JP2885601B2 - 厚板圧延機の板厚制御方法 - Google Patents

厚板圧延機の板厚制御方法

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JP2885601B2
JP2885601B2 JP5074168A JP7416893A JP2885601B2 JP 2885601 B2 JP2885601 B2 JP 2885601B2 JP 5074168 A JP5074168 A JP 5074168A JP 7416893 A JP7416893 A JP 7416893A JP 2885601 B2 JP2885601 B2 JP 2885601B2
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信博 河野
和明 植村
曠吉 武田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厚板圧延機の板厚制御
方法、特に、板先端部の板厚偏差を低減することのでき
る板厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】厚板圧延機においては、板厚精度の向上
を目的とし、しかも、応答性が良好かつ高圧の圧延荷重
に耐える油圧シリンダを用いた油圧圧下による自動板厚
制御すなわちAGC(Automatic Gauge Control)システ
ムが実施されている。しかし、板先端の噛込み端部にお
いては、被圧延材を噛込む際の衝撃力のために油圧シリ
ンダの油柱高さに急激な変動が起こって高応答性の油圧
AGCによっても追従が不可能となり、出圧すなわち圧
延された板厚は目標板厚に対して不良となり、板厚精度
が悪化するという問題がある。
【0003】この問題を改善するために、被圧延材の噛
込み前のロール開度をセットアップ計算値に所定の補正
量を加えた値に設定し、噛込みから所定時間経過後にセ
ットアップ計算値に戻すように、ロール開度を2段に制
御するいわゆる噛込み補償あるいは沈み込み補償が実施
されている。そして、この沈み込み補償量については、
次パスの被圧延材が圧延機に噛込むときの圧下用油圧シ
リンダの沈み込み量を予測し、前パスの被圧延材の噛み
抜けと同タイミングで予測した沈み込み量に対応する補
償信号を入力して、油圧シリンダの沈み込み量を補償す
る方法(特開昭61ー92716号公報参照)等があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、噛込み
端部の厚み不良の発生要因は噛込み時の衝撃力のみによ
る単純なものではなく、噛込み時の衝撃荷重により生じ
るロール開度の瞬時変化に基づく厚み残りや、被圧延材
端部の温度偏差のために生じる変形抵抗差に基づく厚み
偏差等があり、しかも、板厚に応じて影響の傾向が異な
り、また、板長手方向の影響範囲も異なることから、上
述した噛込み補償方法では、噛込み端部の厚み不良を完
全に解消することはできないという問題がある。
【0005】また、この問題を解決すべく、図4に示す
ように、被圧延材の噛込み前はロール開度設定値を定常
部におけるセットアップ計算値S0から噛込み衝撃による
ロール開度変化量ΔS1を減じた値とし、被圧延材の噛込
みと同時にロール開度設定値をセットアップ計算値S0に
被圧延材端部の温度偏差に基づく荷重偏差分ΔS2を補償
するロール開度変化量を加えた値にしてこの値を温度偏
差部の長さ分l 持続し、その後ロール開度をセットアッ
プ計算値S0に等しくするようにして、噛込み端部の圧延
時のロール開度設定を2動作3段階に制御する方法が提
案されている(特開昭63ー235010号公報参
照)。
【0006】この提案によれば、被圧延材の噛込みと同
時に温度偏差に基づく荷重偏差分ΔS2を補償するロール
開度変化量を加えているが、このロール開度変化量を上
記した沈み込み(あるいは噛込み)補償において生じる
被圧延材の噛込み端部の厚み不良部分(すなわち非定常
部)に対するロール開度補正量として使用するために
は、制御系の応答遅れの存在を考えれば噛込んでからで
は遅すぎるという不具合があり、また、非定常部にクロ
ップ等が含まれていることを考えれば、温度偏差に基づ
く荷重偏差ΔS2を用いるのでは非定常部に対する補正と
しては信頼性に乏しいという不具合がある。また、この
提案の方法においては、非定常部領域を過ぎた点からA
GCを開始しているが、例えば歩留りが高いサイズ等に
おいてはクロップ部が極めて少ないことから、ロードセ
ルオン後に即AGCが要求されることとなるが、このよ
