JP2866475B2 - 太陽電池及びその製造方法 - Google Patents

太陽電池及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は化合物半導体を用いた太陽電池及びその製造
方法に関し、さらに詳しくは、II−VI族半導体薄膜を光
透過窓層とする太陽電池の構成とその製造方法に関する
ものである。
[従来の技術] 近い将来、エネルギー供給が次第に困難になることが
予想され、太陽電池の高効率化、低コスト化と共に安定
性の向上が大きな課題になってきた。なかでも、大面積
化が容易な薄膜系太陽電池は大幅な低コスト化が可能な
のでそのエネルギー変換効率の向上と安定性の向上が強
く望まれている。
この薄膜系太陽電池には化合物半導体(II−VI族やI
−III−VI2族)薄膜を用いたものが広く開発されつつあ
る。化合物半導体薄膜を用いた太陽電池の構成は、バン
ドギャップが広くて光を透過する窓層としてのn型のII
−VI族化合物半導体層とバンドギャップが狭くて光を吸
収する吸収層としてのp型のII−VI族あるいはI−III
−VI2化合物半導体層を積層したヘテロ接合などが用い
られる。
構成としては、例えばガラス基板上に順次Mo金属層、
p型CuInSe2層、n型CdS層、透明導電層であるITO(Ind
ium Tin Oxide)層を積層したものがある。あるいは、
例えばガラス基板上に順次スクリーン印刷と焼成による
n型CdS層、p型CdTe層、金属電極層を積層した構成も
ある。何れにしてもp型半導体層はCu、Agなどを主成分
とするか(CuInSe2など)、これらを不純物アクセプタ
ーとして含有する(CdTe:Cuなど)。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら前記した従来技術では、Cu、Agなどの金
属元素はCdS、CdSeはじめn型II−VI族半導体との親和
性に優れるため、この中に拡散移動し易く、pn接合特性
を損ねると共に半導体層を電気的に高抵抗にし、結局太
陽電池の安定性を損なう主原因となる。
この様に、p型半導体の主成分あるいはアクセプター
不純物としてCu、Agなどの金属元素を含有する太陽電池
では、相接するII−VI族化合物で成るn型半導体層中に
これら金属元素が拡散し特性を劣化させる主原因となっ
ている。
本発明は、前記従来技術の課題を解決するため、前記
金属元素のn型半導体層への拡散を防ぎ、安定性を向上
した太陽電池及びその製造方法を提供することを目的と
する。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するため、本発明の太陽電池は、透光
性基板上に少なくとも透明導電層、n型半導体の窓層、
p型半導体の光吸収層および電極層が順次形成された太
陽電池であって、前記n型半導体の窓層がII−VI族半導
体を主成分とした薄膜で形成され、かつ少なくとも前記
p型半導体の光吸収層との界面近傍にIV族元素が分散し
て存在することを特徴とする。
前記本発明の構成においては、IV族元素がC、Siおよ
びGeから選ばれる少なくとも一つの元素であることが好
ましい。
また前記本発明の構成においては、n型半導体中のVI
族元素の添加濃度が、ピーク濃度の位置で0.01〜10モル
%であることが好ましい。
次に本発明の太陽電池の製造方法は、透光性基板上に
少なくとも透明導電層、n型半導体の窓層、p型半導体
の光吸収層および電極層が順次形成された太陽電池の製
造方法であって、前記透明導電層を設けた透光性基板上
に、n型のII−VI族半導体の窓層を形成し、前記窓層の
少なくとも表面近傍にIV族元素を添加分散し、その上に
p型半導体の光吸収層を形成し、さらにその上に電極層
を形成することを特徴とする。
前記本発明方法においては、IV族元素の添加方法がイ
オン注入法またはプラズマCVD法であることが好まし
い。
[作用] 前記本発明の構成によれば、n型半導体の窓層がII−
TVI族半導体を主成分とした薄膜で形成され、かつ少な
くとも前記p型半導体の光吸収層との界面近傍にIV族元
素が分散して存在するので、p型半導体層に接するn型
半導体層中に配置されたIV族元素によりp型半導体層中
の金属元素のn型半導体層中への拡散が妨げられ、しか
もIV族元素であるから電気的特性に対する障害もなく、
高効率化を妨げずして著しく安定性を高めることができ
る。
また前記IV族元素がC、SiおよびGeから選ばれる少な
くとも一つの元素であるという本発明の好ましい構成に
よれば、p型半導体層中の金属元素のn型半導体層中へ
の拡散をさらに効果的に防ぐことができる。
また前記n型半導体中のVI族元素の存在する濃度が、
ピーク濃度の位置で0.01〜10モル%であるいう本発明の
好ましい構成によれば、p型半導体層中の金属元素のn
型半導体層中への拡散をさらに効果的に防ぐことができ
る。
次に前記本発明方法によれば、透明導電層を設けた透
光性基板上に、n型II−VI族半導体の窓層を形成し、前
記窓層の少なくとも表面近傍にIV族元素を添加分散し、
その上にp型半導体の光吸収層を形成し、さらにその上
に電極を形成するので、本発明の太陽電池を効率良く合
理的に製造することができる。
前記、IV族元素の添加方法がイオン注入法またはプラ
ズマCVD法を用いるという本発明方法の好ましい構成に
よれば、前記光吸収層に接する少なくとも界面近傍にIV
族元素を効率良く添加分散することができる。
