗体を、NM−01 MuVH/MuVKと命名し
た。
B.ヒト型化抗体の作製 CDR移植は、ヒト可変領域鋳型の特定部位の突然変異
誘発によって行った。NM−01 CDRsのCDR移植のために選
択されたヒト可変領域は、NEWH VH[Saul et al.,J.Bio
l.Chem.253,pp.585−597(1978)]およびREI VK[Ep
p et al.,Eur.J.Biochem.45,pp.513−524(1974)]
であった。
マウスCDRsに加えて、図16の27〜30位にある最初のCD
Rに先駆けた4つのマウス・アミノ酸残基および図16の7
3位(Kabatの71位)にあるマウス・アルギニンを、ヒト
型化NM−01 VH(HuVHと称する)に含めた。最初のCDRに
先駆けた4つの残基は、超可変的ではないが、Chothia
et al.,J.Mol.Biol.,196,pp.901−917(1987)による超
可変ループ配座への影響が認められた。Kabatの71位に
ある残基は、CDRs1および2の間を包み込み、そして、C
DR 2の配座の決定において重要であることが認められて
いる[Tramontano et al.,J.Mol.Biol.,215,pp.175−18
2(1990)]。
CDR移植体(HuVK)、および図17の75位でのマウス・
フェニルアラニンを有する変位CDR移植体(HuVKF)を含
めた、NM−01 HuVKの二つの変異体が作製された。この
位置でのアミノ酸の側鎖は、CDR 1の配座に影響を与え
(前出のChothia et al.,)、マウス残基の包含が、他
のヒト型化抗体への結合能力に明確に影響を与えること
が認められている。例えば、Foote et al.,J.Mol.Bio
l.,224,pp.487−499(1992)を参照のこと。
NM−01 HuVH、HuVKおよびHuVKFのDNAおよび推定アミ
ノ酸配列を、配列番号:27および28、29および30、そし
て31および32にそれぞれ示した。NM−01ヒト型化可変領
域を、下記したヒトH鎖あるいはL鎖可変領域遺伝子を
含んだM13ファージから作製した。
ヒトH鎖あるいはL鎖可変領域遺伝子を含んだM13フ
ァージを、チミンに代えてウラシルを含んだ一本鎖鋳型
DNAを得るように、E.coli RZ1032(dut-ung-)にて生長
させた。0.5μgの鋳型DNAを、挿入したDNAのM13鋳型の
下流にアニールする1pmolのオリゴヌクレオチドを混合
した。マウス残基をコードする変異用オリゴヌクレオチ
ドを、40mM Tris−HCl pH7.5、20mM MgCl2、50mM NaCl
の20μlにて、80℃で、5分間加熱し、そして、室温に
までゆっくりと冷却することで、鋳型にアニールした。
最初のH鎖可変領域PCR反応のために用いた変異用オ
リゴヌクレオチドは: であって、前記オリゴヌクレオチドは、アミノ酸VSGFSI
TSSSYCWHWVRQ(配列番号:28のアミノ酸24〜41および図1
6の配列HuVH)をコードするDNAの逆補体であって、下線
を付したアミノ酸は鋳型可変領域配列へ導入したマウス
残基である; であって、前記オリゴヌクレオチドは、アミノ酸LEW
(I/M)GRICYEGSIDYSPSIKSRVTM(配列番号:28のアミノ
酸47〜71および図16の配列HuVH)をコードするDNAの逆
補体であって、下線を付したアミノ酸は鋳型可変領域配
列へ導入したマウス残基である;および であって、前記オリゴヌクレオチドは、アミノ酸VYYC
(A/S)RENHGTTTSMDYW(配列番号:28のアミノ酸94〜
111および図16の配列HuVH)をコードするDNAの逆補体で
あって、下線を付したアミノ酸は鋳型可変領域配列へ導
入したマウス残基である。
L鎖可変領域突然変異のために用いたヒト鋳型は、RE
Iとは同一ではないが関連性がある枠組領域を実際にコ
