JP2869805B2 - 補強されたイオン交換膜 - Google Patents

補強されたイオン交換膜

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JP2869805B2 JP2011949A JP1194990A JP2869805B2 JP 2869805 B2 JP2869805 B2 JP 2869805B2 JP 2011949 A JP2011949 A JP 2011949A JP 1194990 A JP1194990 A JP 1194990A JP 2869805 B2 JP2869805 B2 JP 2869805B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、含フッ素イオン交換膜に関するものであ
る。
更に、詳しくは、本発明は、特定の補強布により補強
された、低い電気抵抗を有し、且つ機械的強度に優れた
イオン交換膜に関する。
(従来の技術) 含フッ素イオン交換膜は、耐熱性、耐薬品性などが優
れていることから、塩化アルカリの電解による塩素と水
酸化アルカリとの製造を始めとして、オゾン発生用、燃
料電池など電解用隔膜として、各種用途に広く使用さ
れ、更に新しい用途が広がりつつある。
含フッ素イオン交換膜は、一般に架橋構造を形成させ
ることが困難であるために、機械的強度、特に引裂き耐
性に乏しく、また寸法安定性にも欠ける。かかる欠点を
補う目的で、一般に、例えば、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)などの含フッ素重合体からなる織布などで
補強することが必須とされている。
しかしながら、これら補強材は一般にイオン不透過性
であり、電解の際、実効通電面積の減少、及びそれに伴
う電解電圧の上昇を招く結果となり、補強効果を大なら
しめるために、織組織を緻密にする程、或いは補強材を
太くする程、この傾向が顕著となる。更に、補強材を太
くすることは、それを包み込むための樹脂量の増大を意
味し、更に電気抵抗が増えることにもなる。
かかる相矛盾する、膜の強度と電気抵抗の関係を克服
するため、従来種々の試みがなされてきた。例えば、膜
の補強は最低限にし、補強材による遮蔽面積を少なくす
る(開口率の大きな補強材とする)方向のアプローチと
して、滑り易いPTFE系繊維で目の粗い織物を得るために
絡み織にする提案がなされた(実開昭53−101046号公報
等)。しかしながら、これらの方法によっても、目の粗
さが十分でなく、強度も満足の行くものではなかった。
更に、イオン交換基を有する繊維と、非導電性の繊維
との混織による織物を補強材として用いる提案もなされ
ている(特公昭60−40459号公報)。この提案によれ
ば、イオン交換繊維は膜と一体化した後には、導電性を
示すために電気抵抗面で悪影響を及ぼさないことが開示
されているが、イオン交換繊維とイオン交換膜を完全に
一体化させることが難しく実用化し難い。
また、比較的細い繊維で、比較的密な織物(40メッシ
ュ以上)を不完全に埋め込み(補強材の一部が露出した
状態)その表面に親水性被覆を施すことが提案されてい
る(特開昭61−281890号公報)。この提案によれば、完
全に解明されていないが、補強材が一部膜表面に露出す
ることにより膜の抵抗が著しく低下するとされているた
めが、補強材が膜と完全に一体化していないため、使用
中補強材の剥離が発生し、補強効果が十分で無い。
更に、PTFEの多孔質シートを膜に張り合わせて補強す
る提案もある(特開昭57−137490号公報、特開昭62−19
9629号公報等)。これ等の提案によれば、多孔質シート
を一体化することにより、電気化学的に興味ある現象を
示しているが、十分に強い多孔質シートが無く、現時点
では補強面から見ると必ずしも十分でない。
(発明が解決しようとする課題) 以上の如く、従来の技術では、相矛盾する、十分な機
械的強度と低い電気抵抗を有する電解用イオン交換膜を
提供することが十分に達成しきれていない。
本発明の目的は、上記従来の技術では未だ解決されて
いない、高強度で、且つ低い電気抵抗を有する電解用イ
オン交換膜を提供するものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであ
り、その特徴は、特定の構造を有する補強繊維、すなわ
ち、高弾性率で且つ細い、耐薬品性に優れた繊維からな
