JP2839912B2 - 車両のサスペンション装置 - Google Patents

車両のサスペンション装置

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JP2839912B2 JP25363589A JP25363589A JP2839912B2 JP 2839912 B2 JP2839912 B2 JP 2839912B2 JP 25363589 A JP25363589 A JP 25363589A JP 25363589 A JP25363589 A JP 25363589A JP 2839912 B2 JP2839912 B2 JP 2839912B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は車両のサスペンション装置に関するものであ
る。
(従来技術及びその問題点) 車両のサスペンションは、一般にパッシブサスペンシ
ョンと呼ばれるように、油圧緩衛器とばね(一般にコイ
ルばね)とからなるダンパーユニットを有して、あらか
じめ設定されたダンパーユニットの特性によってサスペ
ンション特性が一律に設定される。勿論、油圧緩衛器の
減衰力を可変にすることも行われているが、これによっ
てサスペンション特性が大きく変更されるものではな
い。
一方、最近では、アクティブサスペンションと呼ばれ
るように、サスペンション特性を任意に変更し得るよう
にしたものが提案されている、このアクティブサスペン
ションにあっては、基本的にばね上重量とばね下重量と
の間にシリンダ装置が架設されて、該シリンダ装置に対
する作動液の供給と排出とを制御することによりサスペ
ンション特性が制御される(特公昭59−14365号公報参
照)。
すなわち、このアクティブサスペンションにおいて
は、車両の走行状態に応じて、ハード、ソフトあるいは
姿勢制御の他に、旋回時のロール制御等のためにサスペ
ンション特性が大きく変更され得る。
ところで、前進と後退とでは、例えばヨーイング等、
車両の走行特性が大きく異なる。また後退時には後ろを
見ながら運転しなければならない等、ドライバの運転姿
勢が大きく異なる。
しかしながら、アクティブサスペンションに所定のサ
スペンション特性を付与したときには、前進、後退を問
わず、そのサスペンション特性が発現されることにな
る。例えば、ソフトなサスペンション特性、つまり上下
動の収束性を弱めた特性が後退時に発現したときには、
視線の一定性を維持しにくくなる。
そこで、本発明の目的は、アクティブサスペンション
において、特に後退時の走行安定性を確保し得る車両の
サスペンション装置を提供することにある。
(問題点を解決するための手段、作用) 上記目的を達成するため、本発明はその第1の構成と
して次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲に
おける請求項1に記載のように、 ばね上重量とばね下重量との間にシリンダ装置が架設
され、該シリンダ装置に対する作動液の供給と排出とを
あらかじめ設定された条件に基づいて制御するようにし
た車両のサスペンション装置において、 車両の前進と後退とを判別する進行方向判別手段と、 該進行方向判別手段からの信号を受け、車両が前進す
るときには車両の運動状態に基づいて選択される逆ロー
ルまたは零ロールを目標値とする制御が行われる前進用
スペンション特性に、車両が後退するときには逆ロール
を禁止して零ロールを目標値とする制御が行われる後退
用サスペンション特性に切換える特性変更手段と、 を備えた構成としてある。
前記目的を達成するため、本発明はその第2の構成と
して次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲に
おける請求項2に記載のように、 ばね上重量とばね下重量との間にシリンダ装置が架設
され、該シリンダ装置に対する作動液の供給と排出とを
あらかじめ設定された条件に基づいて制御するようにし
た車両のサスペンション装置において、 車両の前進と後退とを判別する進行方向判別手段と、 該進行方向判別手段からの信号を受け、車両が前進す
るときには車高変位速度を抑制する車高変位速度に関す
る制御ゲインを車両の運動状態に基づいて可変とする制
御が行われる前進用サスペンション特性に、車両が後退
するときには該制御ゲインの変更を禁止して該制御ゲイ
