JP2883192B2 - 光学式膜厚測定装置 - Google Patents

光学式膜厚測定装置

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光学薄膜について非接触且つ非破壊の膜厚
測定を行なうための光学式膜厚測定装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、基材上に積層された複数の層から成る光学薄膜
の多層膜の各層の膜厚を求める方法としては、分光反射
率測定装置を用いて複数の波長によって夫々反射率を測
定し、測定光の入射角と入射媒質,基板及び各層の屈折
率とを既知として多層膜の反射率を膜厚のみを変数とす
る関数として計算し、反射率の測定値と計算値との各波
長毎の差の総体的な大きさを示す評価関数を設定して、
この評価関数値が最小となる膜厚の組合せを求めること
により、多層膜各層の膜厚を得られるようにした方法が
知られている。
しかし、このような関数系では一般に複数の局所的な
解が存在するため、これら局所解に収束するのを避けて
大域的な解を探さなければならない。そのため複数の局
所解が存在しても大域的な解を見つけることができる大
域最適化手法を用いれば、多層膜各層の膜厚を同時に得
ることができる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、実際には多くの局所解が存在するよう
な関数系で大域最適化法を用いる場合、局所解に収束し
ないよう十分な数のサンプリング点を取る必要がある。
この時、解を探索する領域を広げるに従って、局所解へ
の収束を防ぐためにより細かいサンプリングを行わなけ
ればならず、演算時間が指数関数的に増大してしまう。
そこで実際には、例えば2層膜の場合においては第10図
(a)に示すように予め膜の設計値等のデータをもと
に、サンプリング点中の各層の膜厚d1,d2が存在する場
所を含む夫々下限値d1 min,d2 minと上限値d1 max,d2
maxから成る推定領域を設定し、その範囲内で最適化計
算を行う。このため、解となる膜厚が予め全く分からな
いような場合については探索推定領域を広く設定し、莫
大な時間をかけて計算しなければならず、又第10図
(b)のように推定領域が解を含まないような場合は、
長い演算時間を要したにも拘らず正しい解が求まらない
という欠点がある。
本発明は、上述のような問題点に鑑み、解を含む領域
をより限定でき、解が全く不明な場合でもより高速に多
層膜の各層の膜厚を同時に測定できるようにした光学式
膜厚測定装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
大域最適化法は、複数の局所的解が存在する中から大
域的な解を探すものであるが一般的に莫大な演算量が必
要なため、演算時間が長い。また解を探索する領域を広
げるほど、局所解への収束を防ぐためにより細かいサン
プリングを行わなければならず、演算時間が指数関数的
に増大する。この演算時間は、解の存在する領域を予め
推定することができれば、その近傍に限定して解を探す
ことにより短縮することができる。以下に二層膜の例を
用いて解の存在する領域の推定法の基本となる考え方を
説明する。
第11図(a)は、屈折率n1,膜厚d1′の単層膜1を示
す。ここで、薄膜の光学的厚みは膜の屈折率nと膜厚d
の積(n×d)で表わされる。次に、図(b)は屈折率
n2,膜厚d2′で図(a)の単層膜1と光学的厚さの等し
い単層膜2を示す。又、図(c)は、屈折率n1,膜厚d1
の上層3aと、屈折率n2,膜厚d2の下層3bとから成る二層
膜3を示しており、上層3aと下層3bの光学的厚さの和は
単層膜1,2夫々と等しいものとする。即ち、 n1×d1′=n2×d2′=n1×d1+n2×d2 ……(1) となる。
ここで二層膜3に関して、これを上層3aの屈折率n1
もつ単層膜1として膜厚を計算してd1′を求め、次に下
層3bの屈折率n2をもつ単層膜2として膜厚を計算して
d2′を求める。そして第12図において、二層膜3に関し
て横軸に上層3aの膜厚,縦軸に下層3bの膜厚をとった場