る補強材により補強することにより、高強度で、且つ低
い電気抵抗を有する電解用イオン交換膜を得ることであ
る。
かくして、本発明は; ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと記す)から
なり、85%以上の結晶化度、15度以下の結晶配向角、及
び345℃と380℃にDSC(Differential Scanning Calorim
etory)による昇温(10℃/min)時の吸熱ピークを有
し、2.15〜2.30の見掛け比重を有する、モノフィラメン
トにより構成された織布により補強されたことを特徴と
する、含フッ素イオン交換膜に関する。
以下、本発明について詳述する。
塩化アルカリの電解による塩素と水酸化アルカリの製
造用イオン交換膜は、前述したように、厳しい耐薬品性
が要求され、当然ながらこの膜を補強する補強材も耐薬
品性の優れたもので構成されなければならない。
PTFEで代表される含フッ素樹脂は、耐薬品性、耐熱性
に優れており、この用途分野には好適であるが、機械的
強度に関しては、一般のハイドロカーボン系繊維に比べ
てかなり低い所に位置づけられる。
従来からPTFE系繊維の代表である、ビスコースをマト
リックスとしたエマルジョンからの湿式紡糸、焼成、延
伸により得られる繊維等(特公昭41−6616号公報参照)
の引張弾性率(初期引張抗張力)は、高々25g/de程度で
あり、一般のポリエステル繊維の約1/5程度である。こ
の原因は、含フッ素樹脂の場合、結晶における分子間凝
集力が他の高分子に比べて小さいためだとされている。
本発明者等の知見によれば、PTFEでも、或る特殊な構
造、つまり85%以上の結晶化度、及び15度以下の結晶配
向角に加えて、更にDSCによる昇温(10℃/min.)過程に
おいて345±5℃と380±5℃に二つの独立した吸熱ピー
クが観察されると言う、極めて特殊な結晶構造を形成さ
せることによって、30〜70GPa(150〜350g/de)という
極めて高い引張弾性率を有する繊維が得られることが判
っている(特願昭63−183530号、特願平1−186085号参
照)。
本発明でのPTFEとは、上記特殊な結晶構造を形成し得
る樹脂のことであり、テトラフルオロエチレン(以下TF
Eと記す)のホモ重合体以外に、上記特性の発現を阻害
しない範囲で少量の(例えば1モル%以下)他の共重合
可能な単量体を含んだ共重合体であっても良い。
本発明の補強材のもう一つの特徴は、見掛け比重が2.
15〜2.30という点にある。これはPTFEにとっては、ほぼ
非多孔質であることを意味する。
最近高弾性率のPTFE繊維として微多孔性PTFEテープヤ
ーンが開発され、イオン交換膜の補強材として使用され
始めているが(例えば、W.L.Gore社から販売されている
ゴアテックスfiber)、このテープヤーンの場合、従来
の上記繊維に比べて、高い引張弾性率を有している(約
10〜25GPa)ものの、多孔質(50%前後の気孔率)とい
うユニークな特徴も合わせて持っている。イオン交換膜
の補強材という観点から見ると、この気孔部分は糸の見
掛けの太さを大きくし、気孔内部が永久的な親水化処理
により電解液で満たされない限り、電気抵抗の増大に寄
与するばかりでなく、強度面では直接寄与してないばか
りか、圧縮応力に対しては抵抗が乏しいため、長期間の
使用中に断面形状が変化し、膜中に空洞をつくる等の悪
影響をおよぼす。
本発明では、上記問題点を非多孔性の高強度繊維を使
用することにより解決した。
本発明の補強材を構成する、特定の結晶構造を有する
非多孔性のPTFE繊維は、前記特願昭63−183530号及び特
願平01−186085号に記載してあるように、基本的にはペ
ースト押出法により得られたPTFEから成る生テープを、
高速で且つ高倍率で延伸し、特定の構造の多孔性テープ
状とした後、このテープに撚りをかけて、更にPTFEの結
晶融点以上の温度(通常350〜430℃)で2〜10倍の延伸
を行うことにより得られる。
さらに、具体的にその製造方法について説明する。
本発明の補強材を構成するPTFE繊維の製造は、好まし
くは出発物質として、小繊維と結節からなる多孔質構造
で、かつ配向度が少なくとも0.7以上であるポリテトラ
フルオロエチレンの糸状物を用いて行われる。
上記出発物質として用いるにとくに好ましい糸状物
は、一軸配向しており、気孔率は40〜70%、配向度は0.
