JP2859062B2 - 懸濁重合用安定剤及び懸濁重合方法 - Google Patents

懸濁重合用安定剤及び懸濁重合方法

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JP2859062B2 JP4348698A JP34869892A JP2859062B2 JP 2859062 B2 JP2859062 B2 JP 2859062B2 JP 4348698 A JP4348698 A JP 4348698A JP 34869892 A JP34869892 A JP 34869892A JP 2859062 B2 JP2859062 B2 JP 2859062B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/12Polymerisation in non-solvents
    • C08F2/16Aqueous medium
    • C08F2/18Suspension polymerisation

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、懸濁重合法によるビニ
ル系ポリマーを製造する際のハイドロオキシアパタイト
系の安定剤およびこれを用いる懸濁重合法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】球状のポリマーを製造する方法に懸濁重
合法があり、この方法により得られるポリマーは、数珠
玉状又は真珠状球状体となるため、別名ビーズ重合又は
パール重合として周知である。懸濁重合法は、大型設備
での熱除去が容易で高性能の重合物が得られるだけでな
く、多品種の生産に適し、特にスチレン、又はこれと共
重合可能なビニル系モノマーの重合に好ましく用いられ
ている。このような懸濁重合は、一般に、モノマー、分
散剤又は懸濁安定剤および重合開始剤を、水の如きモノ
マーを溶解しない分散媒の存在下で、強く撹拌させてモ
ノマー粒子と分散させて行う。従って、この重合は分散
した個々のモノマー粒子の中で進行し、その形態のポリ
マーが生成するので、分散剤又は安定剤の性能が重合操
作は勿論のことポリマーの品質に強く影響する。
【0003】この種の懸濁重合用安定剤としては、ポリ
ビニルアルコール、CMCなどの水溶性高分子系のもの
と、塩基性リン酸塩、特にハイドロオキシアパタイト
(以下、「アパタイト」という)で代表される無機質微
粒子が知られており、それぞれ一長一短があって、目的
に応じて使い分けられている。アパタイトの懸濁重合剤
については、例えば、特公昭29-1298号公報、特公昭30-
6490号公報に詳しく紹介されている。また、これらの安
定剤を使用するに当たって、安定剤としての再現性およ
び信頼性を高めるために、界面活性剤を用いて熱処理す
る方法(特公昭47-23666号公報)、助剤としてリン酸カ
リウムを添加する方法(特公昭48-42220号公報)、超音
波処理する方法(特公昭47-38631号公報)あるいは、沈
降半減期が少なくとも15分であるようなアパタイトス
ラリーを用いるもの(特公昭54-44313号公報)などが知
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、懸濁安
定化能が高いと言われるアパタイトであっても、モノマ
ー粒子は、個々の反応系として働き、その中でラジカル
を形成し個々に重合するので重合反応装置内で均一なポ
リマー粒子を得るには、前述のように安定剤の性能が本
質的かつ微妙に左右する。上記の理由から、アパタイト
の物性の如何で、ポリマーのビーズが合一化して凝塊や
モチ状になったり、装置内壁面へのスケールがしばしば
発生して、操業を困難又は不可能とする。これを防ぐに
は、安定剤の使用量を多くすると多くの場合回避される
が、コストの上昇を招くのみならず、ポリマーの品質低
下の原因となる。
【0005】上記の公知例において、特公昭54-44313号
公報のアパタイトスラリーは、懸濁重合法の信頼性を著
しく改善したが、必ずしも満足できるものでないことが
判った。アパタイトスラリーであるために、製造直後か
ら安定剤として使用されるまでに、物性の経時変化が避
けられない欠点があることがあることである。このよう
な経時変化は、貯蔵及び/又はスラリー輸送に促進され
る場合が多く、それらを制限することになる。アパタイ
トスラリーの経時変化について、これまで、その理由は
全く解明されていない。
【0006】本発明者らは、上記の事実に鑑み、鋭意研
究を重ねた結果、アパタイト中のマグネシウム成分がス
ラリー安定性に影響があり、また、アパタイト粒子のB
ET比表面積が重合安定化に影響があることを知見し、
本発明を完成した。すなわち、本発明の目的とするとこ
ろは、従来のアパタイトスラリーの懸濁重合用安定剤よ
りも信頼性及び再現性に優れた、アパタイトスラリー系
の懸濁重合用安定剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による懸濁重合用安定剤は、アパタイトスラ
リーの懸濁重合用安定剤において、重量比MgO/CaO
として少なくとも0.003の範囲でマグネシウム成分
を有しており、且つBET比表面積が40m2/g以上で
あることを、構成上の特徴とするものである。本発明に
おけるアパタイトは、特公昭54-44313号公報にも記載さ
れているものと、化学的組成としては本質的に同じであ
る。すなわちアパタイトは、一般式Ca0.5m+1.5n(O
H)m(PO4)n で表される複雑な構造の塩基性リン酸カ
ルシウムであるが、通常は、m=2、n=6の 3Ca3
(PO4)2・Ca(OH)2 で表されるものであり、重量
比CaO/P25が少なくとも1.30、好ましくは1.
