JP2888950B2 - 電子制御流体圧サスペンション - Google Patents

電子制御流体圧サスペンション

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JP2888950B2 JP22710090A JP22710090A JP2888950B2 JP 2888950 B2 JP2888950 B2 JP 2888950B2 JP 22710090 A JP22710090 A JP 22710090A JP 22710090 A JP22710090 A JP 22710090A JP 2888950 B2 JP2888950 B2 JP 2888950B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、車体及び各車輪間に流体圧シリンダを個
別に介装し、この流体圧シリンダ内の作動流体を給排す
ることにより車高調整可能な電子制御流体圧サスペンシ
ョンの改善に関する。
〔従来の技術〕
従来、この種の車高調整機能を備えた電子制御流体圧
サスペンションとしては、例えば本出願人が提案してい
る特開昭63−154413号記載のもの(「発明の名称は「車
高調整装置」)が知られている。
この従来装置は、各輪位置に設けられ空気室等の流体
室を含むサスペンション装置と、前輪側及び後輪側の
内、一方の側(通常,後輪側)の左右流体室を連通,遮
断状態に切換可能な連通手段とを備え、この連通手段に
より連通状態とされた一方の側の左右流体室及び左右独
立のままの他方の側の流体室との間で見かけ上の力調整
点である3軸の車高調整点(第7図(a)(b)中のa,
b,c点)により三角形状の安定領域(同図中の斜視内)
を形成して、各流体室に対する作動流体の給排を制御し
て車体を目標車高範囲に調整しようとするものである。
これにより、4輪独立して車高調整する場合の4輪の
力の釣り合いに対する不静定を防止できるが、左右のシ
リンダを連通させると(連通配管の抵抗は小さいとす
る)、連通させた側の左右のバネ定数が小さくなってロ
ール剛性は非常に小さくなる。そこで、走行中に車高調
整を行う場合、フロント側のロール剛性を高く保って走
行安定性を確保するため、通常、リヤ側を連通させ、第
7図(b)の状態としている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述した、走行中においてはリヤ側を
連通させるという構成の従来装置を、セカンドシート,
サードシートを有するワンボックスカーの如く、リヤ側
の荷重変動が大きく、しかも左右輪で荷重差が発生し易
い商用車に適用した場合、リヤ側の荷重が大きいと、低
速で走行しており走行安定性がさほど問題にならない状
態での車高調整において、リヤ先のロール剛性低下に因
り、却って、操安性の低下が顕著になるという状況が見
受けられた。
本願発明は、このような従来技術が有する未解決の問
題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題
は、走行中に車高調整を3軸で行う場合であっても、操
安性の低下を防止するとともに、高速走行時には安定性
確保を優先させるようにすることである。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するため、本願発明は第1図に示すよ
うに、車体及び各車輪間に個別に介装され車体荷重を支
持する流体圧シリンダ100と、この各流体圧シリンダ100
のシリンダ室と流体圧源101との間の流体給排通路を開
閉可能な制御弁102と、この制御弁102による作動流体の
給排を制御する車高調整手段103とを備えた電子制御流
体圧サスペンションにおいて、車両前後に個別に設けら
れ且つ車両左右の前記流体圧シリンダ100のシリンダ室
を連通状態及び非連通状態に切換可能な連通手段104を
備えるとともに、車速を検出する車速検出手段105と、
車両前後における荷重を個々に検出する前後荷重検出手
段106と、前記車高調整手段103による車高調整開始時か
