JP2876976B2 - 低温ドライエッチング方法およびその装置 - Google Patents

低温ドライエッチング方法およびその装置

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JP2876976B2
JP2876976B2 JP6020769A JP2076994A JP2876976B2 JP 2876976 B2 JP2876976 B2 JP 2876976B2 JP 6020769 A JP6020769 A JP 6020769A JP 2076994 A JP2076994 A JP 2076994A JP 2876976 B2 JP2876976 B2 JP 2876976B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は被エッチング材を低温度
に保ち、その被エッチング材表面をドライエッチングす
る低温ドライエッチング方法およびその装置に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】最近、酸化膜や金属膜を垂直性良くドラ
イエッチングする方法として、被エッチング用基板温度
を0℃以下の低温度に保持・制御し、深さ方向のエッチ
ング速度をイオンアシスト効果により維持したまま、側
面でのラジカル反応を抑圧する、いわゆる低温ドライエ
ッチング技術が注目されるようになってきた。
【0003】図9は本発明者が検討用に用いた反応性イ
オンエッチングによる低温ドライエッチング装置の概略
構成図を示したものである。これはエッチングを行う反
応室1と、被エッチング用基板としての試料10の挿入
/取出しを行う予備室2とからなる。
【0004】まず、石英系ガラス基板で構成した試料1
0は試料挿入/試料取出し系12を介して予備室2に搬
送される。その後、予備室2は排気系4により真空排気
される。一方、反応室1内は予備室2からの試料10を
受け入れるよう、排気系3にて高真空(1.33×10
-1〜1.33×10-2Pa)に保たれている。また、試料
10を載置するための下部電極5−2は、電極内に冷媒
を矢印9−1から矢印9−2のように流すことによっ
て、試料10を0℃以下の低温に保つようにしてある。
【0005】次に、予備室2が所望の真空度(1.33
Pa以下)に達したら、気密バルブとしてのゲートバルブ
11を開いて試料10を予備室2から反応室1の下部電
極5−2上に移送し、その下部電極5−2上に載置す
る。次いで試料10の裏面にHeガス供給系8の矢印方
向にHeを吹き付けて試料10の低温化を促進させてお
く。
【0006】その後、上部電極5−1と下部電極5−2
との間に高周波電源6を印加してプラズマを発生させ、
そのプラズマ雰囲気中にエッチングガス(この場合、石
英系ガラス膜をエッチングするためにCHF3 ガスを用
いる。)を流しながらエッチングを行う方法である。こ
の方法において、石英系ガラス膜のエッチングは、その
膜上にパターニングされたWSi膜をマスクに用いて行
う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この方法にお
いて、試料10の温度(0℃〜−40℃)、反応室内の
真空度(13.3〜1.33Pa)、CHF3 のエッチン
グガス流量(10〜50cc/min)、高周波電源6のパワ
(300〜500W)を種々変えてエッチングした膜側
面の垂直性、膜側面の荒れ、サブトレンチ、エッチング
レート及びエッチング選択比(=(酸化膜のエッチング
レート)/(WSi膜のエッチングレート))を評価し
た結果、上記評価項目をすべて満足する条件を見い出す
ことができなかった。すなわち、 (1) 膜側面の垂直性を良くし、側面の荒れを小さくす
るには、CHF3 のガス流量を少なくし、高真空に保た
なければならないが、反面、エッチングレートは低下
し、サブトレンチが大きく発生することがわかった。逆
にエッチングレートを大きくし、サブトレンチを小さく
するために、CHF3 の流量を多くすると、垂直性が劣
化し、また側面の荒れも大きくなることがわかった。
【0008】(2) またCHF3 ガスによりWSi膜も
エッチングされて、そのパターン幅が次第に狭くなって
いくことは避けられないが、WSi膜と石英系ガラス酸
化膜とのエッチング選択比を大きくしないと、WSi膜
のエッチングが早く進んでその幅が小さくなり、それに
伴い石英系ガラス酸化膜のパターン幅が所望の値よりも
著しく小さくなってしまうことがわかった。
【0009】(3) また真空度を悪くすると、エッチン
グレートは大きくなるが、垂直性が劣化し、かつ側面の
荒れも大きくなることがわかった。
【0010】(4) またCHF3 ガスは有害であり、量
が多くなると人体へ危害を加えるばかりか、反応室内や
排気系への反応生成物の付着を促進し、低温ドライエッ
チングの再現性を低下させ、しかも装置寿命の劣化を促
進することもわかった。
【0011】そこで本発明の目的は、前記した従来技術
の欠点を解消し、被エッチング材表面ないし基板上の酸
化膜側面の垂直性、膜側面の荒れ、サブトレンチ、およ
びエッチングレート更には選択比のいずれについても全
て満足する特性を実現することが可能な低温ドライエッ
チング方法およびその装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】まず、第1の発明は、予
備室に挿入した被エッチング材を気密バルブを介して反
応室に搬送し、反応室内で基板を0℃以下の低温に保っ
て被エッチング材表面をフッ素系ガスを用いて低温ドラ
イエッチングする際に、フッ素系ガス流量に不活性ガス
流量を2倍以上重畳させて反応室内に流し、かつ反応室
