JP2880979B2 - エマルション樹脂組成物 - Google Patents
エマルション樹脂組成物Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエマルション樹脂組
成物及びその製造方法に関するものである。本発明のエ
マルション樹脂組成物は塗料、接着剤などの広汎な用途
を有するもので、耐摩耗性、密着性の優れた塗膜を与え
る。 【0002】 【従来の技術】最近まで殆んどの樹脂組成物は有機溶剤
系のものであり、塗装時あるいは乾燥時、その溶剤によ
る環境上の悪影響が問題となってきている。これに対し
て溶剤を含まない、あるいは少量しか含まない組成物、
例えば水溶性又は水分散体の樹脂が注目を集めている。
その中でもアクリル樹脂とウレタン樹脂の水分散体があ
る。アクリル樹脂は、基材への密着性、優れた耐候性、
高光沢性、他の添加剤との相溶性が良好という特徴があ
る。一方欠点としては、熱可塑性が高すぎ、ブロッキン
グを起こしやすい。ウレタン樹脂は、摩耗性、引張り強
度など塗膜の性能は良いものの、耐候性、耐アルカリ性
などの欠点を有している。また、コスト的にもアクリル
樹脂に比べかなり高価なものである。また、両タイプの
特徴を生かすために、両者を物理的に混ぜ合せることも
実施されているが、この場合、樹脂組成によってはアク
リル樹脂とウレタン樹脂の相溶性が悪く、配合物の放置
安定性が良くなく、また性能的にも両者の特徴を相殺す
る方向に働いてしまう。さらに、ウレタンとアクリレー
トをグラフト化した水分散体も提案されている(例え
ば、特開昭61−2720号)が、この場合、モノアク
リル化されたウレタンプレポリマーの製法が複雑である
こと、及び、それとアクリレートをグラフト化させる段
階で安定性に欠け、微粒子の分散体を得ることが難し
い。また安定化させるために界面活性剤を使用している
ために耐水性に悪影響を及ぼす可能性がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技
術の欠点を克服し使用した場合に耐摩耗性、密着性、耐
水性などの優れた塗膜を与え造膜性が優れており、その
もの自体は高濃度(樹脂分含有率が高く)でも安定なエ
マルション樹脂組成物を与えんとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は水性ウレタン
樹脂とアクリル系樹脂との組合せであるエマルション樹
脂組成物を、単に樹脂成分を混合するのではなく、ウレ
タン樹脂水性液中でラジカル重合可能な単量体を重合し
て調製することにより、上記問題点を解決できることを
見出し本発明に到達した。本発明は、以下の[1]に記
載した事項により特定される。 [1] 水性ウレタン樹脂中の樹脂固形分あたりの酸価
換算で20〜150mgKOH/gに相当するポリヒド
ロキシカルボン酸を含有するモノマー組成物を重合して
成るウレタン樹脂を全樹脂成分の1〜95重量%相当含
有する水性液存在下、界面活性剤の非存在下に、全樹脂
成分の99〜5重量%に相当する少なくとも1種以上の
ラジカル重合性単量体を重合して成る耐摩耗性塗料用エ
マルション樹脂組成物。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明についてさらに詳細な説明
を加えれば、重合後の全樹脂成分に対して、ウレタン樹
脂の量は1〜95重量%であり、ラジカル重合性単量体
の量は99〜5重量%である。ウレタン樹脂の量が1重
量%未満若しくはラジカル重合性単量体の量が99重量
%を超える場合は安定なエマルション樹脂組成物が得ら
れない。ウレタン樹脂の量が95重量%を超える場合若
しくはラジカル重合性単量体が5重量%未満ではアクリ
ル樹脂の特徴である光沢、密着性、耐候性が得られな
い。ウレタン樹脂としては水性ウレタン樹脂が好まし
い。水性ウレタン樹脂は例えば次のようにして製造され
る。即ち先ず、ジイソシアネートとグリコール及びポリ
ヒドロキシカルボン酸を反応させウレタン化反応させプ
レポリマーを調製する。この時使用されるジイソシアネ
ートとしては、脂肪族及び脂環式または芳香族ジイソシ
アネートがあり、これらの例としては、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、m
−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステ
ル、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,
4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,
3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネ
ート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。 【0006】グリコール類としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノー
ルA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくは
プロピレンオキサイド付加物などの低分子量グリコー
