JP2862546B2 - 超純水製造供給装置用機器配管材料 - Google Patents

超純水製造供給装置用機器配管材料

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JP2862546B2 JP63295588A JP29558888A JP2862546B2 JP 2862546 B2 JP2862546 B2 JP 2862546B2 JP 63295588 A JP63295588 A JP 63295588A JP 29558888 A JP29558888 A JP 29558888A JP 2862546 B2 JP2862546 B2 JP 2862546B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電子工業、医薬品製造、食品製造等の技術
分野において要求される純度の高い水、すなわち超純水
を多量に供給する超純水製造供給装置を構成する機器、
配管の構造材料に関する。
(従来の技術) 不純物を極力除いた水は純水と言われるが、この純水
には単なる「純水」と、「超純水」と呼ばれるものがあ
る。純水はイオン交換樹脂を通過させて得られるもの
で、その比抵抗は、(10〜100)×104Ω・cm程度であ
る。しかし、超純水は、薄膜フィルタ、限外ろ過膜およ
び逆浸透膜を多段に組み合わせて処理することによって
得られるもので、その比抵抗は、16MΩ・cm以上に達す
る。すなわち、純水は水溶液中の電解質の存在の有無を
対象とするものであり、超純水は、電解質はもちろんの
こと、それ以外の水中に溶解ないし分解している有機
物、生菌、微粒子そのものの存在の有無を対象とするも
のである。
このように溶存物質を含まない超純水はまたは溶解力
の非常に強いものであり、超純水製造供給プロセスを構
成する機器、配管等の構成材料、時に超純水の循環精製
ラインを構成する機器配管材料からの超純水中への溶出
は、たとえ微量であっても、供給する超純水の水質の低
下を招き、プロセスの各段階を遂行する施設の負担を大
きくし継続使用可能期間、寿命を短くする。
従来、溶出を微量に留める機器、配管等の構成材料と
しては、金属材料ではステンレス鋼を研磨して平滑表面
として用いられ、非金属のプラスチック材、中でも優れ
たものとしてPFA(4弗化樹脂)、PVDF(2沸化樹
脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等が知られ
ている。
(発明が解決しようとする課題) 例えば、電子工業では超純水製造装置の紫外線殺菌
器、ポリシャーおよび限外濾過装置を経てユースポイン
トに送られる超純水がユースポイント直前にて90℃に加
熱し半導体洗浄プロセス等に供される等の場合があり、
このような高温状態では材料からの溶出量は常温時の約
10倍にもなる。従来技術の前出材料は高温状態での溶出
耐性が概ね不充分である。
(課題を解決するための手段) 本発明は、従来技術の上記問題点に解決を与えるため
になされたものである。
本発明の超純水製造供給装置用機器配管材料は、構成
としては、超純水と接触する機器、配管の表面を不動態
化処理を施したステンレス鋼製とし、具体的にはこの表
面をバフ仕上および電解研磨して光沢仕上面としこの面
上の電解研磨液、油分等の付着物をか全に除去したのち
露出面に酸化性雰囲気中で350〜450℃の温度で15〜30分
間加熱処理することにより着色酸化被膜を形成したの
ち、この着色酸化被膜を乳酸で洗浄することによりCr系
酸化物を主とする不動態被膜を表面に露出させることを
特徴とする。
(作用) 本発明によると電解研磨によりステンレス鋼の鏡面に
仕上げられた表面は特定の温度、時間の加熱による不動
態化処理により鏡面光沢を保ったままでフィルム状の着
色酸化被膜が薄く形成され、弱酸である乳酸で洗浄する
ことにより鉄分の多い表面の着色酸化被膜が除去され、
Cr系酸化物を主とする不動態被膜が表面に露出するの
で、高温の超純水に長時間接触しても溶出がほとんど起
こらない。後記実施例のように代表的成分の溶出レベル
は従来技術材料のそれの1〜3桁低い。
ところが、乳酸の腐食速度を超える強酸で表面酸化被
膜の洗浄を行った場合、鉄分の多い表面の着色酸化被膜
のみならず、Cr成分の多い内部の界面層の一部まで浸食
・除去され、さらに、強酸で洗浄後の表面は荒れるの
で、Cr系酸化物を主とする不動態被膜が一様に露出され
にくい。すなわち、部分的にCr濃度の高い箇所と低い箇
所が存在するというCrの偏析が見られることがあり、超
