JP2868635B2 - キチン・キトサンオリゴマーの精製方法 - Google Patents

キチン・キトサンオリゴマーの精製方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、亜硝酸を大量に含有し
ているキチン又はキトサンオリゴマー混合物より亜硝酸
を除去するためのキチン・キトサンオリゴマーの精製方
法に係り、特にキチンまたはキトサンを亜硝酸と反応さ
せて得られた未反応の亜硝酸を大量に含有する末端に
2,5−アンヒドロマンノース基を有するキチン又はキ
トサンオリゴマーの混合物より亜硝酸を除去するための
キチン・キトサンオリゴマーの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活が豊かになり、海外より
蟹、海老が輸入されて、その甲殻のキチン質からキチン
やキトサンが大量に生成されるようになった。これらキ
チンやキトサンはそれ自体が農薬、人工皮膚、生活関連
物質などとして開発されつつあるが、更に付加価値の高
いキチンオリゴ糖またはキトサンオリゴ糖が注目される
ようになった。このようなキチンオリゴ糖またはキトサ
ンオリゴ糖は、一般にキチンをキチナーゼにより、ま
た、キトサンをキトサナーゼにより酵素で分解すること
によって製造されることが知られている。また、キチン
またはキトサンを濃塩酸で部分加水分解してN−アセチ
ルグルコサミンやグルコサミンからN−アセチルキトペ
ンタオースやキトペンタオースを製造することも知られ
ている。更に、アミノ態窒素を定量するバンスライク法
を利用した、キトサンに亜硝酸を加えて20〜25℃の
温度で反応させてグルコサミンなどを製造する(米国特
許第3,922,260号明細書参照)ことも知られて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記酵
素で分解させる方法は、反応濃度が稀薄であるために大
量生産するのに大規模な設備を必要とする。また、その
生成濃度も0.001%程度と薄いため、濃縮しなけれ
ばならなく、しかも、該オリゴ糖の末端が
【0004】
【化1】 の構造のものが生成されることから、濃縮の際などに加
熱されるとアミノ基と糖との反応であるメイラード反応
が起きて着色する虞れがある。また、これを水素化ホウ
素ナトリウムなどで還元したとしても開環して糖アルコ
ールとなってしまうなどの問題があった。また、濃塩酸
で部分加水分解する方法は、前記酵素で分解させる方法
と同じ生成物が得られるので、上記の如き着色問題や開
環の問題を解決することができないといった欠点があ
る。更に、前記キトサンに亜硝酸を反応させる方法は高
分子のキトサンを使用しているためか、使用される亜硝
酸の量がキトサンのアミノ基1モルに対して等モルも添
加していることから、単糖であるグルコサミンにまで分
解されたり、20℃以上の比較的高い温度で長時間反応
が行なわれていることから、単糖にまで分解される前に
転移反応や反応生成物の再結合反応などが起きて、キト
サンオリゴ糖以外の分子量の比較的大きな生成物が生成
する。従って、生成物中には未反応の亜硝酸が大量に残
存している。しかし、このような亜硝酸が残存している
反応生成物は、該亜硝酸が一般に発癌性物質であるとし
て知られていることから、日本国においては「各種食品
中に25ppm以上残存していないこと。」と食品法に
規定されている。それ故、キトサンオリゴ糖の亜硝酸の
含有量が上記範囲以下にしなければ食品添加物や医薬品
製造用として使用できず、その用途開発に制約を与えて
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】
[発明の概要]本発明者らは、上記問題点に鑑みて鋭意
研究を重ねた結果、キチン又はキトサンを亜硝酸で加水
分解させるなどの方法によって得られた、亜硝酸又は亜
硝酸塩を含む末端に2,5−アンヒドロマンノース基を
有するキチン・キトサンオリゴマー混合物より亜硝酸又
は亜硝酸塩を除去するためのキチン・キトサンオリゴマ
ーの精製方法において、前記亜硝酸又は亜硝酸塩を含む
キチン又はキトサンオリゴマー混合物に、アンモニア、
アルキルアミン類又は陰イオン交換樹脂を加えて中和
し、更に還元剤を加えて該2,5−アンヒドロマンノー
ス基をアルコール型の2,5−アンヒドロマンニトール
基に還元して変化させた後で、貧溶媒、特にアルコール
類を加えれば、前記キチン・キトサンオリゴマー混合物
よりキチン・キトサンオリゴマーを容易に析出させるこ
とができ、しかも、析出されたキチン・キトサンオリゴ
マー中には亜硝酸又は亜硝酸塩を殆ど含んでいない精製
