JP2868237B2 - 新規生理活性物質om―6519およびその製造法 - Google Patents
新規生理活性物質om―6519およびその製造法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はPC−12細胞の突起伸長促進活性を有する新規
生理活性物質OM−6519およびその製造法に関する。
生理活性物質OM−6519およびその製造法に関する。
神経成長因子(以下、NGFと称する)は知覚および交
感神経の分化・成長・機能維持に必要な分子量14万のポ
リペプチドである。このNGFはα、β、γの3種のサブ
ユニットから成るが、このうち、βサブユニットは単独
でNGF活性を発現するため、β−NGFとも呼ばれている。
感神経の分化・成長・機能維持に必要な分子量14万のポ
リペプチドである。このNGFはα、β、γの3種のサブ
ユニットから成るが、このうち、βサブユニットは単独
でNGF活性を発現するため、β−NGFとも呼ばれている。
NGFには、神経突起を伸ばす作用、神経伝達物質の産
生を調節する作用があり、老動物の神経細胞に対し再生
作用を示すことが試験管内で証明されており、〔エイ
ジ、8巻、19頁(1985年)〕、このような作用があるこ
とから、近年、抗痴呆薬として注目されているものの1
つである。
生を調節する作用があり、老動物の神経細胞に対し再生
作用を示すことが試験管内で証明されており、〔エイ
ジ、8巻、19頁(1985年)〕、このような作用があるこ
とから、近年、抗痴呆薬として注目されているものの1
つである。
一方、ラット副腎髄質褐色細胞腫よりクローン化され
た株細胞であるPC−12細胞は、NGFを添加することによ
り、増殖を停止し、神経突起をもつ細胞へ分化すること
が知られている。このため、PC−12細胞は神経分化のモ
デル系としてよく利用されている。この細胞を用いてNG
Fの他に、線維芽細胞成長因子やインターロイキン6も
突起の伸長を誘導することが調べられたが、最近、微生
物由来の低分子物質スタウロスポリンも同様に神経突起
の伸長をもたらすことが示された〔神経化学、26巻、20
0−220頁(1987年)〕。
た株細胞であるPC−12細胞は、NGFを添加することによ
り、増殖を停止し、神経突起をもつ細胞へ分化すること
が知られている。このため、PC−12細胞は神経分化のモ
デル系としてよく利用されている。この細胞を用いてNG
Fの他に、線維芽細胞成長因子やインターロイキン6も
突起の伸長を誘導することが調べられたが、最近、微生
物由来の低分子物質スタウロスポリンも同様に神経突起
の伸長をもたらすことが示された〔神経化学、26巻、20
0−220頁(1987年)〕。
上記と同様の作用を有する低分子物質はスタウロスポ
リンの他には見出されておらず、他の培養細胞を用いた
系においてもスタウロスポリンが神経突起伸長をもたら
す物質として同定された。
リンの他には見出されておらず、他の培養細胞を用いた
系においてもスタウロスポリンが神経突起伸長をもたら
す物質として同定された。
しかしながら、スタウロスポリンは毒性が強いため、
実際の使用にあたっては、なお、検討の余地があると考
えられる。
実際の使用にあたっては、なお、検討の余地があると考
えられる。
かかる実状において、より毒性が低く、低濃度で神経
突起伸長作用を示す低分子物質を提供することは、ヒト
の医療上または社会問題の解決策として極めて重要なこ
とである。
突起伸長作用を示す低分子物質を提供することは、ヒト
の医療上または社会問題の解決策として極めて重要なこ
とである。
そこで、本発明者らは、上記の如き課題を解決すべ
く、新規な生理活性物質の探索を目的として種々の土壌
から菌株を分離し、その生産物について研究を続けた結
果、千葉県印旛郡の土壌から分離した放線菌OM−6519菌
株の培養物中にPC−12細胞の突起伸長を促進する物質が
産生されることを見出した。
く、新規な生理活性物質の探索を目的として種々の土壌
から菌株を分離し、その生産物について研究を続けた結
果、千葉県印旛郡の土壌から分離した放線菌OM−6519菌
