JP2880352B2 - 非晶性ポリイミド粉末およびその製造方法 - Google Patents

非晶性ポリイミド粉末およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非晶性ポリイミド粉末
に関する。さらに詳しくは、熱安定性および成形加工性
の良好な非晶性ポリイミド粉末およびこの粉末を製造す
る方法、ならびにこの粉末を用いる耐熱性接着剤および
接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、テトラカルボン酸二無水物と
ジアミンの反応によって得られるポリイミドは、その高
耐熱性に加え、力学的強度、寸法安定性が優れ、難燃
性、電気絶縁性などを併せ持つために、電気・電子機
器、宇宙航空用機器、輸送機器などの分野で使用されて
おり、今後共耐熱性が要求される分野に広く用いられる
ことが期待されている。
【0003】従来優れた特性を示すポリイミドが種々開
発されている。特に、式(1)
【化5】 で表わされるポリイミドは、すでに Proger らにより見
出されており、(USP 4,065,345) 、機械的性質、熱的性
質、電気的性質、耐溶剤性、耐熱性に優れ、しかも溶融
流動性を示すポリイミドとして知られていた。しかし、
このポリイミドにおいても通常の押し出し成形、射出成
形可能なポリイミド以外のエンジニアリングプラスチッ
クに比べると溶融粘度が高く、射出成形、押し出し成形
等は困難であった。
【0004】本出願人等は、これらの問題点を解決する
目的で、基本的に上記式(1)の基本構造を有し、その
反応性ポリマー末端を封止することによりポリマーの分
子量を調節し、射出、押し出し成形が可能な、ポリイミ
ドを見い出した(特開平2−018419)。しかしな
がら、このポリイミドもOhta etal,35th International
SAMPE Symposium,April 2-5,P1030(1990)で開示された
ように、360℃付近に融解点を有しており、さらに低
温下での成形や接着に供するために非晶化しなければな
らないという欠点を有していた。上記式(1)のポリイ
ミドは、耐熱性に優れた接着剤として利用が可能であ
り、現在は主として、金属、プリプレグ、セラミックス
等の接着、FPC基材用ポリイミドフィルムの接着等に
使用されているが、その熱可塑性を生かし、さらに巾広
い接着剤としての展開が期待されている。
【0005】従来の接着技術は、 1)前駆体であるポリアミド酸ワニスを接着面に塗布
し、加圧、加熱して、脱溶媒、イミド化により接着する
方法、 2)ポリイミドフィルムを接着面にはさみ、加圧、加熱
して接着する方法、 3)ポリイミドパウダーを揮発しやすい溶剤(例えばア
ルコール)に懸濁した後接着面に塗布し、溶剤のみを揮
散させることによりコートし、加圧、加熱して接着する
方法、などが用いられている。 また、溶剤に懸濁させたポリイミドパウダーをカーボン
クロース等に均一に含浸させてプリプレグを作成し、こ
のプリプレグを用いてコンポジットを製造し、構造基材
として用いる研究も数多く行われている。この様にポリ
イミドパウダーを用いる接着の場合、従来の上記式
(1)の結晶性ポリイミドパウダーでは、その融解点を
越えない限り接着は不可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
式 (1) で表される繰り返し構造単位を有する非晶性ポ
リイミド粉末を提供することである。また、前記式
(1) のポリイミド固有の優れた耐熱性に加え、従来よ
りも低温下、すなわち、融点以下での加工が可能な非晶
性ポリイミド粉末を提供することである。さらに、前記
式 (1) のポリイミド固有の優れた接着性に加え、従来
よりも低温下、すなわち、融点以下の低温下で接着可能
な耐熱性接着剤および接着方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、基本的に
上記式(1)の基本構造を有するポリイミドの高耐熱性
を保持したままで、さらなる低温での成形や接着が可能
な方法を鋭意検討し、そのポリマーの分子末端をジカル
ボン酸無水物で封止した非晶性のポリイミドがより低温
での成形加工性に優れ、またより低温での接着性が優れ
ていることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、式 (1)
【化6】 で表わされる繰り返し構造単位を基本骨格として有し、
ポリマー分子末端が無水フタル酸、2,3−ベンゾフェ
ノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカ
ルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニ
ルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェ
ニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸
無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,
3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、
3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水
物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド
無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフ
ィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、
2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アン
トラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジ
カルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸
無水物から選ばれる1種または2種以上のジカルボン酸
無水物で封止されたポリイミドが有機溶媒に溶解してな
る溶液を、該有機溶媒と均一に混合する貧溶媒中に排出
し、非晶性として析出したポリイミドを単離して得られ
る接着性及び成形加工性良好なポリイミド粉末、またこ
の粉末を式(3)
【化7】 で表わされる3,3’−ジアミノベンゾフェノンと、式
(4)
【化8】 で表わされる3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸二無水物および上記の特定のジカルボン酸
無水物とを、有機塩基の存在下に有機溶剤中において混
合し、100〜400℃の温度で反応させた後、得られ
るポリイミド溶液を、該有機溶媒と均一に混合する貧溶
媒中に排出し、非晶性として析出したポリイミドを単離
することを特徴とする接着性及び成形加工性良好なポリ
イミド粉末の製造方法である。
【0009】この方法において、式 (3) で表わされる
3,3’−ジアミノベンゾフェノン1モル当り、式
(4)で表わされる3,3’,4,4’−ベンゾフェノ
ンテトラカルボン酸二無水物0.8〜1.0モルおよび
式(2)で表わされるジカルボン酸無水物0.001〜
1.0モルを反応させる。また使用する有機溶剤は、フ
ェノール系溶剤が特に好ましく使用される。さらに、有
機塩基の量は、テトラカルボン酸二無水物に対して10
〜1000モル%、かつ貧溶媒の量は、重合溶媒である
有機溶媒の量の0.5 〜100倍量が好ましい。本発明の
ポリイミド粉末は、式(1)
【化9】 で表わされる繰り返し構造単位を基本骨格として有し、
この分子末端が、上記の特定のジカルボン酸無水物で封
止され、さらには貧溶媒中に排出して析出させた非晶性
のポリイミド粉末である。この本発明の非晶性ポリイミ
ド粉末は、前記式 (3) の3,3’−ジアミノベンゾフ
