JP2873746B2 - 多層構造有機皮膜を有するスリーピース缶 - Google Patents

多層構造有機皮膜を有するスリーピース缶

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JP2873746B2 JP3113495A JP11349591A JP2873746B2 JP 2873746 B2 JP2873746 B2 JP 2873746B2 JP 3113495 A JP3113495 A JP 3113495A JP 11349591 A JP11349591 A JP 11349591A JP 2873746 B2 JP2873746 B2 JP 2873746B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属容器、特に缶胴の接
合を接着や溶接によって行うスリーピース缶に関するも
ので、缶内面及び缶外面共に鋼板上に有機樹脂フィルム
が主体となって構成される多層構造有機皮膜を有するこ
とを特徴とするスリーピース缶に関するものである。
【0002】
【従来の技術】缶容器を製缶プロセスの面から見ると、
大きく二種類に分類される。一つは缶底と缶胴が一体と
なったものに天蓋を巻締める、通常ツーピース缶と呼ば
れ、代表的な缶として絞り・しごき加工によって製缶さ
れるDI缶(Draw andIroned缶)と、絞
り加工によって製缶されるDrD缶(Draw and
Redrawn缶)がある。もう一つは缶胴に地蓋を
巻締めたものに天蓋を巻締める、通常スリーピース缶と
呼ばれ、代表的な缶として、半田缶・接着缶・溶接缶等
があるが、現在は接着缶と溶接缶が主流となっている。
【0003】スリーピース缶用素材としては、錫めっき
系・ニッケルめっき系・クロムめっき系素材その他が使
用されている。これらの素材は、殆どの場合、缶内面は
内容物保持性(耐食性)の点から塗装が施され、又缶外
面は内容物表示のため商標デザインが印刷されている。
この内面塗装および外面印刷は、前述したスリーピース
缶用素材を切板にした後、切板塗装ラインにて、内面塗
装(1回目)、外面印刷用下地塗装(2回目)、外面印
刷(3回目)の3回通板により製造される。高度の耐食
性が要求される用途に対しては二度の内面塗装が行われ
る場合があり、又外面印刷も5色以上の多色印刷の場
合、二度の印刷が行われ、結果として4回通板あるいは
5回通板により缶内外面用の塗装・印刷が行われること
もある。そして、1回の通板毎に切板は焼付け炉で加熱
される必要がある。
【0004】こうした多数回の切板ライン通板により塗
装・印刷が行われた鋼板の缶胴接合部は、例えば溶接缶
の場合、無塗装状態にて残されており、缶サイズに切断
された後、円筒状に丸めて溶接されスリーピース缶胴と
される。このような塗装印刷工程の合理化のため、いわ
ゆるコイルコーティング法にて内面塗装、外面印刷用ホ
ワイトコート、更には外面印刷まで一貫して連続的に行
うことが期待されるが、金属素地をベースとする場合に
は印刷精度を出すことが難しく、実用化されていない。
【0005】フィルムを鋼板に積層させる技術は古くか
らあり、缶容器の分野に対しても従来から検討されてき
ている。例えば、特開昭62−227642号公報、特
開昭58−82717号公報に見られるように、従来技
術は主に絞り缶や絞りしごき缶といったツーピース缶や
18l缶、および缶蓋用途であり、本発明のように商標
デザインを印刷したフィルムが積層されたスリーピース
缶の例はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】スリーピース缶の塗装
印刷工程は、(1)生産性が悪い、(2)仕掛り期間が
長い、(3)多数の人手を要する、(4)印刷仕上り外
観の高度化が難しい、(5)極薄材の使用が困難であ
る、等の多くの問題を抱え、スリーピース缶の競争力を
低下させる原因となっていた。
【0007】本発明は、この煩雑な塗装印刷工程を抜本