内の真空度を2.66Pa以下に保ってエッチングするよ
うにしたことを特徴とする低温ドライエッチング方法で
ある。
【0013】第2の発明は、第1の発明において、被エ
ッチング材が酸化膜付き基板であり、低温ドライエッチ
ングされる被エッチング材表面が酸化膜付き基板の酸化
膜であることを特徴とする低温ドライエッチング方法で
ある。
【0014】第3の発明は、第2の発明において、基板
の温度を−20℃以下に保ち、フッ素系ガス流量と不活
性ガス流量との総流量を60cc/min以上流すようにした
ことを特徴とする低温ドライエッチング方法である。
【0015】第4の発明は、第2及び第3の発明におい
て、酸化膜として、SiO2 、あるいはSiO2 にP,
Ti,Ge,B,Ta,Er,Pr,Nd,Zn,S
n,Nなどのドーパンドが少なくとも1種添加されたも
のを用いたことを特徴とする低温ドライエッチング方法
である。なお、酸化膜としては上記のものが好ましい
が、これ以外にSiON、SiOx y z でもよい。
【0016】第5の発明は、第4の発明において、フッ
素系ガスとしてCHF3 を用いたことを特徴とする低温
ドライエッチング方法である。
【0017】第6の発明は、第5の発明において、CH
3 ガス流量を30cc/min以上とし、不活性ガス流量と
CHF3 ガス流量の総量を60cc/min以上流し、かつ真
空度を2.66Pa以下、プラズマを発生させる高周波パ
ワを450W以上、基板の温度を−20℃以下にしたこ
とを特徴とする低温ドライエッチング方法である。
【0018】第7の発明は、第1から第6の発明におい
て、不活性ガスがArガスであることを特徴とする低温
ドライエッチング方法である。
【0019】第8の発明は、酸化膜付き基板の挿入/取
出しを行う予備室と、フッ素系のガスと不活性ガスとを
供給でき、少なくともフッ素系ガス流量に不活性ガス流
量を2倍以上重畳させて供給することが可能なエッチン
グ用ガス供給系と、室内を2.66Pa以下に真空排気す
ることが可能な排気系とを設けた少なくとも1つの反応
室と、予備室と反応室とを接続するゲートバルブと、反
応室内に設けられ一方の電極上に酸化膜付き基板が置か
る一対の電極と、この一対の電極間に300W以上の高
周波パワを印加する手段と、少なくとも1つの反応室内
の基板を0℃以下に保持する手段と、予備室に対して上
記基板の挿入・取出し、及び予備室と少なくとも1つの
反応室間の基板の移送をゲートバルブを通して行う手段
とを備え、少なくとも基板の酸化膜をエッチングするこ
とのできる低温ドライエッチング装置である。
【0020】第9の発明は、第8の発明において、反応
室の残りの少なくとも1つを、酸化膜をエッチングする
反応室以外として、酸化膜上面のメタル膜をフォトレジ
ストマスクを用いてエッチングする反応室としたことを
特徴とする低温ドライエッチング装置である。
【0021】第10の発明は、第8及び第9の発明にお
いて、酸化膜付き基板としてその裏面が平坦なものを用
い、一方の電極上に気密封止状態で置いた上記酸化膜付
き基板の裏面に、反応室外からHeガスを供給して基板
裏面をHeガス雰囲気に保持するようにしたことを特徴
とする低温ドライエッチング装置である。
【0022】第11の発明は、第8ないし第10の発明
において、反応室に設けた排気系の口径面積を酸化膜付
き基板の面積よりも大きくして上述した2.66Pa以下
の真空度を実現できるようにしたことを特徴とする低温
ドライエッチング装置である。
【0023】
【作用】第1の発明ないし第2の発明は、フッ素系ガス
流量に不活性ガス流量を2倍以上重畳させて流すことに
よって、フッ素系ガスは勿論のこと、エッチング用ガス
のトータル流量を増やす方法である。フッ素系ガス流量
は、エッチングの評価項目において、垂直性,側面の平
滑性と、サブトレンチ,エッチングレートとで相反する
結果が生じる。
【0024】すなわち、フッ素系ガスの増大は、垂直性
および側面の平滑性を劣化させるが、サブトレンチ,エ
ッチングレートは改善される。そこで、このようにフッ
素系ガスおよびトータル流量を増やしてやることで、垂
直性,側面の平滑性と、サブトレンチ,エッチングレー
トとの両立を図っている。
【0025】しかし、トータル流量を増やすと真空度が
低下する。そこで、本発明では高速・高真空排気の可能
なポンプを用いて真空度を2.66Pa以下にする。その
結果、エッチングした基板表面ないし酸化膜側面の垂直
性および側面の荒れを良好に保つことができる。これ
は、特に基板上に形成した酸化膜からなる導波路のコア
パターンをドライエッチングにより断面略矩形状に加工
する上では極めて良好な結果をもたらす。
【0026】たとえば、光分波器、光合波器、光フィル
タ、光方向性結合器などのような波長選択機能をもった
導波路型光デバイスを実現する場合、コア側面の垂直性
が乱れると、上記光デバイスの波長特性(たとえば、中
心波長とか、2つの波長間の分離度など)が変化してし
まう。またコア側面の荒れも上記波長特性の変化は勿論
のこと、光伝搬損失の増大も招く。従って、側面を90
°に垂直性良く、かつ側面の荒れを少なくすることは極
めて重要となる。
【0027】他方、本発明ではフッ素系ガスの流量を多
くしているので、サブトレンチがほとんど発生しなくな
ると共に、エッチングレートも向上する。このサブトレ
ンチの形状は後述するが、これの発生も光デバイスの波
長特性を劣化させ、また損失の増大も招く。さらに、導
波路のコア内への光の閉じ込めが不均一になり、偏光依
存性を生じさせるので、上記波長選択機能をもった光デ
バイスを実現する上で、従来大きな障害となっていた。
しかし、本発明によれば、これも改善できることから、
極めて大きな効果が得られる。