合、夫々d1′,d2′が最大値となり、上述の(1)式の
関係から、膜厚d1,d2は上下各層の光学的厚みの和が一
定即ちΣn×d=一定となる線上に乗ることが理解でき
る。このように二層膜を、一方の膜の屈折率を有する同
一の光学的厚さをもつ単層膜に置き換えて各膜厚d1′,d
2′を求め、これらを結ぶ線上に探せば求めるべき解d1,
d2が存在する。
本発明はこの点に着目して成されたものである。
本発明による光学式膜厚測定装置は、屈折率が既知の
基板上に、屈折率が既知の物質から成る複数の層を積層
して成る光学薄膜の各層の膜厚を測定する光学式膜厚測
定装置において、 光学薄膜の反射率を複数の所定の波長について測定す
る分光反射率測定手段と、 既知の屈折率と所定の波長を用いて各層の膜厚のみを
変数として光学薄膜の各波長毎の反射率を表わす反射率
関数を算出する反射率関数算出手段と、分光反射率測定
手段によって測定された各波長毎の分光反射率と反射率
関数算出手段によって求めた反射率関数との差の総体的
な大きさを示す評価関数を膜厚のみの関数として算出す
る評価関数算出手段と、各層における屈折率と膜厚との
積の和が一定となる領域及びその近傍を解の存在する領
域として予め指定する領域指定手段と、この指定された
領域内で評価関数が最小値近傍となる膜厚を大域最適化
法により求める大域最適化手段と、を備えたことを特徴
とするものである。
〔作 用〕
複数の層が積層された光学薄膜の各膜厚を求める場合
には、まず分光反射率測定手段で、所定の波長域の測定
光を一定の入射角で光学薄膜に照射して分光反射率を測
定し、そのうち幾つかの波長を適宜選択してこれら波長
に対する反射率の値を選定しておき、一方、既知の各屈
折率,測定光の入射角及び選択された波長に基づいて、
反射率関数算出手段で光学薄膜の各膜厚のみを変数とす
る各波長毎の反射率を関数として算出し、測定された各
波長毎の分光反射率と反射率関数との差の総体的な大小
を判定するための評価関数を評価関数算出手段で求め、
これとは別に領域指定手段で、光学薄膜の各層の屈折率
と膜厚の積である光学的厚さの和が一定となる領域及び
その近傍を解の存在する領域として予め指定しておき、
この指定された領域内において、上述の評価関数が最小
値近傍となる膜厚の組を大域最適化手法で求める。
〔実施例〕
以下、図示した実施例に基づき本発明を詳細に説明す
る。
第1図は本発明による光学式膜厚測定装置の一実施例
を示すブロック図、第2図は上記実施例の膜厚決定手段
におけるデータ処理のフローチャートである。
第1図において、分光反射率測定手段5は分光器6及
び光電変換手段7を備えている。又、膜厚決定手段8
は、反射率演算手段9と評価関数演算手段10と大域解推
定手段11と大域最適化手段12と局所最適化手段13とを備
えており、大域最適化手段12及び局所最適化手段13には
夫々収束判定手段14及び15が付加されている。更に、分
光反射率測定手段5と膜厚決定手段8との間にはデータ
選定手段16が設けられている。
分光反射率測定手段5においては、屈折率nsの基材上
に設けられた屈折率n1,n2,‥‥,nNの物質から成るN層
多層膜18が屈折率noの媒質中に置かれている。この多層
膜18に図示しない所定の光源から所定の波長域に及ぶス
ペクトル分布を有する測定光を、所定の入射角φで入
射させ、その反射光を分光器6を介して光電変換手段7
で受けて所定の波長範囲における分光反射率を連続的に
測定する。
尚、分光反射率測定に用いる測定光は、測定対象とな
る光学薄膜が使用される波長域の中で適当に設定すれば
よく、例えば光学薄膜がレンズの反射防止膜等の場合に
は可視光でよい。
そして、この測定値から、データ選定手段16において
M個の波長λ12,‥‥,λに対応する反射率データ
R1 m,R2 m,‥‥,RM mが選定される。ここでMを大きくする
と膜厚決定の精度が高まるが、データ処理に時間がかか
るので、精度と時間の関係で適当な値を選べばよい。
尚、予め定めたM個の波長についてのみ反射率測定を行
う場合には、データ選定手段16は不要である。
一方、反射率演算手段9においては、反射率を求める
公式にしたがい既知の屈折率n0,n1,‥‥,nN,nS及び入射