否かを判断する車覆調整開始時判断手段107と、この車
高調整開始時判断手段107が車高調整開始時を判断した
場合、前記車速検出手段105の検出値が基準値よりも低
いときは、前記前後荷重検出手段106の検出値に基づき
車両前後で荷重の軽い方の前記連通手段104を連通状態
にさせ、前記車速検出手段105の検出値が基準値以上の
ときは車両後側の前記連通手段104を連通状態にさせる
連通制御手段108を設けている。
〔作用〕
車高調整が必要な状態になると、車高調整手段103が
各制御弁102に指令を与えて各輪の流体圧シリンダ100の
作動流体を給排させ、これにより実車高値を目標車高範
囲内に収めるが、この車高調整が開始される時期は車高
調整開始時判断手段107により監視されている。
このため、車高調整開始時判断手段107が車高調整の
開始時を判断した場合、車速検出手段105の検出値が基
準値よりも低いときは、前後荷重検出手段106の検出値
に基づき車両前後で荷重の軽い方の連通手段104を連通
状態にさせる。これにより、前述した車高調整は車両前
後で連通した側と独立した左右側に係る力の3軸制御と
なり、圧力平衡に起因してロール剛性が低下することに
因る4輪の荷重偏差の拡大が防止される。したがって、
商用車などの後輪側の荷重変動が大きく、しかも左右輪
で荷重差が発生し易い車両でも、低速走行中における操
安性低下が防止される。これに対し、車速検出値が基準
値以上のときには、車両後側の連通手段104を常時連通
状態にさせる。これにより、前述した車高調整は後輪側
と独立した前輪左右側に係る力の3軸制御となり、後輪
側のロール剛性が低下し、ステア特性がアンダーステア
化され、高速走行中の車高調整状態における走行安定性
が優先される。
〔実施例〕
以下、本願発明の一実施例を第2図乃至第6図に基づ
いて説明する。本実施例は金属スプリング等の補助バネ
を持たず、車体重量を流体圧シリンダの発生する力で受
けるフル・ハイドロニューマチックサスペンションにつ
いて実施している。
第2図において、2FL〜2RRは前左〜後右車輪を,4は車
輪側部材を,6は車体側部材を夫々示し、8は電子制御油
圧サスペンション(電子制御流体圧サスペンション)を
示す。
電子制御油圧サスペンション8は、流体圧源としての
油圧源を成す油圧ポンプ10及びオイルタンク12と、この
油圧源の負荷側に配設されたアキュムレータ14,チェッ
ク弁16,油圧源側油路開閉部18及び前輪側,後輪側油路
開閉部20F,20Rと、各輪2FL〜2RR毎に設置されたサスペ
ンション特性可変機構22FL〜22RRと、流体圧シリンダと
しての油圧シリンダ24FL〜24RRと、車高センサ26FL〜26
RR,圧力センサ27FL〜27RR,加速度センサ28,及び車速セ
ンサ29を含むセンサ群と、コントローラ30とを備えてい
る。
この内、油圧ポンプ10は車両エンジンを駆動源として
回転し、パワーステアリング装置及び油圧サスペンショ
ン8に油圧を吐出するタンデム型ポンプにより構成され
る。この油圧ポンプ10の吸い込み側は配管31によりオイ
ルタンク12に接続され、その吐出側は配管32に接続され
ている。この配管32の負荷側は、脈動吸収用のアキュム
レータ14に連通されるとともに、チェック弁16を介して
油圧源側油路開閉部18に接続される。
この油路開閉部18は、電磁操作型2ポートの切換弁34
と、所定リリーフ圧のリリーフ弁36と、油路を前後輪に
分配するデバイダ38とから成り、配管32は切換弁34,リ
リーフ弁36及び分流器38の油圧源側各ポートに連通して
いる。切換弁34は、その電磁ソレノイドに供給される制
御信号S1がオフのときに連通位置をとり、制御信号S1
オンのときに遮断位置をとる、常時開の構造を有する。
この切換弁34及びリリーフ弁36のタンク側ポートは配管
40によってオイルタンク12に接続されている。配管40の
途中には濾過用のフィルタ42が介挿されている。分流器
38の負荷側の2つのポートには配管32F,32Rが各々接続