ェノン、前記式 (4) の3,3’,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物および前記式 (2) で
表わされるジカルボン酸無水物を、有機塩基の存在下に
有機溶剤中において混合し、100〜400℃の温度で
反応させた後、得られた重合物を使用した反応溶剤と均
一に混合する貧溶媒中に排出して製造することができ
る。
【0010】以下、本発明の非晶性のポリイミド粉末を
製造する方法を説明する。本発明のポリイミド粉末で
は、原料としてのジアミン化合物は、前記の3,3’−
ジアミノベンゾフェノンを用いるが、このポリイミドの
良好な物性を損なわない範囲内で他のジアミンを混合し
て使用することもできる。
【0011】混合して使用できるジアミンとしては、例
えば4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジ
アミノベンゾフェノン、m−フェニレンジアミン、o−
フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−ア
ミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、ビス
(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェ
ニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−
アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニ
ル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4−アミ
ノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフェニ
ル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホ
ン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)ス
ルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,
3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミ
ノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニル
エーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,
4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ
ジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタ
ン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、
2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロ
パン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,
4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’
−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’
−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィ
ド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ス
ルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−ア
ミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4
−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベ
ンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−ア
ミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、
4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾ
イル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4
−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベ
ンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−
α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルス
ルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジ
ル]ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン等が挙げ
られ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いられ
る。
【0012】また、他の原料としてのテトラカルボン酸
二無水物は、式(4)の3,3’,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸二無水物を使用する。本発明の
方法において、ジアミン化合物およびテトラカルボン酸
二無水物の使用量は、ジアミン化合物1モル当たり、テ
トラカルボン酸二無水物0.8〜1.0モル比であり、
得られたポリイミド粉末の熱酸化安定性および成形加工
性のバランスがより優れている点で、好ましくは、0.
90〜0.99モル比である。
【0013】
【0014】また、本発明の方法で用いられるジカルボ
ン酸無水物としては、具体的には、無水フタル酸、2,
3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベン
ゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシ
フェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキ
シフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニ
ルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン
酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスル
ホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルス
ルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニル
スルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェ
ニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン
酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、
1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−ア
ントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセン
ジカルボン酸無水物などが挙げられ、これらは単独ある
いは2種類以上混合して用いられる。本発明の方法にお
いて、使用されるジカルボン酸無水物の量は、式(3)
の3,3’−ジアミノベンゾフェノン1モル当り、0.