角φ並びに選定した波長λ1,‥‥,λを用いて、膜
厚を変数とするM個の反射率R1 C,‥‥,RM Cを計算する。
ここで多層膜の反射率を求める公式としては公知の、 を用いることができる。但し、ηは各層の実効屈折率
で、第i層の入射角をψi,屈折率をniとすると、P成分
についてはη=ni/cosi,S成分についてはη=−n
i cos で与えられるものである。又、m11‥‥m22
薄膜の特性行列の要素で、波長をλ,第i層における膜
厚をdi,位相を とし、特性行列をTiとするとき、jを虚数単位として で与えられるものである。各層に光学的吸収がある場合
には、当然屈折率は複素数となる。
上述の反射率Rを求める公式(3)に、各層の屈折率
と測定波長を代入すれば、その波長における反射率Rc
各層の膜厚のみを変数とする関数として求められる。
上述のようにして測定された反射率データR1 m,R2 m,‥
‥RM mと演算された反射率関数R1 c,R2 c,‥‥RM cとに基づ
いて膜厚の決定が行なわれる。
次に、本発明における、大域的な解の存在する領域の
推定方法を、第11図に示す二層膜に関して以下に詳しく
述べるが、その前に単層膜における反射率の理論につい
て簡単に触れておく。
屈折率nsの基板上に屈折率n1,膜厚d1の単層膜が形成
されている場合、この単層膜が屈折率n0の媒質中に置か
れているとすると、その反射率Rは次の式で与えられ、
反射率曲線は第3図のようになる。
ここで、 δ=4πn1d1cosθ/λ である。
波長による反射率の周期性はこのδに起因するもので
ある。即ち、複数の薄膜において光学的厚さであるndが
等しければ、反射率の極大又は極小値は同じ波長にあら
われる。
ここで、第11図に示す、夫々光学的厚さの等しい単層
膜1,2,二層膜3を例にとって、これらが屈折率n0の媒質
中に、しかも屈折率nsの基板上に配置されたものとして
反射率を計算した図を示すと第4図のようになる。即
ち、二層膜3について、n1=2.0,d1=200nm,n2=1.45,d
2=200nmとして分光反射率を計算すると、cに示す曲線
となる。次に屈折率n1=2.0,d1′=345nmの単層膜1の
分光反射率を計算すると、aのようになり、又n2=1.4
5,d2′=476nmの単層膜2の分光反射率を計算すると、
bのようになる。
第4図から明らかなように光学的厚さの等しいものに
ついては、分光反射率の曲線は似たものとなり、夫々の
極大値又は極小値をとる波長は一致することがわかる。
次に屈折率nsの基板上に重畳されている第11図の二層
膜に関して、大域解推定手段11において行なわれる解の
存在する領域を推定する具体的手順について述べる。
まず、この二層膜を上層の膜の屈折率n1を有する単層
膜に置き換える。単層膜の膜厚を求める下記の式(5)
を適用して膜厚d1′を求める。(5)式は単層膜の膜厚
を、測定された分光反射率曲線における極小値又は極大
値をとる波長λ1と、その間に存在する極大と極小
の数Xと、膜の屈折率nとから求める式である。
こうして、膜厚d1′を求める。又、下層の膜の屈折率
n2を用いて、再び(5)式を適用して、膜厚d2′を得
る。次に、第5図に示すようにd1d2平面内で、d1′と
d2′を結ぶ。
第5図において具体的な数値をいれて二層膜の分光反
射率を計算したものを示す。d1=200nm、d2=200nm、基
板の屈折率ns=3.88、吸収係数Ks=−0.024として計算
し、測定された分光反射率と一致することを確認した。
又、上層膜の屈折率n1=2.0として(5)式を用いれ
ば、d1′=345nmとなる。又、下層膜の屈折率n2=1.45
のとき、d2′=475nmとなる。この結果を第5図に示す
と、求めるべき解である膜厚d1,d2はd1′,d2′を結ぶ線
上に存在することがわかる。
即ちこの線上を逐次探せば、解を求めることが出来
る。実際には第5図の破線で表わされるように、適当な
許容範囲を持たせてその範囲内で探すことになる。
こうして解の存在する領域が限定されたあと、この領
域内において反射率の測定値と計算値の差の総体的な大
きさを示す評価関数の最小値を探すため、大域最適化手