され、この配管32F,32Rが前輪側,後輪側油路開閉部20
F,20Rに各々接続されている。
前輪側油路開閉部20Fは、その油圧源側の位置におい
て入力ポートが配管32Fに接続された分流器42Fを備え、
この分流器42Fの負荷側に流量制限形チェック弁44FL,44
FR、電磁操作形2ポート切換弁46FL,46FR,48F、及びリ
リーフ弁50FL,50FRを備えている。これを詳述すると、
分流器42Fの2つの負荷側ポートは前左,前右輪側に対
応する配管32FL,32FRの一端に各々接続されている。こ
の内、前左輪側の配管32FLの他端は、逆止弁44FL,切換
弁46FLを介して別の切換弁48Fの一方のポート,及びリ
リーフ弁50FLの高圧側ポートに連通するとともに、前左
輪側のサスペンション特性可変機構22FLに至る。前右輪
側の配管32FRの他端も同様に、逆止弁44FR,切換弁46Fを
介して別の切換弁48Fの他方のポート,及びリリーフ弁5
0Fの高圧側ポートに連通するとともに、前左輪側のサス
ペンション特性可変機構22FRに至る。
配管32FL,32FRの各々に直列に介挿された切換弁46FL,
46FRは、その電磁ソレノイドに供給される制御信号S2
オフのときに内蔵するチェック弁に拠る遮断位置をと
り、制御信号S2がオンのときに連通位置をとる、常時閉
の構造を有する。また、配管32FL,32FR間に介挿される
切換弁48Fも、その電磁ソレノイドに供給される制御信
号S3がオフのときに内蔵するチェック弁に拠る遮断位置
をとり、制御信号S3がオンのときに連通位置をとる、常
時閉の構造を有する。
さらに、後輪側油路開閉部20Rも、後左,後右輪側に
作動油を分流させる分流器42R,流量制限形チェック弁44
RL,44RR,電磁操作形2ポート切換弁46RL,46RR,48R、及
びリリーフ弁50RL,50RRを備え、配管32RL,32RRを介して
前輪側と同一に接続されている。ここで、上記各リリー
フ弁50FL〜50RRは、負荷側の異常な圧力上昇を防止する
もので、通常採り得る圧力範囲よりも高い所定リリーフ
圧に設定され、その低圧側ポートは配管52によってタン
ク12に接続されている。
サスペンション特性可変機構22FL〜22RRの各々は、ガ
スばねとしてのフリーピストン形の第1,第2のアキュム
レータ54,56と、バネ定数可変用の2ポート切換弁58
と、減衰力を発生させる可変絞り60とを備えている。そ
して、配管32FLに、第1のアキュムレータ54が直接接続
され、第2のアキュムレータ56が切換弁58を介して接続
されるとともに、配管32FLに直列に可変絞り60FLを介挿
させている。切換弁58はモータ58Aをアクチュエータと
してその開,閉位置が切り換えられ、モータ58Aは駆動
信号S4によって回転するようになっている。また可変絞
り60もモータ60Aの回転に付勢されてその流路の広,狭
が調整され、モータ60Aには駆動信号S5が供給されるよ
うになっている。
さらに、油圧シリンダ24FL〜24RRの各々は第2図に示
すように、シリンダチューブ24aを有し、このシリンダ
チューブ24aにはピストン24bにより隔設された圧力室L
が形成されている。この圧力室Lに配管32FL(〜32RR)
が接続されている。そして、前輪側油圧シリンダ24FL,2
4FRでは、そのシリンダチューブ24aが車輪側部材4に取
り付けられ、ピストンロッド24cの端部が車体側部材6
に取り付けられ、反対に、後輪側油圧シリンダ24RL,24R
Rでは、そのシリンダチューブ24aが車体側部材6に取り
付けられ、ピストンロッド24cの端部が車輪側部材4に
取り付けられている。
上述した油圧シリンダ24FL〜24RRの取り付け状態を詳
述すると、前輪2FL,2FR側の油圧シリンダ24FL,24FRはス
トラット形であって車輪側部材4に立設される一方で、
後輪2RL,2RR側の油圧シリンダ24RL,24RRは第3図に示す
如く車体フロアーにほぼ水平の横置き形に配置されてい
る。この第3図の構成(同図では後左輪側の油圧シリン
ダ24RRのみを示すが、後右輪側でも同様である)におい