的に変革し、塗装・印刷をコイル状にて連続的に一回の
通板により可能にすると共に、より鮮映性よく、深みの
ある印刷外観を有する商品イメージの高い意匠性の優れ
た缶を提供することを目的とするものである。但し、従
来の塗装形態は溶剤型の塗料を使用するため、コイルに
て連続塗装を行う際にも大きな問題に遭遇する。即ち、
長大な焼付け炉を必要とするし、蒸発・飛散する有機溶
剤あるいは煤の処理が非常に大きな問題である。有機溶
剤は回収・燃焼し熱源として利用する方法があるが、設
備コストが高く、衛生環境の確保という難題もかかえて
いる。炉内で発生する煤は、定期的な設備休止のもとに
炉内掃除を要する等の問題をもたらす。
【0008】本発明は、従来の塗装・印刷の連続化を可
能にすることを重要目的としているが、その際に溶剤型
塗料を全く使用しないか、あるいは大幅に削減する方策
をも提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の実状に
鑑みなされたもので、スリーピース缶の表面皮膜構造を
変えることにより、缶内外面用の塗装・印刷工程を抜本
的に改革し、安価で、製造環境問題等がなく、より商品
イメージの高い意匠性に優れた缶を以下の手段で提供す
るものである。
【0010】即ち、本発明の要旨とするところは、缶内
面に、鋼板の次に、熱可塑性樹脂フィルム層または鋼板
側より接着剤層/熱可塑性樹脂フィルム層を有し、缶外
面には、鋼板側から接着剤層/商標デザインを表示した
印刷インキ層/フィルム層/潤滑剤を含有する静摩擦係
数0.2以下の潤滑皮膜層あるいは鋼板側から接着剤層
/フィルム層/商標デザインを表示した印刷インキ層/
潤滑剤を含有する静摩擦係数0.2以下の潤滑皮膜層を
有することを特徴とする多層構造有機皮膜を有するスリ
ーピース缶にある。
【0011】
【作用】以下に本発明を詳細に説明する。本発明の缶に
おいて、上記の多層構造有機皮膜の各層の作用は次のと
おりである。まず、缶外面用のフィルム層は印刷インキ
層およびトップコート層の担体として使用される。即
ち、鋼板への直接連続印刷が困難なため、フィルム上に
連続印刷を行い、印刷済みのフィルムを鋼板表面に連続
的に積層することにより、鋼板への連続印刷を間接的に
可能とするものである。
【0012】インキ層は銘柄等を表示するもので、商標
デザインが印刷されている。潤滑剤を含有する静摩擦係
数0.2以下の潤滑皮膜層は、高速製缶ラインでの皮膜
の傷つき防止を目的としたもので、鮮映性等の外観確保
のためにも必要なものである。接着剤層は、予め印刷さ
れたフィルムが缶サイズ全面に十分な接着力を有して積
層され、製缶加工時あるいは内容物充填後の加熱殺菌処
理時にも剥離しない十分な接着強度を確保するためのも
のである。鋼板表面にこの接着剤層を備えたフィルムを
直接積層した場合に十分な接着強度が得られない場合、
あるいは缶外面での印刷フィルムの色合いが十分でない
場合等のやむを得ない場合には、積層フィルムの下に0
〜30重量%の顔料を含む熱硬化性塗膜層を適用するこ
ともある。
【0013】缶内面用のフィルムは内容物保持性(耐食
性)を目的としたもので、高度の耐食性が要求される用
途に対してもフィルム厚みを増すことで対応可能であり
全内容物に対応可能である。接着剤は必要に応じて用い
るものであり、例えばフィルム自体が接着性を有する場
合などは不要となる。また、鋼板表面に直接フィルムを
積層した場合に十分な接着強度が得られない場合、積層
フィルムの下に0〜30重量%の顔料を含む熱硬化性塗
膜層を適用することもある。
【0014】次に、本発明の缶に適用される多層構造有
機皮膜のそれぞれの層について説明する。本発明の缶
は、表面処理鋼板の両面に、缶内面および缶外面用のフ
ィルムが積層され、その後缶サイズ相当に切断され、製
胴、缶胴接合部の補修塗装、ネックドイン加工、地蓋巻
締め、内容物充填、天蓋巻締めにより製造されるわけだ
が、充填後、更に高温殺菌(レトルト)処理が行われ
る。特に、缶胴接合部の補修塗装は、缶胴を溶接で接合