7〜0.9、結晶化度は70〜90%である。DSC分析による結
晶融点が340℃迄シフトしており、かつ、通常には、引
張弾性率60〜180g/d、引張強度が2.8〜4.0g/dのものが
好適に用いられる。
このような糸状物は、公知の方法、例えば、特公昭51
−18991号公報などに開示されているように、ポリテト
ラフルオロエチレンと押出助剤としてのミネラルスピリ
ットを混合したペーストを押出成形し、乾燥処理によっ
てミネラルスピリットを除去した後、ポリテトラフルオ
ロエチレンの結晶融点よりも低い温度で、単位時間当た
り10%/秒より大きな延伸比率によって延伸し、必要に
応じて融点以上で熱処理することによって得ることがで
きる。
このような糸状物としては、特に上記融点以上の熱処
理(焼結)を施してあるものを用いることが、延伸の効
果を一層顕著に発現させるうえで好ましい。
ポリテトラフルオロエチレンの融点は、一般に327℃
〜340℃程度であり、延伸時の温度は少なくともそれ以
上、好ましくは350℃以上である。しかし、過度の高温
では熱分解が生じ、かえって強度、弾性率とも低下す
る。特に好ましい延伸温度は、350℃〜420℃である。
また、延伸倍率は、通常1.5〜10倍、定常延伸を円滑
に行う観点からは2〜6倍が好ましい。
更に、延伸は一段に限らず多段で行うことも可能であ
る。
また、延伸の際に、出発物質である微多孔質のポリテ
トラフルオロエチレンの糸状物に、予め撚りをかけた後
に延伸を行うと、延伸の際の安定性が増し、より高倍率
の延伸が可能となり、極細糸を得ることができる。同時
に、糸状物を原料として円形断面のモノフィラメントを
得ることが可能となる。
撚り数としては、400〜5,000回/m、好ましくは700〜
3,000回/mである。
延伸するための手段ないし装置は、特に限定されず、
通常の糸状物の延伸に用いられる、供給ローラー、巻取
りローラー及び加熱のためのホットプレート、ホットロ
ーラーなどを備えた装置を用いうる。
該繊維は、延伸条件によって多少異なるが、約30〜70
GPaの高引張弾性率、及び約0.6〜1.5GPaの高引張破断強
度を示す。また、この技術により、直径が100μ以下、
好ましくは、50μ程度の細いモノフィラメントも得るこ
とが可能である。
本発明の補強材は、上記特定の構造を有する高強度、
非多孔性繊維から構成される織布が用いられ、その織り
方は、平織り、絡み織り、綾織りなど適宜の織り方が使
用される。更に、本発明の補強材は、場合によっては、
電解条件下で溶解性を有する、所謂犠牲糸と呼ばれる、
レーヨン、ポリエステル繊維等との混織の形で使用して
もよい。
本発明の補強材は、少なくとも、15本/インチ以上の
織り密度を有していることが好ましい。これはイオン交
換膜の強度面からの制限であり、補強材の間隔が広すぎ
ると十分な引裂き耐性をもたせることが難しくなるから
である。
更に重要なことは、含フッ素系イオン交換膜は、熱溶
融加工が可能なポリマー形態の状態で補強材を埋め込み
一体化し、その後ポリマー末端基を加水分解してイオン
交換基とする。その際、樹脂部分は水を吸収して膨張す
るが、補強材によって面内の自由な寸法変化は抑制さ
れ、補強繊維によって形成される個々の区画(ウインド
ウ)内での寸法変化のみが許容される。
補強材の間隔が比較的広い場合(単位ウインドウが
大)には、その中での膨張が膜の厚み方向への変形とし
て現れ、結果的に膜の表面の凸凹が大きくなる。この膜
の凸凹は、膜の見掛けの厚みを増し、電解中に電極に擦
られてピンホールが発生しやすくなる。また電解で発生
したガスがその表面に付着し易くなり、その部分に電流
が流れず、高電圧や膜損傷の原因ともなる。