ンを所定の一定値のままとした制御が行われる後退用サ
スペンション特性に切換える特性変更手段と、 を備えた構成としてある。なお、第1構成、第2の構成
は、ブロック図的に第8図に示される。
(発明の効果) 請求項1に記載された発明によれば、安定した運転姿
勢となる前進走行時には、車両の運動状態に基づいて選
択される逆ロールまたは零ロールを目標値とした積極的
なサスペンション制御を行いつつ、不安定な運転姿勢と
なって安全性や走行安定性が問題となる後退走行時には
逆ロールを禁止して零ロールを目標値としたサスペンシ
ョン制御を行って、前進走行と後退走行との両方に適し
たサスペンション特性とすることができる。
請求項2に記載された発明によれば、安定した運転姿
勢となる前進走行時には、変位速度を抑制する変位速度
に関する制御ゲインを車両の運転状態に基づいて可変と
する積極的なサスペンション制御を行いつつ、不安定な
運転姿勢となって安全性や走行安定性が問題となる後退
走行時には上記制御ゲインを一定値のままとしてその変
更を禁止して、前進走行と後退走行との両方に適したサ
スペンション特性とすることができる。
(実施例) 以下本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明す
る。なお、以下の説明で数字と共に用いる符号「F」は
前輪用、「R」は後輪用であり、また「FR」は右前輪
用、「FL」は左前輪用、「RR」は右後輪用、「RL」は左
後輪用を意味し、したがって、これ等を特に区別する必
要のないときはこれ等の識別符号を用いないで説明する
こととする。
作動液回路 第1図において、1(1FR、1FL、1RR、1RL)はそれぞ
れ前後左右の各車輪毎に設けられたシリンダ装置で、こ
れ等は、ばね下重量に連結されたシリンダ2と、該シリ
ンダ2内より延びてばね上重量に連結されたピストンロ
ッド3とを有する。シリンダ2内は、ピストンロッド3
と一体のピストン4によってその上方に液室5が画成さ
れているが、この液室5と下方の室とは連通されてい
る。これにより、液室5に作動液が供給されるとピスト
ンロッド3が伸長して車高が高くなり、また液室5から
作動液が排出されると車高が低くなる。
各シリンダ装置1の液室5に対しては、ガスばね6
(6FR、6FL、6RR、6RL)が接続されている。この各ガス
ばね6は、小径とされた4本のシリンダ状ばね7により
構成され、各シリンダ状ばね7は互いに並列にかつオリ
フィス8を介して液室5と接続されている。そして、こ
れ等4本のシリンダ状ばね7のうち、1本を除いて、残
る3本は、切換弁9を介して液室5と接続されている。
これにより、切換弁9を図示のような切換位置としたと
きは、4本のシリンダ状ばね7がそのオリフィス8を介
してのみ連通され、このときの減衰力が小さいものとな
る。また、切換弁9が図示の位置から切換わると、3本
のシリンダ状ばね7は切換弁9内に組込まれたオリフィ
ス10をも介して液室5と連通されることとなり、減衰力
が大きいものとなる。勿論、切換弁9の切換位置の変更
により、ガスばね6によるばね特性も変更される。そし
て、このサスペンション特性は、シリンダ装置1の液室
5に対する作動液の供給量を変更することによっても変
更される。
図中11はエンジンにより駆動されるポンプで、リザー
バタンク12よりポンプ11が汲上げた高圧の作動液が、共
通通路13に吐出される。共通通路13は、前側通路14Fと
後側通路14Rとに分岐されて、前側通路14Fはさらに右前
側通路14FRと、左前側通路14FLとに分岐されている。こ
の右前側通路14FRは、右前輪用シリンダ装置1FRの液室
5に接続され、また左前側通路14FLは、左前輪用シリン
ダ装置1FLの液室5に接続されている。この右前側通路1
4FRには、その上流側より、供給用流量制御弁15FR、遅
延弁としてのパイロット弁16FRが接続されている。同様
に、左前側通路14FLにも、その上流側より、供給用流量
制御弁15FL、パイロット弁16FLが接続されている。
右前側通路14FRには、両弁15FRと16FRとの間より右前
側通路用の第1リリーフ通路17FRが連なり、この第1リ
リーフ通路17FRは最終的に、前輪用リリーフ通路18Fを
経てリザーバタンク12に連なっている。そして、第1リ
リーフ通路17FRには、排出用流量制御弁19FRが接続され
ている。また、パイロット弁16FR下流の通路14FRは、第