て、油圧シリンダ24RL,第1,第2のアキュムレータ54,5
6,可変絞り60を含むアクチュエータ部Aが、車体側部材
としてのサスペンションメンバー6のブラケット6Aとア
ッパーアーム4Uとの間で、車体前方向に窄む斜めのジオ
メトリーで横置きされている。アッパーアーム4Uは車体
上下方向及び車幅方向からみて略A字状を成し、且つ、
車体前方からみて略L字状を成すもので、その両角部が
サスペションメンバー6に回動可能に取り付けられ、そ
の縦壁の頂点部に油圧シリンダ24RLのピストンロッド24
cがブッシュを介して連結されている。なお、図中、4A
は、アッパーアーム4Uとともに車輪側部材を形成するア
クスルハウジングであり、4Lは、サスペンションメンバ
ー6及びアクスルハウジング4A間に揺動可能に取り付け
られたロアアーム、4Rは、ラテラルロッドである。
このため、油圧シリンダ24RLがその車体フロアーにほ
ぼ水平な軸方向に伸長すると、アッパーアーム4Uが両角
部を基点に図中a方向に回転し、車体及び車輪間の相対
離間量が増えて車高値が上がる。反対に、油圧シリンダ
24RLが縮小すると、アッパーアーム4Uが図中b方向に回
転し、車高値が下がる。
一方、第2図に戻って、車高センサ26FL〜26RRはポテ
ンショメータ等で構成され、前輪側のセンサ26FL,26Fは
車輪側部材4及び車体側部材6間に取り付けられ、その
相対離間量に応じた電圧値の車高信号HFL,HFRをコント
ローラ30に出力するとともに、後輪側のセンサ26RL,26R
Rはロアアーム4Lとサスペンションメンバー6間に取り
付けられ、ロアアーム4Lの傾きに応じた電圧値の車高信
号HRL,FRRをコントローラ30に出力する。圧力センサ27F
L〜27RRは、前輪側,後輪側油路開閉部20F,20Rにおいて
配管32FL〜32RRの負荷側位置に各々接続され、該接続位
置の圧力を油圧シリンダ24FL〜24RRの内部圧として検出
するもので、その圧力に応じた電圧値の圧力信号PFL〜P
RRをコントローラ30に出力するようになっている。
また、加速度センサ28は車体の所定位置に装備され、
車体に作用する横(車幅)方向及び前後方向の加速度に
応じた信号Gをコントローラ30に出力する。車速センサ
29は例えば変速機の出力軸の回転数を検知すること等に
よって、車速に応じた信号Vをコントローラ30に出力す
るようになっている。
コントローラ30は第4図に示すように、入力する車高
検出信号HFL〜HRR,圧力検出信号PFL〜PRR及び加速度検
出信号Gをゲイン倍するゲイン調整器70と、このゲイン
調整器70の出力をディジタル化するA/D変換器72と、入
力する車速検出信号Vを入力するインターフェイス回路
74と、A/D変換器72及びインターフェイス回路74の出力
信号を取り込んで所定の処理を行うマイクロコンピュー
タ(CPU)76と、このコンピュタ76が出力した制御信号
に応じて各ソレノイド及びモータ駆動する駆動回路78と
を備えている。また、コントローラ30はイグニッション
スイッチのオフ後も、所定時間電源オンを維持する機構
を備えている。
マイクロコンピュータ76は、所定のプログラムに基づ
いて、加速度信号Gを入力し、切換弁58のモータ58A及
び可変絞り60のモータ60Aの回転を制御して、ばね定数
及び減衰力を走行状態に応じて制御する一方、後述する
第5図に基づく車高制御を行うようになっている。
次に、本実施例の動作を説明する。
最初に、コントローラ30で実施される第5図のフロー
チャートを説明する。コントローラ30は電源オンで起動
し、第5図の処理を開始する。マイクロコンピュータ76
は、そのステップで所定の初期化を実施した後、ステ
ップに移行し、車高検出信号HFL(〜HRR)をゲイン調
整器70,A/D変換器72を介して入力し、その値を車高値と
して一時記憶する。次いでステップに移行して、4輪
について車高値読み込み終了か否かを判断し、「YES」
の場合はステップに移行する。ステップでは、各輪
の車高値HFL〜HRRに対する平均値を演算し、この後ステ