ル、あるいはポリオールであるポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、
エチレングリコールとアジピン酸、ヘキサンジオールと
アジピン酸、エチレングリコールとフタル酸などの縮合
物であるポリエステル類、ポリカプロラクトンなどが挙
げられる。 【0007】ポリヒドロキシカルボン酸としては2,2
−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪
酸、2,2−ジメチロール吉草酸などが挙げられる。反
応はジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N−
メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどのイソシア
ネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶
剤を使用できる。次いで、プレポリマーを中和及び鎖伸
長し、蒸留水を添加し、水性ウレタン樹脂を得る。鎖伸
長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ールなどのポリオール類、エチレンジアミン、プロピレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミ
ノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、
ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミ
ンなどの脂肪族、脂環式及び芳香族ジアミン及び水など
がある。中和剤としてはトリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリn−プロピルアミン、トリブチルアミン、
トリエタノールアミンのようなアミン類、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
水性ウレタン樹脂中の酸価は樹脂固形分あたり20〜1
50mgKOH/gが好ましい。即ち、水性ウレタン樹
脂のモノマー成分としてのポリヒドロキシカルボン酸は
得られる樹脂の酸価換算で樹脂固形分あたり20〜15
0mgKOH/g用いるのが好ましい。酸価20mgK
OH/g未満では次のエマルション樹脂を重合する際の
重合安定性が悪く、凝集物の発生などが生じる。逆に酸
価が150mgKOH/gをこえると、エマルション樹
脂の耐水性などの物性面に悪影響を及ぼす。 【0008】ラジカル重合性単量体としては、アクリル
酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−
ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキ
シル、ラウリル、ドデシル、ステアリルなどのアクリル
酸エステル)、メタクリル酸エステル(メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、シク
ロヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ドデシ
ル、ステアリル等のメタクリル酸エステル)、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの如き水酸基含有ビニル単量体、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族不飽
和炭化水素、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルイタコ
ネートの如き不飽和ジカルボン酸と1価アルコール類と
のモノエステル類、ジメチルイタコネートの如き不飽和
ジカルボン酸と1価アルコール類とのジエステル類、安
息香酸ビニル、酢酸ビニルの如きビニルエステル類、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミドの如き窒素含有ビ
ニルモノマー、あるいは塩化ビニル、フッ化ビニル、ま
たは塩化ビニリデンなどがある。 【0009】ラジカル重合開始剤としては、通常のエマ
ルション重合に用いられる水溶性開始剤のみでなく、油
溶性開始剤も充分使用出来る。例えば過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、アゾビスシアノ吉草酸やt−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリ
ルなどが挙げられる。また、これらのラジカル発生剤と
亜硫酸塩類、スルホキシレート類との組合せよりなるい
わゆるレドックス系触媒を用いることができる。使用す
るラジカル重合開始剤の量は、ラジカル重合性単量体全
量に対して重量比で0.1%〜5%が適当である。より
好ましくは0.2%〜3%が良い。ラジカル重合開始剤
の添加方法は、通常の方法をとることができる。例え
ば、一括で添加あるいは連続や分割して添加することが
できる。 【0010】ラジカル重合性単量体又はラジカル重合性
単量体混合物の添加方法は、一括あるいは連続または分
割滴下が出来るが、重合熱の制御あるいは重合安定性を