001〜1.0モルの割合である。0.001モル未満
では、高温成形時に粘度の上昇がみられ、成形加工性低
下の原因となる。また、1.0モルを越えると機械的特
性が低下する。好ましい使用量は、0.01〜0.5モ
ルの割合である。
【0015】本発明における重合方法に関しては、公知
のポリイミドの重合方法が適用できるが、反応溶媒とし
ては、汎用の有機溶媒が用いられる。例えば、N,N'- ジ
エチルホルムアミド、N,N'- ジメチルアセトアミド、N,
N'- ジエチルアセトアミド、N,N'- ジメチルメトキシア
セトアミド、N-メチル-2- ピロリドン、1,3-ジメチル-2
- イミダゾリジノン、N-メチルカプロラクタム、1,2-ジ
メトキシエタンビス(2- メトキシエチル)エーテル、1,3
-ジオキサン、1,4-ジオキサン、ピリジン、α-ピコリ
ン、β-ピコリン、γ- ピコリン、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルスルホン、テトラメチル尿素、ヘキサホス
ホロトリアミド、ジフエニルスルホン、ジフェニルエー
テル、ベンゼン、トルエン、キシレン、アニソール、ト
リエチルアミン等が挙げられる。特にフェノール系溶媒
中で反応を行うことが好ましい方法である。この反応に
用いる特に好ましいフェノール系有機溶媒としては、例
えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、
p−クレゾール、o−クロロフェノール、p−クロロフ
ェノール、m−クロロフェノール、2,3−キシレノー
ル、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、
2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5
−キシレノールなどが挙げられる。また、これらの有機
溶媒は単独でもまたは2種以上混合して用いても差支え
ない。溶媒の使用量は、反応に供するポリイミドの全原
料に対して、1倍量ないし50倍量が使用され、好まし
くは2倍量ないし10倍量である。1倍量未満では攪拌
が困難となり十分に反応が行えず、50倍量を越えると
希薄となり反応を十分に行うには長時間を要する。
【0016】本発明の方法で用いられる有機塩基は、ポ
リイミド重合に有効な有機塩基が全て利用できる。例え
ば、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコ
リン、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどが好ま
しい。また、その量はテトラカルボン酸二無水物に対し
て1〜1000モル%であるが、好ましくは10〜30
0モル%である。本発明の方法で有機溶媒に、3,3’
−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,4,4’−ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ジカルボン酸無
水物を添加、反応させる方法としては、 (イ)3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物と3,3’−ジアミノベンゾフェノンを
反応させた後に、ジカルボン酸無水物を添加して反応を
続ける方法。 (ロ)3,3’−ジアミノベンゾフェノンにジカルボン
酸無水物を加えて反応させた後、3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を添加し、さ
らに反応を続ける方法。 (ハ)3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物、3,3’−ジアミノベンゾフェノンお
よびジカルボン酸無水物を同時に添加し反応させる方法
など、いずれの添加方法をとっても差支えない。
【0017】反応はポリアミド酸の生成、そのイミド化
によりポリイミドが得られる。まずポリアミド酸の生成
反応では、反応温度は、通常250℃以下、好ましくは
50℃以下である。反応圧力は特に限定されず、常圧で
十分実施できる。反応時間は、溶剤の種類および反応温
度により異なり、通常 0.1 〜24時間で十分である更
に得られたポリアミド酸を100〜400℃に加熱して
イミド化するか、また無水酢酸などのイミド化剤を用い
て化学イミド化することにより、ポリアミド酸に対応す
る繰り返し単位を有するポリイミドが得られる。また、
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物と3,3’−ジアミノベンゾフェノンおよびジ
カルボン酸二無水物とを有機溶媒中に懸濁または溶解さ
せた後、加熱し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド
酸の生成と、同時にイミド化を行うことにより、ポリイ
ミドを得ることも可能である。
【0018】本発明の非晶性ポリイミド粉末を得るに
は、上記の方法により製造されたポリイミドで、そのポ
リイミドが使用した有機溶媒に溶解している場合には、
そのポリイミドを含む反応混合物を、ポリマー重量の5
〜100倍量の貧溶媒に高速攪拌下に、排出または投入
する。また、上記の方法により製造されたポリイミド
で、そのポリイミドが使用した有機溶媒に溶解せず析出
している場合は、同一または異種の有機溶媒を更に加え
て稀釈するか、または溶解状態となる温度領域まで加熱
する等の方法により溶解状態にした後、ポリマー重量の
1 〜500 倍量の貧溶媒中に高速攪拌下、排出または投入
する。さらに、同様に析出している場合、公知方法によ
り一度ポリイミド粉末を反応混合物から単離した後、単
離されたポリイミドをポリイミドが可溶な有機溶媒に溶
解し、この溶液をポリイミド重量の1〜500 倍量の貧溶
媒に高速攪拌下に、排出または投入する。または上記反
応方法により得られた反応混合物中の、ポリイミド以外
の反応系内に混在する溶媒、触媒等を加熱または/およ
び減圧により除去して一度単離されたポリイミド粉末ま
たは上記の方法によって得られた粉末を、前記の反応溶
媒と同様の有機溶媒に再度溶解し、この溶液をポリマー
重量の1〜500倍量の貧溶媒に高速攪拌下に、排出ま
たは投入する。さらに、公知の方法または本発明の方法
で得られたポリイミド粉末を、押出し、射出、焼結等の
各種成形方法で成形した非晶性ポリイミドの成形物を粉
砕しポリイミド粉末を得ても何ら差し支えない。また、
同様の方法によって成形した成形物をこのポリイミドを
溶解する有機溶媒に溶解し、このポリマー溶液をポリマ
ー重量の1〜500倍量の貧溶媒に高速攪拌下、排出ま
たは投入し、非晶性ポリイミド粉末を得ることもでき
る。これらの方法は、従来のポリイミドの製造方法と大
きく異なる点であり、これらの方法により本願特有の非
晶性ポリイミド粉末を得ることができる。
【0019】この析出方法において、貧溶媒として使用
できる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチル
ケトン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、
i−プロパノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、ペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキサノー
ル、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、o−キシレン、m−キ
シレン、p−キシレン、アニソール、アセトフエノン、
ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリ
ン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、アセトアルデヒ
ド、アセトニトリル、アクリロニトリル、トリエチルア
ミン、四塩化炭素、ジクロルメタン、クロロホルム、
1,1,2−トリクロロエタン、1,1,2,2−テト
ラクロロエタン、クロロベンゼンなどが挙げられる。好
ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、トルエンで
ある。また、これらの析出溶媒は得られたポリイミド粉
末の特性を損なわない範囲で2種以上混合して用いても
差支えない。さらに、排出または投入する時のポリイミ
ドを含む溶液または反応混合物の温度は、特に限定され
るものではないが、作業性および安定性の面から室温か
ら100℃の範囲が好ましい。
【0020】析出方法については特に限定されるもので
はなく、公知の方法により、析出させることができる。
貧溶媒中に析出した非晶性ポリイミド粉末を常法により
分離して本発明の非晶性ポリイミド粉末を得ることが出
来る。この本発明の非晶性ポリイミド粉末を溶融成形に
供する場合、本発明の目的を損なわない範囲で他の熱可
塑性樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、
ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエ
ーテルイミド、変性ポリフェニレンオキシド、本発明以
外のポリイミドなどを目的に応じて適当量を配合するこ
とも可能である。
【0021】また、さらに通常の樹脂組成物に使用する
次のような充填剤などを、発明の目的を損なわない程度
で用いてもよい。すなわち、グラファイト、カーボラン
ダム、ケイ石粉、二硫化モリブデン、フッ素樹脂などの
耐摩耗性向上剤、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊
