JP2871867B2 - 耐蝕性Ti基合金 - Google Patents

耐蝕性Ti基合金

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JP2871867B2
JP2871867B2 JP3015771A JP1577191A JP2871867B2 JP 2871867 B2 JP2871867 B2 JP 2871867B2 JP 3015771 A JP3015771 A JP 3015771A JP 1577191 A JP1577191 A JP 1577191A JP 2871867 B2 JP2871867 B2 JP 2871867B2
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英敏 西本
康昭 杉崎
龍哉 安永
貴司 屋敷
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐蝕性Ti基合金に関
し、さらに詳しくは、耐蝕性に優れており、かつ、加工
性、耐隙間耐蝕性に優れている耐蝕性Ti基合金に関す
るものである。
【0002】従来より、Tiは耐蝕性に優れている金属
として良く知られているものであり、化学プラント等の
工業用の構造材料として広く使用されているが、使用さ
れる環境によっては耐蝕性において疑問視される場合が
ある。
【0003】Tiは特に、硝酸等の酸化性の腐蝕環境、
海水およびその他の塩化物を含有する腐蝕環境において
は優れた耐蝕性を示すものである。しかし、塩酸および
硫酸等の非酸化性の環境においては、上記に説明したよ
うな酸化性の環境ほど優れた耐蝕性を示さないのであ
る。
【0004】また、高温の塩化物溶液等の環境において
は、その環境におかれるものに隙間が存在すると、その
隙間にあるTiが局部的に腐蝕を受けることは良く知ら
れていることである。
【0005】このように、Tiが比較的に腐蝕を受け易
い環境における問題を解決するために、Tiに種々の合
金元素を含有させ耐蝕性のTi基合金が既に提案さ
れ、かつ、市販されている。
【0006】そして、このTi合金としては、Ti−P
d合金、Ti−Ni−Mo合金等が挙げられるが、Ti
−Pd合金については、Pdが高価であり、経済的に問
題があり、また、Ti−Ni−Mo合金は加工性が悪い
という問題があり、耐蝕性が優れている割りには広く使
用されていない。
【0007】従って、本発明者は、従来において耐蝕性
が良好であると言われているTi合金における問題点を
考慮し、加工性が良好であり、かつ、Ti−Pd合金と
同等またはそれ以上の、特に、非酸化性の環境において
優れた耐蝕性を示し、さらに、高温塩化物溶液等の環境
における耐隙間腐蝕性も実用上満足するTi合金とし
て、特願平02−069066号、特願平02−283
755号が提案されており、Ni、Pd、Ruのグルー
プにAg或いはAuを含有させたTi合金を開発した。
【0008】しかしながら、このTi基合金は本発明に
係る耐蝕性Ti基合金が目的とする耐蝕性には優れた性
能を発揮するけれども、Ti基合金の溶製装置で含有さ
せたAg等の蒸発によるロスを生じ、歩留りのよい合金
鋳造が困難な面があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に説明し
た従来技術の問題点に鑑み、耐蝕性を満足すると共に、
製造がし易く、経済的なTi基合金の開発が要望されて
いることから、優れた耐蝕性を有するTi基合金を提案
するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐蝕性Ti
基合金は、Cr 0.005〜2.0wt%を含有し、
さらに、Ni 0.005〜2.0wt%、Pd 0.
005〜2.0wt%、Ru 0.005〜2.0wt
%、Pt 0.005〜2.0wt%、Os0.005
〜2.0wt%、Ir 0.005〜2.0wt%、R
h 0.005〜2.0wt%の内から選んだ1種以上
を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とする耐蝕性Ti基合金を要旨とするものであ
る。
【0011】本発明に係る耐蝕性Ti基合金について、
以下詳細に説明する。
【0012】先ず、本発明に係る耐蝕性Ti基合金の含
有成分および成分割合について説明する。
【0013】本発明に係る耐蝕性Ti基合金において、
加工性に悪影響を与えない元素を探すために、種々多数
の合金を製作して、耐蝕性および耐隙間腐蝕性について
研究を行って、このような特性、即ち、加工性を害する
ことなく、耐蝕性および耐隙間腐蝕性に優れた合金元素
を検討した結果、以下説明する元素を見出したのであ
る。
【0014】Crは加工性に悪影響を与える事なく、耐
蝕性および耐隙間腐蝕性に寄与する元素であり、含有量
が0.005wt%未満ではこの効果は少なく、また、
2.0wt%を越える含有量では加工性が劣化する。よ
って、Cr含有量は0.005〜2.0wt%とする。
また、Crをこの範囲に含有させ、さらに、Ni、P
d、Ru、Pt、Os、Ir、Rhの1種以上を0.0
05〜2.0wt%含有させると、相乗効果によって耐
蝕性は顕著に改善される。しかして、Ni、Pd、R
u、Pt、Os、Ir、Rhのみを単独で0.005〜
2.0wt%含有させても非酸化性環境においては、T
i−Pd合金と同等の耐蝕性は示さないのである。
【0015】Ni、Pd、Ru、Pt、Os、Ir、R
hは単独でTiに0.005〜2.0wt%含有させて
も、非酸化性環境においては耐蝕性の改善は認められな
いが、しかし上記に説明したように、Crと共存状態に
おいては、耐蝕性において著しい改善が認められる。よ
って、Ni、Pd、Ru、Pt、Os、Ir、Rhを含
有量0.005〜2.0wt%の範囲に1種以上含有さ
せることにより、優れた耐蝕性が得られるのである。
【0016】
【実施例】本発明に係る耐蝕性Ti基合金の実施例を比