35〜1.45の範囲の結晶性微細粒子である。
【0008】かかるアパタイトスラリーの濃度は特に限
定されるものではないが、下限は、貯蔵および運搬のコ
スト面から、上限は分散性の面から自ずと限定されるも
のであって、多くの場合、固形分が5〜20重量%、好
ましくは10重量%前後である。本発明は、上記アパタ
イトスラリーを、少量のマグネシウム成分を含有して改
質させたところに特徴がある。このようにすることによ
って、アパタイトスラリーは、物性が実質的に経時変化
のない安定なものになっている。
【0009】マグネシウムの量は、アパタイトの製法に
よって異なるけれども、重量比MgO/CaOとして少な
くとも0.003の範囲にあり、特に0.004以上が好
ましい。この理由は、上記重量比が0.003未満にあ
っては、スラリーの安定性を維持するには不充分であ
り、一方、上限は、特に限定はないけれども、多くの場
合、0.03までで充分である。このように、少量のマ
グネシウム成分を改質剤として含有したアパタイトスラ
リーは著しい安定性を示し、経時変化が実質的に抑制さ
れる。特に、アパタイトスラリーにおけるアパタイトの
比表面積や結晶化度が安定して、例えば、次式 V=[T2−T1]/T1×100 (式中T1は製造1日後、T2は7日後の物性測定値、
[ ]は絶対値を示す)を求めた場合、各物性の経時変
化率はいずれも50%以下と安定したものとなってい
る。
【0010】次に、本発明のアパタイトスラリーにおけ
るアパタイト粒子は、BET比表面積が40m2/g以上
の値をとることが必要である。アパタイトのBET比表
面積は、懸濁重合用安定剤としての性能に直接関係し、
特に、ポリマー粒度分布に与える影響が大きい。BET
比表面積が40m2/g未満のアパタイトにあっては、ポ
リマー粒子の粒度分布の幅がブロードになったり、粒子
の合一化などの傾向が生じて、安定剤としての性能が劣
る傾向にある。また、この比表面積が大きくなるにつれ
て、粒度分布の幅がシャープになり、一定範囲のポリマ
ー粒子が得られ易くなる。しかし、BET比表面積が高
いものは、表面活性が著しいために、スラリーとしての
分散性、安定性に欠ける傾向もあることから、自ずと上
限は限定されるが、多くの場合40〜150m2/g、好
ましくは50〜100m2/gの範囲がよい。このような
アパタイトのBET比表面積値は、マグネシウム成分で
改質させることによって、経時変化のないものとするこ
とができる。なお、本発明におけるアパタイトスラリー
は、特公昭54-44313号公報に記載しているような、沈降
半減期(t1/2)が15分以上の分散性を持つことは勿
論のことである。
【0011】本発明にかかる懸濁重合用安定剤を製造す
るには、上記アパタイトスラリーであれば、特に、特定
する必要はないが、工業的には、消石灰とリン酸との中
和反応により得ることが有利である。すなわち、重量比
MgO/CaOが少なくとも0.003以上のマグネシウ
ム入り石灰乳のスラリーを調製し、60℃以上に加温
し、撹拌下、リン酸を徐々に添加し反応させる。マグネ
シウム成分の添加は、特にマグネシウムが混入する石灰
石を選択してこれを石灰乳としたものを用いる場合、又
は反応の際に塩化マグネシウム、硝酸マグネシウムなど
の可溶性マグネシウム塩や酸化マグネシウム、水酸化マ
グネシウムなどの難溶性マグネシウム塩を用いてもよい
が、工業的には前者の方が有利である。反応系は、重量
比CaO/P25で少なくとも1.30、好ましくは1.