【0028】なお、フッ素系ガスの増大は、前述したよ
うに、垂直性および側面の平滑性を劣化させるが、本発
明ではフッ素系ガスに不活性ガスを2倍以上に重畳して
流しているので、垂直性及び側面の平滑性の劣化を防ぐ
ことができる。
【0029】また、フッ素系ガスの増大は、酸化膜に対
するエッチング選択比が小さくなり、コアパターン幅の
目減り量が大きくなるという問題があったが、フッ素系
ガスに不活性ガスを重畳させることで選択比を大幅に向
上させることができる。
【0030】第3の発明によれば、基板温度が低くなれ
ばなる程、エッチングした表面への反応生成物がつき易
くなってサブトレンチが発生する。そこで、フッ素系ガ
ス流量と不活性ガス流量のトータル流量を60cc/min以
上流してサブトレンチの発生を抑圧するようにしたもの
である。
【0031】なお、本発明のように、エッチング中の基
板温度を−20℃以下に保ってエッチングすることは、
例えば、導波路の中、あるいは上面に予め電子回路素子
あるいは、光回路素子を形成しておいた状態の基板をエ
ッチングする場合に、上記素子のダメージレスに極めて
有効である。なぜならば、導波路のコアの厚みは、通
常、3μm 以上、数10μm と非常に厚いので、ドライ
エッチング時間も1時間以上の長時間にわたる。このよ
うな長時間、基板を高温状態(通常、冷却しない場合に
は数百℃の高温状態になる。)にさらしておくと、上記
素子にダメージを与えるばかりか、コア、あるいはバッ
ファ層内の屈折率制御用ドーパントの移動による屈折率
分布の変化やOH- の移動をもたらし、光学特性の劣化
を生じさせるからである。
【0032】第4の発明のように、エッチングする酸化
膜として、SiO2 は勿論のこと、SiO2 にP,T
i,Ge,B,Ta,Zn,Sn,Zr,Er,Pr,
Nd,Nなどの屈折率制御用、熱膨張係数制御用、機能
性付加用などのドーパントが少なくとも1種添加された
ものに適用すれば、これを容易にエッチングすることが
できる。しかも、前述したように、低温プロセスである
ので、ドーパントの拡散などが全く生ぜず、プロセスの
過程で所望の光学特性の劣化を未然に予防することがで
きる。これは高精度な導波路を実現する上で極めて有効
である。
【0033】また、上記酸化膜をエッチングするマスク
材として、メタル膜(例えば、WSi、W、Ta、T
i、Al、Ni、Crなどの金属膜)、レジスト膜など
を用いても、エッチング中に高温に曝されることがない
ので、上記メタル膜、あるいはレジスト膜が変質するこ
とがなく、安定にエッチングすることができる。その結
果、コアパターン幅の目減り量が極めて少ないものを実
現することができ、所望の光学特性をもった光デバイス
を設計通りに作成できる。
【0034】第5の発明によれば、上記酸化膜をエッチ
ングするガスとして、CHF3 ガスが好ましいが、それ
以外に、C2 6 、C3 8 、C4 8 、CF4 などの
フッ素系ガス、あるいは上記ガスを少なくとも1種混合
したガス、さらにはC2 4などを添加したものでもよ
い。
【0035】第6の発明によれば、プロセスパラメータ
であるCHF3 ガス流量を30cc/min以上とし、不活性
ガス流量とCHF3 ガス流量の総量を60cc/min以上流
し、かつ真空度を2.66Pa以下、プラズマを発生させ
る高周波パワを450W以上、基板の温度を−20℃以
下という最適な値に規定したので、エッチング評価項目
のすべてを一層良好に満足することができる。
【0036】第7の発明によれば、不活性ガスをArガ
スとしたので、エッチング評価項目のすべてを一層安定
に満足することができる。特に、コアパターンの目減り
量の点では、実施例で詳述するように、HeやN2 等の
不活性ガスに比較して、Arガスを用いる方がより選択
比を大きくできるため、目減り量が少ないという効果が
ある。
【0037】第8の発明によれば、反応室に、フッ素系
のガス流量に不活性ガス流量を2倍以上重畳させて供給
することが可能なガス供給系と、室内を2.66Pa以下
に真空排気することが可能な排気系とをもたせている。
またエッチングレートを高めるために反応室内の電極間
に300W以上の高周波パワを印加させ、反応室内の基
板を0℃以下に保持させるようにしてある。しかも予備
室を介して挿入・取出しを行なう様にするとともに、予
備室と反応室とを気密性のゲートバルブで接続してこれ
らの室間を自動的に搬送するようにしてあるので、垂直
性、側面の平滑性、サブトレンチ、コア幅の目減り、エ
ッチングレートなどの諸特性をすべて満足したエッチン
グを行うことができる。
【0038】第9の発明によれば、反応室の残りの少な
くとも1つを、酸化膜上面のメタル膜をエッチングする
反応室とすることによって、酸化膜上面のメタル膜をエ
ッチングした後、連続して酸化膜をエッチングすること
ができ、また両室はゲートバルブを介して接続されてい
るため基板を大気中に取り出さなくても良いので、ごみ
や不純物等の付着によるパターンの欠陥を防止すること
ができる。また、大気中に出ないので、大気中OH
- (水酸基イオン)が酸化膜に付着したり、酸化膜中に
拡散することがなく、低損失な導波路を製造することが
できる。
【0039】第10の発明のように、酸化膜付き基板と
してその裏面が平坦なものを用いるとともに、酸化膜付
き基板の裏面と電極との間を気密封止して、基板の裏面
をHeガス雰囲気に保持するようにすると、Heガスは
反応室内にリークすることなく、基板裏面をHe雰囲気
に保持することができ、効率的に基板を低温に保持させ
ることができる。
【0040】第11の発明のように、反応室の排気系の
口径面積を酸化膜付き基板の面積よりも大きくすると、
高速、かつ確実に2.66Pa以下の真空度が得られる。