維、炭化ケイ素繊維、カーボンウィスカー、アスベス
ト、金属繊維、セラミック繊維などの補強材、三酸化ア
ンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどの難
燃性向上剤、クレー、マイカなどの電気的特性向上剤、
アスベスト、シリカ、グラファイトなど耐トラッキング
向上剤、硫酸バリウム、シリカ、メタケイ酸カルシウム
などの耐酸性向上剤、鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉、
銅粉などの熱電導度向上剤、その他ガラスビーズ、ガラ
ス球、タルク、ケイ藻土、アルミナ、シラスバルン、水
和アルミナ、金属酸化物、着色料などである。
【0022】本発明の非晶性ポリイミド粉末は、耐熱性
接着剤として、特に300℃以下の低温下において優れ
た接着性を発揮するものである。この非晶性ポリイミド
粉末を、耐熱性接着剤として適用する方法は、この非晶
性ポリイミド粉末を易揮発性の有機溶媒に懸濁させた懸
濁液を貼り合わすべき被接着物に、薄い層にしてを塗布
し、次いで被着した被接着物を空気中で所要時間、10
0〜300℃程度に加熱して過剰の溶剤を除去し、次い
で1〜1000kg/cm2の圧力、100〜300℃の温
度で圧着し、100〜300℃の温度でキュアさせる
と、被接着物を強固に接着することができる。またはこ
の非晶性ポリイミド粉末を被接着物の間に挿入付着させ
て、1〜1000kg/cm2の圧力、100〜300℃の
温度で圧着し、100〜300℃の温度でキュアさせる
と、被接着物質を強固に接着することができる。また、
貼り合わすべき被接着物に耐熱性接着剤を塗布する場
合、片方の被接着物のみに塗布しても、両方の被接着物
にそれぞれに塗布しても良好な接着効果を得ることがで
きる。
【0023】被着体の表面は化学的、物理的な処理を施
した後、接着を行う方法も可能である。表面の処理方法
としては酸またはアルカリ等による化学的エッテング、
コロナ処理、紫外線照射、放射線照射、サンドブラス
ト、熱処理、プラズマ処理、ケンマ処理、ホーミング処
理、メッキ処理、酸化被膜処理、脱脂処理などがある。
本発明の耐熱性接着剤を使用するにあたって、本発明の
耐熱性接着剤の特性を損なわない範囲で、他の樹脂を加
えて接着することも可能である。添加される他の樹脂と
しては、ナイロン類、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフレ
ート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリ
レート、ポリアミドイミド、ポリーテルイミド、ポリエ
ーテルエーテルケトン、本発明以外のポリイミド、フッ
素樹脂、ポリビスマレイミド、エポキシ樹脂などであ
る。本発明の耐熱性接着剤に対して固体潤滑剤、例え
ば、二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ素、一
酸化鉛、鉛粉などを一種以上添加することができる。ま
た、補強材、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポ
リアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、ガラスビーズ等
を一種以上添加することができる。さらに、本発明の目
的を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線
吸収剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、着色剤などの
通常の添加剤を一種以上添加することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により、
更に詳細に説明する。なお、実施例および比較例中の物
性は以下の様な手法により測定した。 Tg,Tc,Tm;(島津DT−40シリーズ、DSC
−41M)により測定 溶融開始温度:島津高化式フローテスターCFT500
Aにより荷重100kg昇温速度5℃/minで測定。 接着性試験:各ポリイミドパウダーをエタノールに懸濁
させ、ペースト状とした後、2枚の冷間圧延鋼板(JI
S G−3141,SPCC,SD,サイズ1.6×2
5×100mm)に塗布し、熱プレスで280℃および
300℃、15kg/cm2 で接着した。接着体の引張
剪断接着強さの測定方法は、JIS K−6848に基
づいた。
【0025】実施例1 攪拌器、還流冷却器、水分離器および窒素導入管を備え
た容器に3,3’−ジアミノベンゾフェノン12.72
g(0.06モル),3,3’,4,4’−ベンゾフェ
ノンテトラカルボン酸二無水物18.547g(0.0
576モル)、無水フタル酸0.7104g(0.00
48モル)、γ−ピコリン0.837g(0.009モ
ル)、m−クレゾール125.1gを装入し、窒素雰囲