35〜1.40の範囲となるように、リン酸の添加をコ
ントロールし、その手段としてスラリーの電気伝導度
(EC)を検出して操作すると工程管理が容易になる。
得られたアパタイトスラリーは、暫時熟成を施した後、
懸濁重合用安定剤に供することができる。なお、上記に
おいて、原料の石灰乳や生成物たるアパタイトのスラリ
ーは、必要に応じコロイドミルやホモジナイザーの如き
強力剪断分散機にかけて、十分に脱アグロメレーション
を施すと好ましい。
【0012】本発明に係る懸濁重合法は、懸濁重合可能
なビニル系モノマー、重合開始剤、分散媒及びアパタイ
ト系安定剤の混合物を懸濁重合する方法において、アパ
タイトが重量比MgO/CaOとして少なくとも0.00
3のマグネシウム成分を有しており、且つBET比表面
積が40m2/g以上にあるアパタイトスラリーを懸濁重
合用安定剤として用いることを構成上の特徴とする。従
って、上記から判るように、本発明における懸濁重合法
においては、従来の懸濁重合の操作を何ら格別変えるこ
となく、上記アパタイトスラリーを懸濁重合用安定剤と
して用いるところに、その特徴がある。
【0013】モノマーとしては、例えば、置換又は非置
換のスチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、アクリ
ロニトリル、ビニルエステル、オレフィン類から選ばれ
た1種又は2種以上の懸濁重合可能なモノマーであっ
て、特に限定はない。本発明では、特に置換又は非置換
のスチレンの単独重合又は共重合(例えばABS)に有
利に適用できる。なお、上記懸濁重合用安定剤の適用に
おいて、必要に応じ、他の安定剤、例えばポリビニルア
ルコール、CMC、ゼラチンなどの水溶性高分子化合
物、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダの如き界面活性
剤、pH調整剤、比重調整剤又は粘度調整剤などを適宜
併用することも何ら差支えない。本発明における懸濁重
合用安定剤の使用量は、その物性や懸濁重合の条件によ
り様々であるが、多くの場合モノマーに対し、アパタイ
ト(固形分換算)0.1〜1.0重量%、好ましくは0.
