JP2877525B2 - 吸発熱性複合繊維 - Google Patents

吸発熱性複合繊維

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智子 渡辺
哲夫 松本
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衣料用に適した吸発熱
性複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル、ナイロン、アクリル繊維
を初めとする合成繊維は、衣料用として広く使用されて
いるが、近年、特殊な機能を持った衣料用繊維が要望さ
れるようになってきた。その一つとして、吸発熱性繊維
がある。
【0003】従来、畜熱保温性繊維として、遠赤外線放
射能力を有する物質を含有又は付着させたものが提案さ
れ、実用化されている。しかし、この繊維は太陽光線を
吸収して初めて保温効果を示すもので、外界温度の変化
に対応して発熱したり、吸熱したりするものではなかっ
た。また、この繊維は含有又は付着させる物質によって
は、黒色となるため、用途が制限されるという問題があ
った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、体温や外気
温の変化により吸熱又は発熱する吸発熱性繊維を提供し
ようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究の結果、特定の融点と結晶化
特性を有する熱可塑性重合体を繊維の内部に用いた複合
繊維とすると、衣料用繊維として必要な特性を保持し、
かつ、吸発熱能を有する繊維が得られることを見出し、
本発明に到達した。
【0006】すなわち、本発明の要旨は次の通りであ
る。融点又は軟化点が110℃以上の熱可塑性重合体Aと
融点が15〜50℃、融解熱が10mJ/mg以上、降温結晶化温
度が40℃以下、結晶化熱が10mJ/mg以上の熱可塑性重合
体Bとからなり、重合体Aが繊維表面を覆っていること
を特徴とする吸発熱性複合繊維。
【0007】 本発明において、融点及び結晶化特性
は、パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−2
型を用い、次の条件で測定する。すなわち、窒素気流中
において、−30℃から昇温速度10℃/分で,280℃まで昇
温し、5分間保持した後、降温速度10℃/分で−30℃ま
で降温して3分間保持し、再び昇温速度10℃/分で 280
℃まで昇温して測定する。
【0008】再昇温時の融解温度のピークを融点Tm、
その時の融解ピーク面積を融解熱ΔHf 、降温時の結晶
化温度のピークを降温結晶化温度Tc 、結晶化ピーク面
積を結晶化熱ΔHc とする。
【0009】また、軟化点は、柳本製作所製AMP−1
型自動軟化点測定装置を用い、30℃から昇温速度10℃/
分で昇温して測定する。
【0010】本発明の繊維は、重合体Bが融解するとき
に吸収する融解熱と、結晶化するときに発する結晶化熱
により吸発熱性を示すものであり、この吸発熱能を有す
る重合体Bは繊維表面に露出せず、繊維表面は高融点又
は高軟化点の重合体Aで覆われているため、衣料用繊維
として必要な特性を保持し、かつ、吸発熱能を示すもの
である。
【0011】本発明における重合体Bは、融点が15〜50
℃のものであることが必要であり、好ましくは20〜45
℃、最適には30〜40℃のものがよい。融点があまり低い
と室温で融解状態となり、逆にあまり高いと体温や外気
温度では融解しないため、本発明の目的を達成すること
ができない。
【0012】また、重合体Bは、降温結晶化温度が40℃
以下のものであることが必要であり、好ましくは30℃以
下、最適には20℃以下のものがよい。当然のことなが
ら、結晶化は融点より低い温度で起こるのであるが、外
気の温度が高い所から低い所へ移動したときに繊維が結
晶化により発熱する必要があるため、降温結晶化温度が
40℃以下でなければならない。
【0013】さらに、重合体Bは、融解熱及び結晶化熱
が10mJ/mg以上のものであることが必要であり、好まし
くは30mJ/mg以上、最適には50mJ/mg以上のものがよ
い。融解熱及び結晶化熱が10mJ/mg未満のものでは、実
質上吸発熱効果が得られない。
【0014】重合体Bの具体例としては、直鎖脂肪族ジ
カルボン酸成分と直鎖脂肪族ジオール成分とから得られ
るものがある。直鎖脂肪族ジカルボン酸成分の具体例と
しては、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸及びこれ
らのエステル形成性誘導体が挙げられる。また、直鎖脂
肪族ジオール成分の具体例としては、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙
げられる。
【0015】また、ジカルボン酸成分及びジオール成分
は各々2種以上併用してもよく、本発明の吸発熱効果を
損なわない範囲でテレフタル酸、イソフタル酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、トリメリット
酸、セバシン酸、オキシ安息香酸、デカン−1,10−ジカ
ルボン酸、オクタデカン−1,18−ジカルボン酸、1,4−
シクロヘキサンジカルボン酸、ジエチレングリコール、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等を共重合成分とし
て併用したり、艶消剤、安定剤、着色剤等の添加剤を添
加してもよい。
【0016】このような直鎖脂肪族ポリエステルは、常
法により製造することができる。すなわち、ジカルボン
酸成分とジオール成分とをエステル化又はエステル交換
反応させた後、重縮合反応を行うことによって製造する
ことができる。
【0017】重合体Bの降温時の結晶化温度は、結晶核
剤を含有させることによりコントロールすることもでき
る。
【0018】結晶核剤としては、タルク、シリカ、ガラ
スチョップドストランド、二酸化チタン、珪酸カルシウ
ム、三酸化アンチモンのような無機化合物の微粒子、ス
テアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウムのような
有機酸塩の微粒子、ジナトリウムスルホビスフェノール
Aのエチレンオキシド付加物、弗素樹脂、有機シリコー
ン、ポリアクリル酸架橋体、ポリスチレン架橋体、ポリ
アリレートのような有機化合物の微粒子等を用いること
ができ、2種以上併用してもよい。
【0019】結晶核剤を含有させる場合、0.01〜3.0重
量%含有させるのが適当である。この含有量があまり少
なければ結晶化促進剤としての効果が乏しく、逆にあま
り多いと紡糸あるいは延伸時に繊維の切断等が起こりや
すく、また、紡糸口金パックフィルターの寿命が短くな
る等の問題が起こり、安定して繊維を製造することがで
きない。
【0020】結晶核剤はエステル化又はエステル交換反
応時に添加してもよいし、重縮合反応の段階で添加して
もよい。
【0021】 次に、重合体Aは、融点又は軟化点が11
0℃以上のものであることが必要であり、好ましくは170
℃以上、最適には210℃以上のものがよい。融点又は軟
化点が110℃未満のものでは、繊維が熱湯に耐えられな
かったり、アイロンがかけられないといった問題があ
り、実用上不適当である。
【0022】重合体Aとしては、ポリエステル、ポリア
ミド、ポリオレフィン等が挙げられるが、最も好ましい
ものは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート及びこれらを主体とするポリエステルであ
る。
【0023】 本発明の複合繊維は、重合体Aと重合体
Bとを、重合体Aが繊維表面を覆うように常法によって
複合紡糸することにより製造することができる。紡糸に
際しては、重合体Aと重合体Bの融点や溶融粘度を考慮
して、最適な条件を採用することが必要であるが、通
常、紡糸温度180〜300℃、好ましくは200〜280℃で紡糸
される。
【0024】複合の形態としては、重合体Aが鞘、重合
体Bが芯となった鞘芯型、重合体Aが海、重合体Bが島
となった海島型、重合体Aの中に重合体Bが層状に配列
された多層型等が挙げられるが、鞘芯型が最も好まし
い。繊維の断面形状は、円形に限られるものではなく、
三角形、四角形等の異形断面でもよい。
【0025】 また、重合体Aと重合体Bとの複合比
は、重量比で1:10〜50:10が適当である。重合体Aの
割合があまり少ないと重合体Bが繊維表面に露出した
り、繊維の強度が低くなったりして好ましくなく、逆に
重合体Bの割合があまり少ないと吸発熱能が劣ったもの
となる。
【0026】なお、本発明の繊維には、必要に応じて、
吸湿剤、湿潤剤、着色剤、安定剤、難燃剤、制電剤等を
含有させることができる。
【0027】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体例に説明す
る。なお、例中の測定及び評価法は、次のとおりであ
る。 (a) 極限粘度 フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒とし
て、温度20℃で測定。 (b) 吸発熱性 試料繊維の平織物とポリエチレンテレフタレート繊維の
平織物とを金属板に貼り、常温から昇温し、40℃に保持
したものと、60℃で30分間保持した後、5℃に降温した
ものについて、織物の表面温度を赤外線映像装置(日本
電子社製サーモビュアJTG−IB/IBT型)で観察
し、両織物の表面温度差を求めて評価した。
【0028】実施例1 グルタル酸(GA)とその1.6倍モル1,6−ヘキサンジ
オール(HD)とを常法によりエステル化反応させ、エ
ステル化反応生成物にGA1モルに対して2×10-4モル
の三酸化アンチモンを触媒として加え、280℃、1トル
で3時間重縮合反応を行った。得られたポリエステル
は、極限粘度0.62、Tm 31℃、Tc 4℃、△Hf 53mJ/
mg、△Hc 55mJ/mgであった。このポリエステルを芯成
分、極限粘度が0.68のポリエチレンテレフタレートを鞘
成分とし、通常の芯鞘型複合繊維用溶融紡糸装置を使用
して紡糸し、延伸して75d/36fのフイラメント糸を得
た。得られたフイラメント糸を用いて平織物を製織し、
吸発熱性を評価した。
【0029】 実施例2〜5 芯成分のポリエステルとして、表1に示した組成及び特
性値を有するものを用い、実施例1と同様な試験を行っ
た。
【0030】実施例6 実施例1で芯成分として用いたポリエステルを島成分と
し、ポリエチレンテレフタレートを海成分とする海島型
を製造し、実施例1と同様な試験を行った。
【0031】 比較例1〜2 芯成分のポリエステルとして、表1に示した組成及び特
性値を有するものを用い、実施例1と同様な試験を行っ
た。
【0032】上記実施例及び比較例の結果をまとめて表
1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、衣料用繊維として適し
た、体温や外気温の変化により吸熱又は発熱する吸発熱
性繊維が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 8/00 - 8/18 D01D 5/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点又は軟化点が110℃以上の熱可塑性
    重合体Aと融点が15〜50℃、融解熱が10mJ/mg以上、降
    温結晶化温度が40℃以下、結晶化熱が10mJ/mg以上の熱
    可塑性重合体Bとからなり、重合体Aが繊維表面を覆っ
    ていることを特徴とする吸発熱性複合繊維。
  2. 【請求項2】 重合体Aがポリエチレンテレフタレー
    ト、ポリブチレンテレフタレート又はこれらを主体とす
    るポリエステルであり、重合体Bが融点30〜40℃、融解
    熱50mJ/mg以上、降温結晶化温度30℃以下、結晶化熱50
    mJ/mg以上のポリエステルである請求項1記載の吸発熱
    性複合繊維。
  3. 【請求項3】 重合体Bが直鎖脂肪族ポリエステルであ
    る請求項2記載の吸発熱性複合繊維。
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