段12において、大域最適化の手法を用いて最小値近傍の
解をまず求める。次に局所最適化手段13において、局所
最適化の手法により最小値を求めることにより各層の膜
厚を得ることができる。
ここで、大域最適化及び局所最適化の手法について説
明すると、まず、評価関数演算手段10において、測定デ
ータと計算データの総体的な差の大きさを評価するため
の評価関数にR1 m,‥‥,RM m,R1 C,‥‥,RM Cを代入して、
評価関数値を求める。これは膜厚d1,……,dNの関数とな
る。評価関数としては例えば のようなものが考えられる。ここでWiは式(6)の個々
の評価関数の重みである。
この関数が最小値をとる点ではRi mとRi cとの差が全体
的にみて最も小さくなっているから、この点における
d1,‥‥,dNの値を被測定多層膜の各層の膜厚と考えてよ
い。
本発明においては、まず大域最適化法を用いて評価関
数Eの最小値を与えるd1,‥‥,dNの夫々のおおよその値
を求め、次にこの点を出発点として、局所最適化法を用
いてd1,‥‥,dNの正確な値を得る。ここでまず、本実施
例に用いる大域最適化法の概念を第6図を用いて説明す
る。一変数xの関数y=f(x)の最小値を求める場
合、まず最小値を含む変数の変動区間H0を指定する。そ
してこの区間H0内において適当な数のサンプリング点
x1,‥‥,xLを求め、これらに対応するf(x)の値の平
均値 を求めると、F1は必ずF0より小さい。そこでy=f
(x)とy=F1の交点で決まる新たな変数xの区間H1
求め、この区間内で再び適当な数のサンプリング点をと
り、f(x)の平均値を求める。この手順を繰り返すと
その度毎に平均値は小さくなって行き局所的な極小値の
有無に拘らずFl,Hlに示すようにf(x)の最小値及び
それを与えるxの値に向って収束して行く。平均値Fl
は二つの平均値の差Fl−Fl-1がある設定値以下になれ
ば、実質的に最小値Xmin.に到達したとみなして良い。
この方法を膜厚計算に適用するには、評価関数演算手
段10で、先に説明した大域解推定手段11により求められ
た範囲の中から、適当な数の(d1,‥‥,dN)の組 をサンプリング点として指定する。そして、各組の値を
評価関数に代入して、 を計算し、それらの平均値 を求める。サンプリング点の数,サンプリング点同志の
間隔は任意でよい。
ここで収束判定手段14により、の値又はその変化
率が予め定めた設定値より大きければ再び大域最適化法
を繰り返す。この場合には、平均値よりも評価関数
が小さい領域を新たな膜厚変動区間として、大域解推定
手段14で求められた範囲から領域〔d11,〔d21,‥
‥,〔dNを求め、先に指定した(d1,‥‥,dN)の組
を新たな膜厚変動区間から選んだ値で置き替えると共に
で置き替えて再び新しい膜厚変動区間内にお
いて、サンプリング点を指定し、評価関数を計算する。
これをu回繰り返して、平均値又はとu−1回
目の平均値u-1との差が予め設定した値以下になった
時ほぼ最小値の近傍に収束したものとして、このとき得
られた領域〔d1u,‥‥,〔dNの中から適当に定め
た(d1,‥‥,dN)の組を各層の膜厚の概略値として出力
する。ここで収束判定を厳しくとると時間がかかり、緩
くすると局所解に落ちてしまうので、適当な値を選ぶ必
要がある。
次に、こうして得られた各層の膜厚の概略値
(Xmin.′)を初期値として、局所最適化手段13におい
て局所最適化法を用いて評価関数の最小値(Xmin.)を
求める。ここではそのような局所最適化法の例として最
小自乗法を取り上げて説明する。
即ち、N層の多層膜各層の膜厚を夫々変数d1,‥‥,dN
とし、これを用いて計算した各波長での反射率を成分と
するベクトルを 各波長における実測値を成分とするベクトルを として、実測値を目標としてこれに最も一致する反射率
を与える膜厚d1,‥‥,dNを求める。
最小自乗法では、目標値への接近度を示す単一評価尺
度として再び式(6)のような評価関数を用いる。
ここでWiは上式の個々の評価関数の重みであり、ここ
では簡単のためWi=1とする。上式(8)ではE≧0で
あるので、Eが最小値をとるd1,‥‥,dNの組を解として