ップに移行する。
ステップにおいて、マイクロコンピュータ76は、ス
テップで演算した車高平均値を予め記憶している目標
車高域とを比較し、実車高値が目標車高域から外れてい
るか否かにより車高調整が必要かどうか判断する。この
判断で「NO」の場合は再びステップに戻り、上述した
処理を繰り返すが、「YES」の場合は車高調整が必要で
あるとしてステップに移行する。
ステップでは車高調整禁止か否かの判断を行う。こ
の判断は、後述する車高調整の低下制御中に、例えばシ
リンダ圧が下限設定値以下に至った状態を示す情報に基
づき行われる。
このステップの判断で「YES」,車高調整禁止の場
合はステップに戻り、一方、「NO」,即ち車高調整禁
止状態でない場合はステップに移行する。このステッ
プにおいてマイクロコンピュータ76は圧力センサ27FL
(〜27RR)の検出信号PFL(〜PRR)をゲイン調整器70及
びA/D変換器72を介して読み込み、その値を圧力値とし
て記憶する。次いで、ステップに移行し、ノイズの影
響を回避するために、ステップの入力値を各輪毎に平
均化する。
この後、ステップに移行し、以上の処理が4個の圧
力値について終了したか否か判断し、「NO」の場合はス
テップ〜を繰り返し、「YES」の場合はステップ
,に移る。
ステップでは、ステップにおける演算値PFL,PFR
を用いてフロント側の左右圧平均値PFが、PF=(PFL+P
FR)/2の式で演算され、ステップでは、ステップに
おける演算値PRL,PRRを用いてリヤ側の左右圧平均値PR
が、PR=(PRL+PRR)/2の式で演算される。
この後、マイクロコンピュータ76はステップで車高
センサ29の検出信号Vをインターフェイス回路74を介し
て読み込み、その値を車速値として記憶する。次いで、
ハンチング防止を考慮したステップ〜の判断に移行
する。
ステップでは読み込んだ車高値Vが基準値V1に対し
て、V>V1か否かが判断され、「YES」の場合はステッ
プに移行してモードフラグFを立て、一方、「NO」の
場合はステップの判断を行う。モードフラグFはフロ
ント側,リヤ側の何れを連通させるかを設定するもの
で、モードフラグF=1は車高調整時にリヤ側を常時連
通させておく「モードA」(第6図参照)に対応し、モ
ードフラグF=0は車高調整時に車重の軽い方のフロン
ト側,リヤ側の何れかを連通させる「モードB」(第6
図参照)に対応している。
ステップでは基準値V0(V1)に対して、V<V0か否
かが判断され、「YES」のときはステップに移行して
モードフラグF=0に設定し、「NO」のときはステップ
の判断に移行する。このステップで、マイクロコン
ピュータ76は前回の処理時に「モードA」であったか否
かを、モードフラグF=1か否かにより判断し、「YE
S」のときはステップに、「NO」のときはステップ
に処理を進める。
以上のステップ〜の判断からステップに移行す
る状態は以下の場合である。つまり、第6図のヒステリ
シス特性で示すように、車速Vが基準値V1を越えて増加
し、「モードB」から「モードA」に新たに切り換えら
れたか、又は、前回「モードA」での車高調整が行わ
れ、その後低速走行となったが、車速Vが未だ基準値V0
(<V1)以下となっていない場合である。これに対し、
ステップに移行する状態は、第6図のヒステリシス特
性で示すように、車速Vが基準値V0を越えて低下し、
「モードA」から「モードB」に新たに切り換えられた
か、又は、前回「モードB」での車高調整が行われ、そ
の後高速走行となったが、車速Vが未だ基準値V1以上と
なっていない場合である。
そこで、ステップにおいてはモードフラグF=1が
維持又は設定され、ステップにおいてはF=0が維持
又は設定される。
さらに、ステップの処理を終えると、ステップ,
の処理が実施される。この内、ステップで、マイク
ロコンピュータ76は駆動回路78を介してフロント側の電
磁切換弁48Fへの制御信号S3をオフに維持したまた、リ
ヤ側の電磁切換弁48Rに供給する制御信号S3をそれまで
のオフからオンに切り換える。これにより、電磁切換弁