考えた場合、連続滴下が好ましい。さらに、必要に応じ
てメルカプタン類などの連鎖移動剤の添加も可能であ
る。反応温度は、使用する単量体の種類、重合開始剤の
型などによって異なるが、通常は40℃〜80℃の温度
範囲が適当である。40℃未満であると重合速度が遅
く、80℃を超えると釜内壁への樹脂付着が多くなる。 【0011】本発明の製造方法によれば、通常エマルシ
ョン重合を行うときに使用する界面活性剤をいっさい使
用せず、安定かつ微粒子のエマルション樹脂組成物を製
造することができ機械的安定性や貯蔵安定性に優れ、ま
た塗料配合時などにおける他の添加剤との相溶性も良好
である。もちろん必要であれば界面活性剤を使用するこ
とは差し支えない。得られたエマルション樹脂組成物
は、耐摩耗性、密着性、耐水性、光沢など優れた塗膜を
与えることができ、ラジカル重合性単量体の種類、量、
組合せを適宜選択することによって、塗料、接着剤、繊
維加工剤、紙コーティング剤、建築用塗料などへの応用
が可能である。 【0012】 【実施例】以下、本発明を参考例、実施例、配合例及び
比較例によりさらに具体的に説明する。 [参考例] 〔水性ポリウレタン系樹脂の製造〕 ポリプロピレングリコール(分子量1000)49
g、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート176
g、ジメチロールプロピオン酸70g及びN−メチルピ
ロリドン196gを還流冷却器、温度計及び攪拌装置を
取付けた反応器に取り、80〜100℃に保ちながらウ
レタン化反応を行ってプレポリマーを調製した。次い
で、このプレポリマーにトリエチルアミン48gを加え
て中和したのち、ヘキサメチレンジアミン5.0gを加
え、蒸留水を添加しながら反応器内の温度を35℃以下
に保って高分子化反応を行い、反応終了までに456g
の蒸留水を加えて表−1[表1]の水性ポリウレタン系
樹脂Cを得た。この水性ポリウレタン系樹脂の樹脂固型
分あたり酸価は98であった。と同様の要領で表−1[表1]に示した原料を使
用して水性ポリウレタン系樹脂A、B、及び、D、をそ
れぞれ調製した。 【0013】 【表1】* オレスタ−Q−5001Eは、三井東圧化学株式会社製のポリエステルポリ オールの商品名。分子量1,000。 【0014】[実施例1]攪拌装置、還流冷却器、温度
計及び窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水471
g、参考例で得た水性ポリウレタン系樹脂A133gを
仕込み攪拌しながら60℃まで加温し、60℃でスチレ
ン237gと2−エチルヘキシルアクリレート123g
とより成る混合液を3時間かけて滴下した。上記のモノ
マー混合液の滴下と同時に、あらかじめ調製したt−ブ
チルハイドロパーオキシドの10%水分散液18g及び
ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレートの10
%水溶液18gも滴下した。滴下終了後、反応液を70
℃に1時間保って重合反応を完結させた。得られた乳化
重合体は、不揮発分40.3%、粘度2350cps、
pH7.4であり、粒子径0.080μの水性エマルシ
ョン樹脂組成物であった 。 [実施例2〜9並びに比較例2及び4]実施例1と
同様の要領で表−2[表2〜4]の水性エマルション樹
脂(実施例2〜9並びに比較例2、4の水性エマルショ
ン樹脂組成物)を調製した。表−2[表2〜4]におい
て、略号の意味は以下のとおりである。 ST ;スチレン。 2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート。 MMA ;メチルメタクリレート。 n−BA;n−メチルアクリレート。 MAc ;メタクリル酸。 t−DM;ドデシルメルカプタン。 PBH ;t−ブチルハイドロパーオキシド。 SFS ;ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレー
ト。 KPS ;過硫酸カリウム。 【0015】 【表2】 【0016】 【表3】【0017】 【表4】【0018】[比較例1及び3]攪拌装置、還流冷却
器、温度計及び窒素導入管で備えた反応容器に脱イオン
水456gを入れて70℃に加温し、ラウリル硫酸ナト
リウム1g及び過硫酸カリウム2gを加えた。別にスチ
レン252g、2−エチヘキシルアクリレート140
g、メタクリル酸8g及びt−ドデシルメルカプトン
0.4gの混合物を、ラウリル硫酸ナトリウム1gを含
む脱イオン水139.6gに加えて乳化させてモノマー
乳化物を調製し、これを上記反応容器中に調製してあっ
た脱イオン水に3時間かけて滴下した。滴下終了後、7
0℃に2時間保って重合反応を完結させ、アンモア水に
てpHを約7に調整し、比較例1のアクリルエマルショ
ン樹脂を得た。同様にして表−2[表2〜4]の原料部
数で比較例3のアクリルエマルション樹脂を得た。表−
2[表2〜4]に示す様に、本発明の製造方法により、
安定な微粒子エマルション樹脂組成物(実施例1〜9)
が得られた。また、水性ウレタン樹脂の使用量が少ない
と(比較例2)重合時の安定性が悪く、粗大粒子の発生
が見られた。 【0019】[防錆用塗料配合〔配合例1〕]実施例1
で得た水性エマルション樹脂組成物100部にエタノー