された安定なキチン・キトサンオリゴマーを得ることが
できるとの知見を得て本発明を完成するに至った。すな
わち、本発明のキチン・キトサンオリゴマーの精製方法
は、亜硝酸又は亜硝酸塩を含む末端に2,5−アンヒド
ロマンノース基を有するキチン又はキトサンオリゴマー
の混合物より亜硝酸又は亜硝酸塩を除去するキチン・キ
トサンオリゴマーの精製方法において、前記末端に2,
5−アンヒドロマンノース基を有するキチン・キトサン
オリゴマー混合物に、アンモニア、アルキルアミン類又
は陰イオン交換樹脂を加えて中和し、更に還元剤を加え
て還元させた後、貧溶媒を加えてキチン・キトサンオリ
ゴマーを析出させることを特徴とするものである。
【0006】[発明の具体的説明] [I] 原 料 (1) 亜硝酸又は亜硝酸塩を含有する末端に2,5−ア
ンヒドロマンノース基を有するキチン・キトサンオリゴ
マー混合物 本発明のキチン・キトサンオリゴマーの精製方法におい
て原料として使用される亜硝酸又は亜硝酸塩を含有する
末端に2,5−アンヒドロマンノース基を有するキチン
・キトサンオリゴマー混合物としては、末端に2,5−
アンヒドロマンノース基を有するキチン又はキトサンオ
リゴマー中に亜硝酸又は亜硝酸塩を含有している混合物
であり、このような混合物は各種製法によって製造され
たものをも使用可能である。しかし、これらキチン又は
キトサンオリゴマーの中で好適なものとしては、キチン
又はキトサンを亜硝酸又は亜硝酸塩と反応させて得られ
た、末端に2,5−アンヒドロマンノース基を有するキ
チン又はキトサンオリゴマーと、大量の未反応の亜硝酸
や亜硝酸塩とを含有する反応混合物、或いは、該反応混
合物中より不純物を簡略化した手法によって除去したも
のである。このような末端に2,5−アンヒドロマンノ
ース基を有するキチン又はキトサンオリゴマーと、大量
の未反応の亜硝酸又は亜硝酸塩とを含有する反応混合物
としては、具体的には以下に示すキチンまたはキトサン
を亜硝酸又は亜硝酸塩と反応させて製造したものなどで
ある。
【0007】(a) キチン又はキトサン 末端に2,5−アンヒドロマンノース基を有するキチン
又はキトサンオリゴマーおよび未反応の亜硝酸を含有す
る反応混合物を製造するために用いられるキチン・キト
サンとしては、海老、蟹などの甲殻類、カブト虫、コオ
ロギなどの昆虫類、シイタケ、糸状菌類の細胞壁の構成
成分として含有されているキチン質を希塩酸で処理して
炭酸カルシウムを除き、アルカリ濃溶液で短時間処理し
てタンパク質を除いたキチン、或いは、これを濃アルカ
リの存在下で加熱して脱アセチル化して得られたキトサ
ンを挙げることができる。
【0008】(b) 亜硝酸 前記キチン又はキトサンと反応させるために用いられる
亜硝酸としては、亜硝酸をそのまま用いることもできる
が、通常、反応を緩慢に進行させるために、その場で亜
硝酸が得られる亜硝酸塩を使用することが好ましい。こ
のような亜硝酸塩としては、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸
カリウム、亜硝酸亜鉛、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸カ
ルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸マグネシウムなどが
あるが、これらの中では亜硝酸アルカリ金属塩、特に亜
硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウムが好ましい。これら亜
硝酸塩はキチン又はキトサン中のアミノ基を脱アミノ化
してアルコール化するために用いられることから、アミ
ノ基に対して通常0.01〜1モル当量、好ましくは
0.1〜0.6モル当量の範囲内で用いられ、その量に
よって生成するキチン・キトサンオリゴマーの分子量の
コントロールを行なうことができる。
【0009】(c) 反 応 上記原材料を用いてキチン又はキトサンと亜硝酸との反
応は、キチン又はキトサンに可溶化剤を添加して反応溶
媒である水と混合されるのが普通である。このような可
溶化剤としては、蟻酸、酢酸、酪酸、修酸、酒石酸、コ
ハク酸、乳酸、アスコルビン酸、プロピオン酸、アジピ
ン酸、安息香酸などの有機酸、塩酸、臭化水素酸、硝酸
などの鉱酸などを挙げることができる。該反応条件とし
ては、通常−5〜10℃、好ましくは0〜8℃、特に好
ましくは2〜6℃の温度で、水素イオン濃度が1〜6、
好ましくは2〜5の水溶液中で、通常2〜3時間程度行
なわれる。この様な条件下で混合されることによって反
応は穏やかに進むことから、キチンまたはキトサンはグ
