JP2883191B2 - ゴルフクラブの頭部を柄部に固定する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はゴルフクラブに関し、更に詳しく述べると、
ゴルフクラブの頭部をその柄部に取り付ける装置に関す
るものである。

ゴルフクラブが全体的に金属製の柄と、「首部」と呼
ばれる上方へ伸びる延長部を介して該柄部に連結された
頭部から構成されていることは公知である。頭部と柄部
の結合は、一般に、柄部を首部に嵌込んで（特に、接着
により）連結することにより行なわれる。ゴルフクラブ
の頭部は、いわゆる打撃部材を構成する。打撃を正確に
行なうためには、この頭部が地面に十分平坦に安息し、
そのときクラブの柄部が地面に対して所定の角度（この
角度が柄部の「ライ」角となる）を形成しなければなら
ない。ゴルフクラブの「ライ」角がゴルフプレイヤーに
よって変化し、かつこの変化は基本的にはプレイヤーの
プレイ位置と背丈に依存することが容易にわかる。「パ
ター」のようなゴルフクラブの場合、一般的に、ゴルフ
プレイヤーの３位置に対応する「ライ」角の３種の主要
な値が規定される。この３位置とは、１の中間位置と該
中間位置の両側で柄の軸心から約２度の開きで得られる
２の両端位置を指す。したがって、特に「パター」のよ
うな精密なクラブの場合には、ゴルフプレイヤーのプレ
イ位置に適合するよう容易に「ライ」角を変更できるこ
とが求められる。

この問題を解決するために種々の解決方法（特にゴル
フクラブを組み立てた後、首部を変形させることからな
る解決方法）が提案されてきた。従来の「パター」の場
合、つまり首部を支持する頭部の上部分が該頭部に対し
ていくらかの柔軟性を有する「パター」の場合、変形は
この上部分の箇所で行なわれ、かつこの上部分の長さに
亙って徐々に分配される。反対に、ある種の「パター」
においては、頭部の上部分はそれが変形しないような剛
性を付与する構造を有している。この場合、屈曲応力は
首部のみで受け止められる。そこで、屈曲の間、首部に
加わる変形を保存して「ライ」角の調節を確保するため
には、該首部は、それに加わる応力が、変形後、構成材
料が初期の状態に戻らないようその弾性限界を越えたと
ころにあり、またゴルフクラブの首部が破損しないよう
破断限界内にあるような機械的特性を有していなければ
ならない。

ゴルフクラブの頭部は、首部を製作するのに要する機
械的応力と必ずしも同一ではない機械的応力に基づいて
選択される材料で構成される。その結果、「ライ」角を
調節する操作の間、首部に加わる応力は先に詳述した応
力の範囲内にはない。このようにして、該頭部を構成す
る材料が十分な剛性を有しない場合には、首部は、屈曲
の後、初期の状態を取り戻そうとし、かつ、その反対
に、極めて大きな剛性を有する場合には、屈曲作用の間
に破壊する恐れがある。

その上、一般に、審美的な理由から、ゴルフクラブの
頭部は、通常、その上部分に連結区域を備えており、こ
の連結区域はほぼ円錐状で下方から上方へテーパー状を
成していて、クラブの柄との接続を確実にするためのも
のである。この接続区域は、クラブの柄の「ライ」角を
変更したいと望む場合、その傾斜を妨げようとする欠点
がある。さらに、この接続区域は突起部を構成して、鋳
造成形の際、往々にして「負の抜き代（depouillesnega
tives）」を形成するという厄介な問題を生ずる。

首部が、単一部材から得られた延長部分である頭部と
一体になった、従来のゴルフクラブの頭部においては、
一般に、柄部と首部との間には同心性、したがって一線
整列が欠如し、この欠陥は補正するか、または少なくと
も「留め輪（ferrule）」と称する常套的な部品を用い
て覆い隠す必要がある。

本発明は、頭部に対する柄部の変形、すなわち屈曲に
よって「ライ」角を調節できるとともに、該頭部が鋳造
成形容易で、かつ柄の基部と頭部の上部との間にある連
結区域が審美的に製作されるゴルフクラブを提供するこ
とにより、上述した諸欠点を除去することを目的とす
る。

この目的のために、柄部を固定した首部を上部分に備
えた頭部を含むゴルフクラブは、該首部がゴルフクラブ
の頭部に固定した独立の部材からなり、かつ中間環状部
材（リング）が該頭部と該首部との間に挿入されること
を特徴とするものである。

