JP2879715B2 - 低温蓄冷材 - Google Patents

低温蓄冷材

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JP2879715B2 JP3092865A JP9286591A JP2879715B2 JP 2879715 B2 JP2879715 B2 JP 2879715B2 JP 3092865 A JP3092865 A JP 3092865A JP 9286591 A JP9286591 A JP 9286591A JP 2879715 B2 JP2879715 B2 JP 2879715B2
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悦治 木村
拓夫 武下
政志 長尾
隆 稲口
秀人 吉村
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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は、冷凍機用の蓄冷材、特
に極低温用冷凍機に用いられる蓄冷材に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】一般に冷凍機に用いられる蓄
冷材では、作動温度域で大きな比熱および良好な熱伝導
性を有することが求められる。特に10〜20K以下の
極低温を作動温度域とする冷凍機では、この要求が厳し
い。このため、磁気相転移に起因する大きな異常比熱を
有する希土類元素合金が蓄冷材として用いられるように
なってきている(特公昭52−30473号など)。
【0003】このような蓄冷材は、通常、0.1〜1m
m程度の粒径の粉末にして蓄冷器に充填して用いられ
る。しかし、これらの希土類合金は、一般的に銅や鉛な
どの金属と較べて脆く、使用中に微粉砕されて性能の低
下をきたす場合が多い。このため、極低温用冷凍機にお
いても使用に適し、かつ、耐久性の高く、保存中および
使用中の劣化の少ない高性能の蓄冷材が求められてい
た。
【0004】
【問題を解決する手段】本発明者らは、希土類合金蓄冷
材の機械的特性を改善する手段について鋭意検討した結
果、意外にも、上記の問題が、合金表面に合金成分の窒
化物および/または酸窒化物被膜を特定の厚さで形成さ
せることによって解決されることを見いだした。
【0005】
【発明の構成】すなわち、 本発明は、希土類合金粉末
の表面に10〜5000nmの厚さで、式:RO
(ここで、Rは前記希土類合金を構成する1種以上の金
属を表わし、0≦x<1.5であり、0<y≦1、(x
/1.5)+y≦1である)として表わされる硬質層を
設けた蓄冷材を提供する。この硬質層は、実施例に示す
ように、希土類合金粉末を減圧下、脱水処理したアンモ
ニアガス雰囲気で加熱処理することにより得られる。
【0006】本発明の蓄冷材粉末に使用される希土類元
素は、希土類の範囲内において特に限定されない。希土
類元素合金は、目的に適合する性能を有するものであれ
ば、どのような組成であってもよく、希土類元素以外の
元素を含んでもよい。こうした合金としては、たとえ
ば、Er0.5Gd0.5Rh、GdRh、Er3Niなどが
ある。
【0007】硬質層の組成は上記式で表わされる範囲と
する。該硬質層は、化学量論的に形成された窒化物もし
くは酸窒化物からなるか、または金属表層に窒素もしく
は窒素と酸素が拡散して存在する層からなる。これらの
窒化物および酸窒化物は、耐摩耗性に優れていると同時
に基質合金との接合性も良いため、合金粉末の機械的強
度を向上させる。硬質層の厚さは、10〜5000nm
の範囲とする。10nm未満の場合は、蓄冷材粉末の機
械的強度を改善する効果がない。5000nmを超える
と熱伝導性が損なわれて蓄冷材としての性能が低下す
る。
【0008】硬質層は、蓄冷材を窒素またはアンモニア
などの雰囲気下で熱処理することによって生成させるこ
とができる。硬質層の膜厚および組成は、雰囲気組成な
らびに熱処理の温度および時間の関数であり、上記の条
件を達成するためには、これらの条件を変化させればよ
い。
【0009】
【発明の具体的開示】
実施例1 式Er0.5Gd0.5Rhおよび式GdRhで表される蓄冷
材合金をアルゴン雰囲気下のアーク溶解によって製造し
た。これをあらかじめアルゴンガスで置換したグローブ
ボックス中で粉砕し、篩いによって粒径0.3〜0.5
mmの粉末をそれぞれふるい分けた。
【0010】これらの粉末25gをそれぞれ真空容器に
とり、10-4torrまで減圧した後に、脱水処理を行
なったアンモニアガスを導入して1気圧とし、500℃
で1時間の熱処理を施した。放冷後、オ−ジェ電子顕微
鏡を用いて表面を測定したところ、粉末の表面には約1
00nmの厚さで窒素および酸素が存在しており、上記
式で表わされる範囲の酸窒化層が生成していることが確
認された。
【0011】この粉末を3段GM(ギフォ−ド・マクマ
ホンサイクル)小型冷凍機の3段目蓄冷材として半分ず
つ(3段膨張室側にEr0.5Gd0.5Rh)充填し、冷凍
機の運転を行なった。最低到達温度は3.8Kであり、
熱処理を行わない蓄冷材を使用した場合と比べ有意の温
度上昇は観察されなかった。また、熱処理を行なわない
他は実施例と同様にして製造した蓄冷材を使用した場
合、運転開始後およそ100時間から性能の低下が始ま
ったのに対し、本発明の蓄冷材を使用した場合には、1
50時間の連続運転でも性能が低下しなかった。
【0012】実施例2〜3 蓄却材としてそれぞれEr3Ni、Ho1.5Er1.5Ru
を用いたほかは実施例1とほぼ同様にして表面に酸窒化
層を有する蓄冷材粉末を形成した。
【0013】得られた粉末を実施例1と同様に使用し
た。いずれの場合も最低到達温度には有意の上昇は観察
されず、使用可能時間は、それぞれ、1.5倍〜1.7倍に延
長した。
【発明の効果】本発明の蓄冷材粉末は、表面の硬度が硬
質被膜によって改善され、しかも、硬質層と基質合金と
の接合性にすぐれているため、機械的強度が大きく改善
される。この結果、蓄冷材としての性能が長時間にわた
って維持される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武下 拓夫 埼玉県大宮市北袋町一丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社 中央研究所内 (72)発明者 長尾 政志 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機株式会社 中央研究所内 (72)発明者 稲口 隆 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機株式会社 中央研究所内 (72)発明者 吉村 秀人 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目1番1号 三菱電機株式会社 中央研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 5/00 C22C 28/00 WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類合金粉末の表面に10〜5000
    nmの厚さで、式:RO(ここで、Rは前記希土
    類合金を構成する1種以上の金属を表わし、0≦x<
    1.5であり、0<y≦1、(x/1.5)+y≦1で
    ある)として表わされる硬質層を設けた蓄冷材。
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