純水への金属イオンの溶出を抑えることはできない。
本発明における不動態化処理の温度が350℃より低温
では被膜を形成が不充分である。また450℃より高温で
は、着色酸化被膜が過度に厚くなり同時に脆くなる。そ
してステンレス鋼は450〜750℃の温度でクロム炭化物の
析出が起り得るので基材の孔蝕、応力腐食が起こり易く
なる。またこの処理時間が15分より短いと着色酸化被膜
の形成が不充分で、30分より長いと被膜が過厚となる。
すなわち、350℃より低温で且つ加熱時間が15分より短
いと酸化被膜の形成が不充分となり、一方、450℃より
高温で且つ加熱時間が30分より長くなると、析出したク
ロム炭化物が超純水中に溶出してしまう。
(実施例) 添付図は、半導体洗浄のためユースポイント直面で超
純水を加熱して供する加熱器1を示す。容量40liter/hr
で、概略寸法は径10cm、長さ1mで、1.9kw電熱ヒータ3
本により最高90℃±1℃に制御して加熱する。
本発明の実施例としては、器内面および出入口配管
2、3ともSUS316ステンレス鋼を充当し、#600研磨材
のバフ仕上後、電解研磨により鏡面光沢表面とし、この
表面を350〜450℃、15〜30分加熱して形成された着色酸
化被膜を300ppmの乳酸水溶液で洗浄する不動態化処理を
施し、表面にCr系酸化物を主とするい不動態被膜を露出
させた。
この容量、定格の加熱器を用い、器内面に本発明材料
および比較従来技術材料を充当し、超純水を80℃で5日
間封入保持して、器内面の比較溶出試験を実施した。加
熱器の内面積0.291m2、保有水量7.4literである。
第1表は本発明材料と従来技術のSUS316ステンレス鋼
#600バフ仕上との比較溶出試験結果を示す。分析は溶
出成分に応じ測定誤差が最小となるようフレームレス原
子吸光法、ICP−MS法、イオンクロマト法、湿式酸化法T
OC計で行った。溶出成分濃度の単位はμg/literであ
る。
分析値の0以下、差値のマイナスは分析誤差である。
分析誤差を考慮しても従来技術例と比較し溶出量の低下
は特にFe、Mn、NH4等について顕著である。
第2表は本発明材料の溶出量をmg/m2単位に換算し(1
ppb=0.254mg/m2)、従来技術の合成樹脂材であるPFA、
PVDF、PEEKと80℃、5日間の溶出量を換算比較した結果
を示す。
すなわち本発明材の溶出は、TOCに関してはPFA、PVD
F、PEEKに対各1/190、1/670、1/140であり、Na、K、C
a、Clに関しPEEKに対し各1/210、1/230、1/10、1/80で
あり、桁違いに低下することが知られる。
(発明の効果) 本発明によると超純水製造供給装置において装置、配
管より超純水への各成分の溶出は顕著に減少し、水質の
低下が長期にわたって最低レベルに維持できる。
【図面の簡単な説明】
添付図は本発明材料で構成した超純水製造供給装置の加
熱器の側面図である。 1……超純水加熱装置、2……超純水入口配管、3……
加熱超純水出口配管、4……測温調節計、5……計測
器、6……サンプル水採取系、7……比抵抗計、8……
ブロー系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斉藤 正男 兵庫県神戸市須磨区竜が台1―1―2 27―303 (56)参考文献 特開 昭62−17184(JP,A) 特開 昭64−87760(JP,A) 特開 昭63−169391(JP,A) 特開 昭62−13563(JP,A) 特開 昭58−181873(JP,A) 特開 昭64−31956(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超純水と接触する機器、配管の表面をステ
    ンレス鋼製とし、この表面をバフ仕上げおよび電解研磨
    して光沢仕上面としこの面上の電解研磨液、油分等の付
    着物を完全に除去したのち、酸化性雰囲気中で350〜450
    ℃の温度で15〜30分間の加熱処理を施すことにより表面
    に着色酸化被膜を形成し、この着色酸化被膜を乳酸で洗
    浄することによりCr系酸化物を主とする不動態被膜を表
    面に露出させることを特徴とする超純水製造供給装置用
    機器配管材料。
JP63295588A 1988-11-21 1988-11-21 超純水製造供給装置用機器配管材料 Expired - Lifetime JP2862546B2 (ja)

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