うな要求に対応することができないという不具合もあ
る。
【0007】そこで、本発明は、上記した沈み込み(あ
るいは噛込み)補償に付随する噛込み端部の厚み偏差の
修正精度を改善するとともに、上記提案における不具合
をも解消することのできる改善された厚板圧延機の板厚
制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、油圧A
GC装置を具備した厚板圧延機の板厚制御方法におい
て、次の手段が講じられる。すなわち、 (1)被圧延厚板の噛込み前は、ロール開度設定値を、
定常部に対するセットアップ計算により求めたロール開
度G0に、噛込み衝撃による油圧縮補償ロール開度変化量
ΔG1、および、圧延材の鋼種、板厚、板幅等に基づき先
端部の非定常部領域を補償するロール開度変化量ΔG2を
加えた値にして設定する。 (2)被圧延材の噛込みと同時に、上記ΔG1を解除し、
ロール開度設定値をセットアップ計算により与えられる
ロール開度G0に上記ΔG2を加えた値に設定し、更にゲイ
ンを低下させた状態のAGCを開始して非定常部領域の
長さ分保持する。 (3)その後、ロール開度設定値をセットアップ計算に
より与えられるロール開度G0をベースとしてゲイン低下
のないAGC制御を行う。
【0009】
【作用】本発明はこのように構成されているので、圧延
機に噛込む板端部の圧延時に、ロール開度設定とAGC
ゲインとを非定常部領域の間において変化させることに
より、噛込み部における板厚偏差の修正精度を向上させ
ることができる。すなわち、噛込み前に、沈み込み補償
のためのΔG1に非定常部補償のためのΔG2を加えている
ので、効果的に非定常部における厚み偏差を補償するこ
とができ、しかも、その間のAGCゲインを低下させて
抑制し、非定常部の厚み偏差修正の実効をさらに上げる
ことができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明による厚板圧延機の板厚制御方
法の実施例を、図面を参照しつつ、説明する。図1は、
本発明による厚板圧延機の板厚制御方法を適用した場合
のロール開度の変化パターンとAGC制御態様とを示す
タイムチャートであり、ロードセルのオン/オフ(1) 、
ミル回転(2) の制御態様とともに、噛込み補正量ΔG1
(3) 、非定常部補正量ΔG2(4) 、AGC制御パターン
(5) 、(6) および目標ロール開度となるロールギャップ
量G3(7) の経時変化が示されている。
【0011】図2は、本発明による厚板圧延機の板厚制
御方法の実施に用いる油圧圧下制御系を備えた圧延機シ
ステムの概要を示す概略構成図である。図2中、1は被
圧延材、2は油圧シリンダを有する油圧圧下装置、3は
圧延機、4は圧下コントローラ、5は上位プロセスコン
ピュータ、Piは噛込み信号、Poは油圧シリンダポジショ
ン指令である。本システムの概略動作は、上位プロセス
コンピュータ5から、ロール開度目標値G0、変化量ΔG
1、ΔG2および長さ成分ΔL が圧下コントローラ4に与
えられ、圧下コントローラ4は圧延機3からの噛込み信
号Piを入力され、上述した制御パターンを実現するよう
に油圧シリンダポジション指令Poを出力するものであ
る。
【0012】具体的には、次のように経時的に制御態様
が変化されて板厚が制御される。 (1)材料の噛込み前は、セットアップ計算により与え
られるロール開度G0に、次式により、ΔG1を減じ、更に
ΔG2を加算したロール開度値G3にロール開度設定値を設
定する。すなわち、 G3=G0-G12 ・・・ G12=ΔG1- ΔG2 ・・・ に設定する。ここで、ΔG1は噛込み時の衝撃荷重により
生じる油圧縮分を補償する補正量である。
【0013】この処理において、G0およびΔG1は、 G0=f0(hi,Wi,Fi) ・・・ ΔG1=f1(hi,Wi,Fi,Ti) ・・・ ここで、hi:対象パス目標板厚 Wi:対象パス圧延幅 Fi:対象パス予測荷重 Ti:対象パス目標温度 として予測しうる値である。また、ΔG2は非定常部領域
の厚み偏差分を補償する値であり、圧延材の温度偏差、
板厚、変形抵抗等により左右されものであるが、必ずし
も推定精度が補償できるものではないため、各パススケ
ジュールの板厚、板幅等から、 ΔG2=f1(hi,Wi,K,Ti) ・・・ ここで、hi,Wi,Ti: それぞれ上記と同じ K :鋼種 として予測しうる値である。 (2)被圧延材の噛込み後は、高応答性が要求されるた
め、AGC応答速度を考慮しながら、長さ成分ΔL と厚
み偏差成分ΔG2のデータが上位プロセスコンピュータか
ら制御パターンの形態でDDC(Direct Digital Contro