2リリーフ通路20FRを介して第1リリーフ通路17FRに連
なり、これにはリリーフ弁21FRが接続されている。さら
に、シリンダ装置1FR直近の通路14FRには、フィルタ29F
Rが介設されている。このフィルタ29FRは、シリンダ装
置1FRとこの最も近くに位置する弁16FR、21FRとの間に
あって、シリンダ装置1FRの摺動等によってここから発
生する摩耗粉が当該弁16FR、21FR側へ流れるのを防止す
る。
なお、左前輪用の通路構成も右前輪用通路構成と同様
に構成されているので、その重複した説明は省略する。
前記共通通路13にはメインのアキュムレータ22が接続
され、また前輪用リリーフ通路18Fにもアキュムレータ2
3Fが接続されている。このメインのアキュムレータ22
は、後述するサブのアキュムレータ24と共に作動液の蓄
圧源となるものであり、シリンダ装置1に対する作動液
供給量に不足が生じないようにするためのものである。
また、アキュムレータ23Fは、前輪用のシリンダ装置1
内の高圧の作動液が低圧のリザーバタンク12へ急激に排
出されるのを防止、すなわちウオータハンマ現象を防止
するためのものである。
後輪用シリンダ装置1RR、1RLに対する作動液給排通路
も前輪用と同様に構成されているので、その重複した説
明は省略する。ただし、後輪用通路にあっては、パイロ
ット弁21FR、21FLに相当するものがなく、また後輪通路
14Rには、メインのアキュムレータ22からの通路長さが
前輪用のものよりも長くなることを考慮して、サブのア
キュムレータ24が設けられている。
前記共通通路13、すなわち前後輪用の各通路14F、14R
は、リリーフ通路25を介して、前輪用のリリーフ通路18
Fに接続され、該リリーフ通路25には、電磁開閉弁から
なる制御弁26が接続されている。
第1図中27はフィルタ、28はポンプ11からの吐出圧す
なわちアキュムレータ22に蓄圧される圧力が所定の範囲
内となるように調整するための蓄圧制御手段としての調
圧弁であり、この調圧弁28は、実施例ではポンプ11を可
変容量型斜板ピストン式として構成して、該ポンプ11に
一体に組込まれたものとなっている(吐出圧120〜160kg
/cm2)。
前記パイロット弁16は、前後用の通路14Fあるいは14
R、したがって共通通路13の圧力とシリンダ装置1側の
圧力との差圧に応じて開閉される。このため、前輪用の
パイロット弁16FR、16FLに対しては、通路14Fより分岐
された共通パイロット通路31Fが導出され、該共通パイ
ロット通路31Fより分岐された2本の分岐パイロット通
路のうち一方の通路31FRがパイロット弁16FRに連なり、
また他方の通路31FLがパイロット弁16FLに連なってい
る。そして、上記共通パイロット通路31Fには、オリフ
ィス32Fが介設されている。なお、後輪用のパイロット
通路も同様に構成されている。
上記各パイロット弁16は、例えば第2図のように構成
されており、図示のものは右前輪用のものを示してあ
る。このパイロット弁16は、そのケーシング33内に、通
路14FRの一部を構成する主流路34が形成され、該主流路
34に対して、通路14FRが接続される。上記主流路34の途
中には弁座35が形成され、ケーシング33内に摺動自在に
嵌挿された開閉ピストン36がこの弁座35に離着座される
ことにより、パイロット弁16FRが開閉される。
上記開閉ピストン36は、弁軸37を介して制御ピストン
38と一体化されている。この制御ピストン38は、ケーシ
ング33内に摺動自在に嵌挿されて該ケーシング33内に液
室39を画成しており、該液室39は、制御用流路40を介し
て分岐パイロット通路31FRと接続されている。そして、
制御ピストン36は、リターンスプリング41により、開閉
ピストン36が弁座35に着座する方向、すなわちパイロッ
ト弁16FRが閉じる方向に付勢されている。さらに、制御
ピストン38には、連通口42を介して、液室39とは反対側
において、主流路34の圧力が作用される。これにより、
液室39内(共通通路13側)の圧力が、主流路34内(シリ
ンダ装置1FR側)の圧力の1/4以下となると、開閉ピスト
ン36が弁座35に着座してパイロット弁16FRが閉じられ
る。
ここで、パイロット弁16FRが開いている状態から、共
通通路13側の圧力が大きく低下すると、オリフィス32F
の作用によりこの圧力低下は遅延されて液室39に伝達さ