株の培養物中にPC−12細胞の突起伸長を促進する物質が
産生されることを見出した。
そこで、該培養物から活性物質を分離、精製し、該物
質の理化学的性質を調べた結果、後記の通りの理化学的
性質を有することが判った。このような理化学的性質を
有する物質は他に見当たらないことから、該物質を生理
活性物質OM−6519と命名した。本発明はかかる知見に基
づいて完成されたものである。
質の理化学的性質を調べた結果、後記の通りの理化学的
性質を有することが判った。このような理化学的性質を
有する物質は他に見当たらないことから、該物質を生理
活性物質OM−6519と命名した。本発明はかかる知見に基
づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、後記の理化学的性質を有する生
理活性物質OM−6519(以下、OM−6519物質と称する)ま
たはその塩およびストレプトマイセス属に属するOM−65
19生産菌を倍地に培養し、得られた培養物からOM−6519
物質を採取することを特徴とするOM−6519物質またはそ
の塩の製造法を提供するものである。
理活性物質OM−6519(以下、OM−6519物質と称する)ま
たはその塩およびストレプトマイセス属に属するOM−65
19生産菌を倍地に培養し、得られた培養物からOM−6519
物質を採取することを特徴とするOM−6519物質またはそ
の塩の製造法を提供するものである。
本OM−6519生産菌はストレプトマイセス属に属する
が、例えば本発明者らが分離したOM−6519菌株は、本発
明に最も有効に使用される菌株の一例であって、本菌株
の菌学的性質を示すと次のとおりである。
が、例えば本発明者らが分離したOM−6519菌株は、本発
明に最も有効に使用される菌株の一例であって、本菌株
の菌学的性質を示すと次のとおりである。
(I)形態的性質 栄養菌糸は各種寒天培地上でよく発達し、分断は観察
されない。気菌糸は各種天然培地上で豊富に着生し、ホ
ワイトあるいはグレイ系を呈する。顕微鏡下の観察で
は、気菌糸は直線状を呈し、20ケ以上の胞子の連鎖が認
められる。胞子の大きさは1.1×0.8μmで円柱状であ
る。胞子の表面はしわ状である。菌核、胞子のうおよび
遊走子は見出されない。
されない。気菌糸は各種天然培地上で豊富に着生し、ホ
ワイトあるいはグレイ系を呈する。顕微鏡下の観察で
は、気菌糸は直線状を呈し、20ケ以上の胞子の連鎖が認
められる。胞子の大きさは1.1×0.8μmで円柱状であ
る。胞子の表面はしわ状である。菌核、胞子のうおよび
遊走子は見出されない。
(II)各種培地上での性状 イー・ビー・シャーリング(E.B.Shirling)とデー・
ゴットリーブ(D.Gottlieb)の方法(インターナショナ
ル・ジャーナル・オブ・システィマティック・バクテリ
オロジー、16巻、313頁、1966年)によって調べた本生
産菌の培養性状を次表に示す。色調は標準色として、カ
ラー・ハーモニー・マニュアル第4版(コンテナー・コ
ーポレーション・オブ・アメリカ、シカゴ、1958年)を
用いて決定し、色票名とともに括弧内にそのコードを併
せて記した。以下は特記しない限り、27℃、2週間目の
各培地における観察の結果である。
ゴットリーブ(D.Gottlieb)の方法(インターナショナ
ル・ジャーナル・オブ・システィマティック・バクテリ
オロジー、16巻、313頁、1966年)によって調べた本生
産菌の培養性状を次表に示す。色調は標準色として、カ
ラー・ハーモニー・マニュアル第4版(コンテナー・コ
ーポレーション・オブ・アメリカ、シカゴ、1958年)を
用いて決定し、色票名とともに括弧内にそのコードを併
せて記した。以下は特記しない限り、27℃、2週間目の
各培地における観察の結果である。
(III)生理学的諸性質 (1)メラニン色素の生成 (イ)チロシン寒天 陰性 (ロ)ペプトン・イースト鉄寒天 陰性 (ハ)グルコース・ペプトン・ゼラチン培地(21〜23