l)制御系へ入力され、噛込み後はDDCのマイナールー
プ制御によりAGCのゲインをΔG2の大きさに応じて変
化させてAGCの効果を抑制する(図1におけるa〜b
間)。
【0014】上記制御の実際において、例えば、圧延速
度180mpmのときに、ΔG1はロードセルオン後8m
secで解除し、ΔG2の補償持続量は素材を構成するサ
イズ等から求められる非定常部の長さΔL により決定さ
れ、噛込みの衝撃後の例えば70msecにおいてAG
Cをオンとし、その持続期間においてAGCゲインを約
70%とすることでAGC効果を抑制しつつ制御すれ
ば、厚み偏差修正に十分な効果が得られる。 (3)上記(2)の制御を非定常部の間継続した後は、
ロール開度設定値はG0となり、AGCゲインも100%
に増大されて通常のAGCすなわち定常部のAGC制御
が行われる。
【0015】
【発明の効果】図3は、以上説明した本発明による板厚
制御方法と前記した従来の制御方法におけるAGC制御
パターンおよび厚み偏差の関係を示す特性図である。い
ずれも板厚8mm、圧延幅2mm、圧下率20%による
条件下であり、鋼板フロント材の板厚偏差が、図示した
ように、従来Aであったものが、本発明を適用した結
果、今回Bようになり、圧延された厚板製品の前後端板
厚偏差状況についてみれば、 従来A 今回B 切捨数 N N=30 N=30 板厚偏差平均値 x x=0.43mm x=0.33mm 板厚偏差のばらつき σ σ=0.41mm σ=0,23mm 手入れ発生 約100枚/月 約40枚/月 となり、歩留向上約0.1%および厚み公差の厳しい材
料の手入れ枚数が半減した。
【0016】このように、本発明による板厚制御方法の
適用により、板材先端部の厚み偏差が低減され、クロッ
プとして製品から切捨てなければならない長さを効果的
に減少させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による厚板圧延機の板厚制御方法を適用
した場合のロール開度の変化パターンとAGC制御態様
とを示すタイムチャートである。
【図2】本発明による厚板圧延機の板厚制御方法の実施
に用いる油圧圧下制御系を備えた圧延機システムの概要
を示す概略構成図である。
【図3】本発明による板厚制御方法と従来の制御方法に
おけるAGC制御パターンおよび厚み偏差の関係を示す
特性図である。
【図4】従来法による制御パターンを示す特性図であ
る。
【符号の説明】
1…被圧延材 2…油圧圧下装置 3…圧延機 4…圧下コントローラ 5…上位プロセスコンピュータ Pi…噛込み信号 Po…油圧シリンダポジション指令
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 良一 大分県大分市大字西ノ洲1番地 新日本 製鐵株式会社 大分製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭63−235010(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 37/16 - 37/20 B21B 37/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧AGC装置を具備した厚板圧延機の
    板厚制御方法において、被圧延厚板の噛込み前は、ロー
    ル開度設定値を、セットアップ計算により求めたロール
    開度G0に、噛込み衝撃による油圧縮補償ロール開度変化
    量ΔG1、および、圧延材の鋼種、板厚、板幅等に基づき
    先端部の非定常部領域を補償する非定常部補償ロール開
    度変化量ΔG2を加えた値にして設定し、次いで、被圧延
    材の噛込みと同時に上記油圧縮補償ロール開度変化量Δ
    G1を解除し、ロール開度設定値をセットアップ計算によ
    り与えられるロール開度G0に上記非定常部補償ロール開
    度変化量ΔG2を加えた値に設定し、その後、ゲインを低
    下させた状態のAGCを開始して非定常部領域の長さ分
    保持し、次に、ロール開度設定値をセットアップ計算に
    より与えられるロール開度G0をベースとしてゲイン低下
    のないAGC制御を行うことを特徴とする厚板圧延機の
    板厚制御方法。
  2. 【請求項2】 AGCゲインを非定常部補償ロール開度
    変化量ΔG2の大きさに応じて変化させることを特徴とす
    る請求項1に記載の厚板圧延機の板厚制御方法。
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