ードしており、また、(開示していないオリゴヌクレオ
チドを用いた)突然変異反応はこれら矛盾点ならびにNM
−01 CDRsを解消した。ここで特に検討されるべき唯一
の矛盾点は、REI配列には存在しないフェニルアラニン
残基をコードする鋳型の71位である。この残基は、NM−
01 HuVKF(図17のHuVKFの75位のアミノ酸を参照のこ
と)に保持されているものの、下記する配列を有するオ
リゴヌクレオチドREI Y71を用いたNM−01 HuVF(図17の
HuVFの75位のアミノ酸を参照のこと)におけるREI残基
では変化していた。
であって、前記オリゴヌクレオチドは、アミノ酸GDT
YTFT(配列番号:32のアミノ酸72〜78および図17の配列H
uVK)をコードするDNAの逆補体である。このプライマー
は、NM−01 HuVKFを生成する変異反応には含まれていな
かった。
HuVKおよびHuVKF L鎖可変領域双方のために、マウスN
M−01 CDR 1および鋳型CDR 1は同一であったので、CDR
1の改変は不要であった。マウスと鋳型CDRs2および3の
間には限られた相違しかないため、鋳型CDRs2および3
の間には限られた相違しかないため、鋳型CDRs2および
3の改変が必要とされ、使用した変異用オリゴヌクレオ
チドは: であって、前記オリゴヌクレオチドは、アミノ酸LLIY
V ASN(配列番号:30のアミノ酸50〜57および図17の配列
HuVK)をコードするDNAの逆補体であって、下線を付し
たアミノ酸は鋳型可変領域配列へ導入したマウス残基で
ある;および であって、前記オリゴヌクレオチドは、アミノ酸YCQQ
N NEDPL TF(配列番号:30のアミノ酸91〜102および図17
の配列HuVK)をコードするDNAの逆補体であって、下線
を付したアミノ酸は鋳型可変領域配列へ導入したマウス
残基である。
NM−01 HuVHを生成するために、VHオリゴCDR1、CDR
2、およびCDR3を、ヒトNEWH鋳型にアニールした。NM−0
1 HuVKを生成するために、VKオリゴREI Y71、VKオリゴC
DR2、およびVKオリゴCDR3を、ヒトNEWH鋳型DNAにアニー
ルした。NM−01 HuVKFを生成するために、VKオリゴCDR
2、およびVKオリゴCDR3をアニールした。そして、同じ
緩衝液中にて、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTPを最終濃度
が250μMとなるように、DTTが7mM、ATPが1mMとなるよ
うに添加し、そして、0.5単位T7 DNAポリメラーゼ(Uni
ted States Biochemical社、クリーブランド、オハイオ
州)および0.5単位T7 DNAリガーゼ(Life Technologies
社、ペイスレイ、英国)を添加した。30μlの反応液
を、室温にて、1時間インキュベートし、そして、DNA
をエタノールで沈殿させた。親の鋳型鎖にニックを入れ
るために、DNAを60mM Tris−HCl pH8.0、1mM EDTA、1mM
DTT、1単位のウラシルDNAグリコシラーゼ(Boehringe
r Mannheim社、ルイス、サセクッス州、英国)を含む0.
1mg/ml BSAからなる50μlに溶解し、そして、NaOHが0.
2Mとなるように添加される以前に、37℃で、1時間イン
キュベートし、室温にて、5分間、インキュベーション
を継続した。断片化した起源のDNAを除去するために、
再度、エタノールを沈殿させた。変異DNAは、20μl TE
中に溶解し、正および逆のM13プライマーを用いたPCRに
よって可変領域挿入体を増幅した。PCR反応混合物は、
2μl変異DNA、0.5μMの各プライマー、250μMのdAT
P、dCTP、dGTPおよびdTTPの各々、10mM Tris−HCl pH8.