48Rのみが連通状態になり、それまでの4輪独立のシリ
ンダ圧状態から、リヤ側の油圧シリンダ24RL,24RRが連
通により同圧となり、車体に作用する力の点では見かけ
上3軸の状態(第7図(b)参照)になる。
このように3軸制御の準備が完了すると、ステップ
に移行し、車高調整を実施する。この車高調整は例えば
特開昭63−154413号記載のように周知の手法に基づき実
施されるとともに、その車高低下調整中に、圧力値PFL
〜PRRが下限基準値よりも低下する等の車高調整禁止状
態の成立も併せてチェックされる。
この3軸制御が済むと、マイクロコンピュータ76はそ
の処理をステップに進め、ステップで指令したリヤ
側切換弁48Rへの制御信号S3をオンからオフへ切り換え
る。これにより、再びフロント側,リヤ側の電磁切換弁
48F,48Rが非連通となり、4輪独立のシリンダ圧状態に
戻る。このステップの後は、ステップに戻って電源
オフとなるまで上述した処理が繰り返される。
一方、ステップの処理を終えると、ステップ〜
の処理が実施される。この内、ステップではステップ
,で演算したフロント側,リヤ側の左右圧平均値
PF,PRに対して、PF>PRか否かを判断する。この判断
は、圧力値PF,PRがフロント側,リヤ側に個別に掛かっ
ている車重に比例しているので、圧力値PF,PRの比較に
よって荷重の比較を行おうとするものである。そこで、
ステップにて「YES」の場合は、リヤ側の荷重の方が
軽いとしてリヤ側を連通させるべく、前述したステップ
に移行し、その後、ステップ,の処理を行う。し
かし、ステップにて「NO」の場合はフロント側の荷重
の方が軽いとしてフロント側のみ連通させるべくステッ
プに移行する。
このステップでは、前述したステップと反対に、
リヤ側の電磁切換弁48Rへの制御信号S3をオフに維持し
たまま、フロント側の電磁切換弁48Fに供給する制御信
号S3をそれまでのオフからオンに切り換える。これによ
り、フロント側の電磁切換弁48Fのみが連通状態にな
り、それまでの4輪独立のシリンダ圧状態から、フロン
ト側の油圧シリンダ24FL,24FRが連通により同圧とな
り、車体に作用する力の点では見かけ上3軸の状態(第
7図(a)参照)になる。
このように3軸制御の準備が完了すると、ステップ
に移行し、ステップと同様に車高調整が実施される。
この3軸制御が済むとステップにて、ステップで
指令したフロント側切換弁48Fへの制御信号S3をオンか
らオフへ切り換える。これにより、再びフロント側,リ
ヤ側の電磁切換弁48F,48Rが非連通となり、4輪独立の
シリンダ圧状態に戻る。このステップの後はステップ
に戻って電源オフとなるまで上述した処理が繰り返さ
れる。
本実施例では、油圧源側の電磁切換弁34及び各輪負荷
側の電磁切換弁46FL〜46RRが本願発明の各制御弁に相当
し、電磁切換弁48F及び配管32FL,32FR並びに電磁切換弁
48R及び配管32RL,32RRが各連通手段に相当し、車高セン
サ26FL〜26RR及び第5図ステップ〜,,の処理
が車高調整手段を構成し、車速センサ29及び同図ステッ
プの処理が車速検出手段を構成し、さらに圧力センサ
27FL〜27RR及び同図ステップ〜の処理が前後荷重検
出手段を構成している。また、同図ステップの処理が
車高調整開始時判断を構成し、同図ステップ〜,
〜,の処理が連通制御手段を構成している。
次に、本実施例の全体動作を説明する。
いまイグニッションスイッチがオン状態にあるとする
と、コントローラ30は、加速度センサ28の検出信号Gに
基づき、所定のロール条件や加速,減速条件が成立した
ときには、ガスばね定数大,減衰力大の方向に電磁切換
弁58及び可変絞り60を制御して走行中の車体姿勢の変化
を抑制するとともに、それらの条件が成立しないときに
は、ガスばね定数小、減衰力小の方向に制御して路面か
ら車体に伝達される振動を小さくし、乗心地を良好にす
る。
また、イグニッションスイッチがオン状態になると、
前述した第5図の処理が並行して実施され、車高調整の
必要がある場合、(第5図ステップ参照)は、車高調