気下において攪拌しながら150℃まで加熱昇温した。
この間約2ccの水の留出が確認された。さらに、15
0℃で4時間反応を行った。その後、室温まで冷却し、
約300gのメチルエチルケトンに排出、濾別してポリ
イミド粉を得た。このポリイミド粉を約300gのメチ
ルエチルケトンで洗浄した後、空気中50℃で12時
間、窒素中220℃で4時間乾燥して29.16g(収
率97.8%)のポリイミド粉を得た。かくして得られ
たポリイミド粉の対数粘度は0.49dl/gであっ
た。なお、対数粘度はポリイミド粉0.50gをp−ク
ロロフェノール/フェノール(重量比9/1)混合溶媒
100mlに加熱溶解した後、35℃において測定した
値である。このポリイミド粉のガラス転移温度は240
℃であり、空気中での5%重量減少温度は550℃であ
った。また、このポリイミド粉の赤外吸収スペクトル図
を第1図に示す。このスペクトル図では、イミド特性吸
収帯である1780cm-1と1720cm-1付近の吸収
が顕著に認められた。
【0026】また、得られたポリイミド粉の元素分析値
は以下の通りであった。 C N H 計算値(%) 72.29 5.62 2.81 分析値(%) 72.20 5.67 2.85 さらに、本実施例のポリイミド粉のX線回析パターンを
第2図に示す。回析パターンは明らかにアモルファスで
あることを示している。このポリイミド粉の溶融開始温
度を高化式フローテスターを使用し、100kgの荷
重、および直径0.1cm、長さ1cmのオリフィスを
用いて測定した。このときの昇温速度は5℃/minで
ある。溶融開始温度は320℃であった。また、本実施
例で得られたポリイミドの成形安定性をフローテスター
のシリンダー内滞留時間を変えて測定した。温度は35
0℃、荷重は100kgで行った。結果を第3図に示
す。シリンダー内の滞留時間が長くなっても溶融粘度は
殆ど変化せず、熱酸化安定性の良好なことがわかる。こ
のポリイミドパウダーを用い、接着試験を行ったとこ
ろ、引張剪断接着強さは、プレス温度280℃で278
kg/cm2 、プレス温度300℃で319kg/cm
2 であった。
【0027】比較例1 実施例1と同様な反応装置に、3,3’−ジアミノベン
ゾフェノン12.72g(0.016モル)、3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物18.547g(0.0576モル)、無水フタル
酸0.7104g(0.0048モル)、γ−ピコリン
0.837g(0.009モル)、m−クレゾール17
5.8gを装入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら
150℃まで加熱昇温した。この間約2ccの水の留出
が確認された。さらに150℃で4時間反応を行った。
その後110℃まで冷却し、トルエン116gを滴下装
入、ポリイミド粉を析出させた。濾別したポリイミド粉
は、約150gのトルエンで洗浄した後、空気中50℃
で12時間、窒素中250℃で4時間乾燥して29.2
8g(収率98.2%)のポリイミド粉を得た。かくし
て得られたポリイミド粉の対数粘度は、0.46dl/
gであった。また、このポリイミド粉のガラス転移温度
は241℃、空気中での5%重量減少温度は552℃で
あった。さらにこのポリイミド粉の赤外吸収スペクトル
を測定したところ、イミド特性吸収帯である、1780
cm-1と1720cm-1付近の吸収が顕著に認められ
た。本比較例のポリイミド粉のX線回析パターンを第4
図に示す。回析パターンは明らかに結晶質である。さら
に、このポリイミド粉の溶融開始温度は、325℃であ
った。また、このポリイミド粉を用い接着試験を行った
ところ、引張剪断接着強度は、プレス温度280℃で0
kg/cm2 、300℃で151kg/cm2 であっ
た。
【0028】実施例2 比較例1で得られたポリイミド粉10gと、m−クレゾ
ール90gを実施例1と同様の反応装置に装入し、15
0℃まで加熱昇温して溶解させた。その後、室温まで冷
却し、約200gのメチルエチルケトンに排出、濾別し
てポリイミド粉を得た。このポリイミド粉を100gの
メチルエチルケトンで洗浄した後、空気中50℃で12
時間、窒素中220℃で4時間乾燥した。
【0029】本実施例で得られたポリイミド粉のガラス
転移温度は240℃であり、X線回析パターンはアモル
ファスであった。さらに、このポリイミド粉の溶融開始
温度は315℃であり、また引張剪断接着強度はプレス
温度280℃で、268kg/cm2 、300℃で31
1kg/cm2 であった。
【0030】比較例2 実施例1と同様な反応装置に3,3’−ジアミノベンゾ
フェノン12.72g(0.06モル)、3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物1
8.547g(0.0576モル)、無水フタル酸0.