3、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.01%Tween−20、0.01%
ゼラチン、0.01%NP40、および50μl中に2単位のサー
マラーゼ(IBI社、ケンブリッジ、英国)を含んでい
た。増幅は、94℃で30秒間、50℃で30秒間、72℃で1分
間からなるサイクルを15回行い、72℃で5分間置くこと
で反応を終了した。生成DNAsを、Hind III−BamH I断片
であるM13mp19へクローニングし、典型的なクローンの
配列決定を行った。H鎖に関して、最初に、マウスCDRs
1および3を有する部分的変異のみを取得した。マウスC
DR 2の変異体を得るために、鋳型としての部分的に変異
させたDNAとVHオリゴCDR2を用いて上記した反応を反復
した。得られたDNAsを、Hind III−BamH I断片である。
M13mp19へクローニングし、典型的なクローンの配列決
定を行った。
真正のNM−01 HuVH、HuVKおよびHuVKFをコードするHi
nd III−BamH I断片を、ヒトIgG1(ベクターpSV−gpt)
あるいはカッパ(ベクターpSV−hyg)定常領域遺伝子を
適切にコードする配列の発現ベクター上流にそれぞれク
ローニングした。得られたベクターは、完全なヒト型化
NM−01抗体(ECACC 93082022として寄託したYB2/0細胞
系が産成したHuVH/HuVK:ECACC 93082019として寄託した
YB2/0細胞系が産成したHuVH/HuVKF)を産生する細胞系
を生成するために、YB2/0あるいはNSO細胞(ECACC 8511
0503)へ共電気泳動、あるいは、鎖の一つがキメラであ
る(例えば、MuVH/MuVKF)混合−適合型抗体を産生する
細胞系を生成するために、上記した適切なNM−01 H鎖お
よびL鎖をコードするベクターと共に個々に電気泳動に
適用した。抗体は、プロテインAアガロース・アフィニ
ティー・クロマトグラフィーによって精製した。
ヒト型化NM−01抗体の4つの他の態様が、上記した方
法によって生成された。最初の(ECACC 93082020 YB2/0
細胞系が産生した)HuVHM/HuVKおよび二番目の(ECACC
93082021 YB2/0細胞系が産生した)HuVHS/HuVKFは、HuV
Hの48位にメチオニンを含んでいた。三番目の(ECACC 9
3082023 YB2/0細胞系が産生した)HuVHS/HuVKおよび四
番目の(ECACC 93082018 YB2/0細胞系が産生した)HuVH
S/HuVKFは、HuVHの93位にセリンを含んでいた。これら
ヒト型化抗体は、保有しているL鎖に依存して、NM−01
HuVH/HuVK抗体あるいはNM−01 HuVH/HuVKF抗体の抗原
結合特性と同様の抗原結合特性を有している。NM−01 H
uVH/HuVK抗体ならびにNM−01 HuVH/HuVKF抗体の抗原結
合特性を、以下に記した。
C.キメラおよびヒト型化抗体の活性 ヒト型化NM−01のgp120への結合性を、マウスNM−01
の結合性との比較に関して、拮抗分析法で評価した。プ
レートを、組換えgp129(American Biotechnologies
社、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)(5ng/ウェ
ル)で被覆し、そして、5%正常ヤギ血清(Life Techn
ologies社)でブロックした。ヒト型化NM−01抗体、キ
メラNM−01抗体、マウスNM−01抗体、あるいはヒト型化
抗体の負の対照の希釈液(10〜1000ng/100μl)を各ウ
ェルに添加し、そして、プレートを、37℃で、30分間イ
ンキュベートした。ビオチン化マウスNM−01抗体(ウェ
ル当たり500ng/50μl PBS)を添加し、インキュベーシ
ョンを一時間継続した。プレートをPBS−0.05%Tween20
で洗浄した。HRPO−ストレプトアビジン(ウェル当たり
500ng/50μl PBS:Sera−Lab社、クローリーダウン、サ
セックス州、英国)を添加し、30分間インキュベートし
た。プレートを洗浄し、そして、−フェニルジアミン
の存在下で5分間、あるいは発色するまでインキュベー
トした。吸光度は、492nmで計測した。
ヒト型化NM−01抗体HuVH/HuVKは、標識付けしたマウ
スNM−01抗体の結合阻害において、マウスNM−01抗体と
同様の効果/反応性を示したが、ヒト型化NM−01抗体Hu
VH/HuVKFは、マウス抗体の約4倍の反応性が認められ
た。キメラNM−01抗体の反応性は、マウスNM−01抗体よ
りも小さかった。
キメラおよびヒト型化NM−01抗体は、RT、p24、およ
びシンシチウム阻害分析法によって、HIV−1中和活性
に関しても評価した。実質的に先の実施例で述べた方法
と同様である、これら分析法は以下のようにして行っ
た。
RT分析法では、15%ウシ胎児血清を含むRPMI 1640培
地に、抗体を連続的に希釈した。抗体の希釈液を、MNあ
るいはIIIBウィルスの100倍の組織培養50%感染量(TCI
D50)で、96ウェル・プレートにて、4℃で、2時間イ