整禁止の状態を除いて車高制御の準備に入る。この準備
は、フロント側,リヤ側の荷重をシリンダ圧を介してチ
ェックすること、及び、車速値Vをチェックすることに
よって行われる(第5図ステップ〜,参照)。
つまり、停車時を含めて、車速Vが基準値V0よりも低
い低速の場合には、前後の荷重を前後平均圧から推定
し、モードBの連通制御,即ち荷重の軽い方の切換弁48
F又は48Rを開状態にしてシリンダ圧を同一にする制御が
なされる。これにより、前輪側を共通又は後輪側を共通
とする車高制御の力の3軸が前述した第7図(a),
(b)のように設定され、この3軸制御により車高制御
が実施されるから、各輪のシリンダ圧が独立している4
軸制御のような各輪の力の不静定が排除された状態で実
車高値が目標車高値に設定される(第5ステップ,
参照)。車高調整が終了すると、再び元の4輪独立の圧
力状態に戻される。
このように、上述した車高制御中は、荷重の重い方は
左右独立のシリンダ圧になっているので、荷重の重い側
のロール剛性が3軸制御のために低下してしまうという
ことが無く、4輪の荷重偏差が小さい値に維持される。
例えば、積載等に因って後輪荷重の方が大きい商用車の
場合には、その低速走行中の車高調整は、フロント側の
シリンダ圧を連通させた3軸制御となるから、左右後輪
間で荷重差が発生した場合でも、後輪側の高いロール剛
性によって4輪の荷重偏差が小さくなる。これにより、
走行中はその車速の如何に関わらず、常にリヤ側のシリ
ンダ圧を連通させる構成ものに比べて、良好な操縦安定
性が維持される。
なお、加速させた場合でも、車速値Vが基準値V1未満
の場合には、上述したモードBの連通状態に係る車高制
御が実施される。
しかし、車速値Vが高速側の基準値V1以上になった状
態で、車高値を下げるべく、予め設定されているプログ
ラム化に拠って目標車高値が下がったこと等に起因して
車高調整の要求があったとする。この場合には、前述し
たように前後の荷重を考慮することなく、常にモードA,
即ちリヤ側を連通させた3軸(第7図(b)の状態参
照)が設定され、この3軸にて車高制御が静定性良く実
施される(第5図ステップ,,参照)。このた
め、後輪側のロール剛性が下げられ、ロール剛性の前後
分担では前輪側の分担比率が高められることから、ステ
ア特性全体がアンダーステア化されて、高速走行時の安
定性確保が優先される。
また、高速走行状態から減速させた場合でも、車速値
Vが低速側基準値V0を越えて低下するまでの間は、車高
調整の要求に関わらず、上述したモードAに拠る3軸の
車高調整が実施される。このように、本実施例ではモー
ドA,B間の切換に対する閾値をV0,V1の2段階とし、ヒス
テリシス特性を持たせているので、モードA,B間の切換
に関するハンチング現象を防止でき、切換の安定性を図
ることができる。
なお、上記実施例は後輪側の油圧シリンダを横置き形
式とした場合を説明したが、本願発明は必ずしもこれに
限定されることなく、流体圧シリンダをバネ上,バネ下
間に立設する構成としてもよいことは勿論である。
また、本願発明における前後荷重検出手段は、前述し
た実施例のように必ずしも圧力センサを用いた構成のも
のに限定されることなく、荷重センサを流体圧シリンダ
と車体との間に設けて、荷重を直接電気信号に変換して
求める構成であってもよい。
さらに、本願発明での作動流体は必ずしも前述したよ
うに作動油に限定されることがなく、圧縮率の少ない気
体を使用することもできる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本願発明では、車両左右の流体圧
シリンダのシリンダ室を連通状態及び非連通状態に切換
可能な連通手段を車両前後に個別も設け、車速が基準値
よりも低いときは、車両前後で荷重の軽い方の連通手段
を連通状態にし、車速が基準値以上のときは車両後側の
連通手段を常時連通状態にするとしたため、車両が所定
の低速走行状態では、3軸の車高調整が実施され、その
3軸設定は荷重の重い方のシリンダ圧を独立に保持して