ル10部、ブチルセロソルブ5部、ジメチルエタノール
アミン1部及びカーボンブラックEP−510B5部を
加えて防錆用塗料を調製し、次の試験測定用に供した。 【0020】[防錆用塗料配合〔配合例2〜10〕]実
施例2〜4及び9及び比較例1、4で得た水性エマルシ
ョン組成物、参考例で得た水性ポリウレタン系樹脂及び
表−3[表5]に示す原料を表−3[表5]に示す部数
配合して、配合例1と同様にして防錆用塗料を調整し、
配合例1と同様の試験に供した。 〔試験方法〕配合例1〜10を、150mm×70mm
の磨き軟鋼板に、バーコーター(No.60)にて塗
布。25℃、65%RHの恒温恒湿室にて、72時間放
置し乾燥を行い、以下に示す試験に供した。 光沢60゜鏡面反射光沢を、光沢度計(日本電色工
業製“ND−101D”)にて測定。 碁盤目密着(JIS K−5400)塗膜表面を、
1mm間隔でクロスカットし、その上からセロハンテー
プを密着させ、90゜の角度でひきはがした時の剥離し
ないマス目の割合で示した(100/100は最も良好
で0/100は最も悪い)。 耐水性試料を25℃の蒸留水中に24時間浸漬した
後、取り出し、塗膜の白化状態を肉眼で観察した。 ソルトスプレー性素地までカットを入れた試験片
を、5%食塩水にて塩水噴霧試験(JISZ−237
1)を行い72時間試験した後、塗膜のサビ状態を観察
した。 ○……良好 △……やや不良 ×……不良 測定結果は、表−3[表5]のとおりであった。表−3
[表5]に示す様に、光沢、密着性、耐水性、ソルトス
プレー性を試験した結果、本発明のエマルション樹脂組
成物を用いれば(配合例1〜4)、水性ウレタン樹脂と
アクリルエマルション樹脂の物理的ブレンド(配合例6
〜9)に比べ、光沢、密着性が良く特にソルトスプレー
性は極めて優れた結果であった。酸価が高い水性ウレタ
ン樹脂を用いると(配合例5)、耐水性、ソルトスプレ
ー性にやや劣っていた。また水性ウレタン樹脂量が95
%を超えると(配合例10)、光沢、密着性が劣ってい
た。 【0021】 【表5】 【0022】 【表6】【0023】[耐摩耗性塗料配合〔配合例11〜1
8〕]表−4[表7〜8]に示す部数で実施例5〜8及
び比較例2、3で得た水性エマルション樹脂組成物に脱
イオン水、エチルカルビトール、トリブトキシエチルフ
ォスフェート、40%ポリエチレンワックス、40%ア
ルカリ可溶性樹脂及び1%フッ素系界面活性剤を加えた
配合物を調製し、耐摩耗性試験に供した。 〔試験法〕配合例11〜18を150mm×70mmの
ボンデライト処理鋼板#144に、バーコーター(N
o.60)にて塗布し、温度25℃、湿度65%RHの
恒温恒湿室にて72時間放置し、乾燥を行い、耐摩耗性
試験に供した。耐摩耗性試験は、東洋精機製のテーバー
摩耗試験機を用い、摩耗リングはCS−17を用い、荷
重1kgをかけて測定した。測定結果は表−4[表7〜
8]のとおりであった。表−4[表7〜8]に示すよう
に、耐摩耗性を試験した結果、本発明のエマルション樹
脂組成物を用いれば(配合例11〜14)、水性ウレタ
ン樹脂とアクリルエマルションの物理的ブレンド(配合
例16〜18)に比べ優れた耐摩耗性の結果が得られ
た。また、使用した水性ウレタン量が1%未満の場合に
は(配合例15)、充分な耐摩耗性は得られなかった。 【0024】 【表7】【0025】 【表8】【0026】 【発明の効果】本発明に係る塗料エマルション樹脂組成
物を応用することにより、耐摩耗性に優れ、基材への密
着性にも優れた塗膜を発現できる。さらに界面活性剤を
全く使用していないため優れた耐水性、耐塩水性を有し
た塗膜を発現することができる。本発明に係る塗料エマ
ルション樹脂組成物は、塗料、接着剤、繊維加工剤、紙
コーティング剤、建築用塗料などへの応用が可能であ
る。
成物及びその製造方法に関するものである。本発明のエ
マルション樹脂組成物は塗料、接着剤などの広汎な用途
を有するもので、耐摩耗性、密着性の優れた塗膜を与え
る。 【0002】 【従来の技術】最近まで殆んどの樹脂組成物は有機溶剤
系のものであり、塗装時あるいは乾燥時、その溶剤によ
る環境上の悪影響が問題となってきている。これに対し
て溶剤を含まない、あるいは少量しか含まない組成物、
例えば水溶性又は水分散体の樹脂が注目を集めている。
その中でもアクリル樹脂とウレタン樹脂の水分散体があ
る。アクリル樹脂は、基材への密着性、優れた耐候性、
高光沢性、他の添加剤との相溶性が良好という特徴があ
る。一方欠点としては、熱可塑性が高すぎ、ブロッキン
グを起こしやすい。ウレタン樹脂は、摩耗性、引張り強
度など塗膜の性能は良いものの、耐候性、耐アルカリ性
などの欠点を有している。また、コスト的にもアクリル
樹脂に比べかなり高価なものである。また、両タイプの
特徴を生かすために、両者を物理的に混ぜ合せることも
実施されているが、この場合、樹脂組成によってはアク
リル樹脂とウレタン樹脂の相溶性が悪く、配合物の放置
安定性が良くなく、また性能的にも両者の特徴を相殺す
る方向に働いてしまう。さらに、ウレタンとアクリレー
トをグラフト化した水分散体も提案されている(例え
ば、特開昭61−2720号)が、この場合、モノアク
リル化されたウレタンプレポリマーの製法が複雑である
こと、及び、それとアクリレートをグラフト化させる段
階で安定性に欠け、微粒子の分散体を得ることが難し