する溶接缶の場合は、接合部は無塗装なので必須となっ
ている。
【0015】現行の製缶工程では、充填される内容物に
よって種々の補修塗装が行われているが、この補修塗装
も生産性の点から短時間焼付けの方向にあり、最も高温
のものでは、溶接部近傍は280℃に達する場合があ
る。又、レトルト処理は、通常110〜130℃の温度
で20〜60分行われる。従って、当然のことながら内
外面共、積層フィルムはこれらの工程に耐える必要があ
り、適用されるフィルムは樹脂の耐熱性および耐水性の
点で制約を受ける。
【0016】本発明において缶内面に適用されるフィル
ムは、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、ナイロンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムであ
る。内面の積層フィルムの主目的は内容物に対する耐食
性確保であるが、補修塗装の焼付け時の耐熱性が十分で
ないと局部的に溶融し、激しいときには欠陥が発生して
被覆性を損ね、耐食性が著しく劣る結果となる場合があ
る。従って、前述した接合部の補修塗装の焼付け条件に
適したフィルムを適用する必要があることはいうまでも
ない。
【0017】ポリプロピレンフィルムの場合、融点が約
165℃程度であるから、補修塗装の焼付け温度が16
0℃以下の場合に有用である。ナイロンフィルムの場合
は、融点が225℃程度であるから、補修塗装の焼付け
温度が220℃以下の場合に適用される。ポリエステル
フィルムの場合は、アルコール成分と酸成分を選択する
ことで260℃程度の高融点のものが得られ、耐熱性も
確保できることから適用性は広く好ましい。
【0018】次に耐水性であるが、この点は例えば吸水
率として1%以下の樹脂フィルムの適用が望ましい。1
%超の吸水率を有するフィルムを適用した場合、前述し
たレトルト処理時に下地鋼板の腐食が起こり易く、内容
物の変質につながる場合があるため好ましくない。従っ
て、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、
ポリエチレンフィルム等は何れも吸水率1%以下であり
問題ないが、ナイロンフィルムを適用する場合は、例え
ばナイロン6のようなフィルムの適用は避ける必要があ
る。
【0019】次に、本発明では缶内面用フィルムの厚み
は5〜50μm である。もし製缶工程におけるフィルム
損傷による耐食性劣化を想定し、十分な内容物保存性を
確保するためには、5μm 未満では不十分である。一
方。上限の50μm を超えても耐食性の点で効果は飽和
し、経済的に不利となる。従って、積層させるフィルム
厚みは5〜50μm の範囲とする必要があり、更に望ま
しくは10〜30μm の範囲とする。
【0020】本発明の缶は、溶剤を使用しない製造方法
を獲得するという観点から、熱接着可能な樹脂フィルム
を使用することが望ましい。従って、例えばポリプロピ
レンフィルムおよびポリエチレンフィルム等は熱接着が
不可能なため、食品衛生の点で問題ない範囲内で、例え
ばマレイン酸や無水マレイン酸等で変性することにより
熱接着を可能にする。ポリエステルフィルムの場合は、
下層は低融点接着剤層/上層は高融点フィルムといった
構成のものも適用でき、防食性能の優れたポリエステル
フィルムの配向結晶性を残存させる工夫等も可能であ
る。ポリプロピレンフィルムの場合は、下層は熱接着可
能な変性フィルム/上層は通常のストレートフィルムと
いった二層フィルムが例示される。但し、接着強度ある
いは防食性能等の面より極薄(3μm以下)の溶剤ベー
ス接着剤の使用を全く排除するものではない。
【0021】次に缶外面の有機皮膜について説明する。
本発明の缶外面には、予め商品デザインの印刷が施され
たフィルムが積層された表面処理鋼板が用いられてお
り、その構成は基本的に鋼板側から、鋼板/接着剤層/
印刷インキ層/フィルム層/潤滑剤を含有する静摩擦係
数0.2以下の潤滑皮膜層、あるいは鋼板/接着剤層/