℃) 陰性 (ニ)トリプトン・イースト液 陰性 (2)チロシナーゼ反応 陰性 (3)硫化水素の生産 陰性 (4)硝酸塩の還元 陽性 (5)ゼラチンの液化(21〜23℃) (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) 陰性 (6)スターチの加水分解 陽性 (7)脱脂乳の凝固(37℃) 陰性 (8)脱脂乳のペプトン化(37℃) 陽性 (9)生育温度範囲 15〜37℃ (10)炭素源の利用性(プリーダム・ゴトリーブ寒天培
地) 利用する;グルコース、キシロース、ラフイノース、
メリビオース、マンニトール、フルクトース、シューク
ロス 利用しない;アラビノース、ラムノース、イノシトー
ル (11)セルロースの分解 陰性 (IV)細胞壁組成 細胞壁のジアミノピメリン酸はLL型である。
℃) 陰性 (ニ)トリプトン・イースト液 陰性 (2)チロシナーゼ反応 陰性 (3)硫化水素の生産 陰性 (4)硝酸塩の還元 陽性 (5)ゼラチンの液化(21〜23℃) (グルコース・ペプトン・ゼラチン培地) 陰性 (6)スターチの加水分解 陽性 (7)脱脂乳の凝固(37℃) 陰性 (8)脱脂乳のペプトン化(37℃) 陽性 (9)生育温度範囲 15〜37℃ (10)炭素源の利用性(プリーダム・ゴトリーブ寒天培
地) 利用する;グルコース、キシロース、ラフイノース、
メリビオース、マンニトール、フルクトース、シューク
ロス 利用しない;アラビノース、ラムノース、イノシトー
ル (11)セルロースの分解 陰性 (IV)細胞壁組成 細胞壁のジアミノピメリン酸はLL型である。
以上、本菌の菌学的性状を要約すると次のとおりであ
る。細胞壁中のジアミノピメリン酸はLL型である。気菌
糸の形態は直線状で、長い胞子鎖を形成する。胞子の表
面はしわ状である。培養状の諸性質としては、栄養菌糸
はイエローあるいはブラウンの色調を呈し、気菌糸はホ
ワイトあるいはグレー系の色調を呈する。可溶性色素は
産生しない。
る。細胞壁中のジアミノピメリン酸はLL型である。気菌
糸の形態は直線状で、長い胞子鎖を形成する。胞子の表
面はしわ状である。培養状の諸性質としては、栄養菌糸
はイエローあるいはブラウンの色調を呈し、気菌糸はホ
ワイトあるいはグレー系の色調を呈する。可溶性色素は
産生しない。
これらの結果から、本菌株はストレプトマイセス属に
属する菌種であり、プリドハムとトレスナーの分類(バ
ージズ・マニュアル・オブ・デターミネーティブ・バク
テリオロジー、第8版、748〜829頁、1974年)によるグ
レイシリーズに属する菌種であると考えられるが、取敢
えず、ストレプトマイセス・エスピー・(Streptomyces
sp.OM−6519)と命名した。本菌株は、工業技術院微生
物工業技術研究所に微工研菌寄第10870号(FERM P−108
70)として寄託されている。
属する菌種であり、プリドハムとトレスナーの分類(バ
ージズ・マニュアル・オブ・デターミネーティブ・バク
テリオロジー、第8版、748〜829頁、1974年)によるグ
レイシリーズに属する菌種であると考えられるが、取敢
えず、ストレプトマイセス・エスピー・(Streptomyces
sp.OM−6519)と命名した。本菌株は、工業技術院微生
物工業技術研究所に微工研菌寄第10870号(FERM P−108
70)として寄託されている。
以上、OM−6519物質の生産菌について説明したが、放
線菌の一般的性状として菌学上の性状は極めて変異し易
く、一定したものではなく、自然的にあるいは通常行わ
れる紫外線照射、X線照射または変異誘導剤などを用い
る人工的変異手段により変異することは周知の事実であ
り、このような人工的変異株は勿論、自然変異株も含
め、ストレプトマイセス属に属し、OM−6519物質を生産
する能力を有する菌株はすべて本発明に使用することが
できる。
線菌の一般的性状として菌学上の性状は極めて変異し易
く、一定したものではなく、自然的にあるいは通常行わ
れる紫外線照射、X線照射または変異誘導剤などを用い
る人工的変異手段により変異することは周知の事実であ
り、このような人工的変異株は勿論、自然変異株も含