い。また安定化させるために界面活性剤を使用している
ために耐水性に悪影響を及ぼす可能性がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技
術の欠点を克服し使用した場合に耐摩耗性、密着性、耐
水性などの優れた塗膜を与え造膜性が優れており、その
もの自体は高濃度(樹脂分含有率が高く)でも安定なエ
マルション樹脂組成物を与えんとするものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は水性ウレタン
樹脂とアクリル系樹脂との組合せであるエマルション樹
脂組成物を、単に樹脂成分を混合するのではなく、ウレ
タン樹脂水性液中でラジカル重合可能な単量体を重合し
て調製することにより、上記問題点を解決できることを
見出し本発明に到達した。本発明は、以下の[1]に記
載した事項により特定される。 [1] 水性ウレタン樹脂中の樹脂固形分あたりの酸価
換算で20〜150mgKOH/gに相当するポリヒド
ロキシカルボン酸を含有するモノマー組成物を重合して
成るウレタン樹脂を全樹脂成分の1〜95重量%相当含
有する水性液存在下、界面活性剤の非存在下に、全樹脂
成分の99〜5重量%に相当する少なくとも1種以上の
ラジカル重合性単量体を重合して成る耐摩耗性塗料用エ
マルション樹脂組成物。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明についてさらに詳細な説明
を加えれば、重合後の全樹脂成分に対して、ウレタン樹
脂の量は1〜95重量%であり、ラジカル重合性単量体
の量は99〜5重量%である。ウレタン樹脂の量が1重
量%未満若しくはラジカル重合性単量体の量が99重量
%を超える場合は安定なエマルション樹脂組成物が得ら
れない。ウレタン樹脂の量が95重量%を超える場合若
しくはラジカル重合性単量体が5重量%未満ではアクリ
ル樹脂の特徴である光沢、密着性、耐候性が得られな
い。ウレタン樹脂としては水性ウレタン樹脂が好まし
い。水性ウレタン樹脂は例えば次のようにして製造され
る。即ち先ず、ジイソシアネートとグリコール及びポリ
ヒドロキシカルボン酸を反応させウレタン化反応させプ
レポリマーを調製する。この時使用されるジイソシアネ
ートとしては、脂肪族及び脂環式または芳香族ジイソシ
アネートがあり、これらの例としては、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、m
−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、リジンジイソシアネートエステ
ル、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,
4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,
3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネ
ート、3,3′−ジメトキシ−4,4′−ビフェニレン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。 【0006】グリコール類としては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、トリメチレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ヘキサメチレングリコール、水添ビスフェノー
ルA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくは
プロピレンオキサイド付加物などの低分子量グリコー
ル、あるいはポリオールであるポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコールなどのポリエーテル類、
エチレングリコールとアジピン酸、ヘキサンジオールと
アジピン酸、エチレングリコールとフタル酸などの縮合
物であるポリエステル類、ポリカプロラクトンなどが挙
げられる。 【0007】ポリヒドロキシカルボン酸としては2,2
−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪
酸、2,2−ジメチロール吉草酸などが挙げられる。反
応はジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、N−
メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどのイソシア
ネート基に対して不活性で水との親和性の大きい有機溶
剤を使用できる。次いで、プレポリマーを中和及び鎖伸
長し、蒸留水を添加し、水性ウレタン樹脂を得る。鎖伸
長剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコ
ールなどのポリオール類、エチレンジアミン、プロピレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミ
ン、キシリレンジアミン、ジフェニルジアミン、ジアミ
ノジフェニルメタン、ジアミノシクロヘキシルメタン、
ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミ
ンなどの脂肪族、脂環式及び芳香族ジアミン及び水など
がある。中和剤としてはトリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリn−プロピルアミン、トリブチルアミン、
トリエタノールアミンのようなアミン類、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
水性ウレタン樹脂中の酸価は樹脂固形分あたり20〜1
50mgKOH/gが好ましい。即ち、水性ウレタン樹
脂のモノマー成分としてのポリヒドロキシカルボン酸は
得られる樹脂の酸価換算で樹脂固形分あたり20〜15
0mgKOH/g用いるのが好ましい。酸価20mgK
OH/g未満では次のエマルション樹脂を重合する際の
重合安定性が悪く、凝集物の発生などが生じる。逆に酸
価が150mgKOH/gをこえると、エマルション樹
脂の耐水性などの物性面に悪影響を及ぼす。 【0008】ラジカル重合性単量体としては、アクリル
酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル、i−
ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、2−エチルヘキ
シル、ラウリル、ドデシル、ステアリルなどのアクリル
酸エステル)、メタクリル酸エステル(メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、i−ブチル、t−ブチル、シク
ロヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ドデシ
ル、ステアリル等のメタクリル酸エステル)、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの如き水酸基含有ビニル単量体、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族不飽
和炭化水素、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、
イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルイタコ
ネートの如き不飽和ジカルボン酸と1価アルコール類と
のモノエステル類、ジメチルイタコネートの如き不飽和
ジカルボン酸と1価アルコール類とのジエステル類、安
息香酸ビニル、酢酸ビニルの如きビニルエステル類、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミ
ド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミドの如き窒素含有ビ
ニルモノマー、あるいは塩化ビニル、フッ化ビニル、ま
たは塩化ビニリデンなどがある。 【0009】ラジカル重合開始剤としては、通常のエマ
ルション重合に用いられる水溶性開始剤のみでなく、油
溶性開始剤も充分使用出来る。例えば過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、アゾビスシアノ吉草酸やt−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリ
ルなどが挙げられる。また、これらのラジカル発生剤と
亜硫酸塩類、スルホキシレート類との組合せよりなるい
わゆるレドックス系触媒を用いることができる。使用す
るラジカル重合開始剤の量は、ラジカル重合性単量体全
量に対して重量比で0.1%〜5%が適当である。より
好ましくは0.2%〜3%が良い。ラジカル重合開始剤
の添加方法は、通常の方法をとることができる。例え
ば、一括で添加あるいは連続や分割して添加することが
できる。 【0010】ラジカル重合性単量体又はラジカル重合性
単量体混合物の添加方法は、一括あるいは連続または分
割滴下が出来るが、重合熱の制御あるいは重合安定性を
考えた場合、連続滴下が好ましい。さらに、必要に応じ
てメルカプタン類などの連鎖移動剤の添加も可能であ
る。反応温度は、使用する単量体の種類、重合開始剤の
型などによって異なるが、通常は40℃〜80℃の温度
範囲が適当である。40℃未満であると重合速度が遅
く、80℃を超えると釜内壁への樹脂付着が多くなる。 【0011】本発明の製造方法によれば、通常エマルシ
ョン重合を行うときに使用する界面活性剤をいっさい使
用せず、安定かつ微粒子のエマルション樹脂組成物を製
造することができ機械的安定性や貯蔵安定性に優れ、ま
た塗料配合時などにおける他の添加剤との相溶性も良好
である。もちろん必要であれば界面活性剤を使用するこ
とは差し支えない。得られたエマルション樹脂組成物
は、耐摩耗性、密着性、耐水性、光沢など優れた塗膜を
与えることができ、ラジカル重合性単量体の種類、量、
組合せを適宜選択することによって、塗料、接着剤、繊
維加工剤、紙コーティング剤、建築用塗料などへの応用
が可能である。 【0012】 【実施例】以下、本発明を参考例、実施例、配合例及び
比較例によりさらに具体的に説明する。 [参考例] 〔水性ポリウレタン系樹脂の製造〕 ポリプロピレングリコール(分子量1000)49
g、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート176