れ、したがって当該パイロット弁16FRは上記圧力低下か
ら遅延して閉じられることになる(実施例ではこの遅延
時間を約1秒として設定してある)。
次に、前述した各弁の作用について説明する。
切換弁9 切換弁9は、実施例では、旋回中においてのみ減衰力
が大きくなるように切換作動される。
リリーフ弁21 リリーフ弁21は、常時は閉じており、シリンダ装置1
側の圧力が所定値以上(実施例では160〜200kg/cm2)に
なると、開かれる。すなわちシリンダ装置1側の圧力が
異常上昇するのを防止する安全弁となっている。
勿論、リリーフ弁21は、後輪用のシリンダ装置1RR、1
RLに対しても設けることができるが、実施例では、重量
配分が前側の方が後側よりもかなり大きく設定された車
両であることを前提としていて、後輪側の圧力が前輪側
の圧力よりも大きくならないという点を勘案して、後輪
側にはリリーフ弁21を設けていない。
流量制御弁15、19 供給用および排出用の各流量制御弁15、19共に、電磁
式のスプール弁とされて、開状態と閉状態とに適宜切換
えられる。ただし、開状態のときは、その上流側と下流
側との差圧がほぼ一定となるような差圧調整機能を有す
るものとなっている(流量制御の関係上、この差圧を一
定にすることが要求される)。さらに詳しくは、流量制
御弁15、19は、供給される電流に比例してそのスプール
の変位位置すなわち開度が変化され、この供給電流は、
あらかじめ作成、記憶された流量−電流の対応マップに
基づいて決定される。すなわち、供給電流が、そのとき
の要求流量に対応している。
この流量制御弁15、19の制御によってシリンダ装置1
への作動液供給と排出とが制御されて、サスペンション
特性が制御されることになる。
これに加えて、イグニッションOFFのときは、このOFF
のときから所定時間(実施例では2分間)、車高を低下
させる方向の制御だけがなされる。すなわち、降車等に
起因する積載荷重の変化を勘案してして車高が部分的に
高くなってしまうのを防止する(基準車高の維持)。
制御弁26 制御弁26は、常時は励磁されることによって閉じら
れ、フェイル時に開かれる。このフェイル時としては、
例えば流量制御弁15、19の一部が固着してしまった場
合、後述するセンサ類が故障した場合、作動液の液圧が
失陥した場合、ポンプ11が失陥した場合等がある。
これに加えて実施例では、制御弁26は、イグニッショ
ンOFFのときから所定時間(例えば2分)経過した後に
開かれる。
なお、この制御弁26が開いたときは、パイロット弁16
が遅れて閉じられることは前述の通りである。
パイロット弁16 既に述べた通り、オリフィス32F、32Rの作用により、
共通通路13の圧力が低下してから遅延して開かれる。こ
のことは、例えば流量制御弁15の一部が開きっぱなしと
なったフェイル時に、制御弁26の開作動に起因するパイ
ロット圧低下によって通路14FR〜14RLを閉じて、シリン
ダ装置1FR〜1RL内の作動液を閉じこめ、車高維持が行な
われる。勿論、このときは、サスペンション特性はいわ
ゆるパッシブなものに固定される。
制御系 第3図は、第1図に示す作動液回路の制御系統を示す
ものである。この第3図において、WFRは右前輪、WFLは
左前輪、WRRは右後輪、WRLは左後輪であり、Uはマイク
ロコンピュータを利用して構成された制御ユニットであ
る。この制御ユニットUには各センサあるいはスイッチ
51FR〜51RL、52FR〜52RL、53FR、53FL、53Rおよび61〜6
5からの信号が入力される。また制御ユニットUから
は、切換弁9、前記流量制御弁15(15FR〜15RL)、19
(19FR〜19RL)、制御弁26に対して出力される。
上記センサ51FR〜51RLは、各シリンダ装置1FR〜1RLに
設けられてその伸び量、すなわち各車輪位置での車高を
検出するものである。センサ52FR〜52RLは、各シリンダ
装置1FR〜1RLの液室5の圧力を検出するものである(第
1図をも参照)。センサ53FR、53FL、53Rは、上下方向
の加速度を検出するGセンサである。ただし、車両Bの
前側については前車軸上でほぼ左対称位置に2つのGセ
ンサ53FR、53FLが設けられているが、車両Bの後部につ
いては、後車軸上において左右中間位置において1つの
Gセンサ53Rのみが設けられている。このようにして、
3つのGセンサによって、車体Bを代表する1つの仮想