好ましい補強繊維間隔は、膜の厚さ、加水分解条件に
もよるが、一般に2mm以下にすることが好ましい。
補強繊維の織り密度の上限は、その補強材の開口率
(単位面積当たりのウインドウ面積の割合)によって制
限される。一般に、イオン交換膜法のソーダー塩素プラ
ントは、2〜4KA/m2の電流密度で運転されているが、実
際イオンが透過するのは、膜中の補強材の開口部分であ
り、膜の実質的な電流密度は補強材の開口率に反比例す
る。実質的な電流密度が高くなると当然ながら電解電圧
が高くなるが、それ以外に、特定の部分に電流の集中が
生じ、膜性能の経時的な低下の原因ともなり好ましくな
い。特に、開口率が50%以下の場合は、この傾向が顕著
となる。
補強材の開口率は、補強繊維の巾と、織り密度により
決まるが、十分に強く且つ細い補強繊維の開発により、
始めて高い織り密度で、且つ高開口率を有する補強材の
使用が可能となり、例えば50本/インチ以上の織り密度
で且つ50%以上の開口率を達成することも可能となっ
た。
本発明のイオン交換膜は、高い強度を維持しながら、
開口率は、60%以上、好ましくは70%以上、更に好まし
くは80%以上であることができる。
本発明の補強材は、加水分解によりイオン交換膜とな
るフッ素化重合体と一体化する前に、カレンダー等によ
り薄くすることも可能である。この場合、補強材の厚み
は100μ以下、好ましくは50μ以下にすることも可能で
ある。
更に必要に応じては、特願昭62−210335号で提案して
いるように、目ズレ防止のための補助繊維(例えばポリ
エステル繊維)と混織して製織し、膜として一体化する
直前に、補強繊維のみを溶解等により除去した後一体化
することも可能である。
本発明において用いられるフッ素化重合体とは、フッ
素化炭化水素の主鎖によりなり、ペンダント側鎖とし
て、加水分解等によりイオン交換基に変換可能な官能基
を有する、溶融加工の可能な重合体を指す。
次に、このようなフッ素化重合体の一般的製造方法に
ついて説明するが、これによって本発明の範囲を限定す
るものではない。
該フッ素化重合体は、第1群より選ばれる少なくとも
1種の単量体と、第2及び/又は第3群より選ばれる少
なくとも1種の単量体を共重合することにより製造する
ことが出来る。
第1群の単量体としては、フッ素化ビニル化合物であ
る。例えば、フッ化ビニル、ヘキサフロロプロピレン、
フッ化ビニリデン、トリフロロエチレン、クロルトリフ
ロロエチレン、パーフロロ(アルキルビニルエーテ
ル)、テトラフロロエチレンなどの少なくとも1種であ
り、特にクロルアルカリ電解用隔膜として使用される場
合に、望ましくは水素を含まないパーフロロ単量体であ
るテトラフロロエチレン、パーフロロ(アルキルビニル
エーテル)、ヘキサフロロプロピレンの中より選ばれる
のが好ましい。
第2群の単量体としては、カルボン酸型イオン交換基
に変換し得る官能基を有するビニル化合物である。一般
的には、式: (ただし、S=0,1,2、t=1〜12の整数、 Y=F又はCF3、 Z=F又はCF3、 R=低級アルキル、 で表される。) の単量体が用いられる。
好ましい単量体としては、式: (ただし、n=0,1,2、m=1,2,3,4、 Y=F又はCF3、 R=CH3、C2H5、又はC3H7、で表される。) の化合物からなるものである。
特に、該重合体をクロルアルカリ電解用隔膜として用
いる場合に、パーフロロ化合物が好ましいが、R(低級
アルキル)のみは官能基がイオン交換基に加水分解され
る時点で失われるために、パーフロロである必要はな
い。この様な好ましい単量体の具体例としては、例え