g、ジメチロールプロピオン酸70g及びN−メチルピ
ロリドン196gを還流冷却器、温度計及び攪拌装置を
取付けた反応器に取り、80〜100℃に保ちながらウ
レタン化反応を行ってプレポリマーを調製した。次い
で、このプレポリマーにトリエチルアミン48gを加え
て中和したのち、ヘキサメチレンジアミン5.0gを加
え、蒸留水を添加しながら反応器内の温度を35℃以下
に保って高分子化反応を行い、反応終了までに456g
の蒸留水を加えて表−1[表1]の水性ポリウレタン系
樹脂Cを得た。この水性ポリウレタン系樹脂の樹脂固型
分あたり酸価は98であった。と同様の要領で表−1[表1]に示した原料を使
用して水性ポリウレタン系樹脂A、B、及び、D、をそ
れぞれ調製した。 【0013】 【表1】* オレスタ−Q−5001Eは、三井東圧化学株式会社製のポリエステルポリ オールの商品名。分子量1,000。 【0014】[実施例1]攪拌装置、還流冷却器、温度
計及び窒素導入管を備えた反応容器に脱イオン水471
g、参考例で得た水性ポリウレタン系樹脂A133gを
仕込み攪拌しながら60℃まで加温し、60℃でスチレ
ン237gと2−エチルヘキシルアクリレート123g
とより成る混合液を3時間かけて滴下した。上記のモノ
マー混合液の滴下と同時に、あらかじめ調製したt−ブ
チルハイドロパーオキシドの10%水分散液18g及び
ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレートの10
%水溶液18gも滴下した。滴下終了後、反応液を70
℃に1時間保って重合反応を完結させた。得られた乳化
重合体は、不揮発分40.3%、粘度2350cps、
pH7.4であり、粒子径0.080μの水性エマルシ
ョン樹脂組成物であった 。 [実施例2〜9並びに比較例2及び4]実施例1と
同様の要領で表−2[表2〜4]の水性エマルション樹
脂(実施例2〜9並びに比較例2、4の水性エマルショ
ン樹脂組成物)を調製した。表−2[表2〜4]におい
て、略号の意味は以下のとおりである。 ST ;スチレン。 2EHA;2−エチルヘキシルアクリレート。 MMA ;メチルメタクリレート。 n−BA;n−メチルアクリレート。 MAc ;メタクリル酸。 t−DM;ドデシルメルカプタン。 PBH ;t−ブチルハイドロパーオキシド。 SFS ;ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレー
ト。 KPS ;過硫酸カリウム。 【0015】 【表2】 【0016】 【表3】【0017】 【表4】【0018】[比較例1及び3]攪拌装置、還流冷却
器、温度計及び窒素導入管で備えた反応容器に脱イオン
水456gを入れて70℃に加温し、ラウリル硫酸ナト
リウム1g及び過硫酸カリウム2gを加えた。別にスチ
レン252g、2−エチヘキシルアクリレート140
g、メタクリル酸8g及びt−ドデシルメルカプトン
0.4gの混合物を、ラウリル硫酸ナトリウム1gを含
む脱イオン水139.6gに加えて乳化させてモノマー
乳化物を調製し、これを上記反応容器中に調製してあっ
た脱イオン水に3時間かけて滴下した。滴下終了後、7
0℃に2時間保って重合反応を完結させ、アンモア水に
てpHを約7に調整し、比較例1のアクリルエマルショ
ン樹脂を得た。同様にして表−2[表2〜4]の原料部
数で比較例3のアクリルエマルション樹脂を得た。表−
2[表2〜4]に示す様に、本発明の製造方法により、
安定な微粒子エマルション樹脂組成物(実施例1〜9)
が得られた。また、水性ウレタン樹脂の使用量が少ない
と(比較例2)重合時の安定性が悪く、粗大粒子の発生
が見られた。 【0019】[防錆用塗料配合〔配合例1〕]実施例1
で得た水性エマルション樹脂組成物100部にエタノー
ル10部、ブチルセロソルブ5部、ジメチルエタノール
アミン1部及びカーボンブラックEP−510B5部を
加えて防錆用塗料を調製し、次の試験測定用に供した。 【0020】[防錆用塗料配合〔配合例2〜10〕]実
施例2〜4及び9及び比較例1、4で得た水性エマルシ
ョン組成物、参考例で得た水性ポリウレタン系樹脂及び
表−3[表5]に示す原料を表−3[表5]に示す部数
配合して、配合例1と同様にして防錆用塗料を調整し、
配合例1と同様の試験に供した。 〔試験方法〕配合例1〜10を、150mm×70mm
の磨き軟鋼板に、バーコーター(No.60)にて塗
布。25℃、65%RHの恒温恒湿室にて、72時間放
置し乾燥を行い、以下に示す試験に供した。 光沢60゜鏡面反射光沢を、光沢度計(日本電色工
業製“ND−101D”)にて測定。 碁盤目密着(JIS K−5400)塗膜表面を、
1mm間隔でクロスカットし、その上からセロハンテー
プを密着させ、90゜の角度でひきはがした時の剥離し
ないマス目の割合で示した(100/100は最も良好
で0/100は最も悪い)。 耐水性試料を25℃の蒸留水中に24時間浸漬した
後、取り出し、塗膜の白化状態を肉眼で観察した。 ソルトスプレー性素地までカットを入れた試験片
を、5%食塩水にて塩水噴霧試験(JISZ−237
1)を行い72時間試験した後、塗膜のサビ状態を観察
した。 ○……良好 △……やや不良 ×……不良 測定結果は、表−3[表5]のとおりであった。表−3