フィルム層/印刷インキ層/潤滑剤を含有する静摩擦係
数の0.2以下の潤滑皮膜層となっている。この構成の
中で使用されるフィルム層として、ポリエステルフィル
ム、ナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の熱
可塑性樹脂フィルムが使用されるが、寸法精度、形状、
耐熱性、更には商標デザインの鮮映性の観点から、透明
性の優れた延伸フィルムが好ましい。
【0022】又、前述したように、耐熱性の点では外面
用フィルムも内面用フィルムと同様に、接合部の補修塗
装の焼付け条件あるいはレトルト処理条件に適したフィ
ルムを使用すること、又耐水性の点では吸水率1%以下
のフィルムを使用することが必要である。こうした、耐
熱性、耐水性および透明性の点から、ポリエステル樹脂
フィルムの配向結晶性を持つ延伸フィルムは適用性が広
く、最適である。フィルム厚みとしては5〜25μm の
ものが使用される。下限の5μm 未満では製缶工程で傷
がついた場合に点錆の発生の原因となり、外観の劣化を
きたすため好ましくない。一方、上限の25μm を超え
ても錆発生の点で効果は飽和し、経済的に不利となる。
好ましくは8〜20μm の範囲である。
【0023】外面に使用される接着剤は、前述した補修
塗装の焼付けおよびレトルト処理によって、シワ発生や
フィルム剥離が起こらないものを選択する必要があり、
かかる意味からはウレタン系、ポリエステル系等の熱硬
化型接着剤が好ましいが、高分子量の熱可塑性樹脂でも
補修塗装の焼付けあるいはレトルト処理に耐え得るもの
もあり、適用可能である。接着剤層の厚みは0.5〜5
μm である。0.5μm 未満では接着強度は十分に確保
されないし、5μm を超えると効果は飽和する。好まし
くは1〜4μm の範囲である。
【0024】最外面の潤滑皮膜は、製缶工程における
フィルムの傷付き防止、および通板性といった観点から
施すもので、潤滑剤を含む静摩擦係数0.2以下の潤滑
皮膜であり、例えばアクリル系、ポリエステル系等の
塗料にSi系の微粒子や有機系潤滑剤を含有させた潤滑
皮膜が適用される。厚みは0.1〜5μmである。0.
1μm未満では摩擦係数は小さくならず、効果は見られ
ないし、5μmを超えると摩擦係数の更なる低下はなく
効果は飽和する。1〜4μmの範囲が好ましい。
【0025】本発明に適用されるインキ層は、商標デザ
インを印刷するもので、ウレタン樹脂を主バインダーと
した耐熱性、耐レトルト性の優れたインキが使用され
る。本発明の重要な目的である印刷外観の高級化といっ
た観点からは、グラビア印刷が好ましいと判断される。
インキ層の厚みは、商標デザインによって多種多様であ
り、基本的には限定できるものではないことはいうまで
もない。
【0026】外面皮膜の接着強度あるいは防食性能を補
強するため、熱硬化性有機塗膜層が積層フィルムの下地
として利用されるが、その場合、エポキシ系、アクリル
系、ポリエステル系塗料等の樹脂塗膜が使用され、加熱
することで硬化する。熱硬化性有機塗膜層には、酸化チ
タン等の白色顔料を含有させ、印刷外観の向上をはかる
ことも可能である。
【0027】添加される白色顔料は、0〜30重量%の
範囲で添加される。下限の0%は白色顔料を添加しない
場合を意味するが、白色顔料を添加する場合には1%以
下では白色化の効果が少なく、30%超では白色化の効
果がほぼ飽和すると共に塗膜性状が悪化する傾向にあ
り、30%以下が良い。より望ましい範囲は、10〜2
5%の範囲である。
【0028】熱硬化性有機塗膜層の厚みは1〜15μm
であるが、担体樹脂フィルム中に白色顔料を含有させる
ことにより印刷の鮮映性を上げる等の方法をとれば下地
塗膜層の厚みは1〜3μm で良く、下地で白色を出す場
合には塗膜厚みは5〜15μm が必要である。本発明に
使用される鋼板は、Al、Cr、Ni、Sn等のめっき
を施した表面処理鋼板で、板厚は0.10〜0.25mm
のものが多用される。具体的には、付着量0.5〜3.