以下、非限定的な例として、本発明の一実施態様を添
付の図面を参照して説明する。

第１図は、ゴルフクラブの下部分、より詳細には、ほ
ぼ水平な下面を介して水平面Ｐ上に静置する頭部１を含
む「ウッド」を示す。該頭部１の上部分には、該水平面
Ｐとクラブの「ライ」角を表わす角度ａを形成する長手
方向軸を有する筒状の凹部３が穿設されている。該筒状
の凹部３は該頭部１の上部分で、平面部分５に連通して
いる。クラブの頭部１は、更に、該頭部から独立した嵌
込み部材で構成される首部７を含む。該首部７は中央筒
状部材7aを含み、該筒状部材はその両端部において直径
のより小さい同軸筒状ピン7b、7cを介して伸び出てい
る。該筒状凹部３の径にほぼ等しい径のピン7bは、該筒
状凹部３内で強制嵌込みと接着によって所定の位置を占
める。該ピン7bの外径と同じ内径を有する中間リング９
はこのピン7bの回りに位置し、かつ該頭部１の平面部分
５と下方肩部7d間に配設される。該下方肩部は中央筒状
部材7aと下方ピンとの間にある接続用横断面内に形成さ
れる。この中間リング９はゴルフクラブの頭部１の上部
分と首部７の下部分間の接合を確実にする。クラブの柄
部13はピン7cに強制的に嵌込まれて接着される。この目
的のために、柄部は下部正面13aに連通する軸方向の片
開き孔11を備えており、この片開き孔には該孔11の径と
ほぼ同じ径のピン7cが挿入される。

首部７を構成する材料は、正確な値で「ライ」角ａを
調節するため該材料に加えられる屈曲を考慮して、該材
料の弾性限界が該首部の受ける応力以下であるように、
また屈曲後もその位置を保存するように、かつ該材料の
破断限界が該材料に加わる応力を越えたところにあっ
て、その破断を回避できるように選択される。

柄部13に対し矢印Ｆの方向に応力が加えられる場合、
屈曲応力を受ける首部７の部分はリング９の相対する２
面間、つまり水平部分５と筒状部材7aの下方肩部7b間に
あるピン7bの部分である。

本発明によれば、ゴルフクラブを構成する基本的部
材、つまり頭部１、首部７、および連結部材９は単純な
形状の異なる要素で構成される。したがって、該頭部
は、それ自体製作が簡単な鋳型を用いて、鋳造成形によ
り容易に製作することができる。

更に、屈曲作用は、リング９によって構成される頭部
の上部分と柄部の基部間の接続を保証する部材が首部と
共に移動可能であるので、該首部の屈曲に抗しないとい
う理由で容易になる。

「ライ」角ａを所望の値に調節するため頭部に対して
首部の屈曲可能性を改善するには、第２図に示すよう
に、屈曲を受ける首部の長さを長くすればよい。

第２図において、クラブ頭部20の上部分には、水平面
Ｐに対して角度ａ′だけ傾いた長手方向軸ｚ−ｚ′を有
する筒状の凹部22が掘設されている。ゴルフクラブの首
部25は該凹部22の深さよりも短い長さｂで、かつ該凹部
の径と同じ径の筒状部分26で構成され、該筒状部分は小
径のシャフト（軸棒）28を介して上方へ伸び出ている。
該首部25の筒状部分26は該筒状凹部22の底部内を占め、
かつ該シャフト28の外径と同じ内径を有するリング（環
状部材）30が該シャフト28上に配設されており、該シャ
フトは嵌込みと接着とにより、ゴルフクラブの柄部32を
収容している。首部の筒状部分26の長さは、該柄部32の
基部32aと該シャフト28の基部28aとの間で或る程度大き
な長さｄを保存するよう、該凹部22の内部でやや長くな
っている。実際、屈曲作用の間、屈曲を受ける該シャフ
ト28の部分はその基部28aと柄部32の基部32aとの間に在
る部分であることが分かる。また、長さｄが長いほど、
所定の材料について、また所定の屈曲角度について首部
25の内部応力が小さくなることが分かる。

この状況において、一方では長さｄに、また他方では
首部を構成する材料の材質に関係することにより、クラ
ブの頭部を構成する材料の機械的特性に関わりなく、該
材料の弾性限界と破断限界との間で該首部が受ける応力
を維持することができる。

本発明の範囲を逸脱することなく、この態様のいくつ
かの細かい点を変更できることは明らかである。すなわ
ち、第３図に示すように、首部と柄部とを単一の部材で
製作することができる。このためには、下部40aが首部
を構成する中実な柄部40を、その下部分で、径がより小
さく、一端にネジ部44を含む同軸シャフト42から伸び出
させる。該ゴルフクラブの頭部46には、水平面Ｐと「ラ
イ」角ａを形成する軸ｚ−ｚ′を有する長手方向の凹部
48が穿設され、この凹部48は、頭部46の外側で径のより
大きな筒状凹部50に連通している。この凹部48は、柄部
40のネジ部42を収容可能にするネジ部を備えている。シ
ャフト42の径に等しい内径と筒状凹部50の径に等しい外
径を有するリング52が該柄部40のシャフト42上に通され
ている。