15〜0.8重量%の範囲内であり、少量で信頼性の高
い効果が期待できる。
【0014】
【作用】本発明にかかる懸濁重合用安定剤は、アパタイ
トが前記のようにMgO/CaOとして0.003以上、
且つBET比表面積が40m2/g以上の物性をもつ水性
スラリーである。かかるアパタイトスラリーは経時変化
が少なく、安定性に優れているために、従来のアパタイ
トスラリーの懸濁重合用安定剤よりも、信頼性があり、
又、ポリマーの品質も良好となる。その作用機構につい
ては、詳細は不明であるけれども、恐らく、次のような
ことが推定できる。すなわち、アパタイト仲に存在する
少量のマグネシウムがカルシウムと固溶体を形成して、
微細なアパタイト結晶粒子を化学的に安定化させる作用
をする。このことは、スラリーにおけるアパタイトの結
晶化度やBET比表面積のいずれもが、安定して経時変
化が少なくなることから裏付けられる。また、このよう
な安定なアパタイトにおいて、BET比表面積の40m2
/g以上の表面活性のものが特に、モノマーの分散に有
効に作用し、粒子化させるので、安定剤として、高い信
頼性をもって、使用し、重合させることができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げて具体的に
説明する。実施例1〜5及び比較例1〜2 (懸濁重合用安定剤)Mg含有量の異なる各種の消石灰
を充分に脱アグロメレートした石灰乳に、電気伝導度で
監視しながら、制御量のリン酸を添加し反応させ、固型
分濃度10重量%のアパタイトスラリーを調製した。得
られたアパタイトスラリーの物性とその経時変化を表
1、表2に示す。
【0016】
【表1】
【0017】注: 沈降半減期(t1/2):濃度1.50g/100mlの均一
にスラリー化したアパタイトの水性スラリーを100ml
の沈降管に入れて静置し、常温における沈降容積(又は
上澄液)が50mlに達する時間(分) HAP:ハイドロオキシアパタイト 形状 :10万倍の電子顕微鏡(SEM)写真観察
【0018】
【表2】
【0019】注(1) BET比表面積:10重量%のア
パタイトスラリー50〜60mlを吸引濾過し、アセトン
洗浄後、濾紙に拡げて自然乾燥する。乾燥後コーヒーミ
ルで15分間粉砕した試料粉末をBET法で比表面積を
測定する。 (2) 結晶変化率(V): 10重量%のアパタイトスラリ
ーにつき、製造1日後と7日後の試料を前記と同様に処
理した粉砕物をX線回折し、2θ=31.7°(面間
隔:2.814Å、hkl=211)の回折強度(I)より V=[I2−I1]/I1×100 (式中I1は製造1日後、I2は7日後の測定値、[]は
絶対値を示す)を算出する。
【0020】(懸濁重合)表1に示すアパタイトスラリ
ーを用いて、下記の配合と条件にてスチレンの懸濁重合
を行なった。 スチレンモノマー 100重量部 安定剤(アパタイトスラリー) 0.3重量部(固形
分換算) ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ 適量 過酸ベンゾイル 0.2重量部 水 100重量部 撹拌翼付きステンレス製オートクレーブに上記の調製し
た混合物を入れ、反応容器内を窒素ガスで置換した。次
いで、350rpmの撹拌速度で撹拌しながら90℃にお
いて10時間反応を続け懸濁重合を行なった。次いで、
常法による重合物を遠心分離機で脱水し、塩酸で、アパ
タイトを溶解後、水洗および乾燥してスチレンポリマー
を得た。その結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】本発明に係る懸濁重合用安定剤は、アパ
タイトスラリーが経時変化を生ぜず極めて安定な物性を
示しているので、長期的に貯蔵かつ長距離輸送に耐え
る。従って、これを用いた懸濁重合法は高い信頼性をも
って安全に行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08F 2/18 - 2/20 C01B 25/32

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハイドロオキシアパタイトスラリーの懸
    濁重合用安定剤において、ハイドロオキシアパタイトが
    重量比MgO/CaOとして少なくとも0.003のマグ
    ネシウム成分を有しており、且つBET比表面積が40
    m2/g以上であることを特徴とする懸濁重合用安定剤。
  2. 【請求項2】 ハイドロオキシアパタイトスラリーは、
    結晶化度及びBET比表面積の各経時変化率(V): V=[T2−T1]/T1×100 (式中T1は製造1日後、T2は7日後の測定値、[ ]
    は絶対値を示す)がいずれも50%以下である、請求項
    1に記載の懸濁重合用安定剤。
  3. 【請求項3】 懸濁重合可能なビニル系モノマーを、重
    合開始剤、分散媒の存在下に懸濁重合する方法におい
    て、請求項1又は2記載のハイドロオキシアパタイトの
    スラリーを安定剤として用いることを特徴とする懸濁重
    合法。
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