ば、 CF2=CFO CF2−CF(CF3)−O−CF2COOCH3、 CF2=CFO CF2CF(CF2)O(CF22COOCH3、 CF2=CF[OCF2−CF(CF3)]2O(CF22COOCH3、 CF2=CFO CF2 CF(CF3)O(CF23COOCH3、 CF2=CFO(CF22COOCH3、 CF2=CFO(CF23COOCH3、 がある。
第3群の単量体としては、スルホン酸型イオン交換基
に変換し得る官能基を有するビニル化合物である。
特に式: CF2=CFO T CF2−SO2F のものが好適である。
好適なスルホニルフロライドを含有する単量体の具体
例は: CF2=CFO CF2CF2SO2F、 CF2=CFO CF2CF(CF3)O CF2CF2SO2F、 CF2=CFO CF2CF(CF3)O CF2CF2CF2SO2F、 CF2=CFO[CF2CF(CF3)O]2CF2CF2SO2F、 CF2=CF(CF22SO2F、 CF2=CFO CF2CF(CF2OCF3)O CF2CF2SO2F、 であり、特に好適なものは、 CF2=CFO CF2CF(CF3)O CF2CF2CF2SO2F及び、 CF2=CFO CF2CF(CF3)O CF2CF2SO2F である。
これ等の単量体の共重合体は、フッ素化エチレンの単
独及び共重合に対して開発された一般的重合法、特に文
献に記載されているテトラフロロエチレンに対して用い
られる方法によって製造することが出来る。
例えば、非水性法においては、米国特許第3,041,317
号明細書に開示されている如く、パーフロロ炭化水素、
クロルフルオロカーボン等の不活性な液体を溶媒とし、
パーフロロカーボンパーオキサイド又はアゾ化合物等の
ラジカル開始剤の存在下で、温度0〜200℃、圧力1〜2
00気圧で行うことが出来る。
共重合するに当たり、前記3つの群より選ばれる単量
体の種類及び割合は、フッ素化重合体に希望する官能基
の種類及び量により選択決定される。
例えば、カルボン酸エステル官能基のみを含有する重
合体を要求する場合、第1群及び第2群の単量体より夫
々少なくとも1種を選択して共重合せしめれば良い。
また、カルボン酸エステル、スルホニルフロライドの
2種の官能基を共有する重合体を要求する場合、第1
群、第2群、第3群の単量体より夫々少なくも1種を選
択して共重合せしめれば良いことになる。
この場合、第1群及び第2群より成る共重合体と、第
1群及び第3群よりなる共重合体をブレンドすることに
よっても得ることが出来る。又、各単量体の混合割合
は、単位重合体当たりに要求される官能基の量により決
定される。官能基の量を増やす場合、第2、第3群より
選ばれる単量体の割合を増加させれば良い。
一般的には、全官能基の量が交換基に転化された後、
0.5〜2.0ミリ等量/g、好ましくは0.7〜1.5ミリ等量/gの
イオン交換容量の範囲で用いられる。
本発明のイオン交換膜は、以上のようにして、製造さ
れた陽イオン交換基になり得る基を溶解可能な型で有す
るフッ素化重合体を、フィルム状に成形したものが用い
られる。
フィルム化の方法は、一般的に知られている重合体の
フィルム化に対して用いられる方法により製造すること
が出来る。フィルムの厚みは、一般的には約7μ〜150
μまでの厚さを有するものが用いられる。また、このよ
うな厚みのフィルムの少なくとも2枚より製造すること
も出来る。
本発明のイオン交換膜は、フッ素化重合体フィルム中
に補強材を埋め込むことにより製造することが出来る
が、その埋込法は以下の如き公知の方法を用いることが
出来、特に制限されるものではない。
例えば、特開昭56−99234号公報に開示されているよ
うに、スルホニル及び/又はカルボキシル官能基を含む
側鎖を溶融加工可能な形で含有するフッ素化重合体の少
なくとも2枚のフィルムで強化織布を挟み、該フィルム