ンキュベートした。H9細胞(2.5×105細胞)を各ウェル
に添加し、そして、37℃で、さらに1時間インキュベー
トした。H9細胞懸濁液を、2mlのRPMI 1640培地/15%ウ
シ胎児血清に希釈し、そして、24プレートにて37℃でイ
ンキュベートした。ウィルス生成を、7日目に、RT分析
によって決定した。この分析の結果を、図18(MN)およ
び19(IIIB)に示した。
p24分析法では、MNあるいはIIIBウィルス(100×TCID
50)とモノクローナル抗体と共に、H9細胞を6〜8日間
インキュベートした。組織培養上清でのp24抗原の存在
を、製造業者(Du Pont−NEN)の使用説明書に記載の方
法に従って、HIV−1 p24コア断片の酵素結合免疫吸収分
析(ELISA)によって定量した。具体的には、抗原−抗
体複合体を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)
接合体でプローブした。最終生成物を、捕獲したHIV−1
p24抗原の量に直接比例している黄色の強度によって定
量した。マイクロプレートELISA計測器を用いて、発色
の程度を450nmにて計測し、その結果を、モノクローナ
ル抗体2990.7を負の対照とした図20(MN)および21(II
IB)に示した。
最後に、シンシチウム分析法では、MNウィルスで慢性
的に感染したH9細胞を、モノクローナル抗体NM−01の希
釈液で、37℃にて、1時間インキュベートした。指標細
胞系C8166からの細胞を添加し(3×104細胞/ウェ
ル)、プレートを、37℃にて、2〜12時間さらにインキ
ュベートした。白血球細胞直径の3倍以上の大きさのシ
ンシチウムの数を計測し、抗体の欠如に関して、対照感
染H9細胞と比較した。その結果を、モノクローナル抗体
2990.7を負の対照とした図22に示した。
三つの分析結果は、ヒト型化NM−01抗体HuVH/HuVKF
が、HIV−1のMNおよびIIIB単離株の中和において、マ
ウスNM−01モノクローナル抗体と等価あるいはそれ以上
の中和効果を呈することを実証するものである。
本願発明は、好適な実施例に関して記述してきたが、
修正や変更が当業者によってなされるものと考えられ
る。それ故、請求した発明の範疇と等価の発明をすべて
包含する添付した請求の範囲を希求する次第である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/06 - 15/08 C12P 21/08 C12N 5/12 - 5/28 C07K 16/10 WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG) CAS(STN) MEDLINE(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1に示したアミノ酸配列を必須的
    に含むHIV−1gp120またはgp160のアミノ酸配列に特異的
    に結合する能力、および逆転写酵素、p24、MT−2およ
    びシンシチウム形成分析において、活性HIV−1株MNお
    よびIIIBによるH9細胞の感染をin vitroにて中和する能
    力を有するモノクローナル抗体であって、前記モノクロ
    ーナル抗体が、A.T.C.C.受託番号HB 10726が付与された
    ハイブリドーマ細胞系が産生したモノクローナル抗体NM
    01の全ての相補的決定領域のアミノ酸の配列を含むヒト
    抗体可変領域を必須的に含む、ことを特徴とするモノク
    ローナル抗体。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のモノクローナル抗体をコ
    ードするポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】前記モノクローナル抗体の発現を許容する
    方法で、請求項2に記載のポリヌクレオチドで安定裏に
    形質転換した宿主細胞。
  4. 【請求項4】モノクローナル抗体を製造する方法であっ
    て、以下の工程、すなわち; (a)請求項3に記載の宿主細胞を適切な培地で成長さ
    せ、 および、 (b)前記宿主細胞あるいはその成長培地からモノクロ
    ーナル抗体を単離する工程を含み、および 前記モノクローナル抗体が、配列番号:1に示したアミノ
    酸配列を必須的に含むHIV−1 gp120またはgp160のアミ
    ノ酸配列に特異的に結合する能力、および逆転写酵素、
    p24、MT−2およびシンシチウム形成分析において、活
    性HIV−1株MNおよびIIIBによるH9細胞の感染をin vitr
    oにて中和する能力を有し、かつA.T.C.C.受託番号HB 10
    726が付与されたハイブリドーマ細胞系が産生したモノ
    クローナル抗体NM01の全ての相補的決定領域のアミノ酸
    の配列を含むヒト抗体可変領域を必須的に含むモノクロ
    ーナル抗体である、 ことを特徴とするモノクローナル抗体を製造する方法。
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