ルコサミノグルカン単位が結合しているグルコシド結合
部分で加水分解させられるのでは無く、キチンまたはキ
トサン中のアミノ基を部分的に亜硝酸により脱アミノ化
してアルコール化し、このアルコール基がグルコサミノ
グルカン単位のグルコシド結合部分の酸素とにより隣接
した疑似グリコールを構成していることから、下記に示
すピナコール転移反応を生起せしめているのではないか
と推定している。
【0010】
【化2】 上記反応条件における反応温度が−5℃未満では反応が
著しく遅くなり、10℃を超えると加水分解反応が生起
して、更に、転移反応や再結合が起こって人体への毒性
の発現が憂慮される再結合したグリコシド化合物などが
できたりする虞がある。また、水素イオン濃度が1未満
の場合はグリコシド結合が切れる加水分解反応が起こり
易く、その上転移反応や再結合を起こす虞もあるし、水
素イオン濃度が6を超える場合は亜硝酸イオンが解離分
解してしまうので失効したり、分子量のコントロールを
行ない難い。反応が終了した際、濃アンモニア水やアル
キルアミンなどの溶液を加えて反応混合物を中和させ
る。
【0011】(d) 反応生成物 上記キチン又はキトサンと亜硝酸又は亜硝酸塩との反応
によって得られた反応生成物は、一端に構造式が、
【0012】
【化3】 の2,5−アンヒドロマンノース基を有しており、他端
の構造式が、
【0013】
【化4】
【0014】または、
【0015】
【化5】 を示すものであり、これら両端が直接、或いは、
【0016】
【化6】 で表されるアセチルアミノ基を備えた構造式の単位の
鎖、或いは、
【0017】
【化7】 で表されるアミノ基を備えた構造式の単位の鎖を0〜
1,000個、好ましくは0〜300個、特に好ましく
は0〜100個結合したもので、前記アセチルアミノ基
を備えた構造式の単位/アミノ基を備えた構造式の単位
の比率が1を超える場合はキチンオリゴマーであり、1
未満の場合はキトサンオリゴマーである。
【0018】(2) 中和剤 本発明のキチン・キトサンオリゴマーの精製方法におい
て原料として使用される中和剤としては、アンモニア、
アルキルアミン類又は陰イオン交換樹脂が使用される。
これらアンモニア水、アルキルアミン類又は陰イオン交
換樹脂は、通常の中和剤である水酸化ナトリウムや水酸
化カリウムと異なり、亜硝酸を中和した後でも除去が容
易で、中和後の分離精製の際にも困難なことが生じ難い
ばかりか、その後に行なわれるキチン・キトサンオリゴ
マーの析出を助けることができるので好適である。これ
らアンモニア、アルキルアミン類又は陰イオン交換樹脂
のアンモニアとしては、アンモニアガスを水に溶解させ
て得られた25〜30重量%の濃度のアンモニア水、或
いは、前記アルキルアミン類としては、炭素数1〜2
0、好ましくは1〜15のアルキルアミン、具体的には
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチル
アミン、ヘキシルアミンなどのモノアルキルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどの
ジアルキルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミ
ルアミンなどのトリアルキルアミン、或いは、前記陰イ
オン交換樹脂としては、合成樹脂の母体にアミノ基(−
NH、−NHR、−NH、)、第四アンモニウム基
(−NR)などの塩基性基持つ樹脂を挙げることが
できる。これら前記陰イオン交換樹脂によって、亜硝酸
又は亜硝酸塩を吸着して、該陰イオン交換樹脂を濾過な
どによって濾過すれば容易に中和することができる。
【0019】(3) 還元剤 本発明のキチン・キトサンオリゴマーの精製方法におい
て原料として使用される還元剤としては、アルデヒド基
を穏やかに還元することができる還元剤であればどの様
なものでも使用することができる。例えば、ラネーニッ
ケル、Ni−カーボンなどのニッケル系水素化還元用触
媒、Pd−カーボンなどのパラジウム系水素化還元用触
媒、水素化ジイソブチルアルミニウム、有機スズ水素化
物、ヒドロシランなどの金属水素化物;水素化アルミニ
ウムリチュウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ
素カリウム、水素化ホウ素リチュウム、水素化ホウ素カ
ルシウム、水素化ホウ素亜鉛などの金属水素錯化合物;
ジボラン、アルキルボランなどを挙げることができる。
これら還元剤の中で特に好適な還元剤としては、水素化
ジイソブチルアルミニウム、有機スズ水素化物、ヒドロ