平面が規定されているが、この仮想平面は略水平面とな
るように設定されている。
センサ61は車速を検出するものである。上記センサ62
はハンドルの操作すなわち舵角を検出するものである。
制御ユニットUは、基本的には、第4図に概念的に示
すアクティブ制御、すなわち実施例では、車両の姿勢制
御(車高信号制御)と、乗心地制御(上下加速度信号制
御)と、車両のねじり制御(圧力信号制御)とを行な
う。そして、これ等各制御の結果は、最終的に、流量調
整手段としての流量制御弁15、19を流れる作動液の流量
として表われる。
アクティブ制御 さて次に、各センサの出力に基づいてサスペンション
特性をどのように制御するかの一例について、第4図、
第5図を参照しつつ説明する。
この制御の内容は、大別して、もっとも基本となる車
高センサの出力に基づく車体Bの姿勢制御と、Gセンサ
の出力に基づく乗心地制御と、圧力センサの出力に基づ
く車体Bのねじれ抑制制御とからなり、以下に分説す
る。
姿勢制御(車高センサ信号制御) この制御は、バウンスと、ピッチ(ピッチング)と、
ロールとを抑制する3つの姿勢制御からなり、各制御
は、PD制御(比例−微分制御)によるフィードバック制
御とされる。
この3つの各姿勢制御については、各車高センサから
の出力をどのように取扱うかを、バウンスとピッチとロ
ールとの各制御部の図中左側に示した「+」と「−」の
符号により示してある。また、この各制御部の図中右側
に示した「+」、「−」の符号は、各制御部が姿勢変化
の抑制を行なう制御であるということを示すもので、該
各制御部の図中左側に示した符号とは反対の符号が附さ
れている。
すなわちバウンス制御では、左右前側の各車高の加算
値と、左右後側の各車高の加算値とが、それぞれ基準車
高値と一致する方向にPD制御され、このときに用いる制
御式を次式(1)に示してある。
KB1+{TB2・S/(1+TB2・S)}・KB2……(1) KB1,KB2,TB2:制御ゲイン(定数) S:演算子 また、ピッチ制御では、左右前側の各車高の加算値に
対して、左右後側の車高の加算値を減算したものが零と
なる方向にPD制御される。さらに、ロール制御では、左
側前後の各車高の加算値と、右側前後の各車高の加算値
とが一致する方向に(目標ロール角となるように)PD制
御される。
上述した3つのPD制御により得られた各制御値は、そ
れぞれ4つのシリンダ装置1用として求められて、各シ
リンダ装置1用の制御値毎に互いに加算され、最終的に
4つの姿勢制御用の流量信号QXFR〜QXRLとして決定さ
れる。
勿論、上記ピッチ制御、ロール制御共に、そのPD制御
のための制御式は、前記(1)式の形とされる(ただし
制御ゲインは、ピッチ制御用、ロール制御用のものが設
定される)。
乗心地制御(Gセンサ信号制御) この乗心地制御は、上記での姿勢制御に起因する乗
心地の悪化を防止することにある。したがって、上記
での3つの姿勢制御に対応してバウンス、ピッチ、ロー
ルの3つについて、上下方向の加速度を抑制するように
それぞれ、IPD制御(積分−比例−微分制御)によるフ
ィードバック制御が行なわれ、このIPD制御による制御
式を次の(2)式に示す。
{TB3/(1+TB3・S)}・KB3+KB4+ {TB3・S/(1+TB3・S)}・KB3 ……(2) KB3,KB4,TB3:制御ゲイン(定数) S:演算子 ただし、上記(2)式においては、各制御ゲインは、
バウンス制御用、ピッチ制御用、ロール制御用としてそ
れぞれ専用のものが用いられる。
なお、この乗心地制御用のGセンサは3つしかないの
で、ピッチ制御については、前側の上下方向加速度とし
て、前側左右の各上下方向加速度の相加平均を用いるよ
うにしてある。また、ロール制御に際しては、前側左右
の上下方向加速度のみを利用して、後側の上下方向加速
度は利用されない。
この乗心地制御においても、上述した3つのIPD制御
により得られた各制御値は、それぞれ4つのシリンダ装
置1毎に求められて、各シリンダ1用の制御値毎に互い
に加算され、最終的に4つの乗心地制御用の流量信号Q
GFR〜QGRLとして決定される。
ウォープ制御(圧力信号制御) ウォープ制御は車体Bのねじり抑制を行なう制御であ
る。すなわち、各シリンダ装置1に作用している圧力は
各車輪への荷重に相当するので、この荷重に起因する車
体Bのねじりが大きくならないように制御する。