【0041】
【実施例】図1に本発明の反応性イオンエッチングによ
る低温ドライエッチング装置の第1の実施例を示す。こ
こでは被エッチング材として後に詳述する導波路試料1
0(図2(a)参照)を用いた。
【0042】この装置は、ドライエッチングを行う2つ
の反応室1−1、1−2と、各反応室内をそれぞれ真空
排気する排気系3−1、3−2、各反応室に搬送する前
に真空状態を作る予備室2が設けられている。さらに、
その予備室2内を真空排気する排気系4、一方の反応室
1−1と予備室2をつなぐケーブルバルブ11−1、他
方の反応室1−2と予備室2をつなぐゲートバルブ11
−2、一方の反応室1−1内へエッチングガス(N
3 、CF4 など)を供給するガス供給系14、他方の
反応室1−2内へエッチングガスCHF3 を供給するC
HF3 ガス供給系7が設けられている。
【0043】また反応室1−2には、上記エッチングガ
スCHF3 流量に2倍以上のArガス流量を重畳させて
反応室1−2内に導入するためのArガス供給系21が
設けられている。このArガスの導入は酸化膜を垂直性
良く、かつ側面荒れが少なく、さらにサブトレンチの発
生を抑えると共に、エッチング後の酸化膜(コア)パタ
ーン幅の減少(目減り)を低減するのに極めて有効であ
る。なお、Arガスの代りに、He、N2 などの不活性
ガスを用いても同様な効果を期待することができる。
【0044】さらに、図1の装置には、一方の反応室1
−1内に設置した上部電極13−1と試料10を載せる
下部電極13−2との間に印加する高周波電源6−1、
他方の反応室1−2内に設置した上部電極5−1と試料
10を載せる下部電極5−2との間に印加する高周波電
源6−2、各反応室1−1および1−2内の下部電極1
3−2及び5−2上の試料10を低温に冷却するために
矢印9−1から9−2で示した方向に冷媒を流す冷媒循
環系9を備える。図示例から分かるように、本実施例の
反応室はいずれも、平行平板反応性イオンエッチング装
置を構成している。このうち、冷媒循環系9を設けた反
応室1−1および1−2により低温ドライエッチングが
行なわれる。
【0045】また各反応室1−1および1−2内の試料
10を載せる下部電極13−1および5−2の中央部に
試料10を嵌め込む穴13−21および5−21をそれ
ぞれ設け、試料10の裏面と下部電極13−1または5
−2との間をOリングにより気密封止できるようにして
ある。下部電極13−1および5−2には、この気密封
止部に通じるHeガス供給系8を設け、試料10の裏面
へHeガスを吹き付けて試料10の低温化を促進できる
ようになっている。
【0046】さらに、予備室2内へ試料10を挿入し、
予備室2から試料を取り出す試料挿入/試料取出し系1
2、そして結露を防ぐために予備室2内へガス(N2
Ar、O2 、O、Heなど)を導入するためのガス供給
系15、さらに図示しないが予備室2と2つの反応室1
−1、1−2間を試料10を移送する移送系を備える。
この移送系と上記試料挿入/試料取出し系12とから搬
送手段が構成される。次に、この低温ドライエッチング
装置を用いてドライエッチングする方法を図2と照らし
合わせて説明する。
【0047】まず、予備室2の試料挿入/試料取出し系
12から挿入される試料を図2(a)で説明する。試料
は厚み1mm、直径3インチのSiO2 基板を用いた。こ
の基板の裏面は平坦に加工されている。SiO2 基板の
代わりにSi、InP、GaAsなどの半導体、石英系
および多成分系のガラス、LiNbO3 、LiTaO3
などの誘電体、磁性体などを用いても良い。この試料は
基板16上に順にバッファ層20とコア層19とWSi
膜18が形成されており、WSi膜18の上にフォトレ
ジストパターン17がパターニングされているものであ
る。
【0048】バッファ層20はSiO2 からなり、厚さ
約10μm である。コア層19には酸化膜が用いられ
る。例えば、SiO2 にTiO2 、GeO2 、P2 5
などの屈折率制御用添加物を0.数重量%から10数重
量%添加した膜、あるいはSiON、SiOx y z
などである。この実施例ではSiO2 にTiO2 を1重
量%添加した膜(膜厚約8μm )を用いた。WSi膜1
8はコア層19をエッチングするためのマスク材となる
ことから、厚さ約1μm に形成されている。フォトレジ
ストパターン17はWSi膜18をドライエッチングに
よりパターン化するためのマスク材であり、その膜厚は
選択比の関係から0.5〜1μm に選ばれている。
【0049】さて、この図2(a)の試料10を、図1
に示す予備室2内に挿入後、ガス供給系15の矢印方向
から予備室2内に、露点が−60℃以下のN2 ガス(あ
るいはAr、He、O2 などのガスでもよい。)を流し
ながら(ガス流量100cc/min)、予備室2内を排気系
4で真空排気して乾燥させる。これに併せて2つの反応
室1−1及び1−2も排気系3−1、3−2で真空排気
する。予備室2および反応室1−1、1−2内の真空度
を1.33×10-1Pa以下に保った後、一方の反応室1
−1につながるゲートバルブ11−1を開いて試料10
を予備室2から反応室1−1へ搬送し、下部電極13−
2上に載置する。そして、冷媒循環系9とHeガス供給
系8とにより、基板を−40℃に冷却する。次にゲート
バルブ11−1を閉じ、ガス供給系14の矢印方向から
NF3 ガスを20cc/min流し、上部電極13−1と下部
電極13−2との間に高周波電源6−1(高周波パワ2
0W)を印加し、両電極間13−1と13−2間にプラ
ズマを発生させた。この時の反応室1−1内の真空度は
1.33Paになるように排気系3−1を設定した。その
結果、約6分でWSi膜18のエッチングは終了した。