め、ストレプトマイセス属に属し、OM−6519物質を生産
する能力を有する菌株はすべて本発明に使用することが
できる。
本発明においては、先ずストレプトマイセス属に属す
るOM−6519物質を生産する能力を有する微生物が適当な
培地に培養される。培地としては、通常の放射菌の培養
に適する炭素源、窒素源および無機物、さらに必要に応
じてその他の栄養物をほどよく含有する合成培地または
天然培地を使用することができる。
るOM−6519物質を生産する能力を有する微生物が適当な
培地に培養される。培地としては、通常の放射菌の培養
に適する炭素源、窒素源および無機物、さらに必要に応
じてその他の栄養物をほどよく含有する合成培地または
天然培地を使用することができる。
培地に使用される炭素源および窒素源は、使用菌株の
利用可能なものならばいずれの種類でもよい。すなわ
ち、炭素源としては、たとえばグルコース、グリセロー
ル、フラクトース、マルトース、マンニット、キシロー
ス、ガラクトース、リボース、澱粉またはその加水分解
物等の種々の炭水化物が使用できる。その濃度は通常、
培地に対して0.1〜5%が好ましい。またグルコン酸、
ピルビン酸、乳酸、酢酸等の各種有機酸、グリシン、グ
ルタミン酸、アラニン酸等の各種アミノ酸、さらにはメ
タノール、エタノール等のアルコール類やノルマルパラ
フイン等の各種の非芳香属系炭化水素、あるいは植物も
しくは動物性の各種油脂等も使用可能である。
利用可能なものならばいずれの種類でもよい。すなわ
ち、炭素源としては、たとえばグルコース、グリセロー
ル、フラクトース、マルトース、マンニット、キシロー
ス、ガラクトース、リボース、澱粉またはその加水分解
物等の種々の炭水化物が使用できる。その濃度は通常、
培地に対して0.1〜5%が好ましい。またグルコン酸、
ピルビン酸、乳酸、酢酸等の各種有機酸、グリシン、グ
ルタミン酸、アラニン酸等の各種アミノ酸、さらにはメ
タノール、エタノール等のアルコール類やノルマルパラ
フイン等の各種の非芳香属系炭化水素、あるいは植物も
しくは動物性の各種油脂等も使用可能である。
窒素源としては、例えばアンモニア、塩化アンモニウ
ム、燐酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモ
ニウム等の各種の無機酸あるいは有機酸のアンモニウム
塩類、尿素、ペプトン、NZ−アミン、肉エキス、酵母エ
キス、乾燥酵母、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、フイッシュミールあるいはその消化物、大豆粉
あるいはその消化物、脱脂大豆あるいはその消化物、加
水分解物などの含窒素有機物質、さらにはグリシン、グ
ルタミン酸、アラニン等の各種アミノ酸が使用可能であ
る。
ム、燐酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモ
ニウム等の各種の無機酸あるいは有機酸のアンモニウム
塩類、尿素、ペプトン、NZ−アミン、肉エキス、酵母エ
キス、乾燥酵母、コーンスチープリカー、カゼイン加水
分解物、フイッシュミールあるいはその消化物、大豆粉
あるいはその消化物、脱脂大豆あるいはその消化物、加
水分解物などの含窒素有機物質、さらにはグリシン、グ
ルタミン酸、アラニン等の各種アミノ酸が使用可能であ
る。
無機物としては、例えば各種リン酸塩、硫酸マグネシ
ュウム、食塩、さらに微量の重金属塩が使用される。
ュウム、食塩、さらに微量の重金属塩が使用される。
また栄養要求性を示す変異株を用いる場合には、当然
その栄養要求を満足させる物質を培地に加えなければな
らないが、この種の栄養素は、天然物を含む培地を使用
する場合にはとくに添加を必要としない場合がある。
その栄養要求を満足させる物質を培地に加えなければな
らないが、この種の栄養素は、天然物を含む培地を使用
する場合にはとくに添加を必要としない場合がある。
培養は、通常振とうまたは通気攪拌培養などの好気的
条件下で行うのがよい。実用的には、深部通気攪拌培養
が好ましい。培地のpHはたとえば5.0〜8.0であるが、中