7104g(0.0048モル)、γ−ピコリン5.5
8g(0.06モル)、m−クレゾール93.8gを装
入し、窒素雰囲気下において攪拌しながら150℃まで
加熱昇温した。この間約2ccの水の留出が確認され
た。さらに150℃で4時間反応を行った。その後11
0℃まで冷却し、トルエン116gを滴下装入、ポリイ
ミド粉を析出させた。濾別したポリイミド粉は、約15
0gのトルエンで洗浄した後、空気中50℃で12時
間、窒素中250℃で4時間乾燥して、29.22g
(収率98.0%)のポリイミド粉を得た。かくして得
られたポリイミド粉の対数粘度は0.45dl/gであ
った。また、このポリイミド粉のガラス転移温度は24
0℃であり、空気中での5%重量減少温度は555℃で
あった。さらに、このポリイミド粉の赤外吸収スペクト
ルを測定したところ、イミド特性吸収帯である、178
0cm-1と1720cm-1付近の吸収が顕著に認められ
た。本比較例のポリイミド粉のX線回析パターンは、明
らかに結晶質であった。さらにこのポリイミド粉の溶融
開始温度は、345℃であり、また、引張剪断接着強度
は、プレス温度280℃で0kg/cm2 、300℃で
21kg/cm2 であった。
【0031】実施例3 比較例2で得られたポリイミド粉10gと、m−クレゾ
ール90gを実施例1と同様の反応装置に装入し、19
0℃まで加熱昇温して溶解させた。その後、室温まで冷
却し、約200gのメチルエチルケトンに排出、濾別し
てポリイミド粉を得た。このポリイミド粉を100gの
メチルエチルケトンで洗浄した後、空気中50℃で12
時間、窒素中220℃で4時間乾燥した。本実施例で得
られたポリイミド粉のガラス転移温度は239℃であ
り、X線回折パターンはアモルファスであった。さら
に、このポリイミド粉の溶融開始温度は310℃であ
り、また引張剪断接着強度は、プレス温度280℃で2
62kg/cm2 、300℃で307kg/cm2 であ
った。
【0032】比較例3 実施例1と同様に反応装置に3,3’,−ジアミノベン
ゾフェノン21.2g(0.1モル)とN−メチル−2
−ピロリドン209.7gを装入し、窒素雰囲気下で
3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸
二無水物31.23g(0.097モル)を温度上昇に
注意しながら分割装入した。その後、無水フタル酸2.
66g(0.018モル)を装入し、24時間攪拌し
た。さらに、無水酢酸40.8g(0.4モル)とγ−
ピコリン0.93g(0.01モル)を滴下装入した
後、約70℃まで昇温してポリイミド粉を析出させた。
濾別したポリイミド粉を、メチルエチルケトン280m
lで洗浄し、空気中50℃で12時間、窒素中250℃
で4時間乾燥して、46.9g(収率96.0%)のポ
リイミド粉を得た。かくして得られたポリイミド粉の対
数粘度は、0.46dl/gであった。また、このポリ
イミド粉のガラス転移温度は、238℃であり、空気中
での5%重量減少温度は553℃であった。さらにこの
ポリイミド粉の赤外吸収スペクトルを測定したところ、
イミド特性吸収帯である1780cm-1と1720cm
-1付近の吸収が顕著に認められた。本比較例のポリイミ
ド粉のX線回析パターンを第5図に示す。さらにこのポ
リイミド粉の溶融開始温度は、320℃であり、また、
引張剪断接着強度は、プレス温度280℃で28kg/
cm2 、300℃で153kg/cm2 であった。
【0033】実施例4 比較例3で得られたポリイミド粉10gとm−クレゾー
ル90gを実施例1と同様の反応装置に装入し、150
℃まで加熱昇温して溶解させた。その後、室温まで冷却
し、約200gのメチルエチルケトンに排出、濾別して
ポリイミド粉を得た。このポリイミド粉を100gのメ
チルエチルケトンで洗浄した後、空気中50℃で12時
間、窒素中220℃で4時間乾燥した。本実施例で得ら
れたポリイミド粉のガラス転移温度は240℃であり、
X線回析パターンはアモルファスであった。さらに、こ
のポリイミド粉の溶融開始温度は315℃であり、また
引張剪断接着強度は、プレス温度280℃で263kg
/cm2 、300℃で324kg/cm2 であった。
【0034】比較例4 実施例1と全く同様に、但し無水フタル酸を使用せずに
ポリイミド粉を得た。このポリイミド粉のガラス転移温
度は241℃、定数粘度は0.52dl/gであった。
実施例1と同様の方法でフローテスターシリンダー内で
の滞留時間を変え、溶融粘度を測定したところ、第3図
に示す様に滞留時間が長くなるに従って溶融粘度が増加
し、実施例1で得られたポリイミドに比べて熱安定性の
劣るものであった。
【0035】
【発明の効果】本発明により得られるポリイミド粉末
は、従来公知のポリイミドと比べて、低温側での溶融流
動安定性に優れ、成形加工性を大幅に改良したものであ
り、さらに比較的低温側で十分な接着強度を有するの
で、成形加工、または接着剤として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られたポリイミド粉末の赤外吸収
スペクトルの図である。
【図2】実施例1で得られたポリイミド粉末のX線回析
パターンの図である。
【図3】実施例1で得られたポリイミド粉末および比較
例4のポリイミド粉末の成形安定性を比較するために、
フローテスターのシリンダー内の滞留時間を変えて、温
度350 ℃、荷重100 kgで測定したそれぞれのポリイミ
ド粉末の溶融粘度である。
【図4】比較例1で得られたポリイミド粉末のX線回析
パターンの図である。
【図5】比較例5で得られたポリイミド粉末のX線回析
パターンの図である。 なお、図2、図4および図5において、横軸はX線照射
時の入射光線と反射光線から形成される角度(αとい
う。)の2倍の値、すなわち2α(散乱角という。)を
表し、縦軸は1秒間にX線を吸収する回数、すなわちC
OUNT/SEC.(cpsという。)を表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−95028(JP,A) 特開 平2−18419(JP,A) 特開 平1−292035(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 73/10 C09J 179/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 で表わされる繰り返し構造単位を基本骨格として有し、
    ポリマー分子末端が、無水フタル酸、2,3−ベンゾフ
    ェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジ
    カルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェ
    ニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフ
    ェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン
    酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、
    2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水
    物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無