この状態の試料を図2(b)に示す。エッチングされた
WSiパターンの幅はフォトレジストパターン幅に対し
てわずかに1%の幅減りしかなかった。これは低温エッ
チングのため、フォトレジストの損傷やエッチングがほ
とんどなかったためと考えられる。また、エッチングさ
れたWSi側面も極めて平滑であった。
【0050】次に、ガス供給系14から供給するエッチ
ングガスをNF3 ガスからCF4 ガスに切り換え、同様
にしてプラズマ雰囲気下でエッチングを行い、表面のフ
ォトレジストパターンの膜を取り除いた(図2
(c))。
【0051】その後、ガス供給系14を閉じてCF4
スの供給を止め、高周波電源6−1をオフ後、ゲートバ
ルブ11−1を開いて、試料10を予備室2内に移送系
により送り返した。そして再び予備室2内にN2 ガスを
100cc/min流しつつ、高真空排気を行った。
【0052】次に、他方の反応室1−2内の下部電極5
−2内に循環系9から冷媒を矢印9−1から9−2のよ
うに流し、下部電極5−2も低温(この実施例では−4
0℃)に制御した。そして高速のターボ分子ポンプを備
え、口径面積が基板の面積よりも大きい排気系3−2で
高真空排気(1.33×10-2Pa以下)された反応室1
−2内に試料10を搬送した。
【0053】すなわち、他方の反応室1−2につながる
ゲートバルブ11−2を開き、予備室2から反応室1−
2の下部電極5−2上に試料を搬送する。下部電極5−
2上に試料10を載せた後、Heガスを試料10の裏面
へ矢印方向から5cc/min吹きつけて、試料10をHeガ
スによりHe雰囲気にして、−40℃の低温化を促進し
た。このHeガスは反応室1−2内には漏れ出ないよう
に、試料10を下部電極5−2上にクランプしてある。
すなわち、試料10の裏面へHeの一定ガス圧が加わる
ように構成されている。
【0054】このようにして試料10を所望の低温(−
40℃)に保ち、真空排気しつつガス供給系7の矢印方
向からCHF3 ガスを流し、上部電極5−1と下部電極
5−2間に高周波電源6−2を印加し、プラズマを発生
させてコア層19の低温ドライエッチングを行った。こ
の状態を図2(d)に示す。
【0055】反応室1−2でのエッチング終了後、ガス
供給系7、21を閉じてCHF3 ガス及びArガスを止
め、高周波電源6−2をオフとし、ゲートバルブ11−
2を開いて、試料10をN2 ガスが100cc/min流され
つつ真空排気されている予備室2内へ移送した。移送
後、再度一方の反応室1−1につながるゲートバルブ1
1−1を開き、試料10を予備室2から反応室1−1の
下部電極13−2上に載置した。そしてガス供給系14
の矢印方向からNF3 ガスを流し、上部電極13−1と
下部電極13−2との間に高周波パワ(20W)を印加
しつつ、1.33Paの真空度に保ちながらコアパターン
19上のWSi膜18をドライエッチングにより取り除
き、図2(e)の構造を得た。
【0056】その後、ガス供給系14を閉じてNF3
スを止め、高周波電源6−1をオフし、ゲートバルブ1
1−1を開いて試料10を予備室2内へ搬送した。次
に、しばらくN2 ガスを流しつつ真空排気をした後、予
備室2内の真空排気を止め、N2 ガスの導入を引続き行
って予備室2内をN2 ガスで充満させ、予備室2内の真
空を解除して試料10を大気中へ取り出した。
【0057】以下に、上述したプロセスにしたがった種
々の実験例を示す。この実験例には、本発明方法による
実施例の他に、従来の方法による比較例を含めた。
【0058】(比較例1)真空度を1.33Paに保ち、
高周波パワ(RFパワ)を300Wとして、CHF3
スを10cc/min流しながら90分間エッチングを行っ
た。その結果、エッチングしたコア側面の垂直性は図3
(a)に示すごとく、良好であった。また側面荒れも図
4(a)のごとく良好であった。しかしエッチングレー
トは400オングストローム/min(以下、A/min)と低
く、また図5に示すごとく、コア側面22に反応生成物
24が付着し、これによりサブトレンチ23が発生し
た。このサブトレンチ23は、前述したように、導波路
の構造の不均一性による散乱損失を増大させると共に、
波長特性や偏光特性を劣化させる。さらにコア幅の目減
り量はWSi幅に比し、10%近い値であり、これも問
題であった。
【0059】なお、図3(b)に示すコア側面は、CH
3 ガスが10cc/minよりも少ない場合を示している。
【0060】(比較例2)真空度を1.33Paに保ち、
高周波パワを300Wとして、CHF3 ガスを40cc/m
in流しながら90分間エッチングを行った。その結果、
エッチングしたコア側面の垂直性は図3(c)のごとく
デーパ状になった。つまり、垂直性は劣化した。またそ
の側面も図4(b)に示すごとく荒れを生じた。逆にエ
ッチングレートは500A/minと増大し、また図5のよ
うなサブトレンチ23も殆ど無くなった。さらにコア幅
の目減り量は第1の実験よりも悪くなった。
【0061】(比較例3)真空度を2.66Paに保ち、
後は比較例1と同じ条件にしてエッチングを行った。そ
の結果、垂直性、側面の荒れはいずれも劣化し、またサ
ブトレンチも発生した。その代わりに、エッチングレー
トは約1.2倍に増大した。この場合も、コア幅の目減
り量は第1の実験よりも悪くなった。
【0062】(比較例4)試料の温度を−40℃から0
℃に変更し、残りの条件は比較例1の条件と同じでエッ
チングを行った。その結果、垂直性、側面の荒れはいず
れも劣化したが、サブトレンチは低減し、エッチングレ
ートも増大した。この場合もコア幅の目減り量は益々大
きくなった。
【0063】以上のように、垂直性、側面の荒れ、サブ
トレンチ、エッチングレート、コア幅の精度のすべてを