間の空気を端部より除去しつつ加熱する方法を応用する
ことも出来る。
本発明において、諸特性は以下に述べるような方法に
よって測定した値である。
結晶配向角: X線回折装置により、検出器を最も強い回折線の現れ
る角度(2θ=18.1゜)に固定し、繊維試料台を用い
て、試料を回転させながら、デバイ環の強度分布を測定
し、そのピークの半価幅βで示した。
結晶化度: X線回折法により求めた、2θ=15〜25゜の範囲にお
ける結晶ピークの面積と、バックグランドを無定形と仮
定した時のバックグランドの面積の比から計算する。
見掛け比重: 比重ピンにより25℃の水を媒体として測定。
吸熱ピーク: セイコー電子(株)製DSC−100により、30℃から10℃
/minの昇温速度で測定。
引張弾性率及び強度: インストロン型引張試験機により、25℃、50RH%の条
件下で、Grip間50mm、引張速度200mm/minで測定。
引裂き伝播抵抗: ASTM D−1922に基づくエレメンドルフ試験機により
測定。
本発明の下記の実施例により具体的に説明するが、こ
れらは本発明の範囲を制限するものでない。
(実施例1) W.L.Gore社からゴアテックスfiberとして販売されて
いる、PTFEからなる、200デニールの多孔質テープヤー
ンを準備し、これに750回/mの撚りを掛けた。該撚り糸
を480℃に加熱された長さ1mのオーブンに20m/minの速度
で供給し、反対側から40m/minの速度で引き取り、2倍
の延伸を実施した。
得られた糸は、直径80μの円形断面を有し、その織度
は98デニールで、2.21の見掛け比重を有し、96%の結晶
化度、4.8度の結晶配向角、及びDSCによる熱分析から、
342℃と381℃に吸熱ピークが観察された。
更に室温での引張試験の結果、62GPaの引張弾性率、
1.1GPaの破断強度、及び5.7%の破断伸度を有してい
た。
この糸を用い、シャトル式織機によりタテ、ヨコ各々
50本/インチ(50メッシュ)の平織織布を製織した。引
き続きこの織布を、200℃に加熱された一対の金属ロー
ルの間を厚さ80μに調整しながら通し、均一な厚みとし
た。得られた織布の開口率は、71%だった。
次に、テトラフルオロエチレンとメチルパーフルオロ
(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノネエート)との
共重合体よりなるフィルムA(当量重量:1150,厚み25
μ)及び、テトラフルオロエチレンとメチルパーフルオ
ロ(4,7−ジオキサ−5−メチル−8−ノナンスルホニ
ルフロライド)との共重合体よりなるフィルムB(当量
重量:1090厚み、90μ)及び、フィルムBと同じ共重合
体で厚みが25μのフィルムCを用意した。
上記フィルムA、フィルムB、織布、フィルムCの順
に積層し、220℃の温度でプレスして一体化し、補強し
たイオン交換膜前駆体膜状物を得た。
次に、この膜状物を30重量%のDMSO(ジメチルスルホ
オキシド)と15重量%の水酸化カリウムを含む水溶液に
浸漬し、90℃で2時間加水分解反応を行い、更に水洗
後、0.1N水酸化ナトリウム水溶液で90℃で2時間浸漬
し、平衡を行った。
このイオン交換膜の湿潤状態での引張強度は9kg/cm巾
であり、引裂伝播強度は、4.5kg/枚だった。
更に、このイオン交換膜を用い、層Aを陰極側とし、
10cm×10cmの通電面積をもった小型食塩電解セルにチタ
ン基材に酸化ルテニウムを被覆した陽極、及びニッケル
基材に酸化ニッケルをプラズマ溶射することにより得ら
れた陰極を用い、陽極側食塩濃度を3.5N、陰極苛性ソー
ダ濃度を水を供給しながら33重量%に保持し、90℃、4.