性付近が好ましい。培養温度は例えば20〜40℃である
が、通常はたとえば26〜32℃(好ましくは27℃付近)と
する。培養時間は、液体培養の場合、通常3〜6日培養
を行い培養物中のOM−6519物質蓄積量が最大に達したと
きに培養を終了する。これらの培地組成、培地の液性、
培養温度、攪拌速度、通気量等の培養条件は使用する菌
株の種類や外部の条件等に応じて好ましい結果が得られ
るように適宜調節、選択されることはいうまでもない。
液体培養において発泡があるときは、シリコン油、植物
油、界面活性剤などの消泡剤が適宜使用される。
条件下で行うのがよい。実用的には、深部通気攪拌培養
が好ましい。培地のpHはたとえば5.0〜8.0であるが、中
性付近が好ましい。培養温度は例えば20〜40℃である
が、通常はたとえば26〜32℃(好ましくは27℃付近)と
する。培養時間は、液体培養の場合、通常3〜6日培養
を行い培養物中のOM−6519物質蓄積量が最大に達したと
きに培養を終了する。これらの培地組成、培地の液性、
培養温度、攪拌速度、通気量等の培養条件は使用する菌
株の種類や外部の条件等に応じて好ましい結果が得られ
るように適宜調節、選択されることはいうまでもない。
液体培養において発泡があるときは、シリコン油、植物
油、界面活性剤などの消泡剤が適宜使用される。
このようにして得られた培養物中に蓄積されたOM−65
19物質は、通常は培養濾液中に生成される。
19物質は、通常は培養濾液中に生成される。
培養濾液からOM−6519物質を採取するには、通常微生
物の培養物から代謝物を採取するのに用いられる手段を
単独あるいは任意の順序に組み合わせて、または反復し
て用いられる。すなわち例えば、濾過、遠心分離、透
析、濃縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する
溶解度の差を利用する方法(例えば、沈澱、結晶化、再
結晶、転溶、向流分配等)、クロマトグラフィー等の手
段が用いられる。OM−6519物質は、主として培養濾液に
生成蓄積されるので、本化合物を分離採取するには、培
養液から菌体を除去した培養濾液から採取すればよい。
物の培養物から代謝物を採取するのに用いられる手段を
単独あるいは任意の順序に組み合わせて、または反復し
て用いられる。すなわち例えば、濾過、遠心分離、透
析、濃縮、乾燥、凍結、吸着、脱着、各種溶媒に対する
溶解度の差を利用する方法(例えば、沈澱、結晶化、再
結晶、転溶、向流分配等)、クロマトグラフィー等の手
段が用いられる。OM−6519物質は、主として培養濾液に
生成蓄積されるので、本化合物を分離採取するには、培
養液から菌体を除去した培養濾液から採取すればよい。
例えば培養物から菌体その他を除去した培養濾液か
ら、活性炭などに本物質を吸着させ含水アセトン等で溶
出する。溶出液を濃縮した後セルロースカラムクロマト
グラフィー、セファデックスLH−20、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー等によって本物質を単離することが
できる。
ら、活性炭などに本物質を吸着させ含水アセトン等で溶
出する。溶出液を濃縮した後セルロースカラムクロマト
グラフィー、セファデックスLH−20、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー等によって本物質を単離することが
できる。
このようにして得られたOM−6519物質は弱酸性物質で
あるから、公知の方法により塩を形成し得る。
あるから、公知の方法により塩を形成し得る。
このような塩としては、医薬的に許容し得る非毒性塩
が挙げられる。例えばナトリウム塩、カリウム塩などの
アルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの
アルカリ金属塩、公知の有機アミン、塩基性アミン酸な
どの塩が挙げられる。
が挙げられる。例えばナトリウム塩、カリウム塩などの
アルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの
アルカリ金属塩、公知の有機アミン、塩基性アミン酸な
どの塩が挙げられる。
次に、本OM−6519物質の理化学的性質について述べ
る。
る。
元素分析;C=45.56%;H=6.27%;N=6.89%;S=7.65
%;O=33.63% 分子量および分子式;376(ファーストアトムボンバー
ドメント質量分析による、M+1、m/z=377)が求めら
れ、さらに高分解能ファーストアトムボンバードメント
(HR・FAB)質量分析および元素分析値から分子式C15H
24N2O7Sが与えられる。
%;O=33.63% 分子量および分子式;376(ファーストアトムボンバー
ドメント質量分析による、M+1、m/z=377)が求めら
れ、さらに高分解能ファーストアトムボンバードメント
(HR・FAB)質量分析および元素分析値から分子式C15H
24N2O7Sが与えられる。
融点;225〜230℃ 比旋光度;+71.3゜(C=1、メタノール) 紫外線吸収スペクトル;第1図の通りである。
赤外線吸収スペクトル(KBr法);第2図の通りであ
り、3310、2955、1685、1665、1610、1565、1455、140
0、1380、1250、1140cm-1付近に特徴的な吸収帯を有す
る。
り、3310、2955、1685、1665、1610、1565、1455、140
0、1380、1250、1140cm-1付近に特徴的な吸収帯を有す
る。
溶剤に対する溶解性;水、メタノール、ピリジン、ジ
メチルスルホキシドに可溶、酢酸エチル、クロロホル
ム、ベンゼン、石油エーテル、n−ヘキサンに不溶、 呈色反応;アニスルアルデヒド硫酸、モリブデン酸反
応およびニンヒドリン反応に陽性 塩基性、酸性、中性の区別;弱酸性 物質の色;白色粉末 プロト核磁気共鳴スペクトル(バリアンXL−400、400
MHz、*測定溶媒量ピリジンンの吸収);第3図の通
り。
メチルスルホキシドに可溶、酢酸エチル、クロロホル
ム、ベンゼン、石油エーテル、n−ヘキサンに不溶、 呈色反応;アニスルアルデヒド硫酸、モリブデン酸反
応およびニンヒドリン反応に陽性 塩基性、酸性、中性の区別;弱酸性 物質の色;白色粉末 プロト核磁気共鳴スペクトル(バリアンXL−400、400
MHz、*測定溶媒量ピリジンンの吸収);第3図の通
り。
次に、本OM−6519物質のPC−12細胞に対する神経様突
起伸長作用について述べる。
起伸長作用について述べる。
グリーン(Green)らの方法〔Ann.Rev.Neurosci.,3
巻、353頁(1980)〕に準じて形態変化により判定し
た。
巻、353頁(1980)〕に準じて形態変化により判定し
た。
その結果、OM−6519物質のPC−12細胞に対する神経様
突起伸長をひき起こす最小有効濃度は、0.8μg/mlであ
った。対照として同様の作用を示すスタウロスポリンの
活性を上記の方法と同様に測定したところ、50μMで突
起伸長が認められたが、添加2日後に細胞毒性により細
胞は死滅した。
突起伸長をひき起こす最小有効濃度は、0.8μg/mlであ
った。対照として同様の作用を示すスタウロスポリンの
活性を上記の方法と同様に測定したところ、50μMで突
起伸長が認められたが、添加2日後に細胞毒性により細
胞は死滅した。
上記の通り、本OM−6519物質はPC−12細胞の突起伸長
促進活性を有し、かつ微生物由来のスタウロスポリンよ
り低毒性であることから、神経障害の治療剤、例えば抗
痴呆薬として有用であると考えられる。
促進活性を有し、かつ微生物由来のスタウロスポリンよ
り低毒性であることから、神経障害の治療剤、例えば抗
痴呆薬として有用であると考えられる。
以下に本発明を実施例により説明するが、これにより
限定されるものではない。
限定されるものではない。
実施例 1 500ml容坂口フラスコに、グルコース0.1%、馬鈴薯デ
ンプン2.4%、ペプトン0.3%、肉エキス0.3%、酵母エ
キス0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含む液体培地(pH7.