満足する条件を得ることができなかった。そこで、本発
明のArガスをCHF3 ガスに重畳させる方法を検討し
た。
【0064】(比較例5)比較例1の条件に、Arガス
流量を10cc/min重畳して流し、コア膜のエッチングを
行った結果、コア側面はほぼ90°にエッチングされ、
その側面の荒れは少なかった。しかし、サブトレンチは
相変らず発生している。更に、エッチングレートの向上
もなかった。次に、Arガス流量を15cc/minに増やし
て見たが、あまり変化は見られなかった。但し、コア幅
の目減り量はWSi幅に比し、3%以下であり、Arガ
スを重畳させることにより、コア幅の目減り量が大幅に
低減することを確認した。
【0065】(実施例1)比較例2の条件に、Arガス
流量を125cc/min重畳して流し、コア膜のエッチング
を行った。その結果、垂直性、側面の平滑性は極めて良
好であり、またサブトレンチもほとんど発生しなかっ
た。さらにエッチングレートも比較例2とほぼ同等の大
きな値を得ることができ、コア幅の目減り量も比較例5
なみとなり、当初の目標をすべて満足する結果を得るこ
とができた。また、この条件からArガス流量を少しず
つ減らして同様な実験を行なった結果、Arガス流量が
80cc/min以上から効果があることがわかった。
【0066】(実施例2)実施例1の条件において、C
HF3 ガス流量を40cc/minから30cc/minに変更し、
また真空度も1.33Paから1.995Paに変更して、
約90分間のエッチングを行った。その結果、垂直性、
側面の平滑性は共に良好であり、またサブトレンチもほ
とんど発生しなかった。エッチングレート、コア幅の目
減り量もほとんど変わらなかった。また、この場合にも
Arガス流量は60cc/min以上から有効な効果がでるこ
とがわかった。
【0067】(実施例3)実施例2の条件において、高
周波パワを300Wから450Wに変更し、同様に90
分間のエッチングを行った結果、エッチングレートは約
1000A/minに向上した。また垂直性、側面の平滑
性、サブトレンチ、コア幅の目減り量ともいずれも良好
であった。
【0068】これらを表1に示した。表1の結果をまと
めて整理すると、プロセスパラメータと評価項目との関
係は表2のようになることがわかった。なお、WSiと
酸化膜との選択比(=(酸化膜のエッチングレート)/
(WSiのエッチングレート))は15以上の値であ
り、導波路用のコア膜をエッチングするのに十分な値で
あった。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】すなわち、CHF3 ガス流量は垂直性,側
面の平滑性と、サブトレンチ,エッチングレートとの間
に相反する結果が生ずるため、その中間の値をとり、≧
30cc/minとし、その分だけArガス流量をCHF3
2倍以上で総量は60cc/min以上流すことによって、垂
直性と側面の平滑性の劣化を抑える。
【0072】真空度はできる限り高真空が望ましいこと
から、≦2.66Paとした。高周波パワは垂直性、側面
の荒れ、サブトレンチには直接的に影響せず、エッチン
グレートに寄与するため、できる限り高い方が望ましい
ことから≧450Wとした。温度は導波路上あるいは中
に形成されている光素子や電子回路素子にダメージを与
えないためと、垂直性、側面の平滑性を良くし、エッチ
ングしたコアパターン幅の目減りを小さくするためにも
できる限り低温(≦−20℃)が好ましい。なお、図2
において、SiH4 とN2 OとN2 ガスを用い、コア層
19としてプラズマCVD法で形成したSiOx y
z 膜を同様にエッチングしたが、前述の結果とほぼ同等
の特性を得ることができた。
【0073】なお、本発明のように、フッ素系ガスにA
rガス流量を2倍以上重畳して流し、かつ反応室を2.
66Pa以下に高速排気するため、排気系3−2には排気
速度が500l/sec以上のターボ分子ポンプまたはロー
タリーポンプを用いて排気を行った。また排気系3−2
の排気管には直径が6インチの大口径排気管を用いた。
すなわち、エッチングする基板の面積(直径2インチ〜
直径5インチ)よりも大面積の口径を有する排気管を用
いて排気することが必須条件となる。これも本実施例の
低温ドライエッチング装置の特徴の一つである。
【0074】次に、上記低温ドライエッチング装置を用
いて試作した導波路構成の光合分波器の試作結果につい
て説明する。
【0075】図6(a)および(b)は導波路型光合分
波器の概略図を示したもので、(a)は全体平面図、
(b)は(a)のa−a’断面図をそれぞれ示したもの
である。まず(a)に示したように、矢印26のごとく
光合分波器の入力端に入射した波長λ1 およびλ2 の光
信号はコア25−1内を伝搬し、結合領域29内に達
し、コア25−1とコア25−2間を干渉しながら伝搬
して光合分波器の出力端から矢印27−1および27−
2のごとく、波長λ1 およびλ2 の光信号がそれぞれ分
波されて出力される。
【0076】この構成において、低損失で分波し、かつ
波長分離度を良くするためには、前述したように、それ
ぞれのコア25−1および25−2の側面の垂直性が良
く、側面の荒れが小さく、サブトレンチも小さく、かつ
それぞれのコア25−1及び25−2の幅減りを小さく
抑えなければならない。コア25−1および25−2の
幅及び厚さWを8μm 、コア25−1と25−2との間
隔Sを5.5μm とし、コア25−1(25−2)とク
ラッド28との比屈折率差を0.25%として試作した
光合分波器の分波特性を評価した。その結果を図7の実
線(本実施例の方法により作成した光合分波器)および
点線(比較例の方法により作成した光合分波器)で示
す。ただし、設計値ではλ1 =1.3μm 、λ2 =1.
