JP2868972B2 - 鋼片の接合方法及び接合装置 - Google Patents

鋼片の接合方法及び接合装置

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典生 高島
敏明 天笠
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱間圧延における鋼
片の接合方法及び接合装置に関し、とくにその接合状態
の有利な向上を図ろうとするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、熱間圧延ラインでは、圧延すべき
鋼片を一本ずつ加熱、粗圧延、次いで仕上げ圧延して所
望の厚みになる熱延板に仕上げていたが、かような圧延
方式では、仕上げ圧延での、圧延素材の噛み込み不良に
よるライン停止を引き起こし易く、また圧延素材の先、
後端部の形状不良に由来した歩留り低下が大きいため、
最近ではこのような問題を回避するために、仕上げ圧延
に先立ち、こられの鋼片の後端部及び先端部をつなぎ合
わせ、これを熱間圧延ラインに連続的に供給する圧延方
式が採用されるようになってきた。このような鋼片の連
続圧延に関する文献としては特開昭61−144203号公報が
参照される。
【0003】上記特開昭61−144203号公報にて開示され
た技術は、圧延機の入側にて、先行して搬送される鋼片
(以下、先行鋼片という) の後端部と、後行して搬送さ
れる鋼片 (以下、後行鋼片という) の先端部とを全面に
わたって突き合わせ、その幅方向両端部を予接合し、こ
の状態を保持した状態で圧延しようとするものである。
しかしながら上記の技術では、予接合部分に十分な接合
強度をもたせるためには長時間の接合時間を必要とし、
またそのためにラインの延長化を必要とするなど種々の
問題を残していた。
【0004】この点発明者らは先に、上記の諸問題を解
決するものとして、接合対象とする先行鋼片の後端部と
後行鋼片の先端部を、板幅方向の両端部のみにて接触さ
せる一方、板幅方向中央部には空隙を設け、この空隙を
板厚方向に貫通するような磁束を発生するようにインダ
クタを配設し、このインダクタの交番磁界によって鋼板
に誘導される周回電流により、先行及び後行鋼板の端部
接触部を加熱溶融すると共に、鋼板の長手方向から押圧
力を付加することによって、鋼片を接合する方法を開発
し、特開昭4-89109号公報及び同4-89110号公報におい
て開示した。上記の接合法の開発により、従来に比べ、
接合作業の迅速化及び簡便化が可能となった。
【0005】上記の方法では、通常、無通電状態で、板
幅方向両端の最端部に一定の押圧力を加え、最端部から
一定の長さだけ接触変形させて周回電流回路を形成さ
せ、このように一定の接触長さが確保できたのちに通電
を開始し、溶融圧接を行っていた。
【0006】というのは、通電開始前に、先行及び後行
鋼片の突き合わせ(押圧力の付加)が十分に行われてい
ないと、通電開始の瞬間に接触不良に起因してアーク放
電が生じ、これによる発熱は抵抗発熱に比べてはるかに
大きいので突き合わせ部分が一気に溶融してしまい、良
好な接合が望み難かったからである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したとおり、最端
部から一定の領域は溶融接合されていなかったため、こ
のような状態でその後に連続仕上圧延を施すと、最端部
の末接合部から亀裂が発生し、圧延の途中でその亀裂が
進行し、甚だしい場合には圧延中に破断して、圧延の中
断を余儀なくされる場合があった。この発明は、上記の
問題を有利に解決するもので、板幅方向両端の端部領域
についても効果的に溶融接合することによって、仕上げ
圧延途中に接合部が破断するようなことがない鋼片の接
合方法を、その実施に用いて好適な接合装置と共に提案
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、先
行する鋼片の後端部と後行する鋼片の先端部を、それら
の突き合わせ接触状態において、各鋼片の板幅方向両端
部にて接触させる一方、板幅方向中央部には空隙を設
け、この空隙を板厚方向に貫通する交番磁界を印加し、
該交番磁界によって鋼板に誘導される周回電流により、
該端部接触部を加熱溶融させつつ押圧することによっ
て、先行及び後行鋼片を接合するに際し、該空隙を鋼板
の厚み方向に貫通する交番磁界を印加する主インダクタ
によって、端部接触部から中央部寄りを溶融圧接したの
ち、主インダクタとは別途に用意した補助インダクタに
よって、板幅方向両端の接触部にそれぞれ、板厚方向に
貫通する交番磁界を印加し、該接触部の最端部の未接合
領域を溶融圧接することからなる鋼片の接合方法であ
る。
【0009】またこの発明は、先行する鋼片と後行する
鋼片の突き合わせ接触状態において、板幅方向両端部の
みで接触し、板幅方向中央部には空隙をそなえる形状に
成形した、該先行鋼片の後端部と後行鋼片の先端部と
を、加熱、押圧して、各鋼片を相互に溶融圧接する鋼片
の接合装置であって、板幅方向中央部の空隙を板厚方向
に貫通して交番磁界を印加し、該交番磁界により誘導さ
れる周回電流によって、板幅方向両端の端部接触部を加
熱溶融する主インダクタと、板幅方向両端部でそれぞ
れ、同じく板厚方向に貫通する交番磁界を印加して接触
部の最端部を加熱溶融する一対の補助インダクタをそな
えることからなる鋼片の接合装置である。
【0010】
【作用】前述したとおり、通電開始前に、接合対象材の
突き合わせが十分でないと、通電時にアーク放電が生
じ、これによって突き合わせ部が局所的に溶融すること
から、良好な接合は望み得なかった。このため、通電開
始前に、周回電流回路が形成されるように最端部に押圧
力を付加し、最端部から一定の長さだけ無通電状態で接
触変形させることによって先後鋼片の突き合わせを十分
に行い、しかるのち通電を開始し、溶融圧接を行ってい
たのである。
【0011】一方、主インダクタに交流電流を通電する
ことにより誘起される周回電流は、表皮効果により、突
き合わせた空隙の最内側を流れることが実験で確認さ
れ、この表皮効果は、例えば接合部接触長100mm のとき
には最内側より5mmに50%の電流が、最内側より10mmに
80%の電流が集中することが判明した。従って、最端部
に流れる電流は少ないので、最端部より一定の長さ部分
については溶融接合ができなかったのである。
【0012】そこでこの発明では、まず主インダクタに
よって板幅方向両端の接触部から中央部寄りを常法に従
って溶融接合し、しかるのち渦電流発生用の補助インダ
クタによって板幅方向最端部の未接合領域を溶融接合す
るのである。図1に、この発明に従う接合装置を模式で
示し、図中番号1は先行鋼片、2は後行鋼片、そして3
が主インダクタ、4が補助インダクタであり、主インダ
クタ3は空隙の中央部に、また補助インダクタ4はそれ
ぞれ板幅方向両端の突き合わ接触部に位置する配置とし
た例を示す。これら主インダクタ3及び補助インダクタ
4は、図2に示すように、鋼板の厚み方向に貫通するよ
うな交番磁界を発生させるので、主インダクタ3によ
り、中央部空隙の最内側を流れる周回電流が、まだ補助
インダクタ4により、板幅方向最端部に局所的な渦電流
がそれぞれ誘起される。
【0013】さて図1に示したところにおいて、先行鋼
片1の後端部と後行鋼片2の先端部を突き合わせたの
ち、まず主インダクタ3に通電し、中央部空隙の最内側
を周回電流によって加熱溶融しつつ、この状態で押圧力
を付加することにより、端部接触部から中央部寄り(図
3中にaで示す領域)を溶融接合する。なおかかる主イ
ンダクタ3による接合長は、エッジから20〜100 mmの範
囲である。ついで、上記のようにして板幅中央部寄りを
接合した後、補助インダクタ4に通電し、これにより誘
起された渦電流によって最端部の未接合領域(図3中に
bで示す領域)を加熱しつつ、押圧力を付加することに
より、該未接合領域を溶融圧接するのである。かくし
て、最端部を含め、接合部全域にわたって良好な溶融接
合が実現されるのである。
【0014】
【実施例】前掲図1に示したような接合装置を用いて、
幅:1000mm、厚み:30mmの普通鋼シートバー(900 ℃)
同士を、次の要領で接合した。なお主インダクタ及び補
助インダクタとも1基当たりの出力は2000kWである。ま
ず、主インダクタ3を用いて、板幅方向最端部を除く、
エッジからそれぞれ100 mmの範囲を溶融圧接した。つい
で、補助インダクタ4を用い、板幅方向最端部の未接合
領域それぞれ20mmを溶融圧接した。従来の接合方法で
は、最端部より一定の領域は溶融接合されていなかった
のに対し、この発明法を適用した場合は上記の領域に良
好に溶融接合でき、安定した接合が確保できた。また上
記の溶融接合に要した時間は、3s程度にすぎなかっ
た。
【0015】
【発明の効果】かくしてこの発明によれば、最端部より
一定の領域についても溶融接合することができるので、
最端部の未接合部分からの亀裂に起因した仕上げ圧延中
における破断を効果的に回避することができ、その結
果、安定した連続圧延が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従う溶融接合要領の説明図である。
【図2】この発明で用いるインダクタで誘起される磁束
の向きを示した図である。
【図3】主インダクタ及び補助インダクタで溶融接合す
る領域を示した図である。
フロントページの続き (72)発明者 二階堂 英幸 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 高島 典生 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 天笠 敏明 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (72)発明者 林 寛治 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22 号 三菱重工業株式会社 広島製作所内 (56)参考文献 特開 平4−89108(JP,A) 特開 平4−89109(JP,A) 特開 平4−89110(JP,A) 特開 平5−38587(JP,A) 特開 平5−192775(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B21B 1/00 B21B 15/00 B23K 20/00 340