屈曲を受ける首部を構成する柄の部分の長さは該リン
グ52の上面と該凹部50の底部の間にあることが分かる。

したがって、このような配置構成によると、該凹部50
の深さに関係することにより、屈曲を受ける首部の長さ
を調節することができる。なお、この調節は該柄部を構
成するのに用いる材料の材質に応じて、また「ライ」角
ａが所望の値に調節される屈曲作用の間、該柄部に得た
いと望む応力に応じて行なわれる。

第４図は本発明の好ましい一変形態様を示すものであ
る。この実施態様によれば、頭部１は雌ねじ切りを施し
た孔48を含み、この孔内には首部70のネジ部を有する下
方ピン70bがネジ留めされる。なお、ピン70bよりも径の
大きな該首部の筒状上部分70cは、柄部13の下部分を収
容するための平滑な軸方向の孔70dを含む。先に述べた
諸実施態様におけるように、中間リング９がピン70bの
回りに位置を占めるとともに、頭部１の平面部分５と該
首部の筒状上部分70cを該ピン70bに接続することによっ
て形成される肩部との間に配設される。この目的のため
に、該中間リング９はピン70bと同じ径の軸方向の孔90
を含み、かつ、第５図からより明確に分かるように、全
般的に円錐形をしている。該中間リング９の外側面91
は、その形状と湾曲度が頭部１へ向かう首部70の形状と
湾曲度の連続性を確保するようなものである。有利な一
配置構成によれば、該筒状上部分70cの軸方向孔70dの深
さL2は首部70の上部分70cの長さL1よりも浅いか、また
は同じである。下部分は頭部１内にネジ留めされるが、
第１図に示したように、該箇所に単に嵌合わせて接着す
るだけでも良い。リング９はプラスチック材料で製作す
るとよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明によるゴルフクラブの下部分を示す部
分縦断面図。 第２図は、本発明によるゴルフクラブの第一の変形態様
を示す部分縦断面図。 第３図は、本発明によるゴルフクラブの第二の変形態様
を示す部分縦断面図。 第４図は、好ましい変形態様を示す第１図と同様の縦断
面図。 第５図は、第４図に示す頭部の部分斜視図。 ［主なる部分の符号の説明］ 1,20,46……頭部 3,22,48……凹部 7,25,40a,70……首部 7a,79c,……上部分（首部の） 7b,26,42,70b……ピン（下部分） 7c,28,70c……ピン（上部分） 9,30,52……中間リング 70d,90……軸方向孔 91……外側面

Claims (9)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部分に首部（７、25、40a、70）を備
   え、前記首部に柄部（13、23、40）が固定されている頭
   部（１、20、46）を含むゴルフクラブにおいて、 前記首部が、前記頭部（１、20、46）に固定された、該
   頭部とは独立の１部材で構成されること；および中間リ
   ング（９、30、52）が前記頭部（１、20、46）と前記首
   部（７、25、40a、70）間に挿入されることを特徴とす
   るゴルフクラブ。
2. 【請求項２】前記首部（７、25、40a、70）が、前記頭
   部（１）内に設けた凹部（３、22、48）内に挿入される
   下部分、すなわちピン（7b、26、42、70b）を含むこと
   を特徴とする請求項１によるゴルフクラブ。
3. 【請求項３】前記首部（７、25、40a、70）が前記柄部
   （13）の下部分と共働する上部分（7c、28、70c）を含
   むことを特徴とする請求項２によるゴルフクラブ。
4. 【請求項４】前記首部（70）の上部分（70c）が軸方向
   の孔（70d）を含み、前記孔内には前記柄部（13）の下
   部分が挿入、固定されることを特徴とする請求項３によ
   るゴルフクラブ。
5. 【請求項５】前記首部（７、70）が筒状であり、かつそ
   の上部分（7a、79c）がその下部分、すなわちピン（7
   b、70b）より大きな直径を有することを特徴とする請求
   項４によるゴルフクラブ。
6. 【請求項６】前記軸方向の孔（70d）の長さが前記首部
   （70）の上部分（70c）の長さ（L1）より短いことを特
   徴とする請求項４または５によるゴルフクラブ。
7. 【請求項７】前記首部の上部分が前記柄部（13）の内部
   に挿入されるピン（7c、28）であることを特徴とする請
   求項１、２または３によるゴルフクラブ。
8. 【請求項８】前記中間リング（９、30、52）が全体に円
   錐形状をしており、かつ前記首部の下部分すなわちピン
   （7b、70b）と共働する軸方向の孔（90）を含むことを
   特徴とする請求項１ないいし７のいずれか１によるゴル
   フクラブ。
9. 【請求項９】外側面（91）が前記首部（７、70）の外表
   面と前記頭部（１）の外表面との間で形状の連続性を確
   保することを特徴とする請求項８によるゴルフクラブ。