55μm とした。
【0077】本実施例の方法のものは、それぞれの分波
すべき中心波長のずれがほとんどないのに対して、比較
例の方法のものはかなりの中心波長のずれ(約0.12
μm)が生じた。また伝搬損失も本実施例の方法のもの
が小さかった。これも側面の荒れ、サブトレンチの大幅
な低減に依存したものである。さらに、波長λ1 とλ2
との間のアイソレーションも本実施例の方法のものは2
0数dB以上あるのに対し、比較例の方法のものは、ぎり
ぎり20dB程度のアイソレーションしか得られないこと
がわかった。以上のように、本実施例の方法は導波路の
光学特性にも良好な結果が得られることがわかった。
【0078】図8は本発明の低温ドライエッチング装置
を簡略化した第2の実施例を示したものである。これ
は、図1の装置において、反応室1−1を省略して、低
温ドライエッチングの可能な反応室を1個だけ予備室2
につないだ構成の低温ドライエッチング装置であり、図
2(d)の低温ドライエッチングプロセスを行なう。
【0079】なお、本発明は上記実施例に限定されな
い。まず、反応室は3室、さらには4室以上でもよい。
すなわち、反応室を1個または2個以上設けることによ
って、エッチングすべき膜を、1層膜、2層膜、3層
膜、さらには多層膜からなるメタル、あるいは酸化物、
あるいはメタルと酸化物の複合膜等とすることができ
る。これらの反応室はいずれも共通の予備室を介してつ
ながるように構成される。
【0080】また、上記実施例1〜3においては、Ar
ガスを重畳させる場合について述べたが、Arガスに代
えてHe或いはN2 ガスを用いた場合のコアの垂直性、
側面の平滑性、サブトレンチ、エッチングレートはAr
ガスを用いた場合とほぼ同等であり、またHe或いはN
2 ガスを用いた場合の選択比は10以上、コア幅の目減
り量はWSi幅に比し5%以下であり、十分に本発明の
目的を達成することができることを確認している。
【0081】さらに、ドライエッチング装置は平行平板
型反応性イオンエッチング装置に限定されるものではな
く、他のドライエッチング装置であってもよい。また、
上記実施例ではWSi膜等をエッチングする一方の反応
室1−1でも低温ドライエッチングを行うようにした
が、反応室1−1内の下部電極13−2における冷媒循
環系9およびHeガス供給系8による冷却を省略して、
通常のドライエッチングを行うようにしても良い。また
試料も上記実施例に限定されず、半導体IC用などの被
エッチング材を用いることができる。
【0082】
【発明の効果】
(1) 請求項1に記載の発明によれば、エッチングした
被エッチング材表面の側面の垂直性をほぼ90°に保
ち、かつその側面の荒れおよびサブトレンチをほとんど
生じさせず、さらにエッチングレートも十分に大きい状
態でエッチングすることができる。また不活性ガスを重
畳して流すことはCHF3 ガスのような有害なガスを十
分に希釈する作用が働くため、人体への危害を低減でき
る。また、反応室内や排気系への反応生成物の付着を大
幅に低減する効果があり、低温ドライエッチングの再現
性を高め、かつ装置寿命の劣化を予防することもでき
る。さらに、不活性ガスを重畳させたことにより、エッ
チングした酸化膜の幅減り量を小さく抑えることができ
る。
【0083】(2) 請求項2に記載の発明によれば、請
求項1の効果に加え、エッチングする基板上、あるいは
基板中に光素子や電子回路素子が形成されている場合に
は、これらにもダメージを与えることなくエッチングす
ることができる。これは、たとえば導波路のようなパタ
ーンをエッチングにより形成する場合に、所望の光学特
性(損失特性、波長特性、偏波特性等)を容易に実現す
ることが可能となる。
【0084】(3) 請求項3に記載の発明によれば、表
面への反応生成物が付着しにくくなるため、サブトレン
チの発生を抑圧することができる。
【0085】(4) 請求項4に記載の発明によれば、ド
ーパントの拡散などを生じずに、容易にエッチングする
ことができ、光学特性の劣化を未然に防止することがで
きる。 (5) 請求項5に記載の発明によれば、酸化膜に適した
エッチング用ガスを用いたので、エッチングを良好に行
なうことができる。
【0086】(6) 請求項6に記載の発明によれば、エ
ッチングのための各プロセスパラメータを最適な値に規
定したので、エッチング諸特性のすべてを一層良好に満
足させることができる。
【0087】(7) 請求項7に記載の発明によれば、不
活性ガスをArガスとしたのでより安定にエッチングす
ることができる。加えて、エッチングした酸化膜の幅減
り量低減の点で、He、N2 等の不活性ガスを用いる場
合に比較して、優れた効果を奏する。
【0088】(8) 請求項8に記載の発明によれば、装
置を良好な各プロセスパラメータが得られるように構成
したので、エッチング諸特性のすべて満足したエッチン
グを行うことができる。
【0089】(9) 請求項9に記載の発明によれば、メ
タル膜のエッチング後、続けて酸化膜をエッチングでき
るため、作業効率が良く、しかもごみや不要な不純物等
の付着あるいは混入を有効に防止できる。
【0090】(10) 請求項10に記載の発明によれば、
反応室内にHeガスをリークすることなく、効率的に基
板を低温に保持することができる。
【0091】(11) 請求項11に記載の発明によれば、
高速、かつ確実に所望の高真空度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低温ドライエッチング装置の第1の実
施例を説明するための装置の概略構成図。
【図2】本発明の低温ドライエッチング方法の実施例を
説明するための導波路の製造工程図。
【図3】低温ドライエッチング条件の違いによるエッチ
ング酸化膜の垂直性を示す説明図。
【図4】低温ドライエッチング条件の違いによるエッチ
ング酸化膜の側面荒れを示す説明図。
【図5】低温ドライエッチングによるエッチング酸化膜
のサブトレンチの発生状況を示す説明図。
【図6】本実施例の低温ドライエッチング装置を用いて