具体的には、車体前側と後側との各々について、左右
の圧力の差と和との比が1となる方向にフィードバック
制御される。そして、重み付け係数ωFによって車体前
前側と後側との各ねじれ量の重み付けを与え、また重み
付け係数ωAによって前記との各制御に対する重み
付けを与えるようになっている。勿論、このねじり抑制
制御においても、その制御値は、最終的に、4つのシリ
ンダ装置1毎の流量信号QPFR〜QPRL(%)として決定
される。さらに、重み付け係数ωR、ωLのいずれか一
方、あるいは両方を変更することにより、左右のステア
リング特性の差に変更を与えることができるようになっ
ている。
前述のようにして4つのシリンダ装置1毎に決定され
た姿勢制御用と、乗心地制御用と、ねじり抑制制御用と
の各流量信号は、最終的に加算されて、最終流量信号Q
FR〜QRLとして決定される。
上述した第4図の説明で用いた制御式の制御ゲイン
は、車両の先行状態、より詳しくは、旋回状態にあると
きと、直進状態にあるときと、で切換制御されるように
なっている。ここに、車両が旋回状態にあるときには、
サスペンション特性をハードにすべく、減衰力切換バル
ブ10を絞り位置に切換えると共に、各液圧シリンダ3に
対する流量制御の追随性を向上すべく、上記各比例定数
Ki(i=B1〜B4)を夫々、大きな値KHardに設定し、ま
た目標ロール角TROLLを予め記憶するマップから、その
時の横加速度Gsに対応する値に設定する。このマップの
一例を第6図に示してある。ちなみに、パッシブサスペ
ンション車の場合は、第7図に示すように、横加速度
(横G)の増大とともに、ロール角(正ロール)が大き
くなる。尚、上記横加速度Gs(以下、横Gsという)の割
り出しについては後述する。
一方、車両の直進状態にあるときには、サスペンショ
ン特性をソフトにすべく、減衰力切換バルブ10を開位置
に切換えると共に、上記各比例定数Kiを、夫々、通常値
KSOFTに設定し、また目標ロール角TROLLをTROLL=0
に設定する。
制御の具体例(第5図) ロール制御の具体例を第5図に示すフローチャートに
基づいて説明する。尚、この第5図は過渡状態における
制御を表わすものである。つまり、定数状態となった後
のロール制御は第6図に示すマップに基づいてそのロー
ル角が目標ロール角となるように制御される。すなわ
ち、横Gsが0.1以上0.3以下では逆ロール、横Gsが0.3以
上では零ロールとなるように制御されるが、逆ロール制
御については、運転席に設けられたマニュアルスイッチ
(モードスイッチ)によってキャンセル可能とされてい
る。
先ず、ステップS1(以下、ステップ番号は、「S」を
付して表わす)において、車両の進行方向の判別がなさ
れる。
<前進時の制御> 車両が前進状態にあると判別されたときにはS2へ進
み、車速Vの読み込みがなされ、次のS3ではハンドル舵
角Θの読み込みがなされた後に、S4において、車速V
とハンドル舵角から横Gsの割り出しが行なわれる。そし
て、次のS5、S6、S7を経ることによって横Gsの領域判定
が行なわれる。
(横Gs<0.1) この領域は横風等による車両の横揺れが該当する。こ
の場合、S5からS8へ進み、目標ロール角TRが零、変位速
度が零とされる。ここに、変位速度というのは、前述し
た制御ゲインに相当し、この変位速度が小さいときには
サスペンション特性がソフトとなって乗心地重視の特性
となる。一方、変位速度が大きいときにはサスペンショ
ン特性がハードとなって車両の姿勢変化が抑えられて、
操縦安定性重視の特性となる。したがって、この領域で
は乗心地重視のサスペンション特性となる。
(0.1≦横Gs<0.3) この領域は通常の旋回が該当する。この場合、S6から
S9へ進んでモードスイッチが逆ロールモード選択とされ
ているか否かの判別がなされる。
逆ロールモードがキャンセルされているときには、S1
0へ進み、目標ロール角が零、変位速度が0.03に設定さ
れる。すなわち、サスペンション特性がハード傾向とさ
れて、車両の姿勢変化が抑えられる。
他方、逆ロールモードの選択がなされているときには
S11へ進んで、目標ロール角がTR=逆ロール10とされ、
変位速度が0.01に設定される。ここで、TR=逆ロール10
とは、旋回内輪側の車高と旋回外輪側の車高との差が10
mmという意味であり、勿論旋回内輪側の車高が旋回外輪
側の車高に比べて低いものとされる。また変位速度を0.