シランなどの金属水素化物;水素化アルミニウムリチュ
ウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウ
ム、水素化ホウ素リチュウム、水素化ホウ素カルシウ
ム、水素化ホウ素亜鉛などの金属水素錯化合物;ジボラ
ン、アルキルボランなどを挙げることができる。
【0020】(4) 析出剤 そして、この中和物に、キチン・キトサンオリゴマーの
貧溶媒で、しかも水と良く混合する析出剤を徐々に、或
いは、段階的に添加していって、該混合液中に溶解して
いるキチン・キトサンオリゴマーを徐々に析出させ、こ
れを濾過することによって回収する。該析出剤の使用量
は中和物の水溶液に対して、一般に0.5〜1,000
容量%、好ましくは1〜500容量%である。本発明の
キチン・キトサンオリゴマーの精製方法において還元反
応生成物媒体中より析出させるための原料として使用さ
れる析出剤としては、生成したキチン・キトサンオリゴ
マーの貧溶媒で、しかも水と良く混合するものであれば
使用することができ、例えば、アルコール類、ケトン
類、エーテル類、エステル類、炭化水素類などを挙げる
ことができる。具体的にはメタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどの炭
素数1〜5、好ましくは1〜4のアルコール類、アセト
ン、メチルエチルケトンなどの炭素数1〜5、好ましく
は1〜4のケトン類、エチルエーテルなどの炭素数2〜
6、好ましくは2〜4のエーテル類、酢酸エチルなどの
炭素数2〜10、好ましくは2〜5のエステル類、n−
ヘキサン、石油エーテルなどの炭素数1〜10、好まし
くは1〜6の炭化水素などがある。
【0021】[II] 中 和 前記原料である亜硝酸又は亜硝酸塩を含む末端に2,5
−アンヒドロマンノース基を有するキチン・キトサンオ
リゴマー混合物には、未反応の亜硝酸又は亜硝酸塩が多
量に含まれていることから、強い酸性を示し、これら亜
硝酸又は亜硝酸塩をそのままの状態で次の工程の反応を
行なおうとすると種々の問題が生じるので中和を行なう
ことが重要である。このような中和は上記中和剤を添加
することによって行なわれる。中和剤の添加量は反応混
合物のpHが7〜8程度になるまで添加して調整され
る。
【0022】[III] 還元反応 前記中和混合物中に含まれる末端に2,5−アンヒドロ
マンノース基を有するキチン・キトサンオリゴマーは反
応性の高いアルデヒド基を有しており、着色や再結合或
いは亜硝酸との吸着などを生じやすいことから、本発明
方法においてはこのアルデヒド型の2,5−アンヒドロ
マンノース基をアルコール型の2,5−アンヒドロマン
ニトール基に還元して変化させることが重要である。従
って、本発明方法では前記中和混合物をそのまま或いは
該中和混合物を簡単に不純物を濾過などによって除去し
た後、前記還元剤を添加して還元が行なわれる。還元剤
はキチン・キトサンオリゴマー中の2,5−アンヒドロ
マンノース基1モル当たり、一般に1モル以上、好まし
くは1.5〜3モル添加して、キチン・キトサンオリゴ
マー中の2,5−アンヒドロマンノース基を2,5−ア
ンヒドロマンニトール基に還元する。該還元反応は、一
般に100℃以下、好ましくは室温以下の温度にて行な
われる。該還元は実質的に還元性の2,5−アンヒドロ
マンノース基が存在しなくなるまで行なわれる。
【0023】[IV] 析 出 そして、この中和物に、キチン・キトサンオリゴマーの
貧溶媒で、しかも水と良く混合する前記析出剤を徐々
に、或いは、段階的に添加していって、該混合液中に溶
解しているキチン・キトサンオリゴマーを徐々に析出さ
せ、これを濾過することによって回収する。該析出剤の
使用量は中和物の水溶液に対して、一般に0.5〜1,
000容量%、好ましくは1〜500容量%である。
【0024】[V] 精製キチン・キトサンオリゴマー このようにして得られた本発明のキチン・キトサンオリ
ゴマーの構造は、一端の構造式が、
【0025】
【化8】 の2,5−アンヒドロマンニトール基を有しており、他
端の構造式が、
【0026】
【化9】
【0027】または、
【0028】
【化10】 を示すものであり、これら両端が直接、或いは、
【0029】
【化11】 で表わされるアセチルアミノ基を備えた構造式の単位の
鎖、または、
【0030】
【化12】 で表されるアミノ基を備えた構造式の単位の鎖を0〜
1,000個、好ましくは0〜300個、特に好ましく
は0〜100個結合したものである。キチンキトサンオ
リゴマーには貧溶媒を、亜硝酸には良溶媒という二面性
を持つ溶媒を用いることが好ましい。したがって、本発