求める。ここで、 とすると、 となるので、Eの最小を求めるためにEを各変数につい
て偏微分する。
とする。また、 を大域最適化法により得られた結果の膜厚の組合わせ を各層の膜厚値の変化量とし、膜厚 に対する反射率を とする。リニア領域間即ち だけ膜厚を変化させたときの反射率 で表わされる領域間で局所最適化を行なうと仮定する
(Δdiは小さい値しかとらないので、これは十分良い近
似となる。)と、式(10)は、 となり、変数d1,‥‥,dNが互いに独立であり、M≧Nの
とき である。従って、最小自乗法を1回経たあとの結果の膜
厚は で与えられる。
次に、上記の で置き換えて同様の計算を繰り返す。
に対する評価関数値又は膜厚が に変わった際の評価関数値の変化率が予め設定した値よ
り小さくなるまでこれを繰り返し、最終的に収束した値
が求めるべき多層膜の各層の膜厚値となる。
上述のように本実施例によれば、膜厚が全く不明であ
るような多層膜であっても、解を探す範囲を大幅に減少
させることができ、多層膜各層の膜厚を同時に、しかも
高速で測定することができる。
次に本実施例の具体的な実験例について説明する。
実験例 まず基板上の二層膜について予め各層の屈折率と膜厚
が分かっているものについて、上で述べた方法を用いて
膜厚を求めてみた。そして同一性能のコンピュータのも
とで従来例との比較を行った。各層の構成は、入射側媒
質は空気(n0=1)、上層は窒化シリコン(n1=2.
0)、下層はシリコン酸化膜(n2=1.46)、基板はシリ
コン(ns=3.88、ks=−0.024)、上層の膜厚d1=200n
m、下層の膜厚d2=200nmである。測定光は垂直入射と
し、波長400nmから750nmの波長範囲内で71波長を選択し
た。
この2層膜をまず、屈折率n1の単層膜として解析し膜
厚d1′を求めた結果、345nmとなった。次に屈折率n2
単層膜として計算した結果、膜厚d2=475nmとなり前述
の結果と一致する。
まず、従来におけるこの二層膜の膜厚の変動範囲は上
層について0nmから1000nm、下層について、0nmから1000
nmである。これを従来の装置を用いて求めた場合、演算
に要した時間は約500秒であった。次に本発明による装
置では演算時間は約300秒であった。この例で明らかな
ように、本発明により計算時間を大幅に短縮できること
がわかる。
次に、本発明を三層膜の膜厚測定に応用した第二実施
例を説明する。三層膜の構造は第7図(a)に示されて
おり、屈折率nsの基板上に、屈折率が夫々n1,n2,n3の第
一,第二,第三層が積層されている。そして、図
(b),(c),(d)には夫々第一,第二,第三層の
屈折率n1,n2,n3を有する単層膜が、屈折率Nsの基板上に
夫々配置されており、夫々の単層膜の膜厚d1′,d2′,
d3′は図(a)の三層膜と同一の光学的厚みを有するよ
うに近似した値に構成されている。
そして、第8図に示すように、第一層,第二層,第三
層の各膜厚を三次元の軸として表わし、各単層膜の対応
する膜厚d1′,d2′,d3′を対応する各軸上にとると、こ
れら3点d1′,d2′,d3′を結ぶ面内に求めるべき三層膜
の各膜厚d1,d2,d3が存在することになる。
上述のように本実施例は、測定すべき各膜厚の探索領
域を平面として表わすことができるから、探索領域を一
次元少なくすることができ、計算時間の短縮化を一層促
進させることができる。
実験例 第二実施例に関して、n1=1.46,d1=100nm,n2=2.0,d
2=200nm,n3=1.46,d3=300nmとして、三層膜の各膜厚
が予め分かっているものについて実験した結果、従来68
0秒要した計算時間を150秒に短縮させることができた。
次に、本発明の第三実施例を第9図に基づいて説明す
る。本実施例は、二層膜の膜厚を上述の実施例よりも更
に高速に計算できるようにしたものである。
図において、二層膜の上層及び下層の膜厚領域全体を
メッシュ状に区切り、各線の交点である各点eでの組合
せについて予め反射率の理論値を計算して、これを計算
機のメモリー上に記憶しておく。つぎに前述の第一実施
例のように光学的厚みが一定となる線を、上層及び下層