[実施例] 以下、一実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明
する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるもので
はない。
本実施例の太陽電池は第1図に示す様に、透明導電層
2を設けた透光性基板1上に、順次積層した例えばCdあ
るいはZnのカルコゲナイドを主成分とするn型II−VI化
合物半導体の窓層3、CuやAgなどの不純物を含有するCd
TeなどのII−VI族化合物、あるいはCuやAgなどを主成分
とするCuInSe2などのI−III−VI2族化合物で成るp型
半導体の光吸収層5、電極層6の構成の太陽電池で、n
型半導体の少なくとも表面層4すなわちp型半導体との
界面近傍の層中にIV族元素、例えばC、Si、Geなどを添
加分散した構成とする。
IV族元素のn型半導体中での添加濃度は厚さ方向で違
っていて良く界面近傍で高くした構成が実現容易であ
り、最高濃度の部分で0.01〜10モル%であることが効果
的である。
n型層の膜厚は0.1〜10μm、p型層の膜厚は0.5〜10
μmが普通である。この構成の太陽電池では太陽光照射
の下、100℃近い温度でもp型半導体層の構成要素であ
る金属元素がn型半導体層へ拡散しないので劣化が極め
て小さい。
次に本発明の製造方法の一実施例を説明する。
SnO2層を設けたガラス基板上に1μm厚のn型CdS
層、この膜の表面層にCを母体CdSに対してピーク濃度
約1%、ピーク位置が深さ約10nmである様に5keVでイオ
ン注入法によって添加分散し、さらに5μm厚のCdTe:C
u層、電極層を積層して太陽電池を製造した。IV族元素
の添加のプラズマCVD法などによっても良い。
このようにして得られた太陽電池は、AM1.5の太陽光
照射下11%の変換効率を有し、1年後でも10%以上の効
率を有するものであった。
これに対して、Cを添加してない従来の構成では、1
年後の効率は9%以下に減ずるものであった。
以上説明した本実施例によれば、安定性の非常に高い
太陽電池を実現することが可能となる。この太陽電池は
薄膜形成であるから安価であり、大幅な実用化促進もは
かれる。
[発明の効果] 以上の通り本発明によれば、n型半導体の窓層がII−
VI族半導体を主成分とした薄膜で形成され、かつ少なく
とも前記p型半導体の光吸収層との界面近傍にIV族元素
が分散して存在するので、p型半導体層に接するn型半
導体層中に配置されたIV族元素によりp型半導体層中の
金属元素のn型半導体層中への拡散が妨げられ、しかも
IV族元素であるから電気的特性に対する障害もなく、高
効率化を妨げずして著しく安定性を高めることができ
る。
次に前記本発明方法によれば、金属電極層を設けた基
板上に、p型半導体の光吸収層を形成し、その上に前記
光吸収層に接する少なくとも界面近傍にIV族元素を添加
分散したn型II−VI族半導体を主成分とする窓層を形成
し、さらにその上に透明導電層を形成するので、本発明
の太陽電池を効率良く合理的に製造するこができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の太陽電池の概略断面図であ
る。 1……透光性基板、2……透明導電層、3……n型半導
体窓層、4……IV族元素添加層、5……p型半導体光吸
収層、6……電極層。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−13383(JP,A) 特開 昭54−159193(JP,A) 特開 平2−3992(JP,A) 特開 平2−181976(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 31/04

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基板上に少なくとも透明導電層、n
    型半導体の窓層、p型半導体の光吸収層および電極層が
    順次形成された太陽電池であって、前記n型半導体の窓
    層がII−VI族半導体を主成分とした薄膜で形成され、か
    つ少なくとも前記p型半導体の光吸収層との界面近傍に
    IV族元素が分散して存在することを特徴とする太陽電
    池。
  2. 【請求項2】IV族元素がC、SiおよびGeから選ばれる少
    なくとも一つの元素である請求項1記載の太陽電池。
  3. 【請求項3】n型半導体中のVI族元素の添加濃度が、ピ
    ーク濃度の位置で0.01〜10モル%である請求項1または
    2記載の太陽電池。
  4. 【請求項4】透光性基板上に少なくとも透明導電層、n
    型半導体の窓層、p型半導体の光吸収層および電極層が
    順次形成された太陽電池の製造方法であって、前記透明
    導電層を設けた透光性基板上に、n型のII−VI族半導体
    の窓層を形成し、前記窓層の少なくとも表面近傍にIV族
    元素を添加分散し、その上にp型半導体の光吸収層を形
    成し、さらにその上に電極層を形成することを特徴とす
    る太陽電池の製造方法。
  5. 【請求項5】IV族元素の添加方法がイオン注入法または
    プラズマCVD法である請求項4記載の太陽電池の製造方
    法。
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