    水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィ
    ド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスル
    フィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水
    物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−
    アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセ
    ンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボ
    ン酸無水物から選ばれる1種または2種以上のジカルボ
    ン酸無水物で封止されたポリイミドが有機溶媒に溶解し
    てなる溶液を、該有機溶媒と均一に混合する貧溶媒中に
    排出し、非晶性として析出したポリイミドを単離して得
    られる接着性及び成形加工性良好なポリイミド粉末。
  2. 【請求項2】 式(3)【化2】 で表わされる、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、式
    (4)【化3】 で表わされる3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテト
    ラカルボン酸二無水物、及び無水フタル酸、2,3−ベ
    ンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェ
    ノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニ
    ルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェ
    ニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカ
    ルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水
    物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無
    水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン
    無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフ
    ィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルス
    ルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水
    物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−
    アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセ
    ンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボ
    ン酸無水物から選ばれる1種または2種以上のジカルボ
    ン酸無水物を、有機溶媒中で反応させて得られるポリイ
    ミド溶液を、該有機溶媒と均一に混合する貧溶媒中に排
    出し、非晶性として析出したポリイミドを単離すること
    を特徴とする接着性及び成形加工性良好なポリイミド粉
    末の製造 方法。
  3. 【請求項3】 式(1)【化4】 で表わされる繰り返し構造単位を基本骨格として有し、
    ポリマー分子末端が無水フタル酸、2,3−ベンゾフェ
    ノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカ
    ルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニ
    ルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェ
    ニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸
    無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,
    3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、
    3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水
    物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド
    無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフ
    ィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、
    2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アン
    トラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジ
    カルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸
    無水物から選ばれる1種または2種以上のジカルボン酸
    無水物で封止された、ポリイミド粉末を有機溶媒中に溶
    解させた溶液を、該有機溶媒と均一に混合する貧溶媒中
    に排出し、非晶性として析出したポリイミドを単離する
    ことを特徴とする接着性および成形加工性良好なポリイ
    ミド粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 式(3)の3,3’−ジアミノベンゾフ
    ェノン1モル当り、式(4)の3,3’,4,4’−ベ
    ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物を0.8〜1.
    0モルおよび請求項2に記載のジカルボン酸無水物を
    0.001〜1.0モルで反応させる請求項2に記載
    リイミド粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 溶媒の量が、重合溶媒である有機溶媒
    の量の1〜100倍量である請求項2に記載のポリイミ
    ド粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のポリイミド粉末を含有
    してなる耐熱性接着剤。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のポリイミド粉末、また
    はこのポリイミド粉末の懸濁液を被接着物間に挿入また
    は塗布し、100〜300℃で圧着して接着する方法。
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