0)100mlを分注し、121℃で15分間蒸気滅菌し、これに
グリセロール1.0%、カゼイン0.03%、硝酸カリウム0.2
%、塩化ナトリウム0.2%、燐酸二カリウム0.2%、硫酸
マグネシウム0.005%、炭酸カルシウム0.002%、硫酸第
二鉄0.001%、寒天1.8%を含む寒天斜面培地上で27℃で
培養したストレプトマイセス・エスピー・OM−6519株の
斜面培養から1白金耳づつ接種し、回転式振とう機を用
いて27℃で3日間振とう培養し、種母を得た。
ンプン2.4%、ペプトン0.3%、肉エキス0.3%、酵母エ
キス0.5%、炭酸カルシウム0.4%を含む液体培地(pH7.
0)100mlを分注し、121℃で15分間蒸気滅菌し、これに
グリセロール1.0%、カゼイン0.03%、硝酸カリウム0.2
%、塩化ナトリウム0.2%、燐酸二カリウム0.2%、硫酸
マグネシウム0.005%、炭酸カルシウム0.002%、硫酸第
二鉄0.001%、寒天1.8%を含む寒天斜面培地上で27℃で
培養したストレプトマイセス・エスピー・OM−6519株の
斜面培養から1白金耳づつ接種し、回転式振とう機を用
いて27℃で3日間振とう培養し、種母を得た。
30容ジャー・ファーメンター1基にオートミール2.
0を含む液体培地(pH7.0)15をそれぞれ仕込み、121
℃で30分間蒸気滅菌した。これに蒸気の種母6本分をそ
れぞれ移植し、攪拌速度250rpm通気量15/分条件下で
27℃で92時間通気攪拌した。
0を含む液体培地(pH7.0)15をそれぞれ仕込み、121
℃で30分間蒸気滅菌した。これに蒸気の種母6本分をそ
れぞれ移植し、攪拌速度250rpm通気量15/分条件下で
27℃で92時間通気攪拌した。
培養液をシャープレス型遠心分離機で遠心分離(10,0
00rpm)して菌体と培養液上清に分別した。
00rpm)して菌体と培養液上清に分別した。
上清を活性炭カラム5に通した。10の脱イオン水
で洗浄後、50%アセトン水で溶出した。各フラクション
をPC−12細胞を用いる生物検定法によって追跡し、活性
画分を集め、減圧濃縮し、粗物質5gを得た。これを活性
炭カラムに通し、30%アセトン水にて溶出した。活性を
有する画分をあわせ、減圧濃縮し、粗物質500mgを得
た。これをできるだけ少量のメタノールに溶し、1/10量
づつを高速液体クロマトグラフィー用分取逆相カラム
(山村化学研究所製:AM−524(obs):10×300mm)に供
し、6%アセトニトリル水0.5%酢酸で溶出(流速:6ml/
mins.)した。
で洗浄後、50%アセトン水で溶出した。各フラクション
をPC−12細胞を用いる生物検定法によって追跡し、活性
画分を集め、減圧濃縮し、粗物質5gを得た。これを活性
炭カラムに通し、30%アセトン水にて溶出した。活性を
有する画分をあわせ、減圧濃縮し、粗物質500mgを得
た。これをできるだけ少量のメタノールに溶し、1/10量
づつを高速液体クロマトグラフィー用分取逆相カラム
(山村化学研究所製:AM−524(obs):10×300mm)に供
し、6%アセトニトリル水0.5%酢酸で溶出(流速:6ml/
mins.)した。
保持時間28.5分のピークを示す活性画分を集め、減圧
乾固し、OM−6519物質20mg得た。
乾固し、OM−6519物質20mg得た。
第1図は本発明の生理活性物質OM−6519の紫外線吸収ス
ペクトルを示し、 第2図は同物質の赤外線吸収スペクトルを示し、 第3図は同物質のプロトン核磁気共鳴スペクトルを示す
ものである。
ペクトルを示し、 第2図は同物質の赤外線吸収スペクトルを示し、 第3図は同物質のプロトン核磁気共鳴スペクトルを示す
ものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:465) (C12N 1/20 C12R 1:465)