0KA/m2で電解を行った結果、3.2Vのセル電圧、及び97%
の電流効率を示した。4週間の電解終了後の膜には、異
常は見られなかった。
(比較例1) 昭和工業(株)からトヨフロンの商品名で販売されて
いる、100デニール(15フィラメント)のPTFE繊維に100
0回/mの撚りを掛けた後、シャトル織機により、縦およ
び横各々50メッシュの平織の織布を製織した。該織布を
実施例1と同様に80μにカレンダリングした結果、開口
率は45%だった。
該織布を補強材とし、実施例1と同様の構成のイオン
交換膜前駆体を作成し、同様な条件で加水分解して、イ
オン交換膜とした。
該交換膜の湿潤状態での引張強度は、2.5kg/cm巾であ
り、引張伝播強度は、500g/枚と非常に弱かった。
この膜を実施例1と同じ条件で電解した結果、3.45V
のセル電圧、及び97%の電流効率を示したが、4週間後
の電流効率は、95.5%に低下した。
(実施例2) 実施例1で得たPTFEの非多孔質繊維を縦横各々15本/
インチ、及び30デニールのポリエステル繊維を縦横各々
60本/インチの混織の平織り織布を得た。
該織布を200℃で80μのカレンダーした後、3N苛性ソ
ーダ中で60℃の温度で浸漬してポリエステル繊維を溶解
除去し、開口率90%の補強布を得た。この補強布を使用
し、実施例1と同じフィルム構成で一体化した。引き続
き、5%のDMSO及び30%のKOHを含む水溶液中で95℃で
2時間の加水分解反応を行い、イオン交換膜とした。
この膜の湿潤状態での引張強度は2.8kg/cm巾であり、
引裂き強度は1.8kg/枚有り、実用上支障の無い耐性を示
した。この膜の実施例1と同様の電解結果は、2.98Vの
セル電圧と97%の電流効率を示し、4週間以上安定に推
移した。
(実施例3) 実施例1と同様な手段により、200デニールの多孔質
テープヤーンを4倍延伸して、直径60μのモノフィラメ
ントを得た。該フィラメントは2.25の見掛け比重、97%
の結晶化度、3.9゜の結晶配向角を有し、343℃と384℃
にDSCによる吸熱ピークが観察された。
このモノフィラメントを使用して、縦横各々100メッ
シュの平織り織布を得た。該織布は、厚みを80μにカレ
ンダーした後、68%の開口率を有していた。
この織布を補強材として、実施例1と同じフィルム構
成で積層、埋込、加水分解を行い、イオン交換膜とし
た。この膜の浸潤状態での引張強度は10kg/cm巾であ
り、5.8kg/枚の引裂耐性を有していた。
(発明の効果) 本発明の特定の結晶構造を有するPTFE繊維からなる織
布により補強された含フッ素イオン交換膜は、高強度で
かつ低い電気抵抗を与え、とくに電解用イオン交換膜と
して極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/02 C08J 5/12 - 5/22 B01J 47/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリテトラフルオロエチレンからなり、85
    %以上の結晶化度、15度以下の結晶配向角、及び345±
    5℃と380±5℃にDSC(Differential Scanning Calori
    metory)による昇温(10℃/min)時の吸熱ピークを有
    し、2.15〜2.30の見掛け比重を有するモノフィラメント
    により構成された織布により補強されたことを特徴とす
    る、含フッ素イオン交換膜。
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