0g/m2の錫めっき後、化成処理を施した錫めっき鋼板、
付着量0.3〜2.0g/m2のニッケルめっき後、化成処
理を施したニッケルめっき鋼板、SnおよびNi付着量
として各々0.5〜2.0g/m2、0.1〜0.5g/m2
Ni、Snの順にめっき後、化成処理を施したSn/N
iめっき鋼板、金属Cr付着量50〜120mg/m2 、酸
化Cr付着量5〜20mg/m2 の通常TFS(Tin F
ree Steel)と呼ばれているクロム・クロメー
ト処理鋼板などである。
【0029】以下、実施例で本発明の効果を具体的に示
す。
【0030】
【実施例】
実施例1 20重量%の酸化チタン系の白色顔料を含む12μm の
二軸延伸ポリエステルフィルム(1.5μmの低温接着
剤層を含む)に商標デザインを表示するグラビア印刷を
行い、その上層にSi系微粒子を含むポリエステル系潤
滑皮膜を2μm塗布・乾燥した。
【0031】板厚0.20mmのSn付着量1.0g/m2
Ni付着量0.3g/m2のSn/Niめっき後クロメート
処理を行った鋼板を200℃に加熱し、缶外面に当たる
面に前述のフィルムを積層した。次いでこの鋼板の缶内
面相当面に、2μm の低温接着剤層を有する16μm 厚
の透明な二軸延伸ポリエステルフィルムを185℃にて
圧着し、両面に積層フィルムを有する鋼板を得た。
【0032】こうして得られた多層構造を有する有機積
層鋼板から、印刷フィルム積層面が缶外面になるように
して、250mlのジュース缶胴を溶接にて製造し、溶接
部を補修塗装後、250℃にて乾燥させた。得られた缶
胴は、全ての階段での光沢低下あるいは色ムラ等の発生
はなく、しかも鮮映性は現行のスリーピース缶より良好
であった。
【0033】更に、ネックドイン加工、地蓋を巻締めた
後、1%食塩水を充填し、天蓋を巻締めた後、125℃
で30分レトルト処理を行った。缶外面については皮膜
の外観変化、密着性を、缶内面については缶胴部の腐食
状態を調べたがなんの変化もなく良好な状態であった。 実施例2 付着量0.6g/m2のNiめっき後クロメート処理を行っ
た鋼板(板厚0.15mm)の缶内面に相当する面に25
μm の変性ポリプロピレン延伸フィルムを熱圧着法で積
層させ、一方、缶外面には印刷および潤滑皮膜を施した
白色顔料を含む25μm の変性ポリプロピレン延伸フィ
ルムを熱圧着法で積層した。
【0034】こうして得られた多層構造有機皮膜鋼板か
ら、印刷皮膜面が外面になるようにして250mlのジュ
ース缶胴を溶接にて製造し、溶接部を補修塗装し、14
0℃にて乾燥させた。こうして得られた缶外面は、光沢
低下や色ムラはなく、しかも鮮映性は現行の外面印刷ス
リーピース缶に劣らないものであった。更にネックドイ
ン加工し、地蓋を巻締めた後、1%食塩水を充填し、天
蓋を巻締めた後、125℃で30分レトルト処理を行っ
た。缶外面については皮膜の外観変化、密着性を、缶内
面については缶胴部の腐食状態を調べたが、なんらの変
化も認められず、良好な耐食性を有するものであった。
【0035】実施例3 実施例1と同一の鋼板の表面に、10mg/m2 の付着量で
熱硬化型エポキシ樹脂を塗装し乾燥した。その後、実施
例1と同一のフィルムを同一の手順で鋼板の表裏に積層
した。その際、エポキシ樹脂塗装面には缶内面になるよ
うに16μm 厚の透明な二軸延伸ポリエステルフィルム
が積層された。
【0036】こうして得られた多層構造を有する有機積
層鋼板から、印刷フィルム積層面が缶外面になるように
して、250mlのジュース缶胴を溶接にて製造し、溶接
部を補修塗装後、250℃にて乾燥させた。得られた缶
胴は、全ての段階での光沢低下あるいは色ムラ等の発生
はなく、しかも鮮映性は現行のスリーピース缶より良好
であった。
【0037】更に、ネックドイン加工し、地蓋を巻締め
た後、スポーツドリンクを充填し、天蓋を巻締めた後、
125℃で30分レトルト処理を行った。缶外面につい
ては皮膜の外観変化、密着性を、缶内面については缶胴
部の腐食状態を調べたが、なんの変化もなく良好な状態
であった。50℃にて1ケ月保存後、缶内面腐食状況を
観察したが、腐食に起因するような外観上の変化は全く
なく、鉄溶出も認められなかった。 実施例4 付着量0.6g/m2のNiめっき後、クロメート処理を行
った鋼板(板厚0.15mm)の缶外面に相当する面に1
2μm の白色顔料を含む熱硬化ポリエステル樹脂を塗布