明のキチン・キトサンオリゴマーは、2,5−アンヒド
ロマンノース基が熱的にも安定な2,5−アンヒドロマ
ンニトール基に還元した状態で、亜硝酸を混合液中にて
十分に中和して、該亜硝酸を水中に溶解させた状態のま
までキチン・キトサンオリゴマーの貧溶媒を徐々に添加
して、該混合液中に溶解しているキチン・キトサンオリ
ゴマーのみを徐々に析出させて回収することから、生成
したキチン・キトサンオリゴマー中には亜硝酸又は亜硝
酸塩が、一般に20ppm以下、好ましくは2ppm以
下、特に好ましくは0〜0.7ppm程度しか含有され
ていないので、食品法に規定される25ppm以下の濃
度となって合格しており、食品添加物や医薬品製造用と
しての用途開発にも制約を受けることがない。
【0031】
【実施例】実施例12,5−アンヒドロマンノース基を有するキトサンオリ
ゴマーの製造 内容積500ミリリットルの攪拌機付ガラス製ビーカー
に、30メッシュパスのフレーク状キトサン(分子量:
40,000)10gを入れて、これに酢酸水溶液10
0ミリリットル(可溶化剤/水:10容量%)を攪拌下
に少量づつ加えて溶解し、氷水浴で十分冷却して4℃と
した。次いで、亜硝酸ナトリウム10%水溶液14.5
ミリリットル(亜硝酸/キチン・キトサン中のアミノ基
(モル比):0.5)を加え、水素イオン濃度を3に調
整して水溶液中で攪拌下に2時間反応させて、2,5−
アンヒドロマンノース基を有するキトサンオリゴマーを
製造した。
【0032】中和反応 反応終了後、この反応生成物に15ミリリットルの濃ア
ンモニア水を加えて中和した。
【0033】還元反応 上記反応生成物の中和物に水素化ホウ素ナトリウム1.
6g(亜硝酸ナトリウムに対して2倍モル)を加えて、
室温で一晩攪拌して還元反応を行なって、2,5−アン
ヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマーを製
造した。
【0034】析 出 還元反応終了後、反応液から不純物を取り除くために濾
過し、濾液を100ミリリットルまで濃縮し、これにメ
タノールを第1表に示す割合で混合して沈澱物を析出さ
せた。
【0035】分 析 この沈澱物を赤外線分析により分析した結果を第1図と
して示す。この赤外線分析により沈澱物は2,5−アン
ヒドロマンニトール基を有するキトサンオリゴマーであ
ることが判明した。また、この沈澱物中の残留亜硝酸の
量をジアゾ化法によって分析し、その結果を表1に示
す。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】このような本発明のキチン・キトサンオ
リゴマーの精製方法は、亜硝酸を含有する末端に2,5
−アンヒドロマンノース基を有するキチン又はキトサン
オリゴマーの混合物に、アンモニア、アルキルアミン類
又は陰イオン交換樹脂を加えて中和し、更に還元剤を加
えて2,5−アンヒドロマンノース基を2,5−アンヒ
ドロマンニトール基に還元して変化させた後、貧溶媒を
加えてキチン・キトサンオリゴマーを析出させることに
よって得られる精製された安定なキチン・キトサンオリ
ゴマー中には、亜硝酸が一般に20ppm以下、好まし
くは2ppm以下、特に好ましくは0〜0.7ppm程
度しか含有されていないので、食品法に規定される25
ppm以下の濃度となって合格しており、食品添加物や
医薬品製造用としての用途開発にも制約を受けることが
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明実施例によって製造されたキトサ
ンオリゴマーの赤外線分析によるチャート紙である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜硝酸又は亜硝酸塩を含む末端に2,5−
    アンヒドロマンノース基を有するキチン又はキトサンオ
    リゴマーの混合物より亜硝酸又は亜硝酸塩を除去するキ
    チン・キトサンオリゴマーの精製方法において、前記末
    端に2,5−アンヒドロマンノース基を有するキチン・
    キトサンオリゴマー混合物に、アンモニア、アルキルア
    ミン類又は陰イオン交換樹脂を加えて中和し、更に還元
    剤を加えて還元させた後、貧溶媒を加えてキチン・キト
    サンオリゴマーを析出させることを特徴とする、キチン
    ・キトサンオリゴマーの精製方法。
  2. 【請求項2】貧溶媒がケトン類又はアルコール類である
    請求項1に記載のキチン・キトサンオリゴマーの精製方
    法。
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