[表5]に示す様に、光沢、密着性、耐水性、ソルトス
プレー性を試験した結果、本発明のエマルション樹脂組
成物を用いれば(配合例1〜4)、水性ウレタン樹脂と
アクリルエマルション樹脂の物理的ブレンド(配合例6
〜9)に比べ、光沢、密着性が良く特にソルトスプレー
性は極めて優れた結果であった。酸価が高い水性ウレタ
ン樹脂を用いると(配合例5)、耐水性、ソルトスプレ
ー性にやや劣っていた。また水性ウレタン樹脂量が95
%を超えると(配合例10)、光沢、密着性が劣ってい
た。 【0021】 【表5】 【0022】 【表6】【0023】[耐摩耗性塗料配合〔配合例11〜1
8〕]表−4[表7〜8]に示す部数で実施例5〜8及
び比較例2、3で得た水性エマルション樹脂組成物に脱
イオン水、エチルカルビトール、トリブトキシエチルフ
ォスフェート、40%ポリエチレンワックス、40%ア
ルカリ可溶性樹脂及び1%フッ素系界面活性剤を加えた
配合物を調製し、耐摩耗性試験に供した。 〔試験法〕配合例11〜18を150mm×70mmの
ボンデライト処理鋼板#144に、バーコーター(N
o.60)にて塗布し、温度25℃、湿度65%RHの
恒温恒湿室にて72時間放置し、乾燥を行い、耐摩耗性
試験に供した。耐摩耗性試験は、東洋精機製のテーバー
摩耗試験機を用い、摩耗リングはCS−17を用い、荷
重1kgをかけて測定した。測定結果は表−4[表7〜
8]のとおりであった。表−4[表7〜8]に示すよう
に、耐摩耗性を試験した結果、本発明のエマルション樹
脂組成物を用いれば(配合例11〜14)、水性ウレタ
ン樹脂とアクリルエマルションの物理的ブレンド(配合
例16〜18)に比べ優れた耐摩耗性の結果が得られ
た。また、使用した水性ウレタン量が1%未満の場合に
は(配合例15)、充分な耐摩耗性は得られなかった。 【0024】 【表7】【0025】 【表8】【0026】 【発明の効果】本発明に係る塗料エマルション樹脂組成
物を応用することにより、耐摩耗性に優れ、基材への密
着性にも優れた塗膜を発現できる。さらに界面活性剤を
全く使用していないため優れた耐水性、耐塩水性を有し
た塗膜を発現することができる。本発明に係る塗料エマ
ルション樹脂組成物は、塗料、接着剤、繊維加工剤、紙
コーティング剤、建築用塗料などへの応用が可能であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
C08L 75/04 - 75/16
C08F 2/44
C08F 283/00
C09D 175/04 - 175/16
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.水性ウレタン樹脂中の樹脂固形分あたりの酸価換算
で20〜150mgKOH/gに相当するポリヒドロキ
シカルボン酸を含有するモノマー組成物を重合して成る
ウレタン樹脂を全樹脂成分の1〜95重量%相当含有す
る水性液存在下、界面活性剤の非存在下に、全樹脂成分
の99〜5重量%に相当する少なくとも1種以上のラジ
カル重合性単量体を重合して成る耐摩耗性塗料用エマル
ション樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9155270A JP2880979B2 (ja) | 1997-06-12 | 1997-06-12 | エマルション樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9155270A JP2880979B2 (ja) | 1997-06-12 | 1997-06-12 | エマルション樹脂組成物 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61054965A Division JPH0730246B2 (ja) | 1986-03-14 | 1986-03-14 | エマルシヨン樹脂組成物及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1060256A JPH1060256A (ja) | 1998-03-03 |
JP2880979B2 true JP2880979B2 (ja) | 1999-04-12 |
Family
ID=15602242
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9155270A Expired - Fee Related JP2880979B2 (ja) | 1997-06-12 | 1997-06-12 | エマルション樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2880979B2 (ja) |
-
1997
- 1997-06-12 JP JP9155270A patent/JP2880979B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1060256A (ja) | 1998-03-03 |
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---|---|---|---|
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