についての各単層膜の膜厚d1′,d2′を結ぶことによっ
て求め、この線上にあるメッシュの各点eについて評価
関数を計算する。理論値はすでにメモリー上にあるので
評価関数を計算する際は、理論値と実測値を比較計算す
るだけで良く、従って計算時間を大幅に短縮でき、高速
で各膜厚で求められる。そして評価関数が最小となる点
が求めるべき膜厚である。
しかしながら反射率はメッシュ状に離散的に計算され
ているので、解となる点が必ずしもメッシュの点eと一
致するとは限らない。この場合は、光学的厚みが一定の
線d1′d2′上に最も近いメッシュの各点eを出発値とし
て局所最適化計算を行なう。これらの中には局所解に収
束するものもあるが、収束時の評価関数の値を比べ、こ
れが最も小さくなる膜厚の組合せが求めるべき解とな
る。
そしてメモリー上の反射率の理論値はディスク等に保
存しておけば、次の計算からはこれを読み出すだけでよ
い。
尚、大域解推定手段11は領域指定手段を構成する。
〔発明の効果〕
上述のように本発明に係る光学式膜厚測定装置は、光
学薄膜の各層の光学的厚さの分が一定となる領域付近を
解の存在する領域として予め指定する領域指定手段と、
該指定された領域内における評価関数の最小値近傍での
各層の膜厚を大域最適化法で求める大域最適化手段とを
備えているから、各膜厚が全く不明であるような場合で
あっても、より高速に多層膜各層の膜厚を同時に測定す
ることができるという、実用上重要な利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による光学式膜厚測定装置の第一実施例
の基本構成を示すブロック図、第2図は第1図の膜厚決
定手段におけるデータ処理のフローチャート、第3図は
単層膜の測定光波長に対する分光反射率分布を示す図、
第4図は第11図の単層膜及び二層膜に対する測定光波長
と反射率との関係を示す図、第5図は第11図の二層膜に
関して光学的厚みの和が一定となる線の一例を示す図、
第6図は大域最適化法を説明するための概念図、第7図
及び第8図は本発明の第二実施例を示すものであり、第
7図(a)は三層膜を示す図,(b),(c),(d)
は三層膜の各層を夫々単層膜として示す図、第8図は三
層膜に関して光学的厚みの和が一定となる平面を示す
図、第9図は本発明の第三実施例に関する第5図と同様
な図、第10図(a),(b)は従来装置における解の推
定領域を示す説明図、第11図,第12図は本発明の原理を
説明するための図であり、第11図(a)は二層膜を示す
図、(b),(c)は二層膜の各層を夫々単層膜として
示す図、第12図は二層膜に関して光学的厚みの和が一定
となる線を示す図である。 5……分光反射率測定手段、9……反射率演算手段、10
……評価関数演算手段、11……大域解推定手段、12……
大域最適化手段。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屈折率が既知の基板上に屈折率が既知の物
    質から成る複数の層を積層して構成した光学薄膜の各層
    の膜厚を測定する光学式膜厚測定装置において、 前記光学薄膜の反射率を複数の所定の波長について測定
    する分光反射率測定手段と、 前記既知の屈折率と所定の波長を用いて、各層の膜厚の
    みを変数として前記光学薄膜の前記各波長毎の反射率を
    表わす反射率関数を算出する反射率関数算出手段と、 前記分光反射率測定手段により測定された各波長毎の分
    光反射率と前記反射率関数算出手段により求めた反射率
    関数との差の総体的な大きさを示す評価関数を膜厚のみ
    の関数として算出する評価関数算出手段と、 前記各層の屈折率と膜厚の積即ち光学的厚さの和が一定
    となる領域及びその近傍を解の存在する領域として予め
    指定する領域指定手段と、 前記領域指令手段により定めた領域内において、前記評
    価関数の最小値近傍での光学薄膜の各層の膜厚を大域最
    適化法により求める大域最適化手段と、 を備えたことを特徴とする光学式膜厚測定装置。
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