なされるので、その荷重の重い方のロール剛性が低下す
るという状態が排除され、これにより4輪の荷重偏差の
拡大が最小限に抑えられて、操安性の悪化が防止され
る。このため、商用車のように後輪の荷重変動が大きく
且つ左右輪で荷重差が発生し易い車両であっても、後輪
側の積載荷重が大きい場合にはフロント側を連通させた
状態となり、リヤ側の大幅なロール剛性低下に起因した
操縦安定性の悪化が防止される。これに対し、車両が所
定の高速走行状態では、車高調整は、常にリヤ側の連通
に拠る3軸設定の状態でなされるから、アンダーステア
化によって走行安定性が確保されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はクレーム対応図、第2図乃至第6図は本願発明
の一実施例を示す図であって、第2図は全体構成を示す
ブロック図、第3図は後左輪側のアクチュエータ部の配
置を示す部分斜視図、第4図はコントローラのブロック
図、第5図はコントローラの車高調整に関する処理手順
の一例を示す概略フローチャート、第6図は連通切換を
示す特性図である。第7図(a)はフロント側を連通さ
せたときの3軸の説明図、第7図(b)はリヤ側を連通
させたときの3軸の説明図である。 図中、100……流体圧シリンダ、101……流体圧源、102
……制御弁、103……車高調整手段、104……連通手段、
105……車速検出手段、106……前後荷重検出手段、107
……車高調整開始時判定手段、108……連通制御手段、 4……車輪側部材、6……車体側部材、8……電子制御
油圧サスペンション、10……油圧ポンプ、12……リザー
バータンク、24FL〜24RR……油圧シリンダ、26FL〜26RR
……車高センサ、27FL〜27RR……圧力センサ、29……車
速センサ、30……コントローラ、34……電磁切換弁、46
FL〜46RR……電磁切換弁、である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森 保生 岐阜県可児市土田2548番地 カヤバ工業 株式会社岐阜北工場内 (72)発明者 高瀬 孝次 岐阜県可児市土田2548番地 カヤバ工業 株式会社岐阜北工場内 (72)発明者 可児 旭 岐阜県可児市土田2548番地 カヤバ工業 株式会社岐阜北工場内 (56)参考文献 特開 平4−100712(JP,A) 特開 昭62−83210(JP,A) 特開 昭63−41225(JP,A) 特開 昭59−63216(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/00 - 23/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体及び各車輪間に個別に介装され車体荷
    重を支持する流体圧シリンダと、この各流体圧シリンダ
    のシリンダ室と流体圧源との間の流体給排通路を開閉可
    能な制御弁と、この制御弁による作動流体の給排を制御
    する車高調整手段とを備えた電子制御流体圧サスペンシ
    ョンにおいて、 車両前後に個別に設けられ且つ車両左右の前記流体圧シ
    リンダのシリンダ室を連通状態及び非連通状態に切換可
    能な連通手段を備えるとともに、車速を検出する車速検
    出手段と、車両前後における荷重を個々に検出する前後
    荷重検出手段と、前記車高調整手段による車高調整開始
    時か否かを判断する車両調整開始時判断手段と、この車
    高調整開始時判断手段が車高調整開始時を判断した場
    合、前記車速検出手段の検出値が基準値よりも低いとき
    は、前記前後荷重検出手段の検出値に基づき車両前後で
    荷重の軽い方の前記連通手段を連通状態にさせ、前記車
    速検出手段の検出値が基準値以上のときは車両後側の前
    記連通手段を連通状態にさせる連通制御手段を設けたこ
    とを特徴とする電子制御流体圧サスペンション。
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