較例と共に説明する。
【0017】表1、表2に示すTi合金を、スポンジチ
タン (JIS1種) に含有成分の各金属粉末の成分割合
を変えて含有させ、真空アーク溶解炉において溶解して
鋳塊を製造した。また、比較例として、スポンジチタン
(JIS1種) のみの純Ti鋳塊を溶製した。
【0018】これらの鋳塊を熱間鍛造および熱間圧延を
行って、1.0mmtの板を製作した。この板を真空焼
鈍熱処理を行った後、20Dmm×1tmmの腐蝕試験
片を採取した。
【0019】さらに、比較例として、市販のG2相当材
(純Ti)、G7相当材(Ti−0.15Pd)、G1
2相当材(Ti−0.8Ni−0.3Mo) を併せて製
作した。
【0020】これらの試験片を、以下に説明する評価試
験を行った。42%MgCl2 隙間腐蝕浸漬試験は、
1に示すTiボルト1、T.P3、マルチクレビスφ2
0mm(溝付き、テフロン)4、Tiナット2を組み立
てた治具を隙間腐蝕環境を模擬した42%MgCl2
液中に48時間浸漬して、隙間腐蝕発生により評価し
た。表3に耐隙間腐蝕性試験の結果を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】この表3から明らかであるが、本発明に係
る耐蝕性Ti基合金は、42%MgCl2 沸騰溶液中で
24時間浸漬した場合の試験において、優れた耐隙間腐
蝕性を示していることが分かる。
【0025】次に、本発明に係る耐蝕性Ti基合金の
酸に対する全面腐蝕性評価試験について、図2〜図5に
より説明する。
【0026】図2はNi0.4wt%、Pd0.014
wt%、Ru0.026wt%と含有量を一定とし、C
r含有量を変化させた場合に、Ti基合金の2%HCl
沸騰溶液中における24時間の浸漬試験結果を示してあ
る。即ち、Cr含有量を0.1wt%とすることによ
り、耐蝕性が明らかに改善されていることがわかる。ま
た、Cr含有量を0.2wt%とすると、G7相当材
(Ti−0.15Pd)より優れた耐蝕性を示してい
る。
【0027】図3はCr含有量を0.2wt%、Pd/
Ru=1/2、Pd+Ru=0.04wt%と一定と
し、Ni含有量を変化させた場合に、本発明に係る耐蝕
性Ti基合金の2%HCl沸騰溶液中における24時間
の浸漬試験結果を示してある。即ち、Ni含有量が増加
するに従って、腐蝕速度が減少していることがわかる。
【0028】図4はCr含有量を0.2wt%と一定に
し、Ni、Pd、Ruの含有量を変化させた場合の、本
発明に係る耐蝕性Ti基合金の2%HCl沸騰溶液中に
おける2時間の浸漬試験結果を示してある。即ち、N
i、Pd、Ruの含有量の増加に従って腐蝕速度が減少
しているが、NiよりPdおよびRu、さらに、Ruよ
りPdの方が腐蝕速度が小さくなっていることがわか
る。
【0029】図5は上記表1に示してある、本発明に係
る耐蝕性Ti基合金の2〜18の中の幾つかの例および
比較例1の純Ti(G2相当材)、比較例2のTi−
0.8Ni−0.3Mo(G12相当材) 、比較例3の
Ti−0.2Ag(0.2Ag)、比較例4のTi−
0.5Ni(0.5Ni)を2%沸騰HCl溶液中にお
いて、24時間浸漬した場合の浸漬試験結果を示してあ
る。即ち、本発明に係る耐蝕性Ti基合金は、比較例5
〜7のTi−(Pd、Ru)材と同等かそれ以上に腐蝕
速度が小さく優れていることを示し、また、比較例1〜
4のTi基合金より著しく腐蝕速度が小さくなっている
ことを示している。
【0030】従って、本発明に係る耐蝕性Ti基合
、非酸化性環境において優れた耐蝕性(腐蝕速度が極
めて小さいこと)を示していることがわかる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る耐蝕
性Ti基合金は上記の構成であるから、非酸化性の環境
における耐蝕性に優れており、さらに、優れた耐隙間腐
蝕性をも併せ保有しており、今までの耐蝕性Ti基合金
の問題点を著しく改善した極めて優れた高耐蝕性のTi
基合金である。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐隙間腐蝕性を試験するための治具である。
【図2】Cr含有量を変化させ、他の含有成分の含有量
を一定とした場合の、HCl浸漬試験における腐蝕速度
を示す図である。
【図3】Ni含有量を変化させ、他の含有成分の含有量
を一定とした場合の、HCl浸漬試験における腐蝕速度
を示す図である。
【図4】Cr含有量を一定とした場合の、HCl浸漬試
験における腐蝕速度を示す図である。
【図5】本発明に係る耐蝕性Ti基合金の幾つかの例お
よび比較例のHCl浸漬試験の腐蝕速度を示した図であ
る。
【符号の説明】
1・・・Tiボルト 2・・・Tiナット 3・・・Ti.P 4・・・マルチクレビス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 屋敷 貴司 兵庫県神戸市垂水区塩屋町3−12−50 (72)発明者 上田 啓司 兵庫県神戸市北区有野町有野1315 (56)参考文献 特開 昭60−13041(JP,A) 特開 平3−197638(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 14/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr 0.005〜2.0wt%を含有
    し、さらに、Ni 0.005〜2.0wt%、Pd
    0.005〜2.0wt%、Ru 0.005〜2.0
    wt%、Pt 0.005〜2.0wt%、Os 0.
    005〜2.0wt%、Ir0.005〜2.0wt
    %、Rh 0.005〜2.0wt%の内から選んだ1
    種以上を含有し、残部がTiおよび不可避的不純物から
    なることを特徴とする耐蝕性Ti基合金。
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