試作した導波路構成の光合分波器の概略図。
【図7】図6に示す導波路型光合分波器の実施例と従来
例との比較特性図。
【図8】本発明の低温ドライエッチング装置の第2の実
施例を説明するための装置の概略構成図。
【図9】本発明の検討用に用いた低温ドライエッチング
装置の概略構成図。
【符号の説明】
1−1 反応室 1−2 反応室 2 予備室 3−1 排気系 3−2 排気系 4 排気系 5−21 穴 7 CHF3 ガス供給系 8 Heガス供給系 9 冷媒循環系 10 試料 11−1 ゲートバルブ 11−2 ゲートバルブ 12 試料挿入/試料取出し系 13−21 穴 14 ガス供給系 15 ガス供給系 21 Arガス供給系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23F 4/00 H01L 21/3065 C30B 33/08

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予備室に挿入した被エッチング材を気密バ
    ルブを介して反応室に搬送し、該反応室内で上記基板を
    0℃以下の低温に保って上記被エッチング材の表面をフ
    ッ素系ガスを用いて低温ドライエッチングする際に、上
    記フッ素系ガスの流量に不活性ガスの流量を2倍以上重
    畳させて上記反応室内に流し、かつ上記反応室内の真空
    度を2.66Pa以下に保ってエッチングするようにした
    ことを特徴とする低温ドライエッチング方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の低温ドライエッチング方
    法において、上記被エッチング材が酸化膜付き基板であ
    り、低温ドライエッチングされる被エッチング材表面が
    上記酸化膜付き基板の酸化膜であることを特徴とする低
    温ドライエッチング方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の低温ドライエッチング方
    法において、上記基板の温度を−20℃以下に保ち、フ
    ッ素系ガス流量と不活性ガス流量との総流量を60cc/m
    in以上流すようにしたことを特徴とする低温ドライエッ
    チング方法。
  4. 【請求項4】請求項2または3に記載の低温ドライエッ
    チング方法において、上記酸化膜がSiO2 、あるいは
    SiO2 にP,Ti,Ge,B,Ta,Er,Pr,N
    d,Zn,Sn,Nなどのドーパンドが少なくとも1種
    添加されたものであることを特徴とする低温ドライエッ
    チング方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の低温ドライエッチング方
    法において、上記フッ素系ガスとしてCHF3 を用いた
    ことを特徴とする低温ドライエッチング方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の低温ドライエッチング方
    法において、CHF3 ガス流量を30cc/min以上とし、
    不活性ガス流量とCHF3 ガス流量の総量を60cc/min
    以上流し、かつ真空度を2.66Pa以下、プラズマを発
    生させる高周波パワを450W以上、基板の温度を−2
    0℃以下にしたことを特徴とする低温ドライエッチング
    方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし6に記載の低温ドライエッ
    チング方法において、上記不活性ガスがArガスである
    ことを特徴とする低温ドライエッチング方法。
  8. 【請求項8】酸化膜付き基板の挿入/取出しを行う予備
    室と、フッ素系のガスと不活性ガスとを供給でき、少な
    くともフッ素系ガス流量に不活性ガス流量を2倍以上重
    畳させて供給することが可能なエッチング用ガス供給系
    と、室内を2.66Pa以下に真空排気することが可能な
    排気系とを設けた少なくとも1つの反応室と、上記予備
    室と反応室とを接続するゲートバルブと、上記反応室内
    に設けられ一方の電極上に酸化膜付き基板が置かれる一
    対の電極と、該一対の電極間に300W以上の高周波パ
    ワを印加する手段と、上記少なくとも1つの反応室内の
    基板を0℃以下に保持する手段と、上記予備室に対して
    上記基板の挿入・取出し、及び予備室と少なくとも1つ
    の反応室間の基板の移送をゲートバルブを通して行う搬
    送手段とを備え、少なくとも上記基板の酸化膜をエッチ
    ングすることのできる低温ドライエッチング装置。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の低温ドライエッチング装
    置において、上記反応室の残りの少なくとも1つを、酸
    化膜上面のメタル膜をフォトレジストマスクを用いてエ
    ッチングする反応室としたことを特徴とする低温ドライ
    エッチング装置。
  10. 【請求項10】請求項8または9に記載の低温ドライエ
    ッチング装置において、上記酸化膜付き基板としてその
    裏面が平坦なものを用い、上記一方の電極上に気密封止
    状態で置いた上記酸化膜付き基板の裏面に、反応室外か
    らHeガスを供給して基板裏面をHeガス雰囲気に保持
    するようにしたことを特徴とする低温ドライエッチング
    装置。
  11. 【請求項11】請求項8ないし10のいずれかに記載の
    低温ドライエッチング装置において、上記反応室に設け
    た排気系の口径面積を上記酸化膜付き基板の面積よりも
    大きくして上記2.66Pa以下の真空度を得るようにし
    たことを特徴とする低温ドライエッチング装置。
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