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 先行する鋼片の後端部と後行する鋼片の
    先端部を、それらの突き合わせ接触状態において、各鋼
    片の板幅方向両端部にて接触させる一方、板幅方向中央
    部には空隙を設け、この空隙を板厚方向に貫通する交番
    磁界を印加し、該交番磁界によって鋼板に誘導される周
    回電流により、該端部接触部を加熱溶融させつつ押圧す
    ることによって、先行及び後行鋼片を接合するに際し、 該空隙を鋼板の厚み方向に貫通する交番磁界を印加する
    主インダクタによって、端部接触部から中央部寄りを溶
    融圧接したのち、主インダクタとは別途に用意した補助
    インダクタによって、板幅方向両端の接触部にそれぞ
    れ、板厚方向に貫通する交番磁界を印加し、該接触部の
    最端部の未接合領域を溶融圧接することを特徴とする鋼
    片の接合方法。
  2. 【請求項2】 先行する鋼片と後行する鋼片の突き合わ
    せ接触状態において、板幅方向両端部のみで接触し、板
    幅方向中央部には空隙をそなえる形状に成形した、該先
    行鋼片の後端部と後行鋼片の先端部とを、加熱、押圧し
    て、各鋼片を相互に溶融圧接する鋼片の接合装置であっ
    て、 板幅方向中央部の空隙を板厚方向に貫通して交番磁界を
    印加し、該交番磁界により誘導される周回電流によっ
    て、板幅方向両端の端部接触部を加熱溶融する主インダ
    クタと、板幅方向両端部でそれぞれ、同じく板厚方向に
    貫通する交番磁界を印加して接触部の最端部を加熱溶融
    する一対の補助インダクタをそなえることを特徴とする
    鋼片の接合装置。
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