Claims (3)
- 【請求項1】次の理化学的性質を有する生理活性物質OM
−6519。 元素分析;C=45.56%、H=6.27%、N=6.89%、S
=7.65%、O=33.63% 分子量;376(ファーストアトムボンバードメント質量
分析でM+1、m/z377による) 融点;225〜230℃(分解) 比旋光度;+71.3゜(C=1、メタノール) 紫外線吸収スペクトル(溶媒,水);下記に示す通
り、 吸収極大を示す 赤外線吸収スペクトル(KBr法);3310、2955、1685、
1665、1610、1565、1455、1400、1380、1250、1140cm-1
付近に特徴的な吸収帯を有する 溶剤に対する溶解性;水、メタノール、ピリジン、ジ
メチルスルホキシドに可溶、酢酸エチル、クロロホル
ム、ベンゼン、石油エーテル,n−ヘキサンに不溶 呈色反応;アニスアルデヒド硫酸、モリブデン酸反応
およびニンヒドリン反応に陽性 塩基性、酸性、中性の区別;弱酸性 由来;ストレプトマイセス属に属する菌種 活性;PC−12細胞に対する神経様突起伸長作用を有す
る。 - 【請求項2】特許請求の範囲第1項に記載のストレプト
マイセス属に属する生理活性物質OM−6519生産菌を倍地
に培養し、得られた培養物から生理活性物質OM−6519を
採取することを特徴とする新規生理活性物質OM−6519ま
たはその塩の製造法。 - 【請求項3】特許請求の範囲第1項に記載のストレプト
マイセス属に属する生理活性物質OM−6519生産菌が、ス
トレプトマイセス・エスピー・OM−6519(FERM P−1087
0)である特許請求の範囲第2項に記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1234196A JP2868237B2 (ja) | 1989-09-08 | 1989-09-08 | 新規生理活性物質om―6519およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1234196A JP2868237B2 (ja) | 1989-09-08 | 1989-09-08 | 新規生理活性物質om―6519およびその製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0398594A JPH0398594A (ja) | 1991-04-24 |
JP2868237B2 true JP2868237B2 (ja) | 1999-03-10 |
Family
ID=16967191
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1234196A Expired - Fee Related JP2868237B2 (ja) | 1989-09-08 | 1989-09-08 | 新規生理活性物質om―6519およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2868237B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0723957B1 (en) * | 1994-12-27 | 2003-05-21 | The Kitasato Institute | Lactacystin derivatives |
-
1989
- 1989-09-08 JP JP1234196A patent/JP2868237B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0398594A (ja) | 1991-04-24 |
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