01というように小さな値としたのは逆ロールへの応答性
を高めるためであり、仮に変位速度(制御ゲイン)を大
きなものとしたときには、逆ロール制御を抑えることに
なることになるからである。
(0.3≦横Gs<0.5) この領域は急旋回の領域である。この場合、S7からS1
2へ進んで、目標ロール角がTR=逆ロール5とされ、変
位速度が0.05に設定される。すなわち、この領域での定
常旋回では、第6図に示すように、ロール角=零とされ
るが、この定常旋回への過渡域では逆ロールとされて、
定常旋回への移行が滑らかに行なわれるようにされてい
る。また、変位速度を0.05というように大きな値とした
のは姿勢変化を抑え操縦安定性を確保するためである。
(0.5≦横Gs) この領域は過渡時に表われるものであり、この領域で
の定常旋回は考えられない領域である。この場合、S7か
らS13へ進んで目標ロール角がTR=逆ロール3とされ、
変位速度が0.07に設定される。ここで、目標ロール角を
逆ロールとしたのは、変位速度を0.07という極めて大き
な値としたことによる。すなわち、姿勢変化を抑えるべ
く、大きな制御ゲインを設定するものであるが、この変
化速度は実施例における最大流量を越えた値のものであ
るため、目標ロール角を逆ロールとすることで、遠心力
による大きな正ロールの発生を抑えることが可能とな
る。
<後退時の制御> 前記S1において、車両が後退状態にあると判別された
ときには、S14へ進んで、目標ロール角が零、変位速度
が0.03に設定される。すなわち、後退時のサスペンショ
ン特性は、前述した前進時のサスペンション特性とは異
なる特性とされ、この後退時には、正ロール、逆ロール
のいずれもが禁止され、また変位速度を比較的大きな0.
03とすることで、車両の姿勢変化を抑えるようにされて
いる。これにより、後退時にはドライバの視線変化が抑
えられ、後退時の操縦安定性が確保されることになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示すもので、作動液回路を
示す図。 第2図は第1図中のパイロット弁の一例を示す断面図。 第3図は第1図に示す回路の制御系統を示す図。 第4図はアクティブ制御を行うための一例を示す図。 第5図は制御の一例を示すフローチャート。 第6図はアクティブサスペンション車におけるロール特
性の一例を示す図。 第7図はパッシブサスペンション車におけるロール特性
の一例を示す図。 第8図は本発明の全体構成図。 U:制御ユニット 1FR〜1RL:シリンダ装置 5:液室 11:ポンプ 12:リザーバタンク 15FR〜15RL:供給用制御弁 19FR〜19RL:排出用制御弁 52FR〜52RL:センサ(圧力) 53FR〜53RL:センサ(車高)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−61813(JP,A) 実開 昭60−95309(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60G 17/015

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ばね上重量とばね下重量との間にシリンダ
    装置が架設され、該シリンダ装置に対する作動液の供給
    と排出とをあらかじめ設定された条件に基づいて制御す
    るようにした車両のサスペンション装置において、 車両の前進と後退とを判別する進行方向判別手段と、 該進行方向判別手段からの信号を受け、車両が前進する
    ときには車両の運動状態に基づいて選択される逆ロール
    または零ロールを目標値とする制御が行われる前進用ス
    ペンション特性に、車両が後退するときには逆ロールを
    禁止して零ロールを目標値とする制御が行われる後退用
    サスペンション特性に切換える特性変更手段と、 を備えていることを特徴とする車両のサスペンション装
    置。
  2. 【請求項2】ばね上重量とばね下重量との間にシリンダ
    装置が架設され、該シリンダ装置に対する作動液の供給
    と排出とをあらかじめ設定された条件に基づいて制御す
    るようにした車両のサスペンション装置において、 車両の前進と後退とを判別する進行方向判別手段と、 該進行方向判別手段からの信号を受け、車両が前進する
    ときには車高変位速度を抑制する車高変位速度に関する
    制御ゲインを車両の運動状態に基づいて可変とする制御
    が行われる前進用サスペンション特性に、車両が後退す
    るときには該制御ゲインの変更を禁止して該制御ゲイン
    を所定の一定値のままとした制御が行われる後退用サス
    ペンション特性に切換える特性変更手段と、 を備えていることを特徴とする車両のサスペンション装
    置。
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