し、乾燥した。12μm の二軸延伸ポリエステルフィル
ムにSi系微粒子を添加したポリエステル系塗料を潤滑
性皮膜として1μm 塗布・乾燥後、反対面に商標デザイ
ンをグラビア印刷し、その上に厚み4μm のウレタン系
接着剤を有するフィルムを作成し、前記の白色顔料を含
む熱硬化ポリエステル樹脂面上に205℃にて熱圧着し
た。缶内面相当面上には、厚み20μm (2μm の低温
接着剤層を有す)の二軸延伸ポリエステルフィルムを1
95℃にて熱圧着し210℃まで加熱後急冷した。
【0038】こうして得られた多層構造を有する有機積
層鋼板から、印刷フィルム積層面が缶外面になるように
して、250mlのジュース缶胴を溶接にて製造し、溶接
部を補修塗装後、250℃にて乾燥させた。得られた缶
胴は、全ての段階での光沢低下あるいは色ムラ等の発生
はなく、しかも鮮映性は現行のスリーピース缶より良好
であった。
【0039】更に、ネックドイン加工し、地蓋を巻締め
た後、リンゴジュースを充填し、天蓋を巻締めた後、1
25℃で30分レトルト処理を行った。缶外面について
は皮膜の外観変化、密着性を、缶内面については缶胴部
の腐食状態を調べたが、なんの変化もなく良好な状態で
あった。50℃にて1ケ月保存後、缶内面腐食状況を観
察したが、腐食に起因するような外観上の変化は全くな
く、鉄溶出も認められなかった。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の多層構造
有機皮膜を有するスリーピース缶は、缶内腐食に対して
良好な特性を示し、内容物保持性が著しく改善されるこ
とから、幅広い適用が可能となる。一方、缶外面に対し
ては現行のスリーピース缶に比べ、鮮映性が良好であ
り、消費者の多様化、高級化に対し応えることができる
缶である。缶体品質の向上と共に、現行のスリーピース
缶における煩雑な塗装印刷工程を抜本的に変革し、塗装
・印刷をコイル状にて連続的に1回の通板により可能に
する副次的効果が非常に大きい。更に、コイルコーティ
ングラインにおける溶剤使用量の削減にも非常に有効な
対策となり得るるものであり、環境対策にも大きな効果
を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 知彦 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 中央研究本部内 (56)参考文献 特開 平4−292942(JP,A) 特開 昭54−110080(JP,A) 特開 昭56−13357(JP,A) 特開 昭54−58587(JP,A) 特開 平2−242738(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 23/00 - 25/56

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 缶内面に、鋼板の次に、熱可塑性樹脂フ
    ィルム層または鋼板側より接着剤層/熱可塑性樹脂フィ
    ルム層を有し、缶外面には、鋼板側から接着剤層/商標
    デザインを表示した印刷インキ層/フィルム層/潤滑剤
    を含有する静摩擦係数0.2以下の潤滑皮膜層あるいは
    鋼板側から接着剤層/フィルム層/商標デザインを表示
    した印刷インキ層/潤滑剤を含有する静摩擦係数0.2
    以下の潤滑皮膜層を有することを特徴とする多層構造有
    機皮膜を有するスリーピース缶。
  2. 【請求項2】 缶内面および/または缶外面の多層構造
    有機皮膜の下に、0〜30重量%の顔料を含む熱硬化性
    塗膜層を有することを特徴とする請求項1記載の多層構
    造有機皮膜を有するスリーピース缶。
  3. 【請求項3】 缶内面に積層されるフィルムが、厚み5
    〜50μm のポリエステルフィルム、ポリプロピレンフ
    ィルム、ナイロンフィルム等の熱可塑性樹脂フィルムで
    あることを特徴とする請求項1記載の多層構造有機皮膜
    を有するスリーピース缶。
  4. 【請求項4】 缶外面のフィルム層がポリエステル樹脂
    であることを特徴とする請求項1記載の多層構造有機